これ買いました16年2月


16.2.17 オリビアも好きな歌手だが、今日のセカンドアルバムを見て初めて本気でCCCDなることで買う気が失せた。

V.A.

ガチャピン&ムックが選ぶポンキッキーズベスト30

2CD ポニーキャニオン PCCG00634  「たべちゃうぞ」なんぞは別にどうでもいいが「カンフーレディー」収録が嬉しい。成る程な、幼稚園児には歌詞の意味が理解できなかった訳だ。名作「おっぱいがいっぱい」のタンゴ編曲は馬飼野俊一だったのか。ほか「からだげんきかな」や「十二支のうた」も聴けて満足。単なる歌謡ヒット集の二枚目はいらん、現代童謡らしい情緒や、ヒットを期待されていないからこそ出来る音楽的実験性もない、と書こうとしたら最後のチビミミ「チビミミナガバンディクート」が良い。ドリカムの中村正人による作・編曲は泥臭くドリカムのカラーからえらく外れた行進曲とフォルクローレを上手く混ぜ合わせた胸がキュンとなる哀愁の純歌謡。打ち込みがアニメ音楽っぽいが、素のまま何も作りをしていないようなボーカル(前振りや中間部に壊れそうな儚い芝居が入るから一層そう感じる。)が前向きな詞をそれ故に悲しみに転換させる。ナカムラミツルの詞は曲無しではイメージが散りすぎて今ひとつどこをピンポイントにしているのかよく分からないがこの曲のこのアレンジでこの声で歌われると涙を誘う。名曲也。正直ドリカムの人からこんなに波長が合う曲が出てくるとは思っていなかったので凄い拾いもの。まあ鹿賀丈史「ジャナイ」がラップ歌謡なのだが、話題の割にそれほど出来がよいとは思わなかった。
V.A.

笑うヒットスタジオ コミック&ノヴェルティ・ソングス

CD ポニーキャニオン PCCA01994  初CD化は殆どない。これも鈴木啓之氏の選曲監修らしく、ブチ壊れたコミックソングというよりも芸人レコード集。寺内タケシ関連の玉カル「じょんがらスペシャル」目当てで買ったが、実に正統派の望郷の心情を織り込んだ快作ロック。いかにも第三次ブルージーンズ的なギターとドラムの音も良いが、演歌的な世界とは無縁な歯切れの良い畳みかけ方が壷。文句ない傑作。しかもちゃんと邪魔にならないように玉カルの舞台芸をぶち込めてしまっているのも好感度高。あとは特にないが、こう聴くと80・90年代の楽曲は如何にも曲自体のパワーがない。敢て幾つか言えば技術自体は内村光良の方が高いが、歌いこなしでは南原清隆の「味」が優っているということと所ジョージの巧さに改めて流石歌手(キーのせいか工藤静香の出来がえらく悪いってだけだが。)と思ったことぐらいか。一曲だけでグッド。

16.2.15 官製だからとか戦時歌謡だから残らないんじゃなくて、単にトピックソングだから滅多に歌われなくなるだけ。体制か反体制かなんてのは些細な問題すぎない。こと「東京五輪音頭」が歌い継がれてないなんてのは妄想もいいとこ。

松武秀樹

シーケンシャル・ワーク

CD ブリッジ EGD2  第四のYMOによる初期作品/演奏集。思うに何かの音楽ジャンルが確立する時、オリジネイターにそのジャンルの本質が既に極められていることが多いが、これなどもシンセサイザー音楽の地平が既にここに表れている。機能の付いたキーボードという扱いからの出発だったことは、「小フーガ」や「青い影」というオルガン重視の楽曲のカバーから出発したことでも明らかだが、この出発点から確立した一ジャンルを構築しようと枠を脱却しようとしている悪戦苦闘振りが軽快な音の裏側から伝わってきて涙を誘う。そして沖縄海洋博関連楽曲では既にシンセサイザーならではの世界が既に構築されているのも驚きである。カバー曲には歌謡の要素もないこともないが、全体的には手探りで作る音楽の新鮮さと躍動感を愉しむ、情趣深いアルバムだと思う。
新津章夫

イ・オ

CD ブリッジ BRIDGE009  「音楽の基礎研究」シリーズ。ギター一本多重録音による驚異の実験サウンドアルバム。正直よく分からなかった。歌謡の要素が入っていないと俺はダメだ。
V.A.

