これ買いました15年8月

V.A/バンザイ・フリーク・ビート

海外からの評価云々というよりこれでしか聴けないから買わざるを得ない。


15.8.25 マジに金がねぇ。手持ちが六十二円しかねぇ。

ノーヴォ

ノーヴォ・コンプリート

CD キング KICS1019  最近のキングはアニメ以外の全て音楽を潰そうとしているとしか思えなかったが、ちゃんと良心が残っていたのかと感動、どころかお釣りが来た。かつて「ソフトロック・ドライヴィン」で一部がCD化され、少なくとも俺の度肝を抜いたボサノバグループの未発表音源を含む奇跡的な音源集。コンプリートとは実はウソとはいえ、最近こればっかりだが、とにかくこれも凄い。洋楽の本格派しか認めないという人へも日本のグループを舐めちゃいけないということをまざまざと見せつけることになるだろう。ジャズ由来の流れるようなピアノとドラム/パーカッションに溌剌としたベースがからみ透明で爆裂的なサウンドメイクがとにかく素晴らしく、そこに乗っかるさり気ないボーカルも驚異の出来。お洒落という言葉はこのサウンドを表す為にあるのではないかという気がするくらいだ。真にメンバーで、作・編曲を担当する横倉裕のセンスの良さには脱帽の一言。高いレベルで安定した曲しかないが、その中でもカバーの「風のささやき」は静と動のコントラストの強調が見事に成功している。まことに現在のクラブ系で好まれそうな音で本当に昭和40年代という時代の奥深さは底がない。こういうをオーパーツ的な歌謡曲を聴く度に楽曲のよさと、売り上げの無関係さを思い知らされる。英語、日本語は気にしない方だが英語の曲の方が比較的出来がいいという印象を受けた。お勧めする。

15.8.24 今月は久し振りに病気的な買い方。

V.A.

ザ・ワールド・アイント・ラウンド、イッツ・スクエア

CD ティーンエイジ・シャウト・ダウン TS6610  英オリジナル・フリーク・ビート・コンピ。サヴェージズとか。この頃にもモッズとかディスティニーズ・チルドレンなんて名前の奴がいるのが笑える。「ガレージ・パンク」に依れば「バックフロムザグレイヴ」シリーズの後継シリーズのその中で最高の出来のコンピとのこと。基本的にはスカスカなパンクバラードものもあったが、トリンプス「ラヴィン・キャップ」やディーペスト・ブルー「プリティ・リトル・シング」のような勢いまかせの曲もあり、なにしろ闇雲な曲が多くて、フリークビートは結構きっちりした曲ばかりで故にあまり自分が聞くものはないという偏見が崩れて良かった。どうして今のガレージパンクバンドはこの闇雲さを持つバンドというものが殆どないのかしら。なお、上の書に依れば一押しのサヴェージズの表題曲は俺にはそこまでピンとはこなかったが、なかなか感情剥き出しで切り込んでくるワイルドな小品。こういうのを聴いていて思うのは結局安いオルガンと先走るドラムこそ俺にとってのガレージの「音」だということ。どうでもいいが、最初うちのプレーヤーで聴けなくて困ったが三日おいたら普通に聴けた。何故。なかなか面白い盤でした。
V.A.

クワグマイア#1

CD ファイネスト・アワー q1001  米オリジナルマイナーガレージパンク集。どちらかと言えばしみったれた曲を集めた、ワイルドじゃないガレージの方が好きな人向け。のっけのベートーベン・フォー「ドント・コール・オン・ミー」のへなへなぶりからして素晴らしい。またクラシックス「ミーン・ウーマン」が特にしみったれてて良かった。こういう音のバンドをやりたかったのだが、今までに会った人間で完全に趣旨を理解してくれた人間はたったのひとりしかいない、というか、こういうの聴かせても、比較的理解してくれそうだなという人に聴かせても鼻で笑われるばかりで未だにトラウマ。世の中にはエアロスミスやミスタービッグが肌に合わなくて、音がしょぼければしょぼいほどロックを感じる人間がいるということも少しは意識してくれ。

15.8.22 本格的に金がねぇ。

V.A.

