これ買いました14年9月

千昌夫/若い恋人たち

有名な変則シングル。エレキ歌謡の快作とされていたが、それよりも渋さのほうが先にたつ楽曲。

14.9.28 今日のバンド練習は実りがなかったなぁ。

野口武義とそのグループ

ファンタジックギター’70ヒット14

LP キング SKK623  クールファイブとかの歌謡曲カバーインスト。「白い蝶のサンバ」のベースがかっこいいが、これを含め、グルーヴは殆どない。「青い森の二人」がすごい緩いけどボサッてるぐらい。しかし「女のブルース」などで聞けるオルガンの音色は理想的。主役のギターはあくまでもクリアーで営業然としている。ジャケットがえらいかっこいい。
円谷弘之

さよならの瞬間

EP コロムビア LL10205  ド派手なホーンセクションで幕開けるグルーヴチューン。よくできたメロディーの曲を緊張感漲る歯切れのよい演奏が奏でるが、ボーカルがあまりに朴訥。B面も同じ路線だが多彩に変わるリズムパターンと演奏に変な回り方をするメロディーが意表を突く曲。どちらかといえばこちらのほうが出来がいい。ちなみにもとジュークボックスのひと。
エルザ

南十字星を撃て

EP ミックス SKI8111  ことあるごとにエッセイなどに取り上げられるニューハーフがしばたはつみをカバーした超有名レコード。A面は寺山修二作詞の和製シャンソン。なかなかグルーヴのあるジャズバンドが演奏していて、これがかなりかっこいい。肝心のボーカルは河村隆一あたりのヴィジュアル系を想わせるのは別にいいのだが、はじめはなかなか快調なのにアップテンポになったところで大荒れ、そのあと持ち直すもののしばらくメタメタなのが惜しい。B面は本物のシャンソンのカバーでなかなかムードのある演奏なのだが、これもボーカルの力不足が如何にも惜しい。33回転と書いてあるが実際再生してみたら45回転だった。
歌うミス平凡

黒い霧の街

EP コロムビア SAS871  発売時期が時期だけに尺八が絡んだR&Bっぽい始まりにわくわくするがそこから急旋回して三連ロッカバラード系統のムード歌謡になるのがちょいと面白いが曲自体は当時の平均的な曲で物足りず。結局過剰なビブラート唱法だけが心に残る。B面はスチールギターとピアノが絡むジャズ系ムード歌謡でトラックが素晴らしいが、突出したボーカルとの折り合いが悪い。結局どちらも坪を突く歌唱なのだが物足らない。ちなみにのちの井出せつ子さんです。
平和勝次とダークホース

女の舟唄

EP クラウン CW1332  よく考えたらムードコーラス買ったのむちゃくちゃ久しぶりだな。いかにもなコーラスが入ってはいるが、完璧に演歌流れの曲。ところがここではどうにも平和勝次のボーカルが散漫、はっきりいって下手なので「宗右衛門町ブルース」のあののりを期待すると肩透かし。これはまあ何というか駄目でしょう。B面は「宗右衛門町ブルース」を薄くしたような曲だが、薄くしちゃ駄目だろ。ワワワワというコーラスも入っているがバラバラで散漫。お勧めしない。
殿さまキングス

ブラジル音頭

EP ビクター MV3063  ブラジルときて音頭。振りつき。サンバものだが、GSのような歌詞のシャンラン節みたいなメロディーがド演歌なボーカルによって歌われる混沌もの。最後の「イパイパイパネマリカリカリベリカサンパウロ」という囃子が意味不明すぎていい。あほな合いの手も楽しいが3番に「人喰いアマゾン」という歌詞が出てくるので放送出来なさそうだ。いかにも彼ららしい佳曲。B面はゆるい音頭。「あーめでたい」という掛け声がいい。宮路オサムの声の芸術的な下品さが堪能できるが、ちょっと押しが弱いな。
平田隆夫とセルスターズ

