これ買いました平成18年10月

18.10.28 本棚が欲しい。

笠置シヅ子

ブギの女王・笠置シヅ子

3CD コロムビア COCA71106→08

ブギの女王、笠置シヅ子の三枚組みベスト。えらく前に出たものの再発(ただし、その後音源が発掘された二曲を加える。)だが、その際に買えなかったので有難い。音源が確認されていない二曲を除き、全ての録音作品が網羅されており、ほぼ全曲が服部良一作品である。三曲のみ原六朗作品だが、この人は服部良一の弟子だ。戦前・戦中の作品が6曲あるが、これと戦後の曲(何曲か再吹き込みはあるが)のテンションがさほど変らず、戦後の活躍も戦前からのショー生活が土台にあることと、笠置シヅ子の天性の歌の才の素晴らしさを再確認できた。ブギの女王ということで一つの形式に一辺倒な所があり、この辺りは暁テル子に少し劣るが、この爆発的なパワーを突発的に炸裂させたというのはやはり独走的である。「買い物ブギ」をそのままやったような「ボン・ボレロ」など、テンションの高い楽曲にはやはり舌を巻く。

東京キューバン・ボーイズ

大全集

2CD コロムビア COCW33951→52

ラテンのスタンダードを主とした洋楽ナンバーを集めた彼らのベスト盤。60年代中盤を中心に70年代前半ぐらいまでのコロムビアの音源で構成されている。正統派の、それもトップのビッグラテンバンドの演奏であって演奏の熱気がストレートに伝わってくる。「キサス・キサス・キサス」のアレンジに後にラテン歌謡、ムード歌謡のアレンジへの萌芽を感じる。

O.S.T.

宇宙刑事シャイダー オリジナルサウンドトラック

2CD コロムビア COCX33965→6

やっと「不思議ソング」と「なんだなんだブギ」を手に入れられた。全体的にダンサブルな楽曲が多く、渡辺宙明節の強烈さを改めて思いいる。かように全体的にダンサブルな楽曲が多いにもかかわらず、シャイダーという作品が即思い起こさせる「不思議ソング」は強烈で、特に初期バージョンの彼岸ぶりは何とも言語を絶する。「なんだなんだブギ」はやっつけもやっつけだが、それがいい方に出ている。

沢田駿吾

フォーメイション

CD シンク! THCD032

日本を代表する名ギタリストの残したモダンジャズ盤の復刻。クールなプレイによって一般に知られ、また、ソフトロックやサバービアの視点で捉えられているため、清清しいサウンドばかりが取り上げられてきたが、表題曲では烈火の如き激しく叩きつけるようなプレイが聞ける。このプレイを「恋のピストル」でやっていたら歴史も変わっていたのかもしれない。この時代の職人技のご多分に漏れず、サウンドという点では言うことはないが、しかし表題曲ほどのインパクトのある曲が並んでいないので、逆に一曲が浮かび上がり印象深い。

ジョージ川口 ビッグ・フォア・プラス・ワン

ビッグ・フォア・プラス・ワン登場!+4

CD シンク! THCD032

ジョージ川口が新メンバーを募って揚々とその心意気を世間に問うたビデオホールでのライヴ盤に4曲を加えたもの。やはりドラムを中枢に据えたアルバムはグルーヴ感が圧倒的である。ジョージ川口の演奏は全般的に豪放であるが、流石バラードメドレーなどでの音の隙間に悲しさをにじませる技巧的なプレイもあって、他のこのシリーズのアルバムどもと相俟って当時の日本のジャズのレベルの高さを見せ付ける。30とはいえベテランであった彼の熟したプレイとこれをサポートする更に若手の渡辺貞夫らの清新なプレイが互いを刺激していて心地よい。一曲ジミー荒木が参加。ボーナストラックではこのバンドで後に録音した曲(ただしメンバーは入れ替わっている)とこのバンドの前身であるビッグ・フォアのライヴ音源が収められており、時代を縦に貫くジョージ川口の音楽を追体験できる。これらもよろしい。

V.A.

