これ買いました平成18年6月
18.6.28 機種乗り換えの試験期間中ですぅ。
V.A. コンプリート軽井沢ミュージック・イン |
CD シンク! THCD014/15 |
61年に残された貴重なビッグ・バンド・ジャズの祭典のライヴ盤の復刻。一枚目にはこの祭典に参加した各バンドのピックアップメンバーによるジャム・セッション二曲をライヴ収録。二曲とは言ってもそれぞれ27分半、21分に及ぶものでそれぞれ当時のLPの片面を使っている。「モーニン」はドラムをハブにしたアドリブの掛け合いが新機軸だが、全体的にはほわんとした雰囲気であって、特に曲の冒頭のピアノソロ(三保敬太郎)の崩し方が自分にはちょっと合わなかった。逆に「ウォーキン」の方は針金を背骨に入れたようなきっちりとした整頓感があり、かつ結構な人数によるジャズらしい高揚感もあって耳が楽しい。それにしても、考えてみれば、この時分にはすでにあとでグルーヴものを支えるプレイヤーが大体出てきているのであって、そういうことに繋がっていく素地と言うものがびんびんと伝わってくる。60年代というのは日本のジャズにとってももっとものびのびとした時代であったのかもしれない。 |
島倉千代子 ドーナツ盤メモリー |
CD コロムビア COCA71094 |
ヒットシングルのAB両面とさらにオリジナルカラオケ一曲を収録した廉価版シリーズの一。当然この人の場合はリリース枚数も多いため全部ではなく、そのうちの七枚のシングルを取り上げているが、選曲としては「ポップな島倉千代子」という側面が強調されたもの。島倉千代子が演歌というジャンルとは本質的に無縁と言うことがこれでよくわかるだろう。もしもう少し時代が遅かったら日本のコニーフランシスになっていたかもしれない。ここではムード・コーラス・グループやボビーサマーズと彼のグループなどを従えた作品などに同時期のポップスやイエイエ歌手と通ずるところがよく判るかと思う。 |
中村八大 メモリーズ・オブ・リリアン |
CD シンク! THCD013 |
作曲家としての印象が強いが、ピアニストとしてもすばらしい作品を多く残している中村八大の、そのうちの一枚の復刻。ただし同じ内容のアルバムのステレオ盤とモノ盤を一枚にした2in1形式。昭和35年にニューヨークに滞在した際のショックをそのまま音にしたような、彼自身のひくプレイスタイルによって栗田八郎のベースとジミー竹内のドラムスをリズム隊に引き連れて流麗に鍵盤を叩きまくっており、ピアニストとしての実力を見せ付ける。それも昨今のジャズプレーヤーに見られる自己満足で終わる技術の羅列ではなく、適所に適当な芸当を細かく入れて表情を膨らませていっており、一曲一曲に対する真摯な態度が聞くものの胸を打つ。というか本来プロならそれが当然なのだろうが、あまりに最近のプレイヤーにはそれを感じないことが多い。すべて自作曲ではあるが、彼の代表曲を含む歌謡曲、ポップスのセルフカバーではなく、このための書き下ろし作品で、ジャズ・ピアニストの意地を感じさせる。なお8曲(つまり16トラック)のうち4曲については既に中村八大のボックスでCD化済み。 |
渡辺貞夫 カクテル・フォー・トゥー&夢で逢いましょう |
CD シンク! THCD016 |
ご存知、ナベサダがボサノバ以前に残したアルバムの復刻。二枚のアルバムを一枚にまとめたもので、どちらもスタンダード曲を渡辺のアルトサックスが丁寧に歌い上げている。大上段に構えたいかにもジャズという風体ではなく、どこかのホテルに入ったら生のジャズバンドが演奏していたという感じの親しみやすさがある。ただし、それは演奏が崩れているということではなく、その面で言えば寧ろ丁寧すぎるぐらい丁寧に几帳面な印象を受け、妥協一切なしの一徹とした日本のジャズの水準を見せ付ける意地のある演奏である。 |
フォーシンガーズ ウェルカムバック!フォーシンガーズ |
CD シンク! THCD017 |
岡崎広志、伊集加代子ら名うての職人を揃えたジャズコーラスグループがスタンダードを料理。岡崎のソロが延々とリードを取るナンバーなどもある。アカペラでジャズの名曲を完璧に再現してしまっているのは名人芸ではある。 |
松本英彦 スリーピー・アット・ザ・ヴィデオ |
CD シンク! THCD020 |
全盛期のライヴ盤の復刻。スタンダードナンバーを料理。主役の松本は当然の活躍だが、それ以上に大奮闘するのがドラムスのジョージ川口。特に「ジャングル・ドラムス」ではいかにもジョージ川口な音をしているハイハットワークが聞けて満足。ここからあとの曲はドラムにあおられたか白熱したプレイが続き、手に汗握るビート感が際立っている。 |
