これ買いました平成21年3月

 

21.3.29 肉の日。憎らしい日。

間寛平、島田紳助

えっ!さよなら

EP SK SK001

聴取中。あとでダウンタウンの二人もそれぞれリリースする島田紳助の自作曲。SKというのはシンスケ・カンペイのイニシアルをとったプライベートレーベルだろう。

 

21.3.28 レコード狂いはとりあえずあと少しで一休み。とりあえず聞こうよ。

原トシハルとBアンドB7

ヒットソングをフォークタッチで!

LP ビクター SJV222

41年の「フォーク」ブームにのって当時の主にビクターのヒット曲を料理した一種のニューリズムもののアルバム。思うに、このころのビクターはフォークをニューリズムの一つとして捉えていたのだろう。おそらく彼ら唯一のアルバムで、コーラス主体の組み立て方は後のファイブキャンドルズあたりのサウンドと相通ずる。ビートの効いた曲もいくつかあり、特に「アイビー東京」には生き急ぐような巻いたビートがあるが、これは例外でプレ・ソフトロックと言えばよいのか、ソフトロックが生まれる前なので仕方なくムードコーラスをしているというようなサウンドと言えばよいのであろうか。あと3年遅く出てきていたら、ソフトロックにせよ、ラテンバンドにせよ、ムードコーラスにせよ、今ほど名前が沈まずに残っていたと思う。それにしても例えば加山雄三やマイク真木のような手本がいるにもかかわらず、それらとも、またスパイダースやサベージなどのフォーク・ロック・グループ(GSと言われる前の呼称)の方向にも行かずこういう独特なサウンドに行くというのは余程何か捻じ曲がった事情があったのではなかろうか。特に感想なし。

 

21.3.27 なんとなく。

大瀬しのぶ

モテモテ音頭

EP パイレーツ RWT3005

聴取中。「幻の名盤」。

原子力

女のいのち

EP 東芝 4Rs452

聴取中。字面だけ見るとパンクバンドみたいだが、単にこういう名前の人で(「まじかるタルるートくん」で同名のキャラクターがいた。)、そのインパクトから無駄に有名。

 

21.3.25 人事異動。

殿さまキングス

情熱のルンバ

EP ビクター SV9159

末期のシングル。A面CD化済み。B面はモダンなタイトルからは想像もつかない小椋幸子と宮路のデュエットの完全な演歌。二人のテンションの高さが微妙に違って二人がハーモニーをつけるサビでのずれが気になる。

ロス・インディオス

大阪ものがたり

EP ポリドール SDR1425

忘れ去られたヒット曲。A面はLPで持っているが、正直ロス・インディオスには似合っていない。B面はラテンの発想ではあるが、バイオリンとハープから始まるピアノに載ったヨーロッパの映画音楽からの強い影響を感じる丁寧なナンバー。同時期の筒美京平がやりそうなアレンジだが、この編曲は川上義彦。

寺内タケシとブルージーンズ、深沢ジョー

燃えた翼

EP キング HIT799

歌うブルージーンズ。鹿内孝の筆によるフォークバラード。ブルージーンズでやる意味がよくわからないが、小品。B面はフォークというよりもカントリー&ウエスタンの直系の子孫といった感じのバラード。これもブルージーンズの長所が踏まえられていない小品。ブルージーンズのボーカルものはあたりはずれが大きい。

 

21.3.25 人事異動。

ザ・ピーナッツ

ウナ・セラディ東京〈ザ・ヒットパレード第5集〉

CD キング KICS1439

続くカバー、オリジナルチャンポン路線。この時代のピーナッツにはサンレモ音楽祭臭がかなり強く、カンツォーネを始めとする欧州大陸のポピュラー音楽が偉いものとされていた時代の遺風を感じる。後のGSの頃にもR&Bがそんな感じに取り扱われていたが、ピーナッツがそれと一線を画するのはカンツォーネを完全に消化しておって、ともすれば民謡やムード歌謡になったりするGSのR&B理解とはレベルが一段違う。この「理解」は編曲の東海林修によるところが大きいのだろうけれども、それにしても押しなべて日本語で歌われるとどれが洋楽でどれがオリジナルなのか全く区別がつかない。そういう点でまことによくとりまとまったアルバムである。一曲だけ混じったフォークの「花はどこへ行った」も穏やかな曲であることもあって違和感はない。未発表曲は後に少し手を出すムード歌謡路線の曲で、昭和40年の録音ということを考えると異常に洗練されている曲。演歌と同一視される以前のムード歌謡の元が見受けられる。

ザ・ピーナッツ

アモーレ・スクーザミ〈ザ・ヒットパレード第6集〉

CD キング KICS1440

ついに12曲も入ったアルバムの時代に。ドイツ発売予定曲の日本語歌唱音源の収録やえらくマイナーな表題曲をフィーチャーしているから、ヨーロッパを意識しているのかと思えば、「私を愛して」のカバーなどもあるけれども、「ドナドナ」や「返しておくれ今すぐに」などこの年のフォーク・ブームの影が大変に差し込んでいる。歌唱などには全体に慌しい雰囲気が漂い、かなり急ごしらえなアルバムではなかったかと推察できる。演奏の方はどっしりした安定感があり、ドリーミィだが、エレキギターの登場など時代の移り変わりが確実に反映されている。全盛期だから出来た荒業的なアルバムというべきか。ドイツ発売曲は、「東京ブルース」は全体的にはハードボイルドでいいのに、琴の無理な日本情緒が雰囲気をぶち壊しにしておって、坂本九以後の日本のトップアーティストの欧米進出失敗の典型的な例になっている。「東京バイナイト」の方はアメリカのミュージカル音楽的だがこれも急ごしらえなのか余りこなしきっていないように聞こえる。

ザ・ピーナッツ

ヨーロッパの旅〈ザ・ヒットパレード第六集〉

CD キング KICS1441

何故ピーナッツは第○集の管理がいい加減なのか。第4集に続き第6集も二枚。こちらはそうなった理由が全くわからない。ビートルズ日本公演前の明鏡止水的なカバーポップス界の現状がトレースされたような印象があり、全体的に飽和状態にまで来たカバーポップスの円熟さと奇妙なまでの安定感が漂う。事実所謂ピーナッツのカバーポップス路線はここで終わり、ディスコグラフィー的には、以降はオリジナル曲が余程に重視され、カバーものはアルバムでの企画もの程度の扱いに変更されていくのである。そういう意味では30年代のザ・ピーナッツの終焉を告げるアルバムであり、音楽の英米集中化前の最後の栄光を伝えるアルバムであるといえよう。それにしても「太陽のかけら」あたりを聞いているとキングレコードのグループであったという事実が改めて感じられる。オリジナルの比重は低いがラテンナンバーの「明日になれば」がラストをかざっており、これがスパイスになっている。かようなわけで、第一期ピーナッツのラストアルバムと位置づけてよいと思われる。ボーナストラックはドイツで発売した曲の日本録音音源。ドイツ人の作った曲で日本情緒はほとんどなく、ちゃんとアーティストとして扱っていたことが伺われる。

ザ・ピーナッツ

デラックス

CD キング KICS1442

初期ヒット曲の再録音を含む集大成的なアルバム。A面相当はオリジナル曲、B面は今からみればスタンダードナンバーだが、当時としてはかなり最近の曲まで取り上げている感じであろう。今回初CD化となった「セプテンバーソング」は古いミュージカル曲だが、見事にボサノバに纏め上げられていて、ここまで捨てておかれたのが不可解な出来。ほかもビート時代に突入している時代背景を見事に体現し、2年ほどあとに録音されていても全く不思議でないアレンジのもの、例えば「舞い・ファニー・バレンタイン」や同じく見事なボサノバとなった「ムーンリバー」なども見受けられる。上に述べた「第一次ピーナッツ」の取りまとめと新ピーナッツの立ち上げに、おそらく図らずもなっているアルバムといえよう。オーケストラのサウンドが前後になく濃厚なのが豪華なイメージを煽る。アルバム構成としては黛ジュンのファーストアルバムの影響あるか。

ザ・ピーナッツ

ゴールデンデラックス

2CD キング KICS1443/4

前作に続くベスト盤路線とコンセプトアルバム路線のハイブリッド。ベスト盤部分は前作で再録音をした音源のほか再録音・再々録音した音源も含み、当時の最新曲を含むなどある程度の配慮がある。分厚いオーケストラを配した曲が多く、実際には存在しなかった50年代の豪勢なイメージが再現されている。ザ・ピーナッツが昭和30年代的なイメージが強いのはこの時期の意図的なイメージ戦略があるのだろう。一方でエレキも随所に配されていてGS時代が様々な音楽の共存の最後の時代であったことを痛感する。これ以後はわざわざモンドなどと言い訳をしないとワールドミュージックに手を出せなくなるのであった。これを違和感や反発なく成功させているのは本人や宮川泰を中心としたスタッフの研鑽の結晶だろう。全体的にはボサノバアレンジに頼るところが見受けられるが、なんにせよ大変におしゃれである。後半の当時の新進の作家たちの筆によるオリジナル曲はグルーヴ歌謡路線の「ガラスの城」から始まるが、これもゴールデンハーフの登場よりも早いわけだから相当に先取的であるほか、どれも宮川ピーナッツとは違う時代の風を受けた曲で、逆に世に残るのとは違うが、ピーナッツのレンチの広さを浮き出させるのに成功している。ここでもボサノバに頼る傾向が見られる。最後を飾る世界名作シリーズは世界の有名文学作品を歌謡化したもので全てオリジナル。特記はないが「恋のオフェリア」は「ハムレット」から取ってきたとは思いつかなかった。正体不明の中村五郎はなかにし礼か。

和田弘とマヒナ・スターズ 三島敏夫

愛のふれあい

EP キング BS1876

聴取中。三島敏夫をフィーチャーしたシングル。

花里あけみ

花かげろう

EP ミノルフォン KA150

この人は後で藤井明美とか立木久美子という名前になって長く歌手をやった人で麻丘めぐみのお姉さんである。娘さんも立木久美子の名前を継いで今歌手をして侍る。古色蒼然とした唱歌調のワルツ演歌で大正時代の曲のようなメロディー。アレンジも一世代古い国民歌謡や一部の清純派の青春歌謡のようなもので、時流に合わず。B面はトシ伊藤とザ・プレイズメンの「紅の海」。エレキ時代の洗礼を浴びているが、ビートはなく、ムードコーラスというよりも同時期にフォークと称して売り出されていた曲群に近い感触がある。マヒナスターズの影響を残しつつロス・プリモス主導のムードコーラスブームでよく見られた曲調への転換をしている最中の過渡期の貴重な記録。ユニゾンで通しているのもハワイアン系バンドとは思えない処理だ。

21.3.24 いよいよ明日。

花菱エコーズ

西海ブルース

EP 東芝 TP2129

これがオリジナル。A面CD化済。B面は昭和30年代の青春歌謡のような曲で、田舎から集団就職で出てきたばかりの若い男女がつかの間の恋を楽しんでいることを歌っているものと思われ、歌声喫茶で合唱を聞いているような妙な青臭さがある。時代的にちょっとだけ遅すぎるテーマではあるが、悪くはない。

21.3.21 目が。

秀樹と影武者

夜・・・・・・酒組

EP テイチク RS214

聴取中。有名盤。タモリ作詞、小野ヤスシ作曲。門外漢の芸能人に曲を作らせるという某番組で行ったコンペで優勝した作品をカバーしたもの。オリジナルは団しん也。B面作曲、宮西渡。スナッキーズ、ワルノリーズの流れの中のバンドか。

クレスト・フォー・シンガーズ

スマイリング・オーバー・ユー

EP ディスコメイト DSK201

マクドナルドのCMソングだったらしい。ファーストシングルに立ち戻ったかのようなハッピーポップス。彼らのジャズコーラスグループとしての素養を最大限に生かし、CMソングに求められる快活さ明るさを見事に体現している。このグループの最高傑作と言ってよかろう。ディスコメイトでなければその手のコンピに収録されていただろうに。まことに惜しい。B面は更にジャズの要素を強めており、これも出来が大変に宜しい。実力派グループが落ち着くべき地点にようやく落ち着いた感がある。間違いなくこのグループの確認している五枚のシングルの中で最高傑作であろう。オススメ。

屋台のおっさん

からっけつ節

EP ビクター SV1260

「幻の名盤」。自作のポルカでピアノを中心とした簡便な編成のバンドをバックにしていい気持ちで鼻歌を歌う。本当におっさんがくだを巻いているような内容。一箇所泣きながら歌うのが面白いといえば面白い・なんと言うこともない小品。B面CD化済。御馴染み。人生相談募集みたいなこと書いてあるけどどういう人なのか。

屋台のおっちゃん

デンデラリュウ

EP キング GK78

本当に上の人と同じ人なのだろうか。声は同じなのだが。長崎の俗謡をカントリー調で。誠に快調。韻を重ねていくコミックソング。B面は望郷演歌。ただし一番は木曽、二番は大塔村、三番は嵯峨が舞台となっており、よくわからないチョイス。これも鼻歌風でいい湯加減で一節という雰囲気。

ジュン池内、すずらん姉妹

一目惚れ小唄

EP コロムビア SAS1203

「幻の名盤」。お惚気お座敷小唄歌謡だがふにゃふにゃしたジュン池内のボーカルとやたらに熱烈で鋭いすずらん姉妹のボーカルとコーラスが強烈な印象で面白いが、曲自体は一体何番煎じなんだという感じでヒットには縁遠そう。B面CD化済。池内のボーカルの印象が両面で全く違うのは巧者である証拠。ちなみに今赤坂でバーをやっておられる。すずらん姉妹は弟子か。どうでもいいがペア・スズランってのはこのすずらん姉妹の変名に過ぎないのに変なことを書いているサイトが多すぎる。

高木たかし

この街を出てゆこう

EP コロムビア SA1032

聴取中。スパイダースとかをバックに歌っていた青春歌謡歌手のヒット曲。

ノンノン

三つの花

EP ビクター SF48

A面本体入手。ダウンビーツのカバーだがダウンビーツのレコードを聴いてカバーしたのではなく、彼女たちの周囲で伝承的に伝わっていたものなのだろう。B面は自作でジェノバとは別。フルート入りのシモンズライクな中道フォーク歌謡。やや音程が危なっかしい。

ふりそでシスターズ

十三夜

EP テイチク SN276

聴取中。小笠原美都子の大ヒット曲のカバー。

笑福亭仁鶴

大発見やァ!

