これ買いました平成17年12月


17.12.31 結局・・・。

ザ・ポルトガル・ジャパン CD サザナミ・レーベル SZNM1009  ブックオフの割引券が今日までだったのに気づいた。熊本の現役ガールロックバンド。全編英語詩の曲で構成されている。CDの前半はリンドバーグやゴーバンズのようなバンドブーム期の女声バンドそのままの雰囲気。演奏も思った以上に上手い。しかし、中盤のロック度が高い曲を聴くと、ロックよりポップ度が高い曲の方が向いているようだ。弾ける感覚のあるポップス、それこそリンドバーグのような曲がよくはまる。CD後半は演奏が粗めでリズムとリフがしっくりいっていないように思えるトラックもあり、スタミナ切れという言葉が頭に浮かぶ。特にシェイクのリズムがえらく浮いている。曲によって出来不出来のブレが大きく、一曲の中でも出来の良いところと悪いところが散在してあったりしたのがすっきりしない原因になっている。もう一つ、フックのあるよう曲がなく、全体にのっぺりとした印象を受けた。「ロックンロール」という言葉への気概が強すぎるのかもしれない。

17.12.24 今年の買い納めの予定。

ベイ・ビーツ

愛のかもめ

EP ポリドール DP2064  いいなぁ、こういう得体の知れないバンドをやれたらいいなぁ。A面はリリースした頃に流行っていた内省的なサウンドで、サビの雄大さをボーカルとしても楽曲としてもお世辞にも生かし切れていないのが大変に残念。B面は真っ黒なブラス入りR&B歌謡だが、発想はフォークなのかサビは「夢のカルフォルニア」っぽい。ボーカルはこの時期にしかない退廃感のあるコブシの利いたポップス歌手らしい歌い方で満足。間奏のトラムペットの軽快なアドリブソロもかっこいい。
青山ミチ

ごきげんミッチー

フォノシート 現代出版 UM3  本人歌唱二曲。「ミッチー音頭」と「恋はスバヤク」だが多分レコードと同じ音源。あとはブルースターズ(キングのムードコーラスかなぁ・・・。)というバンドによるイタリア映画主題歌のインスト。何でや。どうでもいいが編集後記の記述でこのフォノシートのタイトルが混乱している。

17.12.10 と言いつつ買い続ける。

ニャンギラス

最初で最後

CD ワーナー WPC68203  おニャン子クラブが量産したミニ・ユニットの中でもヨゴレの色が強く、一際異色を放っていた立見里歌率いるニャンギラスの唯一のアルバム(の再発)。はっきりいってボーカルは聞けたもんではないけれども、無駄なパワーが伝わってきて心地良い。全作秋元康の作詞で、このグループのパブリックイメージとはほど遠い正統派のアイドルポップスになっている。彼らの代表曲である「私は里歌ちゃん」はリミックスバージョンが収録されているがこれは本当に申し訳程度にミックスし直しましたというところでどうと言うことはないが、これが見岳章の作編曲で、この秋元・見岳コンビの曲を聴けば聴くほど、美空ひばりはゲテモノをやりたくてこの二人に頼んだのだろうなという思いが強くなる。個人的な懐メロの類。

17.12.7 多分CDとしては今年の買い納め。(レコードは買う予定。)最後は一色で固めてみました。

ジー・フィフティーズ・ハイティーンズ

パンチ・デ・ビート

CD エイベックス LKCR10038  大日本が世界に誇る福岡発現役ガールガレージバンドのセカンド。自作と他作とカバーが入り交じっているのがいかにもガレージ。回りに聴いたところ評判がとても高いので楽しみにしていたが、ドラムのフィルインがちょっと気合いずれしているところがあるが、なるほど俺が好きな音になっています。これぞ正しいガレージです。自作の出来はどれもよい。異色なのが黒ミサを思わせるインスト「イン・スタント・メンヘル」でこういう比較的穏やかな曲でも意外にぴったりいっているので感心してしまった。プロデューサーの松石ゲル作詞作曲の曲が二曲入っているがえらい渋いものを持ってきているので大笑いしてしまった。これも出来は良いです。後半にカバー曲を固めているが、これは彼女たちのステージでお馴染み且つ自分も気に入っている選曲なので安心して聞けた。気になるところはあるけれども、はっきり言ってお勧めします。グッド!
V.A.

