これ買いました14年6月

V.A./魅惑のムード秘宝館

↑何だかんだいってもすばらしい好企画ですよ。

14.6.29

V.A.

魅惑のムード秘宝館

6CD 東芝ファミリー GSD6901〜6  なんか、普通。やっぱり俺の根がお色気ものの方に向いてないようだ。ペアスズラン「あげてよかった」(壱之館=DISC1収録)や荒砂みき「いつまでもいつまでも」(未収録)あたりの湧き立つような、濃霧のような聞いているだけでメロメロになる楽曲が案外少なくて肩透かし。楽曲的には流石粒ぞろいで申し分ないのだが、いってみれば普通の出来のいいマイナー歌謡曲集としか聞けず、初めてGSや幻の名盤、ムードコーラスのコンピを聞いたときのようなヤクに手を出したかのような陶酔感を味わえなかった。戦隊ものとかでピンクとか女性の役のスタントを女性がやると女性っぽく見えないというのと同じで、どうやったら「女性」をアピールできるかまで手が回ってなかったり、やり過ぎ或いは稚拙で逆に萎えるのが多すぎる。だから、この点でムードコーラスには遠く及ばないし、一部アイドルの持つ無臭を装うが故の女性性にも適わない所がある。この点、これを完全にわかりきっている朝丘雪路はすごい。また、この辺は俺が松田聖子大っ嫌いって所の同根遠因にもなっている。この手の歌謡曲の本質のひとつとしてその曲世界を構築するという「演技」の要素は重要だと思う。そうはいってもお色気ではなくグルーヴなど他の観点からみてかっこいい曲はあったが、それは単に俺がアクショングラマーが好きなだけだからだと思う。結局楽曲全体としてはペアスズランの奴以上のものは無し。頼むから少なくとも↓「ドラえもんルンバ」よりもフェロモンを出していただきたいと言っとく。
 お色気ものもはっぴいえんどもよく知っているはずの編者の割りに松本隆の“情緒が皆無で計算づくの血の通ってない”(←あくまで俺の松本隆評)詩の曲が一曲もないのがこの人の書く詩の本質をよく表していると思った。
 いいとも悪いとも言わない。詳細な解説付き。
 以下曲個々等に関する雑事。
 沖山秀子の「ダンチョネ節」は小林旭のカバーだが退廃感がたまらない。歌謡的完成度が最も高い。真木七奈「アンチキショウのブルース」の狂おしさは素晴らしい。芦田圭二の女版。あい杏里「恋が喰べたいわ」も同じ路線だがもっと汁気が多い。サックスがいい音してる。沢知美「夏の女」はスキャッツにカバーしてほしいと思わせる、スキャットが特徴のマカロニウエスタン流れの歌謡曲で快。くらもと恵子は発音が変だ。これでは立命館の恥倉木麻衣に適わない。いや、別に対抗せんでもいいが。穂口雄右の楽曲に外れなし。橘モナ「私は蜘蛛の糸」は日本情緒とエキゾ、セクシーグラマーと下世話、サイケ、演歌、ポップス、ロックなどが並立で存在するエキセントリックな珍曲。三東ルシア「太陽の季節」は既聴だが、時流に乗った独特のグルーヴのある典型的70年代前半セクシーポップス。向井真理子「パイパイサンバ」はロリータセクシーなウィスパー・ボサノバで印象に強い。
 「謎の女B」はこう言っちゃ何だが、平岡先生自らお歌いのバージョンほうが下手だけど情緒があるな。青山ミチは別格。単独盤出しやがれ!キャシー中島「涙のドレス」はグルーヴの佳曲。
 宮下順子と水之麻希「甘いささやき」は中村晃子のと同じトラ流用してるな。ちなみに中村版のほうが格段に出来がいい。(細川俊之が暴走してるだけだが。)キューティーQ「好き嫌い」、スキャッツが平成のキューティーQ云々といったのはこの手のじゃなくて「ファンキーエンゼル」とか東芝時代を念頭に言ったことなので、お間違いなく。(この手の曲はスキャッツにはきついと思われる。)夏木マリ「裏切り」は文句なくかっこいい。林マキは全部テリーさんの曲歌ってれば今ごろ伝説だったのに。
 テイチク編の四之館とビクター編の伍之館は既CD化されたものが多いが、幻の名盤四大ディーバの一人小宮あけみ「オン・ザ・ロック」がピカイチ。前にEP持ってたけど間違えて売っ払っちゃったんだよな。花房てるみ「霧雨にぬれて」は純歌謡の佳作。編者は余り大した評価をしていないようだが、この辺は立場の違いというものだろう。三麻れい子「恋は霧の中」も同。嵐レナ「感じる」もバッキングがええ音。川村真樹「涙のハプニング」は奇天烈だがスタッフのせいか当時のブルーコメッツに通じる音。真理アンヌ「嘘でとうした愛だけど」も意表を付かれる編曲の演歌。カルーセル麻紀「夜の花びら」は太子乱童とニッキーをあわせてセクシーに漬け込んだみたいな曲で、その上作編曲が神保正明先生。この辺濃すぎ。
 谷ナオミ「昭和枯れすすき」はささやきレコードの系譜だが異常に豪華な演奏陣にびびった。加島美抄「ヨコハマの女」は和製R&Bとしては標準的な出来だが珍妙な詩や妙な歌いまわしが心に残る。続く椿みやこ「ネオンの女」はアニメの主題歌や欧陽菲菲を思わせるのりのいい曲でこのボックスのハイライト。麻里圭子の壮絶な人生は知らなかったので衝撃。中原まゆみ「テイクテン」もよく出来たアクショングラマーでなかなかかっこいい。浜村美智子「男のためなら」はむちゃくちゃな楽曲でわけのわからない激情ぶりが逆に笑ける。これはプロデューサーが偉い。
 松本ルミ「雨にぬれても」は練りに練られた演歌よりの佳曲。ケイ石田「時は流れて」も私と編者の評価がかなり異なる曲で、東芝編で一番いい歌だと思う。藤井輝子「薔薇」は典型的グルーヴ歌謡。中川梨絵「踊りましょう」は自作でバックがムーンライダースだが、正直何が良いのかよく分からない。ラストのアイ・アバンティとそのグループ「新女大学」は想像とまったく違ったお洒落なピアノによるイージーリスニングなので驚いた。東芝発売なのに自分のとこが一番押しが弱いのは何故。

