ブルーサウンドは永遠なり

ジャッキー吉川と

ブルー・コメッツ

(Jackey Yoshikawa & his Blue Comets/Jackey Yoshikawa & Blue Comets)

説明: http://korekaimashita.web.fc2.com/homepage/bluecomets.jpg

近代以前のロック風情。「オリジナル・ヒット第一集」より。


   ブルーコメッツといえば今のGSファンに非常に評判が悪い。歌謡曲臭いというのがその理由のようだ。しかし、それは彼らの一面に過ぎない。ボックス発売に至っても未だ彼らのヒップさや黒さが伝わっていないのは残念でしょうがない。もちろん正統的な歌謡曲ファンにも彼らの「ブルーサウンド」や後期の純歌謡路線(という名の原点回帰)を見直していただきたい。王道のくせに所謂GSの音とちょっと異なる50年代の陰を引きずっているところが彼らの彼ららしいところである。(とは平成12年当時書いていたが、平成19年の現在はだいぶ状況が変った。)

 ブルーコメッツはロジェ滋野らにより昭和32年に結成された本邦初のロックコンポ。34年一旦解散するが翌年鹿内孝の手で再興され、以降実力派としてロッカビリー界に名を轟かせた。38年からはジャッキー吉川がリーダーとなった。メンバーの出入りが多く、江藤勲がベースを弾いていたこともあったが、この年にほぼGS時代のメンバーがそろっている。40年には尾藤イサオのバックバンドとして「悲しき願い」をヒットさせ、その年の暮れにはやはりピーナッツのバックとして紅白歌合戦に参加した。翌41年になってCBSコロムビアから2月インストのシングルを出したあと、3月に「青い瞳」をリリース。専属制度の壁を破るために値段の高い洋盤として出されたが10万枚の大ヒットとなり以降のGSブームの口火を切る形となった。以降「青い瞳(日本語)」「青い渚」「センチメンタルシティ」と立て続けにヒットを出し今度は歌手として紅白歌合戦に出場した。この年はビートルズ日本公演の前座で出演を果たし、ビートルズのメンバーにギターが巧いと誉められたという。翌42年は出したレコードすべてがヒットし「ブルーシャトウ」が権威の高かった当時のレコード大賞に輝き、「北国の二人」は非公式ながらオリコン1位第1号の栄誉に輝いた。しかし43年にはいると後続のバンドの追い上げが激しくなり、人気にかげりが見え始め、購買対象年齢を引き上げる戦略に出た。「脱GS宣言」である。特にアダルト路線第一弾「さよならのあとで」はムード歌謡の傑作であり好セールスに結びついた。この年の初めにはあの「エドサリバンショー」にも出演した。(一部の曲は好評だったが全体としては首をひねられる結果となり海外進出は失敗。それでも何回か再放送されたらしい。)その後は実は大体は歌謡ポップスの王道を歩み続けるのだが世のGSブーム退潮にあわせだんだんセールス的にはじり貧となっていった。(とはいってもオリコンチャートには46年まで名前が見えた。)47年に「雨の朝の少女」を出してコロムビアとの契約を切り上げるとジャッキーと小田以外のメンバーに換え若手と女性ボーカルを加え翌年ビクターから「哀しい少女」で再デビューした。ソフトロック的なサウンドであったが大きなヒットは「哀しい少女」一曲で終わってしまった。ちなみにこの時代はコロムビア時代とバンドの英語表記が微妙に違う。その後もメンバーチェンジと音楽性の変転を繰り返しながらビクターからレコードを出し続け、平成に入ってから「ジャッキー吉川とニューブルーコメッツ」に改名、現在もディナーショーなどで活躍している。一方GS時代のメンバーもたびたび再結成してはテレビなどで演奏活動をしている。

 ブルコメのサウンドの魅力は一貫して貫かれる哀愁サウンドと特に初期におけるヒップさにつきる。コーラス能力もたたき上げだけあって卓越している。また実力派ならではでサイケやガレージに挑戦してもしっかりと様になっているのは素晴らしい。後期の歌謡曲時代になっても自分たちで演奏していたのもえらい。彼らはルックスからジジコメだの何だの言われて保守的なイメージが強いが、実はあのガリバーズを擁する大橋プロのバンドらしくむちゃくちゃでロックな人たちである。羽織袴で日劇に出演したり、遊び人だったりした。たまらなく「男」を感じさせるバンドである。

 井上氏の死去に臨んで:謹んでご冥福をお祈りいたします。氏のブルコメとそれ以後の作品の数々の質の高さや範囲の広さ量など改めて偉大さを思い知らされました。とくに郷ひろみの諸楽曲はあり得べきブルコメの姿だったのではないかと思いに耽っております。とにかく、合掌。


メンバー

(GS時代)

ジャッキー吉川

ドラムス・リーダー

 

井上忠夫

サックス・フルート・ボーカル

のち大輔に改名、作曲家、故人

三原綱木

ギター・ボーカル

のちつなき&みどり、綱木バンド、現・バンドリーダー(ニュー・ブリード)

高橋健二

ベース・ボーカル

 

小田啓義

オルガン・ピアノ・琴

 

(再編成時)

ジャッキー吉川

ドラムス・リーダー

 

小田啓義

電子オルガン・琴・ピアノ

 

ヒロ池ヶ谷

ドラムス

 

白鳥健二

ベース・ボーカル

トワ・エ・モアの白鳥(山室)さんの夫

姫神じゅん

ギター・ボーカル

 

山根宮子

ボーカル・ピアノ

 

佐伯芳江

ボーカル・オルガン

 

(昭和51年時)

ジャッキー吉川

ドラムス・リーダー

 

小田啓義

コンサートマスター・キーボード

 

金崎タミキ

ボーカル・ベース

 

早見タロー

ボーカル・ギター

 

渡辺トオル

ボーカル・テナーサックス・フルート

 

ミヤコ

ボーカル・ピアノ

山根宮子。のちにスタジオミュージシャン、ボーカルトレーナー(篠原ともえ担当)など。

カルメン

ボーカル・オルガン

佐伯芳江。52年にカルメンとして「アップルドール」でソロデビュー。更に芦原由季に改名し合計四枚のレコードをリリースしたという。

(昭和52年時)

ジャッキー吉川

ドラムス・リーダー

小田啓義

コンサートマスター・キーボード

金崎タミキ

ボーカル・ベース

早見タロー

ボーカル・ギター・司会

渡辺トオル

ボーカル・テナーサックス・フルート

(昭和59年時)

ジャッキー吉川

ドラムス・リーダー

上瀧洋之

ボーカル

平石友実

ベース

森本博夫

ギター

中野誠

キーボード(のちエモーションズ)

  各メンバーの正確な加入脱退時期は不明。


ディスコグラフィー

シングル(変色しているものは既CD化済み)

