これ買いました14年11月

上野ひとみ/ディスコ鬼が島君のタンゴ

精神分裂な観光誘致歌謡。こんなんでいいんだろうか。

14.11.24 むしゃくしゃする時ゃこいつに限る・・・。聞く時間が全然ないけどな。

チェット・アトキンス

ベスト・オブ・チェット・アトキンス

CD BMG BVCM37327  勉強で。流麗で甘美なギター・プレイが胸に染み入る。ギターの神様だし寺内タケシが尊敬するギタリストということで一度は聞いてみないとと思っていたのだが、なるほどこれはすごい。50年代にこれだけの表現のレベルに到達していたのだから恐れ入る。おそらく当時の人の中には一人でギターを弾いているとは思わない人も特に日本では多かったのではないだろうか。例えば寺内タケシが火炎放射器だとしたら、こちらはガトリング砲かマスケット兵の集中砲火に例えられるプレイだなと感じられた。御免、自分でも何でこういう例えなのかようわからん。よい。
八城一夫とオールスターズ/シャンブル・サンフォネット・ストリングス

大橋巨泉 プレー・ボーイ入門

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1055  松本浩、横内章次ら錚々たる面々が参加したクールなジャズ演奏とその合間合間に大橋巨泉の洒脱な語りが入る前田憲男の「円楽のプレーボーイ講座12章」の類の魁。本職であるジャズ評論家としての仕事も見ることができる。選曲はスタンダードが中心だが、ラテン方面からのアプローチが垣間見られるのが特徴。オリジナルリリースはこちらのほうが古いのだが、どうしても灰汁がないので「円楽の・・・」よりはインパクトにかけるきらいがあり、というよりは、「円楽・・・」の方はゲテの部分と真っ当な部分のバランスがよく取れていて親しみやすいのだが、こちらは正統派過ぎて私みたいな初心者には取っ掛かりにくいのだ。てなことで再発時期の関係だけなのだが何とも二番煎じっぽい、終戦のような雰囲気が感じられる。監修・解説の土龍団の仕事振りは相変わらず素晴らしくてただただ感服だが、これの解説は簡潔すぎて、淡白な嫌いがなきにしもあらず。あっちは遊びっぽい読み物も充実してたし。ともかく、お洒落であるのは確か。
 立候補で味噌をつけたが大橋氏も好きな方であった。
V.A.

60’s クリスマス・スペシャル

CD 東芝 TOCT10830  今年は東芝から出た50、60年代音源を使ったクリスマスソング集。Pヴァイン→テイチク→東芝と来たので来年はビクターあたりか。それはともかく11種27曲の楽曲は半分ぐらいは何らかの形でもう持っているものだったので、あまり新鮮味はなかった。過激さという面においてはこの人にはこれという予想の範囲内で冒険的なものがなかったのが不満だが、各歌手の特徴が出ており聞き比べができて有難かった。まずまず。
キザーズ

オケラの唄

EP テイチク US655J  70年代初頭駄盤の海に輝く孤島。日本のコミックソング屈指の名曲。A面はCD化済み。ということでB面だが正統派カレッジフォークらしい清楚な小品だが、歌詞が典型的なナンセンス・ソング。完成度の高いコミック・ソング。
大倉幸代

一生懸命待ってるわ

EP マーキュリー M1007  旧マーキュリーは買うことになっている。五月みどりが山本リンダをまねしたようなお色気過多のネチャネチャお座敷歌謡だが、エレキを前面に出した編曲は60年代愛好家の好む音となっている。リアルなGS時代にしか出せないビート感が絶妙。B面はべとついてはいるがA面の面影なぞまったくない民謡発想のそれで、とても同じ歌手とは思えないド演歌。まずまず。
葉村エツコ

とめてくれるなおっかさん

EP キング BS992  苦節六年にしてゲット。ドンドコドラムに巻き上がるストリングス、歯切れいい歌唱がさびでいきなり演歌に転ぶボーカル。これぞひとりGSの醍醐味!しかもコミックソング。吉田明裕氏に拠れば60年代をある意味象徴する名曲とのことだが首是。B面は跳ねる典型的欧州60年代マイナーポップス調の作品。これもストリングスが主戦ながら控えめなファズギターが効いている。こっちは普通。この時期の曲はドラムの音がいいね。
松平マリ子

めざめ

EP クラウン PW75  もとの梅木マリ。旧伯爵家だかの御令嬢と聞く。チェンバロをフィーチャーしたエコーの深い穏やかなバラード。あまり印象に残らない根本的に足場を崩した歌。B面はボーカルの多重録音を駆使した「涙のひとしずく」に似た始まりをする悲しみを湛えたオーケストレイテッドポップバラードだが、どう聞いても一世代古く、こんなもの売れるわけなさそう。梅木マリという名前だけで持っているような曲。
ウェイファーリング・ストレンジャーズ

