これ買いました16年5月

16.5.30 先生!最適化が出来ません。

V.A.

永遠の80’s蔵出しアイドル大集合!

2CD 東芝 TOCT10892〜3  以前から好きなパティ「明日・・・咲く」、ヘレン笹野「初恋同志」という哀愁の純歌謡2曲の名曲ぶりを再確認。ヒエラルキーをひっくり返すような曲はなかったが、意外に良かったのは川島なお美「愛しのマンドリーノ」。タイトルは訳がわからないが、なかなか良くできたクールなラテンもので「シャンパンナンバーファイブ」あたりの出来の悪いわりに洒落たお嬢さん歌謡と言うイメージが吹っ飛んだ。この人歌の抜き差しを実はよく解っている。デビューした頃からワインワイン言っていたのが解ったのも意外だった。他には今まで聞いたことがなかったが橘陽子「泣かないでミュージック」が良い。どうも世の動きに反して筒美京平の曲は自分にとっては丁半博打なんだよな。いいか悪いか、良くても詞があの人かそうじゃないか。ついでにぽろっと言ってしまえば昔は松任谷由美とかサザンとか全然聞けなかったがこの年にしてようやく聞ける曲もないことはなくなってきたのはアイドルのニューミュージックものの中に80年代にも歌謡の本道が生きていることを発見したからに相違なかろう。歌の上手いだけのアーチストよりは歌謡の神に祝福されたアイドルこそ宝。本道ではないが止めどなくぶっこわれた沢口靖子は懐かしい。純歌謡路線の千葉まなみ「想春賦」や割に本格的な相本久美子「5つの銅貨」といったディスコを基調としたものもぼつぼつとあるが、全体的にテクノの意匠を借りた楽曲が非常に多く、80年代初頭をかき回したYMOの大旋風の残り香を感じ、往古を偲ぶ。その中でも相川恵里「純愛カウントダウン」はメロディーなどはともかく編曲に90年代の歌謡曲のモードを先取りしていて驚き。保守的なメロディーとは言え安室奈美絵か鈴木あみかというえらい近代的、小室的な歌い回しも出てくる。おそらくこの曲の最大の功労者は編曲の鷺巣詩郎だろう。他は広田玲央奈とか少女隊とか。ミニ語録付。よく見たらこのシリーズでポピンズ「妖精ポピンズ」収録の盤があるので探して中古で買おう。
ハーマンズ・ハーミッツ

ベスト・オブ・ハーマンズ・ハーミッツ

CD 東芝 TOCP50427  単なるベスト。(とはいうものの日本でないと考えられない企画らしい。)ビートルズを追い抜いていたときもあるのになぁ。スパイダースのかまやつ氏が「ハーマンズ・ハーミッツみたいにはなりたくない」と言ったらしいが、アニマルズあたりをトップに置いた序列からすると確かに外道だ。しかし、グループサウンド最初期ぐらいまでの当時の日本のポップスの手本というのはこのバンドあたりだったというのはよく解る。ストリングスの入れ方や女声コーラスなんかがいかにも日本のバンドにありがちなのだ。また、保守的な曲がずっと続くが最後のシングル「僕をたよりにして」(70年)は70年代どころか80年代の香りも漂い、彼らも猛者だった証がここにある。全般にインパクトがないのは確かに認めるが、これはこれで良質な「無害な」ポップスだと思う。こういうバンドもいたからのブリティッシュ・インベンションだと思うし。タイガースがカバーした曲も数曲あり、やはりGS屋は聞いておかないといけないバンド。ホリーズでヒットする「バス・ストップ」のオリジナルも収録されているのは有難いが、ホリーズの方が全ての点に於いて優っていると思う。
バガルーズ CD ヴィヴィッド VSCD2928  ソフトロックの名盤。子供向け番組から生まれたグループ。トップの「イフ・ユー・ビカム・ア・バガルーズ」がぶっ飛びもの。パワーいっぱいのアホなコーラスから一気に雄大な世界へ連れてってくれる。呆気にとられるダイナミックな展開は、まるで京阪京津線に乗っているような気分にさせてくれる。(解りにくい例えだな。)ほかはバブルガム的な親しみやすいメロディーをフルートやラッパとともビートが強調されたオケにのって流すような曲が多く聞きやすい。ただし、解説にあるほどは展開が効果的に使われているとは思わず、心をずたずたにするような曲もない。まあ、そういうことを求めて聞くような奴はいないだろうが。一言で言ってしまえば、実写版アーチーズ。どうでもいいがサイコ・ル・シェイム「浪漫飛行」のシングルがこのジャケットのパロディだったのは何故。
V.A.

