これ買いました平成20年10月

 

20.10.25 なおなお体調悪い。

小坂健とアミーゴス

時計

EP ビクター E1041

ラテン名曲カバー。ベタなラテンアレンジというよりもポップス的な処理をしているが名曲は名曲。ややコーラスがバラけているようにも聞えるが、なかなか奮闘している。こんなスタンダードナンバーを堂々とリリースするというのは本格的な実力派グループであったに違いない。昭和30年代に活動していたアミーゴスと何らかの関係あるか。自身の新訳による日本語詞。B面は自作のレキントギターを快調に飛ばす孤児もののオリジナル曲。こちらもクレジットがなければスタンダードと思うような違和感のない曲。油こそうなボーカルがラテン情緒を満たす。

ブルーベリージャム

愛する君に

EP キティ DKQ1061

カップスのカバー。コブシの回ったボーカルはどうかとも思うが、コーラス主体のソウル曲によく仕上げている。メンバーの一人がマモルマヌーにそっくりな声で、その人がマモルのパートを取っている。敢闘賞だろう。B面は自作曲でこちらも60年代の黒人コーラスグループを思わせる出色のソウル曲。コーラス、演奏(多分本人たちによる)ともに素晴らしい。出自のよくわからないジャケだが、このジャケでなければもっと有名になってもおかしくない。脛毛が・・・。

藤本房子

ごてんばあさん

EP RCA RVS1170

静岡県人なら皆知っているという有名レコード。テレビ静岡のキャンペーンソング・静岡の市名・郡名を織り込んだ高速のポップス。作者は誰かと見れば詞が伊達歩で作・編曲が小森昭宏。そう言われるとこの高速な編曲は当に小森節なので実にわかりやすい。藤本房子の声が相変わらず可愛くて仕方ない。詞は飛ばしすぎていて訳がわからない。B面はリズムチェンジを駆使した子供向けポップスだが、こちらも手抜きなしの快作。これも上手い人がやらないとさまにならない曲で葉村エツコが明るく歌いこなしているのには舌を巻かざるを得ず。これもテレビ主題歌のちびっ子喉自慢番組の主題歌だった。

20.10.23 待ち人来たらず。

V.A.

リメンバー・グループ・サウンズ

2CD キング KICS8179/80

ハルヲフォン、オレンジペコー、神無月、ザ・グループ・サウンズらによるグループサウンドカバー集。名のみ残れる後二者はともかく、前二者は達者で知られており、特にハルヲフォンはかの近田春夫の率いていたバンドなのにも関わらず、オリジナルを凌駕し、或いは肉薄する作品は全てのバンドを通じて一つもない。中には明らかに譜割やメロディがおかしな曲や原曲をちゃんと聞いたのか不安になる曲もある。好意的に解すれば、あの近田春夫ですらGSの領域に近づくことが適わなかったという悲しい遺物、バベルの塔とでも言うべきか。オレンジペコーのコーラスがよいが、これもこれとて逢えての部類に入るだろう。「雨のバラード」の作詞者のクレジットや元のアルバムのタイトルも間違っており、一体制作者の「愛」はありやなしや(演奏者にあるのは間違いないが。)。キングアーカイブシリーズの中の一作だが、70年代のブルージーンズのアルバムを復刻してくれる方が先なのではなかろうか。更に合せて70分ないのだから一枚にまとめてもよかったのでは。

市川染五郎

市川染五郎

CD EMI TOCT26701

 昭和45年に発表したファーストアルバムの再発。この染五郎は先代、つまり今の松本幸四郎のことである。現在まで続く舞台演目「ラ・マンチャの男」で幕を開け、あとは自作曲が続くが、過去に自作自演でヒットを放った作品も全てビッグバンドで吹き込み直され、特に「聞いておくれ僕の願い」は無茶苦茶かっこいいファズ使用のインストにされているなどグルーヴ時代の洗礼を受ける形となっている。ほかに「しょうがないさ」もリフロック化していてかっこいい。インスト・ヴォーカル曲がほぼ半分ずつの配置になっているなどし、一面嬉しく一面寂しい。どうでもいいが見開きジャケだから意味のあるデザインなのにこんなソフトケース式のジャケットにされては有難味がない。今回のこのシリーズはこういった音以外の点について甚だ評判がよろしくない。

神戸一郎

恋歌街ブルース

EP ポリドール SDR1435

小ヒット。信楽潤作品で同じ作者の「タリラリランブルース」にも通じる「空の勇士」調のうら悲しい小品。大正琴が全面にフィーチャーされている。無力感が充満している。B面はチープなオルガンと尺八、ファズギターの激突だが、完全に演歌なのでパンクバラードとはいってやらない。昭和44年7月という時代だからこそのこのアレンジ。

中川レオ

かもねぎ音頭

EP ポリドール DR1716

「幻の名盤」。A面はCD化済み。B面は調子のいい数え歌だが歌手の声質が固いためえらくぶっきらぼうに聞える。また歌いまわし方もやや融通の利かなさが気にはなる。間奏にいきなり入るファズがかったオルガンが意表をつかれるが、それ以外はこの時代のB面曲らしい曲ではあろう。

大形久仁子

ふたつの花

EP 東芝 TP2127

 「ゲイシャワルツ」を思わせる古風な小唄調歌謡で歌唱には多少しながあるが演奏は淡々としたもの。B面はバイオリン、スチール、単音オルガンがかわるがわる掛け合う和式のブルース。音使いは物凄いが曲自体は取り立てて特記することもないマイナーな悲劇調の曲。ありがちといえばありがち。

薜雲道

涙の30年

EP キャニオン 7A0330

大韓歌謡日本語版。というかコテコテの完全な演歌である。とにかく細かいことを言わずに力で押し捲るボーカルが凄いが、ナフナほどの域には行かず、また訛りも激しくたどたどしさが残る。しかし実際の演奏時間よりも短く感じてしまい、レコードをかけているときはついそちらを注視してしまう。B面は原曲バージョン。こちらはサビ以外は力が抜けてしまっており、A面程の大迫力はないが、なるほど感情の抜き差しがよく考えられている歌い方をしている。

小松みどり/松平直樹とブルーロマン

夜に咲く花

EP 東芝 TP2509

自分はこの元ネタを知らないが銀座で流行っている三拍子の小唄を採譜したもの。シンセサイザーとヴァイブとスチールを駆使したカラフルで色っぽい歌。B面は中西五郎・松平直樹とブルーロマンのクレジットでややテンポの速い東芝時代のマヒナスターズを髣髴とさせるサウンドだが、箱崎晋一郎とか黒木憲とかの東芝の伝統的な都会派歌謡の末裔的なメロディー。古臭い曲の多いブルーロマンの中では奇跡的に近代的なサウンドと言ってよいかもしれない。

松平直樹/和田弘とマヒナスターズ

女っぽいね

EP 東芝 TP1436

A面はCD化済み。東芝移籍第一弾で上岡龍太郎作詞のヒット曲。B面は1950年代の特撮もの主題歌を思わせる厚いストリングスの入った鋭いビート歌謡。歌詞も軽薄でグループサウンド何するものぞという気合が伝わってくる。こちらはハマクラ作品。

20.10.18 あと一枚で今月は打ち止める。

今井久とパープル・シャドウズ

めぐり・愛

EP ディスコメイト DSK209

このバンドが生き残った理由を解明せねばならぬ。ややテンポは速いが全くのホスト系ムードコーラス曲。男女掛け合いも堂に入っておってGSの面影なし。ギターも前面に出されているが、あくまでもさりげない入れ方。やや粗いのが自前のギターを入れていることをうかがわせる手がかりになっている。B面は多少ギターが派手なボサノバを基調にしたアダルトポップス。こちらもバンド名を聞かないとパープルシャドウズに結びつくことはなかろう。最後の最後で少しだけライトハンドなどの妙技が披露されるのが聞きものといえば聞きもの。

池田進とグリーンアイズ

想い出グラス

EP アポロン AY0743

現役バンドだが本当に何枚出してるんだろう・・・。全くの演歌。それもディープな。コーラスも全て女性コーラスが肩がわりしておってムードコーラスの片鱗は全くなし。演歌としては「北国心中」に似ているが、なんにせよ凡庸。B面も同趣向だが薄くコーラスが使われてはいるようであるが、これもメンバーのものなのか不明。「奥飛騨慕情」を踏襲している曲だと思われるが、コーラスも演奏も全くムードコーラスという形態の長所が考慮されておらない。

麻生恵一とシェルブール

約束

EP 東芝 LTP2724

GS系歌謡ポップスの尻尾というようなルックスから想像できないウーマントーンとピアノを駆使した重苦しいシャンソン風歌い上げバラード。これはムードコーラスと言い切ってよいだろう。まるで三枝伸作品の様な豪勢でソウルフルな一品。宜しい。態とひっくり返るボーカルも凄まじい。B面は軽いにも程がある少女合唱団のコーラスまで取り入れたフレンチポップス調ハッピーポップス。それもそのはずボブ佐久間作品。こちらであればソフトロックの系譜に入れても全く違和感がない。このレンチの広さから考えてももとはGSであったことは間違いない。両面名曲。

松平直樹・森美樹&ブルーロマン

雨のめかくし

EP 徳間 KA2004

アコーディオンを大フィーチャーしたシャンソン風作品だが、メロディーが奇矯すぎて落ち着きがなく感じられる。また、掛け合いもいかにも稚拙でやっつけ感つよし。B面はラテン歌謡の要素が強く、こちらもメロディーをこなしきれていない箇所などもあるけれども、昭和60年頃のメインの歌謡曲への肉薄もあり練られている。森雪之丞の曲なのが時代を偲ばせるが、余りにも準備不足な印象を受ける。