14.6.28

V.A.

続・テレビまんが懐かしのB面コレクション

2CD コロムビア COCC10249→50  「ドラえもんルンバ」は日本最高のラテン歌謡の一つです。と、いうことでようやく手に入れました。当然だがいわゆる「アニメのエンディング曲」が多く、結果、哀愁のバラード路線がかなり多い。全体的には別にどうと言うこともない曲が多いが、その手の曲の中ではスタッフがすべてヒットメイカーの「今日もどこかでデビルマン」の出来がやはりきらりと光る。この曲だけダントツに深いし、単純にかっこいい。ムーンドロップスのよさも楽しめるが、結局は時空の歪んだ「ドラえもんルンバ」が気になってしょうがないという一言に収斂。ところで「ワンサくん」のB面「ピンコラ音頭」は差別語の関係でもはや絶対放送できないが、こういうのをきちんと収録できるのなら「買物ブギ」とかきちんとCD化しなさい、日本コロムビア。
大場久美子

ゴールデンベスト

CD 東芝 TOCT10857  予告どおり。歌謡曲の極北、大場久美子の初CD化を多く含むベスト盤。
 歌が上手いとか下手とかいう判断基準だけでは絶対に評価されない人である。が、この人は下手であるからこそ、いやこの人にしか出来ないあまりにもあまりな破壊的微分的な歌唱でしか生み出されることの出来ない歌謡情緒が唯一無二の世俗ながら孤高の世界を形作っている。やっぱり大場久美子は別格。浅田美代子?あの人上手いじゃん、実は。音の伸ばし方と一つ一つの発音の移行の仕方がおかしいのが独特の歌唱の原因と思われる。楽曲自体は典型的70年代アイドルポップスの範疇から大きく外れたようなのがなくその意味では手堅すぎる印象も受け、またヒット曲を除けばこれ一曲というとなかなか難しいところなのだが、なんだかわからないけど上気させるボーカルがたっぷりと味わえたので満足。しかしこの人にスローバラードを宛がうなんて度胸ありすぎ。やはりアップテンポなものの方にグルーヴを感じる。小林和子作詞作品が八割弱を占め統一感あり。陶酔の一時間弱。歌曲データ皆無なのはやはり残念。
メープル・リーフ