アイドルデビュー伝説

CD ポニーキャニオン PCCA01038  ポニーキャニオンのアイドルデビュー曲集。アイドルの情緒たる斜め上を行くボーカルが楽しめるが、別格なのは岡田有希子。上手いとは言わないが圧倒的な存在感を誇る。若い命を散らしたから等の他の理由によるものではなく、声のオーラ只それだけにかかる。つくづく惜しや。作詞作曲の竹内まりやは本来自分の守備範囲に入る人ではないので、なおさら歌手の華が眩しい。あと能瀬慶子「アテンションプリーズ」は色々と揶揄されているが、その責任の7割ぐらいは作詞作曲の浜田省吾にあると思う。昔からギャグにされる問題の「アテンションプリイイイイズ」のフレーズは歌いこなすのに相当な技術が要る歌い回しになっている。尤も能瀬慶子が上手いとは口が裂けても言わないけども。斉藤由貴「卒業」はようやくタイトルと曲が結びついた。他に原田知世の初々しい歌声も胸を打つ。どうしても80年代はよくわからない。ほかに林寛子、井森美幸、松原みき等。

16.5.29 日華の華は中華民国または台湾のことだというに。

ジュディ・オング

しんぐるこれくしょん

2CD コロムビア COCP32691→92  青山ミチと並んで60年代後半のビートガールズを代表する歌手であるにもかかわらず、まともなコンピがなかったジュディ・オングだが、ついに出た。デビューから47年までのコロムビア時代の全シングル曲他をほぼ年代順にまとめたベスト。台湾系と言うことで極初期こそ中華風大陸歌謡と変ったことをしているが、すぐにビートガール化。オルガンパンクの傑作「愛する人に」などは既にお馴染みだが、これに限らずビートガール時代の楽曲はどれも佳作。小畑ミキやマーガレットあたりに比べりゃインパクトは弱いかもしれないが、王道中の王道を歩んだが為。それでも単なるビートものから捻りが加わってきた時代の楽曲はインパクト絶大。コロムビアはバンドのガレージ度が低い割にビートガールものののしびれ具合がいかれてるのが多い気がする。ちゃんと伯楽がいればちゃんと評価されたであろうに、下手にメジャー歌手として土俵に残ってしまったから軽く見られている節がある。個人的には「マイ・ロンリー・サマー」みたいな直球ど真ん中のが一番好きだけど。GSバブル崩壊後はご多分に漏れず違うジャンルに転身していくが、和風の「明日では遅い」、「花と小父さん」風のフォークものの「春は遅かった」(このギターリフは「俺と結婚しろニャロメ」にも使われているけど元ネタは何だ?「サマーホリディ」?)、グルーヴものの「ブラック・パール」、バカラック風の「涙のドレス」、ソフトロック調の「青い部屋」と考えられる身の振り方の全部に手を出しているのは凄い。まあ、ヒットは純歌謡の「魅せられて」を待つことにはなってしまうのだが。なお、「魅せられて」はソニー時代なので未収録。というか俺にはどうでもいい。ファズギターが豪放なというかもの凄く汚い「素足の青春」と「風のジェラシー」はやはり意表をつく哀愁ビートの佳曲。ひとりGSはこうじゃなきゃ。他にも美しいメロディーが心を濡らす「みじかくも美しく燃えて」など、駄作無し。アルバムなどに収録された李香蘭や渡辺はま子らのカバーも時代を反映したアレンジに仕上げており喜ばしい。お勧めする。
かまやつヒロシ

テイチク・イヤーズ1960〜1961

2CD テイチク TECH32005〜6  のちにスパイダースへ行くかまやつヒロシ(当時)のテイチク音源を集めたもの。以前のPヴァイン盤に収録された曲は全てこれで聞ける。オリジナル曲ばかり集めた二枚目の方が圧倒的に出来がいい。適否はともかくテイチクとしてはバタヤンの後継者の線を狙っていた節があるが、ポップスよりも演歌っぽいものの方がここでは確かにはまっている。軍歌の影響が異常に色濃く見られ、兵隊絡みが2曲あるほか、「ぶらぶら節」「ズンドコ人生」に至っては両面とも兵隊節の替歌だ。もう一つ、芸人でもないのにこれだけコミックソングばかり宛われたというのも異例だ。バンド演奏の点で言えばやはりジャズ濃度の高いサンダーバードのクールさが特筆もの。
田代みどり

