これ買いました14年10月


よく考えたらカレッジフォークでも何でもないのでここにふてとく。

14.10.24 さすがに金欠。つーかどうやって生きていったらいいのかしら。偏ったような散らばったような買い物。

ザ・レジデンツ

ディーモンズ・ダンス・アローン

CD ボンバ BOM22167  俺の音楽的嗜好の飛地。彼ら(と言っていいものかどうかあれだが、とりあえずこれで通します。)の最新アルバム。
 自分の中での彼らの音楽の印象には重さ、混迷ぶりとともに拭い難い乾燥味が常に存在していた。それは「サードライヒンロール」だろうが「モール」三部作だろうが「ディスコモー」だろうが変わらない。俺はもともと彼らのおどろおどろした部分が好きなミーハーなファンなのでその本質なんぞさっぱりわかっていない。そういうわけで今まで比較的ポップ色の強いアルバム/曲は洋楽嫌いもあってあまり真剣に聞かず、諸事に対するアンチテーゼであるという既成概念に拠って流して聴き、ただただ音の面白さという観点のみから、既成曲の痛快なぶっ壊し方や珍曲の部類の曲を喜び、聞いてきた。
 で、これもそういった気分で買ってきたのだが、驚いた。今回のアルバムは無茶苦茶聞きやすい。拍子抜けするぐらい普通のポップスに聞こえる。詩も難解なれども、ちょいと入り込んだバンドにならありえるぐらいの程度であろう。今回のアルバムには、ちょいと懐かしめのポップ臭に溢れ、湿り気と情緒がある。思いっきり自分の「歌謡曲」の直球ど真ん中なのだ。彼らも歌謡曲に行き着いてしまったのか。いや、それはもちろん違うだろう。あくまでも彼らの手段として採用したやり方が、歌謡曲の一面に似てしまったということに過ぎないと思う。何度か来日公演し、多少の理解者が日本にいるとはいえ、真の無頼、穿って見てもアメリカの文化の影響の中にあるはずの彼らがどうしてこの不気味なほどの歌謡曲臭いアイテムを出してきたのが、という疑問が拡大される。俺にはこの点は全くわからない。彼らこそは果てしなき泥濘である。得体が知れない。この狙いは何だろう。しばらく悩んでふと思う。・・・音楽を聴く程度のことで悩むなよ。楽曲を聞くことには命を削らんといかんが。所詮娯楽をしかも享受している方が受け取り方に悩むなよ。これで金取ってるならそこも悩まないかんが、所詮素人、思ったところを正確に吐露すればよい。と、さらにもう一度考えてみれば、この得体の知れなさこそ彼らの彼らたる所だと(間違ってはいるかも知れないが、単純に)気づき、次の瞬間には笑って享受したのである。だが、こういうことで人を悩ませるだけの実績というのは恐ろしい。
 前述の通り、洋楽としてまったく苦痛なく聞けた。彼らにしてはポップの塊のような作品だ。お勧めする。
ザ・ムスタングス

ペレストロイカ

CD ヴァーンメディア VMCP1016  フィンランドのいかした現役エレキバンドの10年以上前のCD。全然関係ないがCDは20年で腐るとか聞いた。流石、聞かせる。収録曲のチョイスの基準がよくわからないが、逆に間口の広さを決定的に印象付ける。エレキ全盛時代の音を求めると厳しく感じられるかもしれないが俺には許容範囲。緻密さよりもやや勢いの方に傾いた演奏が豪放で、所謂欧州エレキとは一線を画し、ベンチャーズ/アストロノウツらの系統の方に属するような気がする。大滝詠一作品が二作も収録され、「夕日は紅く」とともに三曲も日本の曲が演奏されているのがなんとも言えない味がある。ドラムの切れがよく、日本でベンチャーズの印象のある曲ではそれに迫る勢いの好演を聞かせる。まずまず。
玉木宏樹&S.M.T

タイム・パラドックス

CD Pヴァイン PCD1597  他分野からの参入組によるカルト・プログレの名盤の復刻。持楽器のバイオリンを主戦にして走馬灯のように次から次へ浮かんできては消えてゆく、一大夢物語を語られるインストアルバム。最後の最後で空間中に響く読経は陳腐といってしまえばそれまでだが輪廻の輪から抜き出したかのような深遠な気分に襲わせる。曲一個一個は強烈なものはないが、故に、BGMとしても使用可能だ。
山田邦子

邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド篇)〜ひょうきん絵書き歌 CDFILE

CD ビクター VICL3002  意外にぶち壊れた山田邦子のボーカルがひりひりとしたものを感じさせるものの、全体としては懐かしいの一言。要するに自分にとっての保守的、攻撃的な所の全くない懐古ものだ。「ひょうきん絵書き歌」がスタジオ版、ライヴ版の両方を収録しているのが有難い。バブル以前に本質的に流れていた歌謡曲の潜在的なパンク性を感じられた。この当時の音楽界と日本経済の「仕込みケチればあがり知れてんべ」から今の「金かけなけりゃ損もないべ」への悲しき路線転換が肌で感じられてダメージを受けた。
ホビーズ

ホビーズの世界

CD EM EM1032CD/クールハンド COOLHAND201  元祖宅録ひとりバンドの血汗の結晶。機材も楽譜すらもなくただただ情熱だけでこれだけのものを残すとは、頭を垂れるしかない。ユーライア・ヒープ、ビートルズ、アイク&ティナ・ターナー、ストーンズ、サンタナなどなどこれら当時(マニアックに)流行った洋楽の名曲を孤立無援に歌い上げる。ぽんぽん飛ぶようなところもかなりあるように音質も劣悪だし、演奏自体もコピーの域にすらいかない稚拙な素人の演奏と言えるかもしれない。(歌は上手い方だと思います。)しかし、心意気、そして何よりこの時代の息吹が新鮮に保存されている。この音源が、CDの発売に積極的に関わった人たちに与えた感動は痛いほどわかる。大多数の人にとっては単なるしょぼい雑音でしかないが、ごくごく一部の人にはこの尋常でない光の輝きが眩く感じるだろう。1970年代嫌いで、どちらかといえば洋楽を聞かない、当然懐古のかの字もあるわけのない俺がここまで言うのだから、どうかためしに聞いてみて下さい。ブルーコメッツとジャガーズのカバーが入っているのがGSのあり方を偲ばせて興味深い。
V.A.

ジャパニーズ・ボサノバ今宵歌わん

CD ミューズ・プランニング MPU0201  ピオニーズとかサムライズとか岡崎広志とかを収録した和製ボサノバ集。対テイチクの迎撃弾。CD化されているものが大分だが、中では木元泉/大橋巨泉とザ・サラブレッズの収録に驚愕!これはすごい。この曲は今まで権利の壁に阻まれて収録不可能と言われてきたのだ。↓のソフトロックドライヴィンシリーズに触発されての企画とのことで、正直で、選曲もかなりよろしい。多分、俺がこのテーマで選べと言われてもこれにかなり近いものになると思う。ただ、あまりに解説が淡白なのと、前回CD化されてからのスパンが短すぎる曲が多すぎるのが難点と言えば難点だが、入門盤と考えれば別に腹もたたない。入門用としてはお勧め。jenki、お前買え。
V.A.

アワータイム〜ソフトロック・ドライヴィン・エクストラ・トラック

CD ウルトラ・ヴァイヴ CDSOL1054  ついに出た、ソフトロックドライヴィンの公式続編!フィフィザフリーも千昌夫も男と女もソフトロックで総べる痛快さ。スウィートなコーラス主体のロックというよりも積極的に攻めていくさりげない軽快なポップス系楽曲が多いような気がした。要するに補遺編なのだが、とは言え何から何まで旧シリーズと全く変わらない感触に仕上がっていたのは驚嘆の一言。前のメープルリーフのはどうにも苦手だったが、選曲・監修・解説・土竜団の鋭さには感服するばかりだ。藤原誠の経歴で「マクロス」に触れないことがちょいと残念だが、それは取るに足らず。ジャケットは今回のほうが好きだな。
V.A.

ラフ!コミック・ソング・グレイテスト・ヒッツ

CD テイチク TECN25842  東京エコーズ!「恋のホワンホワン」!次々に不可能を可能にしていくリイシュー業界!約半分は聞いたことのある曲だが、前出の2曲や声のジャックナイフ友川かずきによる「しらけ鳥音頭」などが聞けて満足。特に特筆するような楽曲はないが、完全に箍が外れたような曲はなく、解説の鈴木氏の嗜好にかなり沿った選曲であることが伺われる。
V.A.

