これ買いました16年3月

16.3.28 CDとかレコードとか買わないと体の調子が悪くなる。

モダンチョキチョキズ

ローリング・ドドイツ

CD キューンソニー KSC213  この時代が一番疎いなぁ。職人揃いのバンドだけあって、演奏の情緒が高い。特にファズギターのサウンドメイクが絶品。小林旭のカバー「恋の山手線」でスカを使うなどの当時の流行のリズムを多用してはいるが、平成最初期のロックバンドにありがちなどうしようも無さが殆どなく、時代性から隔絶されているのは流石。世にコミックバンドを軽視する風潮があるが、コミックバンドほど技術の裏付けがないとどうしようもないものはない。このバンドも前代の関西アングラバンドのスーパーグループという性格が非常に強く、だからこそこういう完成度の高いものが出来たのだろう。ギャグも今の所一回転して古くさくない。
ザ・サーフ・チャンプルーズ

チャンプルー・ア・ゴー・ゴー

CD ヴィヴィッド QRCD002  沖縄のネオ・サーフ・インスト・バンド。「唐船ドーイ」とか「なんた浜」とか。全曲繋げたバージョンとその一部の曲を独立させたラジオエディットで構成されている。演奏は確かに上手いが、レゲエを取り入れたサウンドが全く裏目、サーフバンドらしい熱さや思い切りのよさが全くなく、冗長の一言。色々なことを狙いすぎてどこを狙っているのかさっぱり解らないプロデュースのブレがそのままバンドの音の迷いに出ている残念なアルバム。
ハルカリ

エレクトリック先生

マキシ フォーライフ FLCF7060  若いパフィー、但しやる気と技術がたまに前面に出る。のこのこした印象のラップで始まるが、サビではエンジンがかかったように鋭い切り口が堪能できる。歌唱に情緒があって、メリハリのつけ方やグルーヴの出し方が異常に上手く、歌手としては一流の珠。とにかくもの凄くラップが達者。歌自体について言えば歌詞に内容が全くないのは感動的ですらある。曲もエキセントリックなオールドテクノ調だが「チェッチェッコリ」を引用するなどの茶目っ気もあり、詞曲共に馬鹿馬鹿しくて素晴らしい。どういう切り口をしてみても非常に良く出来たラップ歌謡であり、まったく死角なし。歌謡曲の神様・二村定一先生以来脈々と続く歌謡の本道を体現した佳曲也。この人達はダンスも素晴らしく、個人的にはCCCDで作品をリリースしていること以外は非常にかっているのだが、今ひとつ波に乗りきれないのは何故だろう。特殊ジャケだし金は掛かっているはずなのになぁ。ボトムは石野卓球によるトランス調のリミックスだが、全く元ネタが解らないほど換骨奪胎されており痛快の極み。これぞリミックスの醍醐味。まるで、般若心経をトランス化したみたいに聞こえる退廃ぶりが心に染み入る。このトラック単体だけをみても非常にレベルの高い楽曲で素晴らしい。グッド。

16.3.26 前衛的な机の配置による職場。

太田幸雄とハミングバーズ

夜を盗む男たち

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1089  以前ヴィヴィッドから出たベスト「ラ・ヴィラ88」収録の全曲をも含んだ、事実上それのパワーアップ盤。日本の誇るラウンジ系コーラス・バンドのベスト。改めて聴いた曲の中には演奏や小粋なボーカル自体はジャズの枠に留まっているものの、彼らにしてはムードコーラス指向の高い曲もあり、そのレンチの広さにしばし感涙に咽ぶ。高い実力故の時代の要請が彼らにも及んでいたことが解り、逆に安心した。ハワイアンものはちょっとバンドのグルーヴがばらけているような気もするが、名曲中の名曲「スティーヴ・マックィーンみたいな奴」「ヴィラ88」などは永遠に聞き継ぎたい名演。お勧め。
岡崎広志

リヴィング・ヴォイシズ・フィーチャリング岡崎広志

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1090  スキャットの名手(だけじゃないけど)の伊集加代(子)との共演によるハワイアン、スタンダードを中心とした楽曲群のチョイス盤。自分は日本語・英語にこだわる人間ではないが、この人に限って言えば英語のカバーの方がそのジェントルなあたりのボーカルの良さがよく透明感に結びついていて聞きやすい。伊集との息の合ったところやバックの壷を突いたジャズとしての出来のよさも再確認でき、イージーリスニングの鑑のような楽曲の並びが実に心地よい。日本語によるオリジナルはジェントルといえばジェントルで演奏もジャズってはいるのだが、シャンソンの衣から歌謡的な帷子が出てきて、意外に湿っぽく和風に聞こえるのが面白い。言えることは、ジャズの人は強い、の一言。
小唄勝太郎

