これ買いました平成17年11月

 


17.11.30 CDR一枚を頂く。成る程同じ音源なのに全く別の曲のように聞こえる。

17.11.27 関西のレコード屋の方が品揃えがよい。

ザ・ブロード・サイド・フォー

若者たち/ザ・ブロード・サイド・フォー・フォーク・アルバム

CD テイチク TECN18408  初期カレッジ・フォーク最大のスター・グループの全音源。買い逃していたので無茶苦茶嬉しい。一つ一つの楽曲は大変に地味だがカレッジ・フォークが始まったという息吹と心意気が清新で訥々としたコーラスの中に伝わってきて涙を誘う。未発表曲二曲を含め大変にコーラスの重ね方が上手く、本質であるブルーグラス系の演奏も多く含まれ、これがなかなか堂には入っており、見直した。
シャープ・ファイブ

シャープ・ファイブが挑戦するベンチャーズサウンドベストヒット

LP ティーパック TL1006  何枚あるんだシャープ・ファイブ。タイトルに反してよく解らない選曲で、「ワイプアウト」や「パイプライン」はともかく「輝く星座」や「マルタ島の砂」なんか誰がベンチャーズを想起するのだろうか。演奏の方はシャープファイブとしてはぼちぼちとはいえ十分合格ライン越え。オルガンは古屋ではないかもしれないが、ギターとドラムがそれをカバーしようとして奮闘している。「テルスター」はスペーシーだったりスピード感いっぱいの演奏になることが多い曲だが、ここではほんわかとした和み系に料理。最も出来が良いのは「雨の御堂筋」で、バンドサウンドにホーンセクションを導入、ドラムのフィルインもセンス良くオリジナルを完全に凌駕している。これに限らず「雨の御堂筋」は傑作カバーが多い気がする。全体にボンゴが入っているのはサンタナを意識しているのかもしれないが、その割にはギターが全く粘っこくないのでよく解らない。個人的には「輝く星座」の「輝け太陽」が始まるところの唐突なドラムソロが面白かった。
シルクロード

情熱の花

LP 東芝 ETP80103  GSシルクロードの後身のサード。トランペット二本にギター、ベース、ドラムという編成で、往時を偲ばせる構成だが、GS時代のメンバーは最早なく、記載されているメンバーの経歴はどう見てもジャズ流れになっており、GSの面影は全くない。少なくともレコードではニューミュージックとオールディーズ系の融合を試みているようで、歴累のアルバムでは変な曲を取り上げていたりする。演奏も歌唱もかっきりとしており、ジャズ系のポップスを基調としながらもボサノバに手を出したりして色々なことをやろうとしている熱意とそれをこなせるだけの実力は認められる。しかしそれが技術の誇示に留まっていて(しかも上には上がいるしねぇ)今一歩突っ込み不足か。聞いているともっと激しい曲や明るい曲の方が合いそうな感じなので時代に流されてしまって、まことを掴めなかったのであろう。しかし80年代を目前にしてB級のGSが生き残っていたことは奇貨としたい。
シェリー

クレオパトラの涙

EP 東芝 ETP17175  ジャケ買い。「24000回のキッス」のようなイントロなのでオールディーズ歌謡が始まるかと思って身構えていると歌本編はムード歌謡という意表を衝いた曲で、後にハーバーナイツと組む前兆が。正直この人はムード歌謡は余り合わないと思うのだが。B面は中東っぽい始まり方でアレンジもそれが意識してあるのだがメロが普通のこの時代の王道のニューミュージック歌謡で、聞いているうちにはちぐはぐさを、終わってからは空虚さを感じる。
九十九一

淋しがりやのあなた

EP アルファ ALR741  鳥井実と猪俣公章の筆によるハッピー&ブルーを意識したようなイントロで始まる本格的な演歌で、完全に売れ線狙い。ホストっぽい声も良く歌唱もまずまずだが、フックに欠けたのが敗因か。B面はコルゲン作編曲。ジャズメンの作品らしくフュージョンをムード歌謡に取り入れた場合の落ち着き場所を探っているような曲で、結果としてハードボイルド味が付いたニューミュージック歌謡と化している。間奏はいかにもジャジー。
フレディー・アギラー

プログレマ(悩み)

