これ買いました平成18年8月

18.8.24 流石名のあるベテランバンド。格が違う。

ジー・フィフティーズ・ハイティーンズ

ライブ&セッションズ

CD ブラックパンサー BQGS101

今年の福岡でのライヴの様子を収録したもの。メンバーが代るということで急遽リリースされたものか。

もともとこういう正規に販売するようなつもりで録音したものでないので、録音状態はやや劣るが装甲車で突撃するようなサウンドが持ち味のこのバンドのライヴの様子がとにもかくにも音盤として残ったのは嬉しいことだ。ただし、演奏自体はホームグラウンドという安堵感があるのか、東京での最近のライヴに比べるとやや丸みを帯びてアットホームな印象。敢えて難はいわじ。おまけに今までに発表されたコンピ、シングルに収録された曲や未発表音源入りで、同時発売の下のアルバムと併せこのバンドの歴史を追体験できる。

ジー・フィフティーズ・ハイティーンズ

ライブ・イン・京都−東京2003

CD ブラックパンサー BQGS102

山田広野のバンド名コールから始まる平成15年の東京、京都でのライヴ音源をCD化したもの。旧メンバー時の演奏で、この東京でのライヴは実際に当時見ているが、当時の混沌とした演奏振りが蘇ってきて懐かしい。混沌といっても日本書紀神代巻でイザナギ・イザナミの二柱の神が矛を突き立てて引き上げオノゴロ島を作ったその海のような、何かが作られるそんな期待に満ちた混沌振りである。当時は曲間のMCがちょっといかんところもあったが、ちゃんとそのあたりは編集されており、テンポよく聞ける。この混沌ぶりは当時(今も)唯一無二の存在感を感じたが、今聞いても非常に新鮮。死んだ子の歳を数えるようなことをしても仕方ないので、難は言わない。因みに白・独ツアーの時の音源とかないんだろうか。

ジー・フィフティーズ・ハイティーンズ

 

ローリング・ハイ・ティーンズ・レビュー

DVD ヴォルテージ BQGS11D

今年の下北沢でのライヴ2公演分の映像。実際このライヴは会場で聞いていたけれども、このDVDの方が音が整理されていて難が目立っておらずよい。かのとんでもないパワーを秘めたライヴがとにもかくにもこうして永遠に残ることになったのは何とも目出度いことではないか。オマケにいかにも山田広野の製作した映像なPVがついているが、軽薄なことこの上なくて情を感じる。美人というのは何を着ても似合い侍るなり。

ジー・フィフティーズ・ハイティーンズ

 

セカンドデモ

CDR 番号なし

ライブ&セッションズのオマケ。多分彼女たちの曲で二番目に聞いたフープをCDR化したもの。

ジー・フィフティーズ・ハイティーンズ

 

エクストラCDR

CDR 番号なし

DVDのオマケ。もう七年ぐらい前に録ったデモテープのCDR化。ワイルド。昔からこのバンドの持ち味が変わっていないということがよくわかる。なお、曲目表示の約半分はほかのアルバム等に収録されているのでオミットされている。

18.8.21 眠い。

石川晶と彼のグループ

ドラム八木節ドラム

CD ディスカス DICR2015

ドラムの雄が日本民謡にアタックしたもの。ニューハードから独立した直後のロックとジャズがもっとも幸福に接近した時代の産物らしく、ジャズミュージシャンを中心とした確かな演奏の中でファズギターがギンギンと押し捲るグルーヴ時代ならでは傑出した演奏。もともと民謡というものがファンキーなものではあるけれども、ドラムスの力強さが強烈なビートを産んでおり、なんとも腰にくるサウンドが心地よい。一つの方向に基づいて、それに対しては奇をてらうことなく誠実にグルーヴチューン化している。特に冒頭の「おてもやん」は囃子をドラムに置き換えるなどありがちではあるがそれにとどまらないセンスのよさを感じる。

宮間利之とニューハード

ある恋の物語

CD ディスカス DICR2016

ビッグ・バンドの雄が日本人好みなラテンのスタンダード曲をカバーしたものの復刻。根はジャズバンドではあるが、もともと当初から雑食性を以って大活躍していたグループであり、後顧の憂いは全くなし。出来のほうは良いというのも失礼なぐらいの出来で、これも多分にグルーヴィー。昭和40年代の録音だが、そうとは思えないぐらいのハイテンポで煽りまくって熱狂の渦を作り出す。特に冒頭の「ティコ・ティコ」はバブル期の東京パノラママンボボーイズも録音しているが、これと比べるとこっちの方が大迫力でしかも多分に近代的なセンスで細かい処理を行っているから恐れ入る。

しかし、それにしても最近はニューハードづいてるな。

西条孝之介ボサ・ノヴァ・クインテット

 

