これ買いました16年1月


16.1.25 「みんなのうた」で大人の色恋沙汰の唄をやるという決定を下したプロデューサーは万死に値する。まじで。

クレイジー・ケン・バンド

タイガー・アンド・ドラゴン

マキシ サブスタンス BSCL35005  今のところ21世紀を代表する名曲の一つ。本体入手。一昨年の作品だが、その時期の楽器としての横山剣のボーカルの充実度の高さが胸に染みる。この人は決して美声ではない。だが、曲全体との調和を考えたときに、見事な他の楽器とのハーモニーが形成されている。自己主張が強いことが普通要求されるボーカルにとっては異例とも言える一体感がある。これは流行歌歌手としては殆ど唯一の特異な方向性ではないかと思われる。本人のキャラが濃いだけに、醤油のようなこのあっさりとした節の付け方は意外と思えるし、実際あまりそう言う捉え方もされていないように見えるが、自分にとってこの時期の彼の最大の強みはこれである。バックの演奏も何でもござれの高い実力とお洒落集団であるからこそ滲み出てくるセンスの良い茶目っ気が上手い具合に混じり合っており文句無し。マキシ・シングルにも関わらず一枚をどう世界としてまとめ上げるかに苦心している跡が濃密に伝わってきており交換。まあ、汎としての最先端のサウンドという意味からは遠く離れているが、これも21世紀ならではの曲だと思う。グッド。

16.1.23 人間交流の有難さを知る二枚。

ザ・キッパーズ

マイ・バック・ページ

CD ビヨンド BRP002  「北海道のブルーコメッツ」と呼ばれた当時から唯一現役を通す本物のGSの平成7年のクリスマスライヴの様子を収めた盤。オールディーズを主軸にメジャーGSもの、「風のふるさと」、「はまなすの恋」などを演奏。とにかく手堅い演奏で殆どMCの時間を取らず約一時間演奏しっぱなし。その実力の高さがたっぷりと味わえる。ライブにありがちな荒々しさは微塵もない。そつの無さに職人バンドというものはこういうものかと唸らされる。難を言えぱ女性ボーカルが荒れ気味なのが少々気にかかるが、何とも貴重でしっかりした一枚。パンジーさん、POOHSAN43さま、有難うございました。
越後屋

2001・01デモ

CD バッドニュース NMR001  やうやく。うちの後輩の参加している即興系バンドの関西限定デビューアルバム。何というか可も不可もない。一言で言えば平庸に過ぎる。それ以外に特にないが、敢て言うならミックスが悪い。どういう効果を狙ったのかよくわからないが、敢てこのサウンドを荒々しいというかボロボロな音に仕立てたのはどうにもよくわからない。

16.1.20 良く買った。

ジ・アルフィー

アルフィー・シングル・ヒストリーVOL.II1983−1986

2CD ポニーキャニオン PCCA00634  特になし。詞やはったりの効かせ方に、80年代前半位までのロック/ポップスバンドはグループ・サウンズの直系の子孫である、というよく言われることを実感した。小・中学生の頃はこの時期のこの辺のバンドに対してケッと思っていたが二十歳も大分過ぎてかなり寛容になったなと自分で思う。
安全地帯

ザ・ベリー・ベスト・オブ安全地帯

CD ビクター UMCK1045  言うまでもなく昭和最末期のトップバンドのベスト盤である。当時全然音楽に親しんでいなかったにもかかわらず、唄を諳んじられる曲が多いのは自分でも驚いた。自分にとっての懐かしものだが、作詞の一部に井上陽水、アレンジの多くに星勝が絡んでおり、そのせいか70年代初頭のバンド音楽の流れを感じる。時代が違うとは言え、ニックニューサの音楽的戦略と同じものを感じる。着地点がムードコーラスとまかりなりにもポップスのど真ん中とに別れたところに、十年間の音楽業界の動向が偲ばれる。実際、沈鬱な表現に長けるところや、何れにしても歌謡的側面が強調されているところなど、田中収と玉置浩二のセンスは近いところがあるように思う。
オレンジレンジ

ファーストコンタクト

CD ソニー SRCL5650  結局ソニーのアルバムはCCCDではないようで。全体的には70年代に流行った各種音楽、例えばハードロック、ディスコなど、一部にスカに最近流行のヒップホップ的なボーカルを乗せたサウンドといったところか。これも歌謡がヒップホップを飲み込んだアルバムの一つ。強烈な作品は見あたらないが、売れ筋を考えると丁度いい具合の薄味に仕上がっており、プロデュースとしては的確。特にヒット曲「上海ハニー」はハードロックを基調として出身地の沖縄味も加えてかなり意欲的で角の立つところがないなかなか良くできた現代的な歌謡曲。他に軽くボーカルが被さるだけのBMG的な「ゆうぐレッド」が良かった。さて、問題なのは古手の音楽に新式のボーカルを被せるという手口で、以前ラブサイケデリコが大当たりしながら見事に一発屋で終ったことがあったが、実はこれが全く同じ手法なのだ。そうでなくてもラップ/ヒップホップものは一発屋で終ることが多いので、次作以降余程目先を変えたものを出してこないと厳しいかもしれない。基本的にはボーカル自体はそれ程上手いように感じなかったので、それこそプロデューサーの腕の見せ所だろう。ぼちぼち。
ロジック・システム

