これ買いました平成19年7月、8月

 

19.8.17 実家に帰らせていただきます。

タイガーリリィ

ハロー・リリー!

CD 番号なし

関東のガールズガレージバンドの自主盤。本人から受領。もっともこのCDの時代とは編成が変わって、録音した時にはその人はまだバンドに入ってなかったりはするのだが。
 で、聞いてみたところ案外いい。案外、というのは、彼らのステージは今まで生とテレビ合わせて四回ほど見たことがあるけれども、それらの演奏よりも大分ツボが押さえられており、演奏自体もしっかりしている。もちろんやや間延びしたタイミングやコーラスの処理の不味さなどもあって満点とは行かないが、ギターの使い方や何をどうしようとしたのかという目的意識がはっきり出ておって、これなら58〜59点位はつけてよい出来。ミックスの技量次第ではもっと聞かせられたかもしれないが、見直したのは確かである。この後続を聞きたい。

19.7.20 人生を酷使している。

小山ルミ

ビートルズを歌う

CD ウルトラ・ヴァイヴ CDSOL1166

小山ルミが日本語でビートルズをカバーしたアルバムの復刻。うまく日本語が乗せられていて違和感なし。ただビートルズというのはある程度ポップスの根幹になっているところもあって、例えば東京ビートルズのような圧倒的な情熱や松岡計井子のような異世界感のようなものはなく、空気のような出来栄え。この人はデビュー曲はあんな感じだが、それ以後の作品でのボーカルは非常にまとまった上手さがあり、それがここでも発揮されておる。それが過不足なくいい方に出たというのか、突出したところがなく面白みに欠けるというのか非常に悩むところ。因みに訳詩は千家和也。

小山ルミ

ベンチャーズ・ヒットを歌う/二つのギター

CD ウルトラ・ヴァイヴ CDSOL1167

これは彼女の代表作である「さすらいのギター」などを含む、ベンチャーズの曲に日本語の歌詞を載せたアルバム。ちなみに「さすらいのギター」が元々はサウンズの曲だとかといった野暮なことは知っているけど書かない。紛れもなく実戦で鍛え上げられた小山ルミのボーカルのよさがもっとも際立った時代(46年5月発売)に出たアルバムらしく、しっかりとした土台の上に感情の微妙な震えが見え、荒削りともいえる情趣深いボーカルの存在感がこれ以上ないほど。「異国の人」(トラトラトラ)、「京都の恋」のような小唄調にならざるを得ない曲も不足はあるが懸命に歌っており歌の世界が眼前に広がる素晴らしい歌唱。演奏もロックが入ってきた後らしい太いアレンジで、いわゆるベンチャーズ歌謡のオリジネイターのものとは違った力強さがあり、これも新鮮。

小山ルミ

ロックン・ロール・ミュージック

CD ウルトラ・ヴァイヴ CDSOL1168

これはこんなタイトルだけれども、ポールアンカを始めとしたカバーポップスもの。ただし、上の二枚と聞き比べると大いなる蛇足と言ったところ。もともと先行する日本語のカバーの歌詞をそのまま流用しており、オリジナルというのも変だが、リアルタイムのロカビリアンらによるカバーとついつい聞き比べてしまう。確かによく整ってはいるのだが、それ故に情趣がそれらに及ばない。50年代と60年代の間には70年代には越える事が出来なかった深い川が流れていることがよくわかる。いや、まあ今越えられるかと言われるとそれも疑問ではあるが。

弘田三枝子

ミコ・ミュージカルを唄う

CD コロムビア CDCA71141

GS全盛期にあえてミュージカルの名曲に挑んだ実力派らしいコンセプトアルバムの復刻。ただし、彼女の抜群のフィーリングが十分に表現されているかと言われると、何とも言えない。バッキングがニューハードとシャープス&フラッツであるから、バックが悪いと言うのではなく、実際非常に尖った演奏もあり、やや落ちる演奏であっても決して邪魔になるものではない。歌唱にしてもそれ自体は爆発するような歌唱もあって平均点以上はキープしているが、やはりこの時期不振に喘いでいただけにその重苦しい空気が天才的な輝きを取り巻いてしまっているのかもしれない。

V.A.

女性アイドル自己紹介ソングス

CD ポニーキャニオン PCCA02333

タイトルそのまま。松本伊代の「センチメンタルジャーニー」から深田恭子の「キミノヒトミニコイシテル」まで自己紹介を目的としたアイドルソングを集めたコンピ。オックスの先例はあるが、自分の名前を織り込んだ歌詞の曲を歌うという心境は思い伺うに余りある。楽曲として優れているのは伊藤さやかの「オ・ネ・ガ・イスーパーコンピューター」。軽めのコミックソングとも割合にシリアスな歌ともつかず、また、デビュー曲のボトムかデビューアルバムの中の一曲であることが多いということからなかなかと硬質な歌声によって歌われることを前提としているアイドル自己紹介ソングの典型を示している。早川好恵関係の曲が二曲入っており、一曲はアニメ関係の曲ではあるが、この手の曲が複数作られるというのは異例であるので、当初会社側から寄せられた期待の大きさを物語る。牧瀬里穂の「RIHO」は歌手本人の歌唱技術水準と声質が最も効果的に映えるように計算しつくされた重苦しさが満ちており、作編曲の後藤次利の職人仕事に唸らされる。楽曲として一番ぶっ飛んでいるのはribbonの「やっぱり‘‘ribbon’’はやめられない」で、グループの持つコメディエンヌ的な面を前面に打ち出しコントを織り込んでいる上、作編曲が野村義男であるだけにビートルズの香り高い本編部分もなかなかに聞き応えがある。他に思い出深いポピンズの「妖精ポピンズ」がやっと手に入って嬉しい。

V.A.(O.S.T.)