EP テイチク A46

宮川泰。爆裂するオルガンと厚いオーケストレーションが引っ張るマイナーなグルーヴ歌謡で、これもベースラインがぶりぶり唸って度肝を抜かれる曲。独白部分にはタヒチ民謡の影響も伺える。B面はギターソロに乗って歌われるノスタルジックな子犬に対する哀傷フォークソング。こういう淋しい歌を歌うとこの人のボーカルは効く。

菅野ます美

くちべに天使

EP 東宝 AT4014

聴取中。

桑原まゆみ

ひとり花

EP トリオ 3B180

聴取中。演歌のマドンナ。

エド山口

フル・スロットル

EP RCA RHS85

聴取中。沖山優司の「東京キケン野郎」と並ぶ復古エレキ歌謡の傑作と言われている一枚。

 

21.3.18 三連休でよかった。

東京パンチョス

エキサイティング・リサイタル

LP ポリドール SLJM1008

結成10年を記念しOBらも参加したライヴ盤。メンバーには後にマスタッチファイブやペドロ&カプリシャスで活躍する斉藤不二夫の名前も見える。ビッグバンドによるジャズないしラテン演奏が楽しめ、昭和30年代のクラブ、キャバレーとはこんな感じであったかと偲べる。流石に当時人気のあったバンドだけあって白熱した演奏である上、東京キューバンボーイズあたりよりもシャープでやや通俗的な部分が見受けられ、歌謡曲やジャズの歌手に対してより近いスタンスであった彼らのサウンドがおそらく図らずも反映されているのだろう。やっている曲も6曲中3曲がリーダーのチャーリー石黒の筆によるものでこのあたりも東京キューバンとは対照的な選曲といえよう。これらの楽曲にもプログレ的な大作もあり単なる通俗的なビッグバンドではないぞとの強烈な意識とこのライヴにかけた燃える様な気迫を感じる。このチャーリー石黒とは森進一やクールファイブの師匠格に当たる城美好その人なのだが、ボーカリストとしても上手くはないものの味のあるところを他でも聞かせており、このアルバムでも「レイチャールズヒットメドレー」で「僕は自由」(「アンチェイン・マイ・ハート」がこのタイトルでクレジットされている。)で恐ろしく剥き出しで荒々しくそのくせ緩いボーカルを聞かせている。中々楽しいアルバム。

チャイノとアフリカ打楽器隊

野生の叫び

10インチLP ポリドール SLP1002

10年ぐらい探していた一枚。表題曲は要注意歌謡曲。要注意歌謡曲指定は受けていても洋楽で(実は歌謡曲という言葉はそもそもは洋楽を示す言葉であった。)アメリカのパーカッショングループがアフリカやカリブの楽曲と称するものを演奏したもの。真偽はよくわからないが、多分本当に現地の曲をカバーしたものなのだろう。所謂エキゾの系譜に属するサウンドで、暑苦しいことこの上ない。昭和30年代では日本で中々聞けなかったベースドラムやスティールドラム、ホロー・ログなどが使われている。パーカッショングループなのでボーカルものは数曲に留まるがなかなか味のあるボーカルを聞かせる。要注意歌謡指定の理由はおそらく人種的偏見を煽ることによると思うが、寧ろこれを人種的偏見と取ってしまう了見こそ批判されるべきだと思う。ものすごいサウンドだということで有名であったが、期待が高すぎたせいか、こんなもんじゃないのというところが正直な感想。

ザ・ぴんぼけ

盛り場怨歌

EP クイーン QN1003

聴取中。ボーイズ。自作。

鶴岡雅義と東京ロマンチカ

人ふたり

EP コロムビア X32

 穏やかなフォーク調の作品で、シモンズを思わせる。ギターはもちろんだが、ストリングスなども清新で、歌詞も儚い純愛を歌い上げており、プリティグッド。目先が変わったシングル。三條がリードを取る。B面はバロックなワルツ歌謡。これもフォーク発想で、穏やかな曲想が誠に沈鬱で耽美的。こちらは浜名がリードを取っている。両面ともロマンチカの度量の大きさが前面に出た作品と言えよう。

マハロ・エコーズ、矢野ゆう子

コモエスタ赤坂

EP ビクター SV713

A面CD化済。矢野ゆう子とは「サザエさん」で有名な宇野ゆう子。B面はマハロだけで三連バラードを披露しているが、どうにも不思議なのはこのグループを立ち上げたはずの佐々木敢一の動向である。このシングルでは既に脱退しているのか、参加しておらずいつのまにかマヒナに復帰していたのである。かように曲よりも周辺の状況のほうが気になるシングルである。

 

21.3.16 気になる歌手がいるが名前がわからない。

アリーバ

冬木立

EP キャニオン 7A0518

 どうもこれがデビュー曲らしい。末期のクールファイブ路線の曲だが、ボーカルがソフトタッチ且つジェントルなために全然違う印象がある。このシングルのあとはリコ福村とアリーバという名前になるが、その時分の曲にあるクラシカルな要素が見られず寧ろラテンのアレンジが付加されていることから、まだ方向が十分に定まっておらなかったことが推察される。B面はラメントを名乗りながら意外にダンサブルなつくりをしておりタンゴ歌謡に近く、軽く踊れる哀愁歌謡というのが早い。このグループの初期が意外に純粋なラテン路線であったことがわかったのは収穫。

 

21.3.13 俺が死んだら三途の川でヨ鬼を集めて相撲とるよ。

サニー・トーンズ

山賊の唄

EP キング BS826

のちのブレッスン・フォー。これがデビュー曲。もともとは早稲田のグリークラブから出てきた人たち。篭ったような声が特徴でデュークエイセスらに比べると少し暗さが付きまとう。この曲は童歌調だが、編曲としてはウエスタンを念頭においているのかもしれない。B面はGS時代を反映してのどかながらもビートを利かせた大阪弁の猥歌だが、歌い方からむっつり助平になってしまって、もう少しさわやかに歌ってギャップを楽しむ歌になるはずが洒落にならないドエロな歌になってしまっている。

東京クリスタル

誘惑

EP クラウン CWA243

A面CD化済だが、ジャケットが二種類あったとは・・・。B面はクラシカルで狩人の路線を狙おうとしたものの思ったよりも本人たちの線が細かったのであろう。どうも歌い馴染んでおらず、何となくごちゃごちゃとして整理のついておらない歌である。

島倉千代子、牧秀夫とロス・フラミンゴス

クラブがはねたら

EP コロムビア SAS735

聴取中。ものすごくジャケットがかっこいい。

和田弘とマヒナ・スターズ

白浜ブルース

EP ビクター SV115

聴取中。B面は松尾和子。

和田弘とマヒナ・スターズ

別れたあの夜

EP ビクター SV192

聴取中。

和田弘とマヒナ・スターズ

可愛いあの娘

EP ビクター SV154

聴取中。インドネシア民謡の日本語カバーで各社競作。

和田弘とマヒナ・スターズ+松平直樹、田代美代子

愛して愛して愛しちゃったのよ

EP ビクター SV237

聴取中。A面CD化済。大ヒット。B面はマヒナだけで「泣き曜日」。

和田弘とマヒナ・スターズ

京の川

EP ビクター SV295

聴取中。

和田弘とマヒナ・スターズ

北国は寒いだろう

EP 東芝 TP1435

聴取中。ヒット曲。

和田弘とマヒナ・スターズ

あの娘に逢いたい

EP 東芝 TP1472

聴取中。東芝っぽい。

和田弘とマヒナ・スターズ

あなたのうわさ

EP 東芝 TP1575

聴取中。

和田弘とマヒナ・スターズ

花化粧

EP 東芝 TP2057

聴取中。

大形久仁子・松平直樹、和田弘とマヒナ・スターズ

私って駄目な女ね

EP 東芝 TP2070

聴取中。A面CD化済。大ヒット。上岡龍太郎作詞。

和田弘とマヒナ・スターズ

ブルー・ナイト・イン札幌

EP 東芝 TP2170

聴取中。ヒット曲。

真木亜矢子・三原さと志、和田弘とマヒナ・スターズ

待たされて

EP 東芝 TP2251

聴取中。雰囲気のいいジャケ。

和田弘とマヒナ・スターズ

迎えに来たよ

EP 東芝 TP2849

聴取中。

和田弘とマヒナ・スターズ

泣くな片妻

EP ビクター SV6329

聴取中。

三原さと志、松本和子、和田弘とマヒナ・スターズ

愛のしんきろう

EP ビクター SV6553

聴取中。

和田弘とマヒナ・スターズ

男の酒場

EP ビクター SV6599

聴取中。各社競作。

和田弘とマヒナスターズ

もしかしてナオミ

EP ビクター SV9355

聴取中。ロス・インディオス&シルビアがいかにものすごい衝撃であったかが如実に現れている。

梁川雅彦・影山ミキ/和田弘とマヒナスターズ

癪だけど惚れてます

EP ビクター SV7353

聴取中。大体バンドの人数が減っているときはそのバンドの威力が落ちてきているときである。

大谷みのる&ラブコール

昨日の女

EP 東芝 N4R5040

聴取中。このグループは知らなかったけれども、阿久悠作品だった。

松井久とシルバースターズ

もう離さない

EP キャニオン 7A0105

これがラストシングルなのかなぁ・・・。トランペットのソロから始まるアローナイツ風の中庸なムード歌謡。コーラスも申し訳程度に入っているだけであのエックスのサウンドがここに着地するのかという驚きがある。最後まで自作自演を貫いたのは立派。B面はレキントギターが主役の作品でサザンクロス風。もっともボーカルはあんなに高くはないけれども。これも自作。

池田進とグリーン・アイズ

女のまごころ

EP ポリドール 7DX1311

どうもこのバンドがレコードで自力演奏しているのもコーラスをしているのも聞いたことがなかったが、これにはちゃんとコーラスが入っている。かつてリリースした曲のリメイクで、以前のものとあまり違いがあるわけではないが、こちらの方がコーラスが入っているので聞きやすい。B面はテレサ・テンとは別で、サビやポイントでファルセットにリードをとらせるという、このバンドの消極的なレコードの制作姿勢からすると破格なつくりの純歌謡。このバンドに対する見方が少し変わった。

三浦弘とハニー・シックス

雨に歩けば

EP ビクター SV7471

ハニー・シックスのちゃんとしたディスコグラフィーが知りたい・・・。この歌はシャネルズあたりを狙いながらやってみたらやっぱり歌謡になってしまったドゥーワップを下敷きにした擬似オールディーズ歌謡。「ダイアナ」風。キングトーンズがやったらまた別の結果になったのではないか。B面はサムソナイツともクールファイブともロス・プリモスとも別の曲で一瞬ウェディングピーチの主題歌かと思うが、すぐに立ち直り女声コーラスも従えて急ぎ足且つ展開めまぐるしい純歌謡。なかにし礼の「仮面舞踏会」に雰囲気が似ている。

松平直樹と山本恵子

とまり木恋唄

EP MTR MPS1014

自主制作盤か。A面は松平直樹と山本恵子のデュエット。昭和54年の発売の割にはモダンな全国縦断もののムード歌謡だが、二人とも流れるようなボーカルではなく自分が置きたいところに音を落としていくタイプの歌手なのでえらいことになっている。B面は松平直樹とブルーロマンとして箱崎晋一郎の名曲のカバー。イントロなしでいきなりコーラスから入るのは斬新だが、もともと崩れた歌い方をしている歌を更に崩すから何だかよくわからない状態になっている。

アカシヤ・シスターズ

結成7周年記念アルバム

17cmLP 東芝 SE3E7007

女性四人の歌謡系バンドで、四人がそれぞれ一曲ずつソロを取っている四曲入りのミニ・アルバム。それぞれ曲調がムードコーラス調からド演歌調まで広いが録音がえらく薄く、演奏自体も年代よりも10年以上古臭い音をしている。冒頭を飾るいづみの「サッポロの夜」は他のメンバーのコーラスも入り、所謂ムードコーラス風である一方、ひろみの「花街恋夜」は笹みどり風。またまり子の「バラ色のさようなら」は昭和ビッチグルーヴ歌謡。一つだけ触れないのもあれなので残る弘子の「人生勝負」はこれが一番演歌色が強い。何となく音がキッパーズの「北海道作詞家協会10年記念」と似ているので相当数ミュージシャンが共通しているかあるいは機器が共通しているのだろう。彼等自体も北海道のバンドのようである。

フラワーショー 華ばら・ぼたん・ゆり

男のみち

EP 大阪ローオン RR5

聴取中。歌手としては「ショー」とし、芸人としての「ショウ」表記と区別をつけていたという新説を提出してみる。

灘康次とモダンカンカン

新宿仁義

EP コロムビア AH1054

鈴木英明作品。尺八と台詞入りの任侠演歌。浪曲の節回しとギャグを封じて高音を女声に見立てるアクロバティックなボーカルを駆使してデュエット形式で歌い上げる。最近の演歌に繋がるこれはこれで近代的なサウンド。B面はA面とは全く異なるハーバーナイツのようなムード歌謡調の作品で男通しで歌っているということを除けば真っ当な曲だな、と思った途端に全部がひっくり返ってバンドテーマの一節に突入するにくいコミックソング。

神戸のター坊

演歌ひとすじ

EP RCS RCS1006

聴取中。有名盤。

 

21,3.14(その2) 宜しきことあり。

マヒナスターズ

心に残る名曲 魅惑のコーラス

CD キング FBCX1014

フリーボードでの録音によるベスト。いろいろと和田弘とどろどろしていた時期の作品で、アロハスターズとして出した「ブルースを囁いて」と過去の、特にムードコーラスブーム以前のビクター時代のヒット曲をやっている。所々で松平のボーカルが特に高音部の伸びが足りず鈍らになるところが見受けられるが、年齢を考えるとこれだけのものがこのときに演れたというのは驚異的と言わざるを得ないだろう。曲がいいせいなのかも知れないが、昭和の末期に出た楽曲よりもマヒナスターズらしい仕上がりになっている。初めて聞いた「女狐」もマヒナ調とは違うものの演歌とは一線を画すムードコーラスらしい曲で好感。今のマヒナというのは基本的にはこの時のメンバーの系統である。

鶴岡雅義と東京ロマンチカ

有楽町でまた逢いましょう

マキシ キング FBCM29

高田文夫作詞で多少話題になった曲。フランク永井の「有楽町で逢いましょう」を念頭には置いているが、直接結びつけるような内容ではない。要するに都会派歌謡ではなくムード歌謡である。復帰した三條がリードホーカルをとっているが全盛期に比べると寛けさが退き、伸びが続かなくなっていて線が細くなっているのと鶴岡のギターも味で聞かせるのみになっているのは残念ではある。ただ、そうは言っても同時に収録されている高田文夫のバージョンと比べるとやはりその上手さが目立つ。カップリングは鶴岡作曲の沈鬱なワルツもの。両面ともムードコーラスとしては正当だが、歌謡としては上品に過ぎるところがある。

柏原芳恵

あなただけ・・・

CD キング FBCX1013

フリーボードでの録音による中規模のアルバム。フリーボードは、主催者が昔から気に入っていた歌手を抱えて新録音をさせているレーベル。代表曲「春なのに」の新録音のほか山口百恵の「いい日旅立ち」やそのほかの新曲を収録している。全盛期に比べるとやや伸びやかさに欠ける所はあるが、もともと当時のアイドルの中でも歌唱力には定評のあった人だけあって声の張りは衰えておらない。まあ、年齢から言って衰えていても困るが、それにしても紆余曲折あったにせよやはりちゃんと営業を続けている人というのはとにかく強いものだ。ボーナストラックは「春なのに」のNGテイク。NGを出した後のやり取りなども含めて収録されている。まさかとは思うが、これのためにわざわざとちってみせているのではあるまいな。そうだとしたら相当な演技である。