発売日

レコード番号

タイトル

作詞

作曲

編曲

オリコン順位/枚数

備考

41.2.10

CBSコロムビアLL875JC

サンダーボール

(インスト)

バリー/ブラック

 

発足前

 オーケストラによるオリジナルの雰囲気をコンポ演奏だけで見事に表現した好演奏。所謂エレキ・インストとは一線を画す。

ミスターキスキスバンバン

(インスト)

バリー/ブリキュース

 

 モッド的なインストだがジャッキー吉川のドラムがとにかくかっこいい。いきなりジャズ的ドラム・ソロに流れ込む展開の所は衝撃的。

41.3.20

CBSコロムビアLL902JC

青い瞳

橋本淳

井上忠夫

井上忠夫

発足前

 GSの原点。モダンなサウンドで青春歌謡やエレキインストを絶滅に追い込んだ伝説的な歌。コーラスとユニゾンの使い分けやビートの乗せ方が革命的。英語詩にも関わらず10万枚を売りGSの商業的価値を見せつけた。端正でクールな歌。

青い彗星

(インスト)

井上忠夫

 

 かっこいい和製スペースインストの傑作。サックスが全体を引っ張り絶好調の三原綱木のギターががっちり脇を固める。アメリカのバンドだとサックス入りのインストバンドも結構います。

41.4.20

CBSコロムビアLL913JC

愛の終わりに

(インスト)

新居一芳

 

発足前(彩木雅夫先生が3万枚だって言ってました。)

 

 消えかかった蝋燭の火のようなはかなさを感じる哀愁インスト。ラテンの影響強し。

バラ色のドレス

(インスト)

井上忠夫

 

 井上忠夫のサックス一発で始まる伊東ゆかりあたりが歌い出しそうな雰囲気を持つ歌謡的インストナンバー。さびがダイナマイツの「夢でもいいさ」に似ている。どうでもいいがレコード自体の解説に「恋心に似ています。」などと書くのはすごすぎる。

41.7.10

CBSコロムビアLL10001JC

青い瞳(日本語)

橋本淳

井上忠夫

井上忠夫

発足前

 英語版の評判が良かったので作られた日本語版。橋本淳の感傷に走りまくった詩が心を打つ。60万枚の大ヒット。トラックは多分英語版の使い回し。

マリナによせて

(インスト)

小田啓義

 

 井上忠夫のサックスが歌い上げる感傷的なインスト。フランツフリーデルのボーカル盤も出ているがそちらもバックはブルコメ。まるでアレンジ違うけど。

41.9.1

CBSコロムビアLL10005JC

青い渚

橋本淳

井上忠夫

井上忠夫

発足前

 センチメンタリズムを強調したブルーシリーズ第二弾で端正で感動的な歌。二回目のAメロでよく聞くとひとり歌詞を間違えて入っている。 

星に祈りを

佐々木勉

佐々木勉

 

 ブロードサイドフォーと競作になったうた。ブルコメの端正さが裏目に出た感じ。

41.11.10

CBSコロムビアLL10010JC

ジングル・ベル

(インスト)

伝統曲

 

89位

0.3万枚

 流れるようなビート感を持つサックス中心のエレキインスト。オリコンチャート入りしたレコードの中で最も発売日が古いものの一つ。ハミング入り。なお前年の音源。 

ブルー・クリスマス

(インスト)

ヘイズ・ジョンソン

 

 これもサックス中心のインスト。同じく前年の音源でハミング入り。

41.12.25

CBSコロムビアLL10015JC

何処へ

里村ゆき子

里村ゆき子

 

発足前

 ブルーサウンド番外編。さわやかだが影のあるポップス。同名番組の主題歌で2回ほど「ブルースターズ」役で出演した。もっともそのせいで日本テレビ系以外の媒体ではあまり披露出来なかった。

センチメンタル・シティ

橋本淳

すぎやまこういち

 

 リズムチェンジを駆使し爆発する心情を見事に表現した佳曲。藤浩一の歌詞違い異名同曲(「故郷の悲しき星」)より断然出来がいい。ブルコメのシングルで一番短い歌。A面が日テレ以外では演奏できなかったせいもあり、両面ヒットとなったが、途中から両A面扱いとなったため、ジャケットが結果として2種類ある。

42.3.1

CBSコロムビアLL10022JC

ブルー・シャトウ

橋本淳

井上忠夫

森岡賢一郎

14位

4.5万枚

 オーケストラを導入したロマンチックな歌だが実は自由にならない青少年の精神を比喩的に表した歌詞。異常なほどの大ヒットとなりレコード大賞を受賞した。以降のGSに決定的な影響を及ぼした。なお、歌詞の内容には女性自身説もあり。有名だが「月の砂漠」をベースにしている。なぜか全国的に替え歌が流通している。ところで、この歌ほどオリジナルとカバーの出来の差が激しい曲もないと思うのだがどうだろうか。

甘いお話

佐々木ひろと

小田啓義

森岡賢一郎

 フルートで導入されるのどかでちょっぴり幻想的なポップス。欧州の映画音楽的。

42.6

CBSコロムビアLL10033JC

マリアの泉

里村ゆき子

井上忠夫

森岡賢一郎

発足前

 ホーンとオーケストラを導入したビート重視のポップス。やはり感情過多気味に攻めまくるコーラス陣がかっこいい。本人たちはR&Bがやりたかったのだろうか。弾けまくっている編曲は実に心地よい。「ブラック・イズ・ブラック」がネタ元との説あり。

白い恋人

里村ゆき子

小田啓義

森岡賢一郎

 ソフトクリームのような感触の微妙で繊細なポップス。

42.9.15

CBSコロムビアLL10039JC

北国の二人

橋本淳

井上忠夫

  

7位

8.3万枚

 これまた感情過多気味なボーカル陣が暴れまくる。曲調はだいぶポップス的でなくなったが、歌謡曲としてみると王道を走っており、かなり出来が良い。ラストに向かって歌い上げていく所はある種の快感を覚える。なお、実験的に行われたオリコンによる調査では売り上げ一位を記録したが、これは残念ながら公式記録としては認められていない。

銀色の波

橋本淳

三原綱木

  

 下手に出て盛り上がってくる感情過多の歌謡曲。三原綱木のギターが東京ロマンチカみたいである。全体的には重々しい印象。終始波の効果音付き。最後に入るドラムの音がかっこいい。

43.1.25

CBSコロムビアLL10046JC

こころの虹

橋本淳

井上忠夫

井上忠夫

5位

27.6万枚

 なぜか南米のバンドに人気のあるムード歌謡。モスラを思わせる歌詞が印象的。情緒に訴えかけるような悲しみをたたえた歌。

すみれ色の涙

里村ゆき子

小田啓義

 