お座敷・宴会ソング

6CD コロムビア・ファミリー GES31239〜31244  市丸の一連のリズムものがまとめて聴けるので購入。「野球けん」もオリジナルは初めて聴くんだよな。幻の大歌手神楽坂浮子の音源もある程度纏って聴けたので有り難いと言えば有り難いのだが、むやみに再録音音源を使用していたり、再録音と原録音を平気で並べてあって調和というものが全く考えられていないのが残念。また、お座敷ものでも何でもないマヒナスターズのリズムものを強引に入れたりして、一体お座敷・宴会ソングの定義をどのように考えておるのかさっぱり解らない。マヒナ以外も神楽坂かおるの「ディスコ芸者」をお座敷ものだとする根拠を聴かせて貰おうじゃないの。あと、何だかんだというものの伝統的な端唄とか小唄とかはばっさりカットされ芸者によるリズム歌謡がやたらに多いのもどうなのという感じ。とはいうものの初めて聴いた音源が非常に多くそれなりに満足。特に神楽坂はん子と古賀政男による再録音の「モチのロン」の出来はピカイチ。これからの歌謡モードは芸者ものだ。(←おいおい。)

15.8.21 タトゥーの新曲、純歌謡としては結構面白いな。

浅丘ルリ子

60’sレコーディング・マスターズ

2CD テイチク TECN38917〜8  エイベックスの新人みたいなブルージーなジャケット。誉め言葉なのだが反発されるやろか。内容は昭和30年代の女性歌謡曲歌手としては極々中庸。この時期のテイチクの低迷ぶりというか今ひとつ地味なイメージがそのまま曲に現れている。この辺は門外漢にはお勧めしない。ところがディスク2の後半、「水色の季節」からあとはボサノバ曲を中心になかなか面白い曲が並んでおり、会社自体がカルト化していった事実が如実に音に反映して現れている。時にボサノバが女性の気だるさの代弁を果たす可能性が示されたとき、その恩恵を最も受けたのがこの人だったのではないかとも思う。繰り返すが、この最後の11曲はかなりよい。
寺内タケシとブルー・ジーンズ

エレキ天国〜アーリー・タイムス1964−1965

CD テイチク TECN38916  初CD化曲数を間違えてないのは流石エレキ帝国テイチク。何だか誤植が多いけどそれは目を瞑ろう。これでテイチクにおけるブルージーンズのインストものは全部目出度くCD化したことに。初めて聴いた訳ではないが、「夜霧のブルース」ではまるで「ブラックナイト」のようなリフが飛び出し(当然こちらの方が古い)その嗅覚の鋭さに感心。他にビートルズの日本におけるデビュー曲である「マイ・ボニー」、インドロックの名曲「心のときめき」の両カバーは初めて聴いたのだが、共にこの時期のテリーさん独特のヤケクソのような弾き倒しが楽しめた。特に前者は快調に飛ばしていて、このバンドの剥き出しの地が出ているような気がする。やっぱり、テリー、最高。
坂本スミ子

おスミのラテンヒッツ

CD テイチク TECN38919  はっきり言って「夢で逢いましょう」以外殆ど省みられることのなかったテイチクの誇るラテンの名手・坂本スミ子のラテン曲カバー集。叩付けるような強烈な切り口の力強い歌声が強烈で圧倒される。ただし、全体としては自分にはもう一つもの足りず。テイチク〜フィリップス時代のオリジナル曲集や当時出たアルバムをそのまま出して欲しい。
V.A.

琉球レアグルーヴ

CD ポリスター MTCH1056  声を大にしてお勧め。琉球版「ジャパニーズ70’sボム」というか沖縄版「アジアン・テイカウェイズ」。マレーや台湾のガレージサウンドを思わせる、チープなオルガン・ビートに乗って何とも言えず良くだらけたコーラスが心地よい屋良ファミリーズの「白浜ブルース」でいきなりノックアウト。続いて同じく屋良ファミリーズによるとにかく聴いてくださいとしか言えない素晴らしく良くぶっ壊れた「ゴーゴーチンボーラー」も凄い。間違いなく日本最高のガレージ曲の一つ。沖縄版ダークダックスとおぼしきホップトーンズの代表曲らしい「ヘイ二才たー」も同時期の本土の本格派ポップコーラスグループと同じ手触り、かつ、拮抗するコーラス能力の高さだけでもくらくらするのにその上で沖縄口で陽気に歌いあげ、自分の壷のストライクに決まった。ラストを飾る「東京のバラッド」はバンジョーの弾き倒しが息もつかせぬグルーヴ形成しているが、形成しすぎてボーカルを邪魔してるのが凄い。いきなり本格派琉球民謡はきつかったので、この辺から挑戦してみようという軽い気持ちだったがもの凄い拾いものだった。ジャケットには「・・・音楽好き沖縄好きの人達を楽しませてくれることでしょう・・・」とあるが、とんでもない、はっきりいって、沖縄云々関係なく音楽好きは一度聴いてみる価値があると思う。こういうどうも琉球音楽はと思っていた自分が思わずもっと琉球音楽を聴いてみたくなって今日CDとかを何種類か注文してしまった。(入ってこないかも知れないが。)解説が全然ないのは不満だが、ハイパノラミックス・シリーズの続編みたいなもんなので敢て何にもいわない。