メープル・リーフ

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1048  俺にはだめだった。
 昭和46年に出た荒木一郎と井上たかしが主導権を握って作ったPPMスタイルのフォーク系コーラスグループの唯一のアルバム。メンバーは榎雄一郎のみ作詞作曲に食い込んでいるくらいで専らパフォーマーに徹している。その榎の作った「海辺の憂鬱」はグルーヴ満点のバッキングが素晴らしく、その退廃感も含め素直に楽しめたのだが、いかんせんボーカルの過剰な青臭さに気が滅入ってしまった。他に至ってはまともに聞ける歌が一つもなく、全く何がいいのか理解できなかった。音の傾向としてはランチャーズの「OASY王国」あたりに極めて近く、たいした違いはないはずなのに何なんだこの差は。まあ、はっぴいえんどの面白さが全く理解出来ないどころか嫌悪感さえ覚える俺の言うことなので。出来の如何に限らず昔の埋もれた作品のCD復刻は嬉しい限りだが、こんなのよりも先にCD化されるべきものは山ほどある。こんな切れのないもんをありがたがって奉る人間の気持ちがまるで理解できない。聞くなら絶対「OASY王国」の方がいいと思う。ただし、オマケのサントラ音源「午前中の時間割り」は出来のいい歌謡ポップス。適度に湿り気のある榎による曲が小谷充による細かい編曲と相まって鋭く効いており事実上唯一水準以上のまともに聞ける歌。もうひとつの「草子の散文詩」は三流ポップス。
 はっきりいって70年代のフォーク・ポップのくだらなさ(とそれに対する必要以上の持ち上げ方)とその残滓が日本大衆歌謡が70年代から90年代前半まで停滞した最大の原因だと思うが、「再発見」の時代になってなおその呪縛から抜け出せないさまは情けない。こんなのに金使うんだったら募金でもしたほうがよっぽどましだと思う。
チューイン・ガム

ゴールデンベスト

CD ソニー MHCL131  ヤマハ・ポプコンで活躍した姉妹子供フォーク・グループのベスト盤。ヒット史的にはヤマハ系らしく典型的一発屋。ちなみにフィフィ・ザ・フリーやキングスに関わった事で有名な松田氏のお子様達です。なんとご本人によるライナーつき。当初の平均程度のハーモニー特に低音パートの力不足が惜しまれるが、年齢のことを考えると(デビュー当時12歳と10歳)このクウォリティーは立派。後半にはその脆弱性も解消され、儚さが先にたつシモンズ的なコーラスを身上にするグループに成長している。また、若いうちから自作が多いのが評価できる(困ったことに両親の作品より質が良かったりする。また、こと詩の言葉づかいについては後年の作品等と比して俄かには自作とは信じられないようなのもあるが・・・。)が、どちらかと言うと他所さまの作った曲の方が彼女たちの本質を掴んでいるように思われる。全般的に土着的な歌謡情緒が希薄で(東海林太郎からザ・クーガーズあたりが持つ伝統的な「マイナー」、「センチメンタル」、「絶望感」のある日本歌謡曲独特の湿り気が感じられないという意味です。)いかにもポプコンな楽曲がずらりなのだが稀に「逃げた小鳥」など情緒濃度の高い楽曲や突然変異的な退廃歌謡「バハマ」等もあって興味深い。「私の願い」は本人の言に反して全く歌いあがってないです。商業的な観点から見て当然自覚的に入れるべきギトギトした「フック」がなく、その割りにカレッジフォークほどの全く更な無垢性よりは売らんかなの姿勢が見えるという意味で、やや路線的な中途半端さが見え、どこまで行ってもメジャーには成りきれなかろうというマイナー感が漂っているというか、寧ろどんどんこぢんまりとしていくグループだなと思った。ちょぼちょぼ。
 どうでもいいが、大場久美子と会社をまたがった同シリーズだが、カバーに東芝はソニー編の広告も載っているのにこっちには東芝の「と」の字も出てこないというところにソニーの肝っ玉の小ささを感じる。(中には入っているが。)

 なお、本稿はチューインガム公認ファンサイトで糞だと叩かれましたので申し添えます。(東海林太郎・・・)の部分は以後に補足として加えました。

パラダイス山元と東京ラテン・ムード・デラックス

トップ10

CD ポニーキャニオン PCCA01076  いまやマン盆栽家として知られるパラダイス山元率いる東京ラテン・ムード・デラックスが園田ルリ子、ビシバシステムらのバックをつけたものを集めたCD。演奏の方はパーカッション、ホーン、ピアノ、掛け声などどれをとっても極めて出来がいい。ジャンル以外に大メジャーになれなかった要因が浮ばない。
 園田ルリ子のボーカルがまずまずいい。シングルカットされた「ルリの秘密」の出来が金をかけすぎているせいで今ひとつだったため、今まで注目してこなかったが、冒頭の2曲はキュートでいいじゃん。詩はあほだが。そのシングルのカップリングだったビシバシステム「わからないふたり」はあまりに情緒が勝ちすぎていて不満だったが、「別れないふたり」はさすが元パノラママンボボーイズの面目躍如の出来の無茶苦茶いいラテン歌謡。歌唱力の詰めの甘さがいい方に作用している。そうかあのシングルはワースト集だったのか。またジュリー・ヤン「翼があるなら」はランバダの節にヘレン笹野を思わせる歌唱が乗るなかなかの佳曲。しかし、全体を通して見るとノリはいいものの情緒不足や平板ぶりが悔やまれる楽曲がかなり多く、最終的に少し食いたりない印象のほうが勝ってしまい残念。
V.A.