鶴岡雅義と東京ロマンチカ

花かげのひと

CDS キング FBDX1020

 これもフリーボードに移ってからのシングルで、両面とも鶴岡の自作。「君は心の妻だから」路線の曲ではあるが、テンポが速いこともあって演歌というよりは本来のムードコーラスらしい仕上がりになっている。三條のボーカルはやや輪郭がはっきりしないところがあるが、それでも往事を髣髴とさせる滑らかさを保っている。カップリングは浜名ヒロシの歌唱でこれは昔の明るい東京ロマンチカの楽曲の系譜を引いた曲。ムードコーラスグループが青春を高らかに歌い上げるのは60年代の一部の若手グループには多少見られるが、これだけのビッグネームのグループが挑戦するのは珍しい。両面とも東京ロマンチカよりもサザンクロスがやった方が似合いそうに曲である。

三條正人

ふたりの海峡線

CDS テイチク TEDA10380

 デビュー30年記念のシングルなので収録された二曲とも池田充男、鶴岡雅義というデビュー当時のロマンチカに楽曲を提供したスタッフが曲を書いている。東京ロマンチカ路線の曲でやや急ぎ足のトレインソング。ギターは鶴岡雅義が引いているからグループ復帰への布石となっているのだろう。平成9年発売なので青函トンネルの何周年というのには関係はなさそう。カップリングは小樽のご当地ソングでこれも鶴岡がギターを弾いている。但し大役を担うには役者不足の歌で、もう少し切々とした歌やはじけた歌であれば話題ももう少しあったのではなかろうか。

三條正人

京都・夢草子

CDS キング FBDX1016

 琴を大フィーチャーした展開が激しいムード歌謡。作曲が鶴岡雅義ということもあってコーラスがないだけで東京ロマンチカの作品と言ってもいいようなものだが、まったりとした曲ではないので、もう少し歯切れの良い人に向いた曲なのではないかという気もする。特に何と言うこともなし。カップリングは「赤色エレジー」風の三拍子歌謡。これも東京ロマンチカ風で「君は心の妻だから」が念頭にあるのだろう。個人的にはこちらの方が出来が良いように思えるが、いずれにしても両曲とも地味な歌といわざるを得ない。どうも詞の世界の設定が歌手の持つ世界に対しして若すぎるような気がしてその辺がしっくりとこない原因なのだろう。

安倍里葎子

想い出まくら

CDS キング FBDX1019

小坂恭子のカバー。何故かフォルクレーロ風にオカリナが鳴り捲っているが、何だか意図がよくわからない。最近は中森明菜ならやまがたすみこやら色々な人がカバーしているが、埋没するか。カップリングはイントロがロックぽくて、おっと思うが、それからするするとニューミュージックの鞘に納まっていくなんと言うこともないバラード歌謡。両面とも表面をなぞるようなボーカルなるべし。ジャケットでさりげなくヌードになっているが、別に必然性はない。ベテランの人にこそ破天荒な楽曲を歌って欲しい。

嶋大輔

恋おんな

CDS ジャパンライブラ LISR0115

 えらくのりの良いトラックに渋いボーカルが淡々とのる最近の演歌のトレンドを先取りしたムード歌謡。メロディーが割合に平凡なこともあり、売れるにはもう一味欲しいところだが、大奮闘しているといって良い。ギターのカッティングが異常にこっている。プロの作る曲というものはこうでなくてはいかん。カップリングは高田みゆきや三ツ木清隆との競作で有名な「秋冬」のセルフカバー。これも昔のラジオ歌謡を聞いているような四角四面の歌唱がこの曲の唱歌的側面を拡大しており、高田らの儚さを前面に出した歌唱とはまた別の魅力を引き出していて好感。可也。

津々美洋とオールスターワゴン

“ビートに乗せて”(エレキを弾こう)

LP テイチク SL1151

当時のエレキヒットを名手オールスターズワゴンが演奏したもの。ほとんどはCD化されていて今回はじめて聞いたのは二曲、「夜霧のしのび逢い」と「真珠貝の歌」だけだが、どちらも所謂北欧系の哀愁サウンドに仕上がっていて、このあとも続いていくスプートニクス路線が実に正しい選択だったことが思いやられる。

津々美洋とオールスターワゴン

二つのギター

LP テイチク SL1169

ロシア民謡をエレキ化。これも結構CD化されていて今回はじめて聞いたのは四曲だけ。これもスプートニクス路線がばっちりとはまっていて、哀愁のロシア民謡の魅力をよく引き出している。「エレキ・ア・ゴーゴー」でのCD化にもれた曲も特に出来が悪いということはなく、寧ろ「郷愁」などは「ヴォルガの舟歌」や「カリンカ」と並ぶこのアルバムの白眉なのでは。

津々美洋とオールスターワゴン

ニューヒットフラッシュ!!

LP 東芝 TP7210

本体入手。和製ポップスのエレキ化。

津々美洋とオールスターワゴンほか

‘66トップ・ヒット14

LP テイチク SL1168

例外はあるが当時の洋楽ヒット曲を並べたもの。ほとんどは山倉たかしの編曲によるオーケストラものだが、三曲はオールスターズワゴンによるもの。ただしこの三曲は「ヤング・フォア・シリーズ第六集」に収録せられているから、特段に扱うものではない。オールスターワゴン以外の演奏については、いくつかてきとうな名前のオーケストラがクレジットされているけれども、すべて実態のあるものでなくその場その場でジャズのスタジオミュージシャンらをかき集めてでっち上げたものであろう。安定はしているが何とも匿名的な演奏が並んでいる。特になし。

ペドロ&カプリシャス

別れの朝

LP ワーナー L6041A

オールスターズワゴンにおられた郡(古城)氏はいくつかのバンドをはさみカプリシャス(別名というかアイジョージのバックをする時にはジャパニーズの名前でも活動していたとのこと。前身はマスタッチファイブ。)へ参加せられたのであります。

ラテンバンドの流れにあるにも関わらず、多少サンタナあたりの影響と見受けられる部分はあるものの、ニューロック的なサウンドが目立つ。ファーストシングルの両面の他はすべてカバーで固められており、10曲のカバーのうち日本の曲が二曲、他は洋楽ではあるが非ロックの曲や英米以外の曲も多く、GSの残り香が漂っている。「マミーブルー」はGSの残党がやたらにカバーしまくっているから特にそういう感想を持つのであろう。ボンゴが入ってはいるが、先に述べた通りニューロックが基調にあるようである。しかし、何と言っても一際存在感があるのはオリジナルのデビューシングルのB面で和製ソフトロック、ボサロックの大傑作である「夜のカーニバル」であろう。まるでモッドのようなリズム隊が圧倒的な勢いで空気を巻き上げていく。「ラブ」を除けばすべて前野陽子がリードボーカルを取っている。ミックスのせいか演奏にボーカルが埋没しているトラックもあるし、ボーカル自体荒削りではあるけれども、これが魅力があってたまらない。必ずしも上手く整っていることだけがボーカルの肝ではないということがこのボーカルを聞いていると実感できる。

ちなみにこの時代のカプリシャスの雰囲気は個人的にはツボ。聞いていて気がついたが「与作」って「エイント・ノー・サンシャイン」の翻案なんだな・・・。

ペドロ&カプリシャス

さようならの紅いバラ ペドロ&カプリシャス

LP ワーナー L6054A

セカンド。前作に続いてデビューシングルの両面が引き続き収録されているのが、デビュー曲の売れ行きがいかにすごかったかを物語る。実は「別れの朝」は5作連続で収録されるのだが、この行き当たりばったり的とも言える選曲は昭和40年代的。相変わらず洋楽カバーが並び、ロック一辺倒にならず、ポップ色が大変に強いとはいえ、それに留まらぬ選曲である。個人的にはメッセンジャーズの「気になる女の子」の収録がうれしいが、出来はもう一つ。洋楽カバーの中にいきなり「結婚しようよ」が放り込まれているのには唐突な印象があるが、上手く息抜きになっている。前作に引き続いて収録された「夜のカーニバル」を除けば各曲の出来は完璧とは言いがたいが、「オールド・ファッションド・ラブ・ソング」が印象に残る。全体に演奏が妙にかっちりとしていて全部本人たちが演奏しているのかどうか判断つきかねる曲が多い。芸能と音楽的指向の葛藤が感じられてそこが深みに繋がっている。何度も言うが前野時代のカプリシャスというのはとにかく雰囲気がかっこいい。

ペドロ&カプリシャス

ラブ・サウンド・スペシャル

LP ワーナー L8021A

ボーカル交代後の一作。初代のメインボーカル、前野陽子は人気絶頂で突如脱退して米国に渡り高橋まりが急遽代役に立ったのでばたばたしていたのであろうか、生々しく、スタジオミュージシャン的でない、本人たちの演奏らしい演奏が随所に聞けるアルバム。サンタナ的な解釈の「うつろな愛」が特に耳目を引く。全体的には慌しさが先にたつチューンが多いけれども、時折聴けるハモンドオルガンの音にいとおしさを感じる。なお、「別れの朝」を高橋のボーカルで録り直している。

ペドロ&カプリシャス

華麗なるニューポップスの世界

LP ワーナー L8030A

前作と番号が近いが、本人たちはこれが新カプリシャスの本当の最初のアルバムという気概があったのか、非常な力の入れ具合、気迫を感じる。A面には「五番街のマリー」「ジョニーへの伝言」「別れの朝」(前作と同音源とみた。)の三大ヒット曲を並べるほかオリジナルを揃え、B面にはカーペンターズを始めとした洋楽のカバーを並べる。この洋楽のカバーの出来がやたらによく、「迷信」「ピース・エブリバディ」「シスコ・キッド」の三曲はディスコティックでかかっていても全然違和感のないグルーヴィーなチューンに仕上がっているほか、「ア・ゴザ・ティンベロ」も見事にルーツたるラテン音楽を初めて形として打ち出しており、これも非常に爽快。高橋のボーカルは前作よりも後退しているが、演奏陣の充実がこれを補って余りある佳作のアルバムといえよう。

ペドロ&カプリシャス

ワンス・アゲイン

LP ワーナー L8036A

 A面はオリジナル、B面は洋楽カバーで固めたアルバム。B面は日本語と英語のチャンポンで歌われているものもあるが、最新の洋楽ではなく「パパ・ラブズ・マンボ」やビートルズ、「花のサンフランシスコ」などこの時点で5年以上前に出された楽曲ばかりで、この後でオールディーズ路線のアルバムを出す布石が打たれている。高橋のボーカルは精彩に欠ける曲もあるが、どの曲でも一定の水準はクリアしている。演奏は非常に安定しており、音も厚いが、一方でスタジオミュージシャン的ではある。こう聞いているとボーカルの魅力を全面に打ち出していた、初期のカプリシャスとは全然別のバンドになったといってよかろう。

ペドロ&カプリシャス

リサイタル‘75

LP ワーナー L10014A

 文字通りライヴ盤。A面はオリジナルのシングル曲、B面はラテン曲、民謡、「シクラメンのかほり」、ラテンロックのカバーを演奏している。ホーンセクションなどのトラも入っていて音は大変に厚いが、彼らの本来の演奏がどのようなものであったのかが伺えて面白い。ラテンバンドであるから当然ではあるが大変にリズムを重視している演奏であり、フォークやロックを基底にしたニューミュージックのライヴ盤とは当たりが大分に違うのも楽しいが、思った以上にしっかりした演奏に仕上がっている、といったところ。本領発揮はなんと言ってもB面でまさに熱演という言葉が似合う強烈な演奏が目白押し。ボーカルが乗り切れていない部分はあるけれども熱帯夜に放り出されたようなラテン情緒が堪能できる。真ん中に挟まった二曲の日本の曲のカバーはまるでオックスのライヴ盤の故事に基づいてクールダウンさせるために無理矢理挟んだものなのではないかと思うほど猛烈な演奏が連続する。スタジオ録音を聞いていても判らないこのバンドの獰猛さが記録されている貴重なアルバムと言えよう。

ペドロ&カプリシャス

お気に召すまま

LP ワーナー L5064−5A

 二枚組のアルバムであるが、過去にリリースした音源の流用が多く、今回が初出になるのは「さようならの赤いバラ」の高橋バージョン(トラックは前野バージョンと同じ。)と3面のオリジナル曲6曲のみである。この6曲はソフトロック的な路線の楽曲が多い。「わが町は・・・」は再出発の決意を強く訴えかける情緒がいっぱいの曲。トレインソングの流れ。「恋するハニー」は「マミーブルー」をメジャーに応用した曲で歌謡度は高いがよく出来たポップス。このアルバムの白眉。それ以外はニューミュージックの出始めと言う時勢を反映した優しいタッチに仕上がっている。アルバム収録曲らしい曲ではあるが当時の時勢であったらシングルカットされていても不思議ではない。

ペドロ&カプリシャス

ポピュラー・ルネッサンス

LP ワーナー L5068−9A

ポピュラー・スタンダードのカバー・アルバム。3曲は以前のアルバムからの流用。安易な企画ものではあるけれども、ここまでコンセプト不明なアルバムばかりだったこのグループにとっては初めてのコンセプトアルバムといえるだろう。こういう企画をするというのには、確かにGSの血が流れている証と言わめ。サウンドはオリジナルのテイストを再現しようというものではないが、かといって当時の最新のサウンドだとか、或いはラテンを極めようと言うような野心が見えず、ただカバーしたというレベルに留まっている。一部の曲は前野時代に録音されたものを取ってきたのではないかと思われ、「シュガーシュガー」のような「慕情」と「センチメンタルジャーニー」は高橋のボーカルとは聞こえない。真相不明だが、「慕情」はこのアルバムで最も出来がよいように思われる。他では「カチート・トゥ・ヤング」、「八十日間世界一周」、「ユー・アー・マイ・サンシャイン〜バイ・バイ・ラブ」「星をみつめないで」「黄色いリボン」あたりはのりもよくこのバンドの地に近いものがある。「黄色いリボン」は男性陣が陽気にナチュラルに声を張り上げていてこのアルバムの中どころかこのバンドのすべての音源の中でも大変に変り種。「ブルー・カナリア」は好きな歌を好みのアレンジでやっているが、贔屓があるだろうから特筆せず。シングルカットされた「カレンダー・ガール」は日本語でカバーされているが、こんなものだろう。その他日本語でカバーされている曲がいくつかあるが、その基準がよくわからない。馴染みというのなら、あまり馴染まれていない歌詞が取られていないのも不思議。

ペドロ&カプリシャス

摩天楼

LP RCA RVL7001

移籍第一弾。これまでの外部作家の手による作品を中心に扱っていた方針を転換し、A面はヘンリー広瀬、古城マサミの作曲、高橋まりの作詞作品を集め、新しい方向を指し示した画期的な作品。それまでは当初のヒットが影響してずっとニューミュージック調の穏やかな作品が多かったが、ここではにぎやかなラテン歌謡などより本来のカプリシャスに根ざした作品がよく見られるのである。あとでシングルカットされる「愛をつくろうメキシコで」は、非常にシチュエーションが理解できない曲ではあるものの、高橋・古城という純メンバーによる作品であり、外部作家の手を借りずともこのクウォリティーの曲が生み出せるということを示した金字塔というよう。ほかに「わたしのスーパースター」はビージーズの影響下にあるのかもしれないが、こういう毛色の変わった、かつ整った曲も出来ることを十分に示している。「三年目の浮気」はヒロシ&キーボーのヒット曲とは別。B面は洋楽の日本語カバーだが、これもワーナー時代よりも大変にテンションが高いものが揃っている。とりわけ出来がいいのは「地平線」「ミコノスの男と女」「季節風(モンスーン)」の三曲。考えてみればこれが自分たちが主導して作った最初のアルバムなのかもしれない。

ペドロ&カプリシャス

タロット・カード

LP RCA RVL7012

 タロット・カードを題材とした、ようやく作られたまともなコンセプトアルバム。広瀬、古城、佐渡、高橋らメンバーが多くの曲に関わっており、カプリシャスの最後の花とも言える内容になっている。のちに「13番目の女」と「恋人たちの時間」がシングルカットされているが、これらはどちらもB面であり、これらを含め、アルバムの性格上シングル曲として大々的に売り出すタイプの曲は見出せないが、よく取りまとまっているように思われる。これまでのニューミュージック的、アダルト・ミュージック的な面に加えてブラスロックやアメリカンポップスの色が強く打ち出されているほかコミックソング的な歌にも手を出している。それぞれの演奏もワウギターやライナーでも特筆されるリズム隊の刻みが強烈で、商業的にはともかく、音楽的には最も充実している時期であったのは間違いない。「ミスター・マジシャン」「占いカードは78枚」などはこのバンドのイメージを覆す火を噴くようなロックチューンであり、この二曲がそれぞれの面のトップを飾っているのがこの時期の彼らの志向が伺われる。ラストの「世界って何だろう」はクニ河内の曲だが、これのみかつてのハプニングスフォーを思わせるフォークソングになっていてやや浮いている。

ペドロ&カプリシャス

スペシャルライヴ!

