これ買いました平成16年12月

 


16.12.31 今年の買い納め。去年の買い納めとベクトルが反対だな。

都はるみ

都はるみの花のステージ(第5集)

LP コロムビア ALS4348  太陽の68年音楽。A面は所謂都はるみのパブリックイメージ通りの楽曲が並ぶ。ただし演歌というスタイルが確立する前の歌謡曲的な影が色濃く、「熊祭の夜」風の「霧笛の波止場」やハワイアン的なスチールギターを大胆に導入した「なみだ笠」など今の演歌には出てきそうもない曲調の曲も含まれる。この時代の演歌はアバンギャルドだな。
 B面はいよいよGS色の強い楽曲が出てくる。トップを飾るエレキ歌謡の「フレンド東京」はオールスターズ・ワゴンと思われる軽快な演奏に乗って唸りをあげて小節とドスを効かせた意外にグルーヴのある歌唱によって綴られる青春賛歌。イントロは「ミニミニガール」に似ているが、とにかく灰汁が強くて目眩すら覚える。ジ・アイドルスを従えた服部良一作品のカバー、「東京ブギ」「アイレ可愛いや」は何でエレキバンドがバックをつける必要があるのか全然判らないし全然その効果を活かせていないようにも思うが、ともかく共に妙なリズム感が印象に残る。特に前者はブギと言うよりビートパンク。もともとポップス志望だったこともあって、明るく、合いの手の「ヘイ」とかものりにのった感じで好感を覚えるが、基本的には小節を利かせまくったいつもの歌唱方法なのでえらいことになっている。後者はめちゃめちゃ格好いいイントロに何が始まるかと期待を抱かせるが、そこからずるずると沈み込んでいくのが面白い。ラストに一瞬持ち直すのも妙味。これらに挟まれて松山恵子風の「夜霧のバックナンバー」が並んでいるのが面白い。トリの「ふり向けば遠い人」は昭和20年代の流れを汲んではいるが、時代を先取りしたビートの効いたムード歌謡となっており、演歌の革命を虎視眈々と狙っていたことが伝わってくる。なかなか面白かった。
オリーブ

ハートブレイクトレイン

EP RCA JRT1107  本体入手。いい歌だと思うけどなぁ・・・。
ザ・スパッツ

君が好きさ

EP 大映 D39  映画「フリーセックス・十代の青い性」で聴いたことも動いているところも見たことがあるが、実に格好いい。ジャケットが販促の邪魔になっているという典型例。
 実にアイドル然としたええ唄で激しいビートとド派手なホーンセクションをフィーチャーした激情的な極上アイドルポップス。バックのエレキの音がザ・サウンズ・エースっぽい。この絞り出すようなため息歌唱があんなに激しい踊りに乗せられて歌われているのかと思うと驚愕。B面はボンゴが始終鳴り響くグッドなエレキ歌謡でモッド的なニュアンスも強く、何ともグルーヴィー。
 両面ともお勧め。
 高宝財在籍。
ファイブ・ジャックス

めぐり逢うのが遅すぎた

EP ポリドール DR1533  ザ・リバティーズの後身唯一のレコード。見た目はムードコーラス。チェンバロを派手にフィーチャーしたイントロで始まるマイナービートバラードで、いかにもグループサウンドとソフトロックグループの橋渡しの楽曲。特にサビでのパワーの爆発はグループサウンズにしか出来ない割り切り方が見て取れる。暴力的な伊集加代子の高音スキャットにしびれる。B面はラブ&ハッピーを全面に出したドリーミィーなソフト・ロック・コーラス曲。グルービーなベースと適度なオーケストレーションにはセンスを感じる。こちらは「喫茶ロック」に認定されている。
ファイヴ・キャンドルズ

逢いたくない

EP コロムビア P62  やったー。ファイブ・キャンドルズ、コンプ。ダーツの「遠い人」に似た穏やかなブラス入りフォークバラード。コーラス上手いな。ムードコーラスというのにはビートが効きすぎている。B面も穏やかなバラードナンバーでチューリップの「ぼくの作った愛のうた」を彷彿とさせる。
瀬川洋一とザ・クール・キャッツ

