これ買いました16年11月

16.11.28 もう給料日まで自由に使える金がないのに。

平田隆夫とセルスターズ

ゴールデン・ベスト

CD 徳間 TKCA72789  「悪魔がにくい」「ハチのムサシは死んだのさ」のヒットで知られる和製セルメンフォロワーの全シングル両面にさらに2曲を加えたもの。「ハチの・・・」はウルトラマンAでサイケデリックな、悪夢のような使われ方をしていたので子供心に非常に印象深く残っていた。複雑で高度なコーラス使いやはねるような瑞々しさがあるにもかかわらず昨今のソフトロックブームや和製グルーヴブームの中でさほど注目されないのは、妙にヒットがあることと、あまりに惜しいグルーヴ感の薄さのせいで、彼らのためにレーベルが作られたという好待遇であったは言え、これが東芝かビクターでの録音であったらあるいはという気もする。ポップス度がどんどん薄まっていきR&Bバラード、最後はムード歌謡に収斂されていくのは日本のポップスグループの典型的な終結だ。GSファンもルビーズの後身という側面があるので注目のこと。オリジナルアルバムの復刻に期待。
フジファブリック

1stフルアルバム

CD 東芝 TOCT25519  ボーカルはともかく音の取り方の格好よさや歌詞の発想の妙さで気になってた人達。メジャーでのファースト。何でもインディーズの時のメンバーはボーカルだけなんだそうだ。クローズみたいなことやってますな。そのボーカルのぶっきらぼうさはいい方に出ている曲も悪い方に出ている曲もあり、自作の割に曲世界にはまったりはまらなかったりが激しいように感じる。そういうわけでボーカルの踏み込み方にやや不満は残るが、冒頭に収録された既発シングル2曲の無力感、絶望感は素晴らしい。本人達はギターポップとして演奏しているものと思われるが、七十年代初頭の幻影がまとわりつく上質の歌謡ロックとして楽しめた。あとの曲は、闇雲な演奏に好感は持てるが、こんなものだろう。もちろん演奏自体は上手いし、出来も悪態をつくほど悪くはない。はっぴいえんどの出てくる直前にいたかもしれないフォーク系のロックバンドというあり得ないものの再現をしており、キンモクセイとか辺りよりは余程精神的な面まで含めて時代の再現に成功している。この点は真に素晴らしい。
タタ・ヤン

アイ・ビリーヴ

CD キング PYCE5001  泰の歌姫。最近ブリトニースピアーズとかこういう辺の人の曲が気になる。泰米のハーフだそうだ。アジア十ヶ国で発売したという全編英語による日本でのデビュー・アルバム。「セクシー・ノーティー・ビッチー」が尤も歌謡的で米国の今の流行を最も反映させている曲で成程日本での一押しにしているのも解る。今ひとつ解らないのはこれはエキゾを押し進めているのか、それとも引っ込めているのかということで、何れにしても何となくタイっぽい異国情緒が香るのが面白い。「セクシー・・・」を除くと、さほど凄い曲はないが、それにしても、こういうものの解説こそもっと視点が鋭くて文章が上手い人がやるべきだと思った。これじゃ単なる提灯記事だ。いや提灯記事でも結構だが、他に誉めるべきところがある素材なのだから、そこを誉めればよいのであってひいき目でみても他の人と正面衝突させちゃいけないことを誉めるのはどうも。
愛まち子

咲かせて頂戴恋の花

EP テイチク SN437  イーグルスのカバーした曲の元ネタ。バックは両面とも鶴岡雅義と東京ロマンチカ。存外イーグルスがそのままのアレンジでカバーしたことが解る。小唄調歌謡だが純粋なお座敷ものと世俗っぽいコミックソングの中間を狙ったら対象がなくなってしまいましたという感じがする。B面はA面の歌詞を変えたもの。同じ曲だがこちらは各地の地名を唄い込んだもの。どういう企画意図か。
ヘンリー

かわいそうな娘

EP コロムビア LL10006JC  もともとは構成作家みたいなことをしていたらしいイギリス人ハーフ。ヴェーグラント・クワルテットとかと一緒に売り出されたマイク真木フォロワー。というかそのまま。しかしコロムビアの外人さんの扱いが神代のバートンクレーンと殆ど変っていないことをひしひしと感じ、時代に添った曲調であるのにもかかわらず、それ以上に古くささが鼻につく。B面も作った本人がどう考えて作ったのかはともかく、アレンジはどう考えても一時代古い発想と言わざるを得ない。

16.11.27 CDR3枚を頂く。ブルーコメッツの素晴しさを再認識。コミカルな面と後期の隠された充実振りはレコードばかり聴いていても掴めない。一流のバンドとはコメディーセンスのあるバンドという言はブルーコメッツにも当てはまるのだ。

16.11.21 もう給料日まで自由に使える金がない。

緑魔子

アーリー・イヤーズ〜シングル・コンピレーション+

CD ブリッジ BRIDGE025  俺が60’sキューティーポップスで一番好きな「信じていいの」等を含む緑魔子のシングル集おまけ付。解説に沿った物言いをすればムードものに弱い東芝でなく、クラウンからのリリースであったらばともっと凄いものが出てきたのではないだろうか。また、曲も目鼻立ちがしっかりしていない印象で、もう少し踏み込む余地があったのではないかと悔やまれる。しかし、この人は歌唱の技術はともかく、歌唱による世界観の構築という点では他の追従を寄せ付けないところがあり、唯一無二の世界の存在感はやはり強烈。
V.A.

