これ買いました平成19年1月

19.1.25 うなぎの旬は冬。

西郷輝彦

 

テルちゃんと踊ろう

LP クラウン LW5133

最高傑作の呼び声も高い、それまでのヒット曲をダンスアレンジで再吹き込みした一つ捻ったベストアルバム。要するに最近流行のリミックスとかああいうものは別に最近始まった流行ということでも最近に特有なやり方というのでもなくこの時代からあるものなのだ。とは言え、ビート時代も始まったばかり、且つ普段の方がロック的なので、チャチャチャ、マンボ、バイヨンなどのラテン・リズムでのカバーが多く、却ってまどろっこしくなっているものもないわけではない。出来がよいものとしては趣旨が没却されているチャチャチャアレンジの「星のフラメンコ」、高速と無闇なコーラスが恐れ入るサーフアレンジの「恋のGT」、そして原曲と全く違ういなせな印象を受けるスイングアレンジの「星娘」の三曲が挙げられるだろう。各ダンスに関する解説なども時代を感じさせるものがあって感慨深い。因みに曲ごとの出来不出来は大きい。

ザ・レンジャーズ

 

エレキギターのすべて第2集

LP コロムビア JPS5062

コロムビアのスタジオ系エレキバンドのセカンド。いわゆるサーフ、エレキ・インストの名作がずらりと並び。ヴェンチャーズの猛威を反映して五曲もヴェンチャーズのレパートリーが収録されている。その一方アニマルズ、ローリング・ストーンズ、クリフ・リチャードの曲も含み、エレキ・インストとリバプールサウンドが拮抗する当時の音楽状況が偲ばれる。特に「サティスファクション」の殆どリアルタイムのカバーというのは珍しい。このバンドの音の特徴として、トロトロした演奏をするという特徴があって、自分はずっとドラムの調子のとり方のせいだろうと思ってきたが、「太陽のスウィム」や「ボンボラ」で顕著だが、意外に鋭いドラミングを披露しており、却って実はリードギターの聞かせ方の問題なのだろうかと思い直した。因みに「逃亡者」「ダイナマイト」が既にCD化されているが、寧ろこの二曲よりも出来がよい曲が多い。

中川浩夫とビーチ・ボーイズ

 

南国の夜

LP コロムビア JPS5032

当時の若手ハワイアンバンドによるインストアルバム。バンド名が凄いが、昭和40年に発売されたレコードなので、もうアチラの同名バンドもバリバリやっている頃である。また時期も近いので、アンジェラスの母体か前身のグループなのだろう。演奏は極々普通といったところだが、選曲はハワイアンの他にジャズ、映画音楽、スタンダードなどバラエティに富んでおり、原曲を崩さずに、というか殆どそのまま、ハワイアンバンドプラスヘルプメンバーでハワイアン演奏に閉じ込めていくのが妙味かもしれない。まあ、こんなものだろう。

ジミー竹内とジ・エキサイターズ

 

ドラム・ドラム・ドラム

LP 東芝 TP7226

上げ潮のグループサウンドブームを色濃く反映した名シリーズの昭和42年発売盤。グループサウンドとその系統の洋楽曲、歌謡曲のドラム・インスト盤。この人が本家のしばき倒し人。編曲は鈴木邦彦。半数を占めるGSのカバーは、既にCD化されているので、おいておくが、とにかくレコードで聞くとCDで聞くよりグルーヴ感が凄いのは寧ろ音がいろいろと不純なものを含むので猥雑になるからかと思った。どの曲もビート全開で手に汗握白熱の演奏だが、唯一のオリジナル曲「JアンドKゴーゴー」が出自のジャズのかっこいいところを抽出したかのような濃密な曲でこれ一曲でも満足。続く「地獄の叫び」も天然のサイケのオーラが世界を包んでいた時代でなければ出てこない暴力的なアレンジで、このあたり曲自体のよさと本人の技量と世界の情勢のすべてが揃ったから出てくるある種の幸運さと凄みを感じる。ドラム以外も鋭いプレイが多く聞き逃せない。

ジミー竹内とジ・エキサイターズ

 

ドラム・ドラム・ドラム(天使の誘惑)