日本のジャズ・ソング〜戦前篇・創生期のジャズ〜

CD ブリッジ BRIDGE066

コロムビア、ニッポノホン、オリエントなどの音源による昭和初期のジャズ・ソング(今で言うポップス)カバー集。歌謡曲の神様・二村先生のほか天野喜久代、バートン・クレーンほかを収録。この時代のジャズソングというのは聴いたことのない人には驚くほど洗練されたところがあり、オペラを下敷きにした独特な雰囲気があったりする。ここでも、ちゃんとした黒人ディキシーバンドを従えて小鳥の囀るが如くつつつと優雅に歌う天野喜久代やコロムビアでも豪放に歌う徳山lと言った貴重音源が聞ける。しかし、そのような希少云々というだけではない歌謡曲草創期の魂のこもった素晴らしい演奏歌唱がずらりと並ぶ。神様二村先生が素晴らしいのは言うまでもない。「三輪慎一」、「深沢五郎」という二人の歌手の正体を、それぞれ二村定一、徳山lと推定されているが、どちらもどうも声や唄の癖が違うような気がしてならない。たとえ彼らの別名であったとしても、別名を使う目的も良くわからない。

川畑文子

日本のジャズ・ソング〜戦前篇・二世ジャズシンガー川畑文子〜

CD ブリッジ BRIDGE067

タップダンスを組み合わせた洗練されたジャズショーを東京で行い日本中で評判を巻き起こし、特高をパニックに陥れた、アメリカの移民三世・川畑文子のコロムビア音源によるベスト盤。この人の歌い方はとにかくぶっきらぼうで表情に乏しいが音も微妙に外れるところが多々耳に付くけれども、情が失われていないところが今も頻繁に復刻される所以であろう。バックの演奏が鋭いものが多く心地よい。なお、ブックレット裏の川畑文子が異常にモダンで下手をすると70年代の人といっても信用されそうなほど露出度が高く活動的な格好をしていて、その立ち姿も桁違いにかっこいい。

V.A.

日本のジャズ・ソング〜戦前篇・ジャズシンガー・トップ・レディース トップ・ガイズ〜

CD ブリッジ BRIDGE068

二つ上の奴の少し後の時代のシンガーを集めたコロムビア音源による戦前ジャズ名演集。こちらは、ミッヂ・ウィリアムスや宮川はるみといったアメリカ人や日系人のシンガーを中心にしており、歌謡曲にとっての、野球で言うところのウォーリー与那嶺やバッキー・ハリスのようなよき手本としての黒船の役割を果たした人たちがずらりと並んでいる。誰も川畑文子より技術的には上手く、特に宮川はるみの臨場感溢れる歌声は目眩を起こさせる。また、本場のシンガーや歌手をかぶりつくように見て聞きつくしただろう先人の様子が脳裏に浮かんでくる。後半には松平晃や中野忠晴といったスター歌手の洋楽カバーも入っているが、この熱気も相当なものである。

V.A.

日本のジャズ・ソング〜戦前篇・栄光のコロムビアジャズミュージシャン ステージショーのスター達〜

CD ブリッジ BRIDGE069

軽音楽系の楽団の流れと中野忠晴や笠置シヅ子といったライヴに強かった人たちの音源。前半はインストものを中心としていて、この時代のジャズバンドの実力が確認できる。とくに「セレナーダ」の出来が良い。後半は中野忠晴とコロムビアナカノリズムボーイズの荒削りながらも流れ走るようなカバーと宝塚の必死なカバーの対比が面白い。最後はザツオンブラザーズで〆られるが、大きな島はあきれたから抜け出していない。

V.A.

エレキ歌謡ア・ゴーゴー

CD テイチク TECH25149

殆どもう持っている曲ばかりだけど泣いて買います。60年代のテイチク、大映に残されたものを中心としたエレキ歌謡集。ただし何曲か70、80年代の復古系エレキ歌謡も入っている。もうちょっと選曲は何とかなったような気がしないでもないが。高田みずえは自分は持っていなかったけど有名曲だしなぁ。嵯峨聖子あたりは何か問題があるのだろうか。

V.A.

ジ・イン・クラウトVol.2

CD マリーナ MA67

ドイツ60、70年代グルーヴチューン集。ガレージものではなくソールチューンもので、ジャズとロックが接近した70年前後には世界中で似たようなことをやっていたんだなぁということが良くわかる。石川晶ですとか水谷公生ですと言われても納得しそう。「黒い炎」のカバーなど有名曲も多い。9はタイトルが違うが「マシュケナダ」。BGMとしてはよし。

V.A.

