これ買いました16年8月

16.8.31 浜崎あゆみのチョコのCMソングが吉田拓郎に聞こえて仕方がない。

井上宗孝とシャープ・ファイブ

トラ・トラ・トラ

EP キャニオン S9  本体入手。
グリーン・グラス

一人でいるよりあなたがいれば

EP キング HIT755  レコード未発売GS・ジュニアボーイズの後身。一般にはメンバーの田中きよしと松木恒秀がスタジオミュージシャンとして大成した事で知られる。(ジェノバ云々はデマとのこと。ダイナミックMさまありがとうございました。)で、これは「フランシーヌの場合」を思わせるソフトタッチなぬめっとしたフォーク曲。ギターはシャープファイブばりの技を一瞬見せているが、上手いバンドなんだかさっぱり解らないスタジオミュージシャン中心のシンプルなアレンジで、特にイントロとアウトロの男女混合コーラスは英亜里の「花の手拍子」を思わせる。B面はハーバーナイツの「愛の夜明け」をクック・ニック・アンド・チャッキーが歌っている様なブラス入りのソウルフルな曲でギターも唸る。
花菱エコーズ

泣いても泣いても

EP 東芝 TP1666  ロス・プリモスの分派グループのデビュー曲。名付け親でもある林家三平が全面支援しており、なんとA面では作曲して楽曲提供している。「黒の舟唄」みたいな沈鬱な歌で、例えは悪いが軍歌と「尊師マーチ」を繋ぐキダタロー先生の言う「素人の作る典型みたいな曲」。B面は同時期の三島敏夫とそのグループを思わせる演歌とムードコーラスの真ん中ぐらいの路線の沈鬱なバラード。保守的な楽曲に反し、ジャケットは前衛的で訳が分からなくて格好いい。
ザ・キャラクターズ

恋ねぐら

EP キング BS(L)1392  女性ボーカルのお召し物がお洒落だ。両面ともアルバム「パッパヤー」収録のバージョンと同じみたいね。
岸田まさあきとナイツサッポロ

私のあなた

EP TAG DA1001  北海道のローカルインディームードコーラスバンドらしい。アロハブラザーズとは別曲。全くメジャー作品と比べ謙遜無し。チェンバロで始まるが、全般的にはラテンが薄れた時代のロス・インディオスを思わせる。ボーカルはグリーングラスの長谷二郎に近しい。北海道情緒溢れる佳曲だが、さびの「わたしのあなた ミスターダンディー」という歌詞は結構意表を衝かれる殊勲賞ものの歌詞で楽しめる。B面はタンゴ調でキャバレーでの営業回りをしまくっているような手管を感じさせ、味わいと血潮の熱さが胸に迫るムードコーラスクールを体現した歌。両面とも佳曲。
ブラック・ジャック

風のいたずら

EP コロムビア PK23  ムードコーラス系デュオ。すぎやまこういち作品。牧伸二のバッキングをしたグループで同名のバンドがいたが同じ人達なのかしら。狩人よりは歌謡に傾いているがすぎやまこういちらしく基本構造はポップ。スチールギターの使い方が印象的。B面はサックスが咽び泣く完璧なムードコーラスもので「トーキョー・イレブン・ラブ・コール」とか「夜の貴公子」に通ずる情緒があり良し。
来夢来人

雪見酒

EP コロムビア LK82A  真面目になったあのねのねって感じか。ボーカルは妙なオブラートがあるが原田芳郎を思わせる。どういう人達か知らないが、案ずるに伝統的な関西フォークの延長線に位置する作品ではあるまいか。題名通りひんやりとした感触は悪くない。青い三角定規みたいな人達なのかと思ったが、暗雲立ちこめるルックスをしており、女性は殆ど活躍しない。B面はフォークの歌謡化が叫ばれた時代の楽曲のようなやさぐれたフォーク系ブルース歌謡。明るい雰囲気のバンドだったら成功していたかも知れない。