オリジナル版懐かしの特撮ヒーロー大全1 1958〜1967

CD 東芝 TOCT8791  特撮ものの主題歌集。「海底人8823」目当て。「恐怖のミイラ」のテーマがえらいかっこよかった。既聴だが「悪魔くん」の「呪文」の異常なおどろおどろしさと「主題歌」の異常な能天気さの落差はいつ聞いても楽しい。なんだか馴染みに馴染んだ「忍者マーチ」(大学のとき再放送してたのよ。)は和む。「アラーの使者」「ナショナルキッド」など聞きたい曲が一気に聴けてよかった。それにしてもこう並べるとウルトラQとマグマ大使の革新性に驚かされる。「豹の目」「ハリマオ」「怪獣マリンコング」とかも聞きたい。
李博士

李博士の2002年宇宙の旅

CD キューンソニー KSCP925  昔出た奴の再発。その後韓国で人気出たって書いてあるがほんとか?若者には知ってる人の方が稀だろ、この人の場合。鏡五郎あたりがアメリカで有名になったようなものなのに・・・。
 相変わらずテンションの高いこと。感動的だ。ただ、ちゃんとしたミュージシャンがかっきりとバックをつけているせいか、はたまた作編曲者が糞なのか、あまり演奏にポンチャックの本質が感じられなかったのが残念。ただしご本人作の「ビバビバ李博士」のパートは文句なくかっこいい楽曲だし、「アリラン」のパートはポンチャックの第一人者としての意地が大爆発しており、痛快でものすごく面白かった。返す返すもトップ曲、そして前述の二つのパートの繋ぎに出てくる「アイ・ラヴ・サッカー」のお粗末さが残念。まずまず。
おやじGALS

今夜はオ・イェー

CDS キング KIDS29  フクダさん、見つけました。ジャズ風に始まるが本編は中道の80年代後期歌謡。いかにも当時のギャルという感じの声とノリだがかなり歌うまいよ、彼女たち。まあ、普通。カップリングは「セクシーバスストップ」を思わせる和風ダンス曲。これも中庸だがこの手のグループとしては異常に上手いボーカルが却って邪魔な程。どっちかというとこっちの方が出来がいい。
新谷のり子

さよならの総括

EP コロムビア CD44  タイトルで買った。けど中身はぜんぜん駄目なフォーク。微妙に音が外れてるのが気になる。山上路夫の詩は似た内容の「昭和ブルース」に比べ突っ込みが甘くて残念。B面は穏やかながらも絶望感が被うスタンダード・フォーク調の佳曲だが新谷の表現力の無さがすべてをぶち壊し。椎名林檎あたりが片手間にやったら似合いそうな歌。

14.6.25 今日何気に見たこともないブルコメ「ポピュラーヒット25年史」のフル収録CDを発見したが金がなくて買えなかった。これ、結構事件なのでは。

伊丹十三ほか

伊丹十三です。みんなでカンツォーネを聴きながらスパゲッティを食べよう。

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1046  タイトルが長い。故伊丹十三が高梨木聖という女優(この人知らない)を相手にスパゲッティについての薀蓄を傾け、合間合間にアルマンド・ロメオなる歌手による歌でつないでいくスタイルのエッセイレコード。結構洒脱なトークと隙だらけでまるでジローラモが歌っているような感じだがぎりぎり味があるいかにも伊太利亜チックな歌があいまって70年代の都会のサロンを思わせる雰囲気がある。が、はっきりいって苦手な音である。
トーマス・オマリーほか

オマリーのダイナミック・イングリッシュ〜オマリーの六甲おろし〜

CD ポリスター PSCR5307  まるめろさん、本気で買ってしまいました。
 全編、とにかく痛い。何と言うか本当にコアな阪神と名がつけば何でもいいというような人向けのCDである。しかし、ただ一つこれを単なる駄盤になるのを防いでいるのは有名な「オマリーの六甲おろし」だ。どこまでもどこまでもあらぬ方向へ暴走する。企画性が芸術的完成度を遥かに凌ぐ。まさに「奇跡的な」「奇」盤である。
V.A.

東京ボサノヴァ・ラウンジ

CD テイチク TECN25800  まるめろさん、こっちも買いました。
 本格的なジャズ奏者によるものから企画的側面が強い歌謡ものまで、一見アプローチがかなり異なる和製ボッサノーヴァ集だが、かなり音がまとまっており、見事な統一性がある。おとなしめの楽曲が多いが森山良子、松本浩が特にフィットした。そんな中ただひとつ大橋巨泉「こりゃまたみなさん百面相」のコーラスの使い方が全く違い、異色を放っており、さすが筒美京平と唸らされた。
V.A.