アンファン21世紀の子供達に捧げるスタンダード集

CD ヴィヴィッド VSCD3260  洋楽有名曲カバーインスト集。いかにも80年代的な幾何学的な印象をうける演奏がならぶ。沖山優司による「リ・メイク/リ・モデル」や鈴木さえ子の「シュガーシュガー」等と面白げな演奏はあるが、スウィンギン・バッパーズの「クリムゾン・キングの宮殿」の白熱しながらもねじ曲った編曲を除けば、特に強烈というほどのものはなし。
V.A.

ロックエイジの惑星たち

CD 富士 FJ0002  ニューロックの名盤のCD化。元サミー&チャイルドのサミーとか石川晶とか水谷公生とか。サミーはまだしもマオのアイドル然としたボーカルにはロックを感じない。まあ、今ひとつパンチに欠けるといったところで。ジャズとロックが一時的にもの凄く接近した時代のモニュメントという存在価値が一番大きい。そんな中文句なく凄いのは水谷公生とベターによる「アイ・ウォンナ・ビー・ユア・マン」のカバー。解説では不明とされているボーカルのシャウトの激しさとフィーリングのクレイジーぶはあまり他のニューロック曲ではみられない凄まじいもの。案ずるにアウト・キャストの「エブリシングス・オールライト」と似た歌い方が頻出しているので、おそらくその正体は轟健二ではないかと想像してみる。
V.A.

エレクトリックパーク

CD ポニーキャニオン PCCA02106  石丸電気、ヨドバシカメラなどの電気量販店のCMソングとかを集めた奴。何故か歌手名(一部は作曲者も)のクレジットがない。間違っていると思う。(データがないのかも知れないが。)お馴染みの楽曲が並ぶ。一番凄いのは「ヤマダ電機の唄」で、作詞した人の脳味噌が手首にあるんじゃないかという壊れ方が度肝を抜く。一番の「やまだまだまだやすいんだ」はわかる。しかし五番の「ごまだごまごまご満足」の「ごまだ」って何。
V.A.

ラヴ、ピース&ポエトリィ アフリカン・サイケデリック・ミュージック

CD ノーマル CD046  「シェリルのサイケデリック世界一周」アフリカ編。南ア、ザンビア、ナイジェリアのバンドのみの収録ではあるがアフリカにもこういうニューロックシーンが存在していたというのは驚き。流石に北アフリカのイスラム圏にはビートシーンみたいなものはなさそうだがタンガニーカやケニアあたりだったらあるいはという気がしないでもない。あとはトルコ、イランあたりを中心とした中東編を出して欲しい。

16.11.19 明日は二十日ぶりの完全オフ。

V.A.

ティーン・ポップ・グラフィティ

10CD 東芝 GSD6601〜6610  カバーポップス十枚組みボックス。東芝ファミリークラブのこのフットワークの良さは何だ。青山ミチが5曲、藤木孝が4曲も収録されている。この二人はもっと顕彰されても良いように思うのだが・・・。六十年代死ねというスタンスのポリドールの青山ミチは絶望的だが、日本のライノ化しつつあるテイチクの藤木孝は何とかしていただきたい。紀本ヨシオとほりまさゆきも結構な数収録されている。改めてダニー飯田とパラダイスキングの素晴らしい演奏歌唱力に感動しきり。また、弘田三枝子の天才的歌唱の爆裂ぶりはまさに天下無双。沢リリ子、竹田公彦が珍しい。黒沢進先生の解説つき。
V.A.

