日本が誇る音楽の世界遺産
寺内タケシとバニーズ
(Takeshi Terauchi & his Bunnys/The Bunnys)
バニーズは誰が何と言おうと日本最強のバンドです。
私の一番好きなGSがこのバニーズ。歌謡曲歌謡曲とばかり言っておるが、外国のリスナーに日本で一番凄いロックバンドを一つ上げてくれ、といわれれば、迷わずこのバンドを挙げる。一般に今のロック系のバンドとGSとの一番の違いは「音の粗さ」だと思うがこのバンドの音の荒さはただもう壮絶というしかない。凄みを感じる。重いビートに凶暴な速弾きギター。狂気すれすれのやけくそ感。上手いんだか何にも考えがないんだかよく判らないボーカル陣。八方破れがガレージだというのならまさにガレージそのものだ。何より一小節聞くだけで「ああバニーズだなぁ」とわかる独特のグルーヴ感がある。とにかくガレージに思い切り偏ったアルバム/シングルを連発し、しかもチャートに歌謡曲らしい歌謡曲がひしめき合う中でちゃんとヒットとなっていて独りよがりなロックに終わっていないのも凄い。そうかと思うとラストアルバムではいきなりソフトロックグループに転身。それでいてちゃんと少ないとはいえ女性ファンの嬌声を浴び、アイドルっぽい行動をとったり、歌謡曲としての名曲中の名曲「愛のリメンバー」を生み出したり、そういう無理なことを平気な顔でやってしまうのがとんでもない。こういうものをロックというのであろう。そういうことを言い出したら。寺内タケシそのものがロックな気もするけど。
バニーズは昭和41年にブルージーンズを結核等でやめた「エレキの神様」寺内タケシがビートルズ型のバンドを作るために横浜のアマチュアバンドの腕利きたちを集めて結成したバンド。スパルタ合宿を経て、同年12月にキングからインスト「テリーのテーマ」でデビューした。しばらくシングル・ヒットがなかったが、翌年3月に四枚目のシングルとなる「レッツ・ゴー・シェイク」がヒット。この年から翌年にかけてメンバーチェンジをはさみながら(興石がエドワーズを作るために抜け、バニーズの弟バンド「テリーズ」から鈴木が昇格。なお、興石はバニーズに行く前にスパイダースに入る話も合ったという。テリーズはレコードデビューした当時のメンバーとは全然別のメンバーだった。)、エレキインストの金字塔「レッツゴー運命」や歌ものの「悪魔のベビー」「愛のリメンバー」「太陽野郎」「太陽の花」などヒットを連発した。42年の末にはその「レッツゴー運命」でレコード大賞編曲賞を受賞し、その日のフジテレビの「オールグループサウンズ大会」(“GS紅白”)で「運命」を披露しGSブームのハイライトを彩った。しかし、その後バニーズは寺内とそれ以外のメンバーとの音楽面・精神面での対立が大きくなり、寺内タケシからバンドが「独立」し、さらに寺内タケシの寺内企画そのものからも「脱走」してしまう。彼らはレコード会社も東芝に移り極力エレキ/ガレージ色を廃し、結果ソフトロックに傾倒した。この路線でなんと昭和46年にもなってレコードを出している。その後メンバーの一部を入れ替えて荻野達也とフーリンカザンという歌謡ポップスバンドになった。
バニーズの全音源は全世界のガレージ音楽ファン垂涎の国宝的な物となっており、暫く続いたGS復刻ブームの中でも最後期になってようやくシングル集を含め全アルバムがCD化された。あとは「バニーズ・ショウ」を残すのみだが、これは当時二度と復刻しないという約束で配布された音源だけに難しいかもしれない。しかしこれとて、いつサンディズドあたりにリイシューされても全然おかしくない。
ちなみにドラムの井上正は常にドラマーとして私の頭の中にある人であります。こんなバンドがやれたらいいな。(と思いつつ、十年理解してくれる人がなかなか現れない。)ところで「バーニーズ」という誤表記は誰が広めたのか。
なお、ブルージーンズを含めた寺内タケシのディスコグラフィーについては、「モカバンドのエレキ共和国」というサイトのこちらにほぼ完全と思われるカタログがありますので、参照してください。(無断リンクなので問題があれば消します。)
パーソネル
寺内タケシ リードギター (元ブルージーンズ、のちブルージーンズ再興)43年秋まで
荻野達也 オルガン
小野肇 ベース 44年まで
