「世界」にしか通用しない悲しみ
ポニーズ
Ponees
実はGS屈指のポップバンド。
一体、ポニーズが好きなんていう奴が世の中に何人いるのだろう。もしかしたら片手に余るのじゃないだろうか。でもとっても甘い彼らの世界には独特のものがあり、ついつい聞き返してしまうのです。
ポニーズは新宿のフォーク喫茶「フォーク・ビレッジ」の社長がマグマックス・ファイブなどいくつかのバンドのメンバーを集め42年10月に結成したグループ。猛練習の果てに翌年8月にコロムビアからデビュー。「ブルー・エンジェル」はオリコン65位まであがった。同年10月モンキーズ日本公演では前座も勤めた。しかし、それ以降目立った活躍なく終わった。
ポニーズは甘ったるいティーンポップスを基調にして女性や低年齢層に人気が高かったそうである。ほかのGSがワイルド、過激、アイドルに走ったのに比べ彼らは清潔感溢れるイメージで押し通した。一見どうでも良さそうな楽曲群だがよく聞くとかなり高いところを狙っていたのではないかと思われる節もあり、大成しなかったワイルドワンズという感じ。大きく目先を変えた曲がなかったのが惜しまれる。何となくではあるが、彼らはジャズ喫茶のバンドというよりテレビタレントに向いているような気がする。今ならばそれなりに人気が出てテレビでよく見かけるバンドになったのではと思える。そういう意味ではこのバンドもGSブームの重圧に押しつぶされたバンドといえよう。
ところで、このバンドの楽曲を某氏が某国のポップス・マニアに聞かせたところ、60年代を代表するポップスの名曲と互する名曲揃いであるという評価が返ってきたそうだ。その時点では国内では単なる甘ったるいポップスという評価しかなく、自分としては大変不本意な気分でいたが、このやりとりをネット上で見つけたときには快哉を叫んだものである。その後、「アガナの乙女」が日本のサイケポップスとして海外発売の海賊版に取り上げられるなど、海外での評価ばかりが鰻登りに昇っているが、国内での再評価は未だになされていない。大変な損失である。
なお、パインズというバンドが前身であるという説もあるが詳細不詳。
パーソネル
かごとし達郎 ドラムス、のちミュージック・ボンボン
谷田部進 ベース
原田正美 リードギター、元マグマックス・ファイブ、のち森田公一とトップギャラン
橋本直樹 サイド・ギター、のちミュージック・ボンボン
ディスコグラフィー(全曲CD化済み)
発売日 |
カタログ番号 |
タイトル |
作詞 |
作曲 |
編曲 |
オリコン順位 |
備考 |
43.8.25 |
コロムビアLL10064J |
ブルー・エンゼル |
針谷恵介 |
原田正美 |
林一 |
65位 0.9万枚 |
ハープが大活躍するロマンチックなローティーンポップス。煌びやかさと甘ったるさが同居する。ほのぼのとした感触がある佳曲。躍動感のあるコーラスが印象的。 |
夕ぐれの渚 |
渡辺研一 |
中原大 |
林一 |
フォークの影を引きずった青春歌謡系ローティーンポップス。こちらも甘さが先に立つ。やや押しが弱いのが難点。 |
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43.12 |
コロムビアLL10079J |
雨降る街角 |
湯川礼子 |
浜圭介 |
東海林修 |
ランク外 |
「雨に唄えば」を下敷きにした正統的ポップス。東海林修の煌びやかな編曲でソフトロックとしても楽しめるこのバンドの最高傑作。春日八郎とは同名異曲。 |
アガナの乙女 |
湯川礼子 |
浜圭介 |
東海林修 |
シタールを導入した実験的なポップス。グァム島の伝説を切々と唄う悲劇的な内容の小品。ハーモニーを強調している。 |
参考リンク
籠利達郎氏のライヴスケジュール(ロック屋・音注意)・・・籠利達郎氏の現況について詳しいです。ペッパーズというリアルタイマーによるバンドのページですが、他のページではタイガースのことなども触れておられます。