泣くだけさ

EP コロムビア JPS54  ジャケットのユニフォームにセンスの断絶を感じる。西郷輝彦っぽいやさぐれたビート歌謡。武骨な歌唱と哀愁のコーラス、度胸が前面に出たビート演奏と三拍子揃った佳曲。但しエレキの音はあくまでも前時代的で全くグループサウンドのそれとは違う。B面は都会派ムード歌謡の系譜で例えば三田明「数寄屋橋ブルース」とかあたりのメンタリティに近いものを感じる。歌唱は武骨だがワイルドさより朴訥さに結びついている。
瀬川洋一とザ・クール・キャッツ

男の嵐

EP コロムビア SAS887  上に比べてジャケットのセンスが遡っているのは何故ですか。全くエレキ演歌といった方が良いような曲で、「どさんこキッス」にタッチがそっくりなビート感と田舎臭さに溢れている。間奏の唐突なシャウトが僅かにGS時代であることを感じさせるが、奇襲攻撃に逢ったように感じる効果しかない。B面は50年代のアメリカンポップス調の小品だが、いくら何でもこの時代にはもう少し洗練できるような余地もあっただろうに、この泥臭さは何だ。
ラブ・ストーリー

恋のドブネズミ

EP フィリップス FS1704  タイトルがいい。フィドルで始まりいろいろな音楽に色目を使いながらも基本的には良くできたバブルガムポップスで、このグループの曲の中では珍しく女性ボーカルの出来が快調で聞きやすい。随所にGS魂が垣間見られるが、最後に挿入されすぐにフェイドアウトするニューロック調ギターに涙。ボブ佐久間作詞曲。B面は何かのカバー。「雨に消えた恋」に似ている。それはいいのだが、これを聞くと何のためにこのバンドに女性ボーカルがいるのかよく解らなくなる。何で女声が中声域を担当しているんだろう。リリーズ+ヤンガーズってだけでよかったんじゃなかろうか。
山内賢

シャロンの港

EP 東芝 TP1634  ボーカルにエコー掛けすぎ。エンジェル・コーラスに先導された重苦しいバラード。先メロはかったるいが、その分サビでの開放感が素晴らしい。基本的にこの人は絶叫型のシンガーなので地道に積み上げるような歌唱は向いているようにも思われない。B面は波の音を導入した五十年代の映画音楽の様な曲で、本人の作。湘南サウンド風のさわやかで穏当かつ軽快な歌謡バラードでこちらの方がどう考えても売れ線で出来もよい。

16.12.27 CDR2枚を頂く。ネットの威力というのは凄まじい。ありがとうございました。カサノバ・セッテの本質がウォーカーブラザーズみたいなバンドだったとは想いもよらなんだ。サックス持ってるロックバンドと言うことだけでムードコーラスにされてしまったんだろうか。もう一つの方はここで書くのは憚られるが、音源というものはあるところにはあるものだ。

16.12.24 CDR1枚を頂く。事実上、テクノの色の強い国内若手ギャルバン・ユニットに関わるサンプラーのようなものだが、中でもダイヤル音やモデム音を使って懐かしめかつポップなラカス・プロジェクトの「NTT」という曲が丁寧かつ綿密に作られており感嘆した。この流れの中にマガロマが入っていることは二重の意味で感慨深く、聴く前から涙が滲んだ。ということでありがとうございました。

16.12.23 何か鬱憤が溜まっていたんだと思う。

パイレーツ

インセンテイション

CDS ビクター VIDL30194  「だっちゅーの」の二人組の方。ビートルズの「ゲットバック」が念頭にあると思われる気だるいクラブ音楽もの。ちょっとラップ入り。浮遊感はあるが、特にこれと言うことなし。カップリングは石野卓球を目指したがそこまで行かなかったテクノポップ。
田端義夫