黒沢博 ギターボーカル (黒沢年男の実弟・のちヒロシ&キーボー)
井上正 ドラムボーカル (のちブルージーンズ)
輿石秀之 ギターボーカル (現大石吾郎・のちエドワーズ)42年5月まで
鈴木義之 ギターボーカル (元テリーズ)42年5月から
栗山正 ギター (元フェニックス)45年から
ディスクレビュー
シングル(タイトルが変色しているのはCD化済み)
発売日 |
レコード番号 |
タイトル |
作詞 |
作曲 |
編曲 |
オリコン順位/枚数 |
備考 |
41.12.1 |
キングBS548 |
テリーのテーマ |
(インスト) |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
発足前 |
「青空が広がるような」(大学の時のバンドの女の子がいってた)インスト。ステージのオープニング曲。簡単なメロディーだが高揚感がある。 |
テスト・ドライバー |
(インスト) |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
これぞガレージインストというスリリングな名曲。ヒッピーヒッピーシェイクスをはじめとして多くの国内外のバンドにカバーされた。イタリアンツイストっぽい荒々しい曲調。 |
|||
41.12.20 |
キングBS551 |
帰らぬ誓い |
荻野達也 |
荻野達也 |
寺内タケシ |
発足前 |
バニーズらしくない、流行に便乗したフォーク・バラード。バニーズでは唯一どうでもいい曲。素朴と言うより泥臭い。耽美というより辛気臭い。 |
ドリーム・イン・ジ・オーシャン |
荻野達也 |
荻野達也 |
寺内タケシ |
これはやけくそなコーラスがガレージ魂に火をつけるかっこいいサーフビートもの。さびの日本語部分で少しずっこけるが凄まじいまでののりがただただ壮絶。当初はA面の予定だったらしい、・・・余計なことを。 |
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42.3.1 |
キングBS596 |
勧進帳 |
(インスト) |
長唄 |
寺内タケシ |
発足前 |
ディックデイルを思わせるグッドサーフサウンド。のちに海外でこれをモチーフにした作品が発表されたりした。脂ののりきった寺内の豪放で緻密なギターワークに注目。 |
元禄花見踊り |
(インスト) |
長唄 |
寺内タケシ |
原曲に忠実な感じの小品。それでいながらビートにヤケクソ感があるのが素晴らしい。 |
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42.3.20 |
セブンシーズHIT704 |
レッツ・ゴー!シェイク |
ささきひろと |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
発足前 |
バニーズの最初のヒット曲。和製サーフロックの傑作。「サーフィンバード」に似たのりのりのニューリズムもの。井上正の例の掛け声が初お目見え。最初のカウントと歌の入りのテンポが全然違うのが意表をつく。シンプルすぎるともいえる本編に比してつくづく凝りすぎの変なイントロ。シェイクの冠は羊頭狗肉。なおダディ竹千代とおとぼけキャッツ「電気くらげ」の間奏でこの歌が引用される。海外での海賊盤にも収録されている。 |
シェイクNo.1 |
ささきひろと |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
もったりした歌だがなんかやらしい。露出プレイを連想させる。まるで暴走族の爆音のようなギター・ソロがヤケクソ感満点。これもどこがシェイクなのかよくわからない。 |
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42.5.20 |
セブンシーズHIT709 |
ライジング・ギター |
(インスト) |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
発足前 |
エレキ民謡の系譜。ミドルテンポだが世界ガレージに紛れさせても光ること請けあいなインスト。 |