白木秀雄 ファンキー!登場+6 |
CD シンク! THCD021 |
名ドラマーの絶頂期にリリースされた名盤の誉れも高い一枚の復刻にいろいろと加えたもの。白木の名盤として有名であるが、聴く限りでは松本英彦とのダブルトップ盤の様相。というかほとんど主役は松本でサックスが見事に泣いている。 |
18.6.21 分裂するとは悲しかりけり。
のこいのこ のこいのこ大全 |
CD ビクター VICL61933 |
ポンキッキソングやCMソングでお馴染みののこいのこのベスト。主はCMソングで、例の笑ったような歌いっぷりが堪能できる。フルサイズの曲はすでにCD化されている曲も多いので目新しいところではないが、それらを含め、一枚のCDにこの人の歌声がここまで集められたということだけでも快挙。収録曲の中では、大滝詠一の手による「コメッコ」のCMソングが軽いディスコチューンにパーカッションのようなコーラスと合いの手のようなボーカルが被さる異色作で、まるで近田春夫作品のような感触で異彩を放っている。この際、ぶんけかなのベストも出して欲しいなぁ。 |
ずうとるび ずうとるびファースト |
CD バップ VPCC84536 |
笑点発のコミック系アイドルバンドのファースト。意外と自作能力が高いグループだったりするが、早くも音楽的支柱である山田隆夫作詞作曲の曲が大半を占めるという積極的な姿勢をみせる。とは言ってもここでは「素人に毛の生えた」と言うような素朴でストレートというよりも捻りのない面が多分に見え、ボーカルもアイドル的な若さよりも勤労青年的な青さが薫る。サポート的に2曲あるケメ作詞曲の曲と併せて聞くと不思議に他の所属歌手達と共通するエレック色が感ぜられる。唯一ネタ的な「少年探偵団」が激しく浮いている。助走の印象。 |
ずうとるび ずうとるびセカンド みかん色の恋 |
CD バップ VPCC84537 |
同セカンド。前作より約半年。彼らの最大のヒット「みかん色の恋」を含み全盛期に出されたアルバムだが、彼らのアルバムの中では最も自作率が低く、佐瀬寿一とクニ河内の作・編曲が殆どを占める。詞も作家が起用されており、最もアイドル然とした一枚。にもかかわらず落ち着きが悪く、結局要所に配された山田隆夫のすっとぼけとセンチメンタルが同居した純情さが前面に出た三曲に安らぎを覚える。こと「海水浴」は山田がソウルフルな方を向いてくる予兆を現していて面白い。 |
ずうとるび ずうとるびサード 恋があぶない |
CD バップ VPCC84538 |
同サード。アイドル然とした売線の曲を作家の佐瀬が書き、このバンドの命たる庶民的な愛らしい部分を山田が受け持つという良くできた分業体制が確立している。特にこれまで押さえ気味だったのかそこまで余裕がなかったのか判らないがあまり見ることの出来なかった全面的なコミックソングも山田の筆が小気味よく打ち出していて心地よい。また、井上忠夫が提供した「夜空にかける恋」はずうとるびの良いところを壊すことなく意外なワイルドな面を見せつけることに成功しており殊勲もの。冒頭を飾る山田作のバンドテーマ「ずうとるびのテーマ」は彼らが紛れもなくビートルズの子供達であることを主張しており、呆気にとられる中にも感動を覚える。 |
ずうとるび ずうとるびフォース 愉快な仲間たち どりーむらんど |
CD バップ VPCC84539 |
同フォース。ついに全曲山田作曲という境地に至る。他のメンバー達もそれぞれ作詞を行うなど、自立したグループ、ずうとるびの真骨頂。山田以外のメンバーの詞はアイドル然としたセンチメンタルな詞が多く、青さが耳に染み入る。このあたりインディーGSやカレッジフォーク以来の書き慣れていない人が詞を書くと赤面してしまうような詞になるという伝統を踏襲していて、文化というのは恐ろしく、70年代は60年代の陸続きという極当然のことを思い起こさせる。そんな中で山田はセンチメンタルしょぼくれ純朴も大分堂に入ってきたところで、これは一種の何かの境地に達したと言ってよい。ほか英語での作詩にも挑戦しており、その英語詩の曲の内の一曲「ザ・タイム・マシーン」は捨て鉢ともヤケクソとも闇雲とも言い難い訳の判らない大破壊力のある得体の知れないロックナンバーでこのバンドの奥の深さを示す。同じく山田作の「ムニョムニョ」は既に怪作とぞ評価も定まっておるが、言ってみれば探って落ち着きどころに落ち着いたナンセンスソングであって意外性はそれほどでもなかった。 |