LP 東芝 TP7265

同上のシリーズ。白熱期のGSヒットを中心とした選曲。今回も叩く叩く。ハワイアンを原曲以上に前面に打ち出した「天使の誘惑」が耳新しい。まあこのバンドらしいといえばこのバンドらしい音だが。「悲しくてやりきれない」のようなビートものとは無縁なような曲でも見事にそこに落とし込んでいく手法は見事。これも上で書いたような三位一体の好調さがよい影響をなお与えている。このバンドは、海外ではエレキバンドのうちに入るのかよくわからない。

ジミー竹内とエキサイターズ

ドラム・ドラム・ドラム(恋の季節)

LP 東芝 TP7276

同上。グループサウンドの安定期のヒット曲を中心とした選曲で五曲のGS曲を含む。大分テンションも普通になってきているといえばよいか、ドラムソロも暴走というところまでは行っていないが、それでも流石の腕前で、特にB面(洋楽作品中心)での情緒が素晴らしく清新な印象を与える。その中、クリフ・リチャードの「コングラチュレーションズ」のカバーでは、この盤で唯一といっていい暴走しまくったアレンジで、見事なハッピー感をドラムの身一つで表し、かつ後半の長大なフリーソロに驚愕で胸潰れる思い。ラストを飾る高速の「オリビアの調べ」は行き急ぐ若者を更に急きたてているようで陰り有とはいえこれもおなかいっぱい。

ジミー竹内とエキサイターズ

ドラム・ドラム・ドラム ジミー民謡を叩く

LP 東芝 TP7362

同上。ただし、これは日本民謡にその題材をとったもの。民謡ものの洋楽化の常として無茶苦茶ファンキーになっている。また、このシリーズは鈴木邦彦がずっとアレンジを担当してきていたが、これについてはスターゲイザーズの湊孝夫が担当している。編曲には洋楽ヒット曲のエッセンスが取り入れられており、例えば「草津節」などでは「輝く星座」の影響が強く、「鹿児島小原節」も後半の怒涛の長大なドラムソロなどジャズ臭が強烈。ドラム自体の調子が圧倒的によく、題材の泥臭さに合わせてグルーヴィーな事この上ない。

ジミー竹内とエキサイターズ

 

ドラム・ドラム・ドラム 恋狂い

LP 東芝 TP7404

同上。グループサウンドははるか昔。グルーヴ歌謡の全盛期に出た一枚。「土曜の夜何かが起きる」が収録されているので、このシリーズでは中々人気の高い一枚。トップの「カム・トゥゲザー」こそ耳を疑うような地味さだが、以降はのりのりの素晴らしいドラム捌きに乗った演奏が多く美しい。もっとも全体的にソフトロックが台頭していた時期でもあってセンチメンタル感を昂揚させるような哀愁のドラムもあってこのあたりはまさに名人芸。ドラム以外ではディスコティックの足音がもうそこまで来ていると感じさせる擦るようなリズムギターの音が改めて聞き手を煽る。最も出来がよいのは本家の倍ほどグルーヴィーな「ドリフのズンドコ節」で動き回るベースとともに恐ろしくヒップ。他にもジャズ出身の出自を生かした「別れのサンバ」の感覚もクールで素晴らしい。

ジミー竹内とエキサイターズ

ドラム・ドラム・ドラム 草原の輝き/他人の関係

LP 東芝 TP7702

完全に70年代の歌謡の近代化が終了した後の曲がずらりと並ぶ。このアルバムでもすっかり音が近代化しており、自分としては感触が多少残念ではある。初期のジャズバンドが無理にロックの振りをしているような音から、ロックを自分たちの音楽としてきた世代のプレーヤーによる音に顕著に代わってきている。豪放なドラムソロを強引にぶち込んだ「恋する夏の日」が強引過ぎてシリーズ初期を思わせる。なにしろ6分以上のトラックの過半がドラムソロなのだ。ひたすらドカドカやっているのが却ってシュール。いや、あまりにも強引で浮いているといえば浮いているのだが。それ以上に浮いているのが「心の旅」だが、これは曲自体のせいであろう。B面はジャズメンの意地が爆発する「幸せの黄色いリボン」がソフトタッチでこれはこれでよく聞かせる。殿キンとぴんからが一曲ずつ収録されているが、なぜかこういう演歌系の作品だとコミック味が出てくるのが微笑ましい。