サウス・ピア |
(インスト) |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
これも民謡っぽいミドルテンポのインストだが、下の方で伸びているファズったオルガンがかっこいい。和製インストの傑作の一つ。 |
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42.8.1 |
セブンシーズHIT713 |
悪魔のベビー |
ささきひろと |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
発足前 |
アウトキャストの「電話でいいから」やスパイダースの「孤独の叫び」を凌駕するGSガレージの最高傑作の一つ。この唄で何も感じない人は一生GSと縁がないと思ってください。歪みまくったファズギターと闇雲なボーカルが凄まじい。ジャケは二種類あり、タイトルは「悪魔のベイビー」ともいう。大ヒット。 |
ストップ |
ささきひろと |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
テリーズのバージョンと比べるとまとまっていない印象もあるが、度胸だけでやっているような疾走感はこちらが上。間奏のギターソロはまたも暴走族のマフラー音を思わせ、凶暴。ファズを使用しているので好みは別れるはず。それにしても井上正のシャウトがかっこよく、ドラミングも素晴しい。 |
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42.10.1 |
セブンシーズHIT715 |
運命 |
(インスト) |
ベートーベン |
寺内タケシ |
12位 7.3万枚 |
寺内タケシの代名詞。驚異的なギターワークが楽しめる。オリコン発足があと半年早ければ坂本龍一より前にインストのオリコン1位が生まれたかもしれないというくらいの大ヒット。内容もそれ相応で一体感のある演奏に目眩く早弾きギターが被さり、魅惑的なことこの上ない。テレビで演奏したところ大変評判が高かったため商品化。レコード大賞編曲賞の対象作品。この年の大晦日のフジテレビ「オールグループサウンズ大会」でも披露された。 |
未完成 |
(インスト) |
シューベルト |
寺内タケシ |
海外で出た海賊盤CDにも収録された好ナンバー。最後に爆発するアドリブは烈火の如し。この編曲を思いつくというのが寺内タケシの恐ろしさ。インスト系GSの多くが手を出している曲であり、シャープファイブやユニコンズ、ブルージーンズらと聞き比べるのも一興。 |
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42.10.20 |
セブンシーズHIT716 |
愛のリメンバー |
鈴木義之 |
鈴木義之 |
寺内タケシ |
35位 4.5万枚 |
本来のバニーズサウンドとは異なるが、きらびやかなストリングスに乗って甘酸っぱい歌詞が歌われる歌謡バラードの傑作。この歌を聴くと涙が出てしまいます。ハルヲフォンやスラップスティックもカバーしたメジャーGSを代表する名曲。当時はバニーズ初のメロディーがある曲などと言われた。 |
二人の噴水 |
ささきひろと |
荻野達也 |
寺内タケシ |
ウィズストリングスのバラード。ギロが時計の音を思わせ、情緒を高めている。女声スキャットを導入した高級感溢れる優雅で落ち着いた歌。 |
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42.11.1 |
セブンシーズHIT718 |
津軽じょんがら節 |
(インスト) |
|
寺内タケシ |
73位 0.3万枚 |
今でいうセッション盤。三橋美智也の三味線もかっこいいが寺内タケシのギターはそれ以上に壮絶。火炎放射器で野原を焼き払っているかのようだ。後歌のところで入る合いの手みたいな三味線の音が可愛い。 |
黒い瞳 |
(インスト) |
ロシア民謡 |
寺内タケシ |
エレキの定番だが、イントロが「佃」で意表をつかれる。A面に劣らぬ大熱演。ころころ言う三味線とスカスカなリズム隊のからみが面白い。実は一番好きな曲かも。 |