16.8.28 マクドナルドでモスバーガーをくれと言っているようなものだ。

西郷輝彦

ゴールデン・ベスト

2CD クラウン CRCN20307/8  実はロック度の高い西郷輝彦。ケース底の水着姿の青山ミチ、泉アキと一緒に写る写真がかっこいい。煽りでもなんでもなく珍曲扱いされている「ローリングストーンズは来なかった」が全く目立たない、むしろおとなしめの楽曲の類に感じる。(もともとこの曲の自分の中での評価が低いということはあるが。)また、エレキバンドのボーヤ(今でいうローディー)としてキャリアが始まったこともあるのだろうが、洋楽色、特にロックの要素が驚くほど高い。この辺り、ともに吉田学校出身の橋、舟木の他の御三家の二人とは異質の人であったことが偲ばれる。圧巻なのは「友達の恋人」。早すぎたロッカーたる西郷の驚異的な歌唱が楽しめる。その他「傷だらけの天使」「星のフィアンセ」「月のしずく」などグループサウンズ時代の時勢に流されヒットしたとは言い難い曲のクオリティーの高さが目に付くが、これらの曲には西郷自身の筆による曲も含まれており(自作自演って奴だ!)、実にその才能の豊かさに驚くと共に、もう少しこのロック感覚の鋭さを生かすことが出来ていたら、加山雄三や内田裕也らと共に日本のロックの先駆者として名を馳せたであろうにと思え何とも感じ入るところが深い。二枚目のトップ「真夏のあらし」は不幸な事故でキャンペーンが頓挫したが、あそこで上手くやっていたら或いは一連にリリースされた曲を聴く限りグループサウンズ崩壊の混乱を縫ってもう一度黄金時代を築けたかも知れないのに実に惜しいことである。ロックロックと言っているがそれだけではなく、例えばボサノバものだろうが、所謂青春歌謡の本道だろうが、トム・ジョーンズ、ミッシェル・ポルナレフといった洋楽のカバーだろうがガンガン歌い倒しているわけで、その姿に舌を巻くし、また実に痛快。二枚目後半の楽曲を聴くとこの自由奔放さが後退しており、美空ひばりもそうなのだが、これだけの才能を結局小さな箱に押し込めてしまった七十年代の日本の歌謡界の度量の無さが何とも恥ずかしく感じる。ブルコメをバックにした「ヤマハヤングジャンボリーのテーマ」は音質は悪いもののその切れの良さは抜群。もちろん「君だけを」「星のフラメンコ」「星娘」といった(質のよい)定番曲も入っているので多面的に大歌手の素晴しさを味わえること請け合いである。ということでお勧めする。
パ・ド・ドゥー

ダイナマイトカウントダウン

CDS クラウン CRDP202  見た目からしてB級感漂う世紀末のアイドルデュオ。フレンチポップス路線。ミッシェル・ポルナレフとかフランス・ギャルとかからの引用が多し。曲は音楽的な工夫も見受けられる割にそれが極端なところに結びつかず、結果変な曲になっている訳でもなく十分売れ線なので、元気さが中途半端で、もっと弾けるかもっと内向的にすれば上手くはまったとおもわれるだけに惜しかったところ。カップリングはフクダさんに前に聴かせて頂いていたラップ歌謡の佳作「リスン!リスン!リスン!」。全然気付かなかった。
山内賢/日活ヤング&フレッシュ

青春ア・ゴーゴー

EP 東芝 TP1239  B面のみ。西郷輝彦の「愛するノーラ」を彷彿とさせる重苦しいフォークバラードでアニマルズの影響がかなり高い。こちらの自演のA面とは違いバックはシャープ(ス)・ファイブ。軽快なエレキが重い曲調を一層際出たせる。山内の耳を抉るような激しい歌唱は何を聞いても外れがない。この人のベスト盤出せ東芝。
徳川一郎

女はこわい

EP ポリドール SDP2038  バックはオリジナル・チンドン・ポップス・バンド。もしジャケットに映る老人連がバンドの本人だとしたらファンキーなことこの上ない。「流転」と同じようなイントロで始まりあっぱっぱなチンドン演奏によって、良い湯加減で徳川が唸るコミックソング。童謡の「浦島太郎」を彷彿とさせるメロディーあり。ワイルドなファズではなく細かなフレーズを弾くギターが印象的。B面もチンドンが賑やかに囃す良い湯加減で唸るような曲だが、「涙を抱いた渡り鳥」路線の真面目な演歌。さびでの転調に工夫あり。ぼちぼち。

16.8.25 西郷輝彦と美樹克彦は売り切れてた。ブームなのか。

V.A.

昭和テレビ歌謡ベスト30

2CD 東芝 TOCT0275−6  テレビ主題歌、主にドラマの主題歌を集めたもの。のっけの丹波哲郎のイメージとは全く正反対の甲高い歌声に吃驚。これをはじめ俳優さんの歌も間々あるが、そういうものに技術的な事は期待しないとは言え、やはり各々演技者の意地があって独特の味わいがある。チャコちゃんケンちゃんシリーズが重視されているが、チャコちゃんが出てくると伊予の方では放送できないとか聴いた。本当にどうでもいいな。「サインはV」は東芝らしく富田智子のバージョン。水原弘の「隠密大作戦」はドリフターズの「ドリフ音頭」ばりのベースラインのうねり方が尋常ではないグルーヴ歌謡で、「駆けろスパイダーマン」を思い出した。他に松平ケメ子とか勝新太郎とか。聴いたことのあった曲も多し。
由美かおる