 後年岩崎宏美が歌って大ヒットした哀愁ナンバーだが詩が完全に女歌(しかも少女っぽい)で名曲ではあるけれども、ブルコメには不似合い。

43.5.1

CBSコロムビアLL10053JC

白鳥の歌

橋本淳

平尾昌晃

森岡賢一郎

15位

11.7万枚

 「あんまりにも高等な歌謡曲なので売れなかった」(平尾昌晃・大意)。その通り技術の塊のような歌でブルコメらしい所も随所に見られるがなにか物足りない歌謡曲。多分布施明が歌ってもヒットしなかったと思われる。

雨の舗道

橋本淳

平尾昌晃

森岡賢一郎

 地味な歌謡曲。

43.7.1

CBSコロムビアLL10060JC

草原の輝き

橋本淳

井上忠夫

筒美京平

15位

12.6万枚

 鮮やかな緑の大地が目に浮かぶ純正GS時代のラストソング。流れるようなストリングスに乗って歌われる雄大な曲。再録盤もあり、ビートが強調されていて好みが別れると思う。(「パストマスターズ」以前にオリジナルバージョン等としてCD化されたものはすべて再録盤です。下も同じ。)

マイ・サマー・ガール

橋本淳

三原綱木

三原綱木

 ビーチボーイズ調のサマーソング。すがすがしいコーラスが涼風を運ぶ。再録盤の方がスピード感があり、出来がいい。

43.11.1

コロムビアLL10074J

さよならのあとで

橋本淳

筒美京平

筒美京平

3位

35.0万枚

 西洋的なところを残す適度な臭みを持ったムード歌謡の傑作。三原綱木が切々と女心を歌う。ラストのせりふは当初小田が入れるはずだったが急遽井上に変わったとのこと。終わってみたら橋本・筒美作品の中でも屈指の売上の曲。

小さな秘密

橋本淳

高橋健二

筒美京平

 何故か北海道の田舎を思わせるサウンド。

43.12.25

コロムビアLL10080J

雨の赤坂

橋本淳

三原綱木

筒美京平

20位

10.7万枚

 単体としては傑作だが、ロック的には後ろ向きな歌謡曲。のちに角川博ほかがカバーした。なかなか沈鬱で俺は好きだが。

黒いレースの女

橋本淳

小田啓義

筒美京平

 イントロからサックスが噎び泣く完璧なムードコーラス。こちらも重苦しいムードが充満。こっちのほうがムードコーラスとしてはいい歌のような気がする。 

44.4.25

コロムビアLL10095J

涙の糸

橋本淳

筒美京平

筒美京平

16位

9.7万枚

 R&B歌謡の傑作。欧陽菲菲の「恋の十字路」のプロトタイプ。橋本淳の詩がやけに現実的。ここで実は元のGS路線に戻っている。

ブルー・シャンソン

橋本淳

井上忠夫

筒美京平

 ジュリーとバロンの「ブルーロンサムドリーム」を寂れさせたような歌。ちなみにシャンソンじゃないです。

44.10.1

コロムビアLL10107J

海辺の石段

なかにし礼

井上忠夫

森岡賢一郎

18位

15.5万枚

 特異なリフレインと琴の音、女声スキャットが絡まり合って和風サイケとでもいえる気持ちの悪い世界が広がる。詩の内容もなんか気持ち悪く、何となく後追い自殺を連想させる。バッドテイスト溢れる名曲。 

冬の嵐

なかにし礼

鈴木邦彦

森岡賢一郎

 ボサノバのリズムを使ったスウィング・ウエスト「白銀のバラード」にも通じる沈鬱な歌謡曲。どうでもいいがラストのフルートのフレーズが「花笠音頭」に聞こえる。

45.2.20

コロムビアLL10122J

それはキッスで始まった

なかにし礼

井上忠夫

森岡賢一郎

25位

13.5万枚

 三原綱木がトランペットに挑戦というのが売りだった臭目のGS歌謡。(井上もトランペットを披露しているが。)感情むき出しで歌うのは初期作品への原点回帰の趣。

あじさい色の恋

里村ゆき子

小田啓義

森岡賢一郎

 「海辺の石段」によく似た音の、よく出来たもの悲しいムード歌謡。突き抜けるような女性コーラスが印象的。

45.7.10

コロムビアLL10143J

泣きながら恋をして

なかにし礼

井上忠夫

森岡賢一郎

41位

5.7万枚

 黒沢進さん風にいえばGS歌謡とムード歌謡の塀の上を歩いていてムード歌謡の方へ落ちた作品。さびはラテン風になる。相変わらず感情むき出しで独特の味わいがある。コンガは井上忠夫。

悲しき玩具

なかにし礼

三原綱木

森岡賢一郎

 スチールギターを導入したえらい穏やかなムード歌謡の佳作。

45.9.25

コロムビアLL10150J

むらさき日記

橋本淳

井上忠夫

森岡賢一郎

74位

2.6万枚

 ムード歌謡の出来損ない。いくらファンでもこの曲は許せない。キーボードの音が印象的。驚き桃の木20世紀という番組でこの曲の芸能ニュースがちらっと流れたが・・・。

だから今すぐ

橋本淳

筒美京平

筒美京平

 ムード歌謡の範疇だがこちらの方が全然いい歌。ムード歌謡独特のグルーヴに溢れている。間奏のストリングスが効果的。

46.1.10

コロムビアLL10153J

雨の賛美歌

なかにし礼

井上忠夫

森岡賢一郎

65位

2.8万枚

 正統的なGS歌謡。詩とドラムの音は70年代だが哀愁に満ちたメロディーやコード進行、曲の編成、クールさなど黄金時代の作りそのまま。快作。

運命だから

なかにし礼

小田啓義

森岡賢一郎

 井上忠夫のよれたボーカルがいい方に出た穏やかでシックなムード歌謡。「あじさい色の恋」の続編的な曲。

46.4.25

コロムビアLL10162J

津軽の海

橋本淳

三原綱木

川口真

ランク外

 演歌っぽいタイトルとは裏腹なフラワーっぽいポップス。のどかな港の風景が浮かぶ。コロムビア後期では最大の傑作。

鏡の中で見た恋は

橋本淳

小田啓義

川口真

 印象の薄い歌謡曲。

46.7.25

コロムビアLL10168J

エデンの東

(インスト)

ローゼンマン

森岡賢一郎

ランク外

 イージー・リスニングとして使用可能なそつと灰汁のない演奏。わけのわからんオールディーズ再発企画の一環としてほかの歌手がボーカルをとるトラックと一緒にシングルカット。

