これ買いました平成19年2月

19.2.24 中身も外見も大切なのであります。

V.A.

 

日本のジャズ・ソング〜戦前編・スウィングする二世歌手と戦中かくれジャズの軽音楽

CD ブリッジ BRIDGE083

大河シリーズ、「日本のジャズ・ソング」の構成者、瀬川昌久氏所有の音源から抜き出したボーナス盤的な一枚。題名の通りの選曲だが、コロムビア・ナカノ・リズム・ボーイズの「タリナイ・ソング」の収録が嬉しい。しかしこれに限らず、ほぼ全曲が初CD化(過去にCD化されたことのある作品がない訳ではない。)であり、超貴重な音源であるし、戦前の日本のジャズの意外なまでのレベルの高さが堪能できるのは間違いない。もっともこれが初めて触れる日本戦前のジャズということであれば、いささか渋すぎるかもしれない。

19.2.22 漫画と歌謡曲に関する認識には共通することがあるようだ。

石川晶と彼のグループ

 

ドラム運命ドラム

CD ブリッジ BRIDGE086

これも70年代当初に発表された石川晶と彼のグループによる「ドラム・○○・ドラム」シリーズの一枚。これだけ復刻元が違う。これは題名の通り「運命」などのクラシック曲をドラム・インスト化したもの。崩そうというよりも出来るだけ原曲の味を再現しようという姿勢が見受けられ、ドラムソロも激しいところではなく、聞くに優しい。選曲が自分好みなのもよろしい。

秋吉久美子

 

秋吉久美子

CD バップ VPCC84554

秋吉久美子の前衛的なアルバム。エレック復刻シリーズの一枚として出たもの。童謡、西田佐知子らのカバー、自作の詩の朗読と自作詩のロックチューンなどで構成されているが、この自作の詩が頭がおかしいというか物凄く感覚が鋭すぎて独特な彩光が放たれていてこの人でしか作れない世界というものがあり、かつそれが十分すぎるほど音にレコードの上に表現されている。退廃的なことこの上なく非常に魅力的。歌自体はまるで上手くはないけれども、かかる詩や選曲にも恵まれて雰囲気がよい。和製ロックのアルバムとしても聴き応えのある出来のよいものの中の一つとして数えても差し支えなかろう。最も出来がよいのは、既に他でCD化されているけれども、やはり「エリカの花散るとき」か。

赤塚不二夫と全日本満足問題研究会

 

ライヴ・イン・ハトヤ

CD ディスクユニオン FJ015

長く復刻が望まれていた赤塚不二夫と赤瀬川原平、奥成達、長谷邦夫、タモリ、山下洋輔、坂田明といった錚々たる遊び仲間の面々が集まってでっち上げた架空の伊東ハトヤでのライヴ盤で、歌、講演、応援合戦などステージでの多彩な出し物の他、舞台袖や楽屋、風呂場でのやり取りなどが紅白歌合戦のラジオ放送のような演出で収録されている。もちろんこれらは架空だが。それぞれのキャラを立てた一時間に及ぶ音コント、といったところで、コチラには余計な政治的主張のようなものもとりあえずなく安心してブラックユーモアを楽しめる極上の娯楽盤である。

V.A.

 

お笑い芸人お宝珍盤コレクション

CD テイチク TECE25687

土龍団監修による芸人たちが残した曲のコンピで、コミックソングにこだわらぬという選曲方針もあり、非常に珍しい音源のオン・パレード。シャンバローが収録されているだけでも特筆ものだが、モダンカンカン、ポンコツ五重奏団らのボーイズ勢の大量収録が嬉しい。林家ペー・パー子の音源はインディーレーベルに残された宴会芸指南もののレコードから取られたもので、まるきりアカペラではあるが、藤圭子の姉弟子である林家パー子のなかなか艶っぽい美声が聞ける。いずれにしても牧歌的。他に三遊亭円楽、毒蝮三太夫なども収録されている。関敬六の「浅草の女」以外は初CD化と書いてあるが、これは間違いで林家木久蔵「酔姫エレジー」も「山本正之作品大全集」でB面ともども既にCD化されている。

V.A.

 

ドーナツ盤メモリー 恋すれど廃盤Vol.1 ナイス・ガイ

CD コロムビア COCA71122

こんなタイトルだけれども男性による昭和30年代のカバーポップスと割合にポップな青春歌謡のヒット曲のレコードA・B面曲を収録したもの。北原謙二とか神戸一郎とかはあまりCDで聞けないので助かる。初めて聞いたのは5曲だけだが、はっきり言ってここに収録された8人はいずれも恒久的にせめてベスト盤ぐらいはカタログにあってしかるべき人たちであって、井上ひろしと鈴木やすしに至っては過去にアンソロジーが存在しないということにただただ泣きたくなる。

V.A.