ゴールデン・ベスト

CD クラウン CRCN20313  クラウン時代の楽曲のコンプリート。実はもの凄く上手い歌手だと思う。自分にとっては小畑ミキあたりよりもこっちの方がビートガールの言葉にばしっとはまるような気がするのだが、世間ではそうじゃない事になっている。前半ではクラウンらしい異常に音の厚い、ビックバンドジャズやキャバレーロックの色が濃厚なオーケストラのバッキングが生み出すグルーヴ感が独特の世界を生み出している。大概ポップのラインだが感情剥き出し路線やらすっとぼけ路線やらが入り乱れて表情の変化が愉しい。こうまとめて聴くと「涙のラヴ・レター」が感情表現、情緒、ソウルその他全ての面で一番出来がよいようだ。全般に60年代歌謡界の熱気を伝える曲が続くが、しかし、クラウンでの最後のシングル「二人の朝を」は全くドツボにはまった精彩のない演歌系バラードで太陽のシーズンの終わりを強烈に印象付け舞台を血に初めたまま幕が引かれるのが何とも強烈でただ涙。
泉アキ

ゴールデン・ベスト

CD クラウン CRCN20314  事実上「60’sビートガールズコレクション2」の強化盤。自分にとってのひとりGSの女王はこの人。初めて聴くのは最後の4曲だけだが、これはどれも70年代のグルーヴ歌謡らしい仕上がりで好感。特に「ピーターガン」を下敷きにした「あなただけをみつめて」は文句無しに格好いい。また、この4曲のボーカルはクラウン時代の暴発するような荒削りな面は影を潜め大分マイルドになっており、解説の通り奥村チヨの小唄っぽい歌い方の影響の強さが伺えるのが興味深い。それにしても「ホットパンツ」の散漫な編曲は何なんだろう。まあ、これは歌自体がそうだが。全編とおして強烈な印象のある歌の殆どがなかにし礼先生なのもえらい事実だ。
青山ミチ

ゴールデン・ベスト

CD クラウン CRCN20315  ついに出た戦後歌謡曲最大のブラックボックス、ボーン・トゥ・シング、演歌R&Bの女王青山ミチのクラウン時代の楽曲(とポリドール時代の「ミッチー音頭」)を集めたベスト盤。色々とやらかして「追放」になった上に現状ではお体の調子もあって復帰等は難しいかも知れないが顕彰されていかれるべき大歌手だと思う。もっともここでは演歌の色がかなり高い曲が多く、間違ってもグルーヴものだと思って聴いてはいけない。自らの精神と肉体を切り刻みながら吐き出される魂の渾身の結露だと思って聴くべき曲群。折角の高い評価がなされようとしているのだから是非とも今回未収録の2曲を追加する形でユニヴァーサル編を出していただきたい。
V.A.

テイチク70’sアイドルコレクション

CD テイチク TECH25021  まるめ45さん、買いました。今まであまりスポットが当たってきたとは言えないアイドル・ソングの佳曲を多く収録した好企画盤、70年代編。アイドル情緒はあらぬ方向に逃げる歌唱が第一だが、ここではしっかりとした歌唱の、いわゆる歌手として一定水準にある楽曲が多い。初めて聴いた曲では、「横浜トゥワイライト」「何かが始まるのです」「幸せルージュをつけなさい」といったノスタルジックな曲群が性に合った。この3曲は違うが、全体的に見れば解説にあるとおり鈴木邦彦作品の切れが抜群。こう聴いているとやはり喪失感がある曲に惹かれる。「白いシャム猫」は成程和モノDJがいかにも好きそうなベースラインをしている。
V.A.

テイチク80’sアイドルコレクション

CD テイチク TECH25022   同80年代編。これもアイドル情緒の深さが味わえる。特にやはり北原佐和子の歌唱にはこれぞアイドルの歌唱の真骨頂という部分が拡大されていて過激。とは言え、どうも自分には80年代というものが向いていないのかなぁという気もした。文句無しに素晴らしい曲なのは沢木知子の「ドミノ倒しの純情」でその危うさが歌謡ごころを直撃する。斉藤慶子「セーラー服と機関銃」と石田ひかり「卒業写真」のカバーもの二つも上手いとは言わないが趣深く、この二人の女優としての大成を考慮に入れると「演ずること」が音楽的素養以上に歌謡の支柱として重大な要素であることがよく感ぜられた。

16.8.23 セポイの反乱で愛を叫ぶ。よくわからない。

裏窓

戦慄のプレリュード

EP 幻燈舎 GTS001  全然知らないでジャケ買い。頭脳警察のカバーをハードロックで。音が全体的にやや軽く、もっと骨が太いミックスにした方がよかったかも。編成にバイオリンが入っているのが珍しいが、何れにしても演奏が甘ったるくて(詰めが甘いのもあるが、ロックの匂いがないんだよ)、聴いていると演奏に切れが欲しくて堪らなくなる。リリースが平成二年というのが気になるが。B面は叫びまくりで今で言うハードコアの魁(本人達はメタルとして組み立てていると思うのだが)みたいな、おそらく彼らのオリジナルで、こういうのも嫌いではないが、こちらも演奏が甘ったるいように感じる。
グラスロード

草原の道

EP 徳間 KA430  多分フォーク・デュオだと思うが油断できないミノルフォン。うわっ、やられた演歌だ、と思った途端にいきなり切り替わるロシア民謡風青春歌謡。ビリーバンバン風の声の重ね方は悲しみに満ち、マンドリンをフィーチャーしたトラックもなかなかグルーヴィーで意外な掘り出し物。B面も根底の発想こそフォークだが、出てきたものは完全にフォーリーヴス路線のホーンやランニングベースも鮮やかな危なげな青いロック。イントロは「愛のモトマチ」を彷彿とさせる。サビのちょっとアホくさい歌い方を除けば格好よく、グルーヴィー。グッド。もしかしたらアイドルなのかこの人達。

16.8.16 聴く時間がないまま買っている。

V.A.