チャペルの鐘の音

EP 東芝 EP1134  B面だけ。素晴らしいスピード感を伴う正統派ブルーグラス系カレッジフォーク。弾きまくるバンジョーの音がなんとも心地いい。歌詞が他愛もなく、ソロに入るとなんとも不安定になるボーカルにカレッジフォークの醍醐味を感じる。それにしても、当時全員現役大学生だが見た目おっさんくさい人たちだ。
福田君子

赤い唇

EP コロムビア SAS653  無機質感漂うジャケット。音こそ昭和41年らしいが、曲自体は菊池章子「星の流れに」路線の戦後の影を引きずる。やさぐれた典型的純歌謡。B面もいかにも当時の音の曲だが、サックスの咽び泣きが曲の表情をつける。歌の始まり方は「遭いたくて遭いたくて」を意識しているものと思われる。あまり。
南有二とフルセイルズ

あの娘ちゃんこの娘ちゃん

EP テイチク SN1098  久我山明先生編曲。どこかしら楽曲に重みのあるフルセイルズだがこれは軽快。東京キューバンボーイズの「津軽の休日」みたいに始まるが、正体はアンディ・ワードでお馴染み八汐亜矢子「ゆうべ泣いちゃった」の歌詞違いカバー。(作詞は二条先生。)各地の女性を歌い撫でつつ一コーラスごとに流転していく工夫を凝らしたバックが楽しく感心できる。B面は山倉たかし氏編曲。(←限定メッセージ。)こちらも山倉氏らしい無味無臭の編曲ながらもチュチュチュコーラスが入るなど軽快なラテン流れであることが見て取れる楽曲。フルセイルズっぽくないジャケットにも納得の内容。よし。
上野ひとみ

ディスコ鬼ヶ島君のタンゴ

EP クラウン CW1849  鋭い突っ込みのディスコビートにアニメソングっぽいボーカルが乗る。歌手が下手なのがいい方に出ているが、さびでいきなりタンゴになるのが唐突過ぎ。一箇所だけの破格の高音が聞くものを置いてけぼりにする。詩はもともとあった二つの詩を一つにしたような無理のある内容。というか本当にもともとあった曲に無理矢理小豆島の観光協会に頼まれて適当に詩をでっち上げて前半にくっつけたのではないかと思わせる。なんだかわからないがすごい。B面は70年代のディスカバージャパンの流れのアイドル歌謡の系譜に連なる曲。曲自体はまずまずだが・・・。
レモンエンジェル

夏のMAJO

EP ポニーキャニオン 6A1013  桜井智のいた声優系セクシーグループ。ヒット曲。90年代の風を十分に感じるラテンを加えた打ち込み系アイドル歌謡。ぼちぼちといった程度の出来だが、虫の鳴くようなころころした声がところどころでひっくり返るところがアイドル情緒を満足させるが、それにしてはやや狂おしすぎ。B面は演奏こそ近代的だが曲の発想に合わず相殺。もう少し何とかすればスピッツになるのに。それにしてもこれのCDSがあるとは知らなんだ。メンバーの立ち位置に異議あり。

14.11.21 ・・・MD聞いてから文句言いやがれ。

ファニー・カムパニー

霧の街角

EP コロムビア CD32  「西のファニカン・東のキャロル」のファニカンの前身。というか、人脈だけ繋がっているらしい。女性ツインボーカルが眩しい清楚な典型的カレッジフォーク。B面はチェンバロをフィーチャーしたニューミュージックっぽい歌謡よりマイナーチューン。馬場広文作曲。まずまず。
ゆーとぴあ

ゆーとぴあのダンス天国

EP ワーナー L1529W  マンザイブームの傷跡。「愛のコリーダ」をアレンジの下敷きにして日本語で名曲をカバー。つーわけでディスコティックです。ネタもふんだんに盛り込まれた典型的な芸人レコード。B面もこの手のレコードにありがちな通り、大げさなオーケストレーションを施したまじめな歌だが、全編語りで押し通すのが珍しい。「イザベル」の影響下にあるものと思われる。
津々井まり

愛すれど心さびしく

EP RCA JRT1185  意外に簡単に。「禁じられた遊び」っぽいギターソロで始まる湿ったバラード。ストリングスとコーラスの使い方は計算され尽くした情緒がある。B面はキーボードとサックスの掛け合いのイントロが面白いビート曲。島倉千代子の「捧げる愛は」を思わせるAメロから「恋は水色」っぽいBメロへ行って最後は「悪魔のささやき」で終わるキマイラな曲。両面とも筒美京平だが、あまり売れそうにない曲である。
横内章次