あの日の教室〜さわやか3組−NHK子供番組テーマ集−

CD+DVD ウルトラヴァイヴ CDSOL1140

 NHK教育の子供向け番組の主題歌集。どうも自分には80年代末の3年位に放送されていた番組の、それもごく一部に馴染みがあるに過ぎないので「みんななかよし」「おーい!はに丸」「できるかな」「ジュニア大全科」を除けば殆ど始めて聞いたような状況。特にどこから聞いてもどうと言うような感想はないけれども、初CD化も多く貴重なのは確か。

18.10.14 ライヴ会場で買ったもの。(詞書)

ザ・ボウディーズ

イエスタディズ・アンド・トゥディ

CD シーズ SEZ3002

箱根の山の東にある現役若手バンドで唯一ちゃんとした演奏を聞かせてくれる注目のビートルズ風リバプール・サウンド・バンドのファースト。彼らが売れなければ、業界の中の人を疑う。
 これは非常に素晴らしい。
 先ず音に破綻がない。インディーズで全国流通という程度のバンドには、まだまだバンドの音にもなっておらなかったり、技術的に稚拙なところを恥ずかしげもなく残しておる者もあるが、このバンドはそういった所がなく、歌唱も僻事がなく、そのバランスもよく取れていてちゃんとバンドの音になっている。転調などで突然曲調が変わる所等でも一糸乱れぬ統制が取れておってまことに鮮やかで実に稀な事である。
 また、いい意味で若さがない。若手のバンドではどうしても復古調のバンドをやっておっても、今風のところが顔を出すものだが、これは、本当にデーブクラークファイブあたりの全盛期のリバプールサウンドの音に混ぜても容易に掬い出せないほどの古色があって古典で言うところの「やさしい」音であって、プレイヤーのバンドメンバーとともにプロデューサーに対しても最大限の賛辞を与えねばならない。趣深く、情緒溢れることこの上ない。
 さらに言うと曲も良い。なかなかここのサイトで曲の良し悪しまで言うことは少ないが、50〜60年代に作られたカバー曲と本人たちの作った曲に違和感が全くなく並んでいて、しかも互する。これも甚だ稀な事であって、何も穴と言うところがない。
 このCDではよくわからないが、彼らはライブでの動きもまことに優雅で古式に則っていて納得できることばかりであり、しかもルックス自体も素晴らしいので一般受けもするであろう。
 兎に角まともなバンドがまるでいなかった東京でこのような素晴らしいバンドが頭角を現してきたことには喜びに耐えないところである。

声を大にしてお勧めする。

片山ブレイカーズ&ザ・ロケンローパーティー

ライヴ新宿紅布二〇〇六年四月二十二日

DVD 番号なし

今年四月のライヴを収録したもの。駅売りのCDみたいなパッケージ。現物はもう少し激しさがあるのだが、ややおとなしめな印象を受ける映像になっているか。音の方も幾分かマイルドになっているようにも聞こえる。出来はどうあれ、なんとしてもこのように映像作品が残せたのだから上としなければならない。もう少し小さなハコにおけるライヴなどを映像化できたらこのバンドのこのバンドらしいライヴパフォーマンスも世に残るのにと思いつつも、まあいろいろとあるので詳しくは書かない。

18.10.6 すいません、すいません。

ロス・インディオス

大阪ものがたり

LP ポリドール SMR3049

「ブルーライトヨコハマ」や「雨の赤坂」など当時のヒット曲(何故か女声和製ポップスが多い)のカバーを収録したオリジナル・アルバム。本間のハープの音色が印象的であるが、原曲から大きくアレンジされた曲はなく、彼らのルーツである南米のフォルクローレ色は隠し味程度で前面に出てはいない。グルーヴという点で見ても、元がr&b歌謡などであっても、ビート・ソウル感は抑えられ、それほど押す力があるという事もない。彼らにとっては一時期活動の落ち着いた「谷間」の時代の作品であるので、それが反映したような感じ。しかし男声による女声和製ポップスというのはこれはこれで趣がある。

