これ買いました平成20年5月

 

20.5.25 猫が太っていたので、追い回してみた。

サンドラ・アレキサンドラ

サンドラと12人の侍たち

CD コロムビア COCP34687

米国R&Bの有名歌手が日本の楽曲をリアルタイムでカバーしたアルバムの復刻。所謂純歌謡の系統の曲が多い。歌は外国人の割りに発音に訛りがなく、聞きやすいが、逆に味がない。出来としてはぼつぼつといったところ。注目するべきはそのバッキングで、12曲のうち8曲を占める中川昌が編曲している楽曲におけるピアノの付け方が素晴らしい。絶品である。これぞBGM。これぞナイト・ジャズ。要するに、このアルバムはサンドラ・アレッサンドラのボーカルを聴くためのアルバムに見えて、その実は匿名のジャズコンポのムーディーな演奏を楽しむことに最大の目玉のあるアルバムなのである。これは裏をかかれた。こういう新進的なアルバムでは浜口庫之介作品が非常に冴える。「夜霧よ今夜もありがとう」は石原裕次郎のオリジナルを完全に凌駕し、このアルバムのハイライト。一方、クニ河内が編曲をした2曲は初期ハプニングス・フォーのラテンロック風味が昔をしのぶが、脇役。

大体歌入りのアルバムなのに作詞家を勘定に入れず「12人の侍たち」とやっているのがあくまで曲を聴くアルバムですよという制作者の意思表示であるような気もする。なお、数曲歌手による英訳詩が披露されている。

フォンティーヌ・シンガーズ

’70のニュー・サウンド〜いずみたく作品集〜

CD コロムビア COCP34689

いずみたくの楽曲をカバーしたアルバム。こちらはいずみたくの志向を反映し、徹底的にコーラスを前面に出している。ピンキラと並びダークダックスに提供した曲が目立つが、同じコーラス主体のグループだから当初の意図が貫徹しやすいがための選曲か。流麗で非常に美しく、コーラスの実力は確かなので、このグループで大ヒットをといういずみたくの本来の野望は破れてしまったが、このアルバムが出た時点でそのような明るい希望を抱いていたというのもうなずける。男女混合コーラスのせいなのかハニービーズにやや通じ、もう少しベタなところがあれば或いはその野望も果たせたかもしれない。このグループの運営が続くいずみたくシンガーズ(このグループは事実上はフィフィザフリーの後継にてあれば、そのコーラスに惚れ込んでその軸に据えたものだろう。)に繋がっていったのであろう。形麗しく光り輝くが如くでも、それだけでは歌謡曲としては十全でないということが痛感させられる、小さな宝石のような一枚たり。

麻里圭子、杉並児童合唱団、ボーカル・ショップほか

21世紀のこどもの歌

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1093

当時の新進気鋭な作曲家、作家らが示す未来の童謡を麻里圭子らが歌う世紀の名盤の呼び声高いアルバムの復刻。しかし、単にお題を宇宙やロボットなど未来風の事物を絡ませましたというだけで、あまり奇抜ではない。曲はむしろ50年代の映画音楽に基礎あるも、スプートニクス風のアレンジが幅を効かせていることに、なんというかスチームパンクにもなっておらないし、本当に未来的でもない、ノスタルジックな面が前面に出ておって羊頭狗肉である。これならこの10年以上も前に出た岡本敦郎の「人工衛星空を飛ぶ」の方がはるかに未来的であり夢もあって新進的である。では、これはどうしても未来に希望が見出せない未来の子供を想定した皮肉かというとそういうことでもない。宜しからず。歌手陣も曲によって出来不出来が激しい。

V.A.

フォー30’sジェネレーション アニメ 〜みんなアニメが好きだった〜

CD コロムビア COCX34846

アニメ主題歌オムニバス。急に「コブラ」の主題歌が聞きたくなったので買った。「コブラ」は仕方ないが編曲が大野雄二なので他の曲と一貫性があってファンキー。コロムビアのCDだが他社の音源も入っていてまことに手軽。ちなみに改めてDr.スランプの「ワイワイ・ワールド」を聞き直してみると、編曲が非常に微細な技を効かせてあって唸ってしまった。どうでもいいがウラシマンの「ミッドナイト・サブマリン」で編曲と歌だけを同じ人が担当しているというのは変ったパターンだ。