LP RCA RVL7012

すっかり風格の出たカプリシャスの二枚組ライヴ盤。これまでのキャリアをすべて吐き出したような演目で、一枚目はワーナー時代の四大ヒットとRCA時代のメンバーによる自作曲をずらりと並べている。寧ろ毛色の違う四大ヒットを強引に自分たちの色にねじ伏せているような印象を受け、自作曲のこなれた感じが大変に心地よい。商業的にはともかくカプリシャスの音楽性というのは第二次カプリシャスの終焉に向かって段々に整備されていったのであるなあ。二枚目は洋楽カバー集だが、ラテンスタンダード、オールディーズ、ラテンのオールディーズ、サルサやラテンロックと統一性を失わない限りで思い切り色々なものに手を出していて、このバンドの本質はどこまで行ってもポップなラテンバンドであるということと、こと後半の楽曲に顕著なサルサ志向が見られ(ギターの古城氏はこの頃から相当にサルサに熱を上げていたそうである。)、旧来のラテンバンドのあり方が急速に変わっていく様をドキュメントしている。四大ヒットから受けるイメージとは全く異なった熱いラテンの魂というものが聞ける。一枚目の高橋のMCは初々しいというか何と言うか。なかなか楽しいアルバム。

ザ・キャッシュ・ボックス

ロックンロール・リバイバル

LP キング SKK(U)606

カプリシャス解散後に郡氏が作ったブラス・ロック・バンド。普段のレパートリーとは違う、ロックンロールなどのカバーをした企画もの。普段はもっとファンキーなものをやっていたそうで、ハウスロッカーズを髣髴とさせるサウンドではあるが、それだけに選曲されている白人ロックやポップスとは今ひとつしっくりいっておらない。またブルーアイドソウルものということになると例えば尾藤イサオとブルー・コメッツとどうしても比べてしまう。出来が最もよいのはGS時代に戻ったかのようなファズギターが炸裂する「マネー」だろう。このサウンドであれば、是非とも本格的なソウルのアルバムを作って欲しかった。

オルケスタ246

OTIMO

LP コロムビア AX7249PR

郡氏やラリー寿永らが参加した斉藤不二夫のサルサ・セッションのアルバム。日本語によって歌われるものが多く、メンバーに縁故のある人たちによるオリジナル曲で固めている。このバンドはサルサをやりたいという熱情から出発したバンドであり、ラテンバンドなどで鍛えられたメンバーを取り集めているから、日本でサルサが受け入れられ始めた時期の録音としては大変に高度である。日本のサルサバンドの第一号として多く後進に打倒すべき存在として語られただけあり、日本人の耳に対して配慮された演奏といってよかろう。ただし、純粋な歌謡曲として聞くとややあっさりとしている。これに収録されている「サルサボニータ」と「悲しきセレナータ」はホリプロがブラジルから持ってきたユリアナというアイドルによってカバーされたが、そちらもこのメンバーが演奏している。曲の肌理はこちらに長があり、曲の情趣ではユリアナ盤に長がある。

ハウス・ロッカーズ

ディグ!

LP ビクター SJET8138

60年代後半に在日米軍の黒人兵によって結成されたバンドで、本場ののりやテクニックのすごさをGSやジャズの人たちに見せ付けた黒船的バンドのファースト。上のキャッシュボックスはほぼこれの影響を受けている。既に「和モノ」として評価の定まっているアルバムであって特に付け加えることもないが、これをいきなり見せられた人たちの驚愕の感触は十分に触れられる。オリジナルとは違う感触ではあるがソウルフルなことこの上ない。

ハウス・ロッカーズ

ア・ソウル・イブニング・ウィズ

LP ビクター SJET8155

同セカンド。渋谷公会堂でのライブを収録したもの。ホーンセクションまで含めて全員が黒人で結成され、流石に本当のトップの人たちにからすれば格は落ちるけれども、このレベルの演奏が易々と日本で見られるのだから、当時の人たちには大変に参考になったであろう。腰の入ったベースと軽々としたリズムギターは同時期の日本のジャズやGSにはないフィーリングがある。ドラムも大変にタイトだが、これはやや荒い。楽曲も黒いR&B一辺倒ではなく幾分ポップなナンバーも取り上げており、日本で人気のある「トライ・ア・リトル・テンダーネス」「マイガール」などを取りあけているほか、ビートルズの「ヘイジュード」を取り上げているのが中々に意味深ではある。こんなものであろう。

新井武士

桃栗3年武8年

LP ソニー 273H36

 ダウンタウン・ブギウギ・バンドのベースの人のソロアルバム。コミック味に溢れたフォーク発想の曲が多く、これをロックバンドが演奏しているようなものが多い。コミックソングといっても、そのネタは非常に生活に密着したものであり、ネタとしては小さい。シングルカットされた曲を除くと曲間を設けずSEをすり抜けるとそのまま違う曲になっているという演出が両面で見られる。特になし。

ハーマンズ・ハーミッツ

ザ・ベストオブ・

LP 東芝 OP7540

 「二人でいつまでも」だけが初めて聞いた曲であったが、ハーミッツのイメージに合ったソフトタッチのギターバンドによるポップスであり、何とも気着心地のよい歌だ。刺激的ではないかもしれないが、非常に親しみやすい愛嬌を持ったミドルテンポの哀愁ポップスで、このグループが当地で重宝されたわけがほんの少しにしてもわかる。このバンドの曲はほほえましいのが一等だと思う。

ザ・ストリングアロングス

ハイティーンリズムパーティー

LP ビクター SJET7254

米国のエレキバンド。いくつか彼ら自身によるオリジナル曲のほか、戦前のミュージカル曲等バラエティにとんだ選曲が多い。大変に落ち着き払い質素な演奏で拙い部分もあるが、大変に明朗な音をしている。ロック的なフィーリングとも思えないから、ウエスタンから直接エレキにはしったグループなのではないか。どうも昭和40年前後の録音の割には、如何にアメリカでの録音とはいえ、大変にクリアーなサウンドで驚いた。

ザ・ベンチャーズ

カントリーミュージックスペシャル

LP 東芝 LP7593

文字通りベンチャーズがカントリーの名曲に挑戦したもの。どうも今の時代にはベンチャーズはロック的でないような捉え方がされているけれども、60年代のベンチャーズを聞けば当時何故日本でビートルズと双璧の取り扱いがなされたが納得されようものだ。ムードで迫るよりもとにかく引き倒すパターンが多いが、どのような曲でも完成度は高い。ドラムもビートの刻み方がかっこよく、凡百のバンドとは比べ物にならない歯切れのよさが聞き手に強い印象を与える。当時としてはテンポの速さも尋常でないと思う。また、もともとカントリーから出発しただけあって、ギターの運び方も快調で大変に手馴れている。ギターは甘い「愛さずにはいられない」辺りが最も魅力的かもしれない。大変に心意気を感じる迫力のあるアルバムだがこれ、というキャッチーさにはかけるかもしれない。なお、ザ・サイレンサーの「恋の夜汽車」はこれの「ワバッシュ・キャノンボール」に影響された可能性がある。

ピーターとゴードン

ナッシュヴィルのピーターとゴードン

LP 東芝 OP8176

 これは、「愛なき世界」のヒットで知られる彼らがカントリーに挑戦したもの。カントリーと言うにはスマートに過ぎ、渋みが足りない。或いは清潔隙でカントリーの泥臭さ汚さがあまり感じられない。尤も、そういったどろどろした部分を初めから狙ったものであるとは思えないから、初めからそうした泥臭さを楽しむためのアルバムなのであろう。予想を上回る急展開がある「ビフォア・ユー・ゴー」はいいが、これもどちらかと言うと曲のパワーに頼ったものだと思う。正統派のウエスタン風アレンジが並ぶ中ブルースロック化した「メンティス」(テネシー)だけが浮いているが、これはなかなか出来がよい。

エヴァリー・ブラザーズ

ザ・ベスト・オブ

LP 東芝 BP7146

 ビートルズの上陸によるブリティッシュ・インベンションの猛威が始まる直前ながら、従来のアメリカンポップスの手法も行き詰まりを感じるというときに出てきた二人組。サウンド的にはカントリーの要素が根底にあり、いわばカントリーの(当時の)今風のアレンジを試みているように見受けられる。おそらくバードのリズムを念頭において作られたと思われる「バード・ドッグ」がトラッシュメン・キングスメン期のビートの熱狂を伝えるが、基本的には前時代の流れに属する人たちである。そんな中で思いっきりR&Bしている「ルシール」は異質。個人的には「愛をささげて」が好み。

ポール・リヴィアーとレイダース

スピリット・オブ・‘67

LP コロムビア YS778C

 「グッドシング」をフィーチャーした彼らの「当時の」ベスト盤だが、彼らの代表曲である「ルイルイ」も「キックス」も入っておらない、自作曲中心の選曲となっていて大変に違和感を覚える。既に定評のあるアルバムであるので何とも言うこともないが、ビート時代は既に曲がり角を曲がりサイケ時代に突入している、そんな時代状況にふさわしいかやや早い曲が多い。自分が特に気に入った曲はないが(あえて言えばファズ満載の「エアープレインストライキ」が気になるが。)、それでも時代の雰囲気が詰まっている。

ザ・マッコイズ

マッコイズ!

LP 東芝 SP8090

 ビートルズらによるブリティッシュ・インベンションの波を思い切り被った時期に出てきたバンドらしく、ビートルズ的であり、アシッド・サイケ的であり、またフォーク的でもあり、キングスメン風でもある。基本的にはビートバンドなのだろうけれども、シャウトもありコーラスもありで、時代というものは無意識に人に語りかけるもののようだ。リコーダーの音も悲しいローカルガレージバンドがやりそうな「ドント・ウォーリー・マザー」(ギャロッパーズとは別。)、木の実ナナがカバーしたホーン入りのハーパースビザール風「涙の24時間」、「アイフィールグッド」をそのままぱくったのか替え歌したのかよくわからない「ダイナマイト」、ハーミッツ風「ミスター・サマー」、純粋なビートもの「頑固なあいつ」、ルイルイ風はいいけれども日本語にタイトルを訳したら意味わかんないだろうという「恋人に砂糖菓子」、「えんぴつが一本」のような「リトル・ピープル」と佳曲が多い。大きなヒットを狙うにはやや小粒な作品が多いようにも思えるが、よく取りまとまっていてアメリカのビートポップスのレベルの高さをよく物語っている。

スリーサンズ

ゴールデン・アルバム

LP ビクター SRA5070

ムード音楽というかイージーリスニング界においては今なおその独特な音色にファンが絶える事がないと言われている戦前から活躍していた有名バンド。ジャケットではアコギ、ピアノ、アコーディオンという編成の写真が使われているが、音の方はサポートメンバーを入れているのか。それに留まっていない。このアルバムはシャンソンやタンゴをインストで料理しており、職人バンドらしい耽美なサウンド。激しさはないが愛嬌と哀愁の表現が大変に優れている。個人的に好きな「パリの空の下で」も非常に情趣の高い演奏でこなされていて感心しきり。今tvkの番組で「ハマヌキ」というのがあるが、あれの芸人さんの紹介の時のバックに流れるのはこのアルバムに入っているものと同テイクの「ブルー・タンゴ」である。

キング・クリムゾン

クリムゾン・キングの宮殿

LP ワーナー P8080A

買う買うと言っていたらレコードで手に入ってしまった。上手いけれどもどうも辛気臭くて好きになれない。こういうもののよさがやはりよくわからないので、やはり自分はとりあえずロックが嫌いなのだろうなと何だかしょげ返る。

チャック・ベリー

ロックン・ロール・ミュージック

LP ビクター SJET7690

 ロカビリー時代のはるか以前から活躍するロックの伝説的歌手のベスト盤である。こういう根本的な歌手を聞くとやはり強烈だしロックがブルーズから出で来たものであるということが大変によく感ぜられる。この歌が体からほとばしる感覚というものが所謂ロックの真髄のようなものなのだろう。これであれば自分にも大変に理解できるのだが、一体こういう音楽であるはずのロックンロールというものが生き方であるとか信条であるとかと全く訳のわからないものの言い訳として通じるようになってしまったのは何でなのであろうか。ものの本質と言うものは始まりのところのメジャーな部分を掬って見ると大概は察せられるのである。

悪魔のギター

悪魔のツイスト

10吋 フィリップス FL4042

昔から名前が気になっていた人たち。まさにエレキギターさサックスを使ったツイストバンドといったサウンドで、日本で言えば初期のブルーコメッツによく似たサウンドである。リードギターの弾き方には勢いがあってガレージ的ともいえるが、リズムの取り方は非ロックで、聞き終わるとイージーリスニング的な側面のほうが印象に残る。このリズムの取り方は何となくヴァンドッグスのリズムの取り方を髣髴とさせる。エレキインストがまだサーフ・ロックやビート・サウンドとの邂逅を果たす前の、リアルタイムのバンドならでは演奏が多い。取り上げている曲が「旅立てジャック」「ライオンはねている」等自分の好きな曲をやっているからかもしれないが、自分はこういうサウンドが中々好きである。尤も、エレキインストに特定のイメージを持って聞くと肩透かしな気持ちになるかもしれない。

浜口庫之助、伊集加代子、澤田駿吾クィンテット+2

東宝映画「爆走」のテーマ

17cmLP キング PP127

聴取中。伝説的名盤のコンパクト盤。

シャドウズ

ブルー・スター、イン・ザ・ムード、国境の南、チャタヌガ・チューチュー

17cmLP 東芝 OP4196

聴取中。世界三大エレキバンドの一。

シャドウズ

シンディグ、フット・タッパー、フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン、そよ風と私

17cmLP 東芝 OP4200

聴取中。

ベンチャーズ

青い渚をぶっとばせ、サーフ・ライダー、ワイプ・アウト、イエロー・ジャケット

17cmLP 東芝 LP4070

 日本においてベンチャーズが単にエレキインストの雄であるだけでなくサーフ・ミュージックの雄であるとの誤解を招いた、エレキブームの全盛期に出たコンパクト盤である。本当はもちろんネタとしてやったというだけであって彼らのルーツはカントリーミュージックである。根っからのサーフバンドでないとしても、流石に学生上がりのサーフインストグループとは全く比べ物にならない迫力のあるはっきりくっきりとした演奏で安心して聴いていられる。日本においてアストロノウツがすぐに人気をひっくり返されたのはまさにこの非常に高い演奏力によるものだし、スプートニクスはともかくシャドウズの人気が今ひとつだったのもこの歯切れのよさがエレキインストだと印象付けられてしまったからにほかならない。素直にパワーと敵ニックを備えたベンチャーズのプレイを楽しむ。