けい子とエンディ・ルイス

どうして今日は月曜日

EP 徳間 KA1042

思っていたよりもリリースが多いな。ウーマントーンが唸りをあげる、静かな導入からサビで堰を切ったように歌い上げるバラードだが、パワー不足のせいでカタルシスを得ることは出来ず。B面は旧ピンキーとキラーズの頃のファミリームードが溢れている明るいポップスだが、詞の内容は結構悲惨で、余り詞と曲のバランスが取れておらないようにも思われる。曲としては悪くはない。

宮内ひろしとブルーシャンデリー

寝顔

EP ユピテル YS63

藤本卓也作品。トニーズの末のブルーシャンデリーとはやはり別バンドだった。地味なワルツ歌謡。ブレイクがあるだけでは藤本作品としては物足りない。60〜70年代のとんがり具合を考えると寂しいことこの上ない。B面は、まだその時代の雰囲気がある日本式ブルースで、歌が次々に表情を変えていくのが聞け、藤本作品らしい妖しさが漂っているが、これも詞も編曲も別の人が手掛けていてディープさが今ひとつ足りないのは残念至極。

チコとヒューマンカンパニー

片仮名ギンザ

EP トリオ 3B187

ドラマ「虹子の冒険」の主題歌。プロデューサーは久世光彦。歌謡ポップスとムードコーラスの真ん中といった作品で、キャッチーな路線を狙っているのだろうが余りに端正な三連バラード。何かに似ているが思い出せない・・・。B面はクゥイーカから始まるアダルトポップス。流麗でノリがいいが、八代亜紀や中島みゆきが引用されるなど昭和50年代の色が余りにも強く表出している遊び心のある楽曲といえばよいか。ちなみに阿久悠作詩。このグループは楽曲に恵まれたとはいえないけれども、珍しく女性ボーカルが聞けるレベルにあって聞き易いといえば聞きやすい。

ジョイベルス東京

ゆび

EP 東宝 AT1139

東宝移籍第一弾。オリジナルメンバーは一人もおらず三人にまで減ってしまっており、栄光のバンドもこうなっては空しい。ピアノも軽快な歌謡ポップス調のナンバーで淡々とリズムを刻むベースがかっこいい。ブルージャッカスに通じており、このバンドの伝統からするとえらくモダン。B面は所謂ムード歌謡調で、テイチク辺りのソロ歌手が歌いそうな曲だが、コーラスも綺麗に入っており、合格点の出来といったところ。

灘康次とモダンカンカン

別ればなし

EP キング K07S153

最近ムードコーラスの歴史をまとめるのにボーイズグループの系譜を抑えないとだめだと言うことを痛感している。これは得意の裏声を使って擬似男女掛け合いに仕上げた「裏町人生」風の楽曲。楽曲としてはコミック味のないしみじみとした演歌。B面はバンドテーマの「地球の上に朝が来る」をナイトフィーバーにしたあと本編に入り突如浪曲風を吹かせて自己紹介。名刺歌謡。

ジャイアント吉田とシンフォニックマッド

おじいさんと遺書

EP RCA JRT1299

同上。出自に忠実なウエスタン歌謡で「宮本武蔵」などと同じく歌と歌の間にネタを挟んで進行していく自殺(この場合は事故死だが)を取り扱ったコミックソング。昔はこういう無体なネタがちゃんと通じたのが時代を偲ばせる。アメリカ民謡が元ネタになっているが、一応自作曲。B面もやはりブルーグラス、ヒルビリーの系統のアレンジになっているが、詞はコミックソングに変えられており合間にネタも挟み込まれているけれども、ブルコメらもやっていた「デゴイチ」なので驚いた。

アイドル・フォー

あの娘ちゃん

EP テイチク SN955

同上。A面はCD化済み。コロムビアのフォークシンガー・ヘンリーが作ったムシ声やファルセットなどを駆使した「アングラ」色の強い呑気で明るいほのぼのとしたポップス。いかにも昭和48年。B面は自作の物悲しいバラードで、ムードコーラスの定石に忠実であるが、押し捲るファルセットの情緒が深い。スチールギターの使い方も素晴らしいがハワイアンというよりもホーンやビートとの絡みなどもあってウェスターン歌謡の印象を与える。台詞なども入るがあくまでも悲劇的な作品であり、コミック味はない。素晴らしい。

ガリバーズ

OH!!チンチン電車の唄

EP 東芝 TP10083

同じ東芝ながらGSとは関係ないフォークグループの曲。タイトルから想像される下ネタがごく一部で使われているがどうってこともない少女合唱団をバックにした軍歌風の他愛もない童謡。全体にブルーグラス調だが間奏では鬱憤晴らしの様なカントリー風のギターが聴ける。B面はA面の罪滅ぼしの様なブルースながら健全な純カレッジフォーク的なフォーク・ポップ。

ケンと雄三

別れ道

EP コロムビア LL10094J

フォークの小品だが何処を取っても「星影のワルツ」にしか聞えない、「69年」の混迷が現れている作品。中島安敏作曲だが洋楽的な要素が余りに乏しい。B面は鈴木邦彦の作曲で、こちらは多少なりともフォークに聞えるがフォルクレーロと童歌がごっちゃになったような、不思議な乾燥感がある。途中でテンポが速くなる工夫はあるが、こちらもパッとしない曲である。

内海アドリブ

別れたらツギのひと

EP クラウン CWA66

女流漫才。昭和初期の歌謡行進曲のような曲だが、編曲者が神保正明なので山本正之の曲っぽく聞える。スピード感いっぱいで畳み掛けるような曲で、昭和55年よりももっと後の曲のような先進的なサウンドではある。「別れても好きな人」の要素はほぼゼロ。こちらを聴く限りでは歌は下手ではない。B面は歌唱が破綻しているが、こちらの方が「別れても好きな人」的なムード歌謡の影を引きずっている。オーボエがノスタルジック。

エディ・土屋&ボブ

男のポケット

EP クラウン PW557

この人たちもなんなんだろう・・・。フォーク・NM系統のAOR歌謡。穏やかな曲調で、よく取りまとまっている。ただのムード歌謡デュオでなかったのか、と驚き。昭和53年の秋発売であったから、大きく売れていてもおかしくなかった作品。こういうものを聞くと売れる売れないというのは運だということを強く思う。B面は「荒野の果てに」を意識した荒んだウエスタン調歌謡。まるで特撮ものの主題歌の様なホーンセクションやギターのカッティングが時空を曲げる。意図がさっぱりつかめない。何だこれは。かっこいいけど。このタイトルも「風に吹かれて生きれ」でなぜ「生きろ」でないのか。疑問多し。

エディ・土屋&ボブ

地下鉄の女

EP クラウン CWA33

葵まさひこ作品でムードコーラス色の強いロッカバラード。このグループは二人ともボーカルが上手い。非常にジェントルで、所謂ホスト系ムードコーラスの系譜に属する人たちだと思う。しかし、一方でヒットには、余りにそつがなくて、引っかかるものが少ない。B面は「別れても好きな人」を迎撃しようとした痕跡が認められる。厚いストリングスとフルートが入っていて、ビートはディスコのハコバン風とも言えそう。詞に使われている言葉も二線級のムードコーラスグループにありがちなもの。ヒットには縁遠いかもしれないが、B面のほうが出来が良いと思う。

ひまわり姉妹

涙をおふきよ渡り鳥

EP ビクター SV897

「今年も来ました渡り鳥」のヒットを受けた一枚。ただし曲調は似ても似つかない哀愁演歌で、昭和30年代の本流歌謡曲をそのまま引いて来た様な復古色が強い。場末の酒場が似合いそう。「渡り鳥」ものはもう一枚あったはず。B面は「ゲイシャワルツ」を思わせる作品でチープなオルガンと三味線が全面に出た、こちらも復古色が強い作品。

ひまわり姉妹

さよならアバヨの港町

EP ビクター SV2044

どうなんです。こちらはサウンド的には寧ろ「今年も来ました・・・」に近い明るさを伴ったマーチ調の作品。こういう底抜けさがこのグループには似合う。B面はお決まりなのか日本情緒漂う三味線を大フューチャーした日本のブルースで三島敏夫とそのグループの「女って可愛いね」や二宮ゆき子の「まつのき小唄」の系譜の数え歌。小唄歌謡といった方が良いか。

チャコとアップリーズ

いつでも拍手を

EP ミノルフォン KA257

A面は「幻の名盤」でCD化済み。B面は「メイ・ビー・アイ・ノウ」を日本的に翻案したかのような作品だが、小唄歌謡の系譜に入る作品だろう。無用ともいえる異常な力ずくでぎゅうぎゅうに歌唱を取りまとめているスタミナソング。いかにもエレキ歌謡的な、パワーの行き所を全て歌にぶつけたような迫力のある作品。また、終奏部分のぶっ飛んだ展開も聞きもの。旭川出身の三姉妹。

ひばり姉妹

お染さん久松さん

EP ミノルフォン KA7

所謂小唄もの。初期ミノルフォンのマイナーレーベルらしい陰鬱さが横溢している。淡々としている。B面はリズムのとり方は同じだが、ちょっと軽めになっていかにも和風な音頭ものにまとまっている。これは多少ヒットしたと思った。多分三味線やらパーカッションやら笛やらを聴いていると両面とも録音メンバーは全く同じだと思われる。なお、初期ミノルフォン特有の4曲入りのうち二曲カラオケの形態。これは時代の流れを先取りしすぎたのだと思う。