慕情

ポール・フランシス・ウェブスター

サミー・ファイン

森岡賢一郎

 コーラスグループとして合格点の出来を見せる歌い上げのバラードでオーケストラをバリバリフィーチャー。

46.8.25

コロムビアLL10175J

生きるよろこびを

橋本淳

筒美京平

筒美京平

ランク外

 ちょっとロックがかった歌謡曲でなかなかスリルにあふれた聴きごたえのある歌。編曲も細かくて良い。生きのいいホーンとストリングスが心地よい。

その時雲は流れてた

橋本淳

筒美京平

筒美京平

 A面にまさるとも劣らない佳曲。70年代の歌謡よりニューミュージックの先駆けと言った感じだが、断然スピード感や緊張感がみなぎっている。感情むき出しの歌い上げの典型的ブルコメメロディーの正統的後裔。

46.9.10

コロムビアLL10173J

虹と雪のバラード

河邨文一郎

村井邦彦

川口真

ランク外

 トワ・エ・モアと競作になった札幌オリンピックのテーマ曲。こっちの方がGS好きとしてはいいが旧態依然としたGSの音なので新時代のイベントという気がしない。ジャケも「冬の嵐」の使い回しでコロムビアのやる気のなさが露呈。叶修二の「世界の国からこんにちは」と並ぶ謎の人選。もちろんセールス的には大惨敗したが、出来自体はいい。

愛の子守歌

橋本淳

高橋健二

筒美京平

 沈鬱な歌謡バラード。高橋健二のリードボーカルが痛々しい心を見事に描き出している。

47.2.10

コロムビアLL10187J

希望にみちた二人のために

橋本淳

三原綱木

高田弘

ランク外

 ラジオボイスを駆使した歌い上げバラード。やっぱり「レット・イット・ビー」なのかなぁ。

想い出の彼方に

橋本淳

井上忠夫

高田弘

 「サイケデリックマン」を70年代歌謡ポップスに作り替えたような荒んだ作品。結構凝ったつくりで好感。プレ・プログレ歌謡の手ごたえ。

47.8.10

コロムビアLL10196J

雨の朝の少女

なかにし礼

鈴木邦彦

鈴木邦彦

ランク外

 ベンチャーズの「さすらいのギター」を思わせるシタールとドラム。なかなかショッキングな歌い出しが素晴らしい。ブルコメには珍しくコーラスが散漫な印象。

哀愁のパリ

なかにし礼

鈴木邦彦

鈴木邦彦

 地味で精彩に欠ける歌謡曲。

48.4.30

ビクターSV2345

哀しい少女

山上路夫

小田啓義

龍崎孝路

37位

9.6万枚

 ここからメンバー交代。哀愁に満ちたビート歌謡。ジャッキーさんのドラムの切れがよい。時折入る合いの手のギターもかっこいい。

恋に首ったけ

千家和也

都倉俊一

都倉俊一

 グルーブに溢れた溌剌としたラテン系ポップスの傑作。切れのいいサウンドが二重丸。

48.9

ビクターSV2368

シンデレラ

千家和也

都倉俊一

龍崎孝路

ランク外

 ピンクレディーの「UFO」の本歌。北九州のローカルヒットらしい。(美容室のCMに使われていたとのこと。)おそらくアルバム収録のバージョンに男声コーラスをオーバーダビングしただけものと思われる。

緑の乙女

千家和也

龍崎孝路

龍崎孝路

 下手に出て徐々に頭をもたげてくる夢見るポップ歌謡。これも男声をオーバーダビングしたもののようだ。

49.3

ビクターSV2405

優等生にはなりたくない

千家和也

小田啓義

小田啓義

ランク外

 オールディーズを意識したロックンロール歌謡。オルガンを中心として一丸となった演奏がなかなかワイルドでかっこいい。

妖精の世界

千家和也

小田啓義

穂口雄右

 変態性欲ロリコン歌謡。このレコードはビクター時代では一番面白いかも。

49.9

ビクターSV2435

雨の晩夏

林春生

小田啓義

小田啓義

ランク外

 地味でたるいピアノをフィーチャーしたバラード。山根を大フィーチャー。

今日もひとりぼっち

山根宮子

山根宮子

山根宮子

 なんかB級のニューミュージックみたいな歌。自己陶酔歌謡。

50.5

ビクターSV2480

二人だけの天地

有馬三恵子

鈴木邦彦

鈴木邦彦

ランク外

 どうでもいいニューミュージック調の歌。珍しく男性ボーカルのソロが入る。たった一箇所のハーモニーだけが聴き所。

表通りの恋人

有馬三恵子

鈴木邦彦

鈴木邦彦

 A面に輪をかけてどうでもいいニューミュージック調歌謡。

50.11

ビクターSV2514

恋の星座

岡田冨美子

ロー/ゴーダメ/ワイラ

萩田光雄

ランク外

 ボーカルが端正すぎるのがマイナス点だが、なかなかかっこいいポップス。アップデイトな演奏で、あと一つボーカルにガッツがあればさぞかし壮快な曲になりヒットもねらえたのだろうが・・・。残念。

ロスト・ラブ

さいとう大三

竜崎孝路

竜崎孝路

 A面と同じ路線のオリジナル。こちらももう少しガッツか儚さのどっちかがあればなんとかなったと思われる、何とも惜しい歌唱に涙。

51.10

ビクターSV6111

ピーナッツ

橋本淳

筒美京平

小田啓義

ランク外

競作盤多数。バスストップのリズムを使ったディスコチューン。

キスミー

ブルーコメッツ

小田啓義

小田啓義

 軽い合いの手が入るサックスをフィーチャーしたサンタナ風ラテン・ディスコ曲。

52.10

ビクターSV6281

北国の駅から

小田啓義

小田啓義

川口真

ランク外

 「だから今すぐ」にディスコビートをちょっぴり加えて再生産したような歌。はじめから演歌よりのアダルトポップスだと思って聴くとなかなかよい。

時の流れに

小田啓義

小田啓義

小田啓義

 印象に残らない演歌よりのアダルトポップス。

59.8.21

ビクターSV7416

ミッドナイトスペシャル

ポール山際

朝木勇童

柵木ひとみ

ランク外

 なんじゃこりゃ!勘違いしたアダルトポップス。ジャケットからしてマイナー感が横柄しているが内容もそれ相応。

少女

柵木ひとみ

柵木ひとみ

柵木ひとみ

 中庸な高年齢層向け歌謡ポップス。でも面白味に欠ける。

多分ビクター時代に関してはまだあると思う。このほか「青い瞳」「ブルーシャトウ」等を再発したシングルがある。また、CBSソニーの発足に伴う「草原の輝き」/「マイ・サマー・ガール」の再発盤があり(コロムビアLL100069JC、43年9月?)、これが両曲のいわゆるコロムビア・バージョンの初出という。ジャケットはレーベルマーク以外ほとんど同じで、これは大変に珍しい。また、ジャッキーレコードなる自主レーベルから「おてもやん」「鹿児島小原節」をリリースしているようだが、未聴。昭和50年代のリリースか。このほかにも後期ブルコメは訳のわからないレコードが結構あるそうだ。