20.5.11 こんばんは、「くせのある人」です。

ダニー飯田とパラダイスキング

ヒット・キット・パレード

2CD 東芝 TOCT6905・06

15年前(この3年後にはもっとマニアックなベスト盤が出ているが。)に出て殆どそのままになっている彼らの最もちゃんとしたベストアルバムで坂本九メイン時代と九重佑三子メイン時代をそれぞれ取り纏めている。昔某バンドのイベントのパンフレットにちょっと何か書いてくれと言われたときには筆の勢いでこのバンドが如何に画期的だったか綴ったが、今に至るも懐メロとしてでない再評価の声が聞こえぬ。このバンドの音源はハワイアン、R&B、ロカビリー、サーフ、ジャズ、リバプールサウンズ、モッド、ウエスタン、歌謡曲、ムードコーラスと異常に手広く、ここに収録されていない音源にも素晴らしいものが多いので本格的なアンソロジーやボックスセットが編まれることを望む。「浮気娘」などというのはこのバンドだから出来る荒業で、ポピュラーのバンドとしてはGSよりも傑出していると言っても過言でないかもしれない。内容に文句はない。

スリー・ファンキーズ

コレクション

2CD 東芝 TOCT9511・12

これももう12年も前に出てほったらかしになっている、ずっと欲しかったベスト盤。順に聞いていくと、37年からのはじめの方はそれぞれがめいめいに歌っているに過ぎず全然コーラスグループとしての体をなしておらない上に歌い出しが遅れるなど技術的にも拙い部分があるが、あとでビーバーズへ行く早瀬雅男が入った昭和40年ごろになると非常に高度なコーラスも聴け、全体に曲もこなれて来ており、技術が飛躍的に向上したことが手に取るようにわかる。はかま満緒作詩の「三年早いよ」は同じ萩原哲晶作曲であるクレージーキャッツの「だまって俺についてこい」の色が非常に強いが、円熟期のスリー・ファンキーズの開放感と相俟ってこれに負けるとも劣らない佳作。

キダ・タロー

浪花のモーツアルトキダ・タローのすべて

2CD コロムビア SLCS5002〜3

これも人気のあるCDながら16年前に出てそれきりのキダ・タロー作品集。CMソング、校歌等、番組主題歌、歌謡曲各編を収録している。この人は関西圏で馴染みのCMソングや番組挿入歌が多く、またテレビで見られるバラエティーに向くキャラクターの印象も強いため非常に庶民的なイメージがあるが、こう通して聴くとその経歴が示すとおりハードコアなスウィングジャズに立脚した曲が多く、しかも本格的な作りになっている曲が多い。なるほど大きなヒットは北原謙二の「ふるさとのはなしをしよう」とコメディーNo.1の「アホの坂田」しかないけれども、これは歌謡曲というよりもあまりにもジャズ志向が強いから導き出る結果であり、そしてその本格的な音楽的な素養が繰り返し長い期間に渡って使われ、しかも強い印象を残す必要のあるCMソングや番組挿入歌で高い結果を残すことの根本的な地力になっているのであろう。浪速のモーツアルトというより浪速のデューク・エリントンという方がこの人の実を上手く表せるのではないかと思えるがどうか。

V.A.

ゴールデン60’sコレクションテイチクGIRLS編

CD テイチク 30CH−282

これも古くに出た、名シリーズのCDで、これはロカビリー時代のポップスを集めたもの。田代みどりと沢リリ子、千秋恵子の三人だけで構成されている。19曲が田代みどりの曲だが、自分は田代みどりの壷がよくわからない。尤も、田代みどりは別に二枚組みのベスト盤が出ているので、これについては然程の利がない。最も見るべきは沢リリ子で、なんと8曲も収録されているが、これを聴くと同じ三人娘の中尾ミエと被る部分が大きく、そうなると売り方の問題になってしまうので彼にとっては大変に不利であったであろう。ややパワー押しだが、そうかといって弘田三枝子や中尾ミエ、青山ミチ辺りに比べるとはちきれておらないようであるし、キュートというにはゴツゴツとしすぎた歌い方であるし、どうも自分の利が生かせなかったとしか言いようがない。千秋恵子は「ボーイハント」一曲だけの収録で何ともいえないが、前二者と比べるとやや大人の雰囲気が漂う。但し、花に欠ける。どうもテイチクという会社自体に戦前から現在まで続く渋いというか地味というか踏ん切りのつけられなさが一本通っているようにしか思えない。

V.A.