15.8.20 家に帰れなくてもCDは買える不思議。

佐藤千夜子

昭和を飾った名歌手たち1 東京行進曲

CD ビクター VICL60326  よく考えたら「行進曲」こそ最初のニューリズムだな。それにしても昭和最初期の歌手は何でこうパンクみたいな生き方の人が多いのか。藤原義江が赤盤歌手(世界的名歌手扱い)でこの人が通常盤歌手というのは、こう聴けばそのまま納得できる。あまり上手くないということで定評が出来ている歌謡曲の神様・二村定一と比較してみると技術はこちらの方が上だろうが歌唱自体の魅力は今ひとつなく、四家文子と比べては最早可愛そうなくらいだ。漫然とした曲が多いが、その中では所謂ねぇ小唄の走りである「愛して頂戴」は異質で耳目を引いた。あとこの人の曲という印象が非常に薄い曲が多いのも致命的。例えば「さすらいの唄」や「ゴンドラの唄」は今尚歌い継がれている名曲中の名曲だが、どちらも佐藤千夜子のというのではなく、前者は流行歌の、後者は黒沢映画での志村喬の唄ということで認識している人が多いはず。というかそもそも松井須磨子のカバーなのだが。「影を慕いて」も今や佐藤のではなく藤山一郎のというイメージのはず。「唐人お吉」や「この太陽」も藤本二三吉の方が有名だし。なお、コーネリアスだったと思うが「紅屋の娘」のピアノリフをそのまま持ってきた曲があったはず(偶然かも知らんが。)。まあ、こんなものだろう。それはそうと、時雨音羽の詞はいい詞が多いな。

15.8.18 何でガリ版の作り方の夢なんか見たのか。しかもちゃんとオチ付いてるし。

石野卓球

アンナ〜レットミーイン・レットミーアウト

マキシ キューンソニー KSC2279  有名だがジャケットが「カラテガール」のひとの絵。疑似復古テクノ・インスト。無機質でどこまでも続くループにテクノの本質を感じる。アクセント的なメロディー部分も未来を感じさせる。と言うことは即ちテクノものとして大成功と言うことだ。NOVAうさぎも思い切ってアレンジをこの人に頼めば歌謡史に残る最強の曲になったろうに残念だ。と言うことでこの曲はグッド。

15.8.15 本当は九月一日なんだけどね、負けたの。

大津美子

SP原盤再録による大津美子ヒットアルバム

CD キング KICX3117  再評価されないなぁ。青山ミチが再評価されるならこの人もいけそうだが。ロック的な黒っぽさが皆無という点は致命的か。マンボのリズムに乗った「東京アンナ」と珠玉の名バラード「ここに幸あり」の両ヒットが象徴しているが硬軟取り合わせて行けるキング全盛期のアイドルのベスト。もっとも、基本的には如何にもキングレコード伝統の純歌謡という感じの毒にも薬にもならない曲の方が多いが。それでも、「いのちの限り」という魂の一曲は必聴のこと。他には「流れのジプシー娘」が聞き物。それにしても、アイヌものっていうと何でこのリズムになるんだろう。そら、こんだけやられりゃ怒るわな。
V.A.

バンザイ・フリーク・ビート

CD パチンコ LUCKY777CD  「ロックンロール・エイズ」に行ったら売ってた。豪製海賊盤GSコンピ。3曲も正規盤未CD化曲がある。聞いたことないのバニーズ「悪魔のベビー」のライヴバージョンだけだったけど、こりゃ凄い。流石バニーズ。とにかくワイルド。これ収録曲の殆どをちゃんとレコード起こししてるらしいのが結構凄い。
V.A.

ワールドビーターズ

CD クレージーワールド KW001  トランス・ワールド・ガレージもの。大洋州、北欧、英、仏、希、西、南米、カナダなどのバンドの曲を収録。日本のものではアウトキャスト「電話でいいから」とゴールデンカップス「ジス・バッド・ガール」を収録。スペイン、イタリーのバンドがラテン系言語と日本語の発音の近さもあってなかなかぐっと来た。ロック不毛の地と称される(レ・フィンガーズとかミッシェル・ポルナレフとかいるけどさ)フランスのバンド、とりわけプログレムスが意外に格好いいのが発見。ずっと聞きたかったけど手を出せなかったスイスのダイナマイツも聴けて満足。
V.A.