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42.11.20 |
セブンシーズHIT717 |
太陽野郎 |
岩谷時子 |
いずみたく |
寺内タケシ |
16位 10.1万枚
|
バニーズの代表曲。同名ドラマの主題歌。田舎の馬の話に相応な武骨なガレージビート。バニーズらしいといえば非常にらしい曲。GSのシングル曲の中で一番短いのがこれ。ちなみに大学時代一回コピーした。 |
ワールドボーイ |
山上路夫 |
いずみたく |
寺内タケシ |
A面に似た歌だがよりポップで出来がいいかも。テンポも速い。度胸一つ裸で勝負しているような風情があり、やさぐれている。しかしこの辺のバニーズのリリース速度は速すぎ。無線機のCMソング。 |
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43.1.20 |
セブンシーズHIT725 |
フィード・バック・ギター |
(インスト) |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
75位 1.3万枚 |
なかなか凝ったヨーロッパっぽいインスト。タイトルどおり、フィードバックを使用しているが、インストのミュート奏法が印象的。マーガレットによる唄入り盤「バラ色の妖精」もあるが、それもバックはバニーズ。 |
思い出の星空 |
(インスト) |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
オーケストラをバックにしたロマンチックな曲。歌詞から解放されてはいるが、あまり調子がよくなかったのかいまいちの出来。過剰に甘いテリーズの歌入り盤も聴取のこと。「ブルースター」の影響下にあるものと思われる。 |
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43.3.10 |
セブンシーズHIT727 |
太陽の花 |
ささきひろと |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
10位 11.7万枚 |
バニーズサウンドの極地。メロディー自体は単調なくりかえしなのにこののりの良さは他の追従を受付けない。井上正も例のごとく吼える。最後の笑い声はちょっぴりサイケ。もとネタはビートルズか。聴き所はあのテリーさんですらバックの演奏の勢いに追いつけなくなっているやけくそな間奏のギターソロ!チャート上最大のヒットだが10年近くCD化されていなかった。テイチクのアンディ藤本(好一)と競作。 |
青春をかけて |
青野一栄 |
鈴木義之 |
寺内タケシ |
サーフをベースにしたえらい男臭い歌。泣きのギターにメタル野郎も感動してた。この曲あたりでバニーズの魔力に陰りが見えてきたような気がする。 |
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48.5.20 |
セブンシーズHIT734 |
レッツ・ゴー・ブガルー |
ささきひろと |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
29位 4.7万枚 |
えらい前衛的、かつダンサブル。引きずり歩いているような演奏が印象的。井上正の掛け声も可愛い。大信田礼子の「女の学校」にちょっと似てる。ジミヘン歌謡。アナーキーかつかっこいい唄なのでカバーするバンドも多い。 |
サマー・ブガルー |
ささきひろと |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
ビートを強調したリズムもの。南洋群島の恋物語。バニーズ後期ではもっともGS的。A面に勝るとも劣らない名曲。キンクス歌謡。個人的にはこっちの方が好きだが、同じリズムを使っているとは思えないほど表情が違う。 |
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48.9.20 |
セブンシーズHIT739 |
東京のサンセット |
岩谷時子 |