喫茶ロック エキスポ アンド ソフトロック編

CD 東芝 TOCT10787  はっぴいえんどに代表される喫茶ロックはいけ好かないが、これだけは別。シリーズの他の盤にある吹っ切れなさというか精気のなさがあまり出てこないのでいい。はっぴいえんどがいなければ(というか変な奉られ方をされなければ)日本の大衆音楽はまったく違った良質のものになっていただろうにと思えて残念。
 はっきり言って初CD化が少なく、事実上ソフトロックドライヴィンの抽出盤みたいな感じになっている。豪勢なホーンセクションとグルーヴィーなリズムに支えられたスウィートで華麗なコーラスをフィーチャーした作品や穏やかなピアノを主戦にした煌びやかな楽曲が並ぶ。これという強烈な楽曲はないが高レベルで粒がそろっている。喫茶店のBGMで流れてたらそれはそれで嫌だが(選者たちもそういう気ではないみたいだが)寛ぐ時にはいいかもしれない。頭と終わりのエキスポ関係の楽団ものを聞くと最近のイベントもののテーマ等の貧弱さが悔しくて堪らない。「地球の夜明け」のよさを改めて認識。各社音源共存。
大杉久美子

はみがきの歌

EP コロムビア SCS569  もと環ルナ。ほんとは大場久美子と間違えたんだが。マーチ。小学校作品ってどういうことなんだかよく判らないが素人的な歌を元気な編曲が救っている。B面も同じような印象のマーチだがなんとキダタロー作品。汎用のため友達の名前で歌えるためにとそこだけボーカル抜き。突き抜けるようなやさしさを感じるのは流石だが取り立ててどうということもない小品。
三宅てる乃

着物をハイ着ましょう

EP 大阪ローオン RAB110  有名レコード。線の細いというか不安定で抑揚のないボーカルが着物の着付けをレクチャーするハウ・ツー歌謡。ストリングスがまったりとしている。「いちにいさんしい」というさびに情緒がある。振り付けならぬ着付けのカード入り。B面はテンポの速い流麗なワルツ。メリハリのないだらだらとした歌唱で帯の留め方をレクチャー。このバックは結構かっこよかったりする。なんだかわからないが心に引っかかるレコード。よし。

14.6.21 MD3枚を頂く。

14.6.10 バンド練習の帰りに

宮村優子

スペースケンカ番長

CD ビクター VICL23118  声優・宮村優子が平成8年に出したオリジナル曲で固めた事実上のマキシ。架空の特撮やアニメの主題歌集。相変わらずぐだぐだなボーカルだが大場久美子ほどではないのでマイナスのイメージしか出てこない。
 本人作詞の「戦えグレートガッツファイター」が豪い歌だと風の噂に聞いていたが、それほどでもなかった。田中公平は当たり外れが大きい作家というイメージが俺の中では強い。何というか音の使い方のレンチが結構狭くて曲それ自体の出来不出来がそのまま完成品に出てしまうのだな。正直ともいうのだが。続く「電工合体レゴーマー」は大槻ケンヂ作詞(田中公平作曲)で本人も合いの手で参加しているのだが、嬉しそうにレコーディングに参加している光景が浮かんで微笑ましい。次の「ダークシャドウのうた」は哀川翔作詞。何故?
 全体的に見るとコンセプト的には成功しているが特に突出している歌もなく、こじんまりとした可もなく不可もない歌が並びのっぺりとした印象で、どうにも薄い。詩も「あなたの窓辺に」の呪文が馬鹿馬鹿しい位で印象に残らず。但し台詞回しは流石に本職。後半はカラオケ。
篠原ともえ

スーパーモデル

CD ソニー KSC2158  転売できなそうなぐらい、ぼろぼろ。300円。電気グルーヴの面々を中心に近田春夫、中シゲヲ、森若香織、濱田マリ、中原昌也など妙に豪華なのか渋いのかよくわからない面々が作品を提供している。特に思い入れもないけど懐かしものの範疇。内容は強烈に電気グルーヴの影響下にある打ち込みもの。但し「レインボー・ララ・ルー」ははじめこそ打ち込みものだが途中からはいかにもサーフコースターズらしい白熱した演奏になるので異色。「サーフィンバード」の引用あり。個人的には「クレクレタコラ」のカバーが気になっていたが、まあこんなもんだろうという出来。歌詞カードの最後の方に付いてる漫画が妙にブラックで嫌。なんだか具を入れすぎた水炊てな感じのボリュームばかりで味のないような、そんな物足りない印象を受けた。
ハピー+DJよっしー