テイチク・イヤーズ1960〜1964

2CD テイチク TECH32007〜8  ブルーコメッツ三原綱木の最初の奥さん田代みどりのテイチク音源を集めたもの。以前のPヴァイン盤に収録された曲は全てこれで聞ける。この人は後半は大分目立たなくなっているとは言え、無邪気に若さにまかせて積み上げていくリズムものの曲の方が向いているようで、しっとりとした奴とか戦前風歌謡とかは歌い切れていないのが多くて痛々しさまでも感じてしまうものも。要するに技術の人と言うよりはのりのよさで歌いきるタイプの人なのだろう。最大のヒット「パイナップル・プリンセス」が両方の真ん中の路線の曲だったのは結果としてはプロデュースの軸が定まらなかったという意味で損だったかもしれない。いい歌だが。また、何故かファイブ・サンズとはあまり相性が良くなく、スカイライナーズやノーチェクバーナと共演したものの方が出来がよい気がする。聴いていた曲では「いつもひとりぽっち」のドラムのビート感が良い。二枚目はオリジナルをまとめているが、初めて聞いた「明日の私」の捨て鉢な展開が凄い。リズムチェンジや民謡の引用という唐突な展開の曲が好きと言うこともあるが、この慌ただしい曲の中で上手く歌唱をまとめあげているのは立派。「みどりちゃんのドドンパ」のような諸リズム、特にドドンパものは達者に歌いこなしているが、聞いたところでは実はロックンロールが一番長けているような気もする。「跳び上がる娘たち」や「イカレちゃった」あたりのツイスト/ロッカ歌謡だと解りやすいが、シャックリの使い方が異常に上手い。むしろビートガールズになるべきだったと思うが、人生というものを後からなんのかんの言っても詮無い。時代と可愛らしい外見が仇になった。少なくとも斎藤チヤ子よりはロック向きだと思う。そうは言いながらオーラスに収録されているテイチク時代最後の録音「十代の素顔」はまるで雪村いづみを思わせる情熱あふれる名唱で、ますますここで芸能生活が中断されたことが悔やまれる。解説にドドンパフィリピン発祥説が取り上げられているのは流石。
ザ・パンドラズ

時間です ザ・パンドラズ登場!

CD ヴィヴィッド VSCD2928  80年代米ネオガレージシーンを彩ったガールガレージパンクバンドのファースト。後期はヘビメタになったってキングジョーさんの解説に書いてあるけど。初期音源などのおまけ付。結論から言えばネオ・ガレージ屈指の名盤の評判通り、上質の一枚。佳盤也。オリジナルガレージの持つうだつのあがらなさや絶望感が見事に再現されていて、シャドウズ・オブ・ナイトとかビッグ・ビーツとかあたりの感触を上手く打ち出すことに成功している。音の作り方が本当にマニアック。これを60年代のガレージ音源に放り込んだとしても容易に80年代の楽曲とは気がつかないだろう。日本のネオGSの多くが「音」そのものには殆ど関心を払っていなかったのとは対照を為している。どれを取ってもいいのだがファズギターの音色が特に素晴らしい。オリジナル曲も「ルイルイ」や「グローリア」、「ブルー・フィーリング」といった定番曲を彷彿とさせるような、マイナーガレージバンドにありそうな曲になっており(でっち上げておりの方が適切か。まあ、と言うことは、自分にとっては「歌謡」の範疇に入ってくると言うことだが)、そこに「ザ・ハンプ」のようなカバー曲との乖離は全くない。恐ろしいライティング能力、ハイ・センス。パワーで押し切るべき曲でも屈折した絶望感の方が表に出ており、壮絶な絶叫にも悲哀が付きまとうのは、天賦の才と言わざるを得ない。お勧めする。最後の訳のわからないインタビュー音源以外は。いや、これも面白いことは面白いけど。ガレージパンクは壊れてないとやっぱり駄目。

