トランペットが運ぶわびさびグルーヴ

シルク・ロード

Silk Road

説明: http://korekaimashita.web.fc2.com/homepage/silkroad.jpg

見た目と音が大違い。ホーンが自分たちで被せられるのは強い。


 BMGビクターが送り出したGSというとブルーインパルスが頭ひとつ出ていてあとはヒットを叩き出したバンドがないように思われているが、実はこのシルクロードのデビュー盤「蒼い砂漠」がヒットをしているのである。何かこう並べていくと地味なバンドばっかりになっているが気にしないでください。

 シルクロードは失速するGSブームに新しい波を起こすべく、R&B〜ブラス・ロックの線を狙いトランペットをメンバーに入れた異色のGSである。“GSからBSへ”をうたい文句に“スウィンギン・ブラスの騎士”のキャッチフレーズで昭和44年の夏にBMGビクターから売り出された。周りのGSが歌謡曲路線に鞍替えしていく中、哀愁GSビートよりの「蒼い砂漠」で奮闘した。しかし、続くシングルはスカを掴んでしまい、以降単独でレコードを出すことはなかった。

 このバンドのサウンドはトランペットの導入よりもベースラインが異常にかっこいいということと、さびれてる感じが全面に出ているということの方が目立つ。哀愁GSの名が最も相応しいバンドのひとつである。

 このバンドは編成を変えながら地道に営業バンドとして存続し続け、昭和50年代になって「長南百合子とシルクロード」としてアルバムもリリースしている。(最初同じバンドだと思わなかったが近田春夫氏の著書「気分は歌謡曲」に証左的な文が出てくる。)

 DJしてるみなさん、このバンドの曲はなかなかグルーブ溢れる踊れる曲が多いですよ。(寂れてるのでフロア全体が静まりかえる可能性もあるけど。)


パーソネル

島田  純  (ボーカル)

村上  淳  (ドラムス)

中西 隆士  (ベース、ボーカル)

伊藤 玲二  (オルガン、ボーカル)

内田 美佐夫 (トランペット、ボーカル)

相沢 良二  (トランペット)

黒沢 しげる (ギター、ボーカル)


ディスコグラフィー(変色しているのはCD化済み)

発売日

カタログ番号

タイトル

作詞

作曲

編曲

オリコン順位

備考

44.8.25

RCA JRT1034

蒼い砂漠

阿久悠

黒沢しげる

川口真

60位

3.6万枚

 一見陽気なトランペットから始まるがすぐに悲しみが差し込み、次第にわびしさが先に立ってくる哀愁ナンバー。ビート感は充分。

丘の家

阿久悠

川口真

川口真

 哲学的な歌詞を異常なもの悲しさが包むビート歌謡の傑作。当時としてはなかなか凝った作りで、トランペットがいることを効果的に使っている。A面よりもいい歌でブンブンベースが唸りかなりのグルーヴ感がある。当初は直前までメンバーだった上原修の曲が収まるはずだったものを急遽差し替えたとは上原氏の談。

45.3

RCA JRT1064

はるかな旅路

阿久悠

川口真

川口真

ランク外

 ピアノが脇をかためるビート・バラードの傑作。前作よりもさらにがっちりとした演奏。前作の路線をさらに追求した感じ。もちろん、寂れに寂れている。

地平線に紅いバラ

今城喜信

川口真

川口真

 マカロニウエスタンな寂れたバラード。ティンパニとトランペットが哀愁を誘う。間奏がかっこいい。

長南百合子とシルクロード時代は自分の持っているもの等だけで少なくとも二枚のアルバムと三枚のシングルを確認しているが、整理がついていないのでとりあえずおいておきます。

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