臆病者

EP 徳間ダン VA26  日本一の年齢詐称バンドのあまり有名じゃないシングル。6/8拍子を使ったいかにも70年代前半の歌謡ポップスグループという感じの暗い曲だが流石コーラス力は一級品。あまりの切れのよさに、向こう側へ引き込まれてしまうような悲しみに包まれてしまうが、特にクールなみみんあいの声が泣かせる。ただし、曲としてはそれほどの曲ではない。B面は、このバンドのパブリックイメージである「ハチのムサシは死んだのさ」あたりにかなり近い叩き付けるようなコーラスが堪能できるロック色がかなり強いフォーク系歌謡ポップス。(これじゃどういうジャンルなんだか、よくわかんねぇな。まあ、ビクター時代のブルコメの系統です。)ばらけた印象もあるが、結構演奏がファンキーでいい歌だ。
月下美人

ふたりの夢

EP 東芝 TP10511  これも有名だったはず。演歌女デュオ。マイナー調の演歌に片足を突っ込んだニューミュージック歌謡で、曲自体はまずまずの出来といったところだが、じゅん&ネネが二軍落ちしたようなボーカルが印象的。しかしこれもどうも散漫なイメージがしてしまう。B面は敏トシの「バカボンのパパ」といおうか、1910フルーツガムカンパニーといおうか、そういうベースラインにこまどり姉妹の「ソーラン渡り鳥」が乗ったようなミスマッチが楽しい演歌。終わり方が唐突。メンバーの一人は今とんでもない芸名で物まねやってるはず。
千草みゆき、中島賢三

愛のプラムナード

EP キング K07D90181  なんか嫌なジャケット。東京ロマンチカみたいな音のグッドなかけあいグルーヴラテン歌謡。山本正之チックなさびが心地いいが、あまりにもボーカルが・・・。意図はわかるけどちょいと技術が足りなんだ。B面は大胆に琴を導入した「さざんかの宿」路線の曲だが、ここでもボーカルが・・・。ら行の発音と母音の伸ばし方が拙いのが全体的な素人くささを引き立たせる。
奥真智子

函館育ち

EP アヤセ 07AR1015  インディー演歌。東芝専属なのに他社で自主盤を出すという仕組みがよくわからんなぁ。これはトラックがすごい。昭和56年にもなって後ろの音がまるっきり昭和30年代ののりなのだ。曲自体も「ダンチョネ節」に遠くで通じるものがあり、それを狙っているようだが、明らかにそれは2次3次以下の要因。ペットやストリングスの絡ませ方、ドラムやピアノ、ギターの使い方、何よりベースの音がまるでGS以後の歴史を反映していないのがすざまじい。良くぞここまで凝れたものだ。単に貧乏だっただけかもしれないが。ボーカルはやっぱりこれではメジャーデビューは難しそう。B面はカラオケ。バックに免じて合格。
仁科ともみ

浮き草

EP ビクター SV7221  「’82年演歌の大型新人No.1」らしい。当時25才。何かで銅賞をとっているはず。曲自体は何の変哲もないいわゆる艶歌路線の曲でなにもなし。B面は少しテンポが早めでA面よりも完成度が高いムード歌謡のちょっぴり入った演歌。演歌としてはまずまずいい曲だが、ボーカルの深みと技術のなさ、特に高音部での破綻が残念。てなことで結局大きな活躍は出来ずに終わってしまったらしい。
キャット・ミキ

こどもなんだよ

CDS ポニーキャニオン PCDA00457  フクダさん、買いました。「ウゴウゴルーガ」。
 近田春夫共作曲編曲の平板なメロディーだが妙なトランス感覚のある暗めのクラブ歌謡。演歌っぽいボーカルだが正体は誰だ。カップリングは作詞がピエール瀧の通りいかにも電気グルーヴ(「NO」あたりの音にかなり近い。)な「ショーガクセーイズデッド」。歌本編は狙いだとは思うがキーがあってないので苦しげだが、そのおかげで達者なラップ部分が壮快。やけくそな歌ではある。
羽野晶紀

トゥー・ラッキー!