いずみたく |
寺内タケシ |
76位 1.0万枚 |
男泣きするGS版「ああ上野駅」。絶望の果てに見た東京の夕日の美しさ。数あるGSの歌の中でもっとも繊細な歌詞を持つ歌。しかもこれがあっけらかんと歌われる。異常な情緒を持つ隠れた名曲。後に残る喪失感の強烈さ。なお、これよりバンド名は荻野達也とバニーズとなる。 |
炎の恋 |
ささきひろと |
寺内タケシ |
寺内タケシ |
例のごとくやたら速いテンポで進行するすかすかなビート歌謡。橋幸夫の「恋をするなら」を髣髴とさせるが、出来は・・・。 |
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44.1.20 |
セブンシーズHIT742 |
たそがれ |
橋本淳 |
平尾昌晃 |
森岡賢一郎 |
ランク外 |
分厚いファズを使用した情緒に勝る純歌謡。胸にしみいるしみじみとした佳曲だが、何でバニーズがやることになったのか。バニーズでなければという必然性はない。ここからバニーズはチャートには昇らなくなってしまった。 |
淋しそうな少女 |
橋本淳 |
平尾昌晃 |
森岡賢一郎 |
歌謡曲としてはいい歌だと思う。夜中に聞くと泣けるが、これも何故バニーズがという感じ。平尾昌晃という人はブルコメとバニーズの凋落に関わってしまったことになる。 |
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44.3.10 |
セブンシーズHIT744 |
ウスクダラ |
(インスト) |
トルコ民謡 |
寺内タケシ |
ランク外 |
もはや感情の行き違いは決定的になっていた頃のはずだが、演奏での息はぴったり。ファズギターとサイケなコーラスが心地よい。その昔江利チエミで流行った曲(ちなみに江利は後にムーンライダースとも吹き込んでいる)。 |
黒い瞳 |
(インスト) |
ロシア民謡 |
寺内タケシ |
最後っ屁のような素晴らしい名演奏。「運命」を彷彿とさせるグルーヴ感がたまらない。これも大学の時一回だけカバーしたなぁ。 |
|||
44.5.1 |
セブンシーズHIT746 |
ブルー・スター |
(インスト) |
ヤング・ヘイマン |
寺内タケシ |
ランク外 |
ミリオンセラーの夢よもう一度とばかりに気合いを入れて録音した作品だが渋さが先に立ち、売れる要素があまりない。ロマンチックなギターが心に響くがバニーズらしくない。契約が残っていたので旧録音を敗戦処理的に出したシングルと思われる。 |
アンチェインド・メロディー |
(インスト) |
アレックス・ノース |
寺内タケシ |
ワウギターとトレモロ奏法が目立つ、哀愁インスト。これも従来のバニーズサウンドに比べると近代的すぎる。 |
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45.3.5 |
リバティーLP1202 |
金色のほほ |
山上路夫 |
村井邦彦 |
渋谷毅 |
ランク外 |
ボサノバの佳作。甘く優しく囁きかけるような曲調が耳にソフトにあたってくるが、なんか転落感があるのは何故? |
青春は甘く悲しく |
山上路夫 |
村井邦彦 |
渋谷毅 |
ソフトロックの名曲。素晴らしいコーラスワーク、まばゆいばかりの編曲。まさにハッピーサウンド。末期バニーズの最高傑作という人も多い。 |
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45.10.5 |
リバティーLP1210 |
双子座の奇跡 |
ちあき哲也 |
荻野達也 |
荻野達也 |
ランク外 |
これもハッピーサウンドのソフトロックだが、ぼうっと聞いているといきなり入る尺八にびっくりする。他にもけっこう効果音が多い。実験作? |
運命 |
ちあき哲也 |
荻野達也 |
山屋清 |
ちょっぴりニューロックのはいった中庸な歌。本人たちが弾いているらしいが何と言うことはなし。 |
|||
46.3.25 |
リバティーLTP2401 |
悲しき雨音 |
岩谷時子 |
ジョングモウ |
葵まさひこ |
ランク外 |