ボディ・ランゲージ

CD ポリドール UPCZ5001  知らんなぁ。おまけでもらった。20世紀末のクラブイベントとかで展開を試みたグループみたい。
 当然小室サウンドを意識してるようだが出てきたもんは初期のC.C.ガールズあたりのようなどうにも今ひとつ時代遅れなじめっとした楽曲。現時点から見ると(当時から見てもだろうが)赤面もの。もっとも小西貴雄の編曲なのでモーニング娘。のパチものにも聞こえる。B級ユーロ歌謡はなんか大したことをしているような感じで歌ってるのが多く、独特の退廃感があっていい。カップリングはパルティのCMソングだった奴で探してた曲。意外なところで救出してびっくりしたが、CMのバージョンのほうが全然よかったのでがっくり。まあ、明らかにやけくそで歌っててイカスので許す。アネッサのCMソングも欲しいんだがないかな。

14.6.1バンド初練習記念

プティ・マミ

ガールフレンド・・・ベビードール

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1047  「ゴジラ対ヘドラ」で有名な、つーか普通は「サインはV」で有名な麻里圭子がポップス歌手からお色気歌手に路線変更するころに変名で出したアルバムの復刻。英断。
 GS時代の名残がメロや編曲に残る、チェンバロがもの悲しげなバックトラックに笑い声や語りなどを被せた、いわゆる「ためいきもの」レコード。B面は一連の組曲になっている。全部聞くと結構散漫な印象も受ける。基本的には一つ一つは聞き流しできる軽い曲で手軽だが40分近く聞いてると結構ボリュームがあり、なんだか風呂桶いっぱいのプリンとかざるそばを食ってるような感じに襲われた。俺がお色気が苦手ということを差し引けばまずまず。
ミッキー・カーチス

土曜はミッキーと

CD Pヴァイン PCD1568  ロッカビリー三人男の一角のライヴ盤にビクターでのロカビリー時代の全シングルをつけたもの。
 いろいろな曲が俺の上を通り過ぎたが、洋楽で二番目に聞いて涙が止まらなかったのがポールアンカの「君は我が運命」だった。世の中にこんな凄い曲があったのかと愕然とした。しかし、その時は誰のなんという曲かという事を聞き逃したため、あやふやな曲名だけを頼りに大宮のソフマップとかを彷徨ったが残念ながらわからなかった。その後次第にこの歌について知るようになり、この曲もポールアンカのベストではあるが入手できた。ついでに最初はアバの「マネー」でこれも同じ様な経緯があった。しかし、アバにしろポールアンカにしろ、ドラマの主題歌として改めて連日テレビで流されるようになるとちょっと気恥ずかしい。ちなみに「クレイジーラブ」でも涙した。(他は別に。)
 その「君は我が運命」の日本語カバーで始まるライブでは全体的に穏やかな、或いは冷め切ったアイビーファイブの演奏を従えて洒脱に歌う全盛期の余裕ぶりが伺える。ピアノが当時のほかのバンドより目立っているがその辺にジャズ志向が伺えて面白い。この路線は「あなたを愛して」で最も強い。僅かに当時としては大作「のっぽのサリー」に熱さがあるが、それもジャズの方を向いている。しかしこのころのライブ盤ってどれも妙に静かで客入ってなさそうに感じる。(実際はそんなに多くないとしても今みたいに騒ぐ人がいなかっただけだろうが。)シングルも激しい曲があるわけではなく、今でいうポップスばかりなのも彼ららしい。ミッキー本人による訳詞が多いのも注目される。手前。
スモール・フェイセス

スモール・フェイセス+5

CD ポリグラム POCD1946  英国モッドを背負ったバンドのファーストに仏蘭西盤シングル曲をつけたもの。どのパートもごつごつしていながら流れるような荒々しい演奏であり、ただただ勢いに圧倒される。ハモンドオルガンをはじめ演奏全体もボーカルも瑞々しい。特にドラムの音の隙間にはくらくらするところがある。一方極端にどうかなっている曲がなく上品ささがあり、それが一種の物足りなさにも通じている。またテンションが基本的に高めではあるが一本調子の嫌いがあり、曲一個一個の個性が埋没しているような印象も受けた。自分にはリフだけで出来た様なインストの「オウン・アップ・タイム」が一番良かった。そんなに。それにしてもモッドとガレージとグランジの区別が全然つかん。
セックス・マシンガンズ

バーニング・ハンマー

CD 東芝 TOCT24658  日本を代表するコミックメタルバンドのライヴ盤にして一通り人の家で聞かせてもらった中では最高傑作。名曲「みかんのうた」収録。コミックバンドをするには少なくとも一流の演奏力が必要だが、このバンドにはその資格あり。まさに全盛期のなんだかわからない凄みがある。ピロピロ唸るギターには普段メタルを聞かない人間(俺だ)でもメタルの面白さの骨頂に触れたような気にさせられる。前半はその面白みもあってなかなか好調に聞けたのだが後半はちょいと聞き疲れた。あまり。
BCG