マリ・クリスチーヌ

ふるさとはなつかしい

EP キング BS1433

琴やチェンバロが入った郷愁を駆り立てるわらべ歌風の曲で、情緒いっぱいだが、何故アメリカ国籍のハーフの人にこんな唄を宛がったのだろうか。「ヘイジーポート長崎」に通じる曲。B面は70年代の清純派アイドルが歌いそうな清楚な曲で、鈴木邦彦らしいニューミュージックに先立つ可憐さがある曲。舌足らずなボーカルが訥々と歌う。これも情趣深い。

シャネル・ファイブ

ヘイ!マダム

EP キング GK126

このシャネル・ファイブも同じキングだが有名なムードコーラスグループとは別のバンド。「ママ・ギター」を下敷きにしたオールドスタイルのロックンロールナンバー。力の抜け具合がいい感じで相当のキャリアがあるものと推察される。まあ、作詞に吉田旺を起用している時点でただのロックバンドということはありえないだろうが。B面もツイストを使ったオールディーズ風の曲だが、詞の言葉の選択がロック的でない。どこかのオールディーズクラブのハコバンか何かなのだろう。ぼちぼちの出来。
(追記・ビートルズのコピーバンドとして有名だったバッドボーイズの後身らしい。)
(追記2・原みつるとシャネル・ファイブの関係者が編集していると思しきウィキペディアの同バンドの項目をたどっていくと、このシャネル・ファイブは原みつるとシャネル・ファイブと同じバンドで、ボーカルが原みつる(平田満)から他のメンバーに代わっただけのバンドだと書いてある。その方が辻褄は合うけれども、じゃあ上の情報はなんだったんだろう。原みつるとシャネルファイブのサードアルバムのライナーを見れば深層がわかると思われるが・・・。)

奥山p伸

バカな俺

EP ソニー SOLB25

信楽潤作品。シャープファイブもやっている曲のオリジナル。ハープシコードとピアノが心に沁みるノスタルジックなフォークバラード。ピアノは作曲者だろう。喪失感に却ってこころが慰められる、心にしみじみとほっこりとしたものを呼び覚ませるやさしい歌。B面は小編成のジャズバンドがカントリーを演奏しているような小品で多少歌唱がこなれていない部分もあるが、こちらも小さな幸せをさりげないタッチで描いている。クレジットにはザ・サラブレッズとあるが、これはあのサラブレッズなのだろうか。

山東昭子とアンクル・ベン

めぐり愛

EP ソニー 07SH1367

アンクル・ベン=佐々木勉。偶然ながらついこの間貰った若杉幸司と同じ曲。全くそういう意図で買ったわけでないのでかなり吃驚した。こちらはスローテンポな男女掛け合いバラードになっており、ミュージカルの一挿入歌の様なドリーミィな仕上がり。まことに編曲次第で同じ曲でも全然印象が異なるということを実証するような曲。B面は佐々木の代表曲「星に祈りを」を同様のミュージカル調に。こちらもドリーミィ。

ムーディー松島

一緒においでマリ

EP クラウン CWA358

歌謡曲でムーディーと言ったらこの人。キーボードに揺らめくような女性コーラスが絡みつき、そこにフランク永井ばりの素晴らしいはりのある低音ボーカルが食い込んでくるというムード歌謡かくあるべしな曲。余りにも模範的な作り故に洗練されすぎていて却って物足りない。中村典正作曲。B面は「夜明けのスキャット」のようなカッティングのギターにシタールが被さる「小雨のアムール」を勢い良くした様な曲。こちらの方が断然良い。強力なトラックだがとりわけベースがいい音をしている。

みき&ナナ

青い秘密

EP キング GK83

微妙な女性デュオ。vampireさん曰く「新宿二丁目曲り角のビアンバーの栄枯盛衰が凝縮されたような素晴らしい作品」と言うが、宝塚を意識したシティポップスというか、百合的な「あずさ2号」というか、とりあえずそんな感じ。昭和52年にこれを出してくるというのは確かに只者ではないとは思うが。B面はじゅん&ネネがやはり狩人を歌ったような曲だが、サビはたんぽぽやシモンズらのフォーク系グループの時代を通過した後という傷痕が残されている。

ナイト・キャッツ

アダルト東京

EP ビクター SV7417

背景が読めないレコード。男女デュオだが、それぞれの所属事務所が違う。それにしても出出しが「パンクな瞳がセクシーだね」って。作りはアダルトポップスというかムード歌謡なのだがギャグでやっているのか本気でやっているのか判断がつかない。女性ボーカルの腰が入っていないので舞台とかドラマの企画ものなのかもしれない。それにしてもベースがかっこよすぎる。B面はレゲェ歌謡だがメロディーは戦前の股旅物のようなもので、歌の内容もレゲェ的な部分は皆無。普通に編曲していたら全く取り付くところもない凡庸な作品になったであろうが、意表をつきすぎ。一部「真夏の出来事」に似たギターフレーズが出てくるが、意図したものなのかどうかは不明。

スピリッツ

機嫌を直してもう一度

EP テイチク BC1038

オリジナル不明ながら何度もカバーされている名曲をまたカバー。時間的に隔たっていないのでGSのスピリッツの成れの果ての可能性もあり。DTBWB辺りの影響を思いっきり受けた鋭いギターサウンドにアナログシンセが鳴り響く。ボーカルに不良性はないがロック度が高い演奏。B面はファンク的というかサンタナ風というかディスコ風というか、ダンサブルなトラックにぬめっとしたAOR的なメロディーのボーカルが乗った曲で、そのアンバランスさが面白い。いずれにしてもどこかのハコバンだろう。(追記・GSのスピリッツとは関係のないバンドであることが判明。ボーカルは今佐賀でディレクターやラジオパーソナリティーなどをやっている人。)

ジュンコ&チア・リーダーズ

レッツ・ゴー!青春

EP キング K07S136

三原順子が島田歌穂、甲斐智恵美や日高のり子らのチアリーダーを率いてコスプレで歌う。もっとも実際に島田らがコーラスに参加しているのかどうかはよくわからない。日本にチアリーディングを根付かせた偉大なドラマ、但し商業的にはそれほどでもなかったが、の主題歌。1980年頃のテクノブームを反映した淡々とした響きのベースラインが時代を忍ばせるが、チアーにするには湿っぽいメロディーに必死でチアーらしい編曲をつけているのが妙なチグハグ感を生んでいる。B面は重々しいフォークバラードでいかにもB面の配置に相応しい曲。両面ともボーカルが心細い。

川崎のりひろ&スキャンダル

あんな女に涙はいらない

EP コロムビア LK104A

自作のがなり立てる男くさいバラードで、おそらくツイストの線を狙ったもの。ギターが必要以上に激しく動き回るので演奏にはかなり自信があるのだろうが、一方でイントロの演奏が不安定。やせ我慢歌謡。B面はコールタルシティの様なクールなジャズっぽいバラードで、ブルースが念頭にあるものと思われる。こちらは作曲・編曲エジソンとあるが、「サラダ十勇士トマトマン」の音楽を担当した人と同一人物なのだろうか。昭和54年発売のおそらくこれがデビュー盤。キーボードの松島美江子という人が不思議な雰囲気でかなり気になる。

不良少年探偵団

あっごめん!

EP コロムビア AK723

未解放「幻の名盤」。ハードロックスタイルの吉幾三作品。昔の横浜のイメージを下敷きにした作品で、えらくシチュエーションが重いのだが「あっごめん」という台詞の軽さがこれを中和している。不良を揶揄しているのかなんなのかよくわからないが、とりあえず女性メンバーを全然活かしていない。ちなみにメンバーに犬がいるのはヴァンドッグス以来だろう。B面はDTBWBを意識したかのようなシティポップス調のバラード。本気でやっているのかなんなのかよく背景がわからない人たちである。

サミット・プランテーション

十番街の口裂け女

EP サミット企画 SMT0001

有名盤。「十番街の殺人」をモチーフにしたディスコチューンで本編は殆ど「十番街の殺人」には関係ないが演奏にところどころ顔を出す感じ。完成度は、自主制作盤とはいえ、目移りしすぎでどうも焦点が定まっておらない。歌手はジャズかファンクの素養がある人のようである。B面も意図不明だが「ホールドオン」を下敷きにしたディスコチューン。こちらの方がやろうと思っていることが少ない分とりまとまっている。なぜ口裂け女がジャマイカへ行くのにアレンジはR&Bなのだろう。欲張りすぎては却っていけないという実例。

高見健三とミッドナイト・サウンズ・オーケストラ

同期の桜

EP 東芝 JP1304

戦時歌謡をビッグバンドがスローロックとドドンパで料理。A面はスローロックというよりロッカバラードで1番はトランペット、2番はペダルスチールがソロを取り3番は合奏とサックスのソロ。キャバレーロックの世界。B面は一転呑気な雰囲気が横溢する、戦争コメディのBGMにもってこいのナンバー。こちらでも管楽器が大攻勢をかける。

20.10.18 眼が調子悪くていけない。

V.A.

