これ買いました平成20年11月

 

20.11.25 一息つきます。

スウィンギン・ブルージーンズ

25グレーテスト・ヒッツ

CD EMI 724349548329

何だ、ちゃんとCD出てるじゃないと言う事で購入。英国ビート時代を代表する基幹バンドの一つのベスト盤。初期は「ヒッピーヒッピーシェイク」に代表される気風のいい快活なビートを持つ曲がある反面1950年代的なティーンポップの影も引きずっているのが面白いところ。そんな中一つラテン風の「クレイジー・ボウト・マイ・ベイビー」の存在がひたすら異色。その後は周りの動きについていこうと食らいついたかのようにホーンセッションを導入した本人たちが演奏しているとは思えないような曲もぼちぼちと見受けられるようになるのは日本のGSを二、三年先取りしてなぞっているようでこの時代のビートバンドの類型が世界共通的であることをつくづくと偲ばせる。

20.11.24 昨日はご来場いただきどうもありがとうございました。

ニックニューサ

ダンシング

EP RCA RHS545

A面はCD化済み。B面は伊達歩作詩、田中収作詩のロッカバラード。演歌とロックの境界線にいたこのバンドらしい曲だが、埋め草に近い感触。特になし。

ニックニューサー

かませてBABY

EP RCA RHS131

バンド名が一定してない。A面はCD化済み。B面は田中収作詞作曲のロッカバラードで、上の「六月の雨」によく似た傾向の歌だが、こちらの方がボーカルがダイナミックで聴き応えあるか。特になし。

ニックニューサー

あなたと眠りたい

EP RCA RHS149

 A面はCD化済み。B面はブルースではあるがこのバンドの曲としては非常にポップな部類。山岸英樹とサムソナイツの「こころがわり」をハードロック風味でやったらこんな感じになるだろうなという曲調。珍しくひねりのない演歌直系の歌と言えようか。

敏いとうとハッピー&ブルー

女のこよみ

EP テイチク US836

題名のローマ字表記にGS時代の遺風を感じる。A面はCD化済み。B面はやさぐれ歌謡のブームの遺風の残る荒んだ歌謡バラードで賀川雪絵の「やさぐれブルース」に通じるものがある。敏いとう作曲。サビに被さるワワワコーラスがムードコーラスには珍しい使い方でお洒落。

敏いとうとハッピー&ブルー

グッドバイ・マイラブ

EP トリオ 3B139

アンルイスとは別曲のうだつの上がらない歌謡バラード。抑制が効いたボーカルが甘くささやく。悲劇的でシャンソンが念頭にあるものと思われる。B面はなんと若水ヤエ子作詩の不倫をテーマにした演歌よりの歌謡バラード。小品。

敏いとうとハッピー&ブルー

深夜旅情

EP キャニオン 7A0086

思えばこの歌の競作がムードコーラスの最後の打ち上げ花火だったのかもしれない。シンセサイザーを使ってライトなディスコに仕上げている。ケーナらしい縦笛が入って南米風味もスパイス的に入っている。メモリーズに比べてかなり軽い印象を受けるが、元もとの曲がいいからなのだろう、これはこれで心に染み入る。隠れた佐々木勉の代表曲。よし。B面はピアノをフィーチャーして一瞬お洒落な始まり方をする敏いとうの自作曲でするすると演歌によっていく。やや高音が苦しげなボーカルが惜しい。もっと耽美的な曲調であったらと惜しまれる。

敏いとうとハッピー&ブルー

新・射手座の女

EP 徳間 7NCS4012

何故かジャイアンツの選手を入団させた頃に出したシングル。意図がよくわからないのだが、柳田は現在も歌手として活躍しているのでよかったのでは。銃声入りのややアップテンポな作品。ムードコーラスらしいラテン歌謡で、藤代のボーカルの方も色眼鏡なしで宜しい。B面は柳田がソロを取るがこちらは朴訥。近代的なアダルトポップス化したムードコーラス曲。曲としては甲乙つけがたいが、全面的に女声コーラスの支援が入って整えている。

ロス・インディオス

男と女のラブゲーム

EP ポリドール 7DX1483

両面ともカバー。比較的原曲に近いアレンジだが、ハープが入っていることに維持を感じる。余韻を残さない分だけドライな印象を与えるが、それがいいほうに出ているようには思えない。まずまずと言ったところだろう。この時の女性ボーカルは確か嵯峨聖子だったと思う。B面は「東京待ちぼうけ」だが、珍しくアルバトロスと同じく男声一本。他のカバーは全て男女掛け合いなのに何故女性ボーカルが使えたこのバンドで却って女性ボーカルを使わなかったのかよくわからない。こちらもハープの入ったアレンジに仕上げている。比較的にアルバトロスのバージョンに近いがバックの音は近代的。

三浦弘&ハニーシックス

今夜はオールナイトで

EP 徳間 KA471

日本最大のファミリーバンドの首を繋げた出世作。A面はCD化済。比較的に近代的な曲が多いバンドだが、まるでマヒナスターズ全盛の時代に戻ったかのようなアロハ・ブラザーズ時代にやりそうなスチールギターのオルガンが大暴れするラテン歌謡。このバンドには珍しく演歌っぽくがなりたてるのは森進一を意識しているのか。試行錯誤を繰り返していた時期らしい苦心のあとが伺われる。

ヒマナシ4

そんなに泣くなよ

EP キング K07D80014

ビジーフォーとは全く無関係の本格的コーラスグループ。リードボーカルにはややたどたどしい部分があるが、コーラスに関しては完璧。曲自体はこの手の本格的コーラスグループには珍しく演歌がかったムードコーラス曲。一体この人たちがどういう人たちなのかというヒントがまるでない・・・。B面はクールファイブ調。こう聴くと何でリードボーカルはこの人なのだろうと物凄く疑問。本当に一体この人たちはどういう人たちなのだろう。聞けば聴くほどよくわからない。

20.11.23 高円寺へゴー。

V.A.

元気祭り宴会そんぐ!小唄・音頭でお手拍子

CD コロムビア GES31711〜31715

兵隊節と小唄歌謡と音頭もの。「日本よいとこ」がずっと聞きたかったのでありがたいが、全体としては可も不可もない。最近のコロムビアのボックスセットは狙いはいいのに、実際に出てくるものがタイトルと微妙に合っていなかったり、ブックレットのデータとかライナーとかの記載が貧弱だったりで物足らない。オリジナルレコード番号の記載は是非やってほしいが、今回では例えば小唄歌謡や民謡・新民謡の人口への膾炙の歴史を一ページでも載せておれば大分印象が違ったのになあと思う。今も俗曲を現代風に変えて歌う歌手がおればそれなりに受けるのではないかとは思うのだがどうであろうか。

20.11.22 蒲田へゴー。

森雄二とサザンクロス

愛はゆらゆら

EP クラウン CWA254

第一次サザンクロスの末期のシングル。このバンドのもつ繊細さを利用しようとして利用し切れなかったミドルテンポのバラード。本来もう少し軽妙になって結果として幽玄になることを期待したのであろう。あと一歩作り手の意図に及んでおらない。B面はこのバンド十八番の女性心理を歌った曲だが、ムードコーラスには珍しい譜割を使用しておって耳に珍しい。しかし地味である。

亜樹しげるとビューティフルロマン

最後の楽園

EP アルティ AY0746

意外に息の長いバンドだったことがわかって吃驚した。あっけに取られるほどのアップテンポに気の抜けるような合いの手が度肝を抜くなんだかごちゃごちゃして浮ついた歌。疾走感いっぱい。台詞は入るわ詞は訳がわからないわ着地点がわからないまま錐もみ飛行しているロケットを思わせる。何故かコーラスは女声コーラスが肩代わりしている。このバンドの曲の中で一番たがが外れている。とんでもなさ過ぎる。B面はダンサブルなラテン歌謡でムードコーラスとアイドル歌謡の真ん中を狙ったような不思議な曲。女性ボーカルの声質のせいだとは思うのだが。こちらも宜しいがA面が凄すぎて霞んでいる。