ザ・ベンチャーズ

パラダイス・ア・ゴーゴー、若さでゴーゴー、ウーリー・ブリー、ホイッチャー通りでゴーゴー

17cmLP 東芝 LP4122

サーフが何でエレキインストが何でという区別が日本では曖昧になったままベンチャーズは走り続ける。「韃靼人の踊り」をベースにした名曲「パラダイス・ア・ゴーゴー」と「若さでゴーゴー」は哀愁路線だが、まるで特急列車に乗っているような心地よいスピード感が夢の世界へトリップさせる。箸休めのような(と言ってもよく整理されている)「ウーリーブリー」を挟み、スパイチックでガレージ的な「ホイッシャー通りでゴーゴー」(これは本当にゴーゴー)と多彩な演奏を見せる。ベンチャーズの凄さは目が曇っておらない当時の人間の方がよく推察せられたのであろう。

エリック・バードン&アニマルズ

シー・シー・ライダー

17cm キング LS99

ブリティッシュビートの王者は彼らだと思う。「スウィート・リトル・シックス・ティーン」だけが聞いたことがなかったが、チャック・ベリーに比べるとやや野暮か。まあ泥臭さが身上のバンドだかららしいと言えばらしいけれども。

ビートルズ

アンナ、ボーイズ、シー・ラヴス・ユー(ドイツ語盤)、悲しみはぶっとばせ

17CmLP 東芝 OP4118

聞かず嫌いはよくないが、ビートルスについてはほめても難じても必ず一斉射撃を食らうし、実際のところ自分の底の浅さばかりが表面に出るので、あえて書かず。どうもビートルズは気楽に聴いてはいけないように雰囲気になっていて敷居が手高くていけない。まあ、「シーラヴズユー」はビートルズの中で一番好きな歌であるとは書いておこう。

ピーター・ポール・アンド・マリー

悲惨な戦争、ちっちゃなスズメ、虹と共に消えた恋、ハッシャ・バイ

17cmLP 東芝 BP4173

 米モダンフォークの基幹グループ。更にその代表曲が集まったコンパクト盤。美声ではないけれども何とも心の洗われる歌声で、日本における「カレッジ・フォーク」の理想形として彼らが据えられたことが大変によくわかるミニベストといえよう。これが日本において、その本質的な部分が忘れられ、ボブ・ディランに代表される「アングラフォーク」との対立軸になったのも、形式だけを見ると大変によくわかる。しかし、こう聞くと、PPMフォロワーズを代表とするカレッジ・ポップスとは(その名にもかかわらず)大変な懸隔があるように感じられ、むしろ米フォークの内部でのまとまりを感じるのである。「虹と共に消えた恋」はヴァンドッグスのインストのほうが情深い。

ザ・チャレンジャーズ

思い出のノース・ビーチ

17cmLp キング LS71

聴取中。「涙のギター」と「青い瞳」をやっている。

ハンク・スノウとチェット・アトキンス

魅惑のギター・デュエット

17cmLP ビクター SCP1193

ギターの二大巨頭がストリングス入りオーケストラの前で繊細なプレーを披露するムード盤。多分にBMG的で、将棋の対局のように互いに技を繰り出したり或いは合奏したりしているが穏やかながらもスゴ業がふんだんに盛り込まれており、これはこれで濃度の高い一枚といえるかもしれない。取り上げている曲もカントリー等で比較的にのどかな曲ばかりである。「アンチェインドメロディー」は耽美。

ロス・インディオス&シルヴィア

別れても好きな人

EP ポリドール DR6356

ヒット曲。ムードコーラスの最後の曲がり角だった曲。ムードコーラスの中でも最高の曲の一つ。A面CD化済。B面カラオケ。AメロのガイドメロディーがA‘メロで演奏されている。別に何ということもないが、このバンドは不思議にラテン的でない曲のほうがはまる。

ペドロ&カプリシャス

別れの朝

EP ワーナー L1059A

大ヒット曲。A面CD化済み。B面も名曲として名高い。両面ともアルバムにある故免。

ペドロ&カプリシャス

さようならの紅いバラ

EP ワーナー L1081A

悲劇的バラードの大傑作!同上。

ペドロ&カプリシャス

そして今は

EP ワーナー L1095A

前野時代最後のシングル。ハーブアルバートとザ・ティファナブラスの日本語歌入りカバー。一発目がウド・ユルゲンスのカバーから始まったので、同じような路線で意表をついたカバーを出してきたものと思われる。フォークにボンゴを被せたような演奏。B面はフランシス・レイ作曲のトーケンズの小ヒット曲の日本語歌詞入りカバー。どちらも安井かずみの訳詩。可も不可もない。

ペドロ&カプリシャス

ジョニィへの伝言

EP ワーナー L1108A

大ヒット。高橋時代のはじめ。これも両面ともアルバムに収録されているので免。

ペドロ&カプリシャス

カレンダー・ガール

EP ワーナー L1236A

 「ポピュラー・ルネッサンス」からのシングルカット。なぜこの二曲だったのであろうか。

ペドロ&カプリシャス

手紙

EP ワーナー L1243A

 すぎやまこういちの手によるニューミュージック調の歌謡バラード。サビで強力に盛り上がるが、そこまでが長いか。シングルよりもアルバムに入れれば映えそうな曲。B面は、ムードコーラス的とも言えるピアノをフィーチャーしたラテン・バラード。昭和50年代後半の岩崎宏美や高橋真理子本人が歌いそうな時代を先取りした曲。すぎやまこういちらしいクラシカルなアレンジも聞け、こちらの方が圧倒的に出来がよいように思われる。

ペドロ&カプリシャス

陽かげりの街

EP ワーナー L1275A

 サンタナの影響を大きく受けたハードボイルドなラテン・バラード。自分好み。テレビドラマ「はぐれ刑事」の主題歌だが、なるほどそれによく似合っている。タイアップの戦術が一般化した時代にリリースされていれば、きっとヒットしたであろう。パーカッションのソロでフェードアウトしていくのも意表をつかれた。B面はただのバラードでそこまで特筆することもない。アレンジはプロコム・ハルムを意識しているのかもしれない。

ペドロ&カプリシャス

メリーゴーラウンド

EP ワーナー L1295A

 唱歌か「瀬戸の花嫁」かというノスタルジックな三拍子のバラード。タイトルから連想する楽しげな浮かれた雰囲気や歯切れのいいリズムは微塵もない。ワーナーでのラストシングルなのでそれらしいといえばそれらしいが。B面はフランシス・レイを意識したシャンソン風歌い上げバラード。何ともうだつの上がらない、重苦しい曲。

ペドロ&カプリシャス

ぜんまいじかけ

EP RCA RVS1024

 移籍第一弾。両面とも「摩天楼」に収録されているが、B面のほうが出来がよいように思われる。

ペドロ&カプリシャス

愛をつくろうメキシコで

EP RCA RVS1048

 これも両面ともアルバムに収録されている、というか二つのアルバムからのシングルカット曲である。A面はなんだかんだと言ってこのバンドのシングル曲の中で一番面白い傑作ラテン歌謡。

ペドロ&カプリシャス

やっぱり別れます

EP RCA RVS1099

 演奏のレンチが広がってきた時期の作品だけあってカントリー調のフォークソング。ただしサビ以降は一気に歌謡化したあと一瞬だけロックになるジェットコースター的な展開がなされ少しびびる。ボーカルも充実振りが著しい。B面はオーボエがむせび泣く、後の高橋真理子のソロ作品につながって行く、アダルトポップス路線の歌い上げバラード。しかしボンゴを入れており、このバンドの曲としての意地を感じる。宜しく堪能。

ペドロ&カプリシャス

カリブの夢

EP RCA RVS1124

 オリエンタル・エクスプレスやダークダックスらと競作になった筒美京平による和製ディスコ作品。ホーンを従えたディスコティックなトラックにやや演歌がかったボーカルがパワー全開にしてぶつかっている。こう時系列としてずっと聞いていくと高橋まりという人の現在まで続くボーカルの見事さというのはこのグループに参加した当初からのものでなく、このバンドの、特に会社を移籍したあと時期に一挙に完成されたものであることがよくわかる。これは意外なことだった。

狩人

日本海

EP ワーナー L1629

 A面CD化済。B面は題名どおりメローなスロー・サンバ。演奏陣はジャズ系か。この時期の狩人は大分にハードボイルドな感触があるけれども、これもその類。

狩人

国道ささめ雪

EP ワーナー L246W

 激しいファンクに演歌すれすれのメロディーが被る、のちの「ブラックサンシャイン」に通じる歌謡バラード。ガゼボの「アイ・ライク・ショパン」を思い出させる。B面はシックなバラードで、このグループらしい躍動感に溢れた曲。ただしややエキセントリック。

狩人

女にかえる秋

EP ワーナー L300W

 急ぎ足のディスコティック・バラード。これもディスコティックなトラに演歌すれすれのメロディーが被る。ボーカルは頗る上手い。ジェントルな歌い回しが女性的な繊細な感覚をつかみ出すとともにサビでの爆発との対比が面白い。平尾昌章作曲。B面は、ニューミュージック色の強いポップ・バラード。44年8月発売ということもあり、1980年代はもうすぐそこという空気が漂っている。こちらは坂田晃一作編曲。

狩人

ブラックサンシャイン

EP ワーナー L345W

A面CD化済み。80年代の冒頭を飾る屈指の奇曲。B面はマイペースの「東京」を思わせるノスタルジックなフォークバラード。ただし、こちらは生活に押しつぶされるような残酷な歌ではなくて、旅先で昔の恋人を思い出すという普通の範囲の哀傷歌。

狩人

クィーン・オブ・シックスティーン

EP ワーナー L363W

 A面CD化済み。B面はシンセサイザーをふんだんに使ったイントロで始まり段々エンジンがかかってアレンジが凝っていき、さあここからというところで終わる地味なバラード。何につけても難しく考える80年代の始まりを告げる爽快感に欠けるアメリカンロック流れの曲。

ヒロシ&キーボー

5年目の破局

EP RCA RHS92

 「3年目の浮気」のヒットを受けて出された続編で、これもヒットした。曲の詞世界を十分に歌いこなしているとは言いがたいが、重めになりがちなテーマを軽く流すというのがこの曲のテーマなのであろう。バブル以前の気風がよく表されている。B面も佐々木勉の筆で所謂AOR歌謡。中道な歌謡曲。

ヒロシ&キーボー

危険なクラス会

EP RCA RHS107

 さらに似たような路線の楽曲でここまではヒットした。前作までに比べると非常にハイテンポな楽曲で、キーボーの歌唱力、表現力が格段に成長しているのが耳を引くが、非常にふざけた歌であって、これも昭和末にしても非常に浮いた雰囲気であろう。全体にはサルサとかが出始めの時期に歌謡曲にどう応用していくかという試行錯誤の中で出てきたものだろう。B面はマチルダのような妙なノスタルジーがある、フォーク発想の曲。こちらのキーボーはやや荒い。

ヒロシ&キーボー

マチコ

EP RCA RHS122

末期。題材は多少異なるが、「3年目の浮気」を応用した楽曲で、またキーボーのボーカルが荒くなっている。ユニットとしての日没感が漂う楽曲である。世相批判の楽曲だけどもこれでいいのだろうか。イントロはどんどん早くなる「マーシー・マイ・ラブ」路線。B面はラテン/サルサ路線でここまでの楽曲とは全く表情の違う洋楽的な楽曲でなかなか決まっている。こちらの方をA面にすべきだったものと思われる。どうもこのグループは虎の子のヒット曲が却って表現の可能性を規定してしまったようで大変に惜しい。

克美しげる

大阪エレジー

EP 東芝 TP1015

 エレピも侘しい前時代的なムード歌謡で同じ東芝の藤島桓男辺りがやりそうな路線というか、要は「月の法善寺横町」の焼き直し。こぶしを回さない直線的なボーカルはロカビリー時代以来変わっておらず、時代が変わったことを強く意識させる。B面は「広島ブルース」調と言えば時代を先取ったようにも取れる、因縁の「おもいやり」にも似たブルース歌謡。ああ、惜しかりき、この大声。

克美しげる

捨てないでおくれ

EP 東芝 TP1612

 エレキとストリングスを前面に出したGS時代に特有の歌謡バラード。通の間では東芝レコーディングオーケストラのエレキの鋭さが話題になっていたけれども、実はオールスターズ・ワゴンのフロント部隊が駈り出されていたことが明らかとなったが、これは同じきオールスターズワゴンが関わった「思い出のカテリーナ」によく似た歌である。こちらの方がスマートだが、逆にフックに欠ける。B面はトランペットの咽び泣きから始まる「さすらい」の焼き直しのような歌。後で明らかになるが、この人はこの手の曲よりも軽い曲の方が歌いこなせているので「さすらい」の呪縛の重さが大変に気になってくる。

克美しげる

ブルー・ナイト・イン・東京

EP 東芝 TP1651

 レキントギターが大活躍する「マイダーリン東京」のようなシャンソン系ラテン歌謡。この時期の曲としてはなかなか複雑な展開をする。特になし。B面はポールアンカばりの歌い上げロッカバラードで、自分は好きだが、この時期にこれで本当に受けると思ったのか製作者に問いただしたい。

木の実ナナ

真っ赤なブーツ

EP キング BS639

A面イタリアンツイスト歌謡の大名曲。B面はビートあるも中折れ。聞かないうちに両面ともCD化されてしまった。

井上順

風の中

EP ワーナー LS1029R

 特になんと言うこともないフォーク系の歌謡バラード。イントロは演歌っぽいが歌の部分では中村雅俊風に立て直されている。吉田拓郎作品だが三連符の多用などの特徴がない。B面はこちらこそフォークにありがちな曲調。ただしバックは完全にロックコンボのそれである。というか寧ろ初期のレゲエ歌謡として捉えるのが良いのだろう。そう見るならばなかなか華美。吉田拓郎らしさはこちらの曲の方に現れている。

井上順

いけネェいけネェもういけネェ

EP フィリップス FS2126

 ド派手で高速なブラスロック歌謡。井上順の人柄のよさそうなイメージを最大に生かしたコミカルな楽曲。上手い人ではないが、テクニックのなさが歌の主人公の実直さを強調していて歌手と言うのは楽器であると言うことが最大限に生かされている曲と言えよう。B面は打って変わってピアノとストリングスを配した穏やかなミドルテンポなバラード。歌手によっては歌い上げることも出来るだろうが、ここではメロディーを必死になぞっていてこれも実直さに繋がった歌い方と言えよう。