続人間万葉歌 阿久悠作詞集

5CD ビクター VICL63041〜45

以前出た阿久悠作品集の続編。こういうことでもないと新御三家やジュリーの曲は聴かないのでいい機会になった。どうも阿久悠という人が歌手に期待していることと自分が歌手に期待していることが一致しておらないようで、全体にしっくり来にくい。自分の阿久悠観は、この人が気になったときに比較的すぐに読んだ近田春夫の70年代の阿久悠観に物凄い影響を受けており、どうにも解説の人が宜しくあなるとするところとは宜しとするところが異なっているようである。そして恐らく本人が宜しとするところともそれは異なっているのだろう。だが、そういうふうに皆が違うところを指しながらもこれは良いというのだから、結局それはよいのだろう。ただ解説の人は余り歌謡曲のことを知らないのかもしれない。驚きは「サウスポー」の曲も詞もアレンジも違う没バージョン。もったりとした曲調でB面ぽく、もしこれで行っていたらピンクレディーはここでいきなり止めを刺されていたかもしれない。歴史というものは本当に僅かなところで全然違う結末が待っているものだと戦慄する。森進一はオリジナルではこれだけの力が発揮できるのに何故カバーものでは惨憺たる結果になるのだろう。5枚目は現在のアーティストを中心としたカバー集だが、何というか、一曲辺りにかける金額が減っているのか皆辛気臭い。音の厚みが全然ないのがどうにも貧乏臭い。本朝の景気の差なのだろうか。カバーを気楽にやりすぎているように感じる。そんな中デューク・エイセスは自分たちとはかけ離れた「恋のダイヤル6700」を自分の土俵に引きずり込んでいて唯一出色。ほかにすぎもとまさとも整って木目細かい。ジェロは本当に送り手が思っているほど巷で話題になっているのだろうか。どうでもいいがザ・リガニーズの「明日では遅すぎる」が初CD化と書いてあるが、大嘘でこれが3度目のCD化。

坂本九

ベスト99

4CD EMI TOCT26329〜32

99曲入りベストボックス。とは言え、主眼は代表的ヒット曲というよりは童謡やカントリー、プレスリーのカバーなどで、言い訳の為に大ヒット曲が収録されていると言うような状態。親しみやすい、コミック味のある歌唱がたんまりと聞けるが、プレスリーのカバーでは突如硬派な雄雄しいボーカルを聞かせ、この人の本質はやはりドリフターズ時代の小汚い格好でがなりたてていた時代にこそあるのだなと認識させられた。このボックスはあくまでも別のちゃんとしたベスト盤やボックスの補助として扱われるべきで、単独で聴くと色々と過不足があるように感ぜられた。

V.A.

栄冠は君に輝く 古関裕而 大全集

2CD コロムビア COCP34629→30

 戦中から高度成長期に大活躍した大作曲家の作品を取り纏めたもので一枚目はスポーツ関係の行進曲や応援歌、テーマ曲等、二枚目は流行歌が収録されている。古関裕而はこの時代の作曲家として超一流であることは論を待たないけれども、その手掛けた分野の幅広さは古賀・服部両雄を超える部分も見て取れる。この人の作る曲のイメージは雄雄しい、例えば「オリンピック・マーチ」「露営の歌」のようなものが真っ先に思い浮かぶけれども、その雄雄しさの中にも明日へ向う青春の力強い決意や死地へ向う兵士の悲壮感がそれぞれ表現されていて一つの型にはまった様式で作られていないほか、明朗でほの可愛い「とんがり帽子」や民族的な響きの中に悲恋の物語が煌々と照らし出される「黒百合の歌」、軽快さに戦後の焼け跡の光景が美しく彩られて活写される「夢淡き東京」など、一面で捉えられない、彼の作品の奥深さが感じられる。巨人と阪神の応援歌、早稲田と慶応の応援歌をそれぞれこの人が手掛けているのも改めて面白い。

三田明

ワールド・ヒット・アルバム

CD ビクター VICL63062

オリジナルアルバムの復刻で三田明が洋楽ヒットのカバーに挑戦したもの。約半数は日本語で後の半分は原詞で歌われている。この頃の三田明周辺の感覚がいかにずれてきているかを如実に表している作品。まるで台詞部分が和歌を詠んでいるようにしか聞えない「雪が降る」から始まり、珍妙な譜割に意図不明な二重録音ボーカルが度肝を抜く「ナオミの夢」、やたらに力で押し捲ろうとしている「ヘイ・ジュード」など、スケールの大きな本格的シンガーになろうとしながらそれが全く果たされず、気が散るような編曲が連発されサポートも仕切れておらないという一方的に打ち込まれている投手を眺めているような気分になってくる。トムジョーンズのカバーなどもあるが布施明や西郷輝彦の作品を聞いた後では全く陳腐。どうでもいいがサイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」の作者のクレジットが「ポール・シモン」となっているのが、このアルバムの位置づけを図らずも表しているように感じる。

森進一

女ごころを唄う

CD ビクター VICL63050

 買い替え。オリジナルアルバムの復刻。タイトルからは想像しにくい和製ポップスを中心とした女声の歌謡曲カバー集。「恋のシャロック」の出来が出色だが、それ以外はそんなにいい出来の曲はないように思える。森進一という人はあまり他人のカバーについては向いておらないようである。なお演奏・編曲を担当しているチャーリー石黒は森進一の師匠である。

ジャックス

若松孝二傑作選 腹貸し女

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1265

一時期はマスターテープの紛失も心配されていた、ジャックスが音楽を担当した映画「腹貸し女」のサントラ。かつて「リアリゼイション」「リメインズ」のタイトルでLP化された音源全てに更に数曲追加されたもの。ジャックスが練習している音源をそのまま収録したものと言う。にもかかわらず多少ラフとはいえ正式なアルバムなどでの音源に匹敵する素晴らしい出来。「リメインズ」「リアリゼイション」の全曲がこれで聴ける(ただし「マリアンヌ」の冒頭で早川がタイトルを言う部分はカットされている。)。是非黒沢大人御存命中にリリースして欲しかったが、とりあえずめでたいリリース。なお「Dm4−50」はインストと書いてあるが実際にはヴォーカル入りである。

V.A.

オールスター・フェスティバル 吉田正傑作集

CD ビクター VICL63057

オックスの「恋をするなら」収録で有名なアルバムの復刻。ビクター所属の歌手が他の歌手の持ち歌を歌う企画もの。一体、こういうほかの歌手の持ち歌をカバーするようなアルバムと言うのは、もちろん別の歌手がどのようにその歌を表現するのかを楽しむという聞き方が第一だが、時代が隔たったカバーの場合はアレンジの妙の部分を聴くのも大きな楽しみである。これは昭和43年時点で「異国の丘」以来の吉田正作品を振り返っているものなのだが、例えばその「異国の丘」ではオリジナルと20年近い時差が介在しておるのである。当然この間に大衆音楽は凄まじい変化を加えている。そしてそれを今から改めて聞いてみると更にカバーされた時点での音楽事情が反映されているのである。この時代だとまさにGS時代な訳だが、橋幸夫の「異国の丘」では見事にゴーゴー調が採用されている。これはこの時代でしかありえないアレンジだろう。また、佐良直美「有楽町で逢いましょう」ではジャジーなビッグバンドブルースになっているが、これもあと数年遅くても速くてもこのアレンジが加えられることはなかっただろう。中尾ミエ「グッドナイト」も見事なボサノバになっているがこれもこの前年にアレンジされていたらこんなに見事な出来にはならなかったであろう。当に時代が個々に閉じ込められている。ちなみに後二者のアレンジは服部克久である。そういうことで二重三重に面白いアルバムである。クレジットはないが吉永小百合「街のサンドイッチマン」(微妙な出来・・・。)のバックはマハロエコーズだろう。田代美代子はキーが合わずにやや苦しんでいるように聞える。吉田学校門下生がずらりと並んでいる中やはりオックスの存在が激しく浮いているが、これが大トリであり、まさか翌年にはGSブームがすっかりなくなっているとはこの時点では誰も考えていなかったことが伺える。

エゴ・ラッピン

ゴー・アクション

マキシ トイズファクトリー TECC89246

基本的に苦手なバンドなのだが、これはテレビで聞いてぶったまげたので、購入。サビはいいと思うが、そこに行くまでがつらい。サビを作って力尽きたか。やはりこのバンドは苦手だ。カップリングは元ネタを知らない曲のカバーでこちらの方が断然に出来も曲構成もよい。しかしこちらがA面だったら買わなかっただろう。あと、このパッケージングは開けにくい上に、開けると回復が不可能なのですごく敗北感を感じる。

20.10.15 また太りだした。

トニーズ

夕焼けの砂浜

EP ビクター SV542

このバンドの最大のヒット。昭和41年のフォークブームを反映した侘しいパンクバラード。但しホーンなども入るのでガレージマニアにはオススメしない。意外にビートが鋭くテンポも「夕陽が泣いている」などに比べて早め。B面も悲しげな青春フォークロックで、ヤング&フレッシュの「僕だけのエンジェル」をしっとりさせたような曲。どちらも自作で時代性を感じさせる。

朝倉つよしとコーラル・ゲイツ/上田ジュン

命すてても

EP テイチク SN1449

今まで知らなかったムードコーラスグループ。ジャケットに写っているアンプに梅川事務所と書いてある。殿キンのフォロワーで思い切り演歌。コーラスも申し訳程度に歌いだし前に絡む以外は一切絡まない。真木ひでとに近いボーカルで若々しい声をしているが、より森進一を意識しているように見受けられる。B面は藤本卓也作品でアナログシンセの唐突なサウンドにしびれているといきなりファルセットが被り雨にしぶいているようなボーカルが「未練花」のようなメロディーを歌いだすスペクタクルな流石な無国籍風作品。こちらの方が圧倒的に出来がよい。

グリーメン

青春の讃歌

EP キャニオン CA49

日本ポップス史上最高のソフトロックグループの強力第二弾。確かメンバーの一人はこのあと寺内タケシとブルージーンズへ行く。ジャン・ポール・マルティーニの「愛の喜び」の日本語カバー。重層コーラスが荘厳な雰囲気。原曲よりも意思が強いものになっている。B面はディーンマーチンのカバー。やや主唱が頼りないがこちらもきらびやかなオーケストレーションの中でコーラスがゆらゆら揺らめく。ただし、どちらもヒットを狙うにはやや灰汁がない。