ジャパニーズ・コミック・ソングス

CD ビクター VDRY23005  こっちは中古。持ってるのがかなり多かったがいいさ。昭和最末期の匂いがぷんぷんする楽曲がずらりと並ぶ。鶴&JUN「二人のメラメラ」以外はすべて耳に馴染んだ曲ばかりなので、曲どうこうよりも、懐かしさがこみ上げる。楽器の使い方という点では旧はっぴいえんど関係の山田邦子の楽曲がやはり輝いているが、歌唱それ自体ということに限るとビートたけしの声が胸に染み入る。何とも才能のある人だ。高田暢彦と川崎徹の「私湘南マタンゴ娘」を聞くと「元気が出るテレビ」の「ワニ相撲」を思い出す。嘉門達夫が「結婚しようよ」などというえらい渋い曲なのが何とも。つくづくこのメンバーにリミックスしてあるとは言えトニー谷が入っているのが不思議。とんねるず「二人の西麻布」に「コーラス・内山田洋とクールファイブ」と明記してあるのが珍しい。(この曲の台詞の「演歌の心」云々をとやかく言う人は心が狭いと思う。だってギャグじゃん。ちなみに元アウトキャスト水谷氏作曲。)
M.C.コミヤ

プリーズ・コミヤ・ドント・ハーテム

マキシ 東芝 TOCP6750  ここからはフクダさんを意識したような買い物。嘗て一世を風靡したM.C.ハマーを小宮泰孝が日本語でカバー。伴奏は同一のカラオケを使っているのかそっくり。強引で勢いだけで突っ走ろうとしている歌詞、例えば「遣唐使です」(「ユーキャントタッチジス」の当て)という決めが全く歌本編と関係なく挿入されるとか、があまりにもっさりと流されるのが妙味がある。「MCハマー賛歌」は当りがヒカシューっぽいなと思ったらやっぱり巻上公一だったので小躍り。ジャケもグッド。まずまず。
ロビン

ジェニーはご機嫌ななめ

マキシ ファンハウス FHCF2195  遅すぎた不思議少女路線の後裔にして早すぎた加藤夏希路線。表題曲は知り合いもカバーしているで言っときたいが、この歌はいろいろあってテクノ歌謡の先陣とされているが、あくまでイタリアンポップスが元になっており、実はテクノの発想ではないということがどのカバーバージョンにしてもあまり生かされていない。これも残念ながらその罠に引っかかってしまった。「恋の奴隷」のカバーについては特に無し。ボトムに何故か童謡メドレー(「キューティーハニー」と「すきすきソング」も入ってるが)が入っているが個人的にはもっと気持ち悪いアレンジならばと慙愧に堪えず、とりわけ「赤い靴」については荒涼感まで結びついていないのが残念至極。いいタマだと思うもののクラブシーンのアイドルという売りが逆に曲の方を前面に出してしまい、本人自身の魅力を殺してしまっているのが何とも惜しい。
釈由美子

釈お酌

マキシ ポリスター PSCR6076  脱力アイテム「釈お酌」の販促ソング。あんな情けなさ気な商品の販促とは思えないムードのあるジャケット。もっとも右半分だけだが。裏には振り付け。しかもさびだけ。他にも突っ込みどころ満載で内容にいけなさそうので、ここでジャケ話は止め。内容。一言で言うと明後日の方向に壊れている作品。意外に演奏はかっこよく、クラブのハコバンのような泥臭い音をしていてグルーヴィー。コーラスも力が入っている。本人が作詞しており、キャッチーで完成してるけど軽薄という微妙なライン。ついでに歌唱も歌いっぷりはしっかりしてるけど音程は不安定という微妙なライン。なんだかわからないんだがすごいことは一聴してわかる。ちなみに実は隠れラップ歌謡だ。
V.A.