17センチLP

大量にあるので省略します。このなかで独自の曲があるのは下のもののみ。変色しているものはCD化されています。(ただし、「青い瞳」の「青い瞳(英語版)」「バラ色のドレス」はシングルと違いステレオ・ミックスでしたが。)

発売日

カタログ番号

タイトル

収録曲

備考

42.11

コロムビアYS10019

バラのクリスマス

ブルーキャンドル/雪の中の二人 Bバラのクリスマス/愛の十字架/若いクリスマス

 全曲これでしか聞けない。南国調のサウンドが意表をつく「バラのクリスマス」と煌びやかな度胸満点のビートもの「若いクリスマス」がききもの。

LP(変色しているのはCD化済み。)

発売日

カタログ番号

タイトル

収録曲

備考

40.9

CBSコロムビアPS1243JC

グランド・ヒット・パレード第三集

リーリン・アンド・ロッキン/ヘルプ・ミー・ロンダ/二人の恋は/オン・ザ・ビーチ/悲しき願い/踊ろよベイビー B(シャープファイブの演奏)

 エレキによる洋楽ヒットのインストアルバム。収録曲は私が密かに主張しているブルコメが実はビーチボーイズを目標にしていたのでないかという説を実証している気がする。所々軽くコーラスが入ったりもするが特にどうということもなし。B面はシャープ・ファイブによるインスト。

40.11

CBSコロムビアPS1263JC

クリスマスをエレキギターで

Aジングルベル/ブルー・クリスマス/きよしこの夜/クリスマスの鐘が/ホワイト・クリスマス/もろびとこぞりて Bサンタ・クロースがやってくる/ママがサンタにキッスした/赤鼻のトナカイ/メリー・カリキマカ/サンタ・クロースが町に来る/クリスマス・ウィッシュ

 クリスマスソングのインスト集。ギターよりもサックスの方が目立つアルバム。ハミングがのちのコーラス&インストルメンタルグループとしての芽を感じる。エレキバンドというより一昔前のロックコンボみたいな音。但し、随所に同時代流行の洋楽ヒット曲からの引用があり面白い。

41.9

CBSコロムビアPS10001JC

青い瞳/青い渚 ブルー・コメッツ・オリジナル・ヒット集

A青い渚/星よ星よ星よ/青い彗星/ハートブレーク・エンジェル/シャウト・アンド・ブルース・ビート/マリナによせて B青い瞳/ウェルカム・ビートルズ/星に祈りを/隠れた恋/ワン・インディアン・サマー・デイ/愛の終わりに

 全曲オリジナルで固めた事実上のデビューアルバム。インスト、日本語詩、英語詩がバランス良く並ぶ。穏やかなフルートで始まり間奏で「ハード・デイズ・ナイト」を鮮やかに引用する日本初のビートルズ・トリビュートソング「ウェルカムビートルズ」と黒いグルーヴを持つ「シャウト・アンド・ブルース・ビート」がかっこいい。このアルバムを聞くとブルコメがGSとしては異色の存在であったことがよくわかる。

41.11

CBSコロムビアPS10003JC

ブルー・コメッツのクリスマス

省略

 「クリスマスをエレキギターで」の再発。さらに翌年にも再発された。(番号同一・ジャケ違い)

41.11

CBSコロムビアPS10005JC

ベスト・ヒット’66

Aいつまでもいつまでも/ガール/蜜の味/バン・バン/涙のギター/青い瞳 君といつまでも/イエスタディ/バラが咲いた/ミッシェル/空の終列車/黒くぬれ!

 ブルコメが昭和41年のヒット曲を披露する企画盤。ここでも日本語・英語・インストが入り交じる。インストの出来が良く「涙のギター」はファズ使用の最初期の例でなかなかかっこいい(ハミングの導入は評価が分かれるだろうが)。また「空の終列車」はオリジナル以上の出来。唄ものでは「蜜の味」がスリリングで完成度が高く、「バンバン」はラテン的な哀愁が先に立ちなかなかいい感じ。「青い瞳」はこれでしか聞けない英語日本語チャンポンバージョン。それにしてもビートルズというのはGSにとって鬼門である。

42.2

CBSコロムビアPS10006JC

ブルー・コメッツ・リサイタル 共立公会堂実況録音

青い瞳/踊ろよベビー/星に祈りを/シャウト・アンド・ブルース・ビート/青い渚/カム・イン・ホーム・ベイビー B青い瞳/ワン・インディアン・サマー・デイ/センチメンタル・シティ/何処へ/蜜の味/イエスタディ/キャラバン

 貴重なライブ盤。ジャッキーさんのドラミングのかっこよさが光る。でも、全体的には言われているほどではないものの食い足りないアルバム。後半はビックバンドが加わるが印象変わらず。それでもインストの「カム・イン・ホーム・ベイビー」「キャラバン」は聴きごたえ充分。後半のオリジナルもガレージゴリゴリな人じゃなければそれなりに楽しめる。

42.7.20

CBSコロムビアYS10008JC

決定版!これぞブルー・コメッツ ヤング・ビート

Aダンス天国/グッド・シング/レディー・ジェーン/マシュ・ケ・ナダ/ワン・ツー・スリー/燃ゆる想い Bルイ・ルイ/愛しておくれ/ルシア/ラ・バンバ/太陽は燃えている/モア

 洋楽カバー集。なかなかのレベルでまとまっており、元気に始まる「ダンス天国」、ガレージパンクな「ルイ・ルイ」、のりがやたらによい「マシュ・ケ・ナダ」、「ラ・バンバ」と傑作揃い。しかしもっとも出来が良いのはサバービアな「ワン・ツー・スリー」、「太陽は燃えている」、「モア」の三曲。それにしてもビートバンドものが弱いのはどうしたわけか。

42.10.25

CBSコロムビアYS10012JC

ブルー・コメッツ・オリジナル・ヒット第二集

Aブルー・シャトウ/銀色の波/マイ・オールド・タウン/星占い/太陽の娘/白い恋人/ラヴァーズ・シェイク B北国の二人/すみれ色の瞳/マリアの泉/しあわせの海/別れの指環/センチメンタル・シティ/甘いお話

 五指に入るGS屈指の名アルバム。ヒットシングルがそろい、それ以外も名曲だらけ。とっても「サーファーガール」な「マイ・オールド・タウン」、ブルコメらしいビート感に満ちあふれた「星占い」「別れの指環」、とんでもないガレージソング「太陽の娘」など捨て曲なし。とどめはやはり大名曲「ブルー・シャトウ」と「北国の二人」。

43.2.25

CBSコロムビアYS10018JC

ヨーロッパのブルー・コメッツ

Aメインテーマ・空のかなたに/甘い生活/ロマンティック・イタリー/パイパーズ・クラブ/水の古城/雨の朝パリで B丘に住む人々/泣きたいほどの夜/ロンドン慕情/サイケデリック・マン/雨のストックホルム/フィナーレ・空のかなたに