昭和元禄トーキョーガレージ 東芝編《午前3時のハプニング》

CD 東芝 TOCT25869  ガレージと冠しているが、実際には昭和45年前後のグルーヴ歌謡をとりまとめた各社共通コンピの東芝編。ワイルド・ワンズと加山雄三をロックの先駆者として大々的に持ち上げている。今までこの両者の評価が著しく低く喧伝されているのを苦々しく思っていたのでこれは大変に嬉しい。初めて聴いたのは尾藤イサオの「ワルのテーマ」だけだが、ワイルドなファズギターを前面に出しており、非常にロッキン。尾藤イサオのベスト盤のリリースが熱望される。あとの選曲は無難。このシリーズはこの手の音楽の入門用ということを念頭に置いているものと思われる。
V.A.

昭和元禄トーキョーガレージ キング編《レッツ・ゴー・ジャンジャン!》

CD キング KICS2467  同、キング編。「カルトGSコレクション」のカタログ落ちから久しいので遅れてきた世代にとっては便利かも。初めて聴いたブルージーンズの「真っ赤は危険」はハードなロックンロール・リバイバルなのにコミックソングというブルージーンズしかその発想がない曲だが荒いなぁ。同じく初めて聴いたクニ河内とかれのともだち「人間主体の経営と工事」は後にリメイクされ「MAP」となるが、これと比べると演奏では精彩に欠けるものの曲構成がぶっ飛んでいて面白かった。ほりまさゆきはもっといい歌があるのでこれもベスト盤を出して欲しい。一点だけ。ゲルピンはもうこの時点で死語だったはず。
V.A.

昭和元禄トーキョーガレージ コロムビア編《サイケデリック・マン》

CD コロムビア COCP33446  同、コロムビア編。フラワートラベリンバンドの「クラッシュ」と「ドゥープ」が一枚物CDで手に入ったのが嬉しい。日本のロックの起源をGS以前とジャックスを除いて考えろと言われたら泣く泣くこれを挙げます。ファイブ・キャンドルズ「アイ・ラヴ・ビィビィ」の初CD化が目出度いが、解説にあるほどムードコーラス色は強くないので、これを機に全曲CD化して欲しい。初めて聴いたのは鈴木やすし「ゴキブリ天国」でこれも強烈なファズ・ロックンロールで、この人らしいコミカルさもあってよく考えられている。これも遅れてきたファンには重宝するだろう。細かく言えば常田富士夫は初CD化ではない。必ず解説に一点二点気にかかるところがあるのだが、何故だろう。
V.A.

昭和元禄トーキョーガレージ 徳間ジャパン&日本クラウン編《恋のサイケデリック》

CD 徳間 TKCA72966  同、第一興商傘下二社編。「GSワイルドカード」などが出たこともあってやや地味な印象を受ける。ストーンズの「恋のシンガリング」の解説はこれでは今回がお蔵出しのような印象を受けてしまうが、それはともかくずっと自分が誤解していたところが晴れたのでよかった。初めて聴いた曲を挙げていくと、まずセルスターズの「本牧ブルース」はディスコティック仕上げ。サムライズの「夏の夢」のイタリア語、英語による未発表バージョンは同じトラックの使い回しだと思われるがシングルバージョンとさほど違う感覚を受けないものの、彼らが世界を視野に入れていたことが改めて伝わってきて興味深い。なんかレモンレモンズの「夢みるツィッギー」はオリジナルや以前コンピに収録されていたバージョンよりえらく長い。
V.A.

昭和元禄トーキョーガレージ ビクター編《トンネル天国》

CD ビクター VICL61811  同、ビクター編。なんと言っても3大クラブ歌謡の一角、オリーブの「カム・オン・・・!」の待望のCD化が嬉しい。(しかし来月出るコンピにも収録されるらしい。)あとは荒木一郎の負のオーラ漂うサイケデリック楽曲二曲も収録されているが、これは所謂差別語の関係で今までCD化が避けられていたと思われるので、これでモップスの最高傑作の某曲がCD化される一縷の望みが出てきたかもしれない。永井秀和って俳優と言っていいんだろうか。オールスターズワゴンの二曲は彼ららしい無茶さがあまり出ていないような気もするが、変なアレンジであるのは確か。ビクターはすばらしいエレキの音源が山ほどあるのに持ち腐っているなぁ。
V.A.