島の娘

CD ビクター VICL60331  市丸とともに一時代を築いた芸者歌手のベスト盤。自分としては「明日はお立ちか」以外にないのだが、普通は「東京音頭」が代表作かなぁ。この人と比べるとビクターは市丸の扱いが異常に悪いような気がする。近年インディーシーンで芸者歌手の癖に口を開けて歌うという言語道断なのがいるが、この人のように上の歯、場合によっては下の歯も見せない、要するに口を動かさないで歌うのこそ芸者歌手の正統。この人は新潟の花街出身なので、おけさものが多く、その系統の楽曲の音をそっとおく歌いこなし方は情緒も含め絶品。ところが、この人は地力もあって「東京音頭」などのパワーにまかせた楽曲での歌い出しの強烈さはパンキッシュの域。ついでに楽曲もパンキッシュで端唄+流行歌の「柳の雨」、東洋と西洋の融和も眩しい「替唄・さのさ節」、新民謡はわけわからんの見本「東京甚句」と聞いているだけでお腹いっぱい。今まで余り重視していなかったが、やはり、凄い。こうなったら市丸共々解放して頂きたい。名曲「明日はお立ちか」はやはり泣ける。静かなる反戦戦時歌謡の大傑作。こういう名曲を軍国主義の一言で葬り去らせている連中というものの頭の構造を疑う。
ジョージ川口/石川晶

ドラミングビート

CD テイチク TECN25962  まるめ45さん、買いました。二大ジャズドラマーが競演盤を中心に外国曲を叩きまくる。昭和40年代にありがちなジャズ・ロック系の歌のないBGMアルバムからの選曲だが、流石誉れも高い名ドラマー二人をフィーチャーしただけあってグルーヴィー。圧倒的なスピード感が盤全体を支配する。左右のスピーカーから両者の意地と意地がぶつかり合う共演の十二曲は圧巻の楽曲ばかり。特に「白昼の襲撃のテーマ」「トレイン」「ドラマー・マン」の3曲は強烈。無茶なソロはなく、流麗なドラミングが美しい。叩付けるような江藤勲のベースもスパイスとして強烈に効いている。ドラム特にスネアの音とウーマントーン、ハモンドの共存が時代を偲ばせる。なお、この共演部分はオリジナルから曲順を変えている。どうでもいいがワイルドワンズ「青い果実」は「涙のくちづけ」が下敷きになっていることに気づいた。楽曲が好きなのもあるが活きのいいビッグバンド編成のジャズも聴けて、ボーナスのジョージ川口をフィーチャーした4曲が有りがたかった。石川晶がもの足らないと言っているわけでは全くないが、自分はジョージ川口のドラミングの方が好みに近いらしい。中でも「チェニジアの夜」は圧巻。これぞまさに自分の中でのジャズがそのまま出てきたような曲。こうしてみるとジャズにしても自分はこの辺ぐらいの年代までが限界になっているのか。ジャズ全然聞かないけど、この後の年代のジャズとは根本的なものが違う気がする。お勧め。
石川晶/ジミー竹内

R&Bドラム天国

CD テイチク TECN25963  これは石川晶とジミー竹内の二人の別の所謂ソウル/R&Bとされた曲をネタにしているアルバム二枚を組み合わせ一枚にしたもの。ジミー竹内の破天荒さがとにかく凄い。相変わらず通常部分の弾けるような瑞々しいリズムの刻み方と流麗と言うよりも強引に組み立て挙げたようなソロ部分のドラムプレイが圧巻。ドラム自体はロック的ではないのかもしれないが、ウーマントーンやホーンセクションを従えた演奏には死角なし。敢て言うならドラムプレイの魅力のもったいぶったところや破天荒さ自体が鼻につく人はいるかもしれないが。特に「キープ・ミー・ハンギング・オン」「ラヴ・チャイルド」「ジェラルディン」の3曲が歯切れの良く、全体の演奏もワイルドで印象に残る。ジミー竹内と言えば「ドラムドラムドラム」のベスト盤もリリース希望。こういう組み合わせされるとどうしても石川晶の影が薄くなってしまうが、けして物足りないわけではない。
V.A.