CDS ポニーキャニオン PCDA00323  スカ流れのまっとうなアイドルポップス。アレンジはともかく、曲調が80年代を引きずっている。歌唱力がまずまずあるな。カップリングはきんたミーノ作のトロピカルポップス。別に何ということのない標準的なアイドルポップスの範囲。うーん・・・。しかし「はのあき」というだけでネタになるな、ジャケ裏の写真とか。
ポール・牧with松本コンチータ

お気楽で行こう

CDS メディア MRDA00038  何枚あるんだ松本コンチータ。しかしさすがキャニオン系、ポール師匠と組ませることでちゃんと商売を考えている。シタール一発で始まる打ち込みレゲエっぽい曲。歌唱部分は二人とも、ポール師匠は部分的に、松本コンチータは全体的に破綻が目に余るが、何故かラップ部分の完成度がやたらに高くちょいと驚いた。カップリングはファンク調の掛け合いエロ歌謡。こちらでの松本は下手なりに気だるい味が出ていて、急転直下の歌内容の助走としていい方に転んでいる。可。
ファンタ

顔でかーい

CDS ソニー SRDL4466  新ドクター・スランプの主題歌。いかにも当時の流行のアレンジだが、特にいうことなし。どういう発想でこんな詩を書いたのか気になるくらい。俺にはとてもこんなのは書けんな。B面はそれすらもない、苦しげな歌唱が気を散らす面白みにかけるダンスビートもの。お決まりなサウンドエフェクトとかもあるが音路メロを奏でる打ち込みの音がティンクリックっぽくて南洋情緒がある。あったからどうだというものでもないが。しかし、彼らのようにデビューさせるだけさせといてフォローがないのと松崎ナオのようにあっても聞くと呪われる歌を歌う歌手として実名でドラマにタイアップされるのはどっちが本質的に可哀想なんだろう。どうでもいいが「ヒデ」って名前の人多すぎ。

14.9.24 今日見たバンドは巧かった。

V.A.

殺害カバーオムニバス3大熊小鹿馬場鶴田蛾次郎

CD 殺害塩化ビニール MURDERCD8787  恒例のこのレーベルに所属するバンドによる(中には違うのもあるが)歌謡曲カバーアルバム第3弾。カバーのネタ元もシブがき隊「Zokkon命」とかならともかく、チェリールイ「さわるんじゃねー」だの吉幾三「新日本ハウスのうた」とかみんな知ってるのかという曲もあり、この選曲センスは私好きです。出来は破壊し尽くしというよりは、元ねたを崩さない程度でパンクなどそのバンドのフィールドに引き摺り下ろしているという感じで、このお手軽感も聞き込んだりはしないものの私好きです。ただし、目をむくアレンジとか予想を越えるシモネタとか意外な裏切りが殆どない予定調和の保守的なアルバムと言え、収録されたバンドのファン以外で楽しめる層は死ぬほど薄いと思われる。百日紅呑海が「シンボルロック」のカバーしてます。ほかに死ね死ね団(曲的には出来がいい。)とか四日市ぜんそく(これも可。)とかバロムワンとかの有名どころも。マッシュルーム「ハクション大魔王〜グガン」が唯一ネタ的に狂ってて面白かった。ただ全体としてはあと一歩かな。

14.9.23 帰省の帰りに名古屋のタワレコで。今年は蝗がまるで取れなかったらしく好物の佃煮が食えなかった。

オックス

コンプリート・コレクション

2CD ビクター VICL60945〜6  ビクターのみならず全GSの奥座敷と言える、オックスが現役時代にビクターに残した全音源が一同に聞ける決定版。事実上買い替え。何と言っても全GSファン悲願の名盤「オックス・オン・ステージ」完全CD化が実現されたのに涙。真木ひでとのソロデビュー作品が期待以上だった。置いてなかった名古屋駅ビルの新星堂に喝!
V.A.