昭和元禄トーキョーガレージ ユニバーサル編《レッツ・ゴー・ピーコック》

CD ユニバーサル UPCY6107  同、ユニバーサル編。ここは全然歌謡曲やら何やかやが全くCDになっていないので、そっちの方面をもっと掘って欲しかったような気もするが、ニューロック系の曲に数曲初めて聴いた曲があったので有り難い。というかうちのページの記述を意識してはらないか、と妄想をしてみたり。ちなみにもう一枚出ているテイチク編はGSで固められており、全曲CDとして持っているので購入しなかったが入門としては好選曲やと思います。

17.12.4 何だかんだ言ってもやっぱり歌を歌うことに執念はある。が、ついてくる人がいない。

ザ・スペイスメン

エレキ・ギター万才

LP ビクター SJV147  大日本が世界に誇る名バンドの、のみならず日本のすべてのエレキインストの中での最高傑作。スタンダード・ナンバーをホーン・セクション入りでエレキインスト化したもので、これが省みられない和モノ復刻界というのは一体どういう了見なのか問いただしたい。本体入手。
ザ・スペイスメン

エレキで盆踊り

LP ビクター SJV203  これはそれほどわあわあ言うほどのアルバムではないが、唯一無二のエレキ魂がここでも炸裂。日本民謡・新民謡をエレキ化。これも本体入手。
井上宗孝とシャープ・ファイブ

007/サンダーボール作戦

17cmLP キング SS117  これでしか聞けない「霧のカレリア」を含むミニ・ベストで、事実上は「パラダイス・ゴーゴー」からのチョイス盤。その「霧のカレリア」はオリジナルよりもテンポがやや早く哀愁よりも繊細さの方が良く出た演奏だが、シャープとしては可もなく不可もなく、というか出来が悪い部類か。
ローヤル・ローズ

星が降るから濡れるから

EP ローヤル RQ636  朝鮮民謡風歌謡だが、菅原都々子かと思わせるようなリリース時点としても異常に古い印象を受ける。よく言えば古賀メロ風なのだがいくら何でも古すぎる。B面が「アリラン夜曲」で椿まみもやっている曲。これがオリジナルか。期待の歌手にはこれを歌わすことになっていたんだろうか。椿まみにくらべると抜群に上手いが、歌唱の巧さが情緒に繋がっているかというと、それは椿の足下にも及んでおらない。この辺が歌謡曲の面白いところだ。どうでもいいがこの会社のレコードのジャケットはどれをみてもうらぶれ方がすごい。
ジューク・ボックス

アルバイト・ブギ

EP テイチク RE554  カーナビーツの岡氏の弟がいたグループとは別のグループで女性ボーカルの復古ロックンロールバンドの方。井上大輔作品。これは良い意味でヒドイ。野放図。楽曲にボーカルが振り回されている。アップテンポの小気味良いブギウギもの、かつコミック・ソングだったからいいものの、空回り気味に過ぎる。訳知りの人が日本のロックをねじ曲げたのは80年代の女性アーチスト連だと申し侍るけれども、こう言うのを聞く限りそれは間違いだろう。いろいろとレコードを聴いているとこの手の訳の分からない復古ロックのバンドのヤケクソ気味のブギウギものによくぶちあたり、ダウンタウンブギウギバンドの与えたインパクトの凄まじさを忍ばせる。曲自体はロックンロールの部分とブルースの部分が入れ子になる曲構成は素晴らしいし、ワイルドでガレージチックでもあるギターにはロック魂を感じる。つくづくボーカルが上滑り気味なのが惜しい。B面はルンバと名を頂いているが、スカを取り入れたのりのいいダンスナンバーで、所謂イタリアン・ツイスト歌謡というやつ。ボーカルもヒドイことはヒドイがこれは許容範囲。懸命にロックしているのが大変愛らしい。演奏、コーラスとも絶好調でこのバンドの本来の音はこちらの方に近いのだろう。

17.12.3 ああ、なんかタガが外れた感じだ。

ロス・ブラボーズ

ブラック・イズ・ブラック

CD マジック 3930344  スペインのビートグループのベスト。表題曲でお馴染み。オルガンが主役を張るが演奏のスカスカ感はなく、ためにガレージ感はあまりない。ロックとポップスさらにラテンなどが入り交じっており、また、バンドサウンドの上にホーンを被せたり鉄琴を被せたりというような、言ってみればGS的な発想のアレンジの曲が多いが、湿っぽくなく、割合にアメリカ西海岸的なカラッとしたサウンドに近い印象を受けた。もっともなかにはタイガースを思わせる「トゥー・カインズ・オブ・ラバーズ」のような曲やあんまり練り上がっていないような曲もなくはない。シャウトではなく歌い上げるスタイルのボーカルが英米のバンドとの大きな違いか。掲示板での指摘の通り「アイ・ウォント・ア・ネーム」がヤンガーズの「マイ・ラヴ、マイ・ラヴ」の元ネタであることは間違いないだろう。
?&ザ・ミステリアンズ