ずうとるび ずうとるびファースト・ライヴ |
CD バップ VPCC84517 |
同ライヴ盤。今聞くと痛いステージングなどもあって彼らの微妙な立ち位置、ましてや誰もソングライティングの凄まじさなど問題にしていなかった様子などが伝わってくる「お笑い」(という言葉はあまり使いたくないのだが)アイドルのライヴ盤らしい一枚。「メリージェーン」を何とか歌いこなそうと必死に背伸びをしている様子は微笑ましい。などとニコニコしながら聞いているとひっくり返るのが「ローズマリー」。前間奏に思いっきり「いとしのレイラ」のリフを軽快というか強引に押し込んできて油断も隙もありゃしない。 |
ずうとるび 恋の夜行列車 |
CD バップ VPCC84540 |
同フィフス。完全に山田の曲で構成され初期の素朴さを忘れない作品の他、コミックソングや当時のニューミュージック、フォークの大御所もかくやという作品まで自在に出し入れしていて最初のアルバムからすると隔世の感すら漂う。前作で「メリージェーン」を歌ったことでも判るようにツノダヒロ(このアルバムでの表記)の影が急に強くなったのも特徴か。セカンドに収録された「海水浴」に続くスティービーワンダーのカバー「ロック・クライミング」は薄っぺらさと山田流のソウルフルが同居する奇妙な感覚で、自分がずうとるびに注目するきっかけとなった佳曲。彼らのリリース全体を通して、ずうとるびというか山田隆夫の独自の世界観と、にも関わらず常に漂うエレックレコード感の侘びしさのせめぎ合いが妙な緊張感を醸し出しているのが印象に残った。 |
オルケスタ・フォンテ 幻の歌謡タンゴVOL.1「別れのタンゴ」 |
CD コロムビア JXCP1012 |
昭和三十年代に活躍した腕利きバンドによって戦前戦後歌謡を見事にタンゴ化。もとがタンゴである曲はもちろんだが、そうではない曲でも手抜きなし。なお、数曲ワルツバンドが歌謡曲をワルツにしていて、こちらも聞きもの。 |
オルケスタ・フォンテ 幻の歌謡タンゴVOL.2「赤い靴のタンゴ |
CD コロムビア JXCP1013 |
同。こちらも見事。こちらではかなり和風な曲にも挑戦しており、結果として強引でなく見事な着地点を選んでいることにうならされる。 |
V.A. ずうとるびとその仲間たち |
CD バップ VPCC84541 |
ずうとるび、レモンパイ、キャッシー&カレン、ジミー、まりちゃんズのエレック所属の五組のオムニバスの復刻。それぞれ3曲ずつを収めるずうとるび、レモンパイはこのアルバムでしか聞けない曲が2曲ずつ収録されている。もっとも曲としては印象に残らない曲だが。まりちゃんズもずうとるびにゴマを擂った「武道館でジョイントを」を披露。シモンズを思わせるキャッシー&カレンは初めて聞いたが唄と示されている歌詞が違うのでこれももしかしたらこのアルバム独自のバージョンかも知れない。残るジミーは青さと無茶さが同居した60年代のパンキッシュ青春歌謡歌手の尻尾を感じさせ、ガラス細工のように壊れやすいが何かに反発せんとしてどうにもならずに威勢だけに頼る若者像を提示していていかにも70年代の男性アイドルらしくて情あり。 |
V.A. ゴールデン・スタンダード集キング編1ホワイト・クリスマス |
CD ブリッジ BRIDGE063 |
相変わらず「ほとんど」初CD化は言い過ぎだが、いい線を衝いているアダルト向けカバーソング集。スタンダードが主。ヒットの匂いが感じられない曲も多いが、昔は会社ごとに音楽の宇宙が完結していたと言うことがよく感ぜられる。自分はやはり壮大に歌い上げる男声のカンツォーネやロッカバラードが大好きなようで、山崎肇や牧野ヨシオといったあたりの歌唱はよく楽しめた。 |
V.A. ゴールデン・スタンダード集キング編2ロック・アラウンド・ザ・クロック |
CD ブリッジ BRIDGE064 |
同上。スタンダードの中にロッカビリーやツイスト、フォーク、ウエスタンとややポップス寄りの選曲か。ダーク・ダックスの「ドン・ドロ・ツイスト」が抜群の出来で、自分がコーラスグループ好きと言うのを差し置いても、のりのいい曲を一糸惑わず見事に縫い合わせていく曲芸的な複雑なコーラスワークは何も難ずるところがない。スカイライナーズの特別扱いは大歓迎でバンバンCD化して欲しいところだが、「テキーラ」は直前に別企画でCD化されてしまっていたので惜しい。いつも不思議に思うが、何がCDになっていて何がなっていないというような表の管理と言うことは誰もやっていないのだろうか。 |