K・T・ゴールデンリスペクターズ 筒美京平グレーテストカバース

CD パイオニア PICL1159  筒美作品カバー集。今のカバーブームを遡ること五年の先見性。カバーというものは類型が三つしかないと思うが、本筋じゃないので置いとく。前に聴いた印象の通り、ロリータ18号の「なんてったってアイドル」が白眉。破壊の跡も生々しく、バンドのイメージに見事に転化しているのは流石である。というか、自信を持って出来が良いと言えるのはこれだけ。他。ギョガンレンズ「誘われてフラメンコ」は見事にローリングストーンズ化しており、出来が良いとは言わないが、水準はクリアしている。彼らはこれはともかくこの手のカバー企画というと必ず引っ張り出されてそれなりの作品を残すので、彼らこそ真のカバーの帝王という称号が相応しいように思う。水戸華之介はちょっと見直した。ルルーズ・マーブルは全般に破綻が目立つのが残念。どうのこうのと言って結局七十年代的なアレンジをされると自分の耳にどうやったって馴染まないと言うのが身に染みた。好きな歌も別にどうとも思ってない歌もそれぞれそれなりにという印象。エモンズの二人の曲はやっぱり波長が全く合わない。
ザ・ガレージ

ガレージオープニングソング集

マキシ ソニー EPCE5037  ブレイク直前のモーニング娘。らによる深夜番組絡みのGSカバー集の二枚目。選曲が「好きさ好きさ好きさ」「想い出の渚」、そして何と「銀色のグラス」ということで一番人気。もっとも「好きさ好きさ好きさ」は切れがない。あとの2曲は何故かデジロック志向に仕上げ。「銀色のグラス」は、「銀色のグラス」だと思わなければ、それなりに工夫がしてあってまずまず格好いい。えらいキーが高い気がするが気のせいやろか。

16.8.14 どれとは言わないが、昭和歌謡ブームはもうお仕舞、という曲がビクターから出ている。あれがポップ扱いでキムヨンジャが演歌扱いされるのは納得いかん。

フリップ・フラップ

リヴ・ラ・ラ・ラ・ラヴ

CD ソニー 496721.2  ここから5枚投げ売り。歌手として成功した最後の双生児。清少納言の「枕草子」をフィーチャーしているが、取って付けた感は否めない。編曲こそモデルらしい現代的な売り出し方をしたかったのだろうという努力の跡がないこともないが、曲自体は七、八十年代の歌謡曲的なセンスが前面に出ており、ネタとしては3年ぐらい早すぎたかも知れない。とはいえ、大黒摩季のパロディー(だろう、多分)「夏休み」や「ふりふらマンボ」など歌謡色が強い曲ほど声が栄えており、民謡もいけそうなコーラスも何げに上手い。考えるにこういうこざっぱりとしたサウンドよりももっとじめじめしているか、儚いサウンドの方があっているのかもしれない。悪くはないが刺激もなかった。
東京牛パラダイスオーストリア

契りすぎ

CD 殺害塩化ビニール MURDER4343  殺害塩化ビニールからの発売なら納得出来。テクノの色濃いハード・ロックと言ったところか。五木ひろしのカバー「契り」は、予想の範囲内のアレンジではあったが、これで一番顕著に解るが、女性ボーカルが魅力的。他の曲も予想を大きく覆すような曲はなかったが、安定感もあり、またこういうビニール袋の頭を開いたままにしたようなチンケなセンスというのは心惹かれるところがある。何より違う盤を聴いて感じた見立て通りの作品があり、その出来もそれなりだったので満足。ロリータ18号らしい女性コーラスをフィーチャーした「ゾンビ」も壊れているが華があってよい。メインボーカルが埋没気味なのが玉に瑕。なかなか宜しい。
レモン

みじかいホープ、その他

CD ジアザー TOTR006  新宿の復古R&Bシンガー。もし、自分がこの辺りを狙っているのだなと思われたところを狙っているのだとしたら玉砕しているし、そうでないのなら理解できない一枚。わざとやっているのか天然なのか解らない音の外しがあるが、これのもともとの楽譜を一度見てみないと何とも言えない。そういうメロディーを書く人が作曲してるので。聴く限りでは大西ユカリと同じような方向のソウル・シンガーに進んでいきたいのだろうがフォーク系ニューミュージックの方が向いているような気がする。
ソープランド揉美山