悲しき天使

EP 東芝 TP2108  「エレキインスト大全」所収で有名なギターインスト。ただし内容はいわゆるエレキインストというよりは明らかにラテン系の発想によっている。耽美で哀愁溢れる煌びやかなギターが原曲の持つ根源的な悲しみを浮かび上がらせ激しく胸を打つ。B面はトリオ・ロス・チカノスで歌謡ファンにお馴染みの名曲を同じくギターが歌い上げる。涙。
ミッチーとパラキン(ダニー飯田とパラダイスキング)

飛べない小鳥

EP ソニー SONA86147  カバーポップス時代には数多くのスターを抱え一時代を築いたパラキンだが、GS時代にはムードコーラスに転向、「甲府ブルース」のヒットを出したがこれがオリコン的には唯一のヒットとなり、以降は活動は長かったがひたすら地味なバンドになってしまった。
 さて、これは「甲府ブルース」よりもさらにあとの作品で、両面ともGS的なビートを持ったムードコーラス。ことまったりとしたコーラスの年季の入り方は実力の確かさとともに、ポップス時代があったことなど微塵も感じられないほどの幽玄さがある。主唱のミッチーって人は恥ずかしながらよく知らないが、清楚ながらも退廃的な情緒がうまく入り込んだ歌を歌える人でなかなかいい声をしておられる。グッド。
由布院和子

わたしの履歴書

EP ソニー SONA86074  有名盤。日本列島を踏むべからず。演歌だけれどもひとりGSとしか言いようのないグッド・ビート!ブンブン唸るベースライン、ドンドコドラム、軽快なエレキ、過激なエキストラトラック、そして「港町ブルース」にちょっと滑稽味を加えただけの詩と思いきや最後の最後で月にまで行ってしまう昭和元禄を体現した詩と聴取者を置いてきぼりにする。素晴らしい!B面は感情過多の女森進一といった感じのサックスの咽び泣くまとまった演歌系の歌謡曲だが、奇声のような歌いだしに奇襲攻撃をかけられた気分に襲われる。
佐藤新之介

これがワシの日本よ

EP オリジナル NOP1002  これも日本列島もの。阿波踊りとニューロックとアングラフォークの緩い邂逅。やたらのりだけいいけど、楽器ひとつひとつの音は厚いのに妙に音がすかすかという不思議な録音。社会派コミックソング。この時期の社会不安ものは今から見るとともかく微笑ましさが先にたつ。B面はピアノにのった語りから始まる中道バラード。ギターが70年代初頭らしくていいが、基本的にはフォーリーヴスとかジュークボックスとかのアイドルロックっぽいドラマチックさがある。楽器の使い方はいかにもこの時期のフォークの人って感じなのだが・・・。まずまず。

14.11.18 

ボンド

ヴィヴァ!/ウィンターサン

CD ユニバーサル UCCL1021  英国の女性弦楽器四重奏楽団の事実上のシングル。要するに異端のクラシックなのだがダンス扱い。まあビートは打ち込みなのでこの扱いは正解。istのCMに使われている「ヴィヴァ」(ヴィヴァルディの「冬」)をはじめ、どの曲にも広い意味での歌謡情緒がある。つーか、自分で言うのもなんだが俺の歌謡曲の概念広すぎ。

14.11.10 廃盤セール通販で。聞けてないのがつまっているけど。

ア・チ・ア・チ

エバーラスティング

CD ビクター VICL325  結局「ワタル」で始まり「ワタル」で終わった泡沫ツインアイドルのセカンド。この時期のアイドルとしてはそれ程間違ったことはやっていないし、本人たちの音そのものもアイドルとしては平均位の次第点はいっている。もちろん、こと「恋のバカンス」のカバーを聞けば顕著なように、コーラスグループとしては下手でまとまりに欠けるが、この時期のアイドルにそこまで求めるのは野暮、充分だ。彼女たちに課せられた命題は果たしており、この時期の「空気」がいっぱい詰まっている。楽曲の出来も保守的には良質なほうで、「夢のかけら」のようにZONEの「絆」に通ずる純歌謡濃度の高い曲もあるが、全体としては歌謡情緒が足りない曲が多くその分清楚なニューミュージックの血脈を強く感じる。ことセンチメンタリズムを前面に出した全編に渡る打ち込みのサウンドは90年代頭初としては、古臭さもないことはないが、どちらかというとセンスのいい部類に入ると思う。全体的な出来としてはモモやノンノンといったあたりと比べてもまったく謙遜ないか、若しくはこちらのほうが上だろう。では何が彼女たちをこけさせたのかと言えば、あまりに「魔神英雄伝ワタル」というアニメが前面に出て歌手や楽曲への関心に向かなかったこと(このアルバムでも二人を売り込もうとしているが、よく読むとアニメの付属品扱いしているチラシが入ってた。)と、・・・もうひとつは我ながらあまりにひどい物言いなので自粛。まずまず。
Miss青森+2

さいしょはグーッ!