東京ビートニクス キング編 Vol.1

CD キング KICS357

10何年かかってやっとハイパノラミックシリーズの初弾が全部揃った。サックスが入っていた頃のブルージーンズがやっと聞けるのが楽しみだったがサックスバリバリのロックコンボ演奏で言われないとそうだと判りませんわ。ロカビリー時代の名演を集めた名シリーズなだけにおしゃれでかつ分厚いビックバンド演奏や嘆くようなジャズコンボ演奏を聞かせた曲が多いが、ダークダックスの「ドンドロツイスト」など、おいしいところはその後出たコンピなどに収録されているものが多い。しかし、これでしかCDとしては聞けない曲も多く今猶多く、このシリーズの先見の明の鋭さを思わずにいられない。

ザ・ヒット・キット・オーケストラ

草原の輝き/ゴールデン・ポップス

LP コロムビア YS10046J

森岡賢一郎編曲指揮の喫茶店系和もの。基本的には歌謡オーケストラ編成でそれにジャズの名手がそれぞれ楽器のソロを無難に弾くという趣向。独自な解釈に走った曲はなく、目的に忠実な一枚。ただし、ビート時代の曲であるので、それなりにビートには気が使われており、荒々しいドラムの息遣いも聞こえる。「シーシーシー」ではド派手なファズギターも聴ける。

殿さまキングス、ブルー・キャンドル

宴会ソング大行進

LP テイチク SL126

大当たりする前の殿キンとハッピー&ブルーの前身バンドによる「お座敷小唄」「カスバの女」と兵隊節と寮歌と軍歌と民謡のカバーアルバム。何故か「ズンドコ節」はドリフタ―ズのものの歌詞。ブルーキャンドルとクレジットされているものでも実際に聞くとどう聞いても殿キンがリードをとっている曲(民謡のカバー3曲。)があり、実際には殆ど殿キンのアルバムと言ってよい。ドリフターズのカバーは本家に忠実に激しくグルーヴィーなベースが暴れ回り、なかなか迫力がある。殿キンはよりコミック味を強調するために台詞を追加したり、ジャズ「崩れ」のコーラスを入れたりするなどの工夫が見受けられる。こと「黒田節」「会津磐梯山」の出来が良い。変らぬ殿キンの魅力を感じられて良い。なお、NL2428が同内容のアルバムのようだが不詳。

寺内タケシとブルー・ジーンズ

レッツ・ゴー・スキー!

17cmLP キング SS116

名曲・「スキー・ア・ゴー・ゴー!」を含む冬に関する曲を集めたコンパクト盤。壊滅直前の第一次ブルージーンズの脂の乗り切った演奏が楽しめる。この題材をこう仕上げてくるかという驚きに満ちたガレージ的な編曲で寺内タケシのギターも快調。パンク的なオルガンも聞き応え十分。何より冬ものだから北欧エレキ風に仕上げようとか問う言う野心が全くないのが潔い。特に強烈な演奏なのは「雪山讃歌」。トレモロ奏法が冴え渡る「スケーターズワルツ」と併せてバニーズへつながっていく線が見える。

奈見英生とザ・ココナッツ

ミノルフォンヒットシリーズ

17cmLP ミノルフォン KA5003

名前の通り、ハワイアン系ムードコーラス。「他人舟」などをカバーしている。41年の発売だが、初期マヒナスターズの影響が強烈。真正面にすえられたスチールギターにウクレレと電気ピアノがからみやや壊れたコーラスの録音のあまりの貧弱さが五年ほど時計の針を戻す。蓋しマイクの数足りぬか。皆遠藤実作品だが「片想い」は昭和30年代的ではあるがハワイアン系ムードコーラスグループの妙味が溢れている。三船和子の「他人船」などもやっているが、言わば0世代のムードコーラスが偲べる。

ジョージ山下とドライ・ボーンズ

おさけ

EP コロムビア SAS826

レッドミナーレのバージョンはCD化されているが、オリジナルはこれ。ジャケットが侘しすぎる。

「越天楽」風のイントロから乗りの良いパーカッションと気風のいいコーラスに載ってしっかりしたボーカルが曲を引っ張るがブルー・ジーンズ張りに動きまくるエレキギターが無駄にかっこよい。B面はピアノがリードするウエスタンに起源があると思われる囁き入りの三連バラード。タイトルは「泣き虫野郎」だが、他の歌手にも同名の歌があるので競作だろう。

久保内成幸とロマネスク・セブン

新宿エトランゼ

EP コロムビア SAS1184

彼らのチャート上最大のヒット。A面はCD化済み。B面は初期演歌の風情だがビヨンビヨン跳ね回る口琴を面白がっていると、唐突な歌詞のサビの歌われるとそのまま尻切れトンボのように終わってしまうのがなんとも強烈。何だ、これ。いきなり背負い投げを食らったような気分に襲われる。