田端義夫ギター・ヒット全集

2LP テイチク ST92〜3  バタヤンのギターソロを大フィーチャーしたインスト・アルバム。本人が歌った曲の他、他の歌手が歌ったものもあり。「吉良の仁吉」に大胆に浪曲が導入されていることを除けばストレートなアレンジが殆どであり、バタヤン本人による電気ギターの他はサイドギターとベースが入るだけだが、天然でブルースの味に行き着いたバタヤンのギターの嘆きは各楽器それぞれの音をもの悲しく組み立て、嘆きを繊細に紡ぎだしていく。念のため、DJ用にいけそうなものはない。
小野巡

SP原盤による懐かしの歌声 涯なき泥濘

LP テイチク SL514  テイチク中興の貢献者、巡査出身のビロードの声、戦時歌謡の第一人者小野巡のベストアルバム。楠木繁夫とともにテイチクに対する戦前期最大の貢献者の一人であるのにこの扱いの悪さは何だ。いい加減CD出して欲しい。
 この時期としてはスリリングなフレーズを歌っていたりはするが、基本的には技術的に秀でているというよりは情緒の深さが尋常ではないという路線の歌手である。
 どうでもいいが楠木先生は音大で学生運動して追放、この人はビクターと契約でもめてインディーズを起業→失敗してテイチク入りと、自分の好きな戦前の歌手は一悶着起こして云々という人がやけに多い。
 反戦歌の名曲「涯なき泥濘」など数度に渡りCD化されている曲以外で感動したのは「留守部隊」。現在では見落とされがちな軍隊の意外な日常を切り取った意表を衝いた戦時歌謡の小品。涙と温かい視線で綴られた残留部隊の宙ぶらりんな軍隊生活を見事に描いている。
 改めて聞くと「血染の戦闘帽」って「戦友」が放送禁止だったからその代用品だったんだな。
V.A.

華麗なるベスト・ヒット14 瀬戸の花嫁

LP ワーナー L6052P  「瀬戸の花嫁」「北国行きで」など普通のヒット曲集かと思いきや、妙に選曲がカルト。ピープル「恋人たち」ハニーパイ「愛するハーモニー」市川瑛子「カナダの夜明け」山口崇ほか「川はいいな」とかってヒット集に入るかね、普通。後に出たワーナーのオールタイムベストの一枚物オムニバスに入っていた曲が4曲も入っているという、この会社の最盛期を切り取ったもので加納エリ子「汽笛が泣いている」など勢いを感じる曲が多い。肝心のピープルが針飛びだった。
緑川アコ

女の恋は夜の花

EP クラウン CW602  緑川アコ大好き。何でCDにならない。両面とも前に買ったアルバムに収録されているが、こちらは完パケバージョン。ジャケがエロい。
 A面はパッとしない日本のブルースでお座敷調。B面は「カスバの女」の路線を忠実に引き継いだというより、完全にそれを下敷きにしたいなたい日本のブルース。情趣深い。
木更津次郎

甚句唄えば

EP クラウン CW936  甚句だから当然民謡調は民謡調なのだが、油断大敵、絶妙かつ大胆なリズムチェンジがあり新鮮に耳に響く。そのせいで振り付けが載っているが、踊りにくいことこの上なさそう。よい曲。B面は「ホステス初年兵」のタイトルにやられた。ホステス生活を兵隊小唄調で陽気に嘆き節。佳曲也。
アントニオ・コガ

ワン・レイニー・ナイト・イン・トウキョウ

EP コロムビア JPS4  この人も唄ものは一般売りCDにならないな。スタンダード調歌謡の大名曲をギター・ソロとストリングスで切々と綴る。この人のボーカルには本格的なラテンの素養に裏付けされた独特の哀愁があって聞き惚れる。もっと評価されても良いと思う。B面はハープを中心としたストリングスと女性スキャットを従えてスタンダードナンバー「いるかに乗った少年」(城みちるのとは別曲)を日本語でカバー。こちらでも美声が爆発。ムード音楽の佳作。こういう売れててしかも良質という音楽は逆に再評価されにくい。
ヒロタゲンキ