山本リンダ/ザ・キャラクターズ

リンダ音頭・ウブウブ

EP キャニオン A271

A面はCD化済み。ちゃんとした歌手なのに偶にコミックソングをリリースする山本リンダは昭和30年代的なスターなのかもしれない。B面はキャラクターズは関係ないが南国情緒いっぱいのトロピカル・サルサ歌謡。真夏に踊るのにはこちらの方が似合っているのかもしない。

リフラフ

東京涙倶楽部

EP ワーナー L1683

風見しんごが日本で最初にブレイクダンスを取り入れたのはこの人たちだと言っていたがネタかもしれないので真偽不明。典型的アイドルポップス。まるでジャニーズのグループのような楽曲だが、詞にアクセントとしてではあるが大阪弁が使われているのが新機軸。確か結構なヒットだったはず。どうでもいいがイントロ一発目に入るオルガンの音がアローナイツの「中の島ブルース」ほかのオルガンの音にそっくりなのでもしかしたら同じ機材を使っているのかもしれない。B面はコーラスを全面に被せたスローなバラード。のちのtrfに繋がるような躍動感は全くない。この人たちの残された映像を見ると、真骨頂はこういうスローな曲ではなく「セクシー100℃」のような激しいダンスチューンであったことが偲ばれる。

 他にCDR一枚を頂く。流麗なソフトロックとヘナヘナなガレージもの、その他見識ある選曲がずらり。ザ・コロナドスの「世界は二人のために」のカバー、アウトキャストの「君を慕いて」の元になったインスト「イン・ザ・サンシャイン・デイズ」のカバー、ジョン・ドゥー&ジ・アセテイテスの「パープル・ヘイズ」のカバーに度肝を抜かれる。餅は餅屋。自分は音楽のことを何も知らない。

20.11.19 出張帰りに。

大橋節夫とハニー・アイランダーズ

山のロザリア

EP コロムビア SA730

ロシア民謡とロマ音楽をハワイアン化。得意のスティールギターを全面に押し出しスローテンポに情感たっぷりに演奏している。両面インストでブルージーンズらの無茶なエレキ化がこの時代の軽音楽のあり方から端を発していることをよく示した一枚である。何と言っても都会派というのはこういう音楽を言うのであろう。

伊達正三郎

哀愁の上野駅

EP コロムビア PES7243

特別軌道調査隊出演者の自主盤。ジャケットの雰囲気等からすると腰砕けの様な昭和30年代前半風の望郷歌謡。三橋美智也あたりが歌えばばっちりとはまったかも知れないが、余りに素っ頓狂。俳優歌謡に独特な「味」も出し切れていない。B面はサックスをフィーチャーした三連ロッカバラード。こちらの方が城卓也あたりを彷彿とさせる気合が前面に出た歌唱であって、好感。曲としては可も不可もなし。

藤巻潤

25時の女

EP 大映 D102

ジャケと歌が全然結びつかない曲だった覚えがある。口笛をフィーチャーした一昔古めの都会派歌謡。フランク永井や神部一郎を意識しているのであろう。多分に退廃的である。B面はヨーロッパの映画音楽のような流麗さをもつボサノバ歌謡。サビが吉田正みたいではあるが、ドリーミィーでジェントルな台詞も蕩けそうな甘さがあり雰囲気最高。

RIO

愛はサンシャイン

EP ビクター SV7046

dosみたいな人たちの様だがあふれ出るオーラがおかしいので思わず購入。沢田研二のような曲、と見れば加瀬邦彦作品で、普段のステージが想像つかない。歌は上手くもなく下手でもなくといったところ。どういう人たちなのか。B面は、なんでこんなかっこうして八幡平のご当地ソングを歌わにゃいかんのかという題材だが、これもカラフルなロックの加瀬邦彦作品。練られてはいないが題材や歌詞からは想像できぬディスコティックにまで昇華されているから奮闘はしているのだろう。言いようがない。

ヒカシュー

パイク

EP 東芝 EWS17025

名バンドの名曲。ベンチャーズにもカバーされたシタールを導入したモンド・テクノの大傑作。昔から好きな歌だが、持っていなかったので購入。重層構造を持つ歌唱が印象的且つ斬新。のちの「民族の祭典」に繋がる図太いものが横たわっている。B面は英語バージョンで大胆なカタカナ英語が潔い。作り自体は粗いのだろうが、この辺りのこのバンドの楽曲はほんまに凄い。

月城みゆき

さすらい小唄

EP ローヤル RQ632

ローヤルのレコードには人智を超えた何かがある。古典に忠実な三拍子の小唄。演奏歌唱とも昭和30年代的なメンタリティーの歌だがエレキギターの使用に昭和40年代に入ってからの楽曲であることを思い出させてくれる。B面は松平三郎の「おさらば夜汽車」。これはタイトルどおりの「赤いランプの終列車」フォロワーで歌い方なども春日八郎の影響が強烈。こちらにはエレキが入っていないので全く年代不詳に聞える。

20.11.14 どうもまた手術を受けることになりそう。

V.A.

続・歌謡曲番外地 恋のコマンド

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1268

これはすごい!アイドル歌謡と「やさぐれ歌謡」の真ん中、所謂アクショングラマーと言われる路線の曲集めたコンピで「やさぐれ歌謡」のような頭で考えたコンピというよりも腰で編み上げたコンピとでも言えばいいか、グルーヴィーなチューンが多い。表題曲は他でCD化されている上全体的な傾向からは外れるが個人的に好きな曲なので嬉しい。ほかにもあきいずみが二曲も入っていたり、名前だけは有名だがなかなか聴く機会に恵まれなかった曲が揃っており、今年度自分の中ではトップクラスに有難かった正規CDコンピであることは間違いない。

20.11.10 まだ若いというのに、デイヴ平尾氏の訃報には大変驚いた。

敏いとうとハッピー&ブルー

かわいそうな女

EP テイチク UC5

 ピアノを中心に据えて「わたし祈ってます」の路線で推し進めた穏やかなラテン歌謡だが、インパクトに欠けるあっさり風味の作品。B面は敏いとうの作品で岡本しょうじ&ハーモニーとは全くの別曲。三島敏夫が歌いそうな曲で敏いとうのルーツがハワイアンにあることを再認識させてくれる小品。

深山千里

お雪さん

EP ポリドール SDR1379

一部で有名なレコード。上下するベースと安すぎるオルガンが泣ける矢継ぎ早なビート演歌。GS時代のポリドールの狂った電波をもろに浴びている。この時代のポリドールの歌謡部門のプロデューサーはやけくそになっていたとしか思えないが、単に何も考えていなかったのが真相だろう。このレーベルにタイガースがいたのが物凄く不思議(まあ、あれは原盤は他所が作っているわけだが。)。B面は本来のアロハブラザーズがやりそうなボンゴとスチールギターとオーボエが艶っぽい歌を受ける小唄調演歌。「ゲイシャワルツ」の系譜。

20.11.8 CDR3枚を頂く。尾崎紀世彦はGS出身だからといって、声質やら立ち位置やらが全然違うGSOBの歌う曲を片っ端から宛がわされているのは、これはこれで凄まじい。歌謡フォークから本格アングラフォークまでずらりと並ぶが「時代」が顔をのぞかせている。さくらと一郎は出発点がコミックソングだっただけあって堂に入っているが、ちょっと「人生いろいろ」に似たアレンジだ。

20.11.6 引き続いて発熱中。

ニック・ニューサー

酒場にて

EP RCA RHS103

彼らの代表作。A面CD化済み。B面は自作のフォーク系の楽曲だが、彼らのハードな演奏に塗りこまれていていつもの泥臭いアダルトポップスにしか聞えなくなっている。こういう何をやろうが一つの色になるというのもプロのグループにあらまほしき能力の一つではあるが、唯一無二のバンドなのでくどいことこの上ない。これは褒めている。

ニック・ニューサー

お祭りさわぎ

EP RCA RHS175

このグループの中では非常にポップス的な楽曲。本編のアダルトシティポップス的アプローチと感想のハードロック趣味が不思議な融合を見せているが更にそこにストリングスが被さる。80年代にこういうサウンドを作れたのは実に彼らだけであろう。つくづく不思議な人たちだ。B面は「三年目の浮気」のようなイントロだが、本編は完全な演歌。こういう楽曲でもハードロック的なアプローチを全然崩さないのは凄い。この辺りのわけの判らなさが子供心に物凄い不安感を覚えた原因なのだと思う。