セレクション・メニュー

CDR 番号なし  ビーバーレコードで買ったらおまけでついてきた。ジーン・ヴィンセントやらバディ・ホリーやらの50年代ロック集。別に普通。どうも自分に興味のある分野でないと人から貰ってもあまり熱心に聞けないことが多い。つーか、いいのかこんなん配って。
べリベリアイロン

ポケットティッシュガール

CDS メルダック MEDR11105  最近女の子がギター持ってたら何でもいいような気がしてきた。粗っぽい(荒々しいではない)ギターをフィーチャーしたエキセントリックな5、60年代のテクノ歌謡の流れを汲むポップス。戸川純ユニットとレモンフォッグを足して二で割ったような不思議な手触りのうた。メンバー二人と佐久間正英の音楽感覚の目も眩む鬩ぎ合いの結果がこの奇跡的な絶妙の着地点に落ち着いたのかと思うとJpopも中々骨があるなと思う。商業的には明らかに失敗した曲であるのが何ともいい落ちをつけていてよい。まずまず。
ウエスト・エンド×ユキ

フォークがソ・ヤ・ナ

CDS エピック ESDB3640  WコージとOPDのユキがイーストエンドに対抗して作ったグループの第二弾。これに関してはまったく記憶がなかったが、こりゃ名作。トップはよくシングルに切ったという度胸に感動する、わけがわからないライトな「男が死んでゆくときに」路線の怪曲。話の筋はわかるけど車と電車の擬音の意味がわからない。唐突なコーラスの導入も意表をつく。また、貧乏臭さが最高。カップリングの「テクノでソ・ヤ・ナ」は石野卓球によるよく出来たいかにも電グルなバックトラックに本家イーストエンド×ユリを凌駕すると謳われた3人のぶちぎれたラップが弾けて一気に聞かせる。「テクノで・・・」のトラックのトランス感覚の鋭さについてはボトムのインストバージョンを聞くとよくわかる。結局、終わってみれば彼らこそ日本のラップグループで一番の名グループであった。グッド。
シンセン組

C嬢物語

CDS パイオニア PIDL1022  覚えてないな・・・。打ち込みによる「あの娘と僕」(さびそのまま)と「ウスクダラ」を枕にしたアイドラーズ「ラブターミナル」あたりのムードコーラス臭のかなり強い企画ものスイム。ところどころサーフィンが入ってたりして結構聴き応えがあった。いい方。
京都市立中京中学校昭和58年度第3学年

ナカギョー・オン・ステージ・フロム・ブンカサイ

LP アンデルセン 番号なし  こういう名前のロックバンド/アルバムタイトルだったら面白いが、そのまま、中京中の文化祭のクラス対抗音楽コンクールの実況盤。つーか、売るなよ。俺も買うなよ。内容は本当にそのままでそれ以上でもそれ以下でもない、本人以外にはまったく価値がないと言い切っていいもの。NHKとかに出てくる全国選抜された中学校の合唱団とかが如何にレベルが高いかを痛感させられる。それにしても当時の流行の松任谷由美らの楽曲に混じってロシア民謡とかが選曲されているのが、さすが共産党の重点地域京都の学校らしい。ライナー代わりの実行委員の文集つき。←だからなんだ。
ビッグマンモス

イヤイヤマン/こぐまのテディ/火の玉ロック/あの子の心はボクのもの

17cmLP コロムビア CH43  タイトルがかっこいい。「ピンポンパン」関係。すぎやまこういち、服部克久ら豪華なスタッフがずらりと首を並べ、ブギウギ調の「イヤイヤマン」をはじめ、結構頑張ってフィンガーファイブをやろうとしているが、どうにもいまひとつ散漫。どれも大した差はないが荒井由美・村井邦彦作品の「あの子の心はボクのもの」の出来が比較的いい。あんまり大したものではない。
ルナチックス

シット・フィンガー・ディック

EP レーベル不明 番号なし  正直よくわからなかった。なんというか別にこのバンドでなければという必然性/個性が演奏に感じられなかったというのがデカイ。要するに巧いけど他のバンド(例えばスタジオ・ミュージシャンとか)で代用しても別にいい平板な演奏といった感じを受けた。・・・ランナウェイズは知らないのに、こっちは知ってるっていうのが若者のトレンドなんでしょうか。
神楽坂かおる

カラオケ音頭

EP ビクター SV7255  「ディスコ芸者」のひと。最近芸者歌手っていないな。花代は芸者じゃないし。内容に関しては特になし。曲に魂がこもってない。この人については芸者歌手特有の粘りがなくて、あんまり良さがわからない。
ミッシェル