アングスティア

EP ファイン・グッド(ハニー) UGD279  ジャケ買い。これもラテンの名曲を日本語でカバーしたもの。ピアノ、バス、パーカッションと本人によるギターという小編成による演奏。やや情の出し入れが惜しいところはあるが美声且つ技術も上手く涙涙。B面は「マイウェイ」を思わせる切々としたスタンダード風オリジナル曲。良くまとまっており、こちらもA面同様の小編成によるトラックで雰囲気のよいバーで生演奏されたら感動して落涙すると思う。
西川ひろし

秀子

EP テイチク 45142  自主盤。三重大から教員を経て歌手に。普通の趣深いラテン系ムード歌謡になるはずが、ひっきりなしに入るパーカッションが鞭を連想させ一躍SM歌謡へ。自作曲。B面は牧野昭一が作った会社制作かつ牧野の弟子と言うことで牧野作品である「赤いグラス」をカバー。普通に出来がよい。もともと俺の石原裕二郎への評価が低いからというだけかもしれないが。
増田丈二

黒い上着

EP クラウン CW683  サックスが咽び泣くジャズ歌謡。お洒落なピアノの導入や間の取り方などがフレッシュメンの「テストパターン」を思わせる。ややメリハリに欠けるのが何とも惜しい。B面はマカロニウエスタン風の荒んだマーチ曲。パラキンがバックをつけているが、それが何かの役に立っているのかよく解らない。もっともこっちの方が、ごつごつした歌い方ではあるが、売れ線のようなきがする。
滝沢ひろしとレイ・シャルマン

意気地なし

EP RCA RHS113  両面ともサザンクロスのカバー。サザンクロスよりも金がかかっていなそう。劣化コピーの謗りは受けかねない。サザンクロスのバージョンの血の出るような心の描写には遠く及ばない。B面はマイルドな仕上がりになっており、こちらはサザンクロスより出来がよいかもしれない。
滝沢ひろしとレイ・シャルマン

抱いてよ

EP ビクター SV9242  A面は「ムードコーラス・スペシャル」に収録済み。B面のみ。トランペットが咽び泣く北方歌謡でアローナイツを思わせる。A面より余程良い歌だと思うが、どうにも「ムードコーラス・スペシャル」の編者とはことごとくムード歌謡観が乖離しているので世間ではA面の方が良いということになるのであろうな。まあ、何でもいい。
山川登とベストセラーズ

失恋特急10時発

EP RCA RVS1160  上のボーカルの前のバンドでのお仕事。イントロのコーラスから一気に持っていくアップテンポの好楽曲。怒濤のように始まり、一瞬凪になり、怒濤のように終る狂熱の3分27秒。グルーヴィーハーツの「男と女のセレナーデ」を根性だけで演奏したらこんな感じになるような気がする。素晴らしい。B面はタイムボカンの挿入曲である岡本茉莉「うしろ姿」にえらく似ているような気がするが、情緒では一歩劣る。
山川登とベストセラーズ

女泣かせの港町

EP RCA RVS1098  レゲェを通過した演歌系ムードコーラス。アイデアが生かし切れていない。これなら普通に演歌っぽくした方が良かったのではないか。B面はムードコーラスの王道。但し、今ひとつ何かが足らない。
北条信吾&パープル・レイン

わかればなし

EP キング GK367  A面は「ムードコーラス・スペシャル」に収録済み。B面はトウキョウ’99「さよなら、また明日」のカバーで、もともとジャズっぽい曲ではあるが、ナベサダっぽいフュージョンの色づけを施し、透明感溢れるアレンジとなっており、さわやかさがより際だつようになった。このことにより元々の楽曲の素晴しさを引き出すことに成功している。
高見順とシャディー・モルト

涙化粧

EP テイチク SN1508  戦前戦後歌謡曲の正統的な後胤という感じの楽曲だが、全般的に演歌色が強く、コーラスも合いの手程度。さり気なくも小節がよく利いている。B面は「ムードコーラス・スペシャル」に収録済み。
松井久とシルバースターズ