ニック・ニューサー

ムーン・ライト

EP RCA RHS538

 くずとは別曲。このグループの中ではややアップテンポな曲だがこのバンド以外類型がないハードロックな演歌路線が見事に決まっている。しかしいくらニッチを狙ったとしてもここには簡単に来ない様な気がするが一体どういうことでここにたどり着いたのだろう。とてもバンドマンらしいグループだったと知る人は言うが、ムードコーラスではないが他に適当なカテゴリーもなく仕方なくムードコーラス扱いしてみる。考えてみれば河島英吾とかBOROのサウンドをバンドでやってみたというのが彼らの正体なのかもしれないが、それにしては関西フォークの人脈とは一線を画しているしどちらかといえばGS直系の人脈だし不思議な人たちだ。B面はオサリバンの名曲とは同名異曲。彼ららしい曲。

田村ケイ

おんな酒

EP キング K07S602

 ロッカバラード歌謡だが、精神的には兵隊節の直系の子孫であろう。淡々と力強く歌われる。B面は昭和50年代にありがちな演歌だが譜割が変なのかボーカルと演奏が衝突を起こしている。力強いけれども細かい感情表現などでなお及んでおらないところが大きくいきなり感があって戸惑わせる。

本業寺山音

せめて今夜は 博多弁

EP ユピテル YS89

アンニュイな女性によるボサノバ歌謡に博多弁による合いの手が入るコミックソング。要するに「甘い囁き」のアイデアを流用した曲である。この女性ボーカルの出来がなんとも微妙なところはあるが、曲自体はよくできている。B面は博多弁のツッコミを東北弁によるツッコミに差し替えたものでトラックや女性ボーカルなどは全く同テイク。この歌は原曲は原曲として存在しているのであろうか。両面を通して聴くことによって完成度が高まるタイプのコミックソングと言うべきか。

ふるさと姉妹

津軽女は泣いていた

EP ビクター SV2443

姉妹もの。タイトルからは想像できないのりのいいビート系歌謡でまるで五年程までのGS時代に戻ったかのよう。全編で弾かれまくる三味線もまことに景気が良い。この手の三味線を持った姉妹歌手というのは何人もいるけれども、その中でもかなり素晴らしい部類に入りそう。歌もしっかりしている。B面も三味線と共にニューロックなギターの入ったラテンロックで、サンタナの影響があるかも。もう少し混沌としていたらよいサイケ歌謡になりそうなカラフルさ。恐らくこれがデビュー盤だろうが一体こういうものが無名に終わるのだからつくづく何が売れて何が売れないのかわからない。

山川ユキ

新宿ダダ

EP ミノルフォン KA1057

ミノルフォンのレーベルを代表する名曲。A面CD化済み。B面はボンゴで始まりあっけに取られるが、基本的にこの人は歌のお姉さんのような歌を歌っても別に違和感がなくて、音楽的な素養も高く、A面みたいな曲は狙ってやっているというのがわかるしっかりした曲。

ロビー和田/ニュー・フォークス

シャウト

EP コロムビア LL10014JC

各グループの主張をそのまま信じたとしても日本で一番メンバーの人数が多いグループ。前半英詩、後半日本語のモダンフォーク。よく出来ている。無垢な若者の無邪気な叫びでヤングアメリカンズとあの辺りの系譜なのがよくわかる。B面はセイロンのコロンボを称えた英詩フォークでキングストントリオとかの影響をもろに受けているが、内容が胡散臭いというか純真に過ぎるというか。だがこの人が日本のポピュラーミュージックに残した足跡の大きさは計り知れない。

20.11.5 発熱中。

亀井信夫とスペイスメン

エレキ・ダイナミカ

LP ビクター SJV121

本体入手。日本のエレキインストを代表する名盤。歌のない歌謡曲。

ザ・サンダース

真っ赤な太陽

LP テイチク UPS5160

彼らのファースト。何曲かはCD化されている。グループサウンズの前半期のヒット曲がずらりと並んだ黄金の選曲とでも言えそうな選曲だが、既に所謂「和モノ」が注目され始めた頃からの注目ナンバーが収録されているなど凡百のスタジオミュージシャン系歌謡エレキインストとは一線を画する。サックスや軽快なエレキも特徴ではあるが、それよりもいきなりな感触を持つドラムが非ロック的で彼らのサウンドの独特さを主張している。日本のエレキインストの隠れた名盤。「マリアの泉」のイントロにはえらく独創性がある。

サンディー・ネルソン

ゴールデン・ポップス・イン・ジャパン

LP 東芝 LP8476

既に定評ある米国のドラム奏者による全曲GSと和製ポップスのカバーで固めた喫茶店BGMもの。評判の割にはあまり大したことはない。漫然とヒット曲をそのまま演奏しているだけで特にどうという事もないアルバムであり、グルーヴ云々もこの程度ならばジョーヤ増淵とアフロアミーゴスやジミー竹内の出来の悪いチューンでも相当に見受けられる。唯一「レッツゴーブガルー」のカバーが面白そう。そうと書いたのは、自分の買ったこれでは針とびが酷くてまともに聴けないからであるが、断片を聴く限りこれの飛ばし方が凄い。他は「愛するアニタ」がいいが、これはもともとの曲のよさに帰着するものなので何ともいいようがない。けだし有名な名前が珍しい曲をやっているからということで評判が先に立ったのであろう。ジェットブラザーズの「愛の祈り」が珍しい選曲だが、これも別にどうという出来でもない。

三浦正弘とハニー・ロマン

おもいでの京都

EP クラウン CW1203

彼らの第二弾。「ヘイジーポート長崎」(おなじクラウン)を思わせる和風楽曲で数年遡ったかのようなGS時代風の微サイケな感触も京都の朝霧を表しているかのようで効果的。もっともリアルタイムで聴いておれば単に時代に乗り遅れているようにしか聞えないかもしれないが。B面は小唄ものでそれこそ高田浩吉辺りが歌いだしそうな古風さ。シタールの様な琴が煽る。合いの手は少し奇襲を狙っているのかもしれない。

ザ・キャラクターズ

白い羽根の勇士

EP キャニオン A206

これがキャニオン移籍第一弾か。ネタが奇抜。曲の方も奇抜でピンクレディーの「UFO」のような曲。というか殆どそのまま。まあ作編曲。都倉俊一だからパクリとかではなくて同じことを延々とやっているだけなのだが、ここまで芸風が同じというのも凄い。B面は今なら放送禁止かもしれないインディアンもの。これは都倉俊一らしく全然メロディーはないにしても、いつものパターンというわけでもないので、ちゃんといくつか引き出しがあるのかとちょっと吃驚した。都倉俊一は何でフォークから出てきた人なのにビート一辺倒の曲ばかり出してくるのかよくわからない。

黒沢明とロス・プリモス

ラブユーいとはん

EP クラウン CW796

 彼らの都会的なイメージとは異なる土着的な曲。彼らは関東や余りイメージのない地方都市ならばともかく大阪のベタな雰囲気はミスマッチ。マヒナの役割とは彼らの役割は違うということを逆に証明している。B面は「ツンツン節」の様なワルツものだが、生々しい恋愛を童謡風にして霧に閉ざし幻想の中に落とし込んでいる。

ニック・ニューサ

ラヴ・イズ・オーヴァー

EP RCA RHS124

欧陽菲菲らとの競作。印象的には彼此さほど違いなし。欧陽バージョンは高い空に吸い込まれていくような感覚があるがこちらは曇天から落ちてくる重い雨に打たれているような感覚がある。このバンドの演奏の中ではやや軽いがボーカルが重く鎮石のように自己主張をしている。B面は「ディスコ歌謡」でCD化済み。

森雄二とサザンクロス

さようなら幸せに

EP クラウン CW1510

A面CD化済み。これがデビュー曲。B面はタンゴの様なラテン歌謡だがシャンソンに色目を使ってお洒落風味を狙っている。特に何と言うこともないが若々しくボーカルも多分に固い。

