これ買いました平成19年5月

19.5.27 さあ怒涛の一ヶ月が始まる。

殿さまキングス

殿キン・カンタービレ〜パロッタ・クラシック

CD Pヴァイン PCD7293

買い直し。最近流行の某漫画に引っ掛けたタイトルだが、本来はそれとは無関係に昭和58年にクラシック曲(スーサはクラシックなのか微妙な気もするが。)を殿キンらしいねっとりした演歌系コミックソングに仕上げたコンセプトアルバムの待望のCD化。レコードを持っていたけれども目出度いので購入。「係長5時を過ぎれば」はシングルバージョンも収録されている。解説ではザ・ピーナッツの「情熱の花」の事に触れているが、また微妙な話題にしれっと触れるなあと思ったり。世間では宮史郎の方が格上のような話ばかりされるが、たまたま宮史郎のほうが好きな人が有名人だっただけで、両者に優劣はないばかりか、攻撃的な音楽に向き合う姿勢はこちらの方が数段上であろう。

作詞はメンバーの多田のほか、作詞教室の生徒による作品のうち優秀なものを起用しているが、これが今ひとつ深みに欠け、詩の情景を散漫なものにしている。一方10曲のうち8曲の編曲を前田俊明が手掛けており、原曲の雰囲気を壊さないような弦アレンジと歌謡曲として楽曲を成立させているリズム隊の積極的なビート感が上手く絡まっており、このアルバムのコンセプトを成立させている。

とにもかくにもマヒナスターズ、クールファイブ、東京ロマンチカを除けばムードコーラスのまともなオリジナルアルバムの復刻は初めてだと思われるので、貴重である。

V.A.

歌謡曲番外地 悪なあなた

CD ウルトラヴァィヴ CDSOL1156

表題曲のジャケの津々井まりを始めとしたビッチ系歌謡集。ゴールデンハーフスペシャルが二曲も入っているのが珍しい。同名ムックとの連携商品。他のCDやレコードで持っている曲が結構あるがまとまって聞けるのは有難い。

多くは言わないが、昨今の歌謡曲の復刻コンピの選曲はレアグルーヴとしての歌謡曲という見方に偏りすぎていて、純歌謡が好きな自分としてはまた生き難い時代になってきた。太田とも子(梶芽似子の妹)の二曲だけ単音オルガンを使った古色蒼然とした曲で妙な存在感がある。

O.S.T

小さなスーパーマン・ガンバロン オリジナル・サウンド・トラック

CD ディスクユニオン GMT001

結果的には惨敗した特撮番組の「バロンシリーズ」第三弾「小さなスーパーマン・ガンバロン」の番組放送当時に発売されたサウンドトラックの復刻。サウンドトラックと言っても殆どはボーカル曲で、当時の視聴者たる子供たちが聞くことを念頭に編まれている。当時出た所属レコード会社の関係でクレジットこそされなかったが、ゴダイゴが全面的に関わっており、その後「西遊記」などに音楽が流用された。ミッキー吉野が新レーベルを立ち上げたので、その第一弾として監修したもの。

子供向けこそ子供だましが通用しないという言葉があるが、これは、メンバー流動期とはいえゴダイゴの高い演奏能力が存分に発揮されているポップな曲が多く、かなり所謂「尖がった」音である。とりわけシンセサイザーの使い方が鋭すぎるほど鋭い、「大人」が聞いても全く驚嘆されることばかりの恐ろしいサウンドが展開されている。

数ある特撮番組の主題歌の中でも最もかっこいい曲の一つである「ガンバロン‘77」でも目まぐるしい展開の中に唸りまくるシンセサイザーとギターソロが燃えて致し方ないが、例えば「ドワルキン・ブルース」等でも同じように燃える構成になっている。なお「ドワルキン・・・」はスティーヴ・フォックスが日本語でソロをとっている。二曲あるインストはどちらも印象に残るものであり、「ガンバロン剣の舞」はハチャトゥリアンの「剣の舞」をシンセサイザーの重ね録りで練り上げた愛嬌と緊張感のある珠玉の出来、「サイボーグ・ファイト」も戦闘シーンのバックに相応しい暴力的で装甲の厚いアレンジになっていて聴取後の開放感が凄まじい。更に、「おまかせゴエモン」は未来的なコンピュータサウンドに棒読みの台詞が延々と被さる所謂未来系モンドの佳作になっており、これも聞き応え十分。出来不出来あるとしても、全曲昭和52年のサウンドとしてはその発想がぶっ飛んでおり、まったく聞いて飽きない。オススメする。

あまり書く機会もないと思うのでメモとして書いておくが、「レッツ・ゴー・ダイバロン」でボーカルをとる天馬昇三は、「円盤戦争バンキッド」の主題歌も歌っておるけれども、正統的な音楽教育に裏打ちされた素晴らしい深みのあるボーカルではあるが、正統なるが故に柔軟さ、しなやかさに欠け、これが例えばささきいさおや水木一郎らといったこのジャンルのビッグネームに遅れることとなった原因であると思われる。これもまた楽譜が読めればよいとか、それを正確になぞれればよいとかというのはボーカリストにとって決定的なものとはなりえないことの一つの表れか。

 

19.5.4 さるライヴへ参ずるに出演者の所属していたバンドが40年ほど前に匿名で出したアルバムの音源につきCDRの配布あり。ビートルズとモンキーズの全盛を偲ぶ選曲のインストものだったが、ギターが大活躍していたりして言われてもこのバンドの音源だとは気が付かない。

 

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