マサチューセッツ・イン・ボサ・ノヴァ

CD ディスカス DICR2018

景気付けに一発「マサチューセッツ」をやったあと、ほぼスタンダード、ラテンの名曲を並べた選曲のアルバム。寡作で知られるもとウエストライナーズのリーダーだったギタリストが残したアルバムで、解説で触れられている通り温かみを感じさせるギタープレイが心を和ませる。特にというチューンはないが、当然のことながら全曲高いレベルの演奏でこの時代のジャズプレイヤーの心意気を偲ばせる。この時代とは昭和43年のことである。

寺内タケシとブルージーンズ

ビート!ビート!ビート!VOL1&VOL2

CD キング KICS8145

エレキバンドに衣替えした第一期ブルージーンズの名物シリーズ再CD化。ブルー・ジーンズの恐ろしいところはそのあとに続くGSやニューロックよりも断然にビート感が強烈で、他の同時代のエレキバンドにも比類するものがないところがその一つだが、特にこのオリジナル盤は昭和30年代の発売というのはまことに何度聞いても信じられない。これは一つは音圧の強さというところもあり、スパイダースやブルコメの初期作品と比べると圧倒的に録音状態/状況が良い。また、ドラムの鈴木の持つ本来のリズム感のよさも多分に絡んできているのだろう。寺内タケシのギタープレイが凄すぎるのはこの時期だと全然当たり前なので特には書かないが、驚異的の一言。日本のロックが七十年代に始まるとかと思っている人には多分信じられない世界が広がっているはず。

寺内タケシとブルージーンズ

ビート!ビート!ビート!VOL3&VOL4

CD キング KICS8146

同上。本体入手。つうかこのシリーズのジャケットはなんでこのジャケットなのかわけがわからない。エレキという音楽が一般に広がった時代の作品なので親しみやすい一方でやや形式的なところに走っているかもしれない。

18.8.20 ちょ、やっぱりレコード屋にはちょくちょく行かないと。全然知らなかったCDが出てる。

宮間利之とニューハード

ユア・ベスト・ポップス12

CD ディスカス DICR2017

ビッグ・バンドの雄が60年代後半に当時の洋楽ヒットポップスをインストでカバーしたものの復刻。「ゲットバック」とか「泣かずにいられない」とか「雨」とか。ジャズ的なフィーリングを期待すると肩透かしを食らうが、トップバンドが余裕を持って流行のロックに胸を貸したという感じ。とはいえ余技は余技としてこれだけのものを出してくるのはさすがニューハード。

村岡建とボサ・ノヴァ・グループ

心 ボサ・ノヴァ歌謡ムード

CD ディスカス DICR2019

これは60年代末の歌謡曲のヒット曲をボサノバ・インスト化したもの。原盤がクラウンなので選曲に「恋はハートで」「夕焼けのあいつ」などクラウンのポップス系作品が入っているのが珍しい。その中でも面白いのは森進一の「命かれても」。もともとのねっとりした森進一の世界を残しつつも一味違った都会的な世界を構築している。他も曲もそのままボッサ化しているのではなく、ひねりを加えているのが妙味か。二曲のオリジナル作品も胸に染み入る佳曲。

ペズ

日本のジャズ サムライ・スピリット

CD ロードランナー RRCA21027

最近というわけでもないが、このところ波に乗る若手ジャズ・インストグループによる昭和歌謡のカバーアルバム。曲目には「ネタ」的なものも含まれるが、灰田勝彦というか鈴木章次とリズム・エースの「鈴懸の径」のカバーをテレビでたまたま見かけて、果敢かつ完成度の高いアレンジとこなし具合に衝撃を受けたので購入。聞いてみると、これは昭和30、40年代のジャズ最盛期の名バンドたちと並べても全く謙遜がない。しかも恐ろしいことに一番とんがった編曲なのが一番ネタ的な「雪國」で、これは完璧にジャズです。これがジャズでなかったら何をジャズといえばいいのか判らないぐらいにジャズ。「花」は本来自分が一番嫌いな楽曲だが、これも(インストだからということはあるにしても)よしといえる出来にまで引き上げていて素晴らしいの一言。

18.8.16 お待たせしました!完全復活!

宮間利之とニューハード

狂熱のロック・ビート/監獄ロック

LP ミノルフォン YC6012

ビッグ・バンドの雄が「ロック・アラウンド・ザ・クロック」や「君は我が運命」などのオールディズのロックをカバーしたインスト・アルバム。ホーンセクションが大活躍するアレンジではあるがとにかくドラムのグルーヴィーさが際立つチューンが多く、単に営業におちいりがちなこの手のアルバムに手堅さ以上のものを加えている。原曲が思い出せないほどの奇抜なアレンジを施している「心のときめき」を除けば極めて判りやすく、また原曲を崩さないことを旨としてアレンジされており、聞きやすく何ともダンサブルなアルバム。

ザ・ブラック・パンサーズ

想い出のヤング・ヒット!