死ぬほど愛して

EP テイチク US820  A面は「ムードコーラス・スペシャル」に収録済み。B面は所謂お座敷小唄路線の曲。コーラスの絡め方が奮闘しているだけにリードボーカルの艶のなさが残念。
花菱エコーズ

あき子はひとり

EP 東芝 TP2076  A面は「ムードコーラス・スペシャル」に収録済み。B面はデビュー曲によく似た寂れた雰囲気で奏でるロシア民謡「草原」調楽曲。面白いとは口が裂けても言わない。
黒沢明とロス・プリモス

ばかなわたし

EP ビクター SV2034  鈴木道明作品。センチメンタルに過ぎる嫌いはあるが、七十年代前半のムードコーラスらしい情緒があり、ロスプリ色も失われず。もっともどっちかというロマンチカ風の楽曲ではあるが。B面は効果的なホーン、ストリングスの使い方やこれを迎撃するギターのフレーズなどがまるで筒美京平の楽曲かと聞き紛う、お洒落なジャズテイスト満点のさり気ないポップス小品。これは素晴らしい。
リコ福村とアリーバ

恋やどり雨やどり

EP キャニオン 7A0690  でっち上げのグループだと思いこんでいたので二枚目があってビックリ。
 メランコリックなラテン歌謡。サザンクロス的なボーカル運びとコーラスを絡めツボを押さえたダンサブルなサビの展開が心地よく、クラシカルなトラと相俟って、思わず涙するが、全体のサウンドがやや淡泊で、印象に残りにくいのは何とも損をしている感じ。同時期の演歌の影響か。
 B面はボサノバもの。所謂ホスト系のボーカルでよれたりしているが、ピカソあたりと並べても別に違和感はない。ファルセット・コーラスが聴けるのでムードコーラスとしても成立。
沢田あきらとハーバーナイツ

憎いあんちきしょう

EP キング K07S570  詞が藤本卓也っぽいなぁと思ったら矢吹健作詞作曲だった。よくみたらシンセギターを導入しているバンドって珍しい。そのシンセギターによるキャッチーなリフのイントロから始まり、地道に仁義を通す導入メロディーを経てキャッチー過ぎて誰もがぶっ飛ぶサビまで一気に聴かせる。ロック魂が爆発している。いわゆるロックにしかロックがないと思ったら大間違いだ。通好みのベテランバンドらしい底力を感じる。B面はカラオケ。
最田紀彦とブルートレイン

青函航路

EP トリオ 3B732  ご存じ鉄道野郎ブルートレイン。アローナイツ及びその周辺のバンドを思わせる北海道らしいサウンドの素朴さを伴った高潔な日本のブルース。サビには「函館ブルース」を彷彿とさせるメロディーを使った部分もあり、茶目っ気が表に出ているのは評価できる。B面はじめっとした四畳半フォークと発想過程が近いバラード。水準には達している。
秋しげる、ビューティフルロマン

トーキョーカーニバル

EP アポロン AY076  情緒はあるけどな。同封のプロモパンフが誉めてなくて笑った。ディスコ時代を反映した純歌謡。時期がずれていたら「3年目の浮気」にとって代わっていたかも知れないが、女声ボーカルは散漫な印象、逆に男声ボーカルは豪放すぎるということでバランスが悪く聞こえるのがなんとも惜しい。
 B面もトラックの活きのよさが嬉しく、ホスト系の男声ボーカルの安定ぶりと奇襲をかける女声ボーカルの破壊感の対比が面白い。二番は攻守交代となるがあまり躍動感というか違和感がないのは、惜しいというのか普通はこうだろうというのか、まあ、無茶な曲には違いない。山本正之が作りそうなメロディーの曲。
グリーングラス&貴美