ハニー・ナイツ

哀しみの涙

EP テイチク US804

ハニー・ナイツは売れてよかったのか悪かったのかよくわからない。イントロ一発目の管楽器のフレーズは異常にかっこよく色々なものを期待させるが、そのまましぼんでしまったような感じ。ハニーナイツなので整理も良く行き届いているし丁寧なのだが、女性ボーカルがやや物足りない。盛り上がりにも欠けるいかにも凡庸な歌。B面は「ヘイ・ポーラ」みたいなもので男女掛け合いなのをいいことに埋め草で作ったものだろう。

島望とファンタジック東京

島を愛する

EP テイチク SN1164

利尻島、礼文島を歌う唱歌風のナンバーだが名前だけが出てきて具体的に風物が歌われているわけでなはない。同じテイチクの東京ロマンチカの「小樽の女よ」に音の作り方が似ており、或いは何らかの影響あるか。ファルセットとサックス重視。B面も東京ロマンチカを意識したと思われる北海道ものだが、どちらかといえばジョイベルス東京を思わせる。ある人曰く、オリジナルは東京エコーズだという。或いはなんらかの関係あるか。

克美しげる

変身

EP 東芝 TP2678

ある人にご教示いただいた、変身願望を大義名分にして仮面ライダーのショッカー怪人の名前を次々と歌い上げる有名カルト曲。曲自体は「オブラディオブラダ」と「自動車ショー歌」を合わせたようなもの。怪獣とかおとぎの国とかというようなキーワードが出てくるのでマニアは突っ込みたくて仕方なると思うが、サビに「アリガバリ」とか「アリキメデス」とか「ガマギラー」とか出てくるのに免じて許して給れ。B面はいかにも70年代初頭の歌謡曲という曲で、内田あかりの「浮世絵の街」に通じるメロディー。しっかりしたベースラインと壷を押さえたホーンセクションがいい味。

 

20.5.4 久しぶりの通常の購入。

小山ルミ

ドラム・ドラム・ドラム

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1232

当時8トラで発表されたものの復刻。「恋の追跡」以外は初復刻。タイトル通りドラムが強調されているが、8トラと言うことで色々と試そうと思ったのか物凄い位相で収録されていて妙な迫力がある。誰が叩いているのかと言えばノンクレジットだが多分ジミー竹内あたりではないかと思う。ただし、ドラムよりもとにかく小山ルミのボーカルが魅力的で、ドラムは薬味の域に留まり、最後は小山ルミすごいなあという感想しか残らない。考えてみればテイチク移籍後の小山ルミはニューロックをディスコやジャズ喫茶でこなしまくった数少ない女性シンガーであって、後世からみた芸能的な立ち居地や美人過ぎるルックスのおかげで歌謡曲歌手扱いされておるけれども、ちょっと歯車の向きが違えば例えば麻生京子やカルメンマキあたりと並べられている可能性も十分にあったわけでその辺の強烈なグルーヴ感がボーカルから漂ってくるのがすごい。朱里エイコや欧陽菲菲の大ヒット曲と並んで(これもまたえらくグルーヴィーな仕上がりだが)、マジックランタンズのえらく渋い曲の日本語カバーが平然と歌われているのもこの人の本来立ちたかった場所が示されていて面白い。

小山ルミ

さすらいのギター

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1233

当時発売されたテイチク時代の途中までのシングルを全て網羅したベスト盤の復刻。どちらかと言えばヒットを狙うにはやや地味目と言わざるを得ない。本来ならへなへな行きそうな曲も多いのだが、小山ルミという歌手だからこそ成り立っている危ういバランスに緊張感が溢れている。最大の聞き所は、昔何も予備知識なくいきなり聞いたときにてっきりアニメソングだと勘違いした「グット,,がまんして!!」か。この人の持っている退廃感が後退しながらも天性のグルーヴ感は損なわれておらず非常にキューティー。最初期の山本リンダをやたらに上手くしたような感じだが、要するにまだどういう路線でいったらいいのか迷いがあったのだろう。そういうものが成功に結びつくのは非常に希だがこれは別格。シングルB面ながらA面を差し置いて収録されかつオリジナルのB面冒頭を飾っている「薔薇のことづけ」は破格の扱いもわかるよくできたグルーヴ満点の佳曲。