ガールズ・イン・ザ・ガレージVOL1

CD ロムラン UFOX022  女性オリジナルガレージ集のCD盤。殆どは女性グループによるもの。ただし演奏までこなしているのかはよく分からない。まあ、まずまず良く出来たインストが一曲入っているが、これは流石にガールバンドだろう。男性グループのもつ絶望感とは逆に女性の芯の強さを体現したような陽気で強気なチューンが多く、何にしてもえらいポップでカラッとしているが、その分強烈なものは少ない。気に入ったのはザ・シャイメス「ヒーズ・ノット・ゼア・エニモア」でとてつもない歌謡曲。「日本ロック紀」で書かれているそのまま。「四季の歌」みたいな歌。やっぱり日本の楽曲が世界に通用しないなんていうのは大嘘だと思う。情緒に優る佳曲也。なお彼女たちによる「クワイエット・ア・ラピュテーション」もマイナーなポップでこれも良い。歌謡路線ではザ・ホワイトブーツ「ナイトメア」が語り物だが曲調がアイドルロックのようで、しかも闇雲なコーラスや効果音が涙を誘う。泣けた。他にビートルズの「シー・ラヴズ・ユー」を見事に引用したザ・ビートレーティーズ「オンリー・セヴンティーン」も組み立て方が素晴らしい。面白かったのはザ・ベリーズ「メルビン」で名曲「グローリア」の女の子の名前グローリアを男の名前メルビンに変えてカバー。日本だと「好きさ好きさ好きさ」「世界は二人のために」位しか例を知らないけれども、性差がないという建前を乗り越えた果敢なカバー、つまりこの手のガールをボーイに読み替えてのカバーもある程度の数があるらしい。また、ザ・ターマイツの「テルミー」はガールバンドらしい情緒があって良い。純粋なガレージ路線では、リンとザ・インヴェーダーズ「ボーイ・イズ・ゴーン」が自分好みのしみったれた曲で良かった。なんか5678sの聴き方がやっと解った気がする。そうか、彼女らに破壊的なものを求めたらいけなかったんだな。
V.A.

幻の名盤解放同盟スペシャルサンプラーCD

CD ディスクユニオン 番号無し  おまけでついてきた。同盟近辺の人脈に混じって高尾真美とかも。合間には湯浅氏のバンドらしい音の断片や奥崎謙三と思われる興奮した演説などが隠しトラックとして提供されている。というかのっけのジョージ村雨「釜ヶ崎人情」は音がスゲエ。その他クラブでの実況録音はいきなりどういうCDなのかを知らずに聴いたら怒る人もいるかと思われる。俺も何にも知らずに金を出して買ってたら、面白がりはするだろうが、制作者を恨むかもしれない。(つまり、俺も同盟の期待するリスナー像とはかなり隔てがあると言うことだ。)唐突な八ヶ崎第二小学校ブラスバンド「ドミニク」にはこのCDを支配するアバンギャルドな情緒がある。自分もこの情緒を期待して中京高文化祭ライヴ盤を買ったが、見事にすかされたので、流石だと思う。高尾真美「朝・愛の詩」は「ドッグ・ドール」のB面だが、放送禁止もののまさしくヤバイ歌唱が聴ける。これを放送できるような根性のある放送局は残念ながらないだろう。個人的にはA面よりもこっちの方が好きだ。なお、冗談でなく下資料としてディープ歌謡辺りを読んでおく必要がある。もの凄く人を選ぶCDでつと言っとく。俺も意図したとおりに聴いたのか自信ない。