モンスター・クラブ・コンパイル

CD バップ VPCD81167

ゴジラ、ガメラ、ギララ、ガッパの各社の看板怪獣映画やマタンゴ、電送人間など所謂変身人間シリーズからクラブでのプレイに耐えうるジャズ、サイケロック系のグルーヴィーなサントラ音源を集めた奇盤。十年以上前に出ていたCDだがさっぱり存在を知らなかった。選びに選んだ音源らしく、素晴らしいトラックが多いが、泥臭さがついて回り日本の曲であることがなんとなく染み出して来るのが何とも面白い。いずれにしても選曲の名目に違わぬ好コンピ。一番の目玉は麻里圭子の「かえせ!太陽を」の映画で使われたバージョンで、どこか取り澄ました印象のあるレコードバージョンに対して、終末ブームに踊った昭和40年代後半のバイタリティ溢れる退廃感という妙なものを感じる爆裂ナンバー。これがCDになっていたとはびっくりした。昔初めて「ゴジラ対へドラ」を見て大興奮した想い出が甦った。(本当は初めてみた時はあまりの内容に唖然としたのだがそのあたりは作っておく。)この一曲だけでもこのCDを買う意義がある。

泉こなた(平野綾)、柊かがみ(加藤英美里)、柊つかさ(福原香織)、高良みゆき(遠藤綾)

もってけ!セーラーふく

マキシ キング LACM4362

ネットでは以前から話題だったが自分のところの貧弱なブロードバンド環境ではどう凄いのか確かめようもなく歯軋りしていたところ、たまたまテレビの放送を見てぶったまげた歌。こういう技巧と遊び心に富んだ玉砕覚悟の攻撃的な曲が本道の流行歌から出てこないのは何とも歯がゆいところ。カラオケを聴く限りでは今のR&Bの系統の曲で往古のブラスロックやソウルの影響も垣間見える。しかし何よりも決死隊がつっこんでくるような驚愕のボーカルの勢いの凄さに呆然とする。これが声優歌謡独特の先端的なところで、このジャンルは今後もこれを軸として発展していくであろう。繰り返すがこのクオリティの曲が流行歌から出てこないということに何ともいえない絶望感を覚える。というよりもこの曲こそが歌謡曲の正しい姿とぞ思ゆる。因みに歌詞が歌詞カードを見ることを前提に作られており、昨今の最新歌謡の状況に疎い自分としては、これも時代を映す鏡のようなものかとしばししげしげと眺めてしまった。カップリングはアニメソングらしい非常によく整ったロックチューンでこれが主題歌であったら可でも不可でもないというところであるのだが、ここでは完全にトップ曲の引立役に徹している。しかしこのトップ曲相手では致し方ない。というわけでこれは非常に素晴らしい、よくできた曲である。

エンディングテーマを集めたCDもあったが、これも面白そうだったのでそのうち気が向いたら買うかもしれない。

 

19.7.8 体調の悪い時には耐えられないものもある。

ピース

シネマドリーム

マキシ ヤマハ YCCW30012

博多の現役兄弟フォークデュオのデビュー曲。まるでオフコースのようなファルセットを使用した、70年代のニューミュージックが出てくる直前ぐらいの復古的なフォーク曲。儀容、技量ともに素晴らしい。もっともこれがバーンと売れる、と思った判断はどこでしたのかはちょっと聞いてみたいところ。昔とあるバンドが某有名人をプロデューサーにしてカレッジフォークを掲げながら出てきて、それのどこがカレッジフォークなのかとつっかかりそうな曲をやっていたが、これはそういう似非的、詐欺的な部分はない。これだけよく出た曲なのに、あのPVは何だ。この真摯な態度をギャグとしてしか応えられない唾棄すべき構成になっていて、スタッフの理解のなさ、或いはセンスのなさに同情してしまう。ちなみに本人たちを知る人に聞いたところ、この父親からギターの英才教育を受けて苦労せると云々。演奏者の中に兄弟と同じ苗字の人がいるが、これが父親だろう。カップリング曲はパーカッションの音が深すぎて弦楽器類の演奏を邪魔しておって興ざめだが、トップの曲と同じ人がやっているので予断を許さない。ちなみにベースはニューサディスティックピンクの人が弾いている。ヤマハなのであとは野となれ山となれみたいなことになってしまうと思うけれども、才が抜群であるので、何とか踏ん張って逆境に耐えて芽を出して欲しい。おすすめ。

 

前の月 次の月 最新

 

inserted by FC2 system