ヤン・シューメイ

ミ・ノーチェ・東京

EP ミノルフォン KA1212

肉食っぽい顔の人で、今で言うグラビアアイドルみたいなことをやっていた人らしい。これもタンゴ調のラテン歌謡で中国訛りでこちょこちょした口調で鼻に掛けながら割合と余裕を持ちながら歌っている。何で中国系の人にサビがポルトガル語の曲を歌わせないといけないのかよくわからないが、或いはマカオの出身なのだろうか。B面は所謂昭和歌謡らしい曲調の愁いを含んだはねるリズムを使ったアダルトポップス。これも舌足らずな歌い方をしているが、チャーミングなところとぶっきらぼうなところが混在している。

長良いずみ&X

オールナイトぱっぱっぱ

EP ミノルフォン KA1234

喘ぎ声だらけのルンバ歌謡。「エル・クンバンチェロ」が下敷きになっているようである。長良いずみという人は今でも演歌歌手として残っておられるけれども、アイドル然としたジャケットから想像もつかないよれたこぶしを回しまくった歌唱を披露している。デュエットの相手方であるXという人はおそらく丘笛三であろう、渋い喉を聞かせている。能天気な長良と渋いXの掛け合いの間が不思議な躁状態の曲。B面は完全な演歌だが丘笛三、山梨ひろ子、美濃まさる、長良いずみが順列組み合わせで一番ずつ交代して歌っていくと言う不可解な構成だが、丘笛三・長良いずみの二人は落ち着いて歌っているがあとの二人はおっかなびっくり歌っている。一体どういう製作意図で作られたレコードなのか。

若杉幸司

まわり道

EP ミノルフォン KA1179

レコードを買ったらおまけについてきた。佐々木勉作のソフト・ソウル路線の曲。平浩二のヒットの影響下にあるか。特になし。B面もティピカルなムード歌謡でこれも可も不可もなし。なんと言うこともない。

20.10.14 万歳万歳万々歳。

VIVA☆宝島探険隊

VIVA☆宝島

CD+DVD ポリスター PSCR6199

tvk「キッズナビゲーション」のエンディングテーマ。この間の体育の日に初めてこの番組を最後まで見る機会があったので、ぼおっと見ていたらこんなとんでもない歌が流れて驚いて思わず買ってしまった。なんだこの素っ頓狂な曲は。曲の背景とかも非常に得体の知れない怪曲。検索してもよくわからない情報しか引っかからない。キャラクター開発を標榜している団体がこんなジャケットを採用していいのかとか色々と疑問符が頭に浮かぶ。というか、そもそも「キッズナビゲーション」という番組自体が怪しいこと極まりない。普通仮初にもテレビ局の持っている公式サイトなら派手でなくともそれなりに番組の状況に合せて更新するものだと思うが、ここの公式サイトは現在放映中の番組なのにも関わらず全く更新が行なわれておらず、はるか昔に事実上降板した80パンが未だにページを飾っておるという、とんでもない番組で、現在の番組の雰囲気も子供が対象になっているとは思えない異常な雰囲気が横溢している。そんな凄い番組になれてきたところで更に人をたきつけるような曲なので、推して知るべし。

で、内容だが、安っぽい打ち込みビートをぶち込んだマイナー調のサンバ歌謡を子供(このグループは子供50人によるユニットという。)が苦しげに歌っている曲で「黒猫のタンゴ」の影響があるようである。聞いていると子供ボーカルがいたいけでいじらしく、物凄く侘しくて、心の奥底にある悲しみが蘇ってくるような胸を締め付けるような感覚を覚えてしまう。あんまりにもマイナーなコードを使いすぎているのだ。これがメジャーを使った曲だったらこの妙な味は出なかったとは思うが、子供が元気に踊る曲という想定からは大きく外れたイメージを持つ。自分はこういう妙に暗いメロディーの曲が好きだが、言っていることと出てくるものの乖離がこんなにあってよいものだろうか。ブレイクやさびでの合いの手も実に反絶妙。カップリングは同曲パラパラバージョン。考えてみればパラパラというリズムの寿命は何故こんなに長いのか。10年以上流行っているリズムと言うのは空前絶後だと思う。それとも、そうではなくて、今時パラパラを持って来ているのが時期外れなのに何故か採用されてしまっているのだろうか。これも悲しくて悲しくて仕方が無い。付属のDVDは振り付けが入っているがこの映像もえらく侘しい。YOUTUBEに映像が上がっているのであまり有難味は無いが。こんなに全部が反絶妙に仕上がっているCDもそうない。一言で言うと、お勧めはしないが、凄い。色々なことが凄く不思議。

ああ、自分にはこのCDの衝撃を伝える筆力が無いのを悔やむ。

ケイト・ロビンズ、ブライアン・ロイド、ディアンナ・ブルックスほか

スピーシーズXXX寄生獣の甘い罠

DVD AMGエンターテインメント FMDS5083

C級ホラーとポルノの真ん中の様な作品。名の通ったスピーシーズやそれに便乗したスピーシーズXのシリーズとは全然関係ない映画にこんなタイトルを日本側でつけたもの。YOUTUBEでたまたまこの映画の面白いシーンがアップされていたので衝動買いしてしまった。所謂宇宙人侵略もの。この手の映画は細かいところをいちいち気にしていても仕方ない。そういうものだと思って見るのが良い。予算が全然かかっておらなそうな割にはよく出来ている。あんまりエロくなかったが、そういうことを期待していた訳でもないので自分的にはそれで宜しいが。まあプレイメイトの絡みだからこんなものだろう。途中で病院に居合わせて殺される人がやたらにアジア人だらけだったのがちょっと気になった。

20.10.11 秋の夜長には仕事。

南有二とフルセイルズ

俺のボトルを飲むがいい

EP ミノルフォン KA551

このタイトル。渡哲也の「くちなしの花」のような、演歌化したムード歌謡。かなりエキセントリックなメロディーでヒットを狙うには珍奇。バラライカと思しき音が入っている他、サックスの入り方も妙。二番しかない割に三分以上あり、近代歌謡の時代に既に入っていることを痛感させられる。オの段の多い詞が音韻的に心地好い。B面は加藤登紀子の「ひとり寝の子守唄」のような曲だが、ムードコーラスというジャンル自体の持つ軽さが全体に沈み込むのを何とか繋ぎとめている。両面平尾昌晃作品。

沢田あきらとハーバーナイツ/浜こうじ

あなたじゃないの

EP 東芝 RT072039

昭和最末期。A面はCD化済の佳曲。B面はルンバにこのバンドのヒット曲「TOKYO11時ラブコール」に似たメロディーが乗った歌。出だしは松山恵子の「お別れ公衆電話」の世界が重なる。

ラ・カンパーニャ/井田ひろし

みなと長崎

EP コロムビア AA16

コロムビアのムードコーラスグループも一番売れたのがコロ・ラティーノなので他は推して知るべし。調べれば調べるほど訳のわからないグループがいっぱいいることがわかる。A面はサックスをフィーチャーしクールファイブとアーズの間を取った路線だが、ボーカルがやや無骨で表現が大げさなところがあるから、もっとアーズに近づけたほうが正解だったかもしれない。いずれにしてもバンドの方向性があまり見受けられないサウンドとでも言えば良いだろうか。B面は猥歌か。本領発揮と思われるロス・プリモスを更に高速にしたようなのりのよいラテン歌謡。ボーカル、コーラスともに生き生きとしている。レキントギターにフルートが狂おしく暴れ、甘いボーカルが載り、印象的なコーラスが合いの手を入れるという完璧なサウンドで、断然こちらの方が出来が良い。

港はるよ/松井久とシルバースターズ

全国おどり

EP J.M 番号なし(a4151)

A面は作曲が松井義久でバックを松井久とシルバースターズがつけている。しかも一番は完全にシルバースターズがソロをとっておって、どちらかと言えばシルバースターズの曲といったほうがよいかも。曲自体はスタンダードな音頭もの。琴が入っている以外は彼らお得意のサウンドエフェクトも特に無いようだ。B面は丘千枝という人の歌で三味線と琴が大フィーチャーされた小唄歌謡。シンセサイザーが入っているのでこちらも演奏はシルバースターズがやっているかもしれない。自主盤レベルとしては相当に上手い。自主盤とはいえカタログ番号がないレコードと言うのも凄い。全国舞踊協会の企画。

ヒストリー

結婚します

EP 東芝 ETP10558

両面ともGSの曲と同じタイトルなのでずっと気になっていたので購入してみた。全然違う曲だった、と言うか阿久悠・筒美京平作品というメジャーなもので可も不可も無い無難な歌謡バラード。B面も殆ど同じ傾向のうた。この人たちはアリスの様なフォーク系の人たちなのだろう。

フレンズ

少年よ大志を抱け

EP ビクター SV1126

いかにも70年代前半な悩む青年歌謡で大仰な歌い上げバラード。B面は冒頭にクラークの名言の語りを入れたソフトロック調のバラード。音がよいが、あと一歩。何の変哲もない曲を聞けるようにした編曲(馬飼野俊一)が偉い。A面とB面のタイトルが一瞬逆かと思ってしまった。