16.5.22 倖田來未「キューティーハニー」のPVは、あれは曲を売る気があるのか。

有限会社荒木組

ボクはD51

EP テイチク B15  荒木とよひさのいたカレッジ・フォーク・グループ。ブルーグラスが元にあると思われるトレインソング。穏やか。B面は大正琴を導入してダークダックスあたりからの日本情緒路線を繰り広げた曲。いかにもカレッジ・フォーク。糸魚川って川の名前だったかなぁ。翡翠って百年どころじゃなくそれこそ万年単位の話のような気がするし。
鈴木章治ととリズム・エース

恋のブルース

EP コロムビア LL1002  軽音楽もの。両面ともジャズスタンダードナンバーのカバー。ビッグバンドジャズの海に浮かぶクラリネットの音色にただ涙。B面は足が地に着いた職人技のスウィングに思わず体が揺れる。マリンバのリード部分も軽快。哀愁もあってグッド。
ジュンとシュク

白い小雨の物語

EP ソニー SOLB9  韓土渡りの女性デュオグループ。有名。グルーヴィー。「ステインアライヴ」と欧陽菲菲を下敷きにしていると思われる。村井邦彦らしい歯切れの良い瑞々しさに溢れている曲で、ペア・スズランが激しくなったような曲で「チャーム&セクシーコレクション」に入っていても別におかしくない佳曲。B面は葵テルヨシとかの男性アイドルにありがちな曲調だが、これもグルーヴィー。両面ともビクター時代のブルーコメッツっぽい。なかなか良い。
渚一郎とルナ・ジェーナ

だけど愛してる

EP RCA JRT1017  有名レコード。本体入手。ジャケにお座敷ソングって書いてあるけど違うと思う。
ニューキー・パイクス

イフ・ユー・ラヴ・サムシング?セット・イット・フリー

17cmLP ビート・ファースト BEAT009  日本の近代パンクのインディーズバンドの自主制作盤らしい。ボーカルがとても平成になってからのバンドとは思えない(でもペニシリンには似てるかも。巧さと言う点では天と地だが。)が、音の方はミクスチャーやレゲェ、メタルなどを通過した痕跡がある。全部英語だがその中でもオリジナルらしい「イージーラブベイビー」は針飛びが激しいのであれだが、ネオGSみたいなボーカルが酷い。キーを落とせばいいのに。ビートルズの「デイトリッパー」とジミヘン「紫のけむり」のカバーはどちらも近代のバンドによるカバーらしいなかなかの工夫があり好感を持った。ただしビートルズとかの本当のファンが聞いてどう思うかは知らない。

16.5.17 あれがグループサウンズだと誤解して欲しくない。形ばかりで魂がない。

ドライヴィング・スチューピッド

地獄へドライヴ

CD サンデイゼド SC11111  謎の一発素人オリジナル・ガレージ・パンク・バンドによる幻の音源集。当時は2曲を除き未発表でただ一夏を駆け抜けて燃え尽きた壮絶なバンドだが、壮絶すぎて覆面バンドだと思われていたという現代の伝説。早とちりして会社の目処も無いまま勝手にシングルの広告を出しただの、大学を卒業しないといけないのでバンドをぶっつぶしただのと、ガレージの本質である若気の無駄な燃焼をそのまま体現しているバンドだ。一言で言えば、よい意味で不可解。サイケ流行と言うにはまだやや早い昭和41年にこれだけ現実離れした詞を提出出来たのは奇跡的。音もフォーク・クルセダーズと同根のものを感じる。今もコラムニストやコメディアンとして活躍しているというリーダー・ロジャー・ケリーから発出していると思われる才気が心を切り刻む。ただし、所謂普通の意味での分かりやすい名曲の路線はない。捕らえどころのない、どういう線を狙おうとしていたのか全く読みとれない。鵺的で無駄な表情の豊かさが奥行きの深さと矢張莫迦な乱痴気騒ぎの両方を強調し迫る佳作。こういうのを聞くにつけアメリカのトラッシュ・カルチャーに対する懐の深さというものに感じ入る。やっぱり社会基盤は無駄でも整備されていた方がよい。
スワンプ・ラッツ