ワールドビーターズ2

CD クレージーワールド KW002  同上。トーゲスから始まる。↑と同傾向の楽曲が並ぶ。ビートがしっかりしてるのにフィルインがメタメタというドラムが自分がそうなこともあってなんか愛らしく感じる。こちらはバニーズ「太陽野郎」収録。そういやバニーズの海外製海賊盤って出そうで出ないな。モップスはあるのに。ちなみにレーベル面にもバニーズが使われている。格好いいぜバニーズ。
カプセル

キャンディー・キューティー

マキシ ヤマハ YCDW00013  これもプロモの出来が良かったので。ピチカートファイブチックなテクノ歌謡。詩から何から本家を踏襲した良くできたポップな佳曲。あと少し豊饒さがあれば本家を越えたかも。ただし、ジューシィ・フルーツ「ジェニーはご機嫌ななめ」に通じるボーカルの淡さは、こっちの方が個人的には好きかも。もっとも本家に安定した永続感があったのに比べ、こちらはこれだけで終わりそうな空気が漂っているのが気になるが。(と書いたが、次に出した曲も買うまでは行かなかったがまずまず良くできた曲だったので、どえらいところまで打ち上がるかも。)カップリング曲には特に書くことなし。トップ曲の別ミックスもピチっぽいのとC&W風のやつ。リミックスでC&W風にするのは珍しい。
スナッピーズ

あー夏休み

マキシ ポニーキャニオン PCCA70050  フジテレビに洗脳されてしまった。もちろんチューブのカバー。ホワイトタイガース「狙い撃ち」に通ずる非力なのに強気なアイドルもの。構造的には同じか。年齢のわりにませた声で意外に技術的に高いところがあるが、えらいボーカルを含め曲全体が引っ込んでいるのは録音技師の怠慢か。・・・改めて聴いてみると無茶な詩だな、この曲。カップリングのリミックスバージョンは保守的というか無難で攻撃的な意味合いを全く感じない。それより何よりボーカルを聞き分けるのに一苦労。彼らののりは嫌いではないが、余程のことがなければ大成しなさそうだな。
デカモニ。

大きな私の小さな恋

マキシ ゼティマ SPTK0014  ちなみに大林素子のこと。つんくのセンチメンタルでダメな方の面が強く出た今風の中道アイドルポップス。ダメと言っても手堅すぎて破綻していないため面白みがなく、また、売れ線からも外れてるということでほんとにダメと言うことではないのだが。クラブ風の編曲はまあいいが、よく聞くと何気に「ハッスル」を引用している。それでどうだということもないけど。唄自体は意外にも結構しっかりしているが、ちょっと引っ込んでいるのが惜しい。カップリングは「ミニモニ。ジャンケンぴょん」のカバーだが、理知的に考えすぎて、オリジナルのもつ何も考えていない気狂いな魅力を損なっている。しかし、オケはおそらくそのまま使用しているものと思われるし、つんくと言う人はおそらく自分でもどういうことが自分の作品の壷なのかよくわからないまま曲を作っているというか、モーニング娘。が凄すぎるというか、まあ、そういうもんだと思われる。

15.8.5 紅い仮面は謎の人。ご冥福をお祈りする。今更だが。

藤原義江

我等のテナー

3CD ビクター VICC40084〜86  「我等のテナー」と謳われた日本を代表する声楽家、藤原義江の大集成盤。今のクラシックファンの目から見てどうかは関知することではないが、自分にとっては二村先生や市丸らと並んで昭和初期を代表する歌謡曲スターというイメージがとにかく強い。クラシック・ミーツ・ジャズのイメージがあったが、正統的に歌劇の曲を歌い上げたり、民謡・唱歌をクラシックからの解釈で料理したりしているのが多い。「乾杯の歌」はまさに国産オペラ歌手の面目躍如の大快唱。歌謡曲スターという面から見ると「鉾をおさめて」や「出船」など、代表的ヒットがまとめて聞けるのが有り難い。その中でも「特幹の歌」の底抜けな勇壮さがとにかく心地良く、「脳天気な」軍歌・戦時歌謡のカタルシスを語るにはちょうどいいかも。
四家文子