フランツ・フリーデル

わかればなし

EP トリオ 3A131

先日亡くなられたロカビリーシンガー・元ブルーファイヤのリーダーによるムード歌謡。相変わらずやや舌足らずな発音やドイツっぽさをさりげなく出す詞がキング・オブ・キングスの「アリベデルチ神戸」のようなメロディーに乗る。非常に穏やかできめが細かいが、逆にあまりに素っ気無い。B面はまるで田端義夫の「梅と兵隊」のような三拍子物。もっとスローテンポな方がよかったか。こちらはB面らしい出来と言えようか。

とし一美

黒のブルース

EP キング NCS155

訳あり酒場。ルックス通りの声なのが面白い。「夢は夜開く」の路線だが、「噂の女」を先取りした部分があって注目に値する(これは44年発売。)。自主制作の割にはよくまとまっていて演奏歌唱共に合格ライン以上の水準に達している。B面は三連バラード。こちらは歌唱にちょっとぼろが出ているが、「星の流れに」のような曲。悪くは無い。

フランク永井

ウーマン

EP ビクター SV7222

山下達郎作品ということで有名な曲。迫力のあるシティポップスで5・60年代に彼が立っておったポジションからするとまことにそれに相応しい楽曲で、相性も非常にあっており、この人を筆頭とする洋楽から歌謡曲に参入した人たちの立ち位置を歪ませたGS時代の混乱とその後の艶歌史観の罪深さを思わずにはいられない。よく出来ている。B面はカノンを取り入れた名前の通りのセレナーデですこし不安定なところが見受けられる(キーがもう半音高ければよかったのかもしれない)が、このA面に対するB面としては申し分ない。

20.10.10 進め進め。

V.A.

涙と笑いのコミック・ソングおっちゃんのうたマァいろいろあらァな、人生は

5CD コロムビア GES31688〜31692

コロムビアの男性歌手によるコミックソング集。美女と毒蝮三太夫「当世ドッチラケ節」をずっと探していたのでこれ目当て。鈴木啓之氏が様々なコラムで触れている芸人レコードなどが聴けたのがありがたいが、森繁久弥の「フラメンコかっぽれ」を除くと聞いたことがあったり、何と言うこともない曲が多くて、あまりよくも思えない。青春歌謡の一部がこれで聞けるようになったというのは画期的だとは思うが・・・。

20.10.7 更に更に波乱万丈。

ブカブカ

お気楽娘はアロハオエ

CDS ソニー SRDL3859

はしのえみが所属していたグループの第二弾で、これはアニメ「ツヨシしっかりしなさい」のエンディングテーマ。スチールとウクレレを大きく取り上げ「アロハオエ」を下敷きにしたハワイアン歌謡。気楽なアニメ声のボーカルがAパートをだらだらと歌うが橋野恵美と思われるサビでソロをとるボーカルがスパイスになっているが、毒にも薬にもならないOLレジャーもの。間奏に沖縄民謡風の合いの手を入れるのもありがちと言えばありがち。カップリングはアイドル然としたいかにもな人生応援歌だが、平成6年という発表時期からすると数年古いアレンジに聞える。ここも出自が欽ちゃん劇団なのだからもっと無茶も出来たはずだと思うのだが・・・。

エンドール

真っ白な心で愛したい

CDS バップ PR219

裸の女の子が四人で抱き合っているので多分AV女優のユニットだと思うが、全然知らないので買ってみた。ザードみたいな感じを目指そうとしたのだろうが、今ひとつギターとリズム隊がかみ合っておらず、リズムもかなりゆるいというか懐の取り方が甘い。起承転結がはっきりしておらずだらだらと滑っていく上に無理をしたメロディーラインもパッとしておらない上にボーカルのキーも音程が高すぎてあっていないようである。どうにもこうにも爪が甘い。カップリングは打ち込みアレンジがかなり宜しい90年代のクラブ風歌謡。ただし、こちらもボーカルの入れ方が表面を舐めて終わっており、歌唱力のあるソウルなどを通過した人がやっておればさまになったかもしれない。とにかく両面ともボーカルが奥に引っ込んでいて、演奏とのバランスにアンバランスさを感じさせてしまい気が散ってしまう。上のもそうだが平成6年前後のB級歌謡と言うのはそのうちにブラックボックスになってしまうような気がしてならない。

V.A.

バイタリス・フォーク・ビレッジ

LP キャニオン CAL1016

60年代末に人気を博したフォーク番組のオリジナル曲や名曲集。女性ソロ歌手のほか東芝からレコードを出しているモダンフォークフェローズ、フォーセインツやアマリーズら、SSWの人が参加しているが、例えばフォーセインツは「小さな日記」を北原早苗に譲っていたり工夫が見られる。もちろんアコギを強調したトラックが多いが、そういった曲でもリズム隊が入ったりフルートが入ったりと丁重な編曲がなされているものが多い。素のままの演奏はモダンフォークフェローズぐらいだろう。曲はいかにもカレッジフォークという曲が揃っておってアングラに向わないフォークというカレッジフォークの一面を示す。トリ前の石川鷹彦の自作自演曲「どこにあるんだ」はプロコムハルムを思わせるオルガンが印象的。トリを飾るグリーメン「海と女の子」はチェンバロを大フィーチャーし、グリーメン自体の恐ろしいほどソフトで流麗なコーラスと相俟って、気高さとグルーヴを感じさせる名演。

寺内タケシとブルー・ジーンズ

レッツ・ゴー・クリスマス

17cmLP キング SS36

クリスマスをエレキギターで。第一次の頃のこのバンドの演奏の割には比較的に原曲を尊重したアレンジか。スピードと間奏での烈火の如きギターの速弾きはやはり健在。「赤鼻のトナカイ」は「急がば廻れ」に行きそうで行かないのがじれったい。それにしても上下ジーンズ姿のブルー・ジーンズがジャケに使われていると言うのは珍しい。

黒沢明とロス・プリモス

うたがわないで

EP ビクター SV1083

この時代のロス・プリモスは二番までしかない歌が多い。ムードコーラスと言われて頭に浮かぶのがこういう曲調だろう。面白いとは言えないが、ここまでステロタイプなのも珍しい。サックスが咽ぶなかを甘めのボーカルがソロを取りファルセットのコーラスが被さる。B面はころころと曲調が激しく変わり、もっとバタバタした印象があってもよいところを落ち着いたボーカルが無理矢理平然と歌っているかのように振舞うので安定感を醸し出すという妙技が炸裂した歌。フルートが印象的。両面彩木雅夫作曲、森岡賢一郎編曲でそれぞれの個性を譲り合わなかったというか極限まで対決したというか、そういう跡が見られる。

三浦みちゆきとザ・プラネッツ

おんなの城

EP ポリドール DR1484

両面とも「女の・・・」というタイトルで、ここまでヒットした曲を引っ張り続けるとは・・・。爛れたボーカルがまとわりつくワルツでキング時代の「男らしさ」が一線を乗り越えて向こうに行ってしまったという感じ。綺麗なコーラスが絡むし何故このようなリードボーカルで行こうと思ったのか甚だ不思議。前後間奏ではスチールが大フィーチャーされている。ジャケが珍奇。B面は完全にマヒナ路線でまとめられた和風ブルース。45年前後のムードコーラス戦国時代の中売れているグループの特徴を積極的に取り込んでいこうとした気概は伝わってくるが・・・。両面リーダーの作。

三浦みちゆきとザ・プラネッツ

仙台みれん

EP ポリドール DR1567

自作曲。上とはうって変わって多分に陽性な楽曲で殆ど「思案橋ブルース」のような曲。少し危険な香りすらする。演歌的なメインボーカルに瞬発的に華麗な重層コーラスが被さるその刹那が感動的。B面もサムソナイツの様なサザンソウル的なサウンド。ルナ・ジェーナの「夜の銀座と長崎と」から灰汁を抜いたような楽曲。一体このバンドに何があったのかと思うような豹変振り。ただしパッとした歌ではない。

松平直樹とブルーロマン

ネオン慕情

EP ミノルフォン KA2053

A面は全国横断盛り場もの。ただし音頭が基調になっているのは珍しい。「ネオンドドイツ」のアイデアを流用しただけじゃないかとか言わない。下品の衣から上品の裾が見えているというか、或いはその逆か、俗っぽさと改まったところが同居しているがこれはバンドの特性だろう。B面は可もなく不可もなし。レキントギターが鳴り捲るがややボーカルが丁寧すぎるようにも聞える。コーラスは嬉しいぐらいに入っている。両面共作詞松平直樹。

栗田一美&レインボー

男と女のラプソディー

EP バップ 1010907

どうもこのグループは印象が薄い。これもイントロはワクワクさせるがどうも本編は音が散っている。有名なデュエットソングのエッセンスを全部詰め込もうとして破綻してしまったように見受けられる。どうにもこうにもパッとしない。B面もテンポが速すぎる。このバンドはもう少しストレートにやれば栄えるところもあるだろうにどこもかしこも全力投球をしようとして、しかもそれで強引に突破できる力量を発揮できておらないから褒める部分を探すところから途方に暮れてしまい困る。下手ではないのだが巡り合わせが悪いのだろう。

ロス・マチョス

別れ雨

EP フィリップス 7PV129

ギター二人に女性ボーカル。トリオ・ロス・チカノスの弟子に当る。レキントギターをフィーチャーしているが、発想は演歌が元になっていて面白いと言うものではない。男性ボーカルは二人ともしっかりしているが、女性ボーカルは粗く、しかも脇役に徹している。B面はプレイボーイの皆木英滋作品。ラ・マラゲーニャを思わせる本格的なレキントギターがバリバリ鳴り、ボンゴも快調なラテン歌謡だが、本編は過度に歌謡に傾いていて本格的ラテングループがやるのには少し寂しい。