EP ポリドール DPQ6128  「ANAK(息子)」のヒットをもつフィリピン人歌手の第二弾。イントロから入る笑い声こそぎょっとするが、前向きな思考を展開する歌い上げバラードによる人生応援歌。可もなく不可もなし。A面は日本語版、なかにし礼作詞。B面はそのオリジナルでタガログ語による。
松原みき

ニートカラー ニートな午後3時

EP キャニオン P39  資生堂のキャンペーン用で非売品。今を先取りしたようなタイトルに惹かれて買いもっともニートという綴りは違うけど。さびの「ニート・ニート・エブリディ」と繰り返したあと「未来を愛して愛してシーズ・ニート」とくるのが今やあらぬ意味を持ってしまっていて面白い。しかも軽いディスコサウンドだ。B面の作曲は松任谷正隆だが、この人の本領とはかけ離れた不安定な音程に別の意味で手に汗を握ってしまう残念な出来。

17.11.18 休みがないほど忙しいが、何だか解らないがすこぶる体調がよい。

ゴールデン・ハーフ

ゴールデンハーフでーす

CD 東芝 TOCT16026  ゴールデンハーフのファーストアルバムの復刻。セカンドアルバム以外すべてCD化されたと言うことで、この際揃えてやろうという魂胆。ご存じの通り、このグループは既存の曲、50〜60年代のカバーポップスものを中心にカバー曲で固めながら、そこに当時の最先端のグルーヴある演奏をぶち込んだハイブリットな味が妙味であった。このゴーゴー全盛期のグルーヴでニューロック演奏を演奏したような厚いバッキングは、ザ・ドリフターズとの音の共通点が多く、両者についてナベプロ−東芝の売り出し戦略が偲べる。だらけたコーラスが色気に通じているのかもしれないが、自分はお色気に冷淡であるので、そのまま情のある未熟と受け取った。
ゴールデン・ハーフ

アダムとイヴ ポール・アンカ ニール・セダカを唄う

CD ヴィヴィッド VSCD3466  同、サード。ポールアンカ、ニールセダカの二大巨頭に挑戦。英詩のままのカバーが多い。相変わらずドリフターズとの共通点が多い演奏で、この辺はファーストアルバムをそのまま敷衍している。特筆すべきはその歌唱力の圧倒的な上達ぶりであり、情のある未熟は消え失せ、基礎を固め確乎とした技術を伴った歌唱が現れていることである。ただ、この一曲というような特に抜きんでた出来のトラックはなく、この辺りは黄昏のアルバムであることをひしひしと感じさせる。

17.11.17 忙しいと体調がよくなる。

ザ・スパイダース

ムーヴィー・トラックス

CD+DVD ウルトラヴァイヴ DVSOL1001  スパイダースの映画サントラ音源集。ポリスターの奴とは殆ど被りなし。他にレコード音源らしいものもチラホラとある。映画用に録られたこれらの楽曲は、何と言ってもワイルドでザ・スパイダースの持つガレージ的な側面がやたらに強調されている。野放図にも程がある田辺のドラムやファズをバリバリ掛けながら崩しまくる井上のリードギター、そして感情剥き出しの堺のボーカル等々すべてにガレージの情緒がある。特に「フリフリ」などはレコードやソノシート音源がおとなしく聞こえるばかりで、成る程世界で愛されるグループであるだけのことはあると改めて恍惚となりながら聞く。
江利チエミ&カール・ジョーンズ

江利チエミ&カール・ジョーンズ

CD キング KICK3126  江利チエミとデルタ・リズム・ボーイズのカール・ジョーンズが共演した二枚のアルバムを一枚に。スタンダードやアチラの有名曲をカバーしており、それぞれの全くのソロの曲もあるが、白木秀雄クインテットらバックの演奏を含めなかなかいい具合に出来上がっている。ただ、これを聴いて江利チエミと美空ひばりはそれぞれ活躍するジャンルが逆であるべきだったとの思いをさらに強くした。
坂上弘