 

ドーナツ盤メモリー 恋すれど廃盤Vol.6 エンカだよ

CD コロムビア COCA71126

上と同じシリーズでこれは演歌系の楽曲のヒット曲のレコードA・B面曲を収録したもの。発表順に並んでいるが演歌の御親である加賀城みゆきの「おさらば故郷さん」が真ん中に配置されているので、それ以前のプレ演歌と演歌の質的断絶が見て取れる面白い選曲。他にこまどり姉妹「ソーラン渡り鳥」も名曲中の名曲。ここでも何組か単独CDが存在していない人たちがいるが、その一人が加賀城みゆきであるというのは首を捻らざるを得ない。

19.2.20 融通が効かないのはタメタメ。

V.A.

 

ザ・フォーク・コンサート実況録音盤ロイヤル・ボックス

10CD+1DVD 東芝 GSD18901〜09,NVD1218,NCD3018

昭和40年代中盤から後半にかけての東芝が推していたカレッジ・ポップス系統の人たちを集めたライヴ盤ばかり7タイトルと特典盤のDV、カラオケCDを集めたボックス。リガニーズ、メイ・フォーク・シンガーズといった正統派カレッジ・フォークからRCサクセション、マヨネーズなどのアングラ系、ワイルド・ワンズ、ハプニングス・フォーらGSまで。モップスとハプニングス・フォーの初CD化曲がGS者にとっては嬉しい。

日本での公演の他、アメリカ、カナダでの公演をレコード化したものもあり、新進の息吹は買うが、これら海外での公演は運営にも苦労しておるし、選曲もアチラの曲のカバーが多く、本当にこれが最良の形であったのか甚だ疑問に思えてくる。日本での公演も含め、最初は全て北山修が司会を務め、出て来るメンバーもいい意味でプロ臭のない、ある程度まとまった雰囲気であったものが、段々と拡散していき、北山も引退したため司会もいなくなり(いるのかもしれないが少なくとも音として出て来ない)、レーベル主体の色が段々と濃くなり、そして出てくるバンドや歌手も確実に交代し或いは大きな変化を見せつけて何ともうら悲しい雰囲気が充満してくる。カレッジ・ポップス・ブームの栄枯盛衰を追体験しているような錯覚に襲われる。

こう並べて聞くと「戦争を知らない子供たち」という歌が如何に大きな存在であったのかつくづくと痛感させられる。

GS三組はやはりフォーク勢に馴染んでおらないが、モップスは確かに他の二組に比べると違和感はない。

なお、特典として後年の再結成グループなどが出て来る(と、言ってもフロッギーズとかウェイファーリング・ストレンジャーズ、ブロードサイド・フォーとかのあまり本編には出て来ない人たちが主体。)「スチューデント・フェスティバル」の再現時のライヴDVDとカレッジポップス全盛時に何故かでていたオリジナルカラオケ集を復刻したCDがついており、これも貴重。

19.2.12 二人連れでうろうろ。

石川晶と彼のグループ

 

ドラム・クリスマス・ドラム

CD ディスカス DICR2026

この半年ほどで一気に復刻された、70年代当初に発表された石川晶と彼のグループによる「ドラム・○○・ドラム」シリーズの一枚。これは題名の通りクリスマス・ソングをドラム・インスト化したもの。スキャットやコーラスを大胆に配置しており、とりわけホーンとのバランスをよく気にした使用法になっている。ドカドカいうドラムソロはやや控えめで、大人数によるパーティーではなく、家族団欒のホワイトクリスマスが目に浮かんでくる。ほのぼのとした風情であって、石川晶のドラムによる表現力に改めて感心する。「八木節」ほどの衝撃はないかもしれないが、ジャズとロックの蜜月時代の風情は十分楽しめる。

モップス

 

モップス 一九六九−一九七三

LP 東芝 LTP9076

モップスの活躍中に出たベストアルバム…ということだが、これでしか聞けない曲もあり、しかも未だに何故かCD化されないわということで、ずうっと買わないといけないと思いつつも、まあ何処に行ってもあるので逆になかなか買わなかったアルバムをようやく購入。狙いはまだ聞いたことのない「歌いたい魂」と「今日の終わりに」。両方ともロック一本槍でもフォークにズブズブでもない、モップスの立ち位置を表したのかのようなバラード曲。ぼちぼち。