CD キング KICS594  平成頭初から去年ぐらいまで活躍したよくできたロックンロールバンドの唯一のアルバム。かっこは初期のヴィジュアルだけど。のりもよく、サウンドメイクも納得の出来。随所に見られるギターワークのエッジの鋭さは素晴らしいフィーリングで、同時に復興ロックンロールの情緒満点。しかもコミック味(虫声・コミックソングあります)、歌謡味もいい具合に溶け込んでいる。中でも「ケッパレ」はラップ+ストレートなブギーという早すぎた試みの白熱のコミックソングで特に意欲的。ホーンセクションを大胆に取り入れた作品も多く、後のバブル的なスカブームをも視野に入れていたようで、その感覚には感嘆する。生で見たかったが、うーむ、つくづく巡り合うのが遅すぎた。売ろうと思えばもっと売れたバンドだと思うが何故このランクで終わってしまったのか。やっぱり時代がこのバンドのコミック味を許さなかったのだろうか。殆どテンションが落ちないまま、のりだけで一気に聴かせる。バカロックの傑作。全体的にはかっこいいけどボーカルがちょっと息切れしてるところがあったのが惜し過ぎる傷。
 どうでもいいが、ギターボーカルの和田ジョージってやっぱり元フラワーズの和田さんなんやろか。年格好もそんな感じなんだが。あとボーカルでもないのにジャケットでドラムが一番目立つのは如何なものか。
東海林太郎

SPオリジナル原盤による東海林太郎秘曲集

CD キング KICX393  近代歌謡曲はご存知の通り「歌謡曲の神様」二村定一らが立ち上げたのだが、彼らの多くはクラシックや浅草オペラといったジャンルから出てきた人であるので、現在の歌謡曲に直接繋がるのは、この東海林太郎あたりが最も古いことになる。で、これはその昔キングがポリドールの面倒も見ていた時期に録音した楽曲の中でもあまり表に出ることの少ないレア曲を集めたもの。
 文語体、浄瑠璃調といった古風な歌詞の曲がメインで、実際しっくりと来るが、時代のエリートらしく「大学の唄」の如き青春を感じさせる口語体の楽曲でもまったく違和感なし。メジャーな楽曲に比べてからっとした曲が多く、意外や、モダン。ただし哀愁を持ったまま突き抜ける彼独特の歌唱は貫かれ、東海林太郎の世界は健在。グッド。何度もいうがこの人の「クラシック以外は音楽じゃない。」という言葉の深さ(表層的に受け取ってはいけません。)はいつも泣ける。
ザ・ピーナッツ

お国自慢だ!ピーナッツ

CD キング KICX7007  ブルーコメッツの傑作「GSR」に先駆けた、既存の曲を流行のアレンジで料理してまえというコンセプトのアルバム。素材は一応デビュー以来手がけていた日本民謡。当時ナべプロお抱えのアポロンからテープで出ていたものの復刻。いきなり鳴り響く緻密なファズギターを大フィチャーした「チャッキリ節」からボッサ、ソフトロック、ジャズ・ロック、ポップと次から次へと変幻自在に出てくる曲の数々。編曲はもちろん宮川泰先生なのだが、これが完全に全曲彼のアレンジだから恐れ入る。この音のレンチの広さには脱帽。昭和40年代のザ・ピーナッツの異常なまでの歯切れの良さと力強さは他に類を見ないサウンドを現せる。名盤。最後は復帰がらみで細野晴臣や寺内タケシでも有名な「安里屋ユンタ」で締めと思いきやアクショングラマー路線の(鹿児島)「おはら節」が最後にくるのはよく考えられている。ちなみにこれで井上ひとみ「私のルナルナ」のバックがフォーメイツらしいことがわかりました。黒沢進先生の解説というか紹介つき。
李博士