吉永小百合、スクールメイツ

恋の歓び

EP ビクター SV615

弾けまくった名曲。A面CD化済。B面はアメリアッチのリズムを遣った高速ラテンチューン。あくまでも清楚な歌い方というラインは崩しておらず、ちょっとだけファズがかかったエレキコンポをバックにロシア民謡が歌われているかのような感触。歌い出しのフックの聞いたブレイクがかっこいい。

前野曜子

蘇る金狼のテーマ

EP キャニオン C148

聴取中。松田優作ジャケ。

おたまじゃくし

最後のデータ

EP ポリドール DR6024

三人組フォーク。グループ。早め早めの展開や意表をつくアレンジが楽しいバブルガムポップスでフォーク的なニュアンスは全く見られない。別れを歌った歌ではあるが、そのすべてを肯定したくなるハッピーさが根底に流れている。B面はカントリー調のサウンドで多少なりともこのグループの本来のサウンドが伺い得る。鋭いギターが耳目を引くが、これは編曲者か。両面とも曲をメンバーの高橋あきらが書き。編曲をカプリシャスのメンバー(ヘンリー広瀬と古城マサミ)が行っている。両面ともなかなかの佳作。

橋幸夫

思い出のカテリーナ

EP ビクター SV636

A面CD化済み。B面はニューリズムの採用には一年早いがブーガルーぽいリズムが使われていて驚く。ただし銀座の街角での恋をテーマにしたものでジャングルや穴蔵で踊っていそうなブーガルーのイメージとは殆ど対極ではあるが。たまたまラテン歌謡にGSの要素を加えたらたまたまブーガルーになってしまったというだけではあろうが。バックはビクターオーケストラ名義だが、こちらにもオールスターズワゴンが関わっているものと思われる。

伊東ゆかり

ちいさな恋

EP キング BS493

A面CD化済み。B面はレオン・サンフォニエットをバックにした哀愁に満ちた台詞で紡いでいくララバイ調・童謡調のスローテンポなフォークソング。同時期のB&B7の「雨が降ってきた」と相通じるところがある。エレキの音が悲しさを煽っていてなかなかよい。

石立鉄男・山内絵美子

優しさゲーム

EP ワーナー L1627

 シャンソン風楽曲。石立が緊張しながら歌っているのに対し山内が手馴れた感じで歌っているのがジャケットの雰囲気とは逆の印象。良いが、上手いとは言わない。B面もシャンソン的にシックで始まったかと思うといきなりポンチャックのような軽いテクノになって痴話喧嘩をし始めるコミックソング。こちらも石立はたどたどしいが山内の歌い方は感心することしきり。こんなジェットコースターのような曲なのに各所におけるボーカルの表情の付け方が大変に適切である。こちらの方が大層完成度が高い。盤のみ。

槙みちる

恋ってすてきよ

EP ビクター SV554

 60年代前半風のアメリカンポップス。実力派の彼女にしてはやや食い足りないか。時代の制約を考えるとこちらをA面としたことは絶対に責められないが・・・。津々美洋の作曲だが、珍しくオールスターズワゴンの演奏ではなく、ビクターオーケストラによるもの。B面はCD化済。

ザ・キャッシュ・ボックス

冷たくしないで

EP キング HIT766

聴取中。アルバムからカット。

野平ミカ

にくいあいつ

EP ビクター SV809

A面CD化済みの尺八グルーヴの名曲。B面もA面に負けない強烈な民謡系R&Bグルーヴ歌謡。強烈なホーンセクションを備えており、例えば浜村美智子の「男のためなら」、ボルテージの「汐鳴りの幻想」といった楽曲と共通する狂気を持った曲だと思う。この人の何ともいえない上品でない歌唱には無限の可能性が秘められている。しかし、この人の芸能活動は大変に短く、二枚目を出したあとすぐに結婚して引退、しばらくクラブのママなどをやったが、早くにお亡くなりなられたと聞いた。詳細を知る者はありませんか。

ちあきなおみ

四つのお願い

EP コロムビア SAS1399

 A面ヒット曲でCD化済。一時期「四つ」が差別的なりということで放送禁止扱いされていたが、放送禁止歌謡というのは随分に周りが勝手にそう思い込んでやっていただけであったということが森達也の「放送禁止歌」という本で明らかとなった。さらには「根拠」のはずの「要注意歌謡曲一覧」にもこの曲は載っていないのである。そうなると、この歌に対して誰かが「四つ」の件で何か抗議を申し入れてきたというのも(全然ないとは言い切れないにしても)大変疑わしく思われるのである。ところで、このレコードのB面は「恋のめくら」というタイトルである。こちらの方は「四つ」などという捻りに捻った「差別用語」(大正時代から使われてはいたらしいが・・・。)ではなく、正に直截に「めくら」という言葉を使っており、こちらを流さないということは(流さないことの当否は置いておいて)十分に話として筋が通っているのである。したがって、放送で流さないということは明文による規則によって決まったことではなく、口承によって広まったものであるから、どこかで「このレコードの曲は流してはいけない。」との指示を聞いた人がA面とB面を間違え、A面も放送が出来ないものとしてそのまま周辺に伝播し、後でこじつけでA面放送禁止の理由を付け加えたものであろう。その話題のB面はよく出来たグルーヴ歌謡でひとりGSとゴールデンハーフ路線の端境期らしい二つのブームの特徴が入り混じった楽曲になっている。浮ついたものや過度に演歌寄りになりそうなところをちあきなおみの曲全体をよく見通した歌唱が絶妙なバランスを取って「ブルーライトヨコハマ」の後胤にこの曲を位置づけさせているのである。

藤田まこと

どえらい奴

EP 東芝 TP1132

聴取中。

八神純子

みずいろの雨

EP ディスコメート DSF125

大ヒット曲。A面CD化済み。B面はメロウなボサノバ歌謡。この人には「思い出は美しすぎて」という本格的なボサノバものもあるが、これはサビを破格にするなどして、本格的というよりも歌謡側に大分寄ってきたつくりになっている。

渡辺桂子

H−i−r−o−s−h−i

EP テイチク UE560

聴取中。A面CD化済み。

なぎらけんいち

悲惨な戦い

EP エレック EB1017

A面CD化済み。要注意歌謡曲。B面は軽快ながらも憂いを含んだブルーグラス系フォークブルース。A面の印象ばかりで語られることの多いシングルではあるが、こちらも親しみやすい歌謡味もあり、また素朴でもあり、その素養の高さが既にこの時点で発揮されており、アングラフォークははるかに昔、中川イサトや斎藤哲夫らが到達するファンタジックなフォークへの道筋が既にここで開かれているのが面白い。

越路吹雪

あいつ

EP 東芝 TP1170

 両面とも平岡正明の名曲のカバー。A面は完全にラテンのアレンジで、気負いをせずに淡々と歌っている。B面はジャズのアレンジだが、これも勝ちの力を抜いて擦り寄るような歌い方でシャンソン風味が強い。共に七分の力によるボーカルが丁度曲の表情にあっている。

宇崎竜童

炎の女

EP エピック 075H95

聴取中。

高木麻早

ひとりぼっちの部屋

EP ミノルフォン AV22

 女性シンガーソングライターのデビュー曲。自作のカントリーポップ。所謂ヤマハ臭が強い。歌自体はいかにもだがなかなか清純な声をしている。B面はソフトロックだが、歌声がメロディと微妙に違っており、シンガーソングライターというよりも清純派のアイドルの楽曲の様。アレンジはタイガースの「生命のカンタータ」をやや軽くしたような細かくめまぐるしい場面展開を見せる。

さだまさし

関白宣言

EP ワーナー FFR2

聴取中。

小坂明子

あなた

EP ワーナー L1165E

 A面は歌謡史に残る大ヒット。もちろんCDで持っている。B面はあどけなさなのか又は脆さなのかもしれないが、A面の強烈さとは打って変わって素朴で白木のような印象を受ける純粋なフォーク・ポップスの曲。昭和45年のソフトロックブームの頃にありそうなアレンジだ。

レイン

真夜中の兎

EP RCA RVS551

韓国人歌手のピとは別。狩人の弟分だったという二人組み。こちらも制作陣に演歌系の人を並べたディスコバラード路線でややボーカルのつめが甘いが狩人に非常によく似たサウンドを展開する。プリプリの「ダイヤモンド」を鬱展開にしたらこんな感じになるのだろう。B面もあまり練りこんだアレンジとは言えずボーカルも歌いこなしているとは言いがたいが、曲自体はいいので惜しい。彼らのテーマ音楽的な扱いだったのであろう。

エルナンド

恋はウムウム

EP トリオ 3B114

聴取中。「幻の名盤」。A面CD化済み。

たかしまあきひこ&エレクトリック・シェーバーズ

「ヒゲ」のテーマ

EP SMS SM0652

A面CD化済み。B面はガイドメロディーもない「いい湯だな」のカラオケで、実際に原曲で使われたものをそのまま復刻したものだろう。

美空ひばり

むらさきの夜明け

EP テイチク SAS1012

聴取中。A面所持済み。成人後の美空ひばりの最高傑作。

布施明

マイウェイ

EP キング BS1517

盤のみ。あとでLPを手に入れたので重複所持。

永田克子

じゃあね・・・・・・バイバイ

EP 東芝 TP1329

聴取中。盤のみ。

オルケスタ246

ウインド・フラッシュ246

EP コロムビア AK654PR

盤のみ。アルバムに入っているので、略。

尾藤イサオ

銀の十字架

EP 東芝 TP1530

A面CD化済み。これのバックのギターやベースは実はオールスターズワゴンのフロントマン三人だそうだ。B面は「ダーティードッグ」などこの時期の尾藤イサオらしいやさぐれというかやけくそなソウルフルな歌謡ブルース。何気にド派手なキーボードプレイやホーンセクションがゴージャスで売れ線ではないにしてもこの人の歌唱のいいところがよく出ている佳作。この人はもっと上手くやればヒット曲もいっぱい出たであろうに、運用が上手くいかなかったのであろう。

ベンチャーズ

バットマン

EP 東芝 LR1501

両面ともテレビ番組主題歌のカバーだが、いずれも原曲の出来を上回っているように思われる。どちらも女声コーラスを導入しており、比較的に素直なアレンジとなっているが、そうなるとバンドの地力、一本飛びぬけたセンスと言うものの勝負になってくる。そうなれば試合巧者のベンチャーズにその長があるのは自明である。ジャニーズのバージョンのように一本食わせたりはしないが、そのビートの迫力はあきれるほどのものがある。

ベンチャーズ

グリーン・ホーネットのテーマ

EP 東芝 LR1613

A面はレアトラックとして有名だがCD化されており、それで持っている。B面はゲイリールイスとプレイボーイズのカバーで遊園地のようなきらびやかで調子のいいチューンに仕上がっている。おそらくこのアレンジをもとにオールスターズ・ワゴンの「太陽のキッス」のアレンジが組み立てられたのであろう。ベンチャーズの奥深さを感じる一曲。

ザ・ライタウス・ブラザーズ

アンチェインド・メロディ

EP キング HIT1266

聴取中。

ザ・ライタウス・ブラザーズ

わが心のジョージア

EP キング HIT1329

聴取中。

ザ・ライチャス・ブラザーズ

アンチェインド・メロディ

EP キング DV5011

聴取中。

ザ・ラスカルズ

自由への讃歌

EP グラモフォン DT1065

聴取中。

ザ・ラスカルズ

キャリー・ミー・バック

EP グラモフォン DT1132

聴取中。

ザ・フェビラウス・ジョーカーズ

フットボール・ブギー

EP テイチク US102

聴取中。

ザ・ジョーカーズ

ダニューブ・ウェーブ

EP ポリドール DP1440

聴取中。盤のみ。

バニラ・ファッジ

愛が必要さ

EP グラモフォン DT1130

聴取中。

バニラ・ファッジ

キープ・ミー・ハンギング・オン

EP グラモフォン DAT1061

聴取中。GS後期はこれのカバーというイメージがある。

サム・クック

シェイク

EP ビクター SS1537

聴取中。

オーティス・レディング

シェイク

EP グラモフォン DAT1023

聴取中。

オーティスとカーラ

トランプ

EP グラモフォン DAT1018

聴取中。

ヘレン・シャピロ

悲しき片想い

EP 東芝 EMR20315

聴取中。

ミッチ・ライダー

地獄の叫び

EP 東芝 SR1690

聴取中。この歌大好き。

ドノバンとジェフ・ベック・グループ

バラバジャガ

EP キング CBSA82011

聴取中。これもやたらにカバーが多い曲。

ジミ・ヘンドリックス

紫のけむり

EP ポリドール DR1559

聴取中。

ドジャー・ランス

恋はウムウム

EP トリオ PB201

聴取中。エルナンドの関係。

ザ・ナッシュヴィル・ティーンズ

かわいい小鳥

EP キング HIT500

聴取中。

エドウィン・スター

黒い戦争

EP ビクター JET2003

聴取中。

スコット・マッケンジー

花のサンフランシスコ

EP コロムビア LL2070C

聴取中。フラワー・ソング。

オリジナル・ツイスターズ

紅い翼ツイスト

EP フィリップス M1021

聴取中。

エレクトリック・プルーンズ

今夜は眠れない

EP ビクター JET1735

聴取中。このバンド知らなかった。

ウィルソン・ピケット

ダンスでゴーゴー

EP グラモフォン DAT1020

聴取中。

ザ・ティファーナ・ブラス ハーブ・アルパート

そして今は

EP キング TOP1029

聴取中。

ファッツ・ドミノ

夕日に赤い帆

EP キング HIT238

聴取中。

アーサー・コンレー

シェイク・パーティー

EP グラモフォン DAT1021

聴取中。

スティービー・ワンダー

風に吹かれて

EP ビクター JET1707

聴取中。

ホセ・フェリシアーノ

雨のささやき

EP RCA SS1921

聴取中。

ダニー・サヴァル

パリジェンヌ・ツイスト

EP ビクター FON1021

聴取中。

オーヴァーランダース

虹とともに

EP コロムビア LL980Y

聴取中。

ニッティー・グリッティーダート・バンド

ジャンバラヤ

EP 東芝 LLR10040

聴取中。小さい頃に近所のジャスコに行くと必ず流れていたな。当時は何の曲とも知らなかったけど。

ザ・スペクター

孤独な魂

EP コロムビア LL1002Y

聴取中。

ザ・キングスメン

ルイルイ

EP テイチク US1945

 A面はCD化済。B面はキングスメンらしい生気に欠ける気の抜けたエレキインスト。?&ミステリアンズほど大活躍ではないにしてもオルガンの使い方が「96粒の涙」に似ているところがある。さすが時代の名前としてバンド名が冠せられるという栄誉にふさわしい、時代を象徴した音をしている。

クロード・チアリ

哀愁のコルドバ

EP 東芝 OR1511

聴取中。

エンニオ・モリコーネ

サンライト・ツイスト

EP ビクター SS1334

聴取中。盤のみ。

 ほかにDVDR一枚を頂く。頂いた方が在籍していたバンドの解散ライヴの様子を丸まる収めた関係者がフィルムで映像。不思議に悲しさのようなものがなく皆さばさばしているのはそれぞれ次の進路が決まっていて、バンド自体も名前が続いていくことがわかっていたからだろう。カーナビーツ、タイガース、オックスといったGS陣の解散ライヴと比べてみても五年以上間が開いているとはいえ雰囲気がまるで違うのが印象的だった。もちろんこのバンドが解散時には殆ど全員が30前後でファン層がキャーキャー言うような年齢層ではないということもあるが、詰め掛けたファン(関係者も多いのだろうが)がディナーショーに望んでいるかのように「ピリオド」を見ているような態度ではないのが「前向きさ」を感じさせる。とにかく貴重な映像。ほかに関連の映像が入っていたが、余計なところに貴重な映像があってびっくりしたり。いろいろと見たけど芸能人水泳大会と言うのはなんという無茶な企画であっただろう。