東京待ちぼうけ

EP コロムビア AH709  この曲一体何人がカバーしているんだろう。ハーバーナイツ盤と比べてみると女声ボーカルがよりよれていることと、ボンゴが入っていることと、ビート感が弱まっていることの三点の大きな特徴有り。いずれにしてもアルバトロスのバージョンには及ばない。B面はアニマルズかと思ったらするすると酒場デュエット歌謡へ寄っていき、ビートに乗った「天城越え」みたいになって終るという極めてロッキンな曲で、なかなか練られているがパンチには欠けるかも知れない。
エモーションズ

アバンチュール恋のハンター

EP ポリドール 7DX1495  ずうっと聴きたかった曲。ブルーロマンなどにいた新城たかしを中心としたバンド。キーボードがブルーコメッツのひと。
 ロック・ミュージカル歌謡。良くできた歌謡ロックの極北的作品で、演奏やコーラスがアダルトポップスには不必要なぐらい格好いい。女声ボーカルもこの手のグループには珍しくまずまず上手い。80年代的な都会派歌謡。新城のボーカルが曲調からすると浮いているのと全員台詞がなんかぎこちない印象が惜しいがいわゆる「ネタ」としては破壊力は十分。
 B面はこのバンドがやっていなければニューミュージックということで処理されそうな曲。サックスがブリブリ鳴りまくるが、さほど取り立ててどうという曲ではない。ただし女声入りのムードコーラスとしては異例なまとまり方でその点は素直に評価できる。
岡田実とバーディークラブ

酔わせて

EP ポリドール 7DR7  ヤング・トーンズのあと。まだあるバンドというのが凄い。ニューミュージックの爪痕が痛々しい演奏はともかく、ボーカルもホスト系グループのようになっており、グリーングラスあたりの狙いにかなり近いような印象の重苦しいバラード。ヤングトーンズ時代のサウンドはほぼ一掃されてしまっている。B面は一転軽快で陽気なオールディーズ風ポップス。再結成ワイルドワンズみたいな曲で、これはこれでいいけど、唖然とした。
サンディー・ナイツ

恋の七浜港町

EP コロムビア AA12  このバンド知らなかった。太郎ズに五年ほど遅れてはいるがこの時点でも男が金髪にしているというのは凄いのではないか。サックスが咽び泣くクールファイブ「長崎は今日も雨だった」調の楽曲だが、ボーカルがスタッカートの利いたサムソナイツの田中っぽい歌い方と堰を切ったように小節を突然効かせ始める歌い方が同居するボーカルが印象的。B面は歪ませまくったスチールギターが醸し出す不安感と間抜けなボーカルが対決したかと思うと、いきなり意気投合して女心を歌い上げる衝撃的な展開が人知を超越。それにしてもこのスチールギターの音はなんだ。
青島正志とフラワーナイツ

雪花の恋

EP テイチク RE10004  このバンドも知らなかったが、このジャケはなかろう。昭和最末期の演歌風。このボーカルもなかろう。歌い方が雑な部分が多く出過ぎていて素直に聞きづらい。灰汁があるわけでもお洒落であるわけでも玉砕しているわけでも奇襲をかけてくるでもない、凡曲。B面も同様。石川さゆりあたりが歌えばまた情緒が出てくるのかも知れないが・・・。

16.12.18 CDR2枚を頂く。最近心が荒み気味なので嬉しい。仕事の息抜きに聴かせていただきました。衝撃だったのはここでは詳しく書けないが、某演歌系といわれているGSの某曲のカバー。メロディーは60年代、ボーカルは70年代、企画意図は80年代、バックトラックは90年代、挿入される曲のセンスは50年代というまさに鵺的な曲で、これ一曲に歌謡ポップス史四十年史の怨念を詰め込みながら、全く別のものが出来上がってきている。クラウンって凄いなぁ。これ作ったプロデューサーの脳の構造がどうなっているのかかち割ってみたい。あと何だか分からない生意気女ロック歌謡の両面も聞けて真に感謝しております。話題になっていた曲も聞けて、納得。