山田実とトップ・ゴージャス

嫁津波

EP ソニー 07SH2031

米米クラブの変名。映画「山田村ワルツ」の主題歌。ブービーズを思わせる打ち込みサウンドに演歌をパロディーにしたパートを引いたあと突然本来の米米クラブの曲に近い英語パートが続く。得意のラップも入り、出来は悪くは無い。間奏に入るギターが激しく、彼ららしい派手なサウンドメイクも成功しており、印象に残る。B面は事実上A面のリミックスのようなものだがラップから入るので、昔の長い曲をぶった切って無理矢理両面に納めたシングルを聞いているような気分になった。

愛うえお&ウィットシャドー

放浪

EP キング NCS1360

ムードコーラスかと思ったらA面愛うえお、B面ウィットシャドーのミーツ盤だった。A面はティンパニーを派手に入れた演歌だがメロディーが何とも業と捻じ曲げたようなことになっておって成功しているとは言いがたい。もう少しド演歌路線で行けば何とかなったかもしれないが説得力に欠ける。B面は暗くなったパープルシャドウズのような愁いを含んだ演奏から突然何も考えていないような声で明るいお座敷ソングが歌われるのが意表をつくが、そこまで。何だこれ。エロ歌謡の範疇だろう。しかしウィットシャドーってどういう意味なんだろう・・・。

後藤優子&ゲイガッツ

伊良湖慕情

EP HG HA1009

聞いた事のない会社から出ているレコードで、もちろん自主制作盤。このレコードのカタログ番号がHA1009だから少なくとも9枚はこの会社からレコードが出ておる、ということになろう。定価700円だから昭和50年代の中盤のリリースか。
 豊川の音楽事務所に所属しているバンドで、伊良湖・豊川のことを歌っておる上に豊橋鉄道が写真を提供しているから、三河地方の観光関係に配られたようなレコードであろう。歌手とバンドと事務所が共通して後藤とついているから、家内工業的な事務所なのだろう。
 この歌は凄い。凄いけれども、ものが通じておらないと単に下手な演奏に下手な歌唱が乗っているようにしか聞えない。
 演奏は隙だらけで全くビート感も何もないドラムにのったりとした薄っぺらい弦楽器が乗り、やらなきゃいいのにサックスが無用な合いの手を入れて無惨に完成度を落としており計算されたものでない脱力感が横溢している。歌唱は全く腹に力が入っておらず、終始擦れ気味でかつ延々と最初から最後までフラットした弱弱しいもので、これが例えばカヒミ・カリィのようにお芸術になっておればまだ格好もつくが、この可も不可もない曲でそんな歌唱を披露されても意図が掴めず、単に力が及んでおらないとしか解釈が出来ない。
 にも関わらず、にも関わらずである、甚だ情が深い。当にレコードが記録であるという感動を覚える。この音、この声、この演奏がレコードとして、しかもある程度の商業的な下心を持って制作されている。ああ、自主制作!自主制作の無自覚なる無垢や。自主制作の無自覚なる自意識や。この深大なる!
 自主制作歌謡は、いと恐ろしき世界であるけれども、GS時代の前後、或いはパンク誕生の前後でその性格を変えると申し侍るに、昭和の御世も松にぞなりたる時世に、この曲を出してくるとは何とも味が深い。
 おそらく、このレコードに関してはリリース当時の関係者を除けば誰も話題にした事もないだろうが、こういうものは茶器の様なもので雖見立不奉而物不備、こういう一見如石之宝物があるのだから、何とも歌謡曲を聴くということは止められない。
 しかしこのレコードを聴いて自分と同じような、見下しでない、面白さを感じる人間と言うのは日域で20人もおらないのではないかとまたもの憂く思う。ああまた眼が疼く。

ザ・シーホース

北国のトラピスト

EP キング NCS251

自主歌謡のジェットブラザーズか。チープなオルガンが先導する純歌謡。あと二年早ければ確実に一人GSとして処理されていただろうが、ここでは却ってさらに先祖がえりしたかのようなラテン的なアレンジに。素朴極まりない。B面は大木和子「蒲田の夜」。こちらは正統派の都会派歌謡の系譜でこれも安いオルガンが先導し、それにサックスが咽びつく。ジャケットは着物姿だが、松尾和子のようなもの。ただ作りは粗い。

小笠原浄二

和歌山の夜

EP 東京GM GM1001

自作曲。東京GM(CAC)って結構有名なレーベルだったと思うが・・・。普通のサックス・ストリングス・チープなオルガンの入った三連の和風ブルースだが、民謡の人の様な異常なハイトーン・ボイスが聴くものを慌てさせる。回転数を間違えたかと確認してしまう。B面は尺八が振るバンドのリードをとる妙な濃厚さがある。これも三連和風ブルースがハイトーン・ボイスで歌われるが、音を変えればアローナイツと言っても通用しそうな感じ。サビに仕掛けられたためもフックが効いておって、完成度はこちらの方が高い。思い切り塩を入れたクリームシチューを食べさせられている感覚。

ファニー・スタッフ

ディスコスペース・インベーダー

EP フォノグラム BON1019

ちゃんとタイトーが協力したスペースインベーダーものディスコ曲で全編にゲームの音がサンプリングされている。シンガーズスリーと思われるボーカルも好調でディスコ物として実用に耐えられるだろう。ソウルの系統を引いている。B面はインベーダーゲームとは一切関係が無いためピコピコしていないけれども、更にファンク色が強い、アナログシンセの音が印象的なナンバー。こちらの方がややテンポが速い。

20.10.6 久しぶりにライヴ見てきたぜ。

江本勝とアルバトロス

東京待ちぼうけ

EP テイチク UE531

テイチク期待のスーパームードコーラスグループだったが短命に終わった。A面は幻の名盤解放歌集に単にアルバトロスという名義でライナーには別のメンバーが映っているジャケで掲載されているが、これと音源は同じ。レコード盤面にバンド名を修正するシールが貼ってあるので、発売後極めて短期間でリーダーが交代して、かつレコードの方はそのまま売り抜けようとしたものだろう。これもテイチクの期待の大きさによるか。したがってCD化済み。B面は「空港」路線の穏やかな曲だが、極めてボーカルが達者で流石幾つものバンドからメンバーを選りすぐって作ったバンドだと納得できる。

20.10.5 更に波乱万丈。

ジ・アストロノウツ、ザ・スパイダース

狂熱のエレキ・ギター、第2集

LP ビクター SRA5007

アストロノウツとスパイダースのミーツアルバム。「日本ロック紀」ではこれをスパイダースのファーストとする。スパイダースの曲の中にはこれでしか聞けない曲があり、何度かBMGの色々なバンドの演奏を集めたオムニバスやその他のCDもあるが、何故か除外され続けている曲などもあり大変ありがたい。スパイダースのエレキものには外れがない。何とも荒々しい。初めて聞いたのはアストロノウツの「恋をするなら」だけだが、これは小細工なしで自分たちだけで演奏しているものなので、あまり大した出来ではない。他の収録曲はアストロノウツの名演として定評のある、作られたアストロノウツの真髄に迫っている曲が並んでいるだけにそのもの足りなさが目立つ。

三品くにお&ハーバーナイツ

神戸物語

EP フィリップス 7PL25

数少ないムードコーラスなのに筒美京平作品。橋本淳作詩。レキントギターが鳴り捲るラテン系ムードコーラスだが、やや切れに欠けるか。やたらに複雑な展開が却って興を削ぐ。ブービーズの「当日・消印・有効」を思わせる。男性コーラスは当に文字通りムードがあるのだが、ムードコーラスの女性ボーカルには期待してはいけない。B面も軽快なバックに女性ボーカルがついていけていない。男性ボーカルがこんなに頑張っているのに報われておらず可愛そうだ。これもなんだか複雑で奇をてらったメロディーでごてごてしていて聞き辛い。

黒沢明とロス・プリモス

せめてお名前を

EP ビクター SV1167

意表をついたウエスタンタッチの異色作。トランペットに頭打ちリズム、かき鳴らすギター、いきなり水を掛けられた様な新鮮な驚き。ボーカルも好調。B面はややテンポの速い所謂昭和グルーヴ歌謡の系統。軽すぎず、洒脱に処理している。両面とも森田公一作曲、高田弘編曲の佳盤。

南有二とフルセイルズ

湯の町ギター

EP テイチク SN1196

いつものスタッフ。A面は古賀メロディーの「湯の町エレジー」を下敷きに更に演歌路線を進めた曲。あまりに露骨。B面はピアノ等をフィーチャーして、フランク永井や石原裕次郎を範にとってかつての都会派歌謡を復興させようという心意気なのか下心なのかよくわからないスローテンポの曲でこのバンドのこれまでの楽曲に比べ大分退廃的な雰囲気が漂う。

けい子とエンディ・ルイス

あなたの町恋の町

EP ミノルフォン KA530

B&B7→B&B→ピンキラ→ニューキラーズの成果。A面はCD化済。B面はパープルシャドウズの「小さなスナック」にフォークの歌詞を載せたような歌。但しギターがそこまで活躍するのではなくストリングスやホーンに置き換えられている、と言えば雰囲気が伝わるか。

モップス

晴れ時々にわか雨

EP 東芝 LTP2839

本体入手。

モップス

あかずの踏切り

EP 東芝 LTP2950

本体入手。A面はCD化済。井上陽水・星勝作品。B面、鈴木博三・星勝作品。演奏にはニューミュージックの影が近づいているが星節健在の歌い上げバラード。典型的な所謂AORというものか。