昭和を飾った名歌手たち4 銀座の柳

CD ビクター VICL60329  誰だ佐藤千夜子のパチものとかこいてる奴は。四家文子は東京音楽学校を主席で卒業し、皇后陛下の台覧の栄に浴したこともあり、またオペラの主演公演を開いたりしているまさに昭和初期クラシック界のホープだった人である。その人が当時どうにも低く見られていた流行歌を歌うと言うのだからそりゃ大事件である。しかも宛われる曲がエログロナンセンス路線という当時としては外道も外道のような曲だったのだからたまらない。今の感覚で言えば木村弓がパラパラで援交ものを歌うとか、そんな感じだろうが、あまりに大胆すぎる戦略。もっともエログロと言っても、今から聞けば他愛もない物ではあるが。凡百の企画物歌手と違い、前述のような余りにも凄すぎるキャリアで解るように実力は充分。しかもこの人は「わたしこのごろ変なのよ」でよくわかるが非常に茶目っ気のある可愛い声をしておられ、かつ多少クラシックの文法から外れた曲でも取り込んでしまえるだけの適応力がある。底力、表面的な魅力、際物感と三つが揃った恐ろしい歌手である。しかももっと恐ろしいのはこれ程泥沼な歌謡曲を歌っておきながら、揚々クラシックの王道へ復帰し、成功して、音大教授になってしまったということ。曲自体はモダン・戦前の色がよく出たブルジョワっぽい曲で、これをイヤみなく歌いこなしており、退廃感を極力廃しているのは流石クラシックをよく修めた人と言うべきか。最後の方に出てくる戦時歌謡物もよく詩の行間に込められた悲哀を歌い込んでおり、泣ける。(「あの人」はこれ聴いても、単なる戦争賛美としか取らないんだろうな。悲しい人だ。)派手な曲こそないが、これぞ戦前のある時期までの女性歌手の典型的な姿というものを楽しめて面白かった。

15.8.2 貰い物。正確に言うと昨日の深夜に取りに行ったのだが。有難う。

寺内タケシとブルージーンズ

レッツゴージャンジャン

EP キング HIT785  一躍有名になった第三次ブルージーンズのダンスナンバー。どうでもいいが、どう聴いても俺はこの曲のこのバージョンは全くガレージに聞こえない。何とも精気に乏しい音だし、ボーカルも床の間の飾り物みたいにちょこんとしてそれでいてエネルギーよりもわびさびの方が先に立っている気がする。で、B面だけ。音はA面と同傾向だが、終奏のギターソロはこっちの方が激しいな。両面通して言えることは、これはハッキリ言って売れないなということ。なお、販促ポスター、ステッカー、パンフレット一式付きで貰った。

15.8.1 売れっ子タレントでも日に7時間とか寝てるのか。

シンガーズ・スリー

フォリオール♯2

CD ヴィヴィッド VSSJ604  スキャットの女王・伊集加代子在籍グループの黄金期の作品の復刻。石川晶ら芸達者なジャズ奏者をずらりと並べたザ・フリーダム・ユニティーがバックをつけた16分にも及ぶ表題曲が圧巻。高級品であったジャズが一時的に大衆側に降りてきた時期に作られた物だけあってグルーヴィーかつ親しみやすい即興的ジャズロック演奏が繰り広げられるが、中でもゲスト参加の杉本喜代志のワイルドなギターは文句なく格好いい。これにまるで負けていないシンガーズスリーのスキャットも流石と言う他ない。上田力のプロデュースによるそれ以外の4曲もクラブDJユースな作品。上田力の感覚の鋭さはこの前のザ・キャラクターズのアルバムで充分堪能したがここでも爆発。爆発するエネルギーの充満した「イーライズ・カミン」が序破急のハッキリした演奏が一番気に入ったが、それ以外も度肝。世間では「ウパ・ネギーニョ」が人気があるらしい。遊び心のあるアフロ・グルーヴなオリジナルの「アニ・ザンタ」で〆。自分の趣味にするとやや歌謡情緒が低いのが気になるところだが、その筋で考えると名作。
ゆみ&ゆか

チェッチェッコリ

マキシ ユニバーサル UMCK5102  話題のCMソング。これも一連の悪い流れに乗った「引く」アレンジで余りよくはないが、これはあのウサギの奴と違って編曲者、プロデューサーの追いつめられた心境とその挙げ句にひねり出してきた苦渋っぷりが感じ取れるので、貶さない。アフリカ民謡らしいアレンジかCMの通りのアレンジで通せば良かったのにとは言っとくが。買うと言ったもんは買う。

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