16.2.11 紀元節。吉野家の牛丼食えなかった。

O.S.T

巫女みこナースMシングル

CD サイコ 001  エロゲーサントラ。主題歌は前に某氏に聴かせていただいたが、圧巻の歌いっぷりに度肝を抜かされ、ついには買ってしまいました。その「愛のテーマ」はどうと言うこともない普通の声優ものポップスなのだが、敢て言えば二十世紀最後の5年間位のエイベックスのユーロ路線歌謡に極めて近い感触。実際タイトルロゴなどは浜崎あゆみを意識していたりする。だが、演奏時間3分を過ぎたところで怒濤の展開。「巫女みこナース」というフレーズの連呼が始まるのだが、これが他人を寄せ付けない圧倒的な迫力。聴くものを上気させる。同じエロゲーもので極北と称される「メイドさんロックンロール」よりも音楽的には出来がいいと思う。どうでもいいが徳山lの「ルンペン節」(の再録音盤)にソックリな節回しが一箇所あるのだがまさか参考にしているとも思えないので多分偶然だろう。あと光年は距離の単位であって時間の単位ではない。リミックスとかも入っているが、この連呼部分が肝であることは制作者側も認識しているようで、そこが強調されたバージョン。但し短縮バージョンを除くとオリジナルの方がツボにはまっている。考えるに1960年代の自主制作歌謡やそれ以後の自主制作ロック・フォークの持っている猥雑さや鋭敏さを今担っているのは実はこういうエロゲー主題歌なのではないか。というか、この一発ネタをメジャー歌謡曲サイドが拾えなかったというのは情けないやら何とやら。もう一個の「愛しき人に捧ぐカノン」はいかにも通信カラオケ然としたバックトラックとガイドメロディーに何となくこの手の音楽の壷を掴んだような気になった。取り立ててどうという曲ではない。なお、何故か韓国プレス。

16.2.10 浦沢義雄はやっぱり天才。

サー・ダグラス・クインテット

シーズ・アバウト・ア・ムーヴァー ベスト・オブ・サー・ダグラス・クインテット

CD AIM AIM2018CD  えらい近代的な音でどうやら最近録ったライヴの再録音盤らしい。がっかり。これじゃニューミュージックだ。テクノみたいなアレンジまであり。
ザ・ブルーザーズ

バッド・ウェイ・トゥー・ゴー

CD サンデイゼド SC6209  爆裂パンクの表題曲を残したニューヨークの60’sオリジナルガレージバンド。当時はそのシングル一枚で終ってしまったが、アメリカの偉いところはそのランクのバンドですらまるまるCD一枚分のオクラ入り音源を録り貯めていたりするところ。流石に表題曲ほどブチ切れた曲はないが、どれも納得の出来。ガレージバンドにしては歌がかなり上手く、演奏に情緒があって佳く聴けた(この情緒云々とかいうのを非論理的と某フォークデュオの公認ページで叩かれたが、論理で音楽聴いてる奴の方が俺にしてみると理解できない。)。なかなか。
V.A.

テルスターマニア

CD MAM 3930350  ジョー・ミークの筆による名曲「テルスター」のみを22バージョン集めた狂い系のコンピ。問題作の本人によるデモバージョンこそ入っていないが、「テルスター」が代名詞のようなトーネドーズと、スプートニクス、ヴェンチャーズが各2バージョン入っているほか、シャドーズ、チャレンジャーズ、レ・フィンガーズ、チャンプス、ロッキン・レベルズなど世界中のエレキバンドの演奏がずらり。日本代表はブルージーンズだが、1963年の演奏としているのは誤り。音源特定中だがドラムの音からして少なくとも1970年以後の録音。ほぼ同じアレンジがベースになっているが、これに各バンドの意地やアイデアがピリリとスパイスとして入り込んで来るところに、たまらないエレキバンド探求や一曲だけを集めたCDの壷を感じられる。それが行き着くところまでいくとクラシックの聴き方になるのだが。
イマクニ?