 

21.3.14(その1) 便宜的に二つに分けてみます。こちらは買ったもの。

ザ・スペイスメン

今夜は踊ろう《魅惑の12弦ギター》

LP ビクター SJV265

田代久勝の12弦ギター(この頃流行った)をフィーチャーして当時ビクターから出ていた和製「フォークソング」や青春歌謡をエレキ化したアルバム。他社の曲ながら一曲だけ混じっている加山雄三が当時の若大将ブームがいかにすごかったかをしのばせる。スペイスメンのサウンドは根底にロックが全くない独特なリズムの取り方に特徴があるけれども、流石に昭和42年の夏ともなればリバプール・サウンドの影響も色濃くなり、何とも奇妙さを感じないリズムの取り方になっていて、スペイスメンの曲を聞いている時の独特の高揚感を得られなかった。このバンドでは同趣旨のアルバムとして「エレキダイナミカ」シリーズの二枚があるが、あちらが独特な妙さがどの曲にも漂っていたのに対して、こちらは割合に素直なアレンジで納得してしまいこのバンドの醍醐味は大分後退している。それでも天晴なのはサベージの「いつまでもいつまでも」のカバーで、ハワイアンのアレンジを施し、あの曲が本来は「お嫁においで」の対抗馬として作られたハワイアン・フォークものなのだという事を暴露しておって大変に痛快なことこの上ない。あとはこのバンドの曲としては寂しい限り。

小鹿ミキ

田園都市線

EP ワーナー L1167P

元はモデルでビートガールだった人。「池上線」意識したフォーク系ニューミュージック歌謡。加瀬邦彦作曲。カーナビーツの「夕日が沈む街」の70年代的再生産。オカリナの音が哀愁を煽る。B面はこなれておらない、煮え切らない、歯切れの悪いメロディーの曲だがアレンジはR&Bだろう。ただ本人はフォーク系の歌謡曲だと思って歌っているようで皆の意図が同じ方向を向いておらないようである。

 

21.3.13 ああ、本当に面白くない。

三浦弘&ハニーシックス

仲間たち

マキシ ビクター VICL355563

 メンバーの三浦春男が作詞作曲した緩いテンポのサンバ歌謡。馬鹿騒ぎとまではいかないけれども、こういうほんのりとほほえましい曲をやらせるとこのバンドには一日の長がある。ずっと年代を追って聞いていくと、この手のコミックソングとまでは言えないけれども何となくおかしみのある曲には佳曲が多いし、他のグループや歌手には大体の出来ない部分がそこにはあるのである。これはバンドとして極めて早い時期にハーモニーの追求を止めて三浦京子の愛嬌のあるボーカルをどう生かすかを追及しだした結果という面が大きいように思われる。アロハブラザーズ時代から「ラリラリ東京」のような尋常でない歌や「わたしのあなた」のような擦り寄ってくるような人懐っこさのある曲にはシリアスな曲をやっているとき以上に光るものがあったのだから、いかな実力派のハワイアンバンドだったとはいえ、その道に活路を見出すことには必然性があったように思う。自分は曲で泣かせるのは二等、曲で笑わせるのが一等だと思っている。カップリングも三浦春男が作曲した和風のムードコーラス曲で、昔の「おもいでの京都」の系譜を継いだ曲。三浦弘ばかりがこのバンドのライターではないことを見せ付ける。

玉川カルテット

よいどれ子守唄

EP RCA JRT1453

 市川昭介による浪曲色が大変に強い演歌で、ネタで使われる「アンアンアー」の囃子を上手く取り入れた、いかにも芸人の出す曲らしい曲。多重に重なるコーラスは戦慄ものではある。ソフトロックの対極のコーラスの使い方がここにはある。B面は小唄ながら打って変わってジャズ/ブルース/ブギウギの要素を取り入れて陽気なサウンドを聞かせる。分厚いコンポ演奏は笠置シズ子が横から出てきて歌いそうな雰囲気。可也。

灘康次とモダン・カンカン

三度笠

EP RCA RVS1044

 タイトルには「サウンドガサ」と振り仮名がしてある。カントリー歌謡。股旅物ながらも部隊を西部に移し、アレンジの妙で聞かせる準コミックソング。B面は行進曲風演歌で殿キンの「涙の操」を範に取ったというかそのパロディのようなディープな演歌。

 

21.3.12 面白くないことあり。

鶴岡雅義と東京ロマンチカ

恋は消えても愛は残る

EP テイチク SN1031

鶴岡のレキントギターのソロから始まる和風歌謡。三條の歌い方も含めてロス・プリモスっぽい。さび以降がぐだぐだな印象がある。B面は演歌調ではあるが、しっかりラテンしており、何よりもオーケストレーションが大変にエレガント。両面とも山倉たかし編曲。音の方は両面とも食い足りないが、ジャケットは鶴岡のギター、三條の歌唱というこのバンドの二本柱が表現されておってすばらしい。

 

21.3.10 目に怪我。

三浦弘&ハニーシックス

恋ドロボー

CDS ビクター VIDL30489

 ワイルドなハードロック歌謡。戦車のようなギターリフがかっこいい。元ネタは「ブラックナイト」か?ハードで重苦しいトラックとコミック味溢れる歌詞と軽くてしょうがない歌い口のミスマッチの混乱ぶりがすごい。これはもう少し売れていてもよかったのではないか。自称ロックも昨今ではなかなかここまでロック的なチューンが出てくることは少ない。21世紀の歌謡ロック屈指の傑作なのではなかろうか。カップリングは続けて聞くとずっこけること間違いない「北国の春」のような演歌よりの軽いポップス。手軽すぎる。「会津磐梯山」入り。これは緩急がとてつもなくついているということで非常によく出来たシングルだと思う。よくこんなカップリングを考えたものだ。佳作。21世紀に入ってからのハニーシックスは楽曲がどんどん鋭くなっていっているような気がするが、いったいどういう層をリスナー対象に狙っているのだろうか。

 

21.3.9 買い物楽しい。

裕圭子/ロス・インディオス

涙と雨にぬれて

EP ポリドール SDR1168

ものすごく古いシングル。裕圭子はアンジェラスともやっていて不思議な存在。ロス・インディオスらしいラテン演奏をバックに切々と歌いつめる楽曲であるが、メロディーが歌いこなすというレベルまで租借されておらず大変にたどたどしい。何とも頭に何かぶつけたような印象を受ける。後にロス・インディオスだけでカバーしているが、そちらのほうが断然出来がいい。B面は密やかなジャズ歌謡だがこれもメロディーにボーカルが乗っていない。園まりや日野てる子がやればはまりそうな曲だが、荷が重すぎたか。

黒沢明とロス・プリモス

悪いお酒ね

EP クラウン CW1907

なんと言うオーラのないジャケットであろう。ラテンロック色が強いアレンジだが、歌自体は演歌。パーカッションの景気のよさと保守的なメロディーのギャップが面白い。ただしジャケットに負けず劣らず、かなり地味な歌としか言いようがない。B面はピアノを全面に押し出したニューミュージック風のワルツ歌謡だが、あと少し清純さのようなものが濁っている。乙女的であって、例えば柏原よしえ辺りが歌っておれば化けたのではなかろうか。

黒沢明とロス・プリモス

心がわり

EP クラウン CWA61

サムソナイツやクール・ファイブとは別。サックスが鳴り響く所謂ムードコーラスらしい三連ロッカバラード。「俺でよければ」を思わせる歌。悪くはないがフックに欠ける。クラウン音楽出版歌詞募集入選歌。B面はラテン歌謡色が更に強く、こちらの方が森のボーカルも力強く、楽曲も序破急がはっきりしたメロディーや、切れのいいアレンジもあり、出来がよい。思うに、これも上記のコンテストの応募作品で選外ながらスタッフの目に留まったものなのだろう。今回のような特殊事情がなければ当然B面がA面として取り扱われたものと思われる。

内山田洋とクールファイブ

風空港

EP ポリドール 7DH3005

このあとのシングルってあるのかしら。前川脱退後のシングルで赤城直樹がソロを取っているが前川にかなり似た歌い方をしている。内山田作曲のドラマチックなバラードだが、古賀正男記念音楽大賞に入賞したもののチャート上に登場しなかったように、何となく物足りない曲である。もし本当に原点に戻り激しいR&Bなどを発表していたりしたら全然別の未来があったかもしれない。B面は赤城とゲストボーカルの中島ひろみの掛け合いでこれもよく整理された歌謡バラード。こちらも内山田の作曲だが、あまりデュエットにした意味が見出せない。これも「別れても好きな人」のショックの中で生み出された楽曲というべきであろうか。

鶴岡雅義と東京ロマンチカ

歳月

EP コロムビア X12

 彼らにありがちな「小樽のひとよ」路線の曲だがさび以降の展開がダイナミック。前間奏に響くホルンがきりに閉ざされた湖のようなミステリアスな雰囲気を漂わす。多分表現としては憧憬をあおりたかったのであろうなとは思うが。B面は沈鬱な三連ロッカバラードで、レキントギターその上をレキントギターが滑っていくパターン。ファルセットなども使ったコーラスが聴け、所謂ムードコーラスの定番の作りに近い。朗々とした三條の果てトーンなボーカルが徹底的に他のバンドとの差異化をアピールしている。

 

21.3.8 もう一度痩せる。

松平マリ子

60‘sコレクション

CD クラウン BRIDGE135

松平マリ子は元華族出身で昔の梅木マリであとで三木たかしの奥さんになった人である。そのややマイナーなクラウン・ビートガールズ時代の音源を集めたもの。聞いてみて驚いたのは年齢よりもやや上に聞こえる迫力のある、しっかりとした歌唱力に全くブレがないことである。さらに、この時代の女性歌手はいかにビート的な曲があっても全体としてはそれが一部の曲に留まることが多く、この人もたまたま持っている「めざめ」がぱっとしない曲なのでそういうパターンなのかと思っていたのだが。こう聞いてみるとむしろ「めざめ」こそが例外で、あとは多少エレキ色が勝っているけれども実に鋭いビート歌謡が多く、知れる人の多くを魅了するのもよくわかるというものである。未発表曲が6曲もあったというのも驚きで、多少お色気に行き過ぎたり、ビートガールズからもう一つあとのグルーヴ歌謡に足を突っ込んでいたりしているので、お蔵入りという心情はわからないでもないが、どれも出来自体はよい。「それだけは信じて」は少しあとの録音そうなので別だろうが、アルバムを作ろうとしたのかもしれない。ジェノバもそうだが、クラウンも謎の音源が多くていけない。

森雄二とサザンクロス

足手まとい

EP クラウン CW1646

これがオリジナル盤。今よくCDなどに入っているバージョンに比べて少しロック的というか修飾過多な編曲になっている。ボーカルは再録盤と遜色ないが、アレンジが違うので戸惑う。今でこそこのグループの代表曲扱いされているけれども、実はオリコン100位以内には入っていなかったりする。B面はシャンソンに北国演歌を加えたような曲。哀愁のビオロンと吹雪のようなコーラスが寒々しく荒んだ心を上手く表現している。

並木ひろしとタッグ・マッチ

午前二時の女

EP 東宝 AT1096

ヒット曲。トラックとメロディーが合っていないAパートで気を引いて一気にスパートをかけて聞くものを魅了するビート色の強い純歌謡。アグレッシブ!!エディ土屋&ボブの楽曲に近い感触。B面はアローナイツ風の三連ロッカバラード。もっともアローナイツが冴えたナイフならこちらは解けるほど熱した焼き鏝のような質感があり、バンドごとの個性が感じられないというわけではない。ムードコーラスらしいコーラスが聴け満足。

 

21.3.7 これから結婚式にいってこないといけない。→しっかりと神に仕えている人は心が清いねぇ。

中島美嘉

ノー・モア・ルールズ

CD+DVD ソニー AICL20001−2

彼女が出演している化粧品のCMに使われた曲を集めたアルバム。五万枚限定生産ということらしいが、何店か大型店を回って全部売り切れていたのには泡を食った。
 最近の歌手については、もちろん自分が気になったからとか気に入ったからという色眼鏡がかかった状態であるのでCDを買うわけであるから、その分は割り引いて聞かないといけないけれども、歌謡曲は確実に進化していると思う。特にこの人は実は現代的な歌謡曲をよくわかっている人だと思う。おそらく本人やスタッフには歌謡曲という意識は全くないだろうが、無意識的に歌謡曲の本質にごく近づいている。まず、姿勢が何よりも尊い。
 歌謡曲というものは何かと申せば、娯楽であります。この娯楽は、歌によって人々をその歌の世界に没入させ、この世界に遊ばせることがその第一であります。したがって余り芸術に行き過ぎて誰もわからないようでは歌謡曲の範囲に収まらないし、余りに党派性が強いようではその党派に属さない人間にとっては娯楽になり得ないのであります。演劇における演技は空のグラスのようなもので、その形のみを作り、そこに注がれる飲み物というものは受け取るほうが注げば宜しいけれども、歌手というものはサコにあるグラスにどのような飲み物をどのように注ぐかに血道を上げるというところにポイントがあり、そこにある歌の構築する世界をどのように眼前に出現させるか、ゲーム機で言うなら本体と受像機が歌手であります。この意味で中島美嘉のボーカルは技量は足らなくてもまことに儀容の点で大変に立派なものがあるのであります。カタカナ英語などというものも、曲の世界においてカタカナ英語のほうが情緒が深くなるか或いは最低それに関わらなければ全く問題もないものであります。
 かように大変に立派なボーカルであると思うけれども、一方で自分がそこまで道を究めていると思えないから、おそらく曲自体の雰囲気もいいのだろう。楽曲はロック色があるものは大変に少なく、ジャズやスカ、レゲエ、クラブミュージック、歌謡曲(「ゲーム」)など多岐に及んだアレンジが施されており、特に宮崎歩という人はCMソングやゲーム音楽で名を馳せていることもあり、もともとCMミュージックとして作られたということもあり大変に美しいメロディーのスイングジャズ調の楽曲を何曲か提供しており、自分のロック嫌いを差し引いても、なんとも上で述べたような桃源郷の中にいるような気分させられる。自分こういう猟奇的で乾いた楽曲が好きなのでこれが本当に普遍的な間奏なのかはわからないが、非常に好感を持った。他もモンドグロッソの人や内外のクラブ系の人々の楽曲は統一したコンセプトが貫かれておって、楽器としての歌手の使い方を第一に心がけているところが見受けられ、さらにどの曲も粒が揃っておるから、大変に心休まるものがあるのであります。また森三中をバックにした「アイ・ドント・ノウ」もパンクでないにしても(当初そういう説明ではなかったか。「キッス歌謡」なのではないか。)激しいロックチューンに仕上がっておって、このほかにも「ブラック・アンド・ブルー」のような割合にロック的な曲でも情緒深くとりまとまっておって、この人のつぶしの効き方に思いを致さざるを得ない。個人的にはジャズ調の「フェイク」「ラブ・アディクト」の二曲が大変に気に入った。
 やはりこういうものを聞くと歌謡曲、という言い方が悪ければポピュラー音楽の最前線で曲を作っている人たちのすごさというものをつくづくと感じる。素晴らしい一枚だと思う。センスが悪いと思うなら嘲うべし。