池中くんの昭和歌謡

2CD ビクター VICL60951〜2  横山剣らにコメントを求めるなどの努力は買うがこのタイミングで出した意図を図りかねる。何しろ数曲を除いて「東京ビートニクス」「60’Sキューティーポップス」「魅惑の/黄金のニューリズム」「幻の名盤解放歌集」等にて既にCD化されている曲ばかりで、事実上これらのサワリ集だからだ。何もその再発と同時発売することはないだろうに・・・。
 などと言いながらその初CD化作品が侮れない。安村昌子「AABC」目当てだったが、何故か今まで殆ど無視されていた目方誠、のちの美樹克彦の楽曲がまとめて聞けて嬉しかった。どうでもいいが郷田哲也「夕陽のサン・マリーノ」、サンマリノは内陸国・・・。
シルヴィ・バルタン

あなたのとりこ シルヴィ・バルタン・ベスト・コレクション

CD BMG BVC231009  何故か京都では発見できなかったんだよね。手堅い。まとまっていて、その衰えのなさには素直に感動した。その中でも「恋のフーガ」は解説のとおりこれぞフレンチポップという曲で俺の「ジャンルの根幹に近いほど偉い」という嗜好にぴったりとはまった。「フラッシュダンス」も本国でのヒットも頷ける出来。ただ自分の趣味からは外れるが。
ザ・ダイナマイツ

コンプリート・コレクション

CD ビクター VICL60947  事実上、買い替え。しかしライナーまで使いまわすとは・・・。音はよくなってるけど。
ザ・モップス

コンプリート・コレクション

CD ビクター VICL60948  事実上、買い替え。大和産CDで世界に誇る名曲「ブラインド・バード(Please Kill Me)」が聴ける日は何時ぞ。音はよくなってる。
V.A.

カルトGSモンスターズ ビクター編

CD ビクター VICL60949  3大バンドで俺の一番好きなサニーファイブの全曲CD化が嬉しい。時間の都合からか「遠い夏」「素足の乙女」のカットが惜しいが、よく考えたらトニーズとかも入れて二枚組みにしたらよかったのでは。何はともあれ、偉いゾ、ビクター。アイドルズの方のジャイアンツの未発表曲「女の子の唄」は何だかあまり売れそうにないメロディーの歌だが、テケテケエレキが楽しい。口笛はサベージを思わせるがおそらくこちらのほうが古いはず。一曲づつあるサニーファイブ、ファンキープリンスのはじめて聞いた曲については、いづれページが立つのでそちらで。
V.A.

東芝レコードアーカイブズVOL.1 ウエスタンカーニバルの時代

CD 東芝 TOCT10826  ちゃんと宣伝しろよ、東芝!危うく買い逃すところだったじゃねえか!このシリーズ、ビクターのGS陣の影に隠れてしまったが昭和歌謡復刻物ではけっこう重要。これはロカビリー期作品集。何と柳沢真一や黒田美治、岡田真澄まで聞ける。山敬はまともな音源は殆ど持ってなかったのでありがたい。特にこれというような派手な作品はないが、オムニバス盤バージョンの釜范ヒロシ「ティーンエイジブギ」がテイチク盤との比較で興味深かった。草野昌一、鈴木啓之仕事。解説が少し薄いのは目を瞑ろう。しかしつくづく越路吹雪という人はあれだけ大きな存在なのにもかかわらず、昭和歌謡史的には浮いた存在になるのが凄い。
V.A.

東芝レコードアーカイブズVOL.2 ザ・ヒットパレード

CD 東芝 TOCT10827  同カバーポップス編。これはしかし聞いたことのある曲が大半。渡辺トモコ、リリオリズムエアーズ、ペアスカンクの曲が初体験だったが別にどうということもなかった。一番印象的だったのは高松秀晴「機嫌を直してもう一度」だが、これも楽曲自体の云々ということではないしなあ。克美しげるもそろそろ解禁してやってもいいのでは。
V.A.