鎌倉発藤沢行

EP 朝日ミュージックサービス AMS1006  ジャケットにコカコーラのCMが入っているのが珍しい。昭和40年代末のアマチュアフォークデュオ。正確には「売込みの弁〜会場の反応」のほうがトップで、彼らがこの歌を録音するため朝日放送のテレビ番組に出たときの様子が収められているが、その中で製作担当者が思いっきりタイトルと歌の内容に整合性がないと文句を冗談らしからず言っているのが凄い。この指摘は当にその通りで売れそうにないものを押し付けられて実は相当腸が煮えくり返っていたものと思われる。最後にはキダタロー先生のコメントもあるのでキダタローファンにはマスト。B面の表題曲はギターだけをバックにした生まれ故郷のひとり鎌倉を訪ねる内容のよくできた後期カレッジフォーク調作品。前述のとおり内容には「藤沢行」の部分がまったく無い。鎌倉「発」でもないし。

14.10.23 京都のバンド「フリンジ」のテープ1本を貰う。自分の嗜好と真逆なのでどうとも言わない。まあ、これに対する自分なりの考えはあります。しかし、もし自分のバンドがこれだけ演奏できたらと思うと自分が悔しくて悔しくてしょうがない。何しろメンバーの一部の練習も連絡も取れない。その上決定的に自分の考えが理解されないでいることが情けない。

14.10.17

いしだあゆみ

これくしょん・さすらいの天使

6CD コロムビア COCP31926〜30  ブルコメ目当て。筒美京平という人の評価は自分の中では並み居る作曲家の一人であって、異常なほど活動期間とヒットの規模と打率がでかい名人ではあるものの、世間の評価とはちょっとずれているような気がする。いや、勿論偉大で超人であることは百も承知だし、自分もこれを積極的に肯定する。でも、彼の作品を無条件で賛美するようなことは絶対ない。もっともパクリの大王というような彼を不当に貶める類の話というのも全面的に賛成するものではない。要するに時代を支えた作曲家としてパイの大きな一切れに過ぎないという程度の思い入れしかないのだ。このひとの最大の偉大さは言い方は悪いが大衆の目線がわかりつつ「玄人を騙せること」という点であると思う。それは殆ど彼の独壇場なのだが。
 さて、このボックスは先に出た「筒美京平ウルトラベストトラックス」と併せればコロムビアのいしだあゆみの全録音が聞ける結構画期的な作品。ただし「涙の中を歩いてる」からのマンネリ化は凄過ぎる。6枚の中で5、6曲おっと思うものがあったが140曲近いボリュームでこれでは、この人は俺と合わないと結論付けせざるをえない。というわけでよくわからかったというのが感想。ブルコメがなければ買っていないと思われる。
V.A.

小林亜星CMソング・アンソロジー

CD テイチク TECD25482  いろいろと話題の小林亜星作によるCMソング集。その昔何故かリミックスだけが発売され、ちゃんとオリジナル集を出せとほぼ購入層全員から突っ込まれたことがあったが、これはそのオリジナル集。出てくる出てくるお馴染みの曲の数々。話題の中心山崎唯「どこまでも行こう」の他手許に欲しかった「人間みな兄弟」「モクセイの花」なども収録している。前川陽子、山川ユキ、レモンパイもあり。ほか、この人によるものだと知らなかった曲もあって興味深く聞けた。やはりシンガーズスリーとハニーナイツの職人技には舌を巻く。ダークダックスもいるがほかと一段も二段も違う。で、聞いていて思ったのは、亜星氏のバックボーンとして流れるジャズと映画音楽、特に「第三の男」あたりの血の濃さということである。もろに1950年代の米国の黄金時代の空気を吸い込み、それを完全に血肉にしたという点で稀有な時代の落とし子であったと言えるだろう。本人の作詞も多し。入魂の解説が圧巻。
V.A.