森雄二とサザンクロス

札幌の星の下で

EP クラウン CW5057

ベストカップリングシリーズ。ロス・プリモスもやっているが、サザンクロスがやるとちゃんとサザンクロスの曲になるのが面白いところ。このバンドはルックスとボーカルが実は自分の中であまり結びつかない。B面は所持済み。

森雄二とサザンクロス

意気地なし

EP クラウン CW1540

A面CD化済み。言わずと知れたムードコーラス屈指の名曲。B面は悪くはなく、うまく取りまとまっているが、埋め草の印象が強い。同様の題材ならジ・アーズの未練たらしいズブズブさの方に一長がある。

森雄二とサザンクロス

好きですサッポロ

EP クラウン CWA55

A面CD化済み。B面はポップなA面と打って変ってピアノを強調した悲劇的なバラード。A面をスローテンポにしたようなメロディーの部分もあるが、たかがそれだけでこれだけ表情を変えて歌うことが出来るのだから、これはサザンクロスの技術が凄いというべきだろう。よく知られた歌だが、オリコン圏外なのは北海道の限定ヒットとかそういう事情なのだろうか。

森雄二とサザンクロス&真貴子

ふたりのシュビドゥバ

EP リバスター 7RC0083

 再結成・移籍後。旧サザンクロスの女々しい色を払拭してのりのいいポップス調楽曲で勝負した一曲。一気に軽薄なところまで突っ走ったのは思い切りが宜しい。ムードコーラスの女性ボーカルの法則がここでも。どうでもいいがイントロが「ヒーロー」みたいである。B面は吉屋潤作のソウルオリンピックの公式大会歌「モイザ・ソウル」を日本語で。これはキムヨンジャのオリジナルに及ばないが、なんだかもさもさした感触がこそばゆい。こう聞くといかにも大韓歌謡なメロディーだが、個人的にこの歌には思い入れがあるので何とも言わず。

松浦健

薔薇はよみがえる

EP コロムビア P86

A面CD化済み。B面は特にこれということのないムード歌謡。ぬめっとした声とやさぐれた歌詞や曲の雰囲気があまりマッチしておらない。この人はもっと抜けのある明るい歌をもっと歌うべきだったと思う。両面とも筒美京平。

芦川まこと

帰らざる夜想曲

EP ミノルフォン KA500

 三善英史の影響かやたらに高い声の男性ボーカル。「ショパンのノクターン」や「夢遊病者」、「メッキのはげたペンダント」などの珍しい言葉が続出するGSを辞めた後のソロの人が歌いそうな病的なムード歌謡。作詞は両面なかにし礼。49年の曲だが数年発想が古いかもしれない。B面はオカリナと思われる笛と琴をバックに歌う夜の女のやけくそ節。

五木ひろし

浜昼顔

EP ミノルフォン KA509

バラライカで始まる寺山修二作詞・古賀政男作曲のポップより演歌。詞がいつもの調子で家のない子が云々というものなので態と曲を軽めに作ったものだろう。B面は山口洋子・平尾昌章に唱歌の様な穏やかな国民歌謡風楽曲。両面併せて異質の物の侵入に対する平静を装った抵抗の記録のようにも感じられる。

本業寺山音&山口ひろみ

ごめん

EP キング K07S669

 寸劇から始まる男女掛け合いムード歌謡だが異常に情報量が多い。始めは標準語だが男が狼狽するに連れてどんどん東北弁が丸出しになっていくというコミックソング。タイトルが最後の最後のオチに使うのはかなり老練の味。本業寺山音というひとは「ほんぎょうじゃあまね」ということで誰かのマネージャーが本業なのだろうが、一体同じネタを使って何枚もレコードが出ているので名の知れた人なのだろう。B面は真っ当な恋愛を歌い上げるフォークバラードを思いっきり東北弁で歌い上げてグダグダにするというコミックソング。

九条万里子

すゝきのブルース

EP コロムビア NK122

B面のマリア四郎「傷恋」を持っていないため。B面、大仰なストリングスの入った情念歌謡。西田佐知子ほかの「女の意地」のような歌を危ういボーカルが絞り出すように歌う。サビのフレーズは「意気地なし」に先駆する。

20.11.3 今月は完全に病気である。

ジミー竹内とザ・エキサイターズ

ドラム・ドラム・ドラム さすらい人の子守唄

LP 東芝 TP7343

名物シリーズ。時代は沈鬱な歌の流行っていた頃だが、それはそれとして相変わらずの叩きっぷりが楽しめる。尤も、昭和43年のテンションを期待するのは取り上げている曲目からしてもやや無理があり、落ち着いた方向、無難な方向に向っているのは致し方ない。最もハイテンションなのは「雨」だろう。5分にも及ぶ「ゲット・バック」が聞きものだが、長いだけという気もする。「輝く星座」は意図不明な編曲。

ジミー竹内とエキサイターズ

ドラム・ドラム・ドラム さいはて慕情

LP 東芝 TP7531

同上。これはグルーヴ時代というべきか。歌謡曲のカバーはフォークものと並び「太陽へ走る女」などのグルーヴ歌謡らしい曲を収録するとともに、B面全てを洋楽曲のカバーに費やしている。時代が変わり、またビートが重視されるようになった時代の楽曲だけにジミー竹内のドラミングには嬉しさ、春が来たことによる生命の躍動感のようなものが感じられる。フランシス・レイの「流れ者のテーマ」とヘドバとダビデの「ナオミの夢」のカバーが出色だが、それ以外も新たな生命を得たかのようで、聴いていて春の陽光の中で微笑んでいるような、そんな気分に浸れる。

キング・イージー・リスナーズ

ビート天国 二人だけのダンス・アルバムVOL2

LP キング SKK404

こんなタイトルだが全曲GS・和製ポップスのカバーで固めた喫茶店BGMもの。のっけからビート感皆無のサックス・オルガンインスト「霧の彼方に」でずっこけるが、社交ダンスとかをするという本来の目的からすればこのぐらい緩い方がよかろう。タイトルに反し穏やかなビート性皆無なチューンが続いたあとA面後半からは好演奏が続き、ボサノバ化した「好きさ好きさ好きさ」に意表をつかれ、このアルバムの中では一番エレキよりの演奏の「夕陽と共に」、グルーヴィーな「北国の青い空」、フラワーポップス化した「甘いお話」、アストロノウツの様な「バラ色の雲」、そしてB面の爆裂する「青空のある限り」へつながるという怒涛のラインナップが度肝を抜く。その後も玩具の様な可愛らしい「シーサイド・バウンズ」など素晴らしい演奏が続くが、冒頭のあれは何だったんだろうという状態になること請け合いである。かように、一曲一曲ということで見ていくとよく練られており、この手のアルバムの中では「捨て曲」も少なく、屈指の出来のよいアルバムであろう。イージーリスニングとして聴く分にも全くもって申し分ない出来である。編曲は小川寛興と高田弘。

V.A.

愛する人は一人

LP ビクター WFR3031

これは70年ごろの軽音楽歌謡曲カバー。ニューロックの時代、グルーヴ歌謡の時代を反映したはじけた編曲が多い。ジャズとロックが融合したドラミングや唸りまくるウーマントーン、落ち着き払ったハモンドオルガンなどこの時代に顕著な音がそのまま収録されている。とりわけ「チコ菊地とイージーライダース」なるバンドはジミー竹内ばりのドラムも聞えてグルーヴィー。粗くはないがきっちりとしたプロの仕事という感じ。ただしB面はイージーライダースの演奏が少なく所謂イージーリスニングの本来の趣旨に沿った演奏がメインである。

ニック・ニューサー

サチコ

EP RCA RHS518

彼らの最大のヒット。A面はCD化済み。B面は何と言うこともないアダルトポップスだが、ニックニューサーのパブリックイメージは当にこんなところであり、自分が今までこのバンドになかなか手を出さなかったのも実にこのイメージによる。

敏いとうとハッピー&ブルー

わたし祈ってます

EP テイチク US821

テイチク時代の最大のヒット。A面はCD化済み。B面は「あれも嘘なの」と同じ歌だが、ペダルスチールや琴風のキーボードらしい音なども入ってかなりのどかな印象を受ける。同じ曲でも料理の仕方によってここまで違うか、といういい見本。