東芝レコードアーカイブズVOL.3 世紀の祭典

CD 東芝 TOCT10828  同オリンピック関連とその頃のポップス系歌謡曲集。ビートルズの前座望月浩「君にしびれて」が目玉か?有名どころのマイナー楽曲が多い編。持ってない曲も結構多かったし。以下、初めて聞いた曲について。パラキン「東京五輪音頭」の妙な日本情緒のなさとファルセットを駆使したコーラスが楽しい。藤山一郎の東芝音源はびびった。すでに衰えが見られるけど。そういえばこの時期のベテラン歌手の契約状況というのがよくわからない。ジェリー藤尾「ヤングセブン」はいかにもこの時期のアメリカンポップスといった曲でかわいい。続く古今亭志ん朝はつくづく上手い。もっと歌って作品を残すべきだった。坂本九「勝利の旗」は突然変異的な戦前的メロディーの巨人応援歌でなんだか所在無さげ。期待の「君にしびれて」はキャッチフレーズに反し演歌色などまったくないグッドなビートの利いたエレキ青春歌謡。これ一曲で少なくとも俺は満足できた。
V.A.

東芝レコードアーカイブズVOL.4 世界の国から今日は

CD 東芝 TOCT10829  同万博前後編。ほとんどこの辺は有名曲ばかりでパンチがあんまりないな。その中では車英二が珍しいが、マヒナスターズ、山内賢あたりも泣かせるチョイス。以下初めて聞いた曲。マヒナはどうもムードコーラスとして扱うこと抵抗があるのだが、上岡龍太郎作詞の「私って駄目な女ね」(俺の大好きな内田あかりがリードボーカル)はともかく「女っぽいね」はなんとなくムードコーラスの系統に収まらない曲。車の「恋の君、ぼく」は明らかにハワイアンを意識した曲で、GSに押し流された悲劇を感じさせる。山内・和泉コンビの「東京ナイト」も初めて聞いたが、無理な展開と驚異の疾走感で強引に押し通す無茶歌謡でグッド。渚ゆう子(ようこに非ず)の「二人の大阪」はハワイアンとムード歌謡の鬩ぎ合いが過剰なまでの日本情緒を紡ぎだす敢闘曲。

14.9.8 唐沢俊一の言ってることが実感してきた。「聞けるかどうかは些細なことに過ぎん」

川藤幸三

ラッキーイエロー/カワトー・ボイス

CD カエルカフェ KACA0149  石立鉄男と同じシリーズ。99トラックで16分。石立氏のような演技性は皆無で素人臭丸出しだが、途中から語りだしたのを収録し出したようでだんだん熱く饒舌になっていっているのが何ともいい味。相変わらずじっと聞いていると笑える。最後の名ゼリフのパートはもはやサンプリングの元ネタという域を越えている。阪神ファンは持ってて損はない。俺は阪神ファン違うけど。
V.A.

昭和の流行歌 戦前篇昭和8年〜18年

CD ビクター VDRY25016  殆ど聞いたことがある曲ばかりだが、オリジナル音源の灰田勝彦の楽曲を探していたので、満足。さすがポップ魂溢る。「マニラの街かどで」も「新雪」もやっぱりいいね。「忘れちゃいやヨ」は発禁曲だが、さほど過激とは思えず。同時期にテンションが異常に高いだけのおかしな戦時歌謡がたくさん出ていたことを考えると不思議。
サウンズ・エース

爆発するベンチャーズ・サウンズ

LP ニューエース NA026  はじめの方はリズムもおぼつかないような、はっきり言って下手な演奏が続くが、後は持ち直し、こと70年代に発表された作品のカバーに関しては意外にいい。と、よく聞くと以前買ったザ・ハイウェイズのアルバムと全く同じ録音が収録されていたりする。ニューエースというレーベル自体がエルムの発展縮小した所だったように記憶しているが、要するに、手持ちのスタジオミュージシャンによる音源を適当に使ったレコードなのであろう。となるとハイウェイズも全くその実態のない単なる関係のないセッションを一まとめにしたプロデュース側のプロジェクト名である可能性も。
V.A.