恋のスベスベマンジュウガニ

マキシ アスコム 絵本(ムック)の付録  公共放送のくせに政府ならともかく訳の分からない新興宗教団体の肩を持ったりするNHKだが、その看板番組「みんなのうた」でたまたま聴いて度肝を抜かれた歌。「はれぶた」の主題歌以来の衝撃の展開を持つ曲として認識したが、落ち着いて聴くとそこまででもないか。ポケモンで名を馳せたイマクニがラップを交え達者に歌い流す。基本的に薄っぺらい打ち込みダンスもののアレンジだが、何故か高石友也の「受験生ブルース」のパロディーが挿入されるのが唐突で強烈な印象。尤も、これは「みんなのうた」で流す歌としては非常に正しい曲であって、この前後の色恋沙汰を歌い上げたり、モー娘。や椎名林檎とかの不必要な起用など腑が煮えくり返るほど苦渋が走るほどの愚策を考えると多分に良心的。付け加えると堺正章や北島三郎が「北風小僧のかんたろう」を歌ったり山田邦子がサボテン云々を歌うのは正しい。ちゃんと現代童謡しているから。そういうことで、本当に今の「みんなのうた」担当者は責任を感じて欲しい。「みんなの童謡」があるじゃんとか思ってるなら本末転倒。じゃあ「みんなのうた」なんか止めてしまえ。国民/ラジオ歌謡の伝統・意義と現代童謡の普及という使命を余りに馬鹿にして考えているとしか思えない。なお、絵本の付録という形になっているが、内容は「みんなのうた」の映像を起こしたもので、内容らしい内容はない。と言うことで絵本は正直どうでもいいのだが、これを単独の商品に出来なかったレコード業界は肝っ玉が小さいとしか言いようがない。

16.2.6 もう一度聞きたいが、ダンスやってる人から見て玉置成美の振り付けは格好いいの?なお、当方BoAの振り付けは理解してるつもり。

たいらいさお

復活のイデオン

CDS バンダイ No.209  出勤したら「お菓子CD」のおまけが職場の机においてあった。イデオンとギャバンだけ持ってないとか言ってたら、先輩がダブりを呉れたらしい。・・・なぜそっと置く。すぎやまこういちによる曲は特になし。詞は富野善幸が変名で書いているのだが、一見普通のヒーローものらしい詞ではあるものの、その情緒がなく、いかにも高みから観念的な部分に裏付けられて語られる言葉に過ぎず、自分がガンダムとかに全然惹かれるところがない理由が自分で判ったような気がした。
ザ・ヴァン・ドッグス

走れ!ヴァン・ドッグス

LP テイチク UPS5144J  ナンバーワンモンドGS奇跡のファースト。インスト。とにかくかっこいい。彼ら独特のリズム感、当時からドッグスサウンドと称されて売りだったらしい、が全編にわたって楽しめる。相田の破壊的なリードギターと時折狂ったような迫力のプレイを見せる千葉のオルガンが圧巻。個々見ていくと黛ジュンの「恋のハレルヤ」は完全に原曲を凌駕。特にオルガンによるリフの弾き出し方が素晴らしい。パイオニアーズ「太陽の道」は元がマイナーだが忠実にエレキインスト化していて好感。バンドテーマ「走れヴァンドッグス」は哀愁があってスプートニクス調の欧州のマイナーエレキバンドのようだが間奏でテリーッシュなギターが挿入され日本のバンドの意地が爆発。「哀愁のキャラヴァン」は前奏のアレンジに目から鱗が落ちた。成る程、中東だ。慮るにこれキャラバン時代のテーマソングだったんだろうか。「バラ・バラ」はとてつもないガレージインスト。爆発的なオルガンとそれに喧嘩を売るリードギター、情熱的なビート。完璧。「カルトGSコレクション」にちゃんとこのバージョンが入っていたらこのバンドの評価は一変していたかも。PPM「虹と共に消えた恋」は穏やかなオルガンが禅の境地に連れて行ってくれる癒し系のグッドチューン。タイガース「僕のマリー」は原曲の甘ったるさが微塵もないツイストっぽいビートチューンに。アレンジ次第でこうも印象が変わるのかと驚愕。「ターザンマーチ」は初期ブルージーンズ風の骨太さがグッド。一箇所ファズがかかるオルガンが印象的。
V.A.