橋幸夫

いのちのうた(コロブチカ)

マキシ ビクター VICL36429

去年一番衝撃を受けた曲はチャン・ソラの「愛しています」だが、日本の曲で一番衝撃を受けたのはこれ。日本の曲とは言いながらロシア民謡の日本語によるカバーである。テレビゲームの「テトリス」のBGMとしてもお馴染み。相変わらずそつのないというかぬめっとしたというか非常に橋幸夫らしい一本調子の歌唱で独特の世界を構築している。何故今ロシア民謡、フォークダンスなのだろう。企画が本人なので何か意図があるのだろうが。カップリングは「ジェンカ」と「山のロザリア」。ロシア民謡で統一するわけでもなくフォークダンスしやすい曲で統一するわけでもなく。意図がどうにもつかみづらい。テレビで見たときほどの唐突感はなかった。やはり聞こうと思って聞くのと唐突に聞かされるのでは聞いたときの感覚が全然違う。

秋庭豊とアローナイツ

女ひとり

EP SMS SM0623

だいぶアローナイツも集まってきた。シンセサイザーをめいいっぱい使った淡々と進んでさびで一気に爆発させる三連ロッカバラードで日本のブルースの定型を踏んでいるがヒットを狙うにはやや地味で素っ気無い。B面はトランペットとひずんだギター昭和の末期の到来を告げる歌い上げ三連ロッカバラード。ああこのバンドの苦闘は続く。

秋庭豊とアローナイツ

北の女

EP ビクター 7HB6

このシングルは知りませんでした。修行が足りぬ。ハードロック風味の曲で非常にこのバンドにはまっている。さびで突然軽くなるのが残念ではあるが。SMS時代の苦悩がすべて吹っ飛んだような爽快感に溢れている。B面もロックという線に沿った三連ロッカバラードで本格的なブルースを下敷きにした節が伺える。新天地ビクターでの意欲が満ち溢れた作品だが、これもヒットしなかったのは不運としか言いようがない。

秋庭豊とアローナイツ

港町挽歌

EP クラウン CWA481

A面CD化済み。B面はクールファイブ路線の穏やかな楽曲だが、彼らのイメージによく合っている。ヒットさせるにはきついかもしれないけれども、トランペットが美しい、よくとりまとまったアダルトなバラードになっている。ようやく落ち着くところに落ち着いたという感じで、こう見ると始めからクラウンのバンドだったら今のような状況でなかったと思う。

内山田洋とクール・ファイブ

女の意地

EP RCA JRT1155

便乗的に出た西田佐知子のカバー。CD化済み。いつかいろいろなバージョンを一堂に集めて一気に聞いてみたい。B面は愛田健二のカバー。原曲よりもジャズ的なフィーリングを増しており、こちらの方がより夜の雰囲気が横溢し、濃厚かつしっくりとしている。前川の歌い方には女性的な要素がないのに、見事な表現で歌謡におけるボーカルの在り方に思いをはせざるを得ない。何故両面ポリドール原盤の曲。

内山田洋とクールファイブ

魅惑シェイプアップ

EP RCA RHS6

A面がタケカワユキヒデでB面が穂口雄右。ユーモラスなタイトルやジャケットからは想像の出来ないシリアスなドゥーワップ調のバラード。内容も普通にお洒落な線を狙っている。ここ数作の微妙な出来のシングルに比べれば完成度は高いが、これだけ提示されても正直困ると思う。B面はディスコティック路線の哀愁歌謡。こちらの方がキャッチーで出来もよいように思うが、単に自分好みというだけかもしれない。細かくカッティングするギターと妙にグルーヴィーなベースがよい。

殿さまキングス

これしかないわ

EP ビクター SV6026

この時期この曲だけがチャートに入っていない。そしてこの演歌路線の行き詰まりが次作からのコミックソング路線への回帰へと繋がっているのだろう。三連ロッカバラードだが、宮路のボーカルの巧みさが歌に表情をつけてあってあきることがない。細かい編曲も利き所だが、何かのタームの最末期にはオーバースペックのものが表れ、しかも大して売れないということがよくあるが、これもその例か。B面は立ち込めるサックスの音にもかかわらず「船頭小唄」を思わせる侘しい曲だが、突然エンジンがかかって盛り上がり感情が爆発する正統派の演歌ではギリギリの域にある曲。宮路の上手さに頼っているところはあるがボトムの曲としては悪くない。

殿さまキングス

殿キンの新東京行進曲

EP ビクター SV6185

井上忠夫。A面CD化済。B面はサックスのむせび泣く三連ロッカバラードで、克美しげるあたりが歌いそうなティピカルなムード歌謡。よく整っている。

殿さまキングス

おまえの涙

EP ビクター SV7207

コルゲン作曲だが、全く完璧な演歌で特筆すべきこともない。珍しく合いの手のようなコーラスが入っているが、ムードコーラスはテレビやレコードで演奏とコーラスを奪われたのだから、これで音楽的なジャンルが約20年も続いたのは逆にすごいことだ。B面は「啼くな小鳩よ」か「ああ上野駅」かという昭和2、30年代に戻ったかのような復古的な歌謡演歌。

殿さまキングス

千歳発愛の最終便

EP ビクター SV6698

このグループには北海道のイメージがないな。なんと言うこともない、昭和の最後のあたりにありがちな演歌。難なく歌いこなしてはいるが、ムードコーラス界ではパンクで言うラモーンズのような位置づけである彼らにとっては役不足。なんとも突撃精神が足りない。曲とタイトルがあまり結びついておらない。B面はシャッフルビートを使ったサクサクとすすむ純歌謡。どちらもヒットしがたい曲だが、まだこちらをトップにしたほうがよかったのでは。

ぴんから兄弟

湯の町ブルース東日本篇

EP コロムビア AK54

頻出の「目ン無い千鳥」風ま楽曲。せっかくの全国縦断ものなのだし多少はコミック味を混ぜればなんとかなったのかもしれないが、なまじ本格的に作ってしまったのが裏目。B面は西日本篇。歌詞を変えただけでトラもおそらく同じもの。これでぴんからのメジャー作品のシングルはコンプリートのはず。

原マサヒロとリビエラシックス

忘れないでね

EP テイチク US608

A面CD化済。B面はややバラケ気味な印象はあるが、森進一の登場の驚きがストレートに伝わってくる悶え歌謡。GS時代の曲らしいバッキングで、哀愁を誘うトランペットとチェンバロの音に涙。

ロス・インディオス

浮気な人ね

EP ポリドール SDR1455

 こちらは名前が残るノーヒットである。CD化済み。B面はツインボーカルを徹底的に生かしたゴージャスなアレンジの物悲しい叙情ラテン歌謡。意表をついたコーラスの掛け合いに耳惹かれるが、全体的に粗造りな部分が残っている。

ロス・インディオス&シルヴィア

雨にしのんで

EP ポリドール 7DX1157

シルビアにはどうもニューミュージック志向があったようで、これもその路線で作られたもの。来生えつこ・来生たかおの「セーラー服と機関銃」コンビの作品。ただシルビアというひとは甚だボーカルが固くて、歌の融通ががつき辛いところがあるけれども、この曲ではとりわけそれがついておらず、非常に生乾きな印象を与える。この人は感情がむき出しになる歌よりも取り澄ました歌のほうが向いている。B面はアイドル歌謡であって、ロス・インディオスがやる意味がまるでない。シルビアの売り出しについて議論を重ねるうちに訳がわからなくなって何だか判らないけれども着地点がここになったというようなものであろう。苦闘の跡を偲ぶ。

ロス・インディオス

さよならの向こうで

EP ポリドール 7DX1428

A面CD化済。B面はチコ本間の編曲による渋いジャズ系ニューミュージック作品。迷いまくった挙句に地が出てしまったのであろう。両面ともあまりキャッチーではない。

ロス・インディオス

ふるさと忘れな草

EP ポリドール 7DX1572

 北島三郎風のイントロで始まるニューミュージック歌謡で、もう全くロス・インディオスがやる意味が全くない。段田男や香田晋らの若さのある演歌歌手が歌ったほうが皆幸せだったのではないか。編曲に申し訳程度にハープやケーナが入ってはいるがアリバイにしか聞こえない。佐々木勉の作詞曲。B面は韓国歌謡のカバー。A面よりは出来がよく、ハープも派手に入っているが、こちらも全くロス・インディオスのいいところを汲み取っているように思えない。何か超高級食材を使って猫まんまを作ってしかもまずかったというような後味・・・。

KIDS

青い渡り鳥

EP キング K07S10006

「幻の名盤」。A面CD化済。演歌系アイドルグループ。B面も軟派なところが全くない硬派なアダルトポップスで、一体この人たちはどういう層を相手にして商売をしていたのだかよくわからない。一世風靡セピアのフォロワーのような人たちだと思うが、男臭いことと演歌に近くなることは同じではなかろうに・・・。

聖名川まち

池袋ブルース

EP コロムビア PES7115

聴取中。有名盤。

志摩ちなみ

おんなの川

EP テイチク SN288

聴取中。

渡るり子

未練のブルース

EP ビクター SV1037

聴取中。この人はまだ確か現役だったと思う。

笑福亭仁鶴

どんなんかなァ

EP テイチク A40

ギャグをフィーチャーしたありがちな芸人曲だが、軽快なベースラインの疾走が心地よいアップテンポな激しいビートを伴った曲。何だか妙に録音がスカスカしている。B面が憂歌団の「おそうじおばちゃん」のヒントになったとされている本人自作の「おばちゃんのブルース」。これはCD化済み。

ほかにCDR7枚を頂く。トランスワールドガレージは普遍と特殊が両方見えて面白いが、ペルーのグループにはとりわけ日本のGSやロカビリーシンガーたちと同じような感覚を感じる。歌謡GSやキングスメントラッシュメン風カバーが並ぶ中サイコスの凶暴さは異常。また、ザ・ドンキーズはどこに出しても恥ずかしくない歌謡曲。歌謡曲が根底に洋楽がありしかも世界に普遍的な要素を持つことがつくづく想いやられる。シャインズはインストやブルコメ風の選曲から狂気のアシッドサイケ演奏まであるがどれも勢い任せに一ひねりしてあって楽しい。ガレージものは下手であけばよいなどというのは戯けものの放言で、持てる技術を表現したい心が上回って思わず荒っぽくなってしまったという、その音の隙間からあふれ出る心意気を感じ男泣きに泣く音楽とぞ心得る。シャインズは、まさにそれ。一体この辺りの時代は本当の根本にロックがないからまことに魅力的なロックを行うことが出来たのであろう。それは日本の自主GSも同じことだ、

21.3.6 後ろにしか道がない。

敏いとうとハッピー&ブルー

わたし身をひくわ

EP テイチク SN852

両面CD化済につき特に記さず。

ほかにCDR3枚を頂く。こまどり姉妹の存在の大きさを痛感した。不世出のザ・ピーナッツの影に隠れてしまっているがリアルタイムでの人気はこまどりがこれを圧倒していたのだろう。でなければこれほどまでに亜流のグループが生まれるわけはない。また別。初音ミクというものの威力を再確認。昨今の楽譜に忠実ならよいという風潮の中では、なるほどこれがあれば生身の歌手などというものはいらない。ボコーダ声全盛の中では人力なのか人工なのか区別もつかぬ。安定的な分人力よりも長所もあるめれ。よく出来たトラックが多いがきっと細野晴臣が手本にあるのであろう。初音ミクを使って絶対に生身の人間では歌えない歌に挑戦したとかという話は聞かないが誰かがやっているのだろう。

21.3.5 猪突猛進。

鶴岡雅義と東京ロマンチカ

星空のひとよ

EP テイチク SN777

A面CD化済。B面はオーボエが印象的なジャズ系のムード歌謡で、この頃のこのバンドの楽曲としては大変異例。昭和30年代の吉田メロディーを聴いているような気分に襲われる。大胆にスチールギターが入っているからどうしてもマヒナスターズが浮かんでしまうのだろう。

21.3.4 もうあと戻り出来ません。

敏いとうとハッピー&ブルーwith眞理

だ・い・て

CDS コロムビア SVDA92

パラダイスキングのえらく渋い曲のカバー。原曲が男女掛け合いなのでこれも男女掛け合いものに仕上げている。やや女声の高音部のキーがあっていないが、この時期のこのグループにそこまで期待するのも酷か。出来自体はオリジナルに謙遜ないが、それにしても何という渋い曲を持ってきたものか。まさか、この曲が出てくるとは思わなかった。カップリングはサンバを使ったラテン歌謡で、こちらもそれなりに粒が揃った楽曲となっていて、A面としては苦しいところがあるものの。カップリングに求められる品質のはるか上を行っている。ギターの使い方が新本格の風格を持っていて大変に立派である。それにしても、なんというか、B級感が漂うジャケットが冴えないなあ。もっと何とかなったのではないかという気がするのだが・・・。

殿さまキングス

あんた

EP ビクター SV7248

 どうもムードコーラス低迷期の楽曲のクレジットには徳久広司の名前をよく見るのだが、ものが壊れていくときには外から見ると簡単に思われることが内側からだと全くわからなかったりするけれども、これもその例で、送り手が受け手がどのような曲を望んでいるのかということと送り出したい曲の類型が全く乖離してしまっていて、送り出したい曲を作りえたのが徳久氏であったのであろう。両面とも保守的な演歌。演歌に必要なドラマの点が大分遅れている。

殿さまキングス

女のいきがい

EP ビクター SV7434

 四方章人の曲で、ブンガチャ演歌。宮路の粘々したボーカルと軽妙なボーカルの使い分けの上手さを計算に入れて差し引き自在に設計されている。もし大ヒット曲のB面にこの曲があるのなら見事だが、A面としてはきついか。B面はアコーディオンから始まる韓国風演歌。あくがちょっと少ないような気もするが、なかなかとりまとまっている。しかしこちらもA面に持っていくとパンチが弱いし、困ったところだ。

鶴岡雅義と東京ロマンチカ

愛に散りたい

EP テイチク SN717

A面CD化済。B面は空に続く「小樽のひとよ」路線の曲でこれも鶴岡のギターと三條のボーカルの充実振りが堪能できる。前作と似たようなものだがストリングスとオルガンがやや強調されているのが新味と言えば新味。

鶴岡雅義と東京ロマンチカ

朝の蝶

EP ユピテル YS91

 アダルトポップスを飛び越えてシティポップスになってしまっている。縣浩也のまったりとしたボーカルがもう少し素朴であれば一体どこのニューミュージックグループの曲かと思うことだろう。この人の所謂ホスト系のボーカルもそれまでのロマンチカとは全く違うグループのような印象を抱かせる原因となっている。ディスコを取り入れていることなど「北酒場」にアレンジが似ているので、狙ってやった曲であろう。B面はレキントギターをフィーチャーしているが、ムードコーラスかくあるべしという原理原則から敷衍して作られた曲であろう。フックのきいたサビなど聞き所はあるが、B面どまりであったのは相応。両面とも編曲は原田良一。

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