TV時代劇グレイテスト・ヒッツ

CD テイチク TECD25483  何故か今大人気らしい時代劇主題歌集。親分&子分ズ目当て。いやあ冴えなくていいね。このうだつの上がらなさがカレッジフォークの醍醐味。それ以外の収録曲は定番も抑えてはあるが時代劇という言葉を広く取ったというか苦し紛れというか、そんな意表をつく選曲。よく聞くと「本格的な」時代劇と「子供向け/幻想もの」時代劇との楽曲のコンセプトの大きな違いが手にとるようにわかる。前者の発想が通常の歌謡曲から出発しているのに対し、後者の発想は特撮ソング(つーことは根本は軍歌だ)を出発点にしているのだ。前者は故上月晃の「峠のバラード」、後者は桜木健一「熱血猿飛佐助」に最も色濃く出ているので両路線の聞き比べも楽しい。後者にあたるワンダース「誠之介武芸帖」は今まで出たCDに収録されたバージョンと違い台詞の被ったもの。大好きな西郷輝彦「ねがい」収録が有難いが、改めて聞くと同じいずみたくの「星空のロマンス」にソックリだな。ソニーのやつのほうは殆ど持ってるので買わなかった。
いしだあゆみ/ジャッキー吉川とブルーコメッツ

ポピュラー・ヒット25年史VOL.1

CD コロムビア 28CA2702  ブルコメ渾身のアルバム「ポピュラーヒット25年史」の再編集CDのうちの一枚。唯一聞いたことのなかった「タミー」はピアノによるインストだが井上忠夫によるこのアルバムを作るにあたっての心構えなどを披露する口上が被さる。豪いジェントル。というわけでブルコメボックスの初CD化表記の一部は間違いだったことに・・・。ちなみに系統としてはイージーリスニングです。

14.10.13

V.A.

渡邊祐の発掘王 FUJIYAMA POPS編

CD キング KICS2067  プレミアついてたけど買っちゃった。当然江利チエミ&ムーン・ライダース「ウスクダラ」目当て。(露西亜民謡ではなく土耳古民謡です。)エトセトラ「あバいビしビてベ」がCD化されていたとは知らなかった。前半は夏木マリを除き全部持っているが後半は全然持ってなかったのでありがたし。宇崎竜童のデビュー曲が聴けたのが最大の収穫。花井真里子の「電気ゴマスリソング」は軍歌の「兵隊さんよありがとう」の替え歌だがまったく触れられていない・・・。新田一郎作品の「正調クックロビン音頭」はまさに今では歌謡史の闇の一ページに他ならないが、全然覚えてなかったりするのが年月の流れを感じる。他に橋本哲也、珍道中も。江利チエミはオリジナルの方が数段出来がよくてがっかり。
緑川アコ

カスバの女 緑川アコ・夜のムードをうたう

LP クラウン GW5013  園まり、藤圭子、三上寛そこのけ、緑川アコ最強伝説ここに蘇る。ナレーション入りアルバム。曲により出来不出来はあるが、やはり独特の退廃感の深さが凄い。大手プロの純粋培養でも事実上のアイドル人気でも或いは歌以外の時代という要因のほうが大きな訳でもなくただただ本人の存在だけにかかる歌声のオーラには震えが来る。何より特にナレーションに顕著なのだが、当時20前後だというのにこのすべてを知っているような息遣いは、逆に鮮烈過ぎて彼女が現在に至り伝説となれなかった決定的要因となってしまっているが、「昭和歌謡」ブームの中、再発見されるものと信じたい。昭和歌謡に魅せられた婦女子諸賢にはぜひ聞いて頂きたいアルバムである。なお、「カスバの女」の真の解釈は孫牧人をキーワードとして検索して頂きたい。
 この人は松任谷由美も好きだったという。・・・で、何でああいう曲になるかな。
ジェイク・フェルナンドス・コンセプションと彼のオーケストラ

ニュー・ヒット・イン・サマー

LP 大映 G4015  歌謡曲インストものの有名どころ。フィリピン出身のテナーサックス奏者。これと言う様なものは殆ど無かったが、それでもジャズを前面に出してきた作品でのグルーヴは流石に舌を巻く。サックスが脇に回ったりしているものもあるが、かえってそっちの方が決まっていたりするのは本人的にはどうなんだろう。カバーしてる曲がやけに渋いのがいかす。
トリオ・ハポネス

愛のかたち

EP 東映 AS1010  ドリカムスタイルのムードコーラス。とてつもなくコーラス力が高い。全員本物のラテンの人が歌うような巻き舌発音で歌い上げるので、こういう表現は好きではないが、日本人離れした本場の情緒が味わえる。楽曲的には東京ロマンチカの系統に入るようだ。B面は自作だが秀逸な歌謡ボサノバ。憂いの点ではやや不満が残るが、それを除けばほぼ完璧といっていい出来。グッド。「衣装協力・西武百貨店」が泣かせる。実はこの女性ボーカルはなんとあのちひろるりこらしい。いまだ現役。
梢みわ