交通地獄そして卒業

CD Pヴァイン PCD4094  ここ10年ほど話題になり続けた現役高齢ラッパー(現在84歳)のまさかのアルバム。
 一聴して声楽の基礎がちゃんと出来ていて、加齢のことを考えると非常に上手い。浅草オペラとかあの辺りの伝統を良く伝えている。ただの老人の下手ものだと思っているのは真髄が見えていない。尾崎豊のカバー「卒業」は技術的な部分は比ぶべきもないが、情ではオリジナルを完全に凌駕している。八十歳の唄いあげるハイティーンの心情は胸をうつ。これはソウルのあるべき究極の形の一つなんだと思う。
 さらに自作の三曲の歌詞の近代的なこと。俺は今書けと言われてもこんなに若々しく鋭い曲は書けない。きっとモダーンで粋ないい人なんだろうなと感じさせる。特に実話だという「交通地獄」の昭和初期のコミックソングを思わせる歌詞はアナーキーで痛快この上ない。
 ラッパーということで喧伝されているが先に書いたとおり基本的には異常に基礎が出来上がったアマチュア声楽家というのが正しい姿だろう。
 一曲だけ入っている新曲「やまと寿歌」はこれは非常に下らない。この人は非常に素晴らしい言語感覚を持っているのに、それを無視して七十年代的な感覚を押しつけ、曲も声楽の側面を軽視若しくは無視しているもので、良さを殺いでいる。これを除けば、全曲名曲。

17.11.15 私は人の前で歌が歌いたい。

ザ・ドリフターズ

ドリフ映画だヨ!全員集合松竹編

2CD 東芝 TOCT25595−96  ドリフの映画サントラ音源集。こうやって聞くと初期に顕著だが加藤らのメインボーカルをがっちりとサポートしている仲本工事の歌の巧さを改めて確認できる。いかりや、加藤のソロ歌唱となっていくにつれてバンド出身の利が活かされず普通のアイドル歌謡と変わらない構造になっていっている。ただし全くの加藤のソロだが初期作品であるボッサノバ調の「寂しいな」はあまりにも純でもの悲しく、よって最も印象に残った。またバックトラックのグルーヴィーさ、とりわけベースのうねり具合は全く容赦がなく、音楽面からみたドリフの凄さはここでも一端に触れられる。ドリフの絡まないインスト曲も大胆な一方で繊細なアレンジに各巨匠がまだまだ元気な頃の映画界の力を使って遊んでいるのが手に取れるようで微笑ましくまた唸らせられる。松竹編ということで続編にも含み。無理っぽい気はするが。ライナーで二点。「ああ新撰組」は戦前の曲ではない。「ツーレロ節」は台湾民謡。
都家歌六

究極ののこぎり音楽

CD コロムビア COCF13850  ミュージック・ソー実演集。一流奏者によるジャズバンド、ウクレレ、歌謡オーケストラを従えてスタンダードや古今の名曲をインストカバー。ひよひよとしたミュージック・ソーの音色はシンセサイザーなどとは又違った情緒がある。

17.11.12 ライヴに行って衝動買いって何年ぶりだろう。

レ・カプチーノ

ウルトラ・キッチュ(デラックス)

CD サワズディー SAW030404  神戸のモッド・インストグループ。ライヴを見て感心したので購入。仏盤。ライヴと同じく素晴らしい纏まりのある演奏で、幾つかフランス語のボーカルが被さる曲がある他は見事なモッドインストを聴かせる。「ザ・キャット」や「グリーンオニオン」などのモッド定番曲でもシャープファイブやヴァンドッグスに負けない鋭い感覚を見せつけている。某有名曲にそっくりなオリジナル「マリエズ・メディスン」はご愛敬か。出来は良いが。何故これだけのグループを国内インディーズ各社は評価できなかったのだろうか。
レ・カプチーノ

マイ・ジェネレーション

EP デター DR081  同上。ポリドールの番号帯みたいだが英インディーズ盤。ザ・フーのインストカバーでとにかく演奏が達者。両面ともモッド精神というものをよく体現できていて全く文句の付けようもない素晴らしい出来。ことドラミングの緻密さには感心することしきり。何故話題にならないのか全くもって不思議。お勧めする。なお、ピクチャー・ディスク(かわりにジャケなし。)で世界で限定500枚とかと云々。