 日本におけるトータル・アルバムの走り。フォークルやスパイダースがとっちらかったコンセプトだったのに対してこちらは「ヨーロッパへの憧憬/演奏旅行」とわかりやすい。全体的にロマンチックで哀愁に溢れブルーサウンドの色が濃く出ている。その中で「サイケデリックマン」は疑似サイケで異質。といって浮いているわけではないのが素晴らしい。「ロンドン慕情」はオールドスタイルなテクノみたい。最後にちらっと「ブルーシャトウ」と歓声が挿入され(夢幻的な)欧州への旅行からスターとしての現実へ引き戻されるという演出意図が明確で感動する。

43.12.10

コロムビアYS10045J

アメリカのブルー・コメッツ

Aメインテーマ・空のかなたに/サンゴの指環/フラワー・タウン/形見のくし/ルート66/ニューヨークの子守唄 Bブルー・シャトウ/越天楽/カーネギーホールの青い鳥/ヒッピーは旅行く/ラブ〜ライト・ショー/フィナーレ・空のかなたに

 コンセプトアルバム第二弾。今度はエドサリバンショー出演のためのアメリカ旅行がテーマ。しかし迷走期であることがもろに出てしまい出来はあんまり良くない。そのなかで無理矢理日本的演出を試みてとんでもないものになってしまっている「ブルーシャトウ」(英語版)、外人が聞いたらそらサイケに聞こえるわという「越天楽」「ライト・ショー」がききもの。あとは・・・うーん。

43.12.25

コロムビアYS10052J

ベスト・オブ・ブルー・コメッツ

Aブルー・シャトウ/さよならのあとで/青い瞳/白鳥の唄/北国の二人/すみれ色の涙/草原の輝き B雨の赤坂/マリアの泉/こころの虹/銀色の波/黒いレースの女/青い渚/センチメンタル・シティ

ベスト盤。

44.8

コロムビアYS10065J

ヤング・ビート・ブルー・コメッツ

Aキャント・ターン・ユー・ルーズ/恋はフェニックス/バック・イン・ザ・USSR/最後の恋/絶望の人生/アンチェインド・メロディ Bスカボロ・フェア/ラヴ・レター/トライ・ア・リトル・テンダーネス/夢のカリフォルニア/シー・クライド/ヘイ・ジュード

 「キャント・ターン・ユー・ルーズ」のノリだけが注目され評判のいいアルバムではないが、なんのなんのブルージーなインスト「絶望の人生」や破壊力抜群の「トライ・ア・リトル・テンダーネス」などブルコメの黒っぽさが再発見できる。どこがビートというのもあるが全体的にはきわめて完成度の高いアルバムである。(個人的には「キャント・ターン・・・」はあまり好きじゃないのだが・・・。)

45.10.10

コロムビアPSS10027〜8

ポピュラー・ヒット25年史(上)

Aタミー/センチメンタル・ジャーニー/テネシー・ワルツ/第3の男/トゥー・ヤング/ガイ・イズ・ア・ガイ/プリテンド/オー・マイ・パパ B青いカナリア/ジャニー・ギター/ロック・アラウンド・ザ・クロック/ばらの刺青/旅情/16トーン/慕情/霧のロンドン Cハートブレイク・ホテル/アイル・ビー・ホーム/ビー・バッパ・ルーラ/バナナボート/雨に歩けば/エデンの東/ヤング・ラヴ Dダイアナ/アイ・ニード・ユア・ラブ・トゥナイト/監獄ロック/砂に書いたラブレター/月影のなぎさ/バルコニーに座って/ホワイト・スポーツ・コート/リトル・ダーリン

 ロックンロール・リバイバルの風潮にのった二枚組企画盤。ロカビリー/カバーポップスで活躍した歌手をゲストシンガーにブルコメが唄と演奏を披露する。営業に徹している感じで特に独自な解釈などはされていない。またオーケストラをバックにコーラスを披露する曲も多い。ロックバンドとしての姿はそこにはないが原曲を凌駕している曲もあるにはある。やたら中古屋で見かけるのは何故?・・・と書いたら最近なかなか見かけなくなった。なお、実は上下巻全曲CD化されている。

45.10.10

コロムビアPSS10029〜30

ポピュラー・ヒット25年史(下)

A君は我が運命/魅惑のワルツ/トラブル/テキーラ/恋の片道切符/悲しきインディアン/カラーに口紅/小さな花 Bボーイ・ハント/月影のナポリ/メロンの気持ち/パイナップル・プリンセス/ビキニ・スタイルのお嬢さん/カレンダー・ガール/悲しき片想い/渚のデート Cシェリー/悲しき雨音/ヘイ・ポーラ/ウォーク・ドント・ラン/シー・ラヴズ・ユー/朝日のあたる家/ハード・デイズ・ナイト Dサウンド・オブ・サイレンス/ラヴ・ミー・トゥナイト/しあわせの朝/ヴィーナス/レット・イット・ビー/涙のくちづけ/雨にぬれても

 同上。こちらの方が実際にリアルタイムで演奏していただろう曲が多く出来が良い。とくに「君は我が運命」は殊勲賞。ビートルズを久しぶりに取り上げているが、「ハードデイズナイト」は「ウェルカムビートルズ」の間奏に比べ精気に欠ける。逆に「シー・ラブズ・ユー」は納得の出来。インストファンは「ウォーク・ドント・ラン」が気になるがこれもなかなかよい。

45.12

コロムビアYS10088J

ベスト・オブ・ブルー・コメッツVol.2

Aむらさき日記/冬の嵐/それはキッスで始まった/別れた人なのに/海辺の石段/ブルー・シャンソン B泣きながら恋をして/だから今すぐ/あじさい色の恋/涙の糸/愛の子守唄/悲しき玩具

 ベスト盤。ムードコーラス色が強調されている。これでしか聞けない「別れた人なのに」もムード・コーラス調だが、実は江田聖明とザ・ブレイズ「白い花」のリメイク。出来は同程度かやや上。

46.10.25

コロムビアPSS10052〜3

スター・ダブル・デラックス

省略

 二枚組のベスト盤。

46.12.25

コロムビアYS10113J

G.S.R

Aブルー・シャトウ/長い髪の少女/エメラルドの伝説/真冬の帰り道/君に会いたい/夕陽が泣いている Bモナリザの微笑み/想い出の渚/スワンの涙/青い瞳/この手のひらに愛を/バラ色の雲