愛の泉

EP 東芝 TP2040  「恋のバイカル」のひと。B面だけ。複雑に作りこんだストリングスのイントロから始まる中国風オリエンタリズムに溢れるメロディーが可憐に歌われるひとりGS。ビートも効いている。キューティーとはまた違うような気もするが、なかなかの佳曲。
野平ミカ

今日は昨日の明日だよ

EP ビクター SV1062  今回白鳥朝詠作品が多いな。水前寺清子フォロワーだということがすぐにわかる節回しで歌われる歌謡サンバ。のりはいいけどインパクトにかける小品。人生応援歌なのもチータっぽい。B面もサンバがポップスに変わっただけで同じ路線。カバーポップス期の音使いの影響大。えらい小さい人だったんだな。
椿まみ

なぐられてもいいわ

EP ローヤル RA1136  哀悼の意を表しつつ。応蘭芳の「渚の歓喜」に似たイントロで始まり、メロディーには「白い蝶のサンバ」を思わせるところもあるが、多分根はロシア民謡。淡々とリズムを刻むベースが心地いい。しかしオーラが違う。存在感がものすごい。B面はぐだっているところがあるのが少し残念なきわめてポップス色の強い演歌。これは当時としては平均的な出来といったところ。同封アンケートはがきの「椿 まみの!!なぐられてもいいわ!!」なる表記が勢いがあっていい。なお、この人については「ディスク・ナウvsレコードやくざ」(ジャングルライフ刊)に秀逸な吉田明裕氏による超評論文とでもいうべきものが存在しているので、未見の方は一見お願いする。
一乃富士鷹子

女星のブルース

EP コロムビア SAS1489  和田香苗の弟子。なんつー名前だ。一部の軍歌マニアに塩まさるの「母子船頭歌」をカバーした歌手として知られるのみのひと。内容は「夢は夜開く」を意識していると思われるブルースものだが突っ込み不足。特になし。B面も整いすぎて逆に魅力にかけるこのころとしては典型的な小唄系演歌。
福島正幸

バンク人生

EP キング BS2007  みなみらんぼう作。確か未開放幻の名盤だったはず。競輪のトッププレーヤー。競輪選手の厳しい心構えを歌い上げる歌詞内容とそれとはまるで相容れない暢気な曲調のギャップが楽しい緩やかなウエスタン調の小品。B面は使用楽器が珍しい普通の演歌だが、この人の声にあってない。歌は流石に素人という感じだが味があるけれども、明るい歌のほうが似合ってますよ。まずまず。
ファンキーベビー

グッバイダンシィング

EP 東芝 04R4074  冴えない男女二人組みによる異常に早いテンポで進行するアニメソングみたいなディスコチューン。ただしメロディーラインそのものは湿っていて出だしは「新宿かたぎ」に似ているなど洋楽的な匂いはまるでない。粘った表記。B面は軍歌の「ポーランド懐古」路線のバラード。どっちもどっかで聞いたことのあるようなメロディー。A面はかっこいい。
紅屋おかめ

ディスコ・ナンバー360

EP コロムビア AK190  この人もなんつー名前だと言いたいところだがメジャーだ。山田太郎(菊池桃子の義父)の奥さん。360はサブローと読む。はきはきした明るい声で歌われる岡千秋による演歌。アレンジはまるっきりディスコ。コミック味の強い詩はインベーダーだのアランドロンだのジュリーだのといった言葉がぽんぽん飛び出すが基本的には演歌の定型に則ってる。面白いけどはっきり言ってゲテモノです。B面は真っ当なアイドル演歌。
ピカソ

シネマ

EP バップ 1024107  「めぞん一刻」。自分にとっての懐かしもの。基本的にニューミュージックは波長が合わないがこの辺の情緒だけで組み立てられたような作品は別。アコーディオンを中心にした戦前のフランスあたりを意識したようなノスタルジーを第一としたバックトラックに感傷的なメロディーライン、狂おしい歌詞とボーカル・・・。またメンバーの一人が傾倒しているというクラシックの味も確かに感じる。盛り上がりはないかもしれないが、それを上回る歌謡情緒が涙を誘う。名曲。B面は石川セリ参加だが別にどうってことのない俺の嫌いな典型的ニューミュージック。