LP コロムビア CD4002

こちらはロック系のスタジオミュージシャンが集まった匿名バンドがR&Bを中心にオールディズ曲をカバーしたもの。コーラスはスリーシンガーズ(シンガーズ・スリー。演歌じゃないのにこのクレジットなのは混乱期だからだろう。)。グルーヴものから所謂イージーリスニング調のものまで揃えられていてバラエティに富むが、それぞれ良く完成されており、不思議と統一も取れていて飽きない。曲によっては多少面白みにばらつきがあるのは事実だが、編曲の葵まさひこの高い見識というものが思いよられる。

シャープ・ファイブ

日本の民謡

LP キャニオン C1088

ほとんど省みられることのないキャニオン時代に出たエレキ民謡集。48年発売ということで、ニューロックの色が強い。特にドラムの音の抜けのよさにそれを感じる。相変わらず三根のギターと古屋のオルガンが全体を引っ張る形となっており、ギターのエフェクトのかけ方はまさにこの時代を象徴している。この時代のシャープ・サウンドは全体的に耽美的で、穏やかな曲調の中に緻密なプレイを重ねていく傾向が強いが、このアルバムは比較的豪放な傾向が見て取れる。しかしそこはシャープ・ファイブで、羽目を外したり粗野に走ったりはせず、余裕を持ったプレイを披露している。殆どはインストだが、「鹿児島小原節」と「おてもやん」は唄入り。特に前者はこのアルバムの中でも最もロック濃度が高いにもかかわらず、ユニゾンとコーラスを上手く工夫して組み立ててあり、ベテランらしいねじ伏せ方をしているのに大変に好感が持てる。「おてもやん」の方は楽器としてのコーラスといった入れ方で、実力の高さが伺える。

ダイナミック・エコーズ

ビート・ギター・ハワイ

LP テイチク SL1117

テイチクの匿名系エレキバンドがハワイアンをエレキ化したもの。というか日本のエレキバンドはハワイアンを取り上げてこそ一人前。ちなみに山倉たかし編曲。いつもよりもおとなしめ、といった印象で特にこれという演奏はない。なお、ベンチャーズらよりも先にハワイアンを最初に取り上げたということをライナーで誇っている。本当に一番最初なのかはともかく、エレキバンドはレパートリーが命なのであながち自慢するのも場違いとはいえない。あえて言えば「南国の夜」のアレンジが急な感じで意表をつかれた。スチールギターとピアノが大活躍するのも過渡期の、先駆者のチャレンジ魂を感じる。

ザ・サムライ

シュ・シュ

EP ユナイテッド・アーティスト UA3136

GSのサムライズは日本のGSブーム真っ最中に欧州へ渡って活動していたが、この際に現地のイタリアのレーベルから出したシングル。エキゾ狙いの陣羽織のユニフォームに長髪という異様なスタイルの写真にバンブーフォントのジャケットが目を引く。
 「金毘羅船々」のカバーで、ワウワウギターを中心としたポップな演奏に能天気さが漂うが、GSと言うよりは完全にニューロックバンドの音。終奏には大正琴も挿入され、エキゾを狙う。全体に英詩だが、間奏で英語と日本語で台詞のやり取りが入るのもエキゾの狙いだろう。ファーラウトの演奏がリード楽器を除けばかなり忠実なリテイクだったことが判る。

B面は英詩のオリジナル曲で尺八とシタールを使ってオリエンタルな味に仕上げたビートポップス。こちらにも陰鬱さはなく曲がりなりにも60年代の楽曲らしく、ハッピーさが漂うが、一方で非常にクールな印象も受ける完成度の高い曲。バニーズの「サウス・ピア」あたりに通じるメロディーではある。

東山ユミ

巷のはぐれ鳥

EP ローヤル RQ625

B面が「片割れ月夜」というタイトルなので、一書に「はぐれで片割れ」と引かれた有名なレコード。曲自体は「裏町人生」みたいな大したことのないライトな演歌。ただ昭和40年代発売とは思えない古色蒼然としたサウンドで、10年ぐらい音使いが古い。さすがローヤル。B面はもう少し元気だが、これもえらく古いサウンドで、これではまるで美ち奴だ。マドロスものという題材も一層古さを強調する。