地獄ディスコ

CD ゲット・ヒップ・アーカイヴス・シリーズ GHAS5067CD  ワイルドなオリジナル・ガレージ・パンク。未発表曲を含む入魂の一枚(ただし編集盤)。荒々しいことこの上ない、圧倒的な疾走感で聞くものを唖然とさせるえらいテンションで押しまくる曲と情けなさが前に出て危うい青さに泣ける曲が同居している。音の印象はかなり違うがアウト・キャストと同じ臭いがする。若さが狂気の域にまで転じて爆発している。自分にとってロック音楽とはこういうものをいうのだ。曲毎邦題がついているが、力業笑うた。素晴らしいセンス。何でも「地獄の」をつけりゃいいというもんじゃなかろ。ガレージバンドらしく、殆どがカバーもの。既に聞いていたがやはりこの「ルイルイ」のカバーは凄い。「ルイルイ」の地平の遙か上をいく壮絶な演奏。他キンクスを中心にナッシュビル・ティーンズやらストーンズやら「イン・ザ・ミッド・ナイト・アワー」やらのカバーが続くが、注目はやはりガレパンの代名詞「ヘイ・ジョー」。えらく穏やかに始まったと思いきやいきなりファズギター一発疾走、ボーカルも悶えまくる。ちゃんと弾けるかよりも勢いを優先させた演奏も情緒深い。しかも短い。ああ、ガレージパンクここにあり。
福呂小路小春

嗚呼小春!

EP 東芝 TP17067  破壊的な歌唱を除けば正統的なしょぼくれ人生を歌い上げる演歌。本人作詞。台詞の被さる間奏と終奏のバックが「戦友」っぽい。B面はまるめろ(旧称)さまに聞かせて頂いたが、名曲、名唱、名ジャケットの三重奏。ポンキッキのジングルで使われていたが、シンセによるイントロから始まりグルーヴィーなドラミングや三味線の挿入、何より破壊的な歌唱と歌詞の大胆さに肝が潰れる。名盤。
サクセス

サクセス・ストーリー

EP ソニー 06SH280  ホリプロのあまりメジャーじゃない四人組セクシーグループによる山口百恵メドレー。所謂「スターズオン45」もの。唄を崩しすぎ。メロディーにのってないところもある一方で結構なコーラスを披露していて上手いんだか上手くないんだかわからん。B面は「パパはもうれつ」みたいな始まり方をしながらいきなり胸キュン純歌謡になる阿木/宇崎曲。こっちだと当たりの強さもあってかなりコーラスの上手いグループのように聞こえるのだが。
青山ミチ

男ブルース

EP クラウン CW641  演歌R&B時代。ティンパニーから始まるが緑川アコのコンセプトが流用されている。当たりが強く灰汁の濃い歌唱は流石。「ズンドコ節」風。B面は「女ブルース」。タイトルでかましているが、こっちの方が当時の純歌謡。小節を仄かに利かせながら軽妙味も感じる歌唱がよい。マハロエコーズの「恋獄のブルース」に似ている。
五島潤

恋はめちゃくちゃ

EP ビクター VV3  未解放幻の名盤。ミニスカジャケ。喘ぎ声入りディスコ演歌。「いじめて」とか「私死んじゃうわ」とかそういう歌詞。鳥井実作詞/彩木雅夫・城美好作曲/馬飼野康二編曲というもの凄いスタッフで、出てきたものもそれに相応しい名曲。本当にむちゃくちゃ。ミス花子「ワンダー島のオッサンの唄」を彷彿とさせる。B面は五島の出身地長崎にちなんだビージーズを風味を損なわずに見事に演歌化したグッドチューン。気がついたら着地点が「恋のサバイバル」っぽい。こちらもなかなかよい。
森山加代子

ふりむいてみても

EP コロムビア CD67  放送禁止用語があるが名曲。「白い蝶のサンバ」のヒットを受けているため、センチメンタル度は上がっているが、同路線。ベースラインはなかなかグルーヴィー。もっとも小川正美とルナ・ロッサによるカバーバージョンの方が出来は上。B面はいしだあゆみっぽい小唄調ポップス。なんか折角時代を反映した楽器演奏なのに音の密度が低いような気がする。サビが千葉紘子の「折鶴」っぽい。
黒沢浩

ジャック・アンド・ベティ

EP ポリドール DR6082  未解放幻の名盤。郷ひろみ風の典型的アイドル・ロック。タバコすいたいとか酒飲みたいとか歌うのは珍しいが、凡。B面も同系統のアイドルロックだが恋を本塁憤死に例える発想がちょっとわいている。ちなみにキャロライン洋子の兄上。
仲村トオル/一条寺美奈