チカノスとペピータ

 

愛のムード歌謡

LP コロムビア AX7191

トリオ・ロス・チカノスがペピータなる女性ボーカルを加えて歌謡曲に挑戦した、新体制でのファースト。半年前に某書店で見かけたが当日手元不如意で買えず悔しい思いをしたが、今日その書店に行ったらそのままの位置に置いてあったので迷わず買ってきた。チカノスとしては初めてオリジナルに挑戦したということで、そのオリジナル4曲と歌謡曲のカバー8曲で構成されている。不思議なのは折角入れたペピータが殆ど活躍しないことで、オリジナルのうち3曲にいたっては全く女声が入っておらない。逆に一曲については女声はリードをとり極薄くコーラスが被さるが、いずれにしても一体のグループとしての体をなしていない。カバー曲の方でも「おもいやり」を除いてそれぞれ全く独立しており絡むことがない。例えばロス・インディオスのアルバムでも似たようなことはあるが、それでも男女掛け合いものはあるし、男女どちらからがリードを取る曲でも全くコーラスを被せないというのはあまりない。思うに既存の音源を利用しつつも、このアルバムを作るために営業戦略上強引に組まれたグループか。なお、このペピータというひと、多少バランスが崩れているところはあるが、ムードコーラスの女性ボーカルとしては珍しく大分上手い。チカノスの出自に忠実にラテン色の大変に強い演奏だが、何曲かで妙なエフェクトを効かせたギターがリードしておりいわゆるまぬけ美が支配している。

ちなみにジャケットが異常にかっこいい。

ドンキー・カルテット

 

宮本武蔵

EP RCA JRT1060

 A面は既に何度もCD化されているので、B面だけ。小野、吉田がそれぞれソロをとるフォーク調のペーソス溢れる軽めのコミックソング。ウエスタンの出自に忠実といえば忠実な曲。

栄はじめとミラクル・セブン

 

ボンボン小唄

EP テイチク SN720

ヒット曲ながらB面ばかりが何回もCD化され、面目を失っていたので購入。スチールギターが大活躍する手拍子入りの巡礼小唄もの。男前で端整な男性ボーカルとハワイアン流れが強く出たコーラスが聞けるが、どうも女声ボーカルがハワイアンというより上面をなめるような歌唱でなんとも自己主張が激しい。レコードには踊りと各地用の替え歌例が載っている。まあ、当時としてはそれなりに売れ線に乗ることをよく考えている曲とは言えるか。

松井久とシルバースターズ

 

ママと呼ばれて三ヶ月

EP キャニオン C52

センスの良過ぎるタイトルにより、彼らで一番有名な曲。ただしヒット曲ではない。ともにリーダー松井の自作曲で彼らしい色のある曲。冷静沈着な歌で売るにはやや印象が薄いか。B面はストリングスを強調した3連ロッカバラード。サビの盛り上がり方が目新しいが、そこまでに勝負がついてしまっている歌か。

灘康次とモダンカンカン

 

奪って欲しい

EP テイチク SN1488

題字、作詞は立川談志。なんだか知らないがイントロのドラムの音が非常に心地いい。丁寧に糸を手繰り寄せるような、悪く言えば安全策に走ったようなボーカルでやや平板な印象になっているのと、致し方ないが破壊的なファルセットが影を潜めているのが残念。因みに女心の中の慕情を切々と歌ったよく出来た歌でコミックソングではない。B面は前・間奏に台詞の被さるピッチが高くなった鶴田浩二のような曲(とは言っても時代が下っているので所謂演歌度が高いが。)で、上手くはないが切々としたボーカルがいい雰囲気に持っていっている。

敏いとうとハッピー&ブルー

 

さすらい未練

EP キャニオン C185

 いつものハッピー&ブルーのもつラテン系の流麗さは影を潜め、もっと和風の軽めのグルーブで非常にソフトなあたりの直球ポップス。一線を保ってはいるが、非常にラフな印象を受ける。B面も軽めだが、何と言うこともない、「北国の春」とかあのあたりの流れに入る曲。カッティングに割り込んでくるワウワウギターの音色が面白い。

ザ・ブルーベル・シンガーズ

 

いのち淋しのブルース

EP ポリドール DR1571

彼ららしい青春の暗黒のどツボにはまり込んだような曲で、澄んだレキントギターの速弾きと過激なファルセットを前面に打ち出した沈鬱なバラード。一連の流れとして聞くとよし。こういう人間の無力さに打ちひしがれる曲をやらせたら右に出るものなし。B面も同系統の沈鬱なバラードではあるが、ラテンやハワイアンではなく和製ポップスが根本にあることが伝わってきて、音としては隔絶があるにもかかわらず滅亡期のGSとの相通性が認められて面白い。なお、「氷点」の挿入歌。