ザ・ベスト・オブ・?&ザ・ミステリアンズ カメオ・パークウェイ

CD アビクコ 1877192322  米国のグレイト・オリジナル・ガレージ・バンドの奇跡のベスト盤。よくもこんなマイナーレーベルの音源を復刻できたものだ。けして上手いとは言わないが、何処までも続くチープなオルガンサウンドはガレージの情緒がある。やはりガレージの名曲「96粒の涙」は外せないが、冒頭を飾る「アイ・ニード・サムバディ」、空気を切り裂くファズの音色と甘ったるいボーカルとリフをはじき出すオルガンの喧嘩が楽しい「ガール」などビルボードを賑わせたシングル・ヒット曲には激しい魂の揺さぶりを伝えさせる。もっとも「96粒の涙」の縮小再生産のような曲もあったりする。それはそれでガレージバンドらしくて良いのだが。
ザ・グレート・スコッツ

ザ・グレート・ロスト・グレート・スコッツ・アルバム

CD サンデイゼド SC11048  キュロット・スカートを履いたカナダのビートグループ。ドラムの音のせいもあるが、演奏が厚く、80年代のバンドだと言っても信じてしまいそうだ。まあ、ギターがペナペナしているので判るが。「アイ・アイント・ノー・ミラクル・ワーカー」は曲調はガラヴーチーズの「イットル・ネバー・ワークアウト」と、リフはスーナーズの「イエイエ」と共通点があってこの位のバンドの世界的な共通性に思いを馳せられる。それ以外も基本的に演奏の音が厚いのでそうは聞こえないが、曲発想も「ガレージ・パンク・アンノウン」に入っているバンドのそれに近く、コーラスの多用も非常にそれを思わせる。つまりアイデンティティはガレージバンドのそれであろう。なかなか面白い。
フレンド&ラヴァー

リーチ・アウト・オブ・ザ・ダークネス

CD ウルトラ・ヴァイブ CDSOL7137  表題曲の一発ヒットのみで知られる米国の夫婦デュオ。掛け合いを含めた男女のハーモニーの美しさと躍動感のある明るい曲調で非常にフラワー的。作られたものとは言え、よく作り込んであるバブルガム・ミュージックでダンサブルなことこの上ない。特にベースのグルーヴィーさは特筆もの。もともとフォークだった人がロックへ移行していったグループだと言うことでそのあたりで変なこだわりがなかったのがよい方に出たか。作られ方がド派手であったためあとを続けるのにはソフト、メンタルの両面できつかろうことは伺える(故に一発屋で終わってしまったわけだが)が、何はともあれサイケとヒッピーが闊歩したサマー・オブ・ラブの空気を味わえる。
ブリトニー・スピアーズ

グレイテスト・ヒッツ:マイ・プリロガティヴ

CD BMG BVCQ21031  買う買うと言ってほっといた奴。大橋純子みたいな曲だなあと思っていたらそのうち某デュオアイドルの元ネタになった「ウープス!アイ・ディド・イット・アゲイン」が非常に気になっていた。やはりなんと言っても売れるものにはそれなりに理由がある。灰汁はないが非常に聞きやすく、成る程空気のような音楽かつ売れ線で追求できることは何かということを作り手はよく研究してある。あんまり先鋭的なものではなく保守的でしかも新しいものを聴いているかのような錯覚を聞き手にあたえるものが大衆の耳に馴染みやすいのだ。
V.A.

タイ・ビート・ア・ゴーゴー ヴォリューム3

CD サブリミナル・サウンズ subcd18  タイのグルーヴ歌謡名曲集第3弾。毎度このシリーズはジャケット・ワークが素晴らしい。今回は過去の二枚のようなガレージ色は大変薄く、ホーンセクションの入ったバブルガムミュージックやソウル、ファンク、ディスコの流れの作品が大変多く、今いう和モノのニュアンスにかなり近い。当時で言うなら筒美京平、今で言うならザ・シロップの作品の感触に近い感じ。ハモンドオルガンのこぢんまりとしたソロは東南アジアの音楽はこういうものという先入観を吹っ飛ばすこと請け合い。こうして聴くと70年代当初のグルーヴィーな歌謡曲も世界に通用するのかもしれないと思わせる。よくはまったニューロック歌謡もなかなかにイカスが、演奏はニューロックなのに歌いっぷりやメロが伝統的なものに立脚している曲の方がねじれ具合が楽しく、エキゾの情緒を満足させる。そういう近代的な曲の中に突然「ハート・ブレーク・ホテル」のタイ語カバーがいきなり割り込んでくるのも凄い。「ソウル・ドラキュラ」のカバーと完全にタイ風のディスコ歌謡が平然と並んでいるのも面白い。お勧め。

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