敏いとうとハッピー&ブルー

他人じゃないの

EP テイチク US831

上の余勢をかってヒットした曲。敏いとう作詩の曲だが何度かCD化されている。B面はシンセサイザーが荒れ狂う高速のラテン歌謡。ラテン調とはいえこのバンドが一面で持っているソフトロック的な部分が強調された緊張感のある佳曲。メロディー自体は戦前の曲のようではあるが、アレンジの妙がそれを全て支えている。

敏いとうとハッピー&ブルー

足手まとい

EP キング K07S452

サザンクロスのカバー。サザンクロスのイメージを忠実になぞっているともいえるがよりコーラスを多用しており、近代ムードコーラスの盟主の意地の様な物を感じる。ややボーカルが不安げだが曲とあっているか。B面は自作でベルサイユやクリスタルレインのリーダーを取り込んだこの時代のハッピー&ブルーの過去の音の歴史を総合的に示したようなディスコに源を発する純歌謡。

敏いとうとハッピー&ブルー

移り香〜離別(イビヨル)

EP キング K07S571

両面とも大韓歌謡の名曲を日本語でカバー。まるで文部省唱歌のような美しい旋律の「イビヨル」の魅力をよく伝えているジェントルな歌唱と穏やかな編曲が心にやさしい。B面は逆に「大田ブルース」の本来持つ悲しさ、謂わば朝鮮歌謡の根幹にある悲しさを全面に提示した設定の見事さに舌を巻く。両面とも編曲は吉屋潤が自ら行なっている。

敏いとうとハッピー&ブルー

射手座の女

EP キング K07S10043

A面は定評ある曲でCD化済み。B面はエコーの深いボーカルがドラマの終りを告げる劇的なバラード。こういう感触はボサノバにも基礎の一部があるムードコーラスでないと、ウエットでありかつまたドライでもあるという何とも複雑な女性心の表現としてこの形態を取るというのはありえないのではないか。

クレスト・フォー・シンガーズ

サンタナへの道

EP ディスコメイト DSK127

可愛和美を擁するジャズ系コーラスグループ。フランス人歌手ヴァヴァの「Le Petit Homme」のカバー。フリーソウルの名曲として近年株を上げてきているというが、これ日本盤もあるのだろうか。編曲が三保敬太郎と細野晴臣だがモンド的な編曲というよりは真っ当なラテン的なアレンジがなされている。このグループの高いコーラス力が嫌味のないさわやかさに昇華されていて聞き易い。B面は編曲にさらに松任谷正隆が加わるという豪華布陣で細野晴臣作曲のモンド歌謡。このグループもムードコーラスにしていいのかどうなのかよくわからないグループだ。

ピクル

二人の玩具箱

EP クラウン ZP4

静岡出身の男性アイドルデュオ。メンバーの一人は後に未都由としてソロデビューしたことで有名。シタールで始まる可愛らしいポップスだが哀愁いっぱいでスラップスティックの「愛の鎖」に似ている。回転数を上げたかのような甲高くて粗いボーカルは末期のアイドルGSのよう。B面はワウギターの鳴り響く激しいロックチューンで「ジャッカー電撃隊」や「スパイダーマン」の主題歌を思わせる。サビで力が抜ける編曲がつくづく惜しい。49年の曲だが、ニューロック的なサイケデリック感覚満点。両面すぎやまこういち作曲。

真帆志ぶき

アマール・アマール

EP 東宝 AS1135

宝塚もの。エレキ時代から遠く隔たっていない香の香るボサノバ歌謡だが、こういうものの中では珍しく熱唱してド派手なオーケストレーションされていて、宝塚ものらしい情緒がある。宝塚ものはつまらぬものが多いとは誰が言うた。B面は前半は高速サンバだが雄雄しさに溢れている。ちょっと「海のトリトン」に通じるものを感じる。後半は劇的な演出で絶叫部分が続く。どちらもグルーヴィーだが「ノバ・ボサ・ノバ」というショーの関係の曲という。

安兵衛

ヘイ・ジョニー

EP ビクター ZEN7

「幻の名盤」。不協和音や半音を駆使したブルース歌謡。ヤマハポプコン入賞曲だが、所謂ヤマハ臭とそれから一番縁遠そうな部分(ビクター臭?)が渾然となった奇妙な曲。B面はA面の続編的な作品だが典型的なニューミュージック的な処理をされたワルツもの。アイ・ジョージを髣髴とさせる雰囲気があり、確かに同時期の歌手の中では上手い部類に入りそう。

伊藤素道

リトル・ダーリン

EP フィリップス 7PL39

嘗てのレパートリーをザ・ブレッスン・フォーをバックに再演。迫力一杯のボーカル。ブレッスンフォーはえらく押さえ気味のコーラスに終始。演奏はあまり復古的な部分は考慮されておらない。B面の同じ方針。こちらはディキシーで処理してあるが、あまりに近代風の演奏が涙を誘う。俺だけかもしれないが。

金髪のジョージ

ボーイッシュ・ベイビー

EP キング BS1069

本当は黒髪だったと聞いた。ウエスタンのように始まるが本編はしまりの歌唱のポップの小品。手堅い曲調なのに何故起伏を感じる。しかし44年はカントリーがくると言われていたとはいえ、GS以前の青春歌謡の発想。B面は新沼謙二のようなぬめっとした青春歌謡バラードだが、これもトニーズ辺りが41年に出してくるのならともかく、44年に売り出すアイドル(という概念はないが)のデビュー曲としてはどうなのか。作り手としては41年ごろの加山雄三を意識しているのだろうが・・・。

川辺妙子

雨に咲く花

EP フィリップス FS1192

関種子の戦前のヒットで、それを井上ひろしがカバーしてヒットした曲の再カバー。井上バージョンを更に推し進め「黒い花びら」のような真っ黒なロッカバラードに昇華し、却ってオリジナルのバージョンの持つ過剰な洋楽臭さに近づく好歌唱。B面はグルーヴ時代のど真ん中らしいファズ歌謡。涼川真里の「時計」と並べて聞きたい黒いタッチの泥臭いグルーブが充満していて、タイトルも「神にそむいた恋だから」と実にやさぐれている。両面ともよい。こういう凄い曲を差し置いて何故砂利のような曲が復刻されるのか。ジャケの紹介文からすると再スタートに当たって相当に気合を入れた楽曲だったらしい。

佳川ヨコ

君こそわが命

EP ビクター SV532

水原弘と競作。水原版と比べるのは酷か。水原盤が決意を全面に出したものとするのならこちらは絶望を前面に出したものであろう。男女ということではなく、よし取ってやろうという決意なのか、何で今頃現れたるかという二つの真の恋愛感情に対する揺れ動く気持ちのネガとポジの如きものである。B面はロカビリー時代を通過したロカバラードだが、この人独特の突っかかるような歌いっぷりが堪能できる。こう聞くとこの少し前にもこの少しあとにもありえない歌唱法を持っていた歌手であったと言うことがしみじみと思われる。

佳川ヨコ

旅行くマリア

EP ビクター SV689

最近の女子高生の様な格好のジャケ。「マリア」ものの第二弾。エキセントリックなメロディにエキセントリックなボーカルが乗ったもので、43年の発売よりももう少し古臭いエレキ歌謡。これではヒットは難しい。B面は、この時期でなければお座敷ものにされた可能性が高い小唄ものだがポップスに微妙に色目を使っているのが何ともいえない。どこに着地点を置こうとしたのか判らないまま制作したレコードなのであろう。

鹿島とも子

あなただから許せるの

EP 東宝 AT1018

例の事件以来余り見ない女優さんのシングル。迫力満点のグルーヴ歌謡。ホーンセクションと蠢き回るベースラインをバックに小粋に歌う姉御歌謡。アクショングラマーな女優さんが歌うというイメージに忠実な出来の佳曲。B面もウーマントーンとハモンドの吼えるグルーヴ歌謡で、フォーク的なメロディーをR&B的な編曲がぶっ飛ばす痛快曲。こちらもけだるさが横溢しており女優レコードらしい醍醐味いっぱい。両面揃って高水準にまとまっている。