2nd

CD ベンテン BNTN058  岡山の近代パンクのほぼギャルバンのセカンド。と思ったが帯にはメタルと書いてある。確かにメタルっぽいリフを弾いているのでメタルなんだろう。この辺の造詣が深くないのでよく解らない。いずれにしてもベンテンレーベルの中の人が好きそうな音だ。よく解らないなりに聴いてみるとボーカルがめちゃくちゃ上手い。はっきり言ってムードコーラスのどの女性ボーカルよりも上手い。演奏もテクニックはともかくバンドの音(一体感の高さ、グルーヴと思い侍れ)としてはセックスマシンガンズよりも全然上に感じた。最近つくづくロックというものは女性の方が向いているような気がしてしょうがない。よく聴けた。
ジェームス日の丸&モモチャン

ジェームス日の丸&モモチャン

CD 東芝 TOCT6276  子供ラップ歌謡の傑作。ラップ自体は(所詮子供だし)ずろっとしているわぐだぐだだわで免疫がないひとにはペケだと思うが、壷にはまる人なら壷に嵌るはず。まあ、何でもそうだが。トラックの方はジャズやレゲェなど多種多様な音楽を意識したグルーヴィーな打ち込みもの。真面目な歌で唐突に「老人と子供のポルカ」をオマージュを捧げたりなど制作者の適度な遊びが独創的な世界を作っている。ディックリー、久保田麻琴らが音楽面で、小泉今日子、野沢雅子らがプロデュース面でからんでいるという、まあ、そういう狙いの作品。思ったよりは作りが真面目で、音楽としてはいろいろとやっているが、それが感動に結びつくかというと、そうばかりでもない。
中井昭、高橋勝とコロラティーノ

博多夜船

LP コロムビア ALS4409  ミッシング・グレート・ムード・コーラス。懐メロカバー集だが他社作品の割合が妙に高い。このバンドらしい穏やかな演奏に芸術的の域を越して怪物のようにしか聞こえない中井昭のとんでもないファルセットが聴くものをくすぐるという、言ってみればいつものパターンが行われている。アレンジも穏当な所に落ち着けている。曲の出来不出来はあまりないが、つくづく何かよく解らない選曲だ。
三浦弘とハニー・シックス

やっとお嫁にゆけました

LP ビクター ALS4409  よかったですね。アロハブラザーズの発展。一応各月に一曲ずつ宛って歳時記風にしたコンセプトアルバム。A面はマイペースあたりの当時から歌謡臭いと言われていたフォーク系ニューミュージックの音にかなり近いところで統一されており、はっきりいって貧乏くさい。しかし、B面は大変表情豊か。ボッサ調の「夏って大好き」やヒットした「オールナイトで朝帰り」など三浦正弘の貪欲な音楽吸収の成果が生かされ、グルーヴィーな曲を含みなかなか楽しめる仕上がり。しかし彼ら全員兄弟なのに全然顔が似てないな。
まぶち・ゆうじろう’68オールスターズ

ありがとうあなた 魅惑のテナー・サックス・ムード

LP クラウン GW5066  テンプ、ブルコメ、ピンキラ、ロス・インディオス、ロマンチカなどをサックスでインスト化。これは、本当にBGM用。所謂DJ向けの楽曲がなくてちょっぴり残念。唯一「旅路のひとよ」は「小樽のひとよ」の二番煎じぶりが強調されているアレンジが露骨で面白かった。
V.A.

サンヨー・ソリッド・テイスト・ステレオ

17cmLP キング NDS46  テディ池谷グループ、ザ・フィンガーズ他。えらく安かった。ステレオの視聴盤だけあって端正な演奏を集めたものになっている。テディ池谷グループの「赤いサラファン」は連弾のピアノが心落ち着かせる。ロシア民謡はソ連の国立管弦楽団とかがやるより却って日本の俗っぽい歌手とかがやった方が情緒が高い。東京キューバンボーイズもガットギターの掛け合いや木琴の音色が心癒す、穏やかなものでロス・インディオスのチコ本間と思われるハープも上手くとけ込んでいる。パトロール形式の「カルメン行進曲」は音も薄くぼちぼちといったところ。これは端正さよりも勢いを大事にしているからかも知れない。フィンガーズの「ウィンディ」はフィ軍の傑作だと思うがもう別に持っているので特に触れない。
三代目・長谷川栄八郎

日本一の数え歌

EP テイチク CS571  民謡。どういう基準でどういうのが上等なのかとかそういう事は解らないが音の使い方や表現の張り方には嘆息。的外れだけど、友川かずきって本当に津軽の歌い方の延長にあるのだねぇと思った。リズミカルな民謡がいきなり浪曲になる曲展開は面白い。しかし、こういうのでもまずい単語が入っていると言うことで放送禁止なんだろうか。
高橋亜貴子&ミスター