李博士(イ・パクサ)のポンチャック大百科

CD キューンソニー KSC3905  李博士が日本のヒット曲を中心に自分の土俵に引き込んで歌い倒す本格ポンチャックの入門/決定版。
 この人の歌唱のテンションの高さはご存知だろうということで詳しく書かないが、それにしても凄すぎる。選曲も古今が適度に混じり満足できる。おそらく二、三回聞いただけでぶっつけ本番でしたと思われる、勢いだけの歌唱が上気させるを通り越して狂気すら感じさせる。やはりというか演歌もののほうがばっちり決まっている。ポップ・ロック的作品では「さよなら人類」や「ダヨネ」の破壊ぶりが素晴らしく、特に後者の原曲がどこにもないアレンジはポンチャックの超越的自我が感じられる。前者はいいかげんさがいいほうに出て圧巻。バックのカシオトーンの腕も確かで、スリリングなプレイを到る所で聞くことが出来、オルガンモッドやオルガンジャズの名演と対抗させても全く謙遜無い。一言、かっこいい。中でも「ツッパリハイスクールロックンロール」で顕著なのだが前半のチープなオルガンがGS者を泣かせる。最後はばっちりとコブシの回し方のルーツを示す韓国民謡メドレーで大団円。やはりこちらの方が似合う。全体的に音楽面に日本人スタッフが噛んだのちのアルバムより数段出来がよい。
 この辺を指して「変なもの」とか言ってる奴は単に自分の土俵から外れたものを侮蔑の対象にしか見られない一種のレイシズムだと思う。どうやっても理解できない時は退けたり軽んじたりするのではなく、素直にわからんというべきだ。(誤解は可。)言っとくが自分はこれのどこが普遍的な意味で「変」なのか(わかることはわかるがその良さを検証せず封ずることが)まったく理解できない。変か変でないかは視点の置き方次第であろうに。岡晴夫もブルコメも藤本美貴もルーリードも李博士も俺の中の基準では全く同じ地平の住人だ。
 この人が平気でヒットチャートを賑わせることの出来た平成8年という年はやはり歌謡曲にとっての太陽の季節だったとしか言いようがない。
 お勧め。廃盤だけど。
東京キューバンボーイズ・プラス・ロス・インディオス

情熱のラテン・ヒッツ

CD キング KICX7030  名門・東京キューバンボーイズの情熱よりも哀愁が先にたつ演奏がたっぷり聞ける廉価盤。しかし、その内容はけしてお茶汚しではない。日本最高峰のラテンビッグバンドとしての意地が爆発している。曲もいわゆる名曲がずらりと揃っており、あくまでもラテンとしてオーソドックスなアレンジで攻め立てる。ロス・インディオスがゲストで演奏に(一曲だけコーラスでも)参加しているが、キング音源つーことは昭和40年代中盤あたりより前の音源であろう。うーむ、やはり、知らない音楽では筆が鈍るな。この手の音楽も好きだけど。
原信夫とシャープス・アンド・フラッツ、見砂直照と東京キューバンボーイズ

ザッツ・ビッグ・バンド・ジャズ

CD キング KICX7034  シャープス・アンド・フラッツ見直し計画。モダンジャズはつまらないステージを何度も見たトラウマがあるせいで、どうも心に暗雲が垂れ込めるのだが、ビッグ・バンド・ジャズは別。音も端整だし派手。時代の制約もあるがその選曲も含めて大好き。シャープスは名実ともに日本を代表するビッグバンドの一つで、高橋達也ら名だたる名手により構成され、また輩出してきた。また、江利チエミや美空ひばりといったポップ・歌謡の歌手との共演でもその名演ぶりに定評がある。このCDではオーソドックスにスタンダードな曲を演奏しているが、その目鼻のしっかりしたレベルの高い演奏でまったく飽きることなく聞ける。グレンミラーあたりの戦前ジャズが大好きな私にとっては夢のような選曲。肝心の編曲者も前田憲男、三保敬太郎、(メンバーの)山木幸三郎と錚々たる面々が並んでいる。文句をつけるところなどありません。というか逆にシャープスの演奏がいろいろな不備っぽいところまで含めて演奏というものの究極だと思っているので話は逆なのだが。これ、と言えない位名演揃い。後半は東京キューバンボーイズとの競演形式だがこれも当然全部名演。ただでさえ鉄壁のところへジャングルの熱気が持ちこまれ大変なことになっている。圧巻の一言。ただし見てもらえればわかるように、私はジャズにあまり深入りしてないので私の感想が万人に通じるものかどうかはよくわからない。超グッド。
V.A.