小沢昭一が選んだ恋し懐かしはやり唄五

CD コロムビア COCJ30750  思えば自分の歌謡好きの原点は歌謡曲の神様・二村定一と天野喜久代による「アラビアの唄」で、唄に泣くことを覚えた事であった。その懐かしの音源がようやくCDで聞ける。ビクター盤よりこっちの方が好きだ。僅かではあるが「アラビアの唄」を始めSP音源を含む昭和最初期までの流行歌謡を集めたもの。何度も言うように二村定一は日本の歌手の中で唯一別格。コロムビア版のベストも出して欲しいけど、まあ、前のコンピを見る限りじゃ、戦前の歌謡曲はどうでもいいように思っているようなので出ないんだろうな。泣く。ビクター盤に比べると緊張しているのか二村先生の声が固く太く、実直ながらやや表情に欠ける。なお、同じ組み合わせの「私の青空」も収録されている。これも音源はもっと何とかなるような気がしないでもないのだが。石田一松「のんきな父さん(のんき節)」石田一涙「被服廠の哀歌」のオリジナルは初めて聞いた。他は殆ど後世の吹き込み。「メーデーの歌」を聞くと「歩兵の本領」「アムール河の流血や」との関係(歌詞を変えただけ)に思いを馳せてしまう。要は労働/左派運動も軍国主義も大した違いはないなぁと。なお、このシリーズにはザ・エコーズ=ザ・ワンダースによる軍歌が収録されているものがあるので、興味のある方は要チェック。

16.3.6 うちの職場の人の娘の同級生がメンバーにいるらしいが敢て言う。ベリーズ工房はハロプロに止めの一撃になる。

V.A.

メイドさんダイナマイト

CD レーベル名なし SMMAID69  エロもの。三年ぐらい前に出たアルバムのリミックスらしいが、前のを聴いていないのでどうがどうなったのか何とも言えない。個人的にパラパラとかトランスとかの安いリミックスもの歌謡もぶっこわれた最近のアイドルものも嫌いでないせいか、聴き比べが出来る「メイドさんロックンロール」に関して言えば今回のトランス風のバックトラックの方が出来がよい。他も話題になるほどではないとは思うけれども、まずまず酷い曲はないと感ぜられた。というか普通に出来がいい。詞も電波だの何だのと言われているらしいが、これぐらいの歌詞のバンドはインディーのハードコアバンドだと結構いるのでさほどの衝撃はなし。むしろこの詞世界と似たようなものをメジャーで出しているロマンフィルムの方が凄いと思う。まあ、こっちの方がストレートだが。そう言うわけで歌手に焦点を当てる。南ピル子(正体忘れた)のボーカルは5曲ともが宜しい。丁度良い壊れ方だ。こういう、剣が峰にたってハイヒールはいて大風の中で皿回ししてるみたいなボーカルは、素直に、真似できないので聞き惚れる。「メイドさんパヤパヤ」のスキャットから投げやりな「サザエさん」みたいな鼻歌になるラスト部分の情趣はこの手の歌手でしか味わえない至宝也。一方「メイドさんブギー」は歌謡が演劇であることを想起させるメリハリの付け方に、成る程流石声優上がりと納得。他に気になったことは水子一郎と名乗りながら歌唱は子門真人がベースになってるのは何でかとか(というか真似できなかっただけなのかもしれない)、「絶滅のバラード」は安全地帯がアイドルスの「さよならは朝が来てから」をカバーしたみたいな歌だねとか色々あるけど、一言だけ。何故かデスメタルバンドでボーカルをとる羽目になったことのある自分に言わせれば、これがデスミックスとは片腹痛い。もっといじり倒しやがれ。というか、俺の方が歌が上手い。
ダリアンガールズ

ダンシング・スター

マキシ キャニオン PCCA80026  なんだこいつらはぁ!女子十二楽房+ビューティーペア+マックスという異常なコンセプトの大所帯グループ。ホリプロ無茶しすぎ!ホリプロでは「闘うおニャン子クラブ」と称しているらしい。狂ってる。細身の田舎臭い女の子15人が歌謡興行やった後おもむろにプロレスやるんだぜ。わけわからん。ホリプロ三っつめの不良債権にならなきゃいいが。(ググると結構引っかかるのでまるで無名じゃないようだが。)曲は八年位感覚が古いアイドル歌謡。ベタに言えば偽小室歌謡だが、全盛期よりもう一寸古い、平成おんな組とかセクシーメイツとかそのあたりのグループのサウンドに近い。ダンスものの割に妙にのりが薄く、如何にも中国人風の舌足らずさで世にすれていない歌唱を聴かせるが、例えて言えば中国風味を加えたニューヨーク・ファイヤー・クラッカーズという感じ。まぁ年末に買ったキャットファイターNCPに期待したものが聞けたのでよいか。旧関東州の大連出身という事で漢字では大連少女隊と書く。・・・韓国少女隊ってのがいたような気がするが気のせいだろうか。(まるめ45さまありがとうございました。)

16.3.3 昨日よく考えたらビールをジョッキ8杯ぐらい飲んだんだな。

V.A.