大沢保郎とプレイメイツ

ダンス専科 ルンバ、チャチャチャ、タンゴ編VOL.3

LP キング SKK481

有名な社交ダンス用レコードシリーズで、これは邦洋のヒット曲をチャチャチャ、ルンバ、タンゴにアレンジしたもの。昭和43年発売だが、選曲の年代が微妙に広い。A面の歌謡曲のアレンジものはほぼ最新のヒット曲といって良い選曲。オルガンやエレキギターなども使用されているものがあるが基本的にはオーソドックスなタンゴバンドによる正統的な演奏といってよいか。「知りすぎたのね」では大胆なスキャットを導入している。なお、「恋のシャロック」のカバー収録。B面は洋楽のカバーで、「恋はみずいろ」などレコード発売当時の最新ヒットもあるが、「カーザビアンカ」「悲しき雨音」など古典ややや先行する曲なども含まれている。暴発したようなアレンジの曲もなく、まさに当時の穏やかな社交ダンス向けとしては相応しい内容か。

藤木孝

藤木孝のヒット・ナンバー

10吋LP テイチク NL1209

特異な活躍をみせた60年代前半期のツイスト男のベスト。代表曲である「24000回のキッス」を始め全曲カバーで固められた全10曲。卑猥さばかりが歴史に残るが、これを聞く限りではそこまでではないけれども、シャックリ唱法を駆使した独特の軽薄かつ黒い節はこの人ならでは。「小さい悪魔」のようなポップスよりの曲でより軽さがよく効く。また、原曲の味を壊さないようにしたら殆どそのままのカバーになってしまった「ホワット・アイ・セイ」は黒さがよく輝いた例。時代を反映してポール・アンカ作品が二曲入っているが、一勝一敗といったところ。「なみだのダンス」はこのアルバムでも一二を争う健闘賞もの。このほか「ルイジアナママ」は飯田久彦のものとは全く違う歌詞の上に例の「ロニオリン」のところも跡形もなく日本語が載せられていて逆にこれは飯田版の偉大さを再確認。スターの絶頂期ならではのわけのわからない勢いのようなものが感ぜられて、その意味では貴重。

東京キューバンボーイズ/エレキ・サウンズ

ラテン・ゴーゴーで踊ろう(第2集)

17cmLP コロムビア JSS73

日本一の職人ラテンビッグバンドによるグループサウンドの名曲四曲のカバー。リード楽器をホーンとエレキギターが分け合っているため違和感なく、かつ、このバンドの本来持つグルーヴィーさも十分に聞いた勿怪の幸いのような曲が並ぶ。トップを飾る「マリアの泉」は「ブラックイズブラック」の隠し味こそないがストリングスを地に備えたバンドの利を生かし、躍動感が素晴らしい。「君に会いたい」は元歌の中近東趣味を鼻につかない程度に強調しており、かつラテンバンドの本領を発揮しエキゾチックなムードに仕上げている。「シーサイド・バウンド」はのりがよいがこのバンドとしてはまずまず。「好きさ好きさ好きさ」はゾンビーズやカーナビーツよりもセンチメンタルさが強調され、胸に甘酸っぱさ広がる懐かしさのある、情の深い演奏が涙を誘う。

唱田久美子 ダニー飯田とパラダイスキング

恋のオカリナ

EP クラウン CW566

クラウン・ムードコーラス路線の頃のシングル。A面は実に素晴らしい所謂サバービア系のソフトコーラスで、特にジャズコーラスに通じる穏やかな優しいアレンジに和む。タイトルの通りオカリナがフィーチャーしているが、「アマポーラ」を意識したと思われる曲調によくよく映えている。
 このバンドは東芝に在籍したカバーポップス時代ばかりが注目されて、事実その時代が一番ポピュラーだが、その後については、長く活動しているのにあまり注目されない。しかし色々と聞き及ぶに、クラウンやソニーに移ったあとも、歌謡曲としては無視できない名曲・佳曲が思いの外多い。クラウン時代の最大のヒット曲「甲府ブルース」すらCD化されていないのは何とも残念なので、是非とも一枚コンピを纏め上げてもらいたい。ポピュラーと書いたが東芝時代も最近は意外に軽く扱われているので、昔出た二枚組みのシングル集を復刻して欲しい。