デラックス版 ポピュラー大全集

2LP キング SKK363〜4  有名盤。江利チエミ、ペギー葉山、ザ・ピーナッツ、平尾昌章らのカバーヒットを集めたコンピレーションだが、再録音されたものも含む。GSのせいでナツメロにされてしまったこの手の音楽の逆襲盤。戦後事件年表なんてついているのが涙を誘う。それぞれ持ち歌が吹き込まれており、流石手馴れたものだが、バックバンドも歌謡史に名前を残す名バンドがずらりと並んでおり、聞きほれる名演奏ばかり。特に江利チエミ・シャープ&フラッツという組み合わせは最強といっていい布陣で体がとろけるような想いに襲われた。聞いたことのないトラックが多かったが、いけてる。といって、この盤が有名なのは偏にジャケットが杉本エマだからで、中身を目当てで買ったやつなんか俺ぐらいしかいないんだろうな。まずまず。
千昌夫

若い恋人たち

EP ミノルフォン KA20  これも。オーケストラに大仰な女性コーラスからみそこにさらに福神漬けのようにテケテケエレキが絡むという典型的エレキ歌謡。デビュー2枚目の曲ということもあり、歌唱自体も例の田舎的な味が出ておらず、当時の青春歌謡歌手として平均的。この会社の録音特有の寂れ具合のせいでテケテケいうエレキが三味線に聞こえる。「とってもとってもとっても」というサビにアストロノウツや橋幸夫の遺伝子を感じる。それにしても地味な歌だ。B面も典型的な都会派歌謡。キングスの「アイラブユー」にちょっぴり似た雰囲気。どちらもまずまずの出来ではあるが、これというインパクトにかける。なお、この時期のミノルフォンのシングルはAB面にそれぞれのカラオケがつく形態だったので、結果的にほかの会社でいう17cmLPと同じ形となっている。

14.9.1 久しぶりにバンド練習。「豪定本ディープコリア」購入のついでに。

伊東きよ子

23時の女

CD ショウボート SWAX58  基本的にはこの頃女優のレコードによくあった朗読ものの系譜に位置付けることが出来るが、その手のものにありがちなボサノバ楽曲を中心に組み立てられた、女の日常をテーマにしたコンセプトアルバム。凡庸になりがちな素材だが、クニ河内のひねくれ具合がそれを救っている。空間が曲がりくねっている暗いマンションの一室が思い浮かぶ。もっともソニーという会社自体がこの手のものを作りなれていたというのもでかいかもしれない。クニ河内以外の作者も数多く携わっており、中でも山上路夫の詩は破天荒さに欠ける所はあるが完成度が高くとかくとっ散らかりそうなこのアルバムをかっちりと締めており流石という出来。もともと音楽的素養の深い彼女だけに自作曲があるのも興味深い。もっとも朗読される自作詩のほうは褄という程度なのだが。問題の「狂女」は小品なれども、テンションに合せて徐々に歪んで行きさびでついに爆発する編曲の妙現さに感動。最後に被さる笑い声は涎を垂らしながら笑っている女が脳裏に浮かび、こちらも元宝塚の面目躍如。あまり派手な曲がないという印象。
山崎ハコ

BEST

CD ポニーキャニオン PCCA01740  イトカズ、買うたぞ。
 一言でいうと、「よかったこんなのが流行ってる時期に青春を送らなくて」と。情念は佐々木早苗、八泉鮎子に遥かに及ばず、深さは最盛期の藤圭子、緑川アコにまるで適わず。楽しみだった「呪い」も全く期待はずれ。もっとすごい曲だったような気がしたのになあ。今後は佐井好子を追及してみようかと思います。
キャミソール

彼女はテレビに首ったけ

CD キング KICS311  観月ありさのバックコーラスのひとと森口博子の振付師という裏方コンビによるダンスビートによる当時のテレビドラマ主題歌カバー集。バブル時代の残り香漂う京田誠一による手軽なアレンジは原曲をはるかに凌駕するものもあり、この手の企画盤に期待される音そのままの音だったのでいとおしい。この手のものとしては意外に美味い部類に入るボーカルも拾い物。大黒摩季「チョット」、槙原敬之の「もう恋なんてしない」のカバーが特によかった。
V.A