椿まみ

ちょっぴりしみたの

EP ローヤル RQ715

「日本の女オーティスレディング」椿まみのややマイナーなシングル。サイケデリックなオルガンで幕開けるローヤルらしい妙さを含んだビート物。このレーベルの他のビートものと共通したサウンド。追撃弾から徐々に自己を主張し始める男声コーラスがローヤルの精神的なところを表している。相変わらず技術を生き方が補填する椿まみのボーカルの冴えが素晴らしい。B面は「マイダーリン東京」の系統に位置する物悲しいマイナー歌謡だが一応ひとりGSの範疇。

中ワタル

花びらの恋

EP 東芝 CP1021

未解放幻の名盤。A面はガットギターの被さった物悲しいメロディーをパンキッシュで元気はつらつとした一人二重唱が歌うミスマッチもの。変な曲ではないがビート感も手伝って不思議な印象。B面はうっすらビートの効いたマイナー調のオルガンガレージパンクバラード歌謡。これも一人二重唱が効いているがあまりゴリゴリとしたところがなくなんとなく頼りなさが後に残る。

エヘヘ

都立いたちヶ丘高等学校フォーク・ソング同好会

EP フィリップス FS1809

フクダさんにちょっと聞かせていただいて気になっていた曲。取り纏めようとかそういう気持ちが全く見えない投げっぱなしのアコースティックなフォーク歌謡だが、シモンズや吉田拓郎らのパロディを加えながらレコード発売当時の高校生フォーク事情を辛辣に批判している。さらに彼らの憧れであるフォークの大御所たちをも批判しているのであろう。とんでもない高校生もいたものである。B面は標準を充分に上回るがなかなかよく出来た狂おしい青春フォークであるが、吉田拓郎の影響が大きいようだ。

渚まさ子

オッパイちゃんが自慢です

EP キング NCS522

A面はこんなタイトルの艶笑歌だが、B面はむちゃくちゃテーマの重い曲と言うことで、そのギャップが昔から好事家の間で有名なレコード。ようやく入手。これも未解放幻の名盤。A面は秋田Aスケのナレーションで進行するが15歳とも思えない落ち着き払った声だが、情に欠けてやや硬い歌唱で、コミックソングを歌うにはやや力不足か。B面はララバイ調のドキュメント歌謡で重苦しい身の上話が台詞とからみつつ優しく歌われる。ここでも少女びたところが前面に出ておらず、曲と歌の乖離が感じられるのが残念。

ザ・キャラクターズ

秘密の朝

EP コロムビア CD72

ちょっとボーカルが似合っていないところもあるが、ソフトロックドライヴィンに入っていても全然おかしくないユーロピアンポップス歌謡。アレンジはR&Bの影響にあり、大変にお洒落。B面はホーンが前面に出たマイナー歌謡で70年前後の曲にしかないクールな絶望感に満ち溢れている。ちなみに、相変わらずこのバンドのコロムビア時代のジャケットは素晴らしい。

王貞治(巨人軍)、本間千代子、コロムビア吹奏楽団

白いボール

EP コロムビア SC171

有名レコード。スーサ調ののりのいい行進曲をぶっきらぼうに世界のホームラン王が歌う。まるで戦前の童謡歌手のような歌い方の本間千代子と全く接点のない歌唱がハイコントラスト。王監督のご平癒をお祈りするものであります。B面は第三日野小学校児童による「ぼくらのホームラン王」という讃歌。何故かディキシーランドジャズ。ものすごくかっこいいサックスのソロとか何気にとてつもなくお洒落なアレンジの部分があったりして侮れないが、王讃歌にジャズという意図は分からん。

ザ・ラグ・バッグス

大論争

EP コロムビア P118

いかにも七十年前後のブルーグラス系のコミックカレッジフォークで、高石友也とドンキーカルテットの影響下にあるような感じであるが、間奏に被さる台詞はあきれたぼういずを思わせる。しかし、そこまで面白いと言う歌では全くないので注意。B面は突然出てきた女性ボーカルがリードを取るマイナー調の典型的やおいカレッジフォーク曲だが、どうにもボ゛―駆るが安定しておらず曲世界に没入しづらい。

ミノルフォン男声合唱団

愛馬進軍歌

EP ミノルフォン KA129

有名な戦時歌謡の戦後録音盤。軍歌/戦時歌謡らしい勇壮さを失わずに重厚なコーラスを決めていて非常に情緒深く、聴いていて気持ちが良い。トリオに同期の桜を持ってくるという一発ネタをかましてくるのは戦中の音源を持たない会社の勝負をかけたような奇抜なアイデアで度肝を抜かれる。素晴らしい出来。B面は東京ベンチャーズのボーカル、ピート七福による「ラバウル小唄」。スチールギターをリードに用いたハッスルした若手ムードコーラスバンドのような演奏によれよれの渋すぎるボーカルが被さる奇襲的な一作。ジャケットのピート氏の写真がいい男過ぎてビビる。

 

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