鹿島とも子

愛ふたたび

EP 東宝 AS1067

同上有名盤。ルノー・ベルレーと浅丘ルリ子が主演の同名東宝映画の主題歌。ベースが動き回るアンニュイなシャンソン調バラードだがえらく序破急がしっかりとついていて展開が複雑。B面はCD化済みだが、人気のあるボサノバもの。中ジャケがおしゃれだった。

クリケッツ

私のベイビーボーイ

EP キング GK30

子供ユニットのヒット曲。コーラスにみるべきものがあり、ボーカルも上手い。ジャクソンファイブとビッグマンモスを足して二で割ったような曲だが、案外にソウルフルで暴れまくるシンセサイザーがかっこいい。B面も同じ方向性のダンサブルなソウル・バラード。子供がこのスタイルで歌う必然性がある。フィンガーファイブのフォロワーとして出てきたのだろうがそれに留まらない魅力が充満している。

西来路ひろみ

みなと・恋・おんな

EP コロムビア SAS1685

イイヨイイヨと言われたので買ってみた。回転数を間違えたかのような物凄い高音で特殊な声質の歌手。インパクト大。曲は「女のみち」のようなもので普通の演歌。都はるみを意識しているのだろう。B面は高島忠夫作曲の調子のいいお座敷演歌。A面ほどのインパクトはなく、寧ろブチ切れ方も堂に入っておって真っ当な歌手に聞える。

チャダ

面影の女

EP ビクター SV2504

大橋巨泉事務所所属のインド人演歌歌手の第一弾、ヒット曲。A面はCD化済み。B面は呑気な小唄もの。「かもめ」と「やもめ」をかけて、更にチャダが歌うということを前提にしたコミックソングでスチールギターに乗ってチャダがゴキゲンに唸る。ゴキゲンというよりはいい湯加減でという方が適切な表現かもしれない。

ザ・チャープス

恋人になりたい

EP コロムビア LL10219J

今日はすぎやまこういち作品が多いなぁ。水谷公生風のギターが吹き荒れる小品ポップスでジャクソンファイブ辺りのソウルを日本で展開しようとしてもってきたものであろう。言わばもう一つのフィンガーファイブ。B面はトレインソングで、ジャネッツの「恋の汽車ポッポ」と相通じる少女の歌う鉄道世界。タイトルから受ける印象よりは明るい曲だが、これも卓越したコーラス能力を駆使してソウルミュージックを意識した曲になっている。

ザ・ディメンション

夜明けの海

EP ビクター E1057

三枝伸作品を歌うダンスユニット。ワイルドワンズの人がいたような気がするが忘れた。外国訛りで歌われるスローなフォークバラード。B面は高速のR&Bで「トライ・ア・リトル・テンダネス」を下敷きにしたと思われるかっこいいダンスナンバー。こちらもボーカルはクラックナッツのよう。

田中真弓

忍豚レゲエ

EP ビクター KV3039

「さすがの猿飛」のエンディングテーマだが、えらく本格的なレゲェ歌謡だったような記憶があるので購入してみたが、記憶どおりの快レゲエ歌謡。語路合わせだけででっち上げたような歌詞の哀愁レゲエ。田中真弓のボーカルも気だるい。ちなみに作編曲は久石譲。B面は三ツ矢雄二の「食いMONOソング」という快速なポップス。このアニメの主人公の声をやっておったことによる。この人もスラップスティックという凄いバンドをやっておったから実に上手い。声優歌謡というのは実に固唾を呑むような迫力のある曲が多いので油断できぬ。こちらも作編曲は久石譲。

三ツ谷雄二

こまわりマンボ

EP バンダイ EMPE3

アニメ「がきデカ」の主題歌だというが、そんなアニメがあることを知らなかった。「マンボNo.5」の引用した曲で声優の個性に過剰に寄りかかった曲。曲としては何と言うこともないけども、「がきデカ」と「クレヨンしんちゃん」の違いについて考えるところあり。B面は打ち込みによる80年代中盤のアイドル歌謡のパロディ。徹底的に無意味な歌詞に徹する。どうでもいいがこの歌手は鳥飼真己子と書いてとりかいまみこと読む。己=み。ああなるほどね、こういう読み方もあるのか。勉強になった。

O.S.T

ノストラダムスの大予言

EP 東宝 AT1069

例の問題作の主題歌をシングルカットしたやつ。不安感をあおりまくるビックバンドロック。ノリはいいが口笛やコーラスがおっかない。後半にワウ・ギターが効果的に入るもの利き所。ハミングは伊集加代子か。B面はこれがエンディングであろうか、ピアノとフルートを主戦とした穏やかなバラードナンバー。両面インスト。

20.11.1 旅行に行って、これだけ受け取って、又出る。

黒沢明とロス・プリモス

さようならは五つのひらがな

EP クラウン CW868

ヒット曲なのでA面はCD化済み。B面は「たそがれの銀座」を陽性にしたような曲だが、えらく残酷な内容を持つ歌詞が心にズガンとくる。ナンシーの「キャンドルティア」と併聴したい。

黒沢明とロス・プリモス

ビューティフルなお別れね

EP ビクター SV1202

A面はCD化済み。鈴木邦彦作品。どうもタイトルのせいで平山三紀の「ビューティフルヨコハマ」と被ってしまう。歌手名よりも作曲者名で聞くと言うのは確かに通の聞き方かもしれないけれども、それだけに拘るのもそれはそれで変なスタンスだと思う。B面は勢いのあるはねるポップスだが「京都・神戸・銀座」の続編を聴いているような気分になる。演奏はディスコメイト時代のパープルシャドウズのようなオーボエがノスタルジック。こちらの方が全然出来がよい。

黒沢明とロス・プリモス

あたしの彼氏

EP ビクター SV2463

 「浮世絵の街」を髣髴とさせる和風ポップスだがヒットを狙うにはやや地味か。B面は60年代に戻ったかのような曲で、オーボエとピアノを中心としたジャズ的な編曲が耳目を集めるシックなナンバー。まったりとしながらも軋みを上げるようなボーカルが女の悲痛を高らかに歌い上げる。両面とも平尾メロディー。

黒沢明とロス・プリモス

私も女です

EP ビクター SV2512

今話題の杉本真人。作詩作曲編曲の組み合わせが異様だ。クラブミュージックというかファンクを意識したダンサブルなナンバーだがリズムチェンジがあったりしてギミックに富んだ油断のならないナンバー。厚いホーンセクションが熱い。こんなとんでもない編曲をしたのは上田力である。B面も同じスタッフだが、これも曲調どころかメロディーすら無視したファンキーな編曲がソウルフル。尤もこちらはファンキーすぎて却って演歌に近くなっているが・・・。

黒沢明とロス・プリモス

神戸で別れて

EP ビクター SV6222

ロス・プリモスを本気で集め始めようと思いまして・・・。打って変って所謂保守的な演歌の本流だがベースラインにはディスコ時代を反映した部分が見受けられるほかシンセサイザーも入っていてポールモーリアを意識しているのではないかとも思えるが、アチラはこれほどトランペットが騒がないか。B面もサックスとギターが絡まりあう「俺は待ってるぜ」から続くムード歌謡の主コースに乗った曲。冒険心はないが手堅い。

黒沢明とロス・プリモス

小さなお店をもちました

EP クラウン CW1803

クラウン復帰後。自己紹介と女性の心理を巧みにまぜこぜにしたアイドルのデビュー曲にありがちな題材の曲だが、そこはそこ、ロス・プリモスらしく夜の世界に展開。所謂ロス・プリモスらしいメロディーの曲。「昔の名前で出ています」に似た編曲。B面は吹っ切れたような伊藤咲子辺りが歌っても全然おかしくないアイドルポップスのようなうきうきした曲。両面の落差が極端すぎる。というかまさかA面がフリになっているとは、意表をつかれた。