青春エレキ・グラフィティー〜ジャパニーズ・エレキ・インストベスト150

6CD テイチク TFC1691〜6  寺内タケシ、シャープファイブを脇差しにザ・スペイスメン、オールスターズ・ワゴン、ジュピターズなどをフィーチャーした和製エレキバンドによる名盤コレクション。全150曲中初CD化曲は26曲のみ。初めて聴いた曲となると8曲だけだったりするが、面白くて一気に6枚聞いてしまった。初めて聴いた曲ではジュピターズの「グリーン・ホーネット」がこれ以上ない軽音楽軽音楽した曲で名演の名に相応しい。極東の奇跡・成毛滋の洗練された「ワイプアウト」と対極だがどちらも素晴らしい。あと、何度聞いてもスペイスメンの演奏の感覚の孤高さは凄い。テクニックではブルージーンズやシャープに及ばないかも知れないが壷の付き方や音の隙間から溢れる情緒深さは両バンドを凌ぐ部分がある。某「60年代ロックマニア」がこのバンドを酷評しているようだが、「炭坑節」や「お座敷小唄」のアレンジはロックの人には絶対に出てこない発想で、許容のないひとには光が感ぜられないかも知れないが、自分にはその非ロック感覚がたまらなく好きだ。この危うくそれでいてしっかりと一本筋の通ったサウンドを、プロの、しかもトップバンドが奏でているというのは日本以外では考えられない。まさにエレキ帝国の面目躍如。その特異な感覚はここでは「バンブル・ブギ」で特に顕著だ。スペイスメンの解説はこちらでは自分が知っている通りのことが書いてあり、「ラブ・サウンズ・スタイル読本」の不可解な記述はやはり何かと間違ったのではないかと思われる。またオールスターズ・ワゴンの快演「君だけに愛を」「いとしのマックス」もついにCD化された。他にGSものではスウィング・ウエストの「元禄花見踊り」は何気に初めて聞いたが、こんなに格好いいとは思いもしなかったので思わぬ拾いもの。ヴァンドッグス、ジュピターズ共々素直に全曲CD化希望。微妙に自分の好きなサウンドとずれていたのが興味深かった。ブルーエースで一番の名演は「夜霧のしのびあい」だと思うんだが・・・。欲を言えばキング編にはワイルダーズとかオールスターズ・ワゴン、491といった傍系のバンドの名演も入れて欲しかった。

16.11.3 風邪が直らない。

ホーク・ウィングス

’95福岡ダイエーホークスいざゆけ若鷹軍団選手別応援歌

CD トーラス TACX2443  パリーグ原理主義だが別に今はダイエーが取分けて好きと言うわけでもない。しかし「いざゆけ若鷹軍団」は12球団の応援歌の中で第一の名曲だと思う。選手別応援歌ではもはや殆どダイエーに残っている選手がいないのに無常を感じる。ただやはりこういうものはファン・アイテムだ。選手別応援歌は似たような演出でどうもどれも凡庸でどうにもかっこよくない中、松永浩美のテーマだけ異常に気合いの入った曲なので異様。なんなんだ。しかし、それで松永がどうなったかと言えば、無常だな。
じゃがじゃがラッパーズ

ホントのホーリー・ナイト

マキシ ワーナー AMCY2443  平均年齢9.5歳で局地的に人気のあったガキんちょラップグループによるクリスマスソング集。定番のクリスマスソングをカバーしているものは予想通りの出来。その手のものは普通の唄ものなのだが、どうもひとりだけ飛び抜けて歌の上手いのが混じっているようで、聞いていると妙な違和感が伴う。ヒップホップものは技術的には拙いけれども、男の子は声量はともかく歌い方がまあまあかっこいい。女の子の一人の唄い回し方が破綻していてロカビリーの方の後藤久美子を彷彿とさせる。特殊な良さではあるが、悪くはない。マキシと言うよりはミニ・アルバム。
スウィッチ

しゃにむにシェイク!シェイク!

CDS キティ KTDR2128  「稲中」の主題歌。ヒップで平成7年発売の割にはゴージャス感があるが普通の人生応援歌。特になし。カップリングはアコギをフィーチャーして、デトロイトサウンドを意識しているのはよく解るが、表層的なところで終っている。いかにもこの時代らしいボーカルにはそれなりに情緒がある。
このみ麿莉

花に見とれているうちに

CDS トーラス TADL7432  アダルトポップス。淡々としたギター独奏に乗って切々ともの悲しい旋律を歌い上げる。「鳥の歌」のような情緒があるが躍動感にはやや欠ける。「白い花の咲く頃」とか「さくら貝の唄」とかあたりの昔の国民歌謡の系譜。イントロでギターが乱れているような気がするのは気のせいだろうか?カップリングはバロック音楽を取り入れたイントロやAメロはいいのだが肝心のさびで全く生きていないのが非常に残念。ボーカルも世界観が構築出来ていそうで出来ていないのがもどかしい。曲の展開からして「悲しき天使」を下敷きにしているのかも知れない。
キーウエスト

横浜ものがたり

CDS トーラス TADL7433  アダルト・ポップス男女デュオ。見るからに売れなそう。七十年代後半のムード歌謡っぽいがバッキングのシンセサイザー音や打ち込みのドラムなどが時代を感じさせる。曲としては印象薄。イントロは一瞬「夏のMajo」っぽいがあとは全然違う。カップリングはマイウェイ風のバラードで七十年代で時が止まっている。頼りなさげなイントロの男声コーラスがB級感を強調する。

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