これ買いました平成18年4月

 


18.4.28 とにかく悲しさと悔しさでいっぱいである。

V.A.

80’sメモリアル・アイドル ファースト・キッス

3CD ユニバーサル UICZ8002/4

 ポリドール、トーラスなどのユニバーサルからデビューした広い意味でのアイドル系女性歌手のデビュー曲を集めたもの。「おしえてアイドル」シリーズの再編成盤的色彩が強い。曲とタイトルがようやく結びついたのとかもあるが、持ってる曲も多かったので全体的な感想は特になし。松居直美の歌の巧さを再認識。

筒美京平

ソロ・ワークス・コレクション 東芝EMI編

2CD 東芝 TOCT25993〜94

 筒美京平自らの手によるインスト集。東芝編。一枚目は他人の作品も含めた歌謡曲をイージーリスニング化したものだが、白眉は「涙の中を歩いてる」。曲自体が名曲と言うこともあって数多の名演があるが、これはその中でも突出した出来。ビートが強調されたアレンジはいわゆる和モノののり。それともう一つ、やりたい放題のマカロニなアレンジにひっくり返る「恋の奴隷」はまさにぶっ飛びもの。二枚目は高音質を目指したディスコティックのアルバムの復刻。同じコンセプトで数曲同じ曲をやっているオリエンタルエクスプレス盤のいかがわしさとは全く逆のさわやかさ、根の明るさが前面に出ていて何とも感心させられた。村岡実の尺八が聞こえればそれで良いという性分であるので多少評価が甘いかも知らない。

筒美京平

ソロ・ワークス・コレクション コロムビアI編

2CD コロムビア COCP33601〜2

 上と同じシリーズ。自作作品集、他人の作品のカバー、鈴木邦彦との共演盤とバラエティーに富む三枚の自演によるイージーリスニング盤を二枚のCDに収録。まるっきりのイージーリスニング盤と言っていいものなので何とも言えないが、その中で「ミッドナイト東京」は本来作者が持たせたかったニュアンスがどういうものであったのかを伝えており、歌入り盤を遙かに上回る情緒を持つが、それ以外は却って元々のオリジナルがほぼ作者の意図をそのまま再現したものであることが推察できて面白い。

筒美京平

ソロ・ワークス・コレクション キングI編ポップスタイル

2CD キング KICS2472〜3

 同上。童謡をピアノで料理したり、他の人の作品を含めて流行歌をチェンバロで料理したり。「帰り道は遠かった」は以前CD化された際にはばっさり切られたイントロが収録されている。注目すべきは「さよならの後で」で本来作者がどのよう意図を持ってああいうイントロにしたのかが判り、成る程作者にとっても渾身の一曲であってことがよく伝わってくる。しかし演奏家としての筒美京平の魅力がよく伝わってくるシリーズであることだ。

筒美京平

ソロ・ワークス・コレクション キングI編モダンスタイル

CD キング KICS2474

 ビートルズ作品をバカラック風に料理した名盤。事実上旧規格盤の買い換え。

筒美京平

ソロ・ワークス・コレクション ソニー・ミュージックI編

CD ソニー MHCL760

 同上。前半は「筒美京平の響」の復刻。本人作品をイージーリスニング化したものだが、昔から名盤とされていたもの。連弾で聞いていくと名盤ではあるが同時期に繰り替えしだされた今回のシリーズのようなイージーリスニングものの中では、傑出したものという感じは受けない。こりゃ全体のレベルが異常に高いというだけだが。後半は吉田拓郎の「結婚しようよ」なんかもやっているけれどもオリジナル曲、カバー曲、書き下ろし曲を入り交じらせたコンセプトアルバムの復刻。フラワーズの「フラワーボーイ」のカバーはいかな御本人のレコードと言っても珍品。出来はよい。

筒美京平

ソロ・ワークス・コレクション ビクターI編

CD ビクター VICL61908

 同上。これもスキャットとストリングスを多用したオーケストレーテッドされたイージーリスニング集で何とも安寧な気分に至る。「ブルーライトヨコハマ」の荘厳さが面白かった。ライナーに誤りあり。タイトルを列挙したあと「・・・この他はすべて書き下ろしだ。」とあるが、名前の挙がっていない「二人の夜明け」はザ・ジャガーズに前年提供されたものだ。ボーナストラックとして洋楽のカバー2曲を収録。