ニック・ニューサー

悲しみよ闇に散れ

EP RCA RHS209

フォーク系GSを推し進めていったらこうなる不思議。一歩間違えればさだまさしが作りそうな曲だが、これは珍しく浜圭介と外部作家を導入しており、彼らの持つ不思議さは大分に後退している。ただ自分たちでやっていると思われる演奏だけは貫いておりこの辺りムードコーラスとロックバンド・ニューミュージックの真ん中に位置していた彼らの意地を感じるところ。なぜ求人案内のCMソングにこんなに熱い曲が必要なのかはよくわからない。B面はA面とのバランスを考慮したものと思われる自作の熱いバラード。

ニック・ニューサー

いちばん太鼓

EP RCA RHS230

彼らは余りにルックスがロック的なので今まで避けてきたがいろいろと思うところがあり、集めてみることにした。これはNHKの連続ドラマ小説の主題歌でジャケットやタイトルからは想像もつかない大野雄二作のお洒落なアダルトシティポップスで、これに限っては演奏も彼ら自身でやっておらず大野雄二の方で用意したオケが演奏しているものと思われる。こういう意表のつき方もありか。B面も同ドラマのオープニングテーマだが、こういうものがオリコン100位に入らない時代というのは逆に今からは想像が出来ない。

ニック・ニューサー

お祭りさわぎTAKE.II

EP RCA RHS257

 余りヒットしたとはいえない過去の楽曲をグラムロック化して再シングルカット。ド派手なスネアドラムの音が目立つがギターもパワーアップしテンポも速くなっており、確かにこちらの方が出来がよい。B面はサックスを配して、「ラヴ・イズ・オーヴァー」よ、もう一度、といった路線のこのバンドとしては中道的なミディアム・バラード。

ニック・ニューサー

酔多話

EP RCA RHS283

グラムロックとベイシティローラーズと演歌を一緒に志向したらこうなったというような作品。ノリはいいのだが、どうしたらいいのか普通の聴取者には途方に暮れるしかないという、驚異の意欲作。マシンガンのようなボーカルとそれを忠実に写した歌詞カードが度肝を抜く。B面はこのバンドのB面の定番となりつつあるミディアム・バラードで、これについてはややR&Bを意識しているものと思われる。

ニック・ニューサー

酒は女の子守唄

EP RCA RHS302

 アダルト・ポップス。コーラスが全く入らず田中ソロのような体になっている。切れのよさから心に沁みるバラードへというありがちなバンドの演奏の変遷がこのバンドにも見られる。B面はザ・ピーナッツとは別の曲でA面と同じ思想のアダルトポップス。この歌謡にもポップスにもロックにもニューミュージックにも行かない微妙な立場が彼らの説明を難しくする。

ニック・ニューサー

放されて

EP RCA RHS227

 「ほかされて」と読む。脈絡もなく大阪のご当地ソング。それもそのはず外部作家による作品。福岡のバンドではあるが上方臭のあるバンドなので違和感はないが、このバンドの中では無茶さがなく非常に落ち着いた印象。ハードロック演歌というよりも伝統的な大阪シティフォークの文脈で解釈されたとしても違和感なし。聴けば聴くほどますますこのバンドの立ち位置がわからなくなっていく。B面はワイルドワンズとは別曲の自作だが珍しくドラムの石井の作品で、シティポップスよりの佳作。何だこういうのも違和感なくやれるじゃあないかとますますハードロック演歌路線の志向がどこから出てきたものなのか不審。

ニック・ニューサー

YO−SE−YO

EP RCA 7A0860

 時代はCD時代に入り、このシングルはレコード、カセット、CDというトリプル発売になっている。自作能力がありながら外部作家を導入する例がこのバンドには多いが、それがあまりいい方に出ない。これは「サチコ」を髣髴とさせるし初期のハードロック路線も取っているのに今ひとつこなれていない。彼らは本当に一つ釦が掛け違っていれば80年代最高のロックバンドとして君臨できたのかもしれないが今からそんなことを言っても詮無い。B面は久しぶりに彼らの自作で爽快な酒場の香のするハードポップス。ベースの音が凄いが、ギターもコーラスも揃っており、このバンドのことがわかっていたのは結局本人たちだけだったということが改めて悲しくも確認できる。独特の世界に行き着いているが商業的にもこちらの方がいけたのでは・・・。

ニック・ニューサー

ワッショイ!

EP RCA 7A0950

堀ちえみの曲とは別。「お祭りさわぎ」の続編のような曲でベースラインやリズム、構成も被せてきている。いかに彼らが「お祭りさわぎ」という曲に執念があったかということがまざまざと見せ付けられる思い。やはり自作が彼らには似合っている。B面はGS繋がりでパープルシャドウズの今井久がギターで参加。エコーを思いっきりかけた繊細なギターに乗って歌われる、パープルシャドウズ風のノスタルジックポップス。

白鳥座

かもめ

EP ワーナー FFR1502

サーカスみたいな人たちなのかと思ったがもっとニューミュージックな人たちなのかもしれない。これはゴダイゴのサウンドに女性ボーカルが乗ったような作品だが、自殺未遂に至った経緯をノリに乗って歌う無茶な歌。えらく複雑な展開をするがさびの歌詞が凄すぎて印象に残らない。なんかいいように終わっているけれども、相当に重い内容。これはヒットを狙っていないだろう。ボーカルはやや固けれどコーラスは上手い。B面は「カノン」風に始まるぱっとしないニューミュージックもの。

白鳥座

心にスニーカーをはいて

EP ワーナー FFR1505

さだまさし作詩・作曲。このA面以外はこのグループの曲はたかひらゆたか(メンバー)作品ばかりである。典型的なシティポップス流れのニューミュージック曲だが、ここでもどうもボーカルの人がもっと演歌みたいなものの方が向いている感じなのが気になる。曲自体は素直。B面はピアノをフィーチャーしたイントロで始まる中島みゆきの「悪女」風の曲だが、これもリードボーカルが粗い。なぜかロス・インディオス&シルビアのシルビアが頭に浮かんでしまい「コモエスタ赤坂」が始まりそうな気配がずっと漂っておって、気が散る。

白鳥座

北の空Love Song

EP ワーナー FFR1514

 この裏ジャケットを見るにさだまさしの事務所に所属している人たちだったらしい。突然歌唱力が大幅に向上してエキゾの入った正統派ニューミュージック歌謡を歌いこなしている。粗いは粗いが並べて聞いてみるとこうも突然上手くなるのも不審なので間にもう一枚ぐらい入っているのではないか。B面は、アコースティックなナンバーでフォークやカントリーのエッセンスが濃厚なニューミュージックもの。サビはまるでさだまさしの作品の様なメロディーでその影響・関係の深さがうかがわれる。

白鳥座

さよならの少し前

EP ワーナー FFR1519

 突然目先を変えてフォルクレーロ風に始まるが本編は「冬が来る前に」を思わせる唱歌風のニューミュージック曲である。相変わらず歌謡の方が向いている歌い方だが、これであれば全く苦は感じない。まことに人間と言うものは成長するものだ。プロとしてはどうかと思うが。B面はアカペラで押し通す。最後の最後で感極まったように安いシンセサイザーのバックが入るが、これはないほうがよかったかもしれない。曲の内容が何故かコミック味のあるOLの浮いた生活を歌い上げるという、なんでまた、というものなのが聞いている方を置いてきぼりにするが、本来はこういうコーラスを厚くしたものをやりたかったのだろう。センスの取り方がおかしいが、売り方次第ではどうにかなったかもしれない。

ひまわり姉妹

花を咲かせた渡り鳥

EP ビクター SV854

これが「渡り鳥」の第二弾。ゆるゆるとした小唄物で島倉千代子の「恋しているんだもん」の路線。あそこまで突き抜けていないが和風の少女の恥じらいと浮かれ情緒が溢れている。B面は「越後獅子の唄」とかあの辺りの昭和20年代の望郷歌謡をセオリーどおりに組み立てた、このグループの正当性を強調する哀愁もの。

ひまわり姉妹

女のながれ旅

EP ビクター SV2125

真ん中の人が美人。これが五枚目だったと思うがもう一枚あるかもしれない。曲の方は「網走番外地」のようなもので尺八もフィーチャーされているが、さすがに任侠ものの域には行かず失恋して延々と数年に渡って放浪しているということでその生計をほのめかしているだけである。それを表現できている彼らはえらいとは思うがやや古めかしい。B面は発表年代に合っているグルーヴィーさが多少あるほのかなマイナービート歌謡。三人組ではあるけれども、要はひとりGSと言ってよいと思われる。