ヒストリー・オブ・ロジック・システム

CCCD 東芝 TOCT25079  下を買う序でに並んでいたので。酔っぱらって渋谷タワーレコードに行って買ったのでCCCDと気付かんかった。最初にラックに並ぶCCCDがこれとは、自分でも意外。まあ、幸い再生は出来たので取り敢ず安心なのだがちょいと音が鋭く聞こえますな。内容は第四のYMOメンバー、松武秀樹の率いたテクノの雄の三枚のアルバムをまとめたベスト。まあ、一世を風靡したシンセサウンドの雄と言った方が正確か。まともにまとめて聞いたのは実は初めてだが、やはりYMOに比べると柔らかいというか、モンド的だという事前の印象は特に変わらず、よりBGMっぽいという印象を強くした。何だかんだいってもジャズが根っこにあるのはよくわかったが。もちろん、当然ながら、つちやかおりとの競作となった「哀愁のオリエント急行」では故大村憲司のギターも聴ける。なんかいくら15年ぐらい前の作品とは言え、絡んでいる人間に故人がやけに多いなぁ。それにしてもドイツでも流行った「ドミノ・ダンス」はやはり名曲中の名曲だな。何れにしてもシンセサイザーに夢が溢れていた時代の情熱を偲べる。
ロジック・システム

パッチ・ワーク

CD ブリッジ EGD1  同未発表曲のセルフカバー集。かっこええ。かっこええ。かっこええ。ニューアカの影響か、かなり学術的にいろいろと理屈を考えて作られているようで、小難しいテーマの解題も書いてあるが、そんなのは無視したとしても、テクノの本質にズバリと切り込んでいる意欲作が並ぶ。それが高慢ちきなところに留まっているわけではなく商業的なパワーと魅力を秘めているところがイヤ素晴らしい。昭和末〜平成初の活動休止期間中に書き貯められた曲群。もし、その時期にリリースされていたら逆に埋もれてしまったかもしれない作品で、今だからこそ評価しうる先進性があると思う。イージーリスニング的なベスト盤の印象とは違いかなりじっくりと聞かせようとする攻撃的なサウンド。グッド。
V.A.

レッツ・ゴー!GSカヴァーズ

CD テイチク TECN25955  青山ミチとアンディ藤本目当て。青山ミチは清新なるもやや硬く、男声合唱団の奮闘振りが美しい。一方のアンディ藤本は本人はともかくアレンジは余りに商売を考えていなさすぎ。絶対に売れない。ほかは特になし。まあ、同時代若しくは懐かしの「流行歌」として捉えたカバーとルーツ音楽やリスペクト対象として出てきたカバーがあまりにも渾然一体としていて、出来も玉石混淆なので曲の選び方と並べ方の意図がよくわからんとだけは言っとくが。そう言う風に両者を分けながら聴いていくとここには未収録のファントムギフトの登場が如何に大きな出来事だったのかはよくわかる。通して聴くと総じて最近の人は声量と情緒がないなという印象も受けた。

16.1.8 今年の買い初め。曲名表記はこの週末以降に。有難う。

ホップトーンズ

ホップトーンズ

CD マルフク ACD28  琉球版デューク・エイセス?近代的なサウンドをバックに重厚なコーラスを聴かせるが、出てくる言葉が沖縄口なのが結構衝撃的。「JOYJOY」から推察するにジャズの心得があるものと思われる。所謂沖縄メロディーに大きく寄りかかっている曲ばかりで代わり映えしないなあと思っていると驚きが2曲。「琉球レアグルーヴ」にも入っている「ヘイ!二才達」は別録音だが何故かラーガ・ジャズに仕上がっていて、もともとからっとしている曲によりスパイスが利いていてグー。もう一つ、大和口で歌われる純歌謡「はじめてあの娘と」の出来が非常によく、それこそデュークあたりが歌っているかのような哀愁が立っていてこれ一曲だけで満足。
フォーシスターズ

決定盤

CD マルフク ACD3002  ファンキーなルックス。こちらは伝統的なバッキングで四姉妹が民謡を唸る。毛色の違ったものはなく、琉球民謡のパブリックイメージに忠実な楽曲が並ぶ。民謡と新民謡ものだけなのでもうちょっとポップなのも聴いてみたい。
V.A.

愛唱歌集

CD マルフク ACD3001  城間ひろみと喜納昌永中心。というか城間ひろみ凄い。天才。前にボロボロのレコードで「パラダイスうるま島」を聴いて衝撃を受けて以来、しっかりした音源を求めていたがようやく入手。音質がクリアになっても萎れるどころか、その凄まじさが却って際だつ。声の捻り方とか気合いの乗せ方とかこれ以上上が考えられない。とにかく凄い。技術的にはもっと上の歌手が多数いるのかもしれないが、歌謡のコツというものをこれ程までに見事に体現している歌手というのもそうはいるまい。彼女のソロ名義3曲と共演5曲が収録されているが、どれも珠玉の出来。城間ひろみと絡む歌手も負けておらず、石原節子を始め心にしみいるが、ともかく、城間ひろみの素晴しさが心を縛り付けてしまって・・・。城間ひろみが絡むと冷静ではいられず、贔屓の引き倒しになりそうなのでこれ以上書きません。城間が絡まないのも5曲あり、これもよし。復帰の10〜20年前の録音ということもあって、その猥雑さが逆に大衆民謡の味を引き出していて丸。グッド。今年最初の当たり。
喜納昌永/城間ひろみ

特集

カセット マルフク CCF42  喜納昌吉の父である喜納昌永と本土復帰前に突風的に絶大な人気を誇った城間ひろみの二人の作品を集めたカセット。上とのダブりは「黒島口説」のみ。相変わらず城間ひろみがとにかく凄い。天才。昭和35年当時に東京で琉球新民謡が受け入れられる土壌があったなら必ずや大きな足跡を残せたであろうに、時代の制約のせいとは言え、残念でならない。一方の喜納は戦前の児玉好雄や川田義夫ら非本流の流行歌歌手に通ずる、軽妙ながら朴訥で虚なところが少ない歌唱が大らかさを上手く表現している。

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