コーラス重視で往年の名曲を日本語カバー。合格点の出来。(でもレンジャーズのバージョンの方が好き。)この時期に笑点でボーイズ芸をやっていたらしいが、成る程、それっぽいジャケだ。 |
思い出は涙だけ |
岩谷時子 |
ドンブラック |
荒川康男 |
何でGSの中でも最も男っぽい井上正が弱々しい女心を歌わにゃいかんのか、と思いきやなかなかはまっている。MOR歌謡の佳作。 |
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46.10.5 |
リバティーLTP2523 |
北風 |
片桐和子 |
モリス |
荻野達也 |
ランク外 |
日本では北原謙二がカバーして有名なテキサスビルストリングスのウエスタン曲の日本語カバー。やさぐれていてなかなかかっこいい。コーラスにはなかなか聴き惚れるが、この時代になってこんなことしてちゃいけない。 |
アイ・ビリーヴ |
ドレイク/グラハム |
ステイルマン |
荻野達也 |
これはファーストアルバムに入っている曲の再カバーになるのだが前回はインスト、今回はアカペラ。その意図はキング時代を忘れたいからなのか、それとも寺内との和解の意思の表れか。ともかくこれがバニーズのラスト曲。バニーズの騒々しいイメージとはかけ離れている。 |
17センチ
発売日 |
番号 |
タイトル |
収録曲 |
備考 |
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|
正調寺内節 |
A勧進帳/佐渡おけさB元禄花見踊り/ノーエ節 |
アルバムのダイジェスト。 |
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キングPS13 |
レッツゴーシェイク |
Aレッツゴーシェイク/シェイクNo.1Bライジングギター/サウスピア |
シェイクもののダイジェスト。 |
42. |
キングSS234 |
レッツゴーエレキ |
Aチャルダッシュ第一番/ライダース・インザ・スカイB空飛ぶギター/黒いカーネーション |
速弾きもののダイジェスト。初出の「チャルダッシュ第一番」は芸術品。バイオリンものもギターでここまで弾ける。 |
|
キング |
レッツゴー運命 |
A運命/白鳥の湖B未完成/或る晴れた日に |
アルバムのダイジェスト。 |
|
キング |
バニーズ・ビッグ4 |
A愛のリメンバー/二人の噴水B太陽野郎/ワールド・ボーイ |
バニーズの代表曲を集めたミニベスト。 |
42.10 |
キングSS238 |
バニーズのクリスマスパーティー |
Aジングルベル/ブルークリスマスBサンタが町にやってくる/ホワイトクリスマス |
全曲これでしか聴くない。ファンの嬌声を取り入れた「サンタが町にやってくる」や「恋するラララ」の名乗りの雛形である「ジングルベル」の出来が特によく、特に後者は壮絶。 |
42. |
キングSAMPLE3 |
寺内タケシとバニーズ・ショー |
Aテリーのテーマ/ダンス天国/レッツゴーシェイクB元禄花見踊り/ノーエ節/佐渡おけさ/悪魔のベビー |
非売品。野放図なライブが楽しめる。「レッツ・ゴー・運命」の予約特典として抽選で配られた42年7月24日池袋ドラムでのライヴ盤。のちにリリースされた「ゴールデン・コンサート」と同じく「テリーのテーマ」で始まり、メンバー紹介に続きにぎやかな演奏と壮絶な井上のボーカルの他では聞いたことのないアレンジの「ダンス天国」、そしてハイテンションなMCで一気に「レッツゴーシェイク」に突入。これもライブ用に短縮されているが、日本のサーフの名曲に相応しいワイルドな演奏。ここまで日の出るような演奏で目眩がするような濃厚な6分間。B面では「ゴールデン・コンサート」の「日本古謡メドレー」とほぼ同じような感じで民謡三曲のインストを披露、最後はまた井上がテンションの高いボーカルをとり「悪魔のベビー」へ突入。合間に寺内が礼儀正しくメンバーを紹介するという、全盛期のバニーズの恐ろしいテンションの高いステージの様子がまるきり残っているという恐ろしい一枚である。なお、同封の挨拶状に今後一切この音源は再発しない旨が書かれている。Pヴァインがこれを復刻できなかったのは、このときのファンとの約束を愚直に守った赤心の現われだと思われる。しかし、埋没させるには大変に惜しい音源である。なお、「ダンス天国」「悪魔のベビー」は豪製ブート盤に収録されている。 |