ドクター・ドラゴン&オリエンタル・エクスプレス

ザ・バース・オブ・ア・ドラゴン+4

CD ビクター VICL61907

 筒美京平の変名でリリースされ、ある程度の国際的な評価も得たディスコティックのアルバムの名盤の復刻。今から考えると実に長閑な面もあるが、成る程世界を相手にしても全く謙遜のない良くできたアルバムである。なんと言っても凄いのはこれだけ毛並みのしっかりとした作曲家のバンドでありながらも全く怪しげであること。こういうあるジャンルの音楽の持つ雰囲気については、そのジャンルの深奥について到達しないとなかなか出てこないものであって、筒美京平の職人気質の確かさに改めて思いを致させる。解説でこのアルバムに収められている楽曲をカバーした人の話題としてブルコメが出てこないのが自分としては残念。

東京キューバンボーイズ

ラテン・オペレーション

CD キング KICS2469

 日本を代表するラテン系ビッグバンドの60年代前半まででまとめたベスト盤。前から言っているので敢えてここでは言わないがこれだけの力量があるバンドがそれなりの扱いを受けていないと言うのは非常に口惜しい限りだ。内容は当然に素晴らしく、情熱と計算が見事にすぱっと演奏に絡みついている。ビッグバンドというのは請うてないと行けない。スカパラの人が選曲等している。後半のシャープス&フラッツとの競演音源は数年前に丸ごと復刻されているので、ちょっと多すぎるような気もしたが、名バンドの名演を聞けるだけでも有り難い。

スマイリー小原&スカイライナーズ

ダンス・ウィズ・スマイリー

CD キング KICS2470

 紛れもなく日本の大衆音楽史の一時期を支えたにもかかわらず何故かCD化が進んでいない日本を代表するビッグバンドのベスト盤。スクスクとツイストのニューリズムものが中心となっているが、このバンドにはまだまだたくさんの名演があるのでこれからさらに復刻が進んでいくことを願ってやまない。選曲者が加工しているのかもしれないが認識よりもビートが強くてちょっと驚いた。

V.A

80年代歌謡ポップス・セレクションユニバーサル編

CD ユニバーサル UPCH1486

 筒美京平作品を中心に80年代フォノグラム/ポリドールに残されたアイドルの楽曲集。これはメジャー路線。上の三枚組と収録曲が結構重なっており、多少発売戦略に疑問を持つけれども、もともと持っていた曲も多いので特に感想なしとする。

18.4.24 また明日から地獄のような日々が始まるのであります。

古谷充とザ・フレッシュメン

古谷充とザ・フレッシュメンのファンキー・ドライヴ&民謡集

CD テイチク THCD011

 とてつもないお洒落なサウンドを紡ぎ出すジャズ・バンドの残した快作二作を一枚に。同時期、また、のちにムードコーラス作品をリリースしているが根は実にこのあたりのジャズなのである。こんなものまで復刻される現在というのは実に良い時代になったものだ。もっとも古谷の渋い歌声が聞けるのは2作、それも外国曲のカバーに留まっており、あくまでも演奏集団としてのフレッシュメンを楽しむ志向。傑作「暗い夜」はここではインストとして披露している。
 最近では古谷氏は統一コリア運動で活躍されているようだが、永六輔によるオリジナルのライナーで既にはっきりとは書いていないが出自のことがほのめかされており、大胆さに驚くと共に様々な苦労があったであろうことを偲ぶ。
 なお、GSのフレッシュメン、エレキ〜ディスコバンドのフレッシュメンとは別のバンド。

松本英彦

松本英彦のモダンジャズ

CD テイチク THCD012

 上と同じシリーズ。名うてのジャズメン達と繰り広げる松本英彦のテナーサックスの世界。ブリブリと円熟したテナーサックスが熱っぽく歌い上げる。猪俣猛のドラムもこの後にくるグルーヴ歌謡の時代を先取りしているかのように力強く(やや強引だが)、日本のジャズが全く米国のそれと比べても謙遜ないことを見せつける。

V.A.