ブルー・トレイン

 

ふるさと

EP トリオ 3B160

A面は「ムードコーラススペシャル」でCD化済み。B面「手紙」はグリーングラスを思わせる重厚なアレンジのボサロックだが、ボーカルのキーがやや高すぎるのか全編に渡って苦しげ。表裏を通じた主題を補完する役割を果たしている現代風の反歌か。

牧秀夫とロス・フラミンゴス

 

笑ってごらん

EP コロムビア SAS863

 現在も活動を続ける、昭和40年代中盤のコロムビアのムードコーラスの主戦グループ。この時代のムードコーラスに特徴的なチープな電気ピアノがフルートを中心としたラテンアレンジに映える三連ロッカバラードだが、このグループにしては洋楽色が薄く和のテイストが強い。穏やかさと無闇に被さるコーラスは変らず。B面もチープな電気ハモニカらしき楽器が先導する三連ロッカバラードだがビブラフォンの導入やこの時期としては時代を先取りしているとしか言いようのないワワワコーラスの挿入など、地味ながらも果敢。所謂黒さが充満している。

19.2.2 非常に遣り口の汚い事をされて腸煮えくり返っている。

緑川アコ

 

酔いどれ女の流れ歌

CD Pヴァイン PCD7283(GES13672)

「夢は夜開く」の大ヒットを叩き込み数多の歌手に影響を与えた緑川アコのコロムビアに移籍して出したピンクムード盤の復刻で、ジャケットは本人のヌード写真が使われている。60年代の歌謡歌手としては他に追随を許さない、圧倒的な度量のある人であるだけに、今までヒット曲二曲だけがCD化されているのみという状況は全く嘆かわしいばかりであったので素直に目出度い。何しろ生きた伝説というに相応しい人の中でも極めつけというような人である。

根本敬によるとんでもない迫力のある長大なライナーノーツが微に細に詳しいのでそちらに譲るけれども、藤圭子の「圭子の夢は夜開く」のヒットに便乗した一枚であることは間違いなかろう。全曲カバーであり、「ふたたび夢は夜開く」として「夢は夜開く」をカバーしているが、これは自身の歌ったバージョンではなく、「圭子の・・・」のバージョンであり、藤圭子の曲のカバーが圧倒的に多いことでも先の仮説の説明がつく。他には同じくため息演歌路線ととられても致し方ない森進一のカバーが多い。自身のセルフ・カバーとしては「カスバの女」があるのみ(これだってカバーっちゃあカバーだが。)。

しかし、藤圭子の歌唱がバイカル湖の清水のような冷たく張り詰めた透明さであるのに対し、この緑川アコの歌唱は木霊に取り付かれた南方の霊山の朝霧のように神秘さとじりつくような暑さ、または足元にまとわりつくクリークのようなベットリとした粘りとでも言うような濁りがあり、似たような方向の歌手ながら全く出てくるものが違うというのは全く絶句を致すしかない。そして、このにごりこそこの人のデビュー前から、このレコードをリリースした後までを含む、波乱万丈の人生を削り歌い紡ぐが如くであり、改めて巨大な壁としての緑川アコを認識するのである。

このアルバムの復刻は緑川アコの再評価に関する偉大な一歩でありつつ、又力なき小さな一歩でもある。歌謡界随一の大歌手の遺産がマニアの手に独占されるのみで終わるべきでない。これから続く歌謡の大聖の復活の一里塚となるべきであって、たとい不可能だといわれながらも日本クラウンに対して善処を果てしなく申し入れていくべきなのだ。

なお、ライナーに出てくる藤圭子のファーストアルバム収録の「夢は夜開く」はこの人のバージョンではなく、石坂まさを作詞の、即ち「圭子の・・・」のバージョンである。

アンディ・ウィリアムス

 

マイファミリー「味の素」CMソングコレクション

マキシ ビー!スマイル BSCH30002

大歌手、アンディ・ウィリアムスが60年代最末に残した味の素のCMソングの復刻。当時ノヴェルティでしか発表されなかった貴重もの。70年代当初の歌謡界、CMソング界の雰囲気をそのまま反映したかのようなハッピー・ソング。小林亜星の色がよく出た時代を煮こごめたような雰囲気の曲だが、歌手の持つ雄大さという点についてはやや欠けるか。

 

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