ファイズ

愛すれど恋すれど

EP フォーライフ 7K50

ムードコーラスなのかなんなのかよくわからなかったので買ってみたが両面荒木和作作曲だった。ノスタルジックというかスチームパンクというかピカソの「シネマ」が更にエキセントリックになったような曲。悪くない。モンドの影響下にあるフォーク系ニューミュージックと言えばよいか。なんともストレンジな雰囲気があって耳に気持ちいい。B面もたわんだトレモロアームと思われる音をフィーチャーした曲だが、編曲の妙な雰囲気を除けば。こちらはボトムらしい極普通のポップス。蓋しモンド的なものがこのバンドの売りなのだろう。

ファイズ

君恋し

EP フォーライフ 7K103

両面とも懐メロのカバー。A面は今まで聞いたこの曲のカバーの中で一番鋭い。と言ってメロディーを破壊しているものではなくモンドの中にレゲェ的な感覚を取り入れて見事にシティポップスにしている。この曲に対する、言わばフランク永井の当たり方と同じく現代的なアタックを果敢に試みて見事に成功した例といえよう。ただそれが商業的成功には結びつかなかったが・・・。B面は割り合いにストレートというか、やや安易な気もするアレンジで「ローハイド」をカバー。但し出来が悪いというわけではない。

アンサンブル・エトワール

天使の詩

EP CBSソニー SOLB16

コーラスものとスキャットもの。郷ひろみのヒット曲を子供と伊集加代子が掛け合いスキャットにしてサンバでカバー。これはおしゃれ系のDJ向けかもしれない。B面はスタンダードなスキャットナンバーをクラシカルな演奏をバックに伊集加代子が快調に歌い上げるナンバーでピチカートファイブとかが好きな人に受けそうなトラック。宜し。

リッキー&リボルバー

シンシア

EP コロムビア AH275

リッキー中山とは関係なかった・・・。ハードロックかと思ったら高山厳の様なアダルトポップスだった。もう少しでアルフィーになりそうだが演奏歌唱ともにこれに及ばない。B面は更に陽性なアダルトポップス。本質はフォークの人たちなのだろう。昭和50年代のニューミュージックもそのうちに再評価が始まり、こういう人たちにもやがてスポットが当たっていくのかもしれない。

このバンドはビートルズコピーで名を馳せたバッドボーイズの後身とのこと。

ザ・ベアーズ

夏色にMisty

EP 徳間 7JAS43

結局GSとは関係なさそう。ツイストを思い切りアイドル化したようなポップスだがボーカルが何とも上ずっていて聞きがたい。これで花王のCMソングだったとは・・・。B面はイントロはキンクスだがどんどん歌謡ポップスによっていく。この時代のメジャーから売れようと思って出てきたバンドというのは一体何を目指していたのか掴めない。本人たちは本当にこれがよかったのだろうか。これもボーカルが苦しい。

松岡直也&ウィシング

思い出のマジョルカ

EP ワーナー LS1025W

プロモ盤なので何がなんだかさっぱりわからないが、本格的なラテンバンドのようで、ちゃんとした演奏もののアルバムをリリースすることになったのであろう、その見本と思われる。ピアノとクゥイーカが延々と鳴り続けるインストで、緊迫感溢れるサウンドは、かなりの実力者であることがわかる。素晴らしい、心が洗われるような哀愁が充満している。B面もサルサのインストでこちらも破綻なしの本格的なサウンドでパーカッションの軽快さが心潤す。両面とも傑出した出来。

谷けい子

ミッドナイト・スペース

EP ビクター SV6574

大阪のホテルで歌っていたクラブ歌手。クラブ歌手の割にはあっさりとした歌唱のミディアムバラードで可もなく不可もなく。もっとも世界観の構築の仕方が粗い。B面は打って変ってのアップテンポのサンバ歌謡。丸山圭子とかあの辺りを髣髴とさせる歌い方だが、押入れの中に丸いものを押し込んだような妙な空間の無駄遣い感のようなものが脳裏に飛来するのは何なんだろう。

千波丈太郎

やくざ街0番地

EP ミノルフォン KA55

「幻の名盤」。ほぼ同時期の「四人の刑事」にも通じる音の不協和音を効果的に使ったハードボイルド歌謡。俳優歌謡ながら歌唱の方はかなり微妙といったところか。B面CD化済み。「せんばじょうたろう」。長年読み間違えていたので後備のため注記。

ジャニーズ

いつか何処かで

EP ビクター SV1005

ナベプロ制作。GS時代を反映した名ビート歌謡。マイナーコードらドンドコドラム、チープなオルガン、チロチロしたギター、多用されるコーラス、ストリングスと同時代のGSのエッセンスを凝縮したような曲。但し発想的にはアストロノウツを下敷きにしていると思われる部分があるからエレキ歌謡の範疇だろう。B面は歌詞は昭和43年風のハレンチ、音は昭和41年風のストリングス入りエレキフォークという昭和40年代音楽の鵺のような作品。両面とも服部克久の42年の作品。しかし、ジャニーズの曲はいい歌が多いのに何故ベスト盤なり単独盤なりが全く復刻されないのだろう。

小松みどり/和田弘とマヒナスターズ

先斗町小唄

EP 東芝 TP1580

で、マヒナも集めることにした。典型的お座敷座興風小唄歌謡。小松みどりがやや艶に欠けるのもまことに惜しい、曲自体もマイナーぶりが前面に出ていて底抜けでないのも、或いは悲恋を歌うには能天気なので丁度股裂きにあっているようなものである。B面は打って変ってまことに都会的・フォーク的なナンバーだが発想がジャズ的だなと思ったら鈴木道明の作品で前田憲男編曲。スパイダースの「夕陽が泣いている」に対するマヒナスターズからの見事な回答である。

花井真里子/広瀬はぢめとサニー・フェローズ

お酒の唄

EP キング BS1662

A面CD化済みの有名盤。B面はスチールギターが導入する小唄調の曲で、押さえ気味ながらも確実な仕事に感心することしきりのいぶし銀のコーラスワークに小さな感動を覚える。

岡田達也とグローリィ・ロマン

待っているのよ

EP テイチク US824

メジャーからレコードをリリースしたバンドの中でハニートーンズとともに是非聞いてみたかったバンド。翠川文夫と東京ナイトが「京のにわか雨」を歌っているかのような曲とでも言えばいいか、所謂ホスト系グループとしては早い部類のはずだが、後期・末期的な曲運び。B面も日本情緒が前面に出ているが、静的な導入と躍動感溢れるサビの対比が見事でダイナミック。ムードコーラスというよりも純粋なコーラスグループの精神に近いものがあるのではないかと思われる。

平田満

東村山音頭

EP キング GK20

三橋美智也の「東村山音頭」をオリジナルに近い形で志村けんに便乗してカバー。演奏はシャネルファイブで、これはムードコーラスの方のバンドという。全くのロックコンポによる演奏で、暴走するウーマントーンのみが特筆すべき点か。これが本当にシャネルファイブの演奏ならダイナミック演法と名乗ってもおかしくはないとは思うが・・・。コーラスはシンガーズスリーだろう。一応ヒットしている。B面はCD化済み。「ビューティフルサンデー」のカバーで迷走しているとしか言いようがない。このあと平田はソロで活躍。

ライジングチャートバンド

19BOX81

EP CBSソニー 07SH1116

81年の歌謡ヒット曲メドレーでこの時期に流行った所謂スターズオンものだがムシ声や低速再生などのボーカルエフェクトを多用しているのが新味。まあ、企画もの。この何と言うゆるさ。しかしこの手のものの中では出来がいいほうかもしれない。「愛のコリーダ」に似たフレーズが出てくるがこれは明記されていない。B面はA面のメドレーの中で唯一オリジナルのテーマ部分を拡大して一曲にでっち上げた軽いディスコチューン。ところでこのバンドの名義で他にもレコードが出ているが実体らしい実体があったバンドなのだろうか。

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