オー!オシリ

EP トーラス 07TR1163  まるで山本正之作品のような軽い作風のムード歌謡的作品。お尻に掛けまくった詩もそれ風。編曲は竜崎先生だがハードロック趣味は珍しく皆無でラテンに特化。多分「ミスター」は作者の美樹克彦なのだろうが、水木一郎みたいなフィーリングで歌う。ムードコーラスに上手い女性ボーカル無しの法則がここにも生きている。B面はアルゼンチンタンゴ風の正統派ムード歌謡。両面で躁鬱揃い。

16.8.8 やっぱりルルーズマーブルのファーストがないな。どうでもいいが新宿の某店はもの凄く品揃えがいいけど高い。ムードコーラスのシングルが軒並み3千円って、三分の一なら入り浸りするのに・・・。

東京ブラボー

東京ブラボー!!

CD ソリッド CDSOL1021  昭和末の復古ロックの偉人。所謂ネオGS扱いされているが、ガレージではなく、ニューウェーヴが前面に出ているのが凡百のGS志向のバンドと一線を画す。演奏の巧さが単に上手いだけというレベルに留まらず「ネオGS」ならではの情緒に昇華している。ボーカルが演奏に埋没しているのが少々傷だが、それを除けばいかにも昭和最末期の軽佻浮薄な雰囲気が溢れ、名人・ブラボー小松の素晴しい切れのギターと相まって心地良い。しかし、やはりスタミナインストの「エレキでスイム」が最も出来がよいように感じた。
筒美京平とフェザートーン

バカラック・ミート・ザ・ビートルズ

CD キング KICS409  筒美京平が自らオーケストラを率いてビートルズをバカラック風に料理。その辺のいい加減なビートルズ作品集と一緒にしてはいけない。ボサノバや小編成管弦楽団などの意匠を借りた欧州映画のサントラのようなトラック群はとにかく趣味がよく、筒美のバカラックへのマニアックな傾倒ぶりが抜群のセンスで見せつけられる好盤。どこを切っても良くて当然というコンセプトとスタッフだが、その期待以上のものが出てくるのでなお吃驚。この時期の自作作品のアレンジとの共通性が多く見いだせ、大変レベルが高いところでまとまっているが、全く予想もできないエクストラトラックのアレンジが秀逸な「ハードデイズ・ナイト」とマンドリンをフィーチャーした軽妙なボッサアレンジの「オブラディ・オブラダ」が自分的にはぐっと来た。シンガーズ・スリーの名人芸も聞き所。
美空ひばり

加藤和也プロデュース人生一路 かとう哲也作品集

CD コロムビア COCP30289  ただ一人美空ひばりの本質を理解していた、弟かとう哲也によるひばり楽曲集。所謂古賀メロ風の楽曲もあるが、かとう哲也自体が小野透としてカバーポップスを歌っていたことでもわかるとおり、洋楽色の強い、特に神津善幸作・編曲によるスタンダード・ジャズ系統の楽曲が多い。もちろん、美空ひばりは灰汁が強すぎるところはあるが、これを難なく唄いこなしている。というか、美空ひばりはもともとが笠置シヅ子のものまねで出発したこともあって、こちらが本道であろうし、現に性にあった唄を歌える歓びが滲み出ている唄が多い。この人の不幸は歌謡曲がなまじ上手過ぎたせいで一番向いている音楽に向かなかったことだと思う。「唇に花シャッポに雨」のようなひとりGS路線の曲も数曲あるが、ド演歌な詩(石本美由紀)とモダンな曲のせめぎ合いが手に汗握る「人生一路」が印象深い。かとう氏の楽曲は大ヒットのないことと御本人の素行もあって今や忘れ去られそうだが、これらの楽曲はもう一度見直されるべき曲群だ。
V.A.

徳間ジャパン35周年記念歌謡大全集6

CD 徳間 TKCA71814  ミノルフォン〜徳間のベストヒット歌謡集だがこのシリーズって全然見ないな。全12曲中5曲を占める平尾昌晃のキレが素晴らしい。けい子とエンディ・ルイス「あなたの町恋の町」は、「雨のささやき」を参考にしているような気がするが真相は如何に。演歌系では千昌夫と五木ひろしの歌の巧さが堪能できる。「夜空」「アケミという名で十八で」の超絶的な歌唱技術には演歌がまさに革命だった時代の熱情を感じる。加橋かつみの「哀哭」は言われるよりはニューミュージックよりだが「天然の美」みたいな曲でタイガースとかそれまでのソロ作品を念頭に聴くと、そりゃびびる。
井上宗孝とシャープ・ファイヴ