森田公一とトップ・ギャラン

アフリカの雪

EP 東芝 TP2842

本体入手。60年代の「ラリラリ東京」に匹敵する70年代を代表する最狂の歌謡曲。もの凄くうれしい。

チャープス

ミスターS

EP ポリドール DR3032

アニメの主題歌などで有名な三人組女性コーラスグループによる未解放「幻の名盤」。コーラスの名手がキャンディーズフォロワー化。ソウル・ファンクっぽいアレンジで無茶なサビが聞きものだが、前評判の割にはそんなにインパクトのある曲ではない。B面はクラシカルな雰囲気を持つ現代童謡風の曲。但しサビはストリングスアレンジまで含めて妙に気合が入っていて力強く、聞き応えがある。

フレンズ

真赤なスポーツカー

EP ビクター SV1138

この人たちは一体何枚あるんだろう・・・。珍道中風のブラスロックでいかにも陽性な70年代アイドルポップ。フィンガーファイブをまったりさせたような曲で妙に糸をひいたような感触がある。B面はあともう一歩でソフトロックになりそうでなりきれない、コーラス主体の穏やかなポップス。両面とも作詩・安井かずみ、作編曲・葵まさひこ。

フレンズ

孤独のフォークシンガー

EP ワーナー L1199A

阿久悠作詞、シュキレヴィ作曲、東海林修編曲。シタールが先導するフォークナンバーだが、一瞬プログレの様な始まり方で、本編はムード歌謡も半分ぐらい入っていて、なんとも地味な曲という印象。間奏でリズムパターンを変えてみるがどうも割り切れない。B面もアイドル的とはいえ悲劇的な感触のバラードで、こちらも先進的な編曲とそれと同居するアナクロさが上手いことかみ合っておらずなんとも地味。

アラジン・スペシャル

輝け!私のローラーズ

EP RCA RVS1087

正体不明の楽団の第二弾シングル(アラジンとは別)。ただし、少なくとも「がんばれジャイアンツ」の吹き込み時とまったく同じ面子ではないだろう。BCR賛歌。ベイシティーローラーズ風のメロディーを繋いで行き、楽曲のタイトルを織り込んでいく。賛歌の割にはマイナーなメロディーが入ったりして寂しげな印象で、詞も別れを前提にしているような内容となっている。おそらく公式に作られた曲だと思うのだが、これでファンに愛唱してもらおうと言う役割をちゃんと果たしておるのだろうか。賛歌と言うよりもレクイエムのようである。ボーカルも宜しからず。B面はカラオケ。

クール・キャッツ

マミーナ

EP コロムビア SAS380

バンド化前。多分これが一番売れたのではなかろうか。A面はCD化すみだが別にどうと言うことも無い。B面はホッドロッド臭の強い凄まじいエレキ歌謡。闇雲なコーラス、無意味な掛け声、だんだらのボーカル。とんでもなく高速で疾走し延々と引き倒すエレキギター。得体の知れないパワーが充満している。コロムビアオーケストラ名義だがもしかしたらスペイスメンあたりの変名かもしれない。

ジョーカーズ

身も心も

EP 徳間 VA14

ややベースの動きが恥ずかしいものの、歌謡の方が勝った歌謡ポップス。DTBWBのヒット曲とは同名異曲。スペースチャイルドの「光と影の中で」やブルコメの「雨の晩夏」のような暗さが差す歌謡バラード。B面はオルガンとホーンを突破口に突っ走ろうとする重いビートを持った歌謡ポップス。演奏とボーカルのつりあいは取れていないが、後期のセルスターズと後期のバニーズを併せた様なサウンド。非常に惜しい。

山内賢

空は夢の泉

EP 東芝 TP1514

A面はCD化済み。B面はスパイダースと競作。両面ともヤング&フレッシュの演奏・コーラス。スパイダースはバンドの音だけだがこちらはフルートやサックス、オーケストラなども参加してより歌謡曲っぽい仕上がりになっているが、こちらの方がしっくりとしておって本来の意図はこうだったのであろうと推察される。悲しみを湛えたコーラスが歌の悲しみをより一層深める。

はつみ・ひとみ

花時計

EP ビクター VV6

よくわかっていないのだが、この人たちははつみ&ひとみという人たちとは違う人たちなのか。ピアノを大きくフィーチャーしたフォークバラードでニューミュージックの類。但しそのフォーク的な作りの割には職業作家(林春生)の作品。ビートルズを題材にしている曲。B面はシンセサイザーを入れた沈鬱なフォークバラード。いきなり急展開するサビと妙に純歌謡色の濃いメロディーが特徴でA面よりは出来はよいが、曲としてはのったりしておってキャッチーではないのが惜しい。

ファースト・チリアーノ

私だけの十字架

EP ポリドール DPQ6048

ドラマ「特捜最前線」の主題歌として印象深い名曲。ギター伴奏から段々整っていくに心に沁みる歌唱が人生の無常を強く訴えるカンツォーネ歌謡の一大傑作。B面はあまり馴染みの無い番組で使用されたインストのサントラ音源。ジャズのビッグバンドの演奏ということを目いっぱい利用した意外な展開で感心するがサントラとしては使いにくそう。乾いた緊張感は通底する。

ザ・シャデラックス

とめてくれるなおっかさん

EP コロムビア P75

昭和44年らしい題材。騒々しさが想像されるタイトルに反して非常にこのバンドの普段の楽曲に近い素朴なフォーク。詞もハレンチなところが全くない青年の立身の心持を表明した曲になっている。B面は彼らのかつてのヒット曲「君についていこう」。音源もかつてのものと同じ。

ザ・シャデラックス

美しい世界

フォノシート 番号なし

モービル石油のノベルティらしい。山上路夫作詩・いずみたく作曲。フォノシートには手を出したくなかったのだが間違えて買ってしまった。いずみたくの作曲だが「ブルーライトヨコハマ」の様なイントロと「日生のおばちゃん」を思わせる美しいメロディーをもつ、いかにも70年代初頭のCMソングにありそうなポップス。カラオケつき。

20.10.4 近所の大スーパーが潰れてしまった。

中川浩夫とザ・アンヂェラス

私は人形

EP ポリドール SDR1340

 フルートとレキントギターがコンガの上で咽び泣くラテン歌謡で、ロスインディオスと似たような傾向だがこちらの方がボーカルがよれておって女性的な印象を受ける。歌詞に1番から3番までクラブが出てくるのでクラブ歌謡と言ってみる。何故か昭和20年代の夜の街を思わせるメロディー。B面はリーダー自作のサックスが咽び泣くジャズ系歌謡で一体このバンドの出自がよくわからない。マヒナを範に取りながらも出口を見つけようともがくムードコーラスグループの心の焦りが滲む。B面は偶然ながらプラネッツの曲と対のタイトルになっている。

中川浩夫とアンジェラス

女泣かせ

EP ポリドール SDR1340

 男役と女役のボーカルが掛け合う、旧式のムードコーラス。何故か男役のボーカルのソロ部分がよく聞えない。「こんな女でよかったら」に少し似ている。B面はレキントギターが鳴るラテン歌謡だが、この時期のムードコーラス曲としてはだいぶ演歌的だが、特になし。間奏で入るペナペナのオルガンが泣ける。

黒沢明とロス・プリモス

別れるのになぜ

EP ビクター SV6108

 ニューミュージックの影響を悪いほうに受けている・・・。安全策に走っておってロス・プリモスらしさが全くない。B面も琴が入っているがこれもニューミュージックの影響を悪く受けたもので、この頃の歌謡曲に対するニューミュージックとその源流たる一派の跳梁ぶりをまざまざと見せ付けられとにかく暗い気持ちになってくる。

尾藤イサオ

ワルのテーマ

EP 東芝 ETP2806

 A面はCD化済み。大した歌でもないと思うが歌謡DJに人気があるらしい。理由はわかるが、別に取り立てて何と言うこともない。B面は鞭の音が要所要所で響き渡る。バックでフルートが延々と入っているけれども、取り立てて何と言うこともない、ザ・リードの「沈黙の海」がちょっと早くなったような歌。

20.10.3 今月も波乱万丈の予定。

ヴォーチェ・アンジェリカ

太陽の仲間たち

EP キング BS789

ずうっとずうっと欲しかったキングの女性コーラスグループの名ビート歌謡。軽快なエレキに高すぎるほど高いコーラスが基本的にユニゾン、サビだけハーモニーをつけて見境なく疾走する(本当に疾走という表現がぴったり)驚異の大エレキ歌謡。B面は彼らの本質たる唱歌風、露西亜民謡風のしっとり歌い上げる合唱曲。何度も書くがこの人たちには軍歌のアルバムがあって、これがすごいのだが、時代が時代なので復刻されそうもないのが口惜しい。

20.10.1 CDR一枚を頂く。シンガポールのGS、ザ・セインツの音源で、おそらく昭和46年ごろの音源と思われる。フォーク調の曲なども含み、激しいビート感やガレージ風味はない代わりに、もったり感がある。日本の歌謡曲のカバーを4曲やっている。ジュディオングとピンキラのカバーは問題ない。クールファイブ「長崎は今日も雨だった」のカバーも許そう。しかしあと一曲が美空ひばりの「りんご追分」というのがどういうことなのかよくわからない。物凄い選曲に思わずのけぞってしまった。こういうものを聞くと日本の歌謡曲が世界に通用しないなどというのは世界が欧米だと思っている人の謂いで、東南アジアなどでは下手をすると欧米のポップスよりも馴染んでいる様子が伺え、世界が文字通り世界の意味であれば、そこにも見るべきものがあるということが判る。

 

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