北海道作詞家協会10周年記念アルバムPART1

LP 日音 N6062  キッパーズがバックを付けるマイナー歌手による素人作品のオムニバス。横内淳以外知ってる歌手がいない。こういう言い方は好きではないが素人に毛が生えたかまるで素人以下の歌唱が並ぶ。横内は流石に頭一つ出ているが、他は僅かに山本あつしという人が腹に来る歌唱を披露しているだけ。しかも、これも華がない。まるっきり演歌のアルバムで全くキッパーズがバックをつけている意味が分からない、というかそもそも全曲にキッパーズが絡んでいるのかすら判別できないうえに、音も異常に薄い。曲自体もめぼしいものはなく、唯一吉沢のり子「チェンジ」がジャズファンク歌謡に仕上がっており、完成度が高く、なんとかキッパーズではないかと思われるバンドサウンドが聴ける程度で、お勧めしない。
オチ、ジュンとジ・アップル

夕日のふるさと

EP フィリップス FS1081  本体入手。もの悲しく儚い偽装カレッジ・フォーク曲。B面はアイドルポップスの走りのような曲だが、如何にもスタジオ・ミュージシャン然とした演奏が、これはこれでいい。
ザ・バロン

恋の億万長者

EP 東芝 EP1261  根強い人気のある尾藤イサオのバックバンドの唯一の単独盤。A面はCD化済。B面のみ。名曲「コンドルは飛んでいく」をストリートに英語でカバー。リズム隊、特にベースが生き生きとした跳ね方をしており、またコーラスそのものにもパワーがあって元気。精気の殆どないA面より出来がいい。
トニーズ

アカプルコの娘

EP ビクター SV578  一顧だにされないビクター屈指の売れっ子グループサウンズの代表曲。アメリアッチっぽいボンゴと素っ頓狂な女性コーラス入りの呑気で陽気なポップス。ホーンセクションが前面に出ている。良くできた曲でそれなりに面白いが、昭和42年の曲とはとても思えない。一年か二年古いぞ。B面「そよ風とトニーズ」はバンド名がタイトルに入っているという意味でオックス「オックス・クライ」の魁。ちなみにキダタロー作詞作曲。「10番街の殺人」のように始まり、オッ格好いいと思った瞬間、脳天気なフォークソングが始まる。もっともサビはビートバンドしていていかにも過渡期のバンドの過渡期の曲という感じがする。旧ジャイアンツの「女の子の唄」に近い感触。ついでに言うとイントロで一箇所演奏が総崩れになるのも惜しい。
キッパーズ

結婚します

EP トリオ 3B702  唯一今尚現役を貫く「北海道のブルーコメッツ」の四枚目のシングル。単なるアダルトポップス。グループサウンズとして聞いてはいけない。ニューミュージック流れのバラード。ボーカルのキーが合っていない。B面も同じ路線だが更に演歌より。ムードコーラスですらない。キーは合っているが、まるで堀内孝雄のような臭さがあって、自分的には一番どうでも良い曲調。こちらは音そのものはいかにもなキッパーズらしさが漂っているだけに惜しい。

16.2.4 タワーレコード渋谷店にいくとどうしても便意を催す。今日も。

サラ&メロディー

サウンド・オブ・パシフィック

CD ブリッジ BRIDGE012  所謂和モノグルーヴの古典的作品の待望のCD化。日本民謡をジャズロック化した昭和四十年代を象徴する一枚。歌未経験、美人、混血(いま放送禁止用語らしい)を条件に一般公募した二人によるユニットだが、かなり歌が上手い。ムードコーラスでもこのレベルの女性ボーカルを聞いてみたい。さて、歌よりも要となるのは演奏の方。編曲の赤星建彦の才覚の鋭さが心に染みる。舞台音楽の経験からか使ってくる音楽的な飛び道具のレンチがやたらに広い。そう来るか、という意外な音の遊び方に新鮮な驚きが詰まっている。当時としては珍奇な楽器を駆使しているのも必然性があって、唐突な感じが全くしないのはとにかく立派。また流石爆撃の下を耐えた音楽人らしくその基礎教養は確か。これだけ尖った音楽姿勢にも関わらずダンスミュージックとしての基本を全く見失っていない。ラテンが基本にあるのだが、それに留まらずジャズ、ロック、ボッサと貪欲に各種音楽を取り込み、しかも付け焼き刃でなくそれをものにして自分のものとしてアウトプットしている。戦前からのラテン/ジャズプレイヤーの感性の若々しさと実力のそら恐ろしさが思い知らされる。ちなみにトラの音それ自体は伝統的なキングのオケ、オールスターズレオンあたりの伝統を引きずった音で、その業の深さが感じられて如何にも面白かった。もちろんグッド。

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