B面は可も不可もないムードコーラス曲。

クール・キャッツ

若い夢

EP コロムビア JPS13

まだ得体の知れない訳の判らないバンドになる前の健全なダンス・コーラスユニット時代のシングル。和製曲で時代を反映したテケテケエレキをフィーチャーした若さ溢れるアーリー60‘s風ポップス。今となってはさほど違和感もないが発表された当時は古臭い感じがあったことであろう。コーラスの端々にGS時代の訳のわからなさに通じる、あふれ出るような男臭さが段々と出てきていて手に汗握る。まあまあの曲といったところ。B面はテケテケエレキがフィーチャーされたビートもので、ベースラインの強調されたダンサブルな高速の青春讃歌。馬鹿馬鹿しさと刹那さが同居し、この時代の雰囲気を伝える今では絶滅した系統の曲調が心地よい。こちらの方が出来がよい。

ドンキー・カルテット

男のまごころ

EP 東芝 TP1581

二枚しかないシングルのうちの一枚。A面はCD化済みなのでB面のみ。ジャイアント吉田のソロで、ガットギターとボンゴ、ストリングスというラテン編成による本格的なムードコーラス調の曲。ボーカルが震えていたりするのがおしいが、かろうじて間奏や終奏に被さる台詞がコミック・バンドの曲の体裁を備えている。いや、まあ、これが今も面白いかというとどうなのか知りませんが。因みにラストに一発披露される速弾きが非常に自分好みである。

19.1.23 買い物らしい買い物さ。

都はるみ

 

魅力のすべて

2CD コロムビア COCA71116→17

昭和43年に発売された2枚組アルバムを復刻したもので、デビューから4年間のいわばヤング都はるみの大型ベスト盤。加賀城みゆきの演歌革命の衝撃冷め遣らぬ時期の、歌謡に対するパンクとしての演歌がまさにパンクだったということの申し子としての衝撃的な16歳のうねりが聞ける。そしてのちの悲劇的な歌唱のイメージに騙されるところだが意外にコミックソング的な曲も多く、またビートポップスやハワイアンのようなニューリズム物への果敢な挑戦も多い。もともとがポップス志望の人であったから、こういった曲の方でも嬉々として歌っておってなかなかと聞き応えがある。さてさてこういった曲でも過激なこぶしを思い切り聞かせており、それがこの人独自の色に充分に出すという結果になっておって、くらくらとしてくる。こと「フレンド東京」「涙のバラ」はボックス売りでない一般売りCDではおそらくはじめてのCD化であって、後者はずっと探していた曲であるので嬉しい。こう聞くと美空ひばり、島倉千代子、そして都はるみとつづくコロムビアの屋台骨を支えた三代の大歌手の流れが、三者三様にそれぞれのない部分を持っていて、このくくりでコロムビアが売っていかなかったのがまことに惜しい。かように、演歌の本質が全く保守的なものでないことがよくわかるということでまことに聞く価値のある一枚か。デビュー曲の「困るのことヨ」を除けば作曲か編曲に先日なくなられた市川昭介氏の名前がクレジットされておるので、市川氏の多才な才能と、演歌というのは突き詰めていくと市川昭介メロディーとそのバリエーションに過ぎないということがわかり、「市川昭介作品集」としても聞くことが出来る。

和田弘とマヒナスターズ

ツイン・ベスト

2CD ビクター VICL41039〜40

グループとして日本歌謡史最大の足跡を残したマヒナスターズのビクター時代のベスト盤。ただ前も書いたように、このバンドは基本的にはムードコーラスグループではないと思っている。で、流石によく考えたらビクター時代のマヒナのまともな盤を一枚も持っていないのもまずいので購入。「魅惑のコーラス」シリーズからのチョイスとオリジナル曲などをまとめる。もう何のかんのというレベルのバンドではないが、ファルセット多用のコーラス、スティールを核としたハワイアンを下地にした演奏とも当時衝撃的に過ぎたであろう、クールビューティーに通じる洗練されたお洒落さとそぼ降る雨のような濡れた情緒が同居しているのがなんとも感動的。一方で40年代後半に台頭したムードコーラスグループ陣との違いも明確乎。「若いお巡りさん」のド・センチメンタルで意表をついたアレンジなんどというのは明らかにバンドマンの感覚がないとああは行かない。所謂一般向けのベストなので発売年等の細かいデータ記載なし。