ファンタジック・メモリー 外国TV映画 日本版主題歌コレクション

CD 東芝 TOCT24833  昔の外国から輸入したドラマやアニメの主題歌集。見たことある番組は流石に殆どない。歌としてはかなり玉石混交。
 その中ではなんと言ってもハニーナイツ。卓越したコーラス力はいうまでもないがバッキングのGSっぷりがすざまじい。「キャプテンナイス」は安い演奏と壊れたコーラスがガレージしているし、「ジョー90」でのビートの切れ具合とメリハリの付け具合がGSものを泣かせる。素晴らしい。
 またグリーンブライトなるぼういず集団(?)の楽曲がどれも良く、ファズバリバリの典型的ぼういずソング「ドッチャカベッチャカ」、虫声で八木節を大胆に導入した「チンパン探偵ムッシュバラバラ」、正統派アイドル歌謡といってよい「ぼくに魔法がつかえたら」とどの曲もとんがっている。どんな人たちなんだろう。声は若くも年寄りにも聞こえるし・・・。この名を頭の隅に置いておこう。
 あんまり番組本体とあっていないようにも思えるスーパーマンの二曲だが、ケ・チャップなる集団の歌う楽曲自体の出来は非常によい。聞いたような声が混じっているが思い出せない。多分すごい有名な人たちの変名だろう。
 他に実にグルーヴィーな上條恒彦の歌うスペーシーバラード「スペース1999のテーマ」と、いかにも初期の子供番組らしい「海底大戦争」が愉しい。また、小坂一也が歌うウエスタン調の「無敵のライフルマン」とリガニーズの歌うブルーグラス歌謡「スキッピー」が貴重。ただし、番組自体に関する資料は殆ど皆無なのが残念。「謎の円盤UFO」はやや肩透かし。
グローブ

スウィートペイン

CDS エイベックス AVDG71003  ご存知、グローブのデビューシングル。自分のなつめろという感じではあるが、研究し尽くされた脂の乗り切った打ち込みのアレンジは驚嘆に値する。一瞬ではあったが確かに彼はその時代の歌謡曲を極めたのだ。残念ながら普遍的要素がやや足りなかったとは思うが、それでも、この平成7年、8年位の小室作品というのは驚異的な質を誇るが、その中でもご自身のグループということもあり象徴的な作品である。エイベックスお得意の同じ曲の違うバージョンが延々入っているというパターンのシングル。どうでもいいがずっと歌い出しを「ああナイトクラブの」だと思ってたが「会えないときの」だったのね。
さかともえり

好きになったらキリンレモン

CDS 東芝 TODT3778  コパら豪勢な演奏陣を引き連れて気楽に歌う小品。アカペラ風に始まるが中身は昔の山下達郎や大滝詠一あたりを意識したと思われる透明感あふれるスローでノスタルジックなポップス。流石もとは三木トリロー作品、エバーグリーンだ。何で変名にしたのか忘れたが作詞はともさかりえ自ら。
さかともえりwithBHB

どっちでもIN

CDS 東芝 TODT3881  これはチャー作品。こっちも派手なホーン陣が活躍しブンブンベースが唸るなかなか快調なサントラ風ポップス。ともさか、じゃなかったさかともも意外に器用な技巧を効かせつつのりにのって歌いまくる。いやこれはまじにうたの活動もずっとやっていくべきだったのでは。ただし、今ひとつ演奏全体の深みというか、ガッツがないように感じられ、そのためなんとなく散漫な印象を受け、甘いと見くびられても仕方ないように聞こえるのが残念。
吉川ひなの

ウサギちゃん・セイ・グッバイ

CDS ポニーキャニオン PCDA00990  ホーン入りトロピカル・ポップス。豪い音がいい。が、それだけ。それよりはカップリングの「知ってるよ」がレゲエ歌謡になっており、流して聞くには心地いい。まあ、それでもあんまりこの人には合ってないような気もするがそれはご愛嬌。
サルサ・ガムテープ