70年代歌謡ポップス・セレクションユニバーサル編

CD ユニバーサル UPCH1487

 筒美京平作品を中心に70年代フォノグラム/ポリドールに残されたアイドルの楽曲集。マイナー楽曲の色が強い。チェルシア・チャンをここまでフィーチャーしたCDが嘗てあっただろうか。自分は小川みきに全然思い入れがないこともあり、内容全般に関しては別にどうと言うこともないのだが、最後の三枝伸の2曲、ハッピーとジョー「自由な二人」とベイ・シンガーズ・ファイブ「エンドレス・ラブ〜愛は永遠に」はすごい。この2曲を再リリースするための方便としてこのシリーズが企画されたのではないかと思うほど。いわゆる和モノ路線の大傑作である。ソウルフル!詳しいことは「ホットワックス」の最新刊に載っているので省略。あとはサイ・スーリン「陽だまり」のハワイアンの溶け込ませ方の妙さが気になったが特にこれはどうと言うこともないな。

V.A.

ビートルマニアクス!!!ビートルズ・ノヴェルティの世界

CD Pヴァイン PCD2635

 60年代中盤を中心に作られた人気に便乗して出されたビートルズ関係のノヴェルティーソングを集めたもの。ポール死亡説関係曲もあり。前から知っていた幾つかのガールグループの楽曲がよいと思ったが、ビートルズ曲の一節やリフをぶち込んでくる楽曲の方が自分は好みのようだ。ともあれ、現役の一アーティスト相手にこれだけのノヴェルティーソングが出るというのは空前絶後であってビートルズ旋風の凄さはいやでも伝わってくる。

18.4.17 忙しいけど忙しくない。←やまかつウィンク。

V.A.

ザ・ヒットメイカー筒美京平の世界

6CD ソニー MHCL771〜6

 作家生活40周年記念盤。ヒット曲、マイナーながらも名曲、カバー、レアトラックスなど。
 筒美京平の曲はともかく、どうも松本隆の詞が苦手だ。筒美作品でも「9月の雨」「木綿のハンカチーフ」「Romanticが止まらない」は好きだが、それ以外はどうも情に訴えかけてこない。他の作家の作品でも思いつく限りではアボジー&ペリジーの「夢みる約束」ぐらいしか泣けない。
 これはどうも松本隆という人がインテリなので地から泥がわき上がるような感覚とは逆の、雨が天下ってくる感覚が主でかつ客観的冷静な視線を感じるからなのではないかと印象批評してみる。
 個人的には筒美京平に合う作詞家は橋本淳が第一で次に阿久悠、なかにし礼、有馬三恵子だと思う。量としてもこの四人と松本隆で結構な割合を占めるのではないだろうか。
 それはともかく、色々な人が書く松本隆の詞が如何に凄いか、或いは本人がどんだけ偉いかという話しを読むたびに非常にいつもどうも違和感があるのだが、実際ある程度というか殆ど歌謡の歴史と言うぐらい松本−筒美作品は売れているわけで、一連の曲から受ける自分と多勢の感覚の間に流れる川の正体を見極めないといけないが、そこまで行かない自分が情けない。
 歌謡というものの全てとは言わないまでも原理というものを見極めてから死にたい。
 それでも松本隆の詞抜きで純粋に曲だけをじっくりと聞いてみたいというのは本音としてある。
 ちなみに人が言うより秋元康という人の評価は高いです。
 ついでに筆を滑らせると作曲家の格としては吉田正の方が上だと思っているのは秘密じゃないけど秘密。
 ただこのボックスはメジャーどころなのに今まで持ってなかった曲とかが入っていて重宝。殆どはCD化されている曲ばかりだが「オー・ジェントルライフ」や「笑顔でジャーニー」などのプロモオンリー作品まさかのCD化が嬉しい。
 他駆け足で感想を書けば、桑名正博「哀愁トゥナイト」の出来の良さを再認識し、KinKi KidsやTOKIOらジャニーズ勢の歌謡魂の高いことを改めて見せつけられる一方、小沢健二と175Rの二組が激しく浮いている。この二つは壷が判っておらない。スカパラも同じようにパロディ、或いはネタとしてしか見ていない演奏。渚ようこの「ビューティフルヨコハマ」はボーカルはともかくバッキングのクレイジーケンバンドの演奏が完全に原曲を凌駕しておって素晴らしい。藤井隆の「絶望グッドバイ」はロシア民謡がベースか。