決定版 モスラ

CD キング KICS706  古関裕而の三大未開歌謡の一つ「モスラの歌」目当て。つーか、マジで一時期「熊祭の夜」「黒百合の歌」とともに永久に倉庫に封印されそうになった。目当ての「モスラの歌」は「聖なる泉」と併せてのちに出たコスモスのバージョンと比べると圧倒的な力強さがあった。コスモスの方は弱者を弱者として描き、ピーナッツの方は弱者の持つ強さを具現化しているという風に意図的な演出とも取れるが、それにしてもピーナッツの実力という裏づけがあってこその演出に他ならない。男性コーラスと頭打ちのビートを一緒に煮凝った結果出てきた倭人の南国に対する偽史的な意味での郷愁を本能的に刺激する血糖値の高いサウンドメイクは驚嘆に値する。全く意味をなさない架空の「インファント語」で綴られている楽曲は日本語よりもむしろ雄弁に異国情緒を紡ぎ出す。レコードバージョンの「インファントの娘」も改めて聞くとサックスが涙を誘い、それに儚い歌声が追い討ちをかける究極の哀愁サウンドで、思わず体が震えてしまった。尾藤イサオを絡めたリミックス「モスラメタル」はその名のとおりのド派手なメタルっぽいサウンドだが、はっきりいっていらない。激しく腰を折っている。いや、リミックスするのは別にいいのだが、何と言うかあんまりにも元歌に対して愛がない。尾藤氏も必死でやっているだろうに、この使い方はない。音自体はいいだけに何とも残念。もっとも評判を聞く限りでは(未聴ではあるが)「モスラがきます」よりは出来がいいのかもしれない。後半はオリジナルカラオケ。
V.A.

青春pops’50〜’60 恋の片道切符

CD キング KICS80002  鈴木やすし「ジェニジェニ」目当てで。いろいろな所から音源を持ってきているせいで音質とかバランバランなのとデータどころかカバーという行為自体にまったく愛情を欠いていると思しき解説が傷だがほりまさゆきがまとまって聞けたので、まあ、満足。というかほりまさゆきに当時求められたものはこれだったのか激しく疑問に感じる。明らかに時代遅れだ。楽しみにしてた「ジェニジェニ」はこれぞ日本のロカビリーとでもいうべき激しく騒々しいプレイでや素晴らしい。まとめて聞きたい。あと藤木孝は相変わらずさすが。このひとも何故ベスト盤出ないのかしら。
リトル・バッハ

ナンだよ

CD ポニーキャニオン PCDA01000  ジャケ買いどころか名前買い。勘違いした。トップは藤井フミヤに近い感触も受けるが、別に如何と言うこともない歌。カップリングは西城秀樹を思わせる暑苦しいロック歌謡。アレンジとかも実に秀樹っぽく、とくにホーンセクションのがんばりが耳を傾かせるが、平面的でなんとも欲求不満に陥らせる。

14.11.6 「マーガレットとロマンス岬のカモメたち」のカセットを貰う。

14.11.4 ムードコーラス大量仕入れ。

セイントフォー

BEST

CD ポニーキャニオン PCCA01784  出来ないバク転を無理矢理振り付けに組み込んでやってたことで知られる脱力四人組アイドルグループ。コーラスには見るべきところもあるが、基本的には舌足らずで無理に合わないキーに合わせて流す打ち込みロックが中心となっており、粒がそろった楽曲群となっている。アイドルグループとしては正しい楽曲であり、歌唱であろう。全体的に極上とは口が裂けても言えないがまずまずといった程度の出来。加瀬邦彦の作品がよく出来ており、彼女たちの最大のヒットとなった「不思議tokyoシンデレラ」と続く「太陽を抱きしめろ」はこれぞアイドルロックと抱きしめたくなる佳曲。それ以外では「ファイヤー(灼熱物語)」が違う作者なれども同路線で完成度が高くじっくり聞けた。それにしても度胸のある人選だ。
スマイリー小原とスカイライナーズ

スマイリー小原

CD キング 194A14  レンタル落ちだけど簡単に置いてあってびっくりした。やはり俺はビッグバンドが大好きなようだ。軽快に飛ばしコールアンドレスポンスものりに乗っているホーン、煽るだけ煽るビートフルなドラム、全てが眩しい。近年のジャズやロックにない独得のポップ魂が燃え滾る。まさに名バンドだ。全然関係ないが、聞いてて思ったのは渚ようこと浜崎あゆみの二人は実は本質的に向いている音楽が同じ(軽重はあるが)でこういうビッグバンドでジャズっぽいの歌わしたら嵌るだろうなということ。二人に限らず流行とか発想の限界とかでどう考えても本人に向いていない曲をやったりやらされたりしている歌手が結構いて、つくづく名馬がいても名伯楽がいない。
ジェームス日の丸&モモチャン

こども天国

CDS 東芝 TODT2872  「ダンス天国」の子供によるカバー。子供の恨み節を日本語で歌い上げるが原曲の倍ぐらい長いという他は特記事項なし。カップリングの「カレーとハンバーグ」は派手なラップ歌謡だが、正直完成度が低めで残念な出来。
セキララ