アルバム
発売日 |
レコード番号 |
タイトル |
収録曲 |
備考 |
41.12.10 |
キングSKK285 |
バニーズ誕生!レッツゴー寺内タケシ |
Aテリーのテーマ/帰らぬ誓い/黒いカーネーション/もえろ、もえろ/太陽の叫び/ドリームインジオーシャンBテストドライバー/虹のかけ橋/空飛ぶギター/ロンリーボーイ/ヘイチャンス/アイ・ビリーヴ |
和製ガレージの最高傑作の一つ。ボーカルものは当たりはずれが大きいがインストものはどれも大傑作。特にのべつ幕なしに弾きまくる「空飛ぶギター」、ガレージ度満点の「ヘイチャンス」、ワイルドギターが吼える「太陽の叫び」は凄まじい。ボーカルものでは「もえろもえろ」の度胸だけで押し通すめちゃくちゃにノックアウト。これぞガレージの神髄。絶対聞くべし。 |
42.3.1 |
キングSKK307 |
正調寺内節 |
A勧進帳/佐渡おけさ/娘道成寺/真室川音頭/小諸追分/チャッキリ節B元禄花見踊り/ノーエ節/花笠音頭/お江戸日本橋/かぞえ唄/筑波山 |
エレキ民謡もの。お家芸のインスト。シングル以外では「娘道成寺」が抜群にかっこよく、暴走するギターに度肝を抜かれる。その他はみんな平均点といった程度の出来だが、流石バニーズ、その平均点が高いこと。「筑波山」はオリジナルだが民謡以上に泥臭い。バニーズのアルバムの特徴である、必要以上にマニアックな機材話ももちろん載っています。 |
42.6.20 |
キングSKK340 |
世界はテリーを待っている |
Aライダースインザスカイ/朝日の当たる家/朝日のようにさわやかに/世界は日の出を待っている/モーニン/シャインBナイトトレイン/夕日に赤い帆/ブルームーン/スターダスト/ムーンリバー/カミンホームベイビー |
ついにCD化。驚異的なサウンドを聞かせるGS屈指の名盤。どの曲も素晴らしい出来だが特に「モーニン」はめちゃくちゃワイルド。他にメンバー紹介の入る「ナイトトレイン」や「朝日のようにさわやかに」、「ムーンリバー」もハードな演奏でガレージファン必聴。お家芸の速弾きも「世界は日の出を待っている」で本家レスポールも真っ青な演奏を披露。最後の「カミンホームベイビー」はパートチェンジし、寺内のドラムや井上の尺八、荻野のマリンバなどが聞ける。これが実に味のあるプレイでモダンジャズとして楽しめ、グッド。 |
42.9.10 |
キングSKK366 |
レッツゴー「運命」 |
A運命/白鳥の湖/ペルシャの市場にて/熊蜂の飛行/ショパンのノクターン/剣の舞B未完成/ハンガリー舞曲第五番/カルメン/ドナウ川のさざなみ/或る晴れた日に/エリーゼのために |
ドイツでも発売されたエレキの古典。どの曲もテンションが高く素晴らしい出来。編曲はベンチャーズの曲の組み立て方に対するアンチテーゼとしてなされたという説もある。特に「エリーゼのために」はファズバリバリで原曲を破壊し尽くしていてかっこいい。「白鳥の湖」や「ドナウ川のさざなみ」のリード尺八が印象的。GSのアルバムで一番売れたのが実はこれ。 |
42.12.10 |
キングSKK390 |
バニーズ・ゴールデン・アルバム |
A愛のリメンバー/二人の噴水/悪魔のベイビー/ストップ/虹のかけ橋/ロンリーボーイB太陽野郎/ワールドボーイ/レッツゴーシェイク/シェイクNo.1/もえろもえろ/帰らぬ誓い |
唄もののみによるベスト盤。 |
43.4.20 |
キングSKD1 |
バニーズ・ゴールデン・コンサート |
Aテーマ/太陽の花/ブラックイズブラック/愛のリメンバー/男が女を愛する時/この胸のときめきを/太陽野郎B日本古謡メドレー/ピンと針/ウエストサイドギター/ペルシャの市場にて/津軽じょんがら節/アハードデイズナイト/テーマ |