ハードコア

CD アルファ ALCA493  何故か幻の名盤解放同盟関係のイベントに出たこともあるボディコン・ギャルズのファースト。嬉しくなる位想像通りのジュリアナもの。まあ、これで浪曲とかやられててもいやだが。微妙に下手なのがまたそれらしくてよい。
 「THIS IS THE JOY」は作詞作曲小室哲哉だが日本語詞・苦楽健人とのクレジット。・・・ちょっと待て。ということは小室が書いたのは英語詞か。「ホワットイズラブ?」と「ジス・イズ・ザ・ジョイ!」の繰り返ししかないぞ。ほかの歌ではポケベルといまやまったく意味のないそれに数字でメッセージを送ることについて歌われたりして、往時を偲べる。それにしても結局こんだけ居て残ったのはスイレイただ一人。そのスイレイももはやいない。まさに時代の仇花。だめ。
ダディ竹千代&東京おとぼけCATS

伊賀の影丸

CD ワーナー WMC8  ダディ竹千代こと作詞家加治木剛率いる職人コミックバンドが平成4年に出したアルバム。イントロコントのあとハードロック調の「サギサギブギウギ」で幕を開ける。その後はジャズ・ファンクとハードロックを基調として幅のあるアレンジでコミックソングを中心に奏でるが、全盛期に比べ、狂気があまり感じられない。ボーカルに張りがないのもあるが笑いセンス自体が流石に苦しくなってきている。むしろ脱力系。ただ演奏それ自体は円熟しているし、なによりライヴこそに真骨頂があったバンドだけにステージを見てみたい欲求が募る。演奏のということでいけばきらりと光るインスト曲「ソウルが透」が本領発揮のかっこよさ。馬鹿馬鹿しくてよいタイトルだ。(ちなみにドラムはそうる透。)ラストみたいなもんの「人形の家」を髣髴とさせるラテン歌謡「こたつ」に僅かに全盛期の勢いを感じる。表4ははっぴいえんどを意識してるのか?(多分違う。)スウィンギン・バッパーズと対バンのステージとか見てみたい。あまり。
未来万紀&チープ広石

天使の誘惑

CDS コロムビア NSDA6  スカパーのアニメのオープニングテーマらしい。知らんわ、そんなん。もちろんあの黛ジュンのレコ大受賞曲のカバーとジャニーズほかによるハマクラメロディーのカバー。何で両面とも他社の曲なのよ。打ち込みビートはいいとしても、魅力のない男性ボーカルが入ってくるわ、金のかかっていない曲を殺したアレンジだわでがっかり。音それ自体や微妙な女性ボーカルはまずまずなだけに惜しい。B面はファンクの方を向いていてそんなにひどいものではないが、この人にはメロディーが難しすぎた。両面とも決定的な要素はないが、どうも食指が伸びない。二度目は聞かないかも。
OYAJI組

糸満海人

CDS クラウン CRDW3140  中年三兄弟による歌謡グループ。何やってる人たちなのかわからん。本当に歌手なのかしら。というか本当に兄弟なのかも顔見てると怪しい。
 シンセサイザー主戦のド演歌。各々が勝手に歌い上げて大変。二番でソロを採る三男は歌がうまいが他はボロボロ。ただ曲は結構いい。沖縄ものなのにあまり事象が織り込まれてなかったりしてその特性がうまく生かされていないのが残念。B面はコミックソングなのだが、ここでも好き勝手(じゃなくハーモニーを一応つけてるけど、そうとしか聞こえない。)にいい気になって歌ってるおっさん三人が脳内にフラッシュバックして気が散る。妙なベース音も気になる。まずまず。

(追記・調べたらどうも単なるユニットらしい。「長男」は演歌マニアのアメリカ人で「三男」は茨城出身のシャンソン歌手らしい。通りで。)

北神田三郎

涙の停車場

CDS ポニーキャニオン PCDA00362  ヒット曲。神田利則の変名でトップは内村光良とのデュエット曲。ピチカートファイブ関連。
 ファルセットを駆使した哀愁の北方系ポップ歌謡。楽曲としての完成度が恐ろしく高いが、ポップスでも演歌でもないのが味噌で、いわゆるムードコーラス曲の系統。特に独特の軽さの再現が見事。リードを取る内村の歌唱が素晴らしい。青春の微熱を感じる。(そんな年でもないけど。)パロディもここまでいけば立派。カップリングはコモエスタ八重樫作曲だが食い足りない現代的解釈によるラテン歌謡。もっともこれは明らかに歌手に主要な原因があるので、責を負わせるのはかわいそうなのだが。
フェア・チャイルド