4グラムの砂

CDS 東芝 TODT5143  あのつぶやきシローが何故かゴールデンカップスをカバーしたもの。(のちにこのシングルが出たことを知ったHitomiIさまが「マイナーGSの目立たないメンバーにいそう」と形容されていたが。)意外や出来がよい。歌唱自体は引っ込んでいるが、フィーリングがなかなかオリジナルに近いのだ。アコギとピアノ、エレキの暖かい演奏に涼しげなコーラスが絡みつき儚さが強調され泣ける。情緒に勝る名カバー。カップリング「おかあさん」(もちろんテンプの奴)の補作詞・作曲が二箇所とも「松崎“申”治」って書いてあるのがペケだが、その歌唱は下手糞ではあるが狂おしい。その辺の60’s風バンドとは比較にならないほど、この曲のというかテンプの本質を掴んでいる。演奏はGSよりももうちょっとあとのブルースバンド風。拾い物。お勧め。
鉄腕ミラクルベイビーズ

トーク・ショウ

CDS フォーライフ FLDL10215  「ねるとん紅鯨団」でお馴染みの曲。明らかに「マンボNO.5」を下敷きにしたダンス曲。バブル期ならではの無駄な華やかさに時代を感じる。潰がきかなそうだが、気風のいい歌い方で結構好きだったのだが結局ヒットらしいヒットといえるのはこの一曲だけだったのが惜しかった。カップリングはリミックスバージョンなのが現代への微かな扉。
ジャック&ベティー

男と女の英会話

CDS 東芝 TODT3811  ポンチャックを思わせるカシオトーン一本のチープな演奏が愛らしいデュエット演歌だが、全編英語!それも片仮名英語。しかも内容なし!これはこれですごい。元バラクーダーのベートーベン鈴木作品。センス良過ぎの編曲は伊戸のりお。カップリングはもうちょっとムード歌謡に近いラテン調のコミックソングだが、ほとんどトップと同じ編曲でびびる。あの平野正昭が作詞を手がけているが、毒にも薬にもなっていない。それにしてもベートーベン鈴木氏はコミックソングかどうかに関わらず、もっと演歌系の曲を作るべきだと思う。ちなみに全編英語が災いして事実上ゆうせんでは放送禁止する旨の紙が入ってた。
ハニーナイツ/T&Sレディース

ゴルフの歌

EP ソニー YESA49  彼らはムードコーラスグループなのかと言われれば、それは絶対違うが、ダークダックスあたりのグループとも一線を画すので取り敢えず敬意を表して一緒にしてみる。と言いつつ、これは跳ねるリズムを使ったムードコーラスです。「ナイスナイスナイスナイスナイスショット」という出出しからいい湯加減のゴルフ推奨小唄。いつもに比べるとちょっと核が鈍い気もするが曲調が呑気過ぎてそんなの気にもならない。脱力の佳曲。「ゴルフゴルフゴルフは楽しいスポーツだ」。ほぅ。
ザ・ランナウェイズ

チェリー・ボンブ

EP マーキュリー SFL2121  これをやるべきだったのだ。世界音楽史に残るギャルバン。一応パンクムーブメントの括りに入ると思うが、洋楽はようわからん。なぜ「ボンブ」には誰も突っ込まないのだろう。ちょいととろいかなとも思ったが、まずまず。解説がチープで笑ける。
ブービーズ

当日・消印・有効

EP 徳間 7NCA4001  有名レコード。じつは五木ひろしの変名。まったくそれがわからないテクノ流れのポップス。キーボードの音がつちやかおりの「哀愁のオリエント急行」を思わせるが、曲調自体は堀内孝雄の歌みたい。タイトルが内容と関係あるようでいてあまりないのがいかす。もっともドラマがらみだったらしいので本編見たら意味がわかるかも。B面もあっさり味のテクノポップス。こりゃ予備知識がなけりゃ普通のテクノポップのあおりで出てきた若手グループの作品だと思うだろう。あまり。
北原謙二

ずいずいずっころばし

EP コロムビア SA700  コロムビアの誇る名ロカビリー歌手のオリジナル・ソング。お馴染みの戯れ歌をモチーフにしており、船村徹作曲だが、いかにもこの時期のロカビリー歌手のオリジナル曲らしい歌謡曲。センチメンタル。B面はモアナエコーズがバックをつける、マヒナっぽいハワイアン系ムードコーラス。スチールギターが心地いい。コーラスやコード進行などはロッカバラードの発想なのも憎い。早くお元気になって歌い倒せるぐらいまで回復なさってほしい方です。
ペニーレイン