新宿純愛物語

EP ファンハウス 07FA1115  井上大輔によるバラードもの。曲自体はやや古くさいぐらいで特に書くべき事もない曲だが、デュエットしている二人が二人ともネジの飛んでいる歌唱なので大変なことになっているという盆栽の見方みたいな曲。B面はこれぞ井上節の軽快なロックンロール歌謡。トラックのかっこよさは文句無し。特に井上本人と思われるサックスの他、シンセサイザー、ベースが強調されいて80年代風のグルーヴが胸をうつ。・・・ボーカルいらん。
波ユタカ

青いキャンドル

EP コロムビア SAS1242  くるみ兄弟作品。松浦ヤスノブのサックスが花を添える森進一フォロワーなブルース演歌=ロッカバラード。というか、胡浜三郎あたりに比べると余りに本家っぽくてオリジナリティが無い。というかそのまま。凡。B面も同じ路線。こっちにはサックスは入ってない。
北野ルミ

あなた愛してなぜわるい

EP RCA JRT1126  有名な人。和風でしとやかな歌謡で演歌と歌謡の境界線の上にある曲。「私の城下町」と「あなたならどうする」を交ぜたような歌。子守唄調とも言える曲でさほどおかしな曲ではないが、サビの一番いいところで舌足らずな歌唱になるのが萎える。B面はKとブルンネンをアン真理子が歌っているような曲だが押しが足らない。詞は石坂先生だがまた「女のブルース」路線。いくら何でも。
ハイ・スパンキー

思い出は薔薇のように

EP コロムビア LL10161J  スクールメイツから選抜したナベプロの対フォーリーヴス迎撃弾。ノスタルジックだが気の抜けたバラード。森本太郎作品。スウィング・ウエストの「流れ者のギター」に感触が近い。何にせよ感性の素朴さは好感が持てる。B面はチェンバロ入りのロシア民謡調の作品だが、タイガースの流れであることが解るサビが興味深い。「恋の阪急三番街」に通じるクールさがある。
いなますはじめ

奈良シティロックンロール

EP ワーナー L284A  奈良のご当地歌謡ってだけでモンド。ラッパとピアノ入りロックンロール。サビが「大仏ブツブツ鹿さん丸いクソ」というだけの他愛ないコミックソングで、どう聴いてもアラジンのフォロワーだがこれでも後藤次利編曲。但し完成度はまずまず高い。どうせなら「デトロイト・ロック・シティ」も絡めて欲しかった。B面はこれがこの人の本性であろう、やしきたかじん風スローバラード。ありがち、の一言。
加賀城みゆき

東京むせび泣き

EP コロムビア SAS784  演歌の御母。この人の「おさらば故郷さん」を知らない演歌歌手は死んだ方が良いと思います。その位の重要人物。これも極初期の純演歌。レゲェと実は同根の部分が大変大きい演歌というジャンルの本質を感じさせる曲。民謡ののりで巻き舌を交えて激しく歌いたくる迫力にはジャンルの先駆者ならではの果敢さが溢れている。B面はドサ回りの大衆演劇の悲哀を歌い上げたコミックソング。ノリノリの目まぐるしい演奏に全力で叩付けるボーカルが格好いい。民謡/演歌の素養はモチロンだが浪曲とラテンの素養もないとこうは上手くいかない。コミックソングが上手く歌えるのは超一流歌手の証だと常々いっているが、こういうのを聞くと納得できると思う。名曲。この人が省みられなかったということが結局正統な演歌というものが滅んだ遠因だと思う。
有田弘二

東京物語

EP コロムビア SAS738  コロムビアの2番手青春歌謡歌手。B面のみ。スチールギターがリードを執るマイナーのマヒナ調ムード歌謡。絶対こっちの方が売れ線だし完成度も高い。この人は正統的でいい声をしているが今ひとつインパクトのある曲に巡り会えなかったのが敗因なんだろな。一曲凄いのがあることはあるが、あれは通常の意味で売れ線ではないし。
GHS

ギラ!