スキスキ有頂天国

CDS ポニーキャニオン PCDA00245  タイトルからして売らんかなだが、根にテクノがあるとろめのポップロックで特に何ということもないどうでもいい歌。カップリングは詩が短いのでパンクかと思ったら単なるスカ流れのポップスだった。面白くも何ともない。ジャケットのYOUが今とは別人のように見える、それぐらい。
渡辺要

ごんたの海

CDS バンダイ APDA213  犬かと思ったら違った。もず唱平作詞のド演歌。亡き父と形見のごんた丸なる船に郷愁に乗せて歌う。一番は頭韻を踏んでていい感じだがどんどん退行。結局この主人公は家業を継いだのか別に何もしなかったのかどっちにしたんだ。カップリングは軽い音頭調の人生応援歌。どうということもなし。ジャケは喜ぶ人いるかも。
村治崇光

風の浮橋

CDS ビクター VZDG10003  いわゆる学芸部もの。舞踊曲。作詞者の名前が気になる。
 もっと和風なのかと思ったが、尺八と鼓が申し訳程度で入っている程度のシンセとエレキギターが前に出たビートが強いアダルトポップス。にもかかわらず粘着質なボーカルはどう聞いても詩吟流れでとってもミスマッチ。自作なのに何故こんなことに。意外にエレキのフレーズがかっこいい。カップリングはさらにバラード色が強くなった同路線の楽曲だが、能楽の要素が入る上琵琶が被さってさらに混沌。転調のところが割りにいい。どちらも未完成な印象で押しが弱いことは否めないが、なんだかわからない得体の知れないエネルギーが充満している。師匠がこんな無体な曲で踊るんなら弟子も踊らないわけにはいかない。手前。・・・今気がついたがこのひと元ザ家元のボーカルの将軍崇光だな。
夜叉

ワン・モア・チャンス

CDS バンダイ BKDA0006  バンドではなく中堅の女性演歌歌手。
 ハードロック調の歪んだギターから始まる適度に演歌が混じった葛城ユキみたいな歌。キャッチーなホーンアレンジからなにから80年代中盤のポップより歌謡曲のアレンジそのもの。むちゃくちゃ退廃的だが一方でキャッチーという微妙なバランスが心地いい。間奏では一瞬だがメタルばりのギタープレイも聞ける。作詞作曲は石坂まさを。実はこの人すごいんじゃないかと最近思うようになってきた。演歌の縮小期にぶち当たらなければ小室哲哉と並び称せられたかもしれない。文句なく、合格。カップリングはジャズ流れだが薄っぺらいいかにも今っぽい演奏が残念。この人、大西ユカリほどじゃないが歌上手いよ。
 やっぱり平成8年の歌謡曲には何かある。
藤崎詩織

もう一度キスしよう

CDS キング KIDA7641  ご存知、ときメモ。夢から覚めた男が手放したのだろうか。80円。しかも380円のシールも貼ってあった。二度も・・・。何故かサンプラザ中野作詞。普通の女の子が聞いてそうな優しいJpop。ニューミュージックの後胤。歌唱力は結構あるが、曲がそんな感じなので俺は特に。カップリングは80年代のNHKのアニメのエンディングっぽいアーティストによるJpopの王道という感じの歌。こういう歌を一般の歌謡曲に応用して力入れてれば今みたいなアニメ一辺倒な会社にならなかったのでは。まあ、今みたいな状況もこれはこれでいいけど。
ザ・サニー・ファイブ

太陽のジュディ

EP ビクター VP3  俺はあの三バンドの中では一番好きだが世間的には偉大なる大外れ。発売段階でのGSのフォーク/歌謡曲的側面の拡大視という切り口は斬新だったが、そのそれぞれ「道」においてのダイナマイツ(ビート/R&B)やモップス(サイケデリック)の極め方についていかなかったのが無念。
 B面だけ。何というか一年遅かった青春歌謡という感じの歌。ドラム以外バンド的なグルーヴが全く感じられない。ただ、初めからそういうもんだと思って聞くと沈鬱でいかにもいずみたく作品らしいフォーク的な面が垣間見えてまずまず。
村田英雄

マイト野郎

EP 東芝 TP17756  芸能生活五十周年記念盤でこのタイトルですか。レコードを5枚買うとカートンボックスが貰えたらしいが、どうやら記念盤が5種類出たらしい。なぜか英語題あり。
 A面「マイト野郎」は曲は普通の演歌だが一番の詩がいい。「ダイナマイトにぞっこん惚れた発破野郎は気が荒い」とか「おだぶつだ」とか「夢が火を噴く導火線」とか味のあるフレーズがずらり。もっともそのあとは普通なのだが。つくづく曲の凡庸さが残念。B面は輪をかけて凡庸な演歌で特になし。

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