一年が過ぎて

EP ビクター SF6013  大橋巨泉事務所所属の大妻女子短大の三人組グループ。神保正明編曲のバンジョーの効いた透明感のある曲調に好感が持てる、よくまとまったからっとしたニューミュージックもの。B面はいかにも荒木とよひさ作詞作曲らしいフォーク発想のマイナー歌謡。両面とも売れ線には乗っているがやや押しが弱い。
麻里圭子とリオ・アルマ

月影のランデブー

EP ビクター SV796  B面のみ。いかにも昭和40年代らしいマイナービート歌謡。フルートとスリーシンガーズの幽玄なコーラスがボサノバのリズムをバックアップ。曲全体を包む微妙な暗さが歯切れよいボーカルに一層際立たせ、それを絶望感に繋げているのが芸術的。ただし、やや灰汁がないのが難。
クレスト・フォー・シンガーズ

フィナーレ

EP ディスコメイト DSK124  本来はジャズボーカルグループらしいのだが、音を聞いている限りではニューミュージックなのか、歌謡ポップスなのかよくわからない男女混合グループ。穏やかで正統的な番組のエンディングテーマを思わせるニューミュージックものですばらしいトラックではあるが、無理にはずしたようなメロディーが気になる。B面は言われてみればジャズの出自も感じる楽曲で、オルガンの演奏に色気はあるが、曲自体はピンキラの成れの果てみたいな歌。両面とも全体的には物足らない感じが残る。その後メンバーはジャズ界で結構活躍しており、その足跡とかを考えると惜しすぎる出来といえよう。
泉純也とクリスタル・レイン

夢ものがたり

EP ビクター KV3018  ムードコーラススペシャルに片面だけ収録ってのがここから多い。B面だけケーナ?の入ったずぶずぶな演歌。まるっきり独唱でムードコーラスとしては残念。特になし。
トリオ・ロス・ペペス

愛のふれあい

EP キング BS1632  B面だけ。いわゆる純歌謡。さびでのコーラスがややしまりがないのが惜しいが、「夜の銀狐」+「あなたを知って」といった感じのよく出来た曲。哀愁のレキントギターもこれでもかというぐらい入っていてムードコーラス情緒を満足させる。タムタムの音が俺好み。佳曲。A面は「ムードコーラススペシャル」収録済み。
池田進とグリーンアイズ

おんなが泣く街

EP ポリドール 7DX1121  昭和も50年代中盤のリリース。サックスが咽びなく「中の島ブルース」路線の曲だが、むつひろし作曲らしくR&Bの要素がからみファルセットを特に浮かび上がらせるかっきりした曲。B面はさらにR&B色が強く、シンガーズスリーと思われる女性コーラスを巻き込んで歌い上げる。醤油味のキングトーンズとでも言えば通りがいい楽曲。ここでもしボーカルにもう少し灰汁があれば名が残る曲になったに違いない。なんとも惜しすぎる。このバンドが現役というのはムードコーラスファンにとっては心強い。どうでもいいがジャケットがすでに強そう。
ラブ・サントス

おんななみだ街

EP コロムビア AH9  これも、ニューミュージックを通過した、「中の島ブルース」路線の曲。というか、ほとんど「中の島ブルース」そのまま。基本に忠実すぎ。フレーズによって細川たかしやダークホースも顔を出す。ということは正統派というよりは演歌よりということなのだが、薄いコーラスも故にばっちり曲調に馴染んでおり好感。B面は一転ラテンのビートを強調し、フルートとコーラスの使い方が壷をつくハーバーナイツを髣髴とさせるホスト調の楽曲。こちらの方が素晴らしくムードコーラスとして文句なし。ごく近年にCDアルバムがリリースされたことが確認されているので北海道ではまだ盛んに活躍しているのかも。アフロが強烈。
黒沢明とロス・プリモス

夜霧のインペリアル・ロード

EP ビクター SV878  ビクター時代のロスプリはなんだか軽く見られている傾向があるが、「ヘッド・ライト」という名曲もあって油断ならない。で、これもヒット曲ではあるのだが、スタッフのせいか10年ぐらい古臭い感覚に仕上がってしまっておりとても既に70年代に入っているとはとても思えない。手堅い出来なだけに逆にそれが際立つ。B面もタンゴの匂いが微かにしており、結局流行遅れからレトロ感覚にかわるタイミングを読み間違った作品といえるだろう。
ジョイベルス東京

人生は二度来ない

EP ミノルフォン KA348  ジャケ違い。たぶんこれがセカンドジャケ。ジャケ違いなんて理由で二枚目を買ったのは初めてで自分でも吃驚している。いや、こんなネクタイが捲り上がったジャケだったら別に録り直さなくてもええやないですか。

前の月 次の月 戻る(最新)

inserted by FC2 system