ダディ竹千代&東京おとぼけcats

ライブ・アット・リヴ・イン

CD ピーエスシー MTCP1017

復活したおとぼけキャッツの昭和60年のライヴ。荒っぽくも技術力を充分に生かしたジャズやロックの名曲を織り込んだ演奏が圧巻。コミックソングよりももっと渋い、人生の悲哀を表面に出したような曲の方が多い。しかし何と言っても怒涛の展開でエリック・クラプトンの一生(架空)を描くメドレー曲のまるで寄席を聞いているかのような手馴れた曲の転がし方でこのバンドの存在感を際立たせている。

ザ・シロップ

ザ・シロップのおかしなおかしなおかしな世界Vol.1 4ス・ディメンション

CD グラジオラス glagi003

名古屋インディーズの雄、見目良きニューロックバンド、ザ・シロップが世界をテーマにしたという新アルバムで、サウンドコラージュ的な表情をみせる。精神的に連続はしているがニューロック・サウンドは殆ど影を潜め、スペースサウンドなどの70年代前半のモンド系サイケデリックに大きく傾いている。というか殆ど松石ゲルが演奏を担当していて、実質的にはソロアルバムに近い。(この場合ボーカルは脇の一楽器の位置づけ。)聞いていて、大宇宙で銀球鉄砲を撃っている光景が思い浮かんだ。意図したることか。こういう玩具で作った宇宙ではなくて、もっと本格的な壮大な宇宙を描くこともこの人たちには出来るはずだし、ぜひともそういうものを聞きたいところ。

V.A.

カワチモンド

CD コロムビア COCJ33830

河内音頭をネタやモチーフに使っている歌謡曲集。「河内カルメン」のような超有名曲から本格的浪曲物まであるが一方で江州音頭物などもあっていかにもネタに苦しんで捻くりだしてきた一枚というような印象も受ける。もっと正統な河内音頭に対して正面から切り込んだ歌謡曲を中心に据えれば厚みも出るであろうに、趣向を変えた河内音頭というニュアンスの曲が多く、前記のような状況であるので、妙な違和感が残ったままだ。割合とマイルドな感じでワイルドさやエネルギッシュなもの(要するに真山一郎の「殿中松の廊下」みたいな奴。)を求めすぎて聞いたのでこういう感想になったかもしれないが、これがコロムビアでなくクラウンだったらその線のものが出てきたかも知れず残念といえば残念。前身時代の中村美律子の音源が聞けたのが有難い。

19.1.14 今年の買い初め。自分で言うのもなんだが結構意表をついたラインナップ。

石川晶と彼のグループ

 

ドラムプレスリードラム

CD ディスカス DICR2020

プレスリーのベスト・ヒットをドラムインスト化したアルバム。ロックとジャズが幸福な関係にあった60年代末から70年代初頭にかけては、ムード音楽用のBGM集が乱発されたが、名前は出なくとも当時の一流ミュージシャンが演奏していることも多く意外な名演も多い。ましてやこれはドラマーの石川晶を大フィーチャーしたものであり、その名に恥じないようなグルーヴの深い作品が多い。ドラム以外もグループサウンズ出身者や当時の若手ジャズメンら名手が揃っていると見受けた。この前でも、後でも、石川晶という人は深いけれども、派手なというか飾り立てたようなドラミングを聞かせることはさほどないところ、このアルバムでは前後の流れを断ち切るような暴走したようなドラムソロも多く入っておりかなり異色な印象を受けた。音は題材のせいかかなりロックよりではあるが、ソロだけに関して言えばジミー竹内のアルバムを聞いているようだ。いかにもスネアの打ち所をよくわかっている演奏がぐっと来る。こういうスネアの打ち方というものはいつ頃から全く廃れてしまったのだろうかと物思いにふけてみる。

石川晶と彼のグループ

ドラムスクリーンドラム

CD ディスカス DICR2021

こちらは映画音楽をドラムインスト化したもの。フルートやピアノを大フィーチャーしており、上のものよりも繊細でセンチメンタルな筋を強調している。ギターがメロディーを取る時もあくまでクリアなサウンドが第一となっているようでまことに儚さが強調されている。これも同時期に発売されたものらしく、前後を断ち切るようなドラムソロは健在。以前復刻された「ドラム八木節ドラム」と併せて三つ子のような表情を見せる。