想い出のロックンロール・ヒット・パレード

LP コロムビア JPS5181  本体入手。コロムビア時代のシャープ・ファイヴは意外なほどグルーヴ・チューンが多い。まあ、シングルはああだが。

16.8.7 うわぁ、「シャイニング娘。」の三巻が出てる。

ルルーズ・マーブル

ラヴ・ロック

CD ヴィヴィッド VSCD3076  言わずと知れた和製ガールガレージのトップバンド。これはこの名前でのラスト(サード)アルバム。重戦車の如きスクリームの嵐がとにかく素晴らしい。寸分の付け入る隙もなく、はじめから終わりまで叫びっぱなし。演奏の方はもう少し軽い方が自分の好みなのだが、オリジナル・サーファリスの感覚にえらい近くて情緒十分。こと出来がいいのは「ロードランナー」(オリジナルは和蘭のGSザ・ファントムス)とリンク・レイの「ジャック・ザ・リッパー」の両カバー。こういう元が好きな歌をいいようにカバーしてくれるというのは殆ど例がないだけに嬉しい。それにしても、ファーストのオズ〜テイチク盤って廃盤なのか。名盤だし簡単には廃盤になるまいとタカをくくって買ってなかったので惜しいことをした。あの4バンドの中で一番高い評価はしていたが、いざ必要になったらこうか・・・。改めて、ご冥福をお祈りする。
高橋洋子

残酷な天使のテーゼ

CDS キング KIDA114  「エヴァンゲリオン」って一回もまともに見たことがないのでアニメ自体はどうとも言えませんが、これはエエ曲だと思います。ヒーローの名前などは出てこないものの、さりとて凡百のアニメのような単なる無意味な流行歌手とのコラボでもないというのはものよい事ではなかろうか。曲自体は平成七年当時の流行をなぞった偽小室哲哉歌謡という域からは出ていないが、完成度は高し。歌唱は所々に詰めの甘さも見られるが、あの当時の歌手としての合格点は軽々越えている。どうも渡辺美里を意識しているような気がするがどうだろうか。カップリングは旧来のアニメのエンディングを思わせるものの大した曲ではないバラードだが、上手く唄いこなしており、成程素養がよく解る。実はつまらないと言われながらも歌の上手い下手が一番よく解るのはバラードなのである。ふと実はこの人がキティの専属歌手ということがわかってびびった。
高橋洋子

魂のルフラン

CDS キング KIDA146  同上。上に比べ明らかに金が掛かっているのがわかる編曲や声明のような挿入部分に紛れているが、実はテレサ・テンが下敷きになっている。凡で中庸な出来の中道歌謡。この人は最近のでもいい曲があったが、こういう人が歌謡の中心に来られないのは昔から歌謡界の改善すべき所だと思う。どうでもいいがその歌のプロモをみたら曽我町子みたいになっててびびった。カップリングは当時の流行らしいユーロビートもの(派手な胡弓のソロ入り)だが、これも上に比べれば金かかってるな。
舟木一夫

太陽にヤァ!

EP コロムビア SAS746  有名なリズム歌謡。同じ船村徹先生と言うこともあり、海道はじめの「スナッキーで踊ろう」の前哨戦といった印象を与える。演奏は完全にキャバレーロック。妙なコーラスフレーズと全然前に進まない詞、無駄に派手に動くエレキが抜けの悪さと共に独特の世界を作る。B面はハワイアンものだがボーカルの悪戦苦闘ぶりがやや目立ちすぎる。
舟木一夫

日曜日には赤い薔薇

EP コロムビア SAS1527  有名盤。西郷輝彦の「ローリングストーンズはこなかった」に対応するニューロックを取り入れた青春歌謡。というよりリアルなストーカー歌謡。具体的すぎる。本人の意図とは全く別のところで気味の悪い台詞から始まる。ボーカルははっきりいって不安定で作りこみが足らない。この時期の舟木自身の精神状態の悪さがそのまま声に出ていて何とも残念。最後の「上げよう」の歌い上げは脱力感の方が大きい。B面はチコとビーグルスの「傷だらけの人形」を妙なテンションにしたような歌でいくらなんでももっと歌い方はあるだろうにと思う。両面とも今もう一度心身充実の上再録音したら鋭いものになるかも知れない。
ラブ・ストーリー

ノアの円盤

EP フィリップス FS1209  GSの方のリリーズの後身によるスマッシュヒット。スピード感のある曲で、一番星の「明日へ走る」を彷彿とさせる。女性ボーカルのぶっきらぼうさはいくらなんでもという感じもあるが。B面は小山ルミ、ベンチャーズで当時はやっていたザ・サウンズ「さすらいのギター」のカバー。演奏自体はリズム隊はベンチャーズ、ギターはサウンズと折衷的な解釈をしているが、どうしてもボーカルの細やかさの無さが耳についてしまう。
ジューク・ボックス

愛で胸はいっぱい

EP キャニオン CA22  前衛的なジャニーズのグループ。マカロニウエスタン歌謡。男気とかわいげが上手く使い分けられており、この時期のアイドル歌謡として良品の部類。さびの「あなただけ」のくり返しがハルヲフォンの「プラスチック・ムーン」を思わせる。こっちの方が古いが。B面は、アダムスみたいな曲で明らかに「ホリディ」を下敷きにしているセンチメンタルでクラシカルなララバイ調のバラード。こちらもメリハリの付け方がグッド。さびがじんじんの「ララバイおけさ」に似ている。
フレンズ