EP コロムビア PK151  ゴールデン・ハーフ・スペシャル。確かラストシングルだったと思う。70年代の曲の割に音が近代的なラテン歌謡。のりも良いしこの時期の楽曲としてはかなり健闘している。しかし何れにもいかにもB級ののりで、大ヒットを狙うには諦観ありすぎ。ちなみにドラクエは無関係。B面は「YMCA」を英語のままカバー。ヴィレッジ・ピープルの歌をセクシーグループに歌わせるという発想は面白いが、曲自体はさほど面白いものではない。
エディ・土屋&ボブ

錆びる心

EP クラウン CWA8  いい顔ジャケ。良くできたホスト系ムード歌謡でベースラインに工夫あり。その分大衆性はなく、いかにも売れなそうだが。B面は淡々としたベースラインがクールな印象を与える。東京ロマンチカの「くちづけ」の派手なところを全て殺ぎ落としてディスコビートにつけ込んだような曲。いずれにせよ地味だ。
香取佑子

ポンと出ました太平洋

EP テイチク RS169  本来のA面は「海鳴りぐらし」の方なのでそっちから。歌謡曲とはしているが、所謂平成美人演歌の路線。船村徹先生の作品とは言え情緒無し。まあ端的に言えば詞があまりにもよくない。B面もはっきり言って演歌だが、こっちは豪放磊落で水準を超えている。イントロのワイルドなギターがかっこいい。曲は坂本冬美の豪快な方の路線を先駆けていて爽快感が伴うが、何れにしても詞が良くない。この詞だったら別に太平洋でなくても、また女歌でなくてもいい。というか一番と二番以降の詞の繋がりが全くないではないか。石坂先生の詞はいい詞と悪い詞の差が極端すぎる。この人は歌手としては全般には可もなく不可もなくと言ったところだが、歌い上げたときの小節の残響が汚く感じるのが惜しい。
鈴木ワキュー

ソウル地下鉄

EP フォーライフ FLS1021  ファンキーなディスコ歌謡だが、意気消沈しているし歌詞も訳わかめな意味不明歌謡。ミッキーカーチスプロデュース。一体何を狙っているのか参酌できない。どっかの劇団のオープニングみたい。B面はいまいずみあきら繋がりと言うことで「フランシーヌの場合」の替歌。「成田空港の場合」ってわけわからん。トラックは飛行音以外は本編には工夫無いが、最後に申し訳程度にディスコ化。唐突なだけで意図不明。

16.5.8 何でカウンター席の目の前に洗い場があるんだ。水にも何か浮いてるし。(家の側の食堂。)

渚ようこ

愛の逃亡者

マキシ ユニヴァーサル INTN2001  ブックオフへ行ったらキャプテンズとかシロップとかヤングとかデキシードザエモンズとかのその手のバンドのCDが一揃い並んでいた。誰かが引っ越しにあたって丸ごと処分したんだろう。渚ようこも何枚かあり、それを含めてこの手の奴は他はそれなりの値段だったのにこれだけ三百円だった。何故。
 内容はスピード感が心地良い透明感溢れるボッサロック。70年代初頭のソフトロック・ムーブメントをかなり高い質で再現していて好感。特にコーラスやストリングスも研究の成果が抜群で全く今世紀になってのリリースとは気付かせない。ちょっとボーカルが演奏に埋没気味なミキシングが惜しいが、なかなか。この時期の車のCMソングを想定して作られているが、その点については完璧に成功している。これに限らずどの曲もストリングスの使い方が非常に宜しい。カップリングはチェンバロが眩しい憂いを含んだいしだあゆみ歌謡。敢て言えば小唄調よりももう少しポップに歌った方がいいような気がしないでもないが、気にするほどでもないか。この人の一連の作品にはあまり自分とは相性がよくない印象があったが、これはなかなかよい。
プッチモニ

ベイビー!恋にノックアウト

マキシ ソニー EPCE5093  保田圭いいな。ロッキンだが歌謡味の方がうまく前に出ている、この時期のつんくの勢いの凄さを偲べる佳曲。小西貴雄によるアレンジはユーロの系譜だが、リフが聞き覚えがあるのにどっから取ってきているのか思い出せなくてもどかしい。カップリングはペティブーカっぽい、凝っているのか凝っていないのかよくわからないノスタルジックな童謡風ワルツ。他愛もないがボーカルがとっ散らかっていて、なにか聞き難い。
プッチモニ

ぴったりしたいクリスマス

マキシ ソニー EPCE5127  保(以下略)。よーく聞くとビートルズ歌謡。とりあえずポップだし破綻したところもないが、それ以上に失速感の方が強く、曲世界に入り込みづらく、結果として歌謡起源の親和性が殆ど感じられなくなっている。カップリングもタイプは違うがビートルズ歌謡の系譜。これも特になし。どうでもいいが平成3年ぐらいに吉沢瞳って名前の別人のアイドルがいたような気がする。・・・本当にどうでもいいな。
シェキドル