まひるのほし

CDS ポリドール PODH1481  「みんなのうた」。知的障害者ロックバンド。曲は可もなく不可もなくという程度だが、豪い音が薄い。この録音にポリシーはあるのかしら。俎板の上に一旦立てばみな平等でそのステージングや付加価値次第ということになるのだが、それは音盤の上でも同じこと。いくら何でも、考えなしなら、この音の薄さは可哀想だ。ただし、考えがあってのことだったら、もう少しギターが尖っていればグッドガレージになりそう。「フライドチキン」や「ドライビング」にその光が見えている。ビッグビーツ当りの音に極めて近いのだ。ってこのバンドまだあるのかしら。
ミス青森+2

ヤリタイ!

CDS キング KIDS321  何これ?ひたすらシモの自慢をしまくるホッドロッド調で始まるロックンロール。演奏は上手くポイントポイントで絡むコーラスもまずまず。ただし、ボーカルは合格点ではあるがやや調子っ外れ。こういうある意味ティピカルな「頭の悪いロック」がしっかりした音盤になって残っているのはあまりないので貴重といえば貴重。カップリング「ジェニー」は真っ当なハードロックラブソング。ボーカルが女装しているが平成10年発売なのでいわゆるグラムロック系ヴィジュアルの先駆者のひとつか。まあまあ。にしても何だこのバンド名。(もとグレイス←漢字忘れたの桃太郎さんのバンドらしいです。去年いっぱいで解散されたらしい。メンバーの和田ジョージってもとフラワーズの和田さんかな。)
赤坂小梅

黒田節

EP コロムビア SA592  この人のおてもやんが聞きたかったんだよーーーー!!36年発売だが極めてそれに近い時期に録音されたものと思われる。えらい音がいい。曲はお馴染みの曲だが、三味線などの伝統楽器にオーケストラ伴奏がついており趣向が凝らしてある。驚くべきはどう聞いても戦前の彼女の録音に比べ衰えるどころか明らかにパンチが効いているということだ。B面は捜し求めた楽曲だが、戦前録音のものもあるはずなのでそれと聞き比べたい。両面とも出来が良い。グッド。
シュキ&アビバ

愛情の花咲く木

EP 東芝 ETP2948  外人二人組だが阿久悠作詞の世界歌謡祭参加曲。あしたのジョーのように始まるが当然日本語で、狩人かマイ・ペースかという日本的な貧乏臭さの方が先にたつ楽曲となっている。あまりアビバは女声という感じがしない。B面もチューリップみたいな湿ったポップスより歌謡曲の音がしており、さすがイスラエルはマイナー旋律歌謡王国だなと納得させられる。
Wヤング

坂道ブルース

EP ビクター SV6254  漫才の名グループによるムード歌謡。サックスに女性スキャットがからむ完成度の高い曲。ファルセットのないコロラティーノという感じ。ただし正統派ではあるがえらいシンプルで物足りなさも残る。B面「スキスキツイスト」は驚きのファンキーなダンスチューン。のりのり。シンセサイザーが吹きすさぶ演奏はドラムの打ち出すビートがむちゃくちゃ効いててまさにDJ向け。「洋酒天国」と同趣旨の歌詞。グッド。
川崎黄金猫會

パープリング・ブギ

EP ポリスター 7P41  嵐ヨシユキ・ミーツ・なめ猫。しかもB面はイモ欽トリオネタということはすなわちYMOネタということだ。何でもかんでも放り込みすぎ。掛け合いが堂に入っていたりするのでアニメの人っぽいな。女声入り。ふざけたタイトルやいかにもなジャケとは裏腹にコミックソングにあらず。A面は嵐ヨシユキ自らによる殆ど「スモーキンブギ」の替え歌みたいな歌。別に猫に仮託する必要なし。演奏もストレートなカバーに徹する。B面は自作だがタイトルに反してストレートなロックンロール。しかし低すぎるキーに苦しむボーカルが何とも辛そうで、聞いているほうまで苦しくなってくる。両面ともいかにも企画ものという音でいい線にいっているが、あと一押しがほしいところ。

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