 タイトル通り、GSの楽曲をカバーしたアルバム。それぞれ当時の最先端のアレンジで演奏している。最も出来が良いのはどサイケな「この手のひらに愛を」であまり注目されないのが不思議なくらい。非常にシックな「真冬の帰り道」も夢心地にさせてくれる名演。「エメラルドの伝説」は日本のプログレの最初期の録音として貴重。同じ路線の「君に会いたい」も良い出来。「長い髪の少女」はニューロック的なアプローチだがせわしない。だが、ダメな曲がとことんダメなのが、狙いが鋭い分、残念。

47.7.10

コロムビアYS10122J

ラブ・サウンド・ブルー・コメッツ

A若者たちのメロディー/サムシング/さすらいの小径/ラヴ/女の部屋に/誤解 B流浪びとの歌/スーパースター/チェンジング・マイ・ハート/イフ/学校時代/ある愛の詩

 ソフトロックを意識したアダルトポップス路線。ロックバンドとしての音はないがコーラスグループとして安心して聞ける出来。ブルコメの演奏歌唱のどうこうよりも橋本淳の時代の終わりを強く感じさせるアルバムである。

48.8

ビクターSJX138

ブルーコメッツの素晴らしき音の殿堂

哀しい少女/シンデレラの脚/さよならの渚/初恋は枯葉いろ/港物語/恋に首ったけ B緑の乙女/おませな恋/真夏の夢/ひとりぼっちの男の子/夏の日の恋人/冬の音

 ビクター移籍第1弾。他にジャッキーさんの著作によれば二枚ほどビクターから出しているとのこと。小田と都倉俊一の作品を中心に組み立てられたアルバムで、他の作家は一曲ずつ。その中には井上忠夫作品もあるが、作編曲共GS時代のサウンドを意図的に避けている節がある。シングル曲とアルバムのみ収録曲の傾向にかなり深い断絶があるようだが、アルバムトータルとしては紛れもなく日本のバブルガム・ミュージックの頂点の一つと強弁可能な出色の出来。シングル曲以外ではプログレッシブな小唄調ソフトフォークポップな「初恋は枯葉いろ」や、やや軽めだがまるでフィンガーファイブのようなド派手なアレンジで迫るグルーヴチューン「おませな恋」、「ヴィーナス」のように始まるビートが思いっきり効いているくせに山本正之を思わせる何とも言えない日本情緒が絡みついて郷愁を誘うロックンロールチューンになってしまった「ひとりぼっちの男の子」といったあたりが耳目を引く。この時代の彼らの本質は強硬なビート性だと思うのだが、本人たちからも世間からもそういう点からの評価は皆無だったのは不幸と言わざるを得ない。ビッグネームの看板も災いしたか。なお、「シンデレラの脚」は「シンデレラ」と同じ録音だが、男声コーラスが入っていない。

49.7

ビクターSJX176

ブルーコメッツの素晴らしきオリジナル・サウンド

A優等生にはなりたくない/元町はたそがれ/泪を売る店/今/ナウ・ザ・タイム/今日もひとりぼっち/あいつの女 B夏のあいつ/サマー・ラブ/禁じられた世界/こっちにおいでよ/妖精の世界/季節はずれのコスモス

未聴。和製ソフトロックの傑作との声もある。シングル曲はすべて別バージョン。

51.2

ビクターSJX10117

ロックンロールパーティーVol.1

Aジェニ・ジェニ〜ルート66/ロックンロール・ミュージック/ブルー・スエード・シューズ/ビッグ・ハンク・オブ・ラブ/ワーク・ソング/センド・ミー・サム・ラビング/ホワッド・アイ・セイ B間抜けなキューピット/ツイスティン・ザ・ナイト・アウェイ/ロック・アラウンド・ザ・クロック/ジョージア・オン・マイ・マインド/ロコモーション/ダンス・トゥ・ザ・ミュージック/グッド・ゴー・ミス・リジー 

オールディーズを「ナウで迫力あるサウンド」でカバーしたアルバム。実質はブルーコメッツのアルバムであってこれにゲストプレーヤーが全面的に参加しているというもの。編曲はオリジナルに近くさほど凝ってもいないが、「ナウな」サウンドであるから音自体は70年代らしい乾いた音で、当時の音でオールディーズをカバーしましたという域に留まっている。もっとも、冒険しているものもないわけではないし、井上忠夫のライナーによればわざと乾いた音にしたそうだから初めからこの着地点を狙っていたのかもしれない。ジャッキー、小田以外のメンバーがそれぞれソロ・ボーカルを取るが、今ひとつ。ただし山根宮子のボーカルは頭ひとつ出ていて、バッキングのよさもあってソロをとる「ビッグ・ハンク・オブ・ラブ」がピカイチの出来。「ロコモーション」もこのアルバムの中ではよくとりまとまっている。全部を聴き終わると正直、本当にこれでよかったのだろうかと思わざるを得ない。ああ、苦闘、苦闘。

51.2

ビクターSJX10119

ロックンロールパーティーVol.2

Aのっぽのサリー/思い出の指輪/ビーバップ・ア・ルーラ/ショート・ファット・ファニー/パーティー/ダンス天国/スティーム・ヒート Bシェイク/シルバー・ムーン/トゥッティー・フルッティー〜レディ・テディー/ハード・デイズ・ナイト/ジム・ダンディー/ダンス・トゥ・ザ・ミュージック/カンサス・シティー

未聴。上と同じで尾藤イサオ、鈴木邦彦、水谷公生、井上忠夫、江藤勲がゲスト参加。

51.9

ビクターSJX10148

ディスコ大作戦

Aダンス・ブギー・ダンス/キス・ミー/セクシー・レディー/ドライブ・マイ・カー/ゲット・レディ Bザッツ・ザ・ウェイ/ディスコ・ラブ/ピース・アンド・ラブ/恋のブギー/ビバ・アメリカ

最後のオリジナルアルバム。完全にディスコティックのアルバムで、もうGSも歌謡ポップスもくそもない徹底ぶり。シングルカットされた「キスミー」と「ピース・アンド・ラブ」を除き全曲バカラやKCサンシャインバンド、アラベスクといった人たちのディスコティック曲を中心としたカバーで固めている。選曲は小田啓義。小林克也の英語のMCを被せて次から次へと曲がつながっていくスタイルでスタジオ録音盤ながらそれなりに臨場感がある。ただし曲自体は上手くつながっていない。オリジナルの二曲はディスコと言うより踊れるポップスという感じの曲だが英詩によるさりげない流し方がよくアルバム全体の中で馴染んでいる。特に「ピース・アンド・ラブ」は佳曲。ベースのグルーヴィーさとドラムのビート感の鋭さは流石ブルーコメッツという風格があり、「ゲット・レディー」にはまっとうなソウルの風格があるが、これもブルーコメッツがひたすらハコ巡りをするようなバンドになってしまった成果なのかと感じる悲しさもあり。オリエンタルエキスプレスらでディスコ人気が最高潮だった時代の熱気がある。セックステープのような「セクシーレディー」には凄まじいまでの色物感も漂う。このアルバムから何故「ディスコ歌謡」に一曲も取られなかったのか不思議。