17.11.10 親不知を抜いた男。

ビジー

パシオン

マキシ+DVD テイチク TECH83  女の子六人組のおそらくダンスユニット。バブル華やかなる80年代末から90年代初頭の雰囲気をプンプンとさせる純歌謡で、息をつかせぬ一途なメロディと野獣的な歌いっぷりが絶望感を紡ぎだしている。なんだこのジャケット・・・。と、思ったらポルノグラフィティの人の絡みのグループだそうで、ポルノグラフィティの人の描いたイラストだそうだ。なるほどいわれてみればそれっぽいメロディーだしラテンの入ったギターのアレンジなどは手前の曲を彷彿とさせる。殆どソロ作品みたいなもので他のメンバーは申し訳程度のコーラスを入れているだけなのがちょっと残念。カップリングの方は今風のぬるめで底の浅い人生・恋愛応援歌で本人達はこっちの方がなどと思っているかもしれない。しかし表題曲をトップに持っていった感覚は素晴らしい。この野性味を今後も維持できるか注視。それにしてもこのジャケで五万枚ぐらいは損をしているのではないか。
シュエリエン

咲いた

マキシ テイチク TECH12075  西蔵出身の三人姉妹コーラスグループのデビュー曲。最初に聞いた時には上々颱風かと思った。リードボーカルの発音こそ辿々しいとはいえ、高音で巻上がる力強いコーラスはなるほど大陸的な凛とした雄々しさがある。曲も七十年代後半のニューミュージック調で、サーカスあたりを偲ばせる。終始緊張感があって素晴らしい。カップリングはいかにも中国という民謡調のオリジナルでこちらの方が地であろう。気張っているが不自然さがなく好感。
桃月学園1年C組フィーチャリング片桐姫子&橘玲

黄色いバカンス

マキシ キング KICM3112  アニメ「ぱにぽにだっしゅ!!」の主題歌。初めて聞いたときには見事な偽イタリアンツイスト歌謡だったので吃驚したが、帯の文句を読むともしかしたらセーラームーンの主題歌をやろうとして暴投したのかもしれない。こういう非バンド系の人が50〜60年代物をやろうとするとテクノにワイルドなギターを被せるアレンジになることが多いのはピチカートファイブが念頭にあるからなのだろうか。トップの折笠富美子をフィーチャーしたものよりカップリングの雪野五月をフィーチャーしたものの方が出来がよいように感じたが、これは歌唱が固いことがかえって良い方向に出たからであろう。曲に入り込んでワイルドにいくよりも却って表層をなぶっただけで終わらせた方が結果が良かったりするので歌謡曲というものは面白い。この日買った三枚は、売れる売れないは別として、現代歌謡曲の王道に近いところにいると思われる。

17.11.6 独立独歩。

V.A.

遠藤実文化功労者顕彰記念アルバム1歌は人生の友

CD 徳間 TKCA72645  遠藤先生が一昨年に文化功労賞受賞したときに出た作品集。「高校三年生」などの有名曲に混じって「浅草の鳩ポッポ」などあまり聞く機会のない選曲もあって有り難い。大体六十年代までの作品集で、ヒットを連発して自分のレコード会社を建ててしまうという前代未聞の偉業を成し遂げた時代に重なり、若者向けの瑞々しい感触の青春歌謡やプレ演歌がまさにはまっている。歌謡曲の黄金時代を文字通り支えた氏の偉業を俯瞰しうる。
V.A.

遠藤実文化功労者顕彰記念アルバム2歌は人生の友

CD 徳間 TKCA72646  同第二集。大体七十年代。演歌というジャンルが形成されていく中、旧来の歌謡曲歌手が演歌に押し込まれていく一方、森昌子というアイドルでありかつ演歌という特殊な歌手をどう売っていくかという二つの苦悩の中で揺れ動く苦悩の時代。この間に自らの会社を手放すという激動も襲ってきており、珠玉の名曲と其程でもない曲が入り交じり心の内を偲ぶ。ミドル・エイジを対象にした曲へシフトしてきているのも興味深い。
V.A.

遠藤実文化功労者顕彰記念アルバム3歌は人生の友

CD 徳間 TKCA72647  同第三集。八十年代以後。完全に演歌へ。「雪椿」「みちづれ」のまごうことのない名曲も混じってはいるが、全体的には小粒化。設定対象年齢は更に上がり、結局遠藤氏は自分と同世代の人に向けて曲を発信し続けているということが確認できた。成る程文化功労賞の選任者はまさに遠藤世代であり常に自分に向けて楽曲を発信してきたという感覚に捉われたかもしれない。

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