この人の持つ天性のグルーヴ感は今現在最も受けの良い風によくあっておるので、その辺りが再評価されている原因なのであります。歌謡としても卓越しておるけれども、そういうものがないと歌謡の復刻は風を得られないのであります。嗚呼、つくづく黒沢進大人の偉大さに惜涙を流さずにいられない。

20.5.2 入院中に買ってみる。

ワイン・ローズ

なのにあなたは知らんふり

EP ビクター 17VP2099

トランペットやピアノも入ったディスコ系のバンドのハイテンポな演奏をバックに所謂ホスト系のボーカルが粛々と歌ういかにも昭和50年台中盤らしい曲。自主制作だろうから、このクウォリティーを保持しているのは立派。無駄に刻みまくるベースがかっこいい。B面はパープルシャドウズを思わせるはねるリズムを使ったクールな哀愁歌謡。何気にコーラスがうまく使われている。聴く限り、ワイン&ローズと何か関係があるのかどうも判断しがたい。

グラス・ロード

旅立つ船

EP ミノルフォン KA413

未だにどういう人たちなのか今ひとつよくわからない男性デュオの結構売れたシングル。まったりとした導入とそれを打ち破るようなサビの対比が見事だが、曲の出来としては今ひとつ。なんだかコーラスが怖い。ベースはおそらくR&Bだろう。B面はホーンセクションを大胆に使用しているが、最終的にはサンタナをしようと思ったんだと思われる。この人たちは何をどうしたくてそこに来たのかよくわからないので困る。

サベージ

恋愛特急

EP ポリドール DR1827

「日本ロック紀」に存在がほのめかされているもののあまり認識されていない再結成サベージが出した一枚。ジャケットは完全にムードコーラスのそれ。大げさなイントロで始まるが、要は「君こそわが運命」の翻案で、安全策に流れた三連ロッカバラードというかもうそのまま。GSのサベージの音楽は皆目ないし、エレキの音はもっとない。B面はややギターを前面に出しているが音として目立つというだけで、サックスがリードをとったりするアダルトポップス歌謡でこちらにもGSもエレキも感じられない。結局何がしたかったのかよくわからない。

ジューク・ボックス

若者の四重奏

EP キャニオン A69

コンセプトがあまりに前衛な、とっちらかった音楽性で知られるジャニーズの男性アイドルグループの四枚目のシングル。ハードなビートに載った退廃的な曲で、厚ぼったいベース音やド派手なギターのウーマン・トーンやのりまくるホーンセクションなど、このグループで聞いた曲の中では「恋にしびれて」と並ぶ名演。B面はウーマントーンを前面に押し出しているが、曲はコロムビア時代初期の堺正章を思わせるR&B系ソフトロック。いかにもB面曲。

レモンパイ

恋はスパーク!

EP コロムビア PK126

この人たちはなかなか魅力がある人たちなのだが、どうやったらもっと売れたんだろう。ボーカルはキーとか思いっきり外れていてやや乗り切れていないようだが、曲それ自体はこの時代のハコバンの出すロック的なのりがあり、またボーカルもこなしきれていない故の妙な疾走感がある。若いアイドル歌謡に求められる生き急ぎ感を感じるのでこれはこれでよい。B面は更にアップテンポでまとまってはいるのだが、ややアイドルロックとしては薄い。

とし太郎&リバーサイド

陽よりまぶしく風よりはげしく

EP アルファ ALR1009

深町純に見出されたという「スポーツロック」を売りにしたポップバンド。「原田真二、世良公則を凌駕する」期待があったというが・・・。曲はサッカー大会のテーマソングらしくサンバホイッスルで始まる16ビートのポップスでホーンや激しいギターも使われており、小さくではあるがよくまとまっている。ただしこれが売れそうかというと・・・。詩は阿久悠でなかなかよい。B面はリーダーでボーカルの人の自作曲だが、取るところがない。凡庸。何故か自作のはずのB面のほうが歌唱が頼りない。

ニュー・ホリデー・ガールズ

ラブ・マシーン

EP ソニー 06SH472

ミラクルズのカバーではなくてドナ・サマーの「ワンス・アポン・ア・タイム」のカバー。この人たちも上手い。一時期日本の歌謡界にはドナサマー歌謡というジャンルがあったということを今に伝える。夜明け前の曇天のような不吉さが漂ったボーカルは他のグループではなかなかこう上手くは行かない。B面は本来の彼ららしい手拍子入りの正統派コーラス作品で重ね方が何とも流麗。ボーカルのスタイルにポピーズあたりと同じようなものを感じる。これも滅べる音楽か。

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