14.10.5 LP渚一郎とルナジェーナ「魅惑の歌謡ヒットコーラスベスト14」を借りる。ぼつぼつといった感じ。と書いたが結構最近ヘビーローテーション。

14.10.1 予告どおり。ギャルバン/ギャルボーカル三連発。

ピンキーとキラーズ

恋の季節

CD キング KICX7095  「恋の季節」の世紀の大ヒットを叩き込んだ偉大なるバンドのベスト盤だが、文字通りの代表的ヒットとカルト楽曲が同居する「不思議な」選曲。個人的には「星空のロマンス」さえ聞ければよかったのだが。「恋の季節」を素直に踏襲した作品が思ったより多かったのはさすがにびびったが、想像よりもグルーヴや情緒にあふれる曲が多く驚いた。具体的には「ファンキーエンジェル」がキューティーQよりやたらに早かったが、グルーヴは負けず劣らずだったことや「世界は二人のために」などでも人気絶頂期にしかでない妙な勢いにあふれていることなどが上げられる。ボサノバを彼らなりに解釈した楽曲群の出来の良いこと。「恋の季節」「ファンキー・エンジェル」を含めた出だし4曲の統一感など通常のベスト盤ではフォローしきれていなかった部分をちゃんと評価していて好感。もっとも、いかにもいずみたくな哀愁ものも多いけど。また「上を向いて歩こう」の原曲からかなり離れたボサノバによるカバーが珠玉の出来。ソフトロックの名バンドとしても楽しむことができた。肝心の「星空のロマンス」はブルコメの方が数段いい出来だったのでちょっとがっかり。
ザ・ファイブ・シックス・セブン・エイツ

フーテンリリィ

CD デックレック DCRC0041  日本を代表するガールガレージバンドだが初めて普通にCDを売ってるの見た。意外にかっきりとした演奏で、まずまず勢いがあるが、それ以上にポップで、破天荒さより完成度が優先されているなと言うのが正直なところ。やっぱり俺のガレージ観はおかしいのかしら?ちなみに自分の中ではガレージは1とにかく音が安い、2勢いだけはなんだかすごい、3演奏がドヘタか粗くて粗くてしょうがないので結局玉砕している、というのが必須であとはチープなオルガン、スクリーム、ファズ、ギミック、闇雲なコーラス、わけがわからないに当てはまる数が多いほどえらいという世界観なのだが、このCDではそれに当てはまるのがわずかに一曲インスト「スペースロックパート1」だけなのが悲しかった。↓の渚ようこの件といい、やっぱ俺は音楽を見る目がないのかしら。クーガーズ「こころの恋人」とか香月サコ「赤い夕日」のバックあたりの音が理想的なんだけどな。
ゾーン

CD ソニー SRCL5401  昨日の夜中に見たビデオクリップがえらいかっこよかったので買ってしまった。渚ようことゾーンのPV二本立てでゾーンを取ってしまう俺はGSものとして如何なのかしら。どうも、俺は渚ようこと波長が合わないのだが、どうしたらいいんだろう。横山剣の添え物のときは来るんだが・・・。
 内容。喪失感のある湿った曲調が正しい純歌謡。掴んだ歌謡曲の真髄。またさびでの疾走感ややたら暗い歌詞なども高ポイント。深夜に似合いそうな歌だ。Xあたりの90年前後のハードロックバンドの音を狙っており、90年代リバイバルの魁となるであろう。保守的な歌謡曲としては今年制作されたものでは一番出来がいいかもしれない。当然合格。
 デビュー当時はドラムの子が音が出てるのに前に出てぐるぐる踊ったりして全員いかにも弾けないのに無理矢理楽器持たされてるといった感じがあり、それはそれですごいものがあったが、今回のPVではなかなか演奏姿が様になっており、かなりかっこいい絵になってて隔世の感。カップリングはテクノが隠し味の今風のどうってことない歌。
 ところでこの曲は廉価版、通常版、豪華版の三種類が出て、一説では消費行動の調査に使うらしいが、普段のゾーンファンとか意図している購買層とは違う層がCDを買うと思うのであんまり参考にはならないと思う。ちなみにこれは彼女たちに敬意を表して通常盤。

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