クラウス・ウェイスほか

ナイアガラ・アフィア

CD パフォーマンス CDPE062

ジャケ買い。ドイツの代表的パーカッショニストの代表的アルバムとのこと。技量高尚なるも、自分にはきっちりとしすぎて不合。

千賀かほる

チャリソヨ・ソウル

EP コロムビア SAS1474

未解放幻の名盤。韓国ソウルを舞台にした失恋歌。ベースが強調された侘しいミドルテンポなバラード系純歌謡だが地味なことこの上ない。さびが英語なのも情緒を殺ぐか。B面は「プロポーズ」。今ひとつ印象が薄いが、薄幸な上に音はピアノやホーンがフィーチャーされ、この時代の歌謡曲らしい音でそれなりに楽しめる。クラウンの演歌系青春歌謡に通じる湿っぽさがある。

モンゴ・サンタマリア楽団

ラテン・ロック・ルイ・ルイ

EP コロムビア LL2059C

要するに有名ラテンバンドによる「ルイルイ」のカバー。キングスメン以前の気の抜けた暗さを引きずった演奏。ピアノが伝統的なアレンジに収まっているのに対しトラムペットがソロを吹き倒す。「ルイルイ」のコーラスいり。B面は「ウォーク・オン・バイ」で同趣向だが、ブラジル音楽の色がストレートに出たクールさを感じる演奏で、こちらの方が演奏の密度も濃く出来がよい。こちらは完全なインスト。

ジェスとジェイムス

恋よ恋よ恋よ

EP コロムビア LL2121L

ザ・タックスマンによる熱烈なカバーでも知られる曲のオリジナル。これ自体も結構ヒットしている。しかし延々と合いの手に入る「ナッシング・バット・ラヴ」という掛け声が本題を邪魔する嫌いがあって、全体的に音が散った印象。タックスマンの方が100枚も200枚も上。余談だがオックスもこの歌をレパートリーにしておったがタックスマンがレコード化した後はぱったり歌わなくなったという。B面は重苦しい悲劇的なカンツォーネ風バラード。ケルト民謡をイメージとして取り入れたるか。ヨーロッパではこっちがA面にしたのが不思議。

ザ・シャムロックス

ラ・ラ・ラ

EP ポリドール DP1534

昭和42年夏に一世風靡をした北欧ビートの名曲。何故かCDにならないのでレコードを買ってみた。単純な歌詞を重い黒いビートに載せたGS御用達の軽いビートチューンでファズもかけないギターソロに時代の風を偲ぶ。B面はビートバラードでこの時代の世界の何処にでもありそうなサウンドの湿り気に涙も浮かぶ。

ザ・グーシーズ

ミニ・ミニ・ロック

EP キング HIT1441

これも昭和42年に一世を風靡したドイツのビートの名曲。ポップなことこの上ない曲調とかわいらしいムシ声に武骨なドイツ語、硬さも残る歌声がなかなかとミスマッチで印象的。やや精気に欠けるか。B面は「ハンキーパンキー」や「ツイストブルース」といった60年代中葉らしい吹流し感を感じる軽めのダンス用ビートチューン。こういう無意味で簡潔な歌詞を書ける人も世に滅んだかとまた目に涙。

ディック・ジョーダン

ストップ・ザ・ミュージック

EP 東芝 OR2220

もともとは昭和38年の歌だが、これも昭和43年ごろにスウィングウエストやテンプターズらGSによくカバーされておった。日域では昭和38年と昭和43年では出てくる音が全く違うが、イギリスではそれほどの違いが見つからずたかが5年の域に収まっている。GS陣にもひけをとらぬ熱烈なロックチューン。B面は流石に時代を感じるクリフリチャードとかあたりと並べてしっくりするはねるリズムを使ったポップの小品。

19.1.12 ある筋からあるバンドの限定音源のCDRを賜る。詳しくは書かず。音質が悪いけれども、臨発でこれならなかなかのもんじゃないかと思う。

前の月 次の月 最新

 

inserted by FC2 system