ジャッキー吉川の著書の記述からするとこの辺りはもうほとんどやけくそでリリースしていたようだ。自分は好きなアルバム。

その他

 アポロンから46年に出た16曲入り8トラ「想い出のグループサウンズヒット」(なんて悲しいアルバム名なんだろう)のみに入っていた「花の首飾り」「マリアの泉」「いつまでもいつまでも」「雨のバラード」がCD化されています。また同じくアポロンから出た「ブルーコメッツの監獄ロック」の「監獄ロック」「君は我が運命」「グッド・ゴーリー・ミス・モーリー」「ハートブレイクホテル」「本命はお前だ」「アイ・ニード・ユア・ラブ・トゥナイト」「アイ・ウォント・ユー・アイ・ニード・ユー・アイ・ラヴ・ユー」「ロック・アラウンド・ザ・クロック」「ビー・バップ・ア・ルーラ」「クレイジー・ラヴ」「恋の片道切符」「おお!キャロル」「ダイアナ」「悲しき街角」「ポーク・サラダ・アニー」「ホワッド・アイ・セイ」「ルシア」「太陽は燃えている」と全曲がCD化。この他の8トラから「マミーブルー」「星空のロマンス」「悪魔がにくい」「雨の御堂筋」「花のように」「恋泥棒」「あなたならどうする」「また逢う日まで」「出発の歌」「夕月」「雨の舗道」「太陽は燃えている」「悲しみは駆け足でやってくる」がCD化。また、「明治百年大全集」というアポロンから出た4枚組みオムニバスカセットには「紅萌ゆる丘の花」「愛馬進軍歌」「北上夜曲」「霧子のタンゴ」「ブルーシャトウ」(オリジナルと同一音源かどうかは不明)「今は幸せかい」(井上忠夫として)が収録されている。未発表のステレオ・ミックスの「ミスター・キス・キス・バン・バン」42年6月の未発表ライブから「ダンス天国」「バラバラ」、さらに69年の未発表ジョイント・ライブから「キャント・ターン・ユー・ルーズ」、その他計2ステージ分のライブがCD化されました。一部の映画サントラ音源もめでたくCD化されていす。詳しくはGSのCDを見てください。他にみんなのうたで披露された「ぶたが逃げた」という曲やヤマハ合歓フェスティバル参加曲「朝陽に祈る」などもあるが、未だ音盤化されたことはない。このほかにも「だから今すぐ」、「運命だから」などマイナー目のオリジナル17曲を連続演奏したメドレー、「ナオミの夢」「よこはま・たそがれ」「雨がやんだら」「どうにかなるさ」「二人の世界」などの8トラ音源が残っており、CD化が待たれる。(情報提供・町井ハジメさま、ベンジャミンさま、名古屋の中山さま)

ソノシートでハチハニー・ワインのCMソング「ハチハニーの歌」をリリース。ほかにもソノシートを山ほど出しているのでそのうち載せます。その中で「10番街の殺人」「若さでゴーゴー」「急がば回れ」「パイプライン」「青い瞳」「スイムで行こう」はめでたくCD化。他にいしだあゆみのライブにゲスト出演した音源がレコード化されています。

 バッキングでは美空ひばり「真っ赤な太陽」のほかGS時代だけでもジャニーズ、フランツ・フリーデルやエミージャクソン、西郷輝彦、ザ・ピーナッツなどなどのレコードでバックをつけています。中でもザ・ピーナッツのバックを付けた8トラ音源の「小さな幸せ」はバックで「星に願いを」と「想い出の渚」をハミングするという斬新なアレンジが秀逸。ただし音質は大変悪い。(なお、一部に誤解があるようですがエミージャクソンのバックバンドであるザ・スマッシュメンとブルーコメッツは全く別のバンドで、「涙の太陽」のバックのザ・スマッシュメンはフィリピン人のコーラス力のあるエレキバンド、以降の同バンドは全く新しく結成されたバンドです。)

 尾藤イサオと内田裕也のロカビリー/エレキ時代のレコードにも注意!ブルージーンズと共演した「クルーエル・シー」は同曲の全てのバージョンの中で最も強力なバージョンで、井上忠夫のサックスと寺内タケシのギターが渡り合う迫力のサウンド。

 その他テレビ音源や地方公演のステージなどの音源が残っているようです。

 再結成音源では「さよなら日劇ウエスタンカーニバル」で「青い瞳」「ルシア」「ブルーシャトウ」等を披露。衰えぬ技術と軽妙な司会が楽しめる。というか格好いい。

 他にジャッキー吉川と石川晶のセッション盤?あり。

 最近、再結成のマキシシングルを出した。


 主なカバース

「青い瞳」ザ・チャレンジャーズ、ザ・ファイブ・サンズ、井上宗孝とシャープファイブ、ダウンタウンブギウギバンド、ホビーズほか

「青い渚」ザ・キャラヴァン、ザ・ファイブ・サンズ、井上宗孝とシャープファイブ

「ウェルカム・ビートルズ」プラスチックス(「ウェルカム・プラスチックス」として)

「シャウト・アンド・ブルースビート」尾藤イサオ(「孤独の叫び」として)

「ブルーシャトウ」ザ・タイガース、ザ・ジャガーズ、木の実ナナ、中村晃子、井上宗孝とシャープファイブ、ヤングビーツ、ロイヤル・ロック・ビーツ、ザ・ベンチャーズ、ハルヲフォン、ダウンタウンブギウギバンド、寺内タケシとブルージーンズ、ザ・キッパーズ、ダーク・ダックス、キース、ザ・ガレージ(モーニング娘。他)ほか多数。

「マリアの泉」ザ・ベンチャーズ、ザ・ジャイアンツ、ジョーヤ増渕とアフロアミーゴス、東京キューバンボーイズ、ザ・サンダース

「北国の二人」ザ・ジャガーズ、ザ・サンダーズ、ザ・ジャイアンツ、オールスターズ・ワゴン、ジョーヤ増渕とアフロアミーゴス、ザ・ベンチャーズ

「こころの虹」パープル・シャドウズ、ジム・ヘンダーソン楽団、ロイヤル・ロック・ビーツ、オス・インクリベイズ(ブラジル)

「すみれ色の涙」岩崎宏美

「白鳥の歌」ジミー竹内とエキサイターズ、ジム・ヘンダーソン楽団、鈴木邦彦とザ・ジョーカーズ

「さよならのあとで」ザ・キッパーズ、渚一郎とルナ・ジェーナ

「雨の赤坂」ザ・ピーナッツ、伊東ゆかり、黒木憲、ロス・インディオス、角川博


参考リンク

ブルーコメッツ公式

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