ロス・インディオス&シルヴィア

別れても好きな人〜おれでよければ

LP ポリドール MR3233

「別れても好きな人」を核に中島みゆきらのカバーなども収録したオリジナル・アルバム。最も出来が良いのは「わかれうた」で彼らの出自であるフォルクローレがイントロなどでうまく使われており、破綻が目立つことの多いシルヴィアの歌唱もこの曲に限っては全くボロが出ておらない。一つだけ残念なのはコーラスが絡んでこないことぐらいか。「深夜旅情」はメモリーズやハッピー&ブルーもやっている曲だが、取り立ててこれらに劣ると言うことはなく、それなりに情緒があって良い。ただボーカルで破綻があるのが玉に瑕だ。「愛のモトマチ」のカバーが収録されているが、歌詞と作者クレジットが違い、仮にもヒット曲であるこの曲を改変しまくる三枝伸の意図が良くわからない。出来はまずまずと言ったところ。

花菱エコーズ

カタビラ小唄

EP 東芝 TP2225

葬式をテーマにしたコミックソング。「自動車ショー歌」を髣髴とさせる陽気な歌のはずだが、ボーカルの生真面目ぶりに物悲しさが漂いその他の要素との相殺が何とも惜しい。B面はサックスの咽び泣く60年代のムードコーラス然とした京都をテーマとした楽曲。このグループの中では珍しく上手くまとまっているが、悲しいかな花に欠ける。

ベストセラーズ

もう離さない

EP テイチク RS41

 ベストセラーズらしい果敢な挑戦があまり見られない中庸なムードコーラス曲。ピアノが強調されているが、こういう曲なら五木ひろしが歌えばよいのであって敢えて彼らが歌う必然性がない。B面は後期のクールファイブを思わせる曲だが、ボーカルがソフトであるのでクールファイブとは別の魅力があり、上手く生かされている。ただし華のある曲ではないのが残念だ。

山川登とベストセラーズ

ガッカリしてるの

EP ワーナー L359W

A面はCD化済み。B面はいろいろと工夫してあるが、結果は中道のまんまん中に収まったという印象。アルバトロスの曲みたいである。

チコとヒューマンカンパニー

ウィスキーは嫌い

EP トリオ 3B709

ウーマントーンとシンセの織り成すニックニューサ系アダルトポップス。当たりが軽いが、この手のグループの女声ボーカルに期待はない。手堅いがそれ以上の印象なし。B面はデュエットを強調しニューミュージックにより接近。これも完成度はそれなりに高いが、そこから先がない。さびでの何か電波を突然受信したかの様なアレンジは単に聞いているほうを不安にさせるだけである。ところで、この人たちは「ヨコハマ物語」と同じ人たちなのかしら。

キング・オブ・キングス

アリベデルチ神戸

EP ビクター TLP3027

 エレピとエレキを前面に出した男女掛け合いのマイナームードコーラス曲でやや演歌に偏っている印象もあるが構成もしっかりしていて、よく出来た曲。タイトルから想像されるイタリアン、カンツォーネな要素は殆ど感じられない。ボーカルの歌い方に「いきなり」なところがあるのが玉に瑕だがねっとりとした男声ボーカルと上滑った女声ボーカルの対比はなかなか美しい。B面はカラオケ。

灘康次とモダン・カンカン

新宿酒場

EP キング GK356

有名なボーイズグループによる演歌と艶笑歌。A面は無理のあるメロディーだがハイトーンボイスの使い方が強烈で意表を疲れる。しかしあまりに強烈なので女声ボーカルが入ってきたものだと誤認してしまい、結果としてパンチに結びつかない。B面はこのグループのパブリックイメージに忠実なお座敷ソング調で修めている。

ナンセンス・トリオ

ざんざ恋唄

EP 東京 AMON1038

親亀の上に小亀を載せる人たちによるまっとうな演歌。お座敷ソングの系統。拙い所はあるがいい湯加減で歌っている。アレンジの元ネタは実はビートルズなのではないか。B面は紛うことのない演歌で、はっきり言ってこれも拙いが、Aメロとさびでのユニゾンコーラスにやや情を感じる。

荒軽人一座

おでんの唄

EP ビクター JRT1331

東京大学大学院生らによるフォークグループによる微妙なコミックソング。リリーフランキーの「おでん君」を35年ほど早くやりすぎたような童謡系純愛フォーク。B面はいかにもカレッジフォークらしい、物悲しいけれどもやおいの色もたいへんに色濃い、弱含みのマイナー調アコースティックナンバー。

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