実況盤。A面はGS特有のグルーヴにあふれた好ライブ。随所にサイケデリックの影響が見えて面白い。また、当時のグループサウンズのMCまで入ったライヴ運びが体験できる。B面は大インスト大会。やさぐれまくっている「津軽じょんがら節」や愛嬌たっぷりの「ペルシャの市場にて」など聞き所たくさん。ただし、スタジオ録音に比べボーカルがかなり弱いのが謎。「アハードデイズナイト」は唄入りでGSがビートルズをカバーしているという貴重品で、出来もなかなか良い。個人的には「日本古謡メドレー」で井上がリード尺八を執る間リズムをキープするリズムギターのカッティングが必死で気に入っている。 |
46.10.5 |
リバティーLTP9039 |
北風/バニーズの世界 |
A北風/明日に架ける橋/ハードトゥハンドル/アイビリーヴ/太陽は燃えている/ジャワの東B悲しき雨音/運命/金色のほほ/マイスウィートロード/幻想の世界 |
和製ソフトロックアルバムの傑作の一つ。「幻想の世界」はプログレ的ともいえる大作のインスト。相変わらずカバー曲の選曲のセンスがはずれているのはご愛嬌だが、随所で見られる甘いボーカルや重厚なコーラスなどいわゆるサバービア的な感覚の鋭さには驚嘆。なお、DJにはジョージ・ハリスンのカバー「マイ・スウィート・ロード」が人気らしい。 |
あと他に再結成もので「バニーズ復活」(演奏・ブルージーンズ)というのもあるが未聴。現役時代にはソノシートや「エレキ部落の大統領」などの全曲別テイクのカセットが幾つかある。
バッキングものは西川一也の「恋愛旋風」と寺内企画のハーフ歌手マーガレット(ひとりGSの最終兵器!)がこの名前でリリースした全曲、即ち「逢えば好き好き」「幸福」「バラ色の妖精」「遊びに来てね」の5曲を残している。
ほかに東芝時代にはアルバムとして発売予定であったがお蔵入りした「ヘアー」のカバーを吹き込んだ音源もある。たまたま聞けたが自分たちで演奏しているものが多いらしく、「北風」よりは出来がよいと思われた。その中で「レット・ザ・サンシャイン・イン」は暴れるベースを中心にグルーブ感が高く、別格的に耳目を引いた。この音源は商品化されているのか、或いはサンプルまで行って製品化まではしていないのか判然としないけれども、いずれにしても「これがヘアーだ」というタイトルでカセットテープ(「ジャス・カセット」というのがレーベル名なのか会社名なのかよくわからない。)には鳴っているようである。
ほかに同時期の音源で「ロック・スタンダード」なるタイトルで「朝日のあたる家」「ブルースエードシューズ」「ハウンド・ドッグ」「ルシア」「グッド・ゴーリー・ミス・モーリー」「アイ・ニード・ラヴ・トゥナイト」「ロック・アラウンド・ザ・クロック」「アイム・ダウン」「レット・イット・ビー」「ノー・タイム」「シュガーシュガー」「ヴィーナス」「レット・ミー・ビー・ゼア」のほか自分がタイトルを知らない曲3曲と珍しい選曲で歌唱演奏しているものがある。ブルコメ、スパ、ワンズらと同じ発想の企画だがそれらには絶対に劣らない熱演。大活躍するピアノ若しくはハモンドオルガン、重厚なファズ、ワイルド極まりない井上のボーカル、レベルの高いコーラスなど東芝時代の充実振りがよく伝わる曲がずらりと並ぶがどういう起源の音源か知らないので事情のわかる方がおられましたら、これも或いはカセットオンリーの企画かもしれない。不明曲のタイトルも併せて情報お待ちしております。(matさまありがとうございました。)なお、「思い出のGS天国」というCDにバニーズ名義で収録されている収録されている別テイクの「愛のリメンバー」はブルージーンズによる再演バージョンのクレジットまちがい。
カバース
「テスト・ドライバー」ヒッピー・ヒッピー・シェイクス、ザ・サーフ・コースターズ、ザ・ロイヤル・フィンガース
「ヘイ・チャンス」ザ・ロイヤル・フィンガース
「悪魔のベビー」ザ・クラックナッツ
「ストップ」テリーズ
「太陽野郎」ザ・ジャガーズ、東京タワーズ、ザ・サンダース
「ワールド・ボーイ」東京タワーズ
「運命」ザ・サンダーズ、ロイヤル・ロック・ビーツ
「愛のリメンバー」ハルヲフォン、スラップスティック
「太陽の花」アンディ藤本、ジム・ヘンダーソン楽団、鈴木邦彦とザ・ジョーカーズ、寺内タケシとブルージーンズ、ザ・5678ツ
「レッツ・ゴー・ブガルー」東京タワーズ、ザ・5678ツ
「ウエスト・サイド・ギター」ザ・ロイヤル・フィンガース
※「逢えば好き好き」安田美香とザ・ロイヤル・フィンガース、ザ・ノックアウツ、THEE 50’s Highteens