徹底的運命

マキシ ソニー SPRE9005(TGCS1117)  これもつんくプロデュース。発売当時の印象がないな。シタールが全編にフィーチャーされている。ストーンズ風に始まり「黒く塗れ」が下敷きになっている所もあるが、どっちかというとボックストップスの方が色が強いかなぁ。何にせよメロディーがエキセントリックな割にギリギリで売れ線ポップの土俵の中にたっており、もう少しボーカルに気合いが入っていたらもう少し話題になったかも。何れにしてもデビューした頃のイエロー・ゼネレーションがやったら嵌りそうな退廃感が堪らなく、なかなか面白い曲。泣ける歌謡曲ではあるが、一方でつんくメロディーの本質がロックであることがよく解る。こういうねじれが歌謡曲の面白いところだ。しかもこんな退廃感バリバリの曲なのにアイドルらしい自己紹介ソングも兼ねているのは、商業としてどうなんだろう。常人には及びもつかないプロデュースだ。いや、微妙だが誉めてるつもりです。こっちについては演奏もつんくが自らやっているようだ。カップリングはカブラも投入してインド風味を高くした上にストーンズ風からバーズ風に基調を差し替えたもの。こっちの方がやや出来が良いか。こっちは高橋諭一編曲。なかなか良い。
沢城みゆき、湖太郎

ちいさなまほう

マキシ キング LACM4054  アニメ「ぴたテン」エンディングテーマ。いや、アニメの名前以外は何も知りませんが。末期のニューミュージックに毒されたアイドル歌謡風。編曲にはフレンチポップスが参考とされているようだ。ボーカルもアイコが儚くなったような風だが、生かされているとは言い難い。はっきり言って楽曲としての価値はない。カップリングはアコギを強調して最近のアーティストを名乗るアイドルにありがちな曲だが起承転結のメリハリの付け方が何とも一本調子で、ボーカルの押しの弱さと相まって灰汁がない。「みこ巫女ナース」で吹っ飛ばされたアニメ楽曲への偏見が復活しそうだ。どうでもいいが、ベースはバカボン鈴木。

16.5.2 結婚なんかするもんじゃないな。

リンダ・リンダ

超・狙いうち2004

マキシ ミュージック・ウェブ DLCR04041  山本リンダのカバーメドレー(一部新曲)。本人も一部に参加。普通メドレーものとかをやる場合、どう上手く繋いでいくかということに血道をあげるものだと思うが、単に連続して演奏しただけという方式に落ち着けたのは豪気というか何にも考えていないというか強引というか何か訳の分からない迫力を感じる。ピアノ主戦の演奏ということで一応バックの音の統一を取ろうとしているがどうにもなっていない、いや、本格的にどうしようとも思っていないのではないか。歌唱の方はキーヤキッスあたりの全盛期のエイベックスの音づくりをそのまま踏襲しているにもかかわらず、二十歳前後の人が歌っているとはとても聞こえないジュリアナの残り香や歌謡路線に相応しい手練の味があるのが末恐ろしい。いや、まあB級はB級でモー娘。のような超B級になるのは難しいかもしれないが、そこはそことして刹那的な雰囲気が横柄しているのは素晴らしい。ルックスは全然違うがワンギャルの雰囲気に似てる。そういや「狙い撃ち」はホワイトタイガースもやってるがこの曲にはいたいけで何にも解っていなそうな大所帯アイドルにカバーされるべき運命があるのだろうか。カップリングは山本リンダ本人が同選曲(順番は一部違う)でメドレーを歌うが、衰えがないのがすごい。どういう由来の盤なのか。
なめくじバスターズ

なめくじ逃げ〜!逃げ〜!

マキシ LD&K 148LDKCD  太田油脂株式会社の蛞蝓除去剤のキャンペーンソング。LD&Kってこんなんばっかりリリースしてるな。スカも入った疑似エレキ歌謡で東京ブラボーの演奏にザ・シロップのボーカルが乗ったみたいな曲。上っ面だけ取り繕っているようなボーカルが80年代アイドルを思い起こさせるが、だからどうだと言われるとそこまで強烈な歌でもないと思う。

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