あきれたぼういず

アンソロジー

CD テイチク TECH25064

 先駆にして究極、ボーイズ芸の至宝が残した主にテイチク音源を集めた意義深いコンピ。同じネタを延々とやっているようにも感じるが、リリース形態故に仕方のないことだ。時代のせいで軍国色が強いが、戦前の芸とは思えない程のスピード感は堪能できる。もっと豊富に映像、音声のストックが出来る時代であったらば偉大さがもっと伝わるだろうにという気がする。それにしても、ネタにされている事象が大変幅広い。軍歌や時事ネタのようなものは仕方ないとしても、オペラや歌舞伎、和歌などの元ネタになっていることの多くが、現在大勢の人にはその判らなくなっておるであろうと思われ、世代間の文化のギャップ、それもここ五十年ほどで裂かれたであろうギャップに思いを馳せる。歌詞は聴き取りであるのだろうが明らかに間違っている部分が数カ所あったほか、ライナーも一寸気になることがあったが、音には問題なし。

桑原幸子

プレイガール桑原幸子とあなた

CD ビクター TILAR5005

 反骨の女優桑原幸子が和洋のムード音楽に語りなどを載せた所謂ささやきレコードの復刻。洋楽曲は当然カバーだが、邦楽曲にはこのレコードの為に鈴木庸一が書き下ろした作品が2曲含まれており、このレコードに多少の気合いが入っていたことが伺われている。例えば池玲子や谷ナオミの同趣向の盤は完全にカバー、それも邦楽のカバーばかりだったりするのだ。嘗ては「和モノ」の花形盤であったがいまはどうなのであろう。自分はそういうシーンと全然関わり合いがないのでよく知らない。

さだまさし

がんばらんば

マキシ ユニバーサル FRCA1160

 さだまさしが聞かせるヒップホップ(と言うけど「デンデラリュウ」がベースだ)調ニューリズム歌謡。というかアフロがもの凄く遠くにあるアフロロックだが、さだまさしのまずまずさまになっているライムが貴重で、悪いことはない。「みんなのうた」はスカも多いがたまにこういう攻撃的な唄をかけやがるから油断できない。

18.4.8 死ぬほど忙しい。その日のうちに帰りたい。

水上たつみとスペース・チャイルド

ひかりと影の中に

EP 徳間 VA13

 尺八の導入が印象に残る重めの歌い上げ歌謡ポップス。ボーカルの舌っ足らずさや案外しっかりしたコーラスがサマーズやヤンガーズを思わせる。なお、声質はライオンズの人に似ているけどあんなに無茶ではない。怪しそうなところがあるが。どうしてもポップスかロックを志していたグループの心意気を感じさせるのでこれがGSに入ってきたとしてもおかしくはなかろう。B面も尺八がリードをとる。こちらは大分ノリがよいが民謡系のファンキーが入ってきて歌謡度は上昇。自分にとっては非常に格好いいサウンドで、ブンブン唸るベースはDJユースも可能か。「サバドゥビア」というコーラスが入るが、ジャズっぽさがなく、かといって歌謡的でもないのでロックかポップス系なのは確実だろう。

ピート・マック・ジュニア

ブラック・コーヒー

EP ビクター JET2119

 もとGSマミーズのボーカルの人。東宝映画「脱出」の主題歌。三枝伸作品。強烈なドラムソロから始まる真っ黒でファンキーなディスコ歌謡で全盛期の尾藤イサオを思わせる。先のドラム始め唸りまくるベース、叫ぶようなワウギター、煽りまくるストリングス、抜き差し整ったボーカル、コーラスと全ての要素が格好良い。間違いなくDJユース可能。B面はA面のボトムに相応しい英語による重苦しいブルース系ポップス。

ハッピーとジョー

自由な二人

EP MCA E1045

 これも両面三枝伸作品。A面はCD化されたのでそっちで聞いた。B面がディ&ナイツの「いつものところ」のカバー。アレンジはもちろんだがメロディーも詞も大分いじられていてかなり印象が異なる。平泉征と麻里エチコの「おじさま、いや」を思わせる台詞まであるし。地味な歌であることには変わりないが。それでも「黒い花びら」をニューロックバンドがやっているようなアレンジは時代の推移を感じさせる。オルゴールを使った延々と続くアウトロが印象に残る。
 ちなみにディレクターは元ヴィレッジの笹井さんでGS人脈。

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