舶来流行歌 ヒット篇

CD コロムビア COCP32565  外国曲のカバーで名曲ということ以外全く各曲に共通性がなく、えらくとっちらかった印象のあるオムニバス。ただし結構持っていなかった曲が多かったのでいいか。宝塚少女歌劇月組の「すみれの花咲く頃」と旗照夫の「バナナ・ボート・ソング」と伊東ゆかりの「1990年」を一枚で聴けるのはどう言ったらいいやらわからん。中国、越南ほかアジア重視。しかし、苦節20年で手に入れる日本でも最高の楽曲の一つ黒木耀子「ベサメムーチョ」が収録されているのは本当に嬉しい。あるアマバンドがこれをカバーしていたがあんまりな出来で卒倒しそうになったことがある。また、淡谷のり子によるあのダミアの「暗い日曜日」のカバーに注目。あまり好きな歌手ではないが、素直に出来が良い。退廃からはかけ離れているがそつがない。というかこれが母屋でブルースの女王云々こそ邪魔な称号だと俺は思う。他に胡美芳のルンバで料理した「夜来香」の出来がよい。のりの良さは流石服部良一と唸らざるを得ない。貴重な大橋節夫による「南国の夜」、三島敏夫「知りたくないの」、そもそも収録自体が珍しいフォーコインズによる「雪山賛歌」も目玉。ジャケットは余りに酷いが収録曲は全部名曲。それだけに編集姿勢が惜しい。終わりの「別れのワルツ」(=「蛍の光」)の定番バージョンも収録した意図をどう解釈させたいのかよく解らない。
V.A.

舶来流行歌 笑・撃篇

CD コロムビア COCP32566  収録された曲はどれも珠玉の曲ばかりだが下品なコンセプトで編まれた余りいい顔をしたくないオムニバス。解説ももうちょっと何とかなっただろうに。前半は戦前モダン後半はロカビリーが主戦。探し求めたヴィック・マックスウェル楽団とバートン・クレーン(2曲も収録!)が入っているのは大変有り難い。他は殆ど持っている音源ばかりだが、沢村みつ子の2曲とミミー宮島、都家かつ江は初聴。特にミミー宮島「お祖父さんの時計」は「大きな古時計」の日本初録音盤とのこと。出来は普通。それにしてもこのジャケットセンスは酷い。まるで入ってくる客に塩を投げつけているような、買うなと言わんばかりの手抜きっぷり。異常な出荷枚数の少なさと共に好きでもない人間が無理矢理まとめたCDと見た。本当に膨大な音源が邪魔だと思っているのならそれを生かせる他のレコード会社に委譲していただきたい。こういうことがあるから相互リンクの申し出は有り難くても受けるわけにいかない。
里見洋と一番星

一番星/新盛り場ブルース

LP ワーナー L6012W  本体入手。ムードコーラス最狂のアルバム。どのくらい凄いかというとクニ河内編曲の曲が一番おとなしく聞こえる、ということでわかろう。パンジーさん有難うございました。

16.3.2 歌謡曲に政治を持ち込んじゃいけない。

ザ・キッパーズ

はまなすの恋

CD ミュージックキャップ・トーキョー MCKP01  唯一グループサウンズ全盛時代から解散を経験することなく現在までバンドが存続している驚異のバンド、道民に愛される「北海道のブルーコメッツ」の事実上のベストアルバム。オリジナルのシングル発売曲5曲と新録音曲一曲、カラオケ2曲にクリップ2曲分を収録。全曲彩木雅夫作品というというのもいかにも北海道のバンドらしい。「はまなすの恋」のカラオケ以外はオリジナル音源。「星のコーラス」の両面や8トラ音源が入っていないのは珠に傷だが、これがきっかけになって彼らに陽の目があたることになれば嬉しい。もっとも多分にムードコーラス的な要素が高く、音自体も「六十年代の音」なのは一曲だけなので、グループサウンドの音という期待を持って聞くと肩すかしを食らうかもしれない。そうは言ってもこのバンド大好きなので満足。「はまなすの恋」のカラオケともども映像が収録されている。「結婚します」はあまり大した曲ではないと思っていたが演奏シーンがそこに加わると感動の嵐。ここまで来ると理屈じゃない。もこもこたろうさま有難うございました。

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