レモンスカッシュ

EP ワーナー L1157A  両面井上忠夫作品。はねるリズムを使っているが、音使いも曲調も今井久とパープルシャドウズを思わせる。甘酸っぱい詞も「小さなスナック」みたい。B面はタイガースの曲、具体的に言うと「モナリザの微笑み」と「青い鳥」を融合させたようなセンチメンタルの極みのようなバラード歌謡。地味だが佳曲。
トライアングル

冬が近い

EP ワーナー L1157A  レオタードジャケ。特にこれということのない、牧歌的で典型的なアイドルの歌うバラード。一世代か二世代古いという印象は否めないが、演奏の切れはよい。B面は、こちらの方が売れ筋っぽいアイドル・ポップの王道の楽曲。キャンディーズの路線で、上手いと言うほどでもないが下手でもないこのグループの歌唱力を生かしていて情緒があるが、押しがやや足らない。
名取忠彦とグリーングラス

おんな・なみだ街

EP テイチク UE503  このバンドに関してはうちのサイトの記述のせいで「ロック画報」の田口史人さんの記事で大嘘を書かせてしまったと思われる節があるので負い目がある。(それ以来トップに裏を取ってくれという節を入れた。)アローナイツをもう少し演歌よりにしたような北海もので細川たかし「心のこり」を彷彿とさせる。一箇所「宗右衛門町ブルース」なフレーズも出てくるが。B面は、ピアノソロで始まるロックリズムのバラード。こちらはロス・プリモスを彷彿とさせる。両面ともグリーングラス本来のしなやかで大空を突き抜けるような伸びやかなボーカルの切れが欠けているのが少し残念。

16.8.1 正直、「マツケンサンバ2」のどこが凄いのかよく解らない。

V.A.

ブルース歌謡紀行

CD クラウン CRCN25104  ご当地ブルース歌謡集。「港町ブルース」と「島のブルース」を除き全てタイトルは「(地名)ブルース」と徹底している。小松おさむとダークフェローズ「庄内ブルース」収録が嬉しいが、まあ、全体的には穏当な選曲といったところか。サザンクロスの「前橋ブルース」は何回聴いても凄い唄だ。まあ凄さも「母性本能」とか「意気地なし」みたいな解りやすい凄さじゃないので大損をしているが。ちなみに半年ぐらい前に自分で同じコンセプトでMDをまとめてみたが、4曲ぐらいしか重なっていない、しかも以下略。
V.A.

トーキョーハワイアン・パラダイス

CD テイチク TECH25012  昭和ハワイアン曲集。ウクレレシスターズとフォーコインズの収録が珍しいのとバッキー白片のスチールギターの名人芸が聞けるけどバッキーさんに関してはもっと凄い演奏が山ほどあるしなぁ。というわけで特になし。昔からどうも石原裕次郎の魅力が解らない。関係ありそうでないがスペイスメンの「ハワイアン・サーフ・ギター」をCD化して欲しい。
V.A.

ベスト・オブ・マルタカ

CD ポニーキャニオン MYCD35008  題名そのまま。糸数カメとか登川誠仁とか。知名定男の「スーキカンナー」が抜群。天才少年歌手の称号に相応しい驚異のマシンガン的な歌唱が度肝を抜く。美空ひばりと同じタイプの成長曲線だったのだな、この人。他ではここでも屋良ファミリーズの「太鼓囃子と安里屋ユンタ」が破壊力抜群。解説の方は内地で何処が再評価されているのかどうも取り違えをされているようだが、とにかく意表をついた太鼓の攻撃とボーカルの援護射撃が今現在の内地での彼女たちのパブリックイメージにいかにも相応しい楽曲を作り上げており狂喜。他はまあ、正統派の楽曲。
V.A.

島唄レアグルーヴィン 〜マルタカ特選エキゾチカ〜

CD ポニーキャニオン MYCD35011  事実上幻の名盤解放歌集マルタカ編。自称沖縄音楽の上級編とのことだが、単に沖縄音楽を聴いている人が普通は沖縄音楽に求めているものとは別の方向に突き進んでいる曲というだけで、歌謡曲人には極めて取っつきやすい盤だと思うのだが、どうか。まるっきり所謂いい顔系演歌の山内たけし「桜坂ブルース」は、もし琉球音楽の代表曲として出されてきたら琉球音楽を誤解すること必至だろう。これに限らずこの人のここで聞ける曲には言葉遣いを除けば所謂琉球臭さが微塵もない。またでいご七人娘「交通安全の唄」のヤケクソさも凄い。そんなに力を入れまくって唄い倒すような曲調でも内容でもない。結局、これは本土から切り離されたオキュパイド琉球でも力強く歌謡曲が脈動していたという貴重な記録に他にならない。

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