16.12.16 アウトキャストのアルバムジャケットってマンフレッドマンの奴の影響を受けているんだよな。木造和船に裸足だけど。

ダディ竹千代と東京おとぼけキャッツ

デッド・ストック

2CD プレイ MTCH1108/1109  コミックバンドは技術的に高い水準を保ってこそギャグも冴えるというものだが、このバンドはまさにその典型。ボーカルも味がある。ある意味では七十年代後半に唯一日本でロックしていたバンドであるような気もする。で、これはダディ竹千代=加治木剛氏が私家蔵していた未発表音源から厳選した音曲集で、要するにデモとライヴ音源である。原曲を全く破壊し尽くした「銀座カンカン娘」やデビュー曲「電気クラゲ」のデモバージョンなどの楽曲ほか、阿呆なMCやシカゴやリッチーブラックモア、スコーピオンズなどの音マネメドレーネタなど、このバンドの音楽面に止まらない伝説的なステージングの一端に触れられる。是非とも映像が残っていたらみたいところだ。活動の形にもよるが、このバンドが当時一部のマニア人気に留まってしまったというのは歌謡界、ロック界ともに度量の狭さによるものであったような気がしてならない。クレイジーキャッツの正統な後継になることも、まかり間違えていたらあったかもしれない。
比企理恵

ベスト

CD コロムビア COCP33035  「想像力少女」のタイトルと曲がやっと結びついた。この一曲のテクノっぷりはまことに凄い。テクノテクノしてはいるがボーカルと相俟って無機質さよりも人情味の方が前に出てくるのが今の流行のテクノとは一線を画す。軽快なシンセサイザーが痛快。他はアイドル情緒はあるがこの時期のアイドルとしてはごく平凡な出来。橋本淳先生の凋落ぶりは痛々しいが・・・。
V.A.

グワシ!!まことちゃん楳図かずおワールド

CD コロムビア COCX33011  「まことちゃん」関係の唄を中心に楳図かずお作品を集めたもの。何といっても本人が作詞作曲に唄までこなしたグッドディスコチューン「グワシ!!まことちゃん」が凄い。幼稚園ぐらいの時によく聞いていた個人的なナツメロ(聴いていたのはパチもののカセットではあったのだが)ということはあるのだが、予想を裏切る展開を見せる曲想が素晴らしい。もう一度書くがこれは楳図かずおが自作自演をしているのだ。驚異と言わざるを得ない。他はもともと好きな近田春夫の「ああ、レディハリケーン」ぐらいしかぱっとした曲はないが、作詞家としての才覚の素晴しさは感心することしかり。都会的なファンタジーと刹那的な投げっぷりが融合した詞の鮮烈な存在感はまことに唯一無二。才能が有ろうが無かろうが自分には絶対にこういう発想の詞は出てこないだろう。ボーカルとしてもいわゆる超二流の域に達しており聞き惚れる。もっと周りが掬ってやればとてつもないものが出てきた可能性を秘めているだけに残念。

16.12.12 早く18日の予定を立てたい。

シャープ・ファイブ

コレクションVol.1

LP キャニオン C1061  オリジナル曲、ボーカル曲を含むシャープ・ファイブの多彩なレパートリーをつまみ食いしたアルバムで全曲初出の音源。「A列車でいこう」「ジャンゴ」「津軽じょんがら節」「春がいっぱい」など。出来不出来は無くBGM用にピッタリな穏やかなチューンが多いが、オリジナルの「雨だれ」はかつて「春の海」のような曲展開で唯一烈火のギターが聞ける。全体的に琴の音色を意識したというシャープスサウンドの色がストレートに出ており、またファズギターの使い方はまさに職人芸そのもの。特に「アイアンサイド」はグルーヴィーでサイケデリック感覚満点の好演。ボーカル曲はクインシー・ジョーンズのカバー「マネー・イズ」と信楽順先生作のフォークバラード「バカな俺」。ボーカルを取ったときの妙な泥臭さが健在。

16.12.6 祝詞事典が欲しい。

 MD二枚を頂く。ああ、GSの最右翼オックスの底力。

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