これ買いました14年12月

セッちゃんとぼく/山百合ねえちゃん

↑B面がドギモ。セーラー服にハイヒールっつーのもどうか。

14.12.24 畜生!3月までにはライブしてやる!

V.A.(O.S.T)

ラ・バンデ・シネマ・グランド・クル

CD ポリスター PSCR5902  「ゴー・シネマニア」シリーズはこれだけ持ってなかったんだよな。昭和40年代を中心とした邦画作品のサントラをDJ感覚で纏めた好シリーズの第7弾。基本的にはボッサ/ジャズ/モッドを基調としたバカラックっぽいグルーヴィーな楽曲が並んでいる。スキャットが効いた楽曲が多く収められているのが今までの同シリーズとの大きな違いか。オープニングとクロージングが編者の楽曲であることもこのシリーズとしては異色だが、一枚で一作品という気概の表れとして評価したい。ただし、それっぽい曲を探してこれたらもっとすごかったのにとは思うが。(あ、それ自体はものすごくいい歌ですよ。)選曲自体は最高に近い。あれ何処かでという曲もあることはあるが宮川泰、服部克久ら他所にしっかりとした基礎のある作曲家陣の実力にはただただ驚嘆。グッド。

14.12.23 「クリスマスキャロルが流れる頃には」は名曲。

ザ・ローリング・ストーンズ

フォーティー・リックス

2CD 東芝 VJCP68444・45  俺はビートルズよりもストーンズらしいと言われたから。英デッカ以来の各社に跨る40年に及ぶ全経歴をカバーする自薦ベスト。一言でいうとよくわからんかった。「ストリートファイティングマン」ならスウィングウエスト、「サティスファクション」ならテンプタース、「19回目の神経衰弱」ならブルーエース、「シーズアレインボー」ならビーバーズ、「黒く塗れ」ならシャープファイブ、「夜をぶっ飛ばせ」ならフィンガースのほうが嘘偽りなく自分にとってはぐっときた。俺はストーンズの曲だから好きなのではなく、それをGSが演奏しているから好きだというのがはっきりとした。こういう人間も真面目にいることを洋楽ファンは心の一隅に留めて頂きたい。あと、「テル・ミー」未収録なので、やっぱり本人たちはそれほどの思い入れはないのね。
西田佐知子

全曲集

CD ポリドール POCH1842  ほとんど持ってるけどテープとかレコードで持ってて、めんどくさいので購入。
 よい歌手は歌のうまい人と声がいい人に分れると思う。前者は例えば藤山一郎、美空ひばり、東海林太郎といった人がこれに当てはまり、後者には津村謙、二村定一、いしだあゆみといった人たちが当てはまる。もっとも歌がうまい人は悪声で美声の人は歌が下手と言っている訳ではなく、例示した六人もその傾向が強いというだけで必ずしも下手とか悪声とか言ってる訳ではないので、町で見かけても物を投げないでください。で、この人は典型的な後者。下手ではないにしても飛び切り上手いというわけではないのだが、このクールビューティーな声は唯一無二だ。氷の様に冷たく、突き放しながら最後の最後で温かみがある声。努力ではどうしても乗り越えられない天性の才能というものがここにある。カバー曲も歌い倒し(歌いこなすというレベルの話とは違う。)、オリジナル以上の説得力を付加して聞かせる。他の歌手が歌ったら単なる時流に乗った歌謡曲以上のものになりえない曲すら曲の小宇宙がキチンと構築されてしまっている。これぞ才能。もし六十年代を代表する女性歌手を一人だけ挙げろといえばこの人以外ありえない。だが残念なことに、この歌謡曲界の巨魁は今も眠り続けている。
ブルース・クリエイション

悪魔と11人の子供達

CD コロムビア COCA15240  もう廃盤のはずだが普通に新譜売りしてたので買った。所謂ニューロックバンドとなった彼らの通算二作目。解説で触れられているとおり、ボーカル・大沢の日本語英語が圧巻。はっきりいって歌唱技術は下手だが嵐にもびくともしない様な居直り感が存在感抜群。また、典型的ともいえるウーマントーンを使ったニューロック演奏はよく組み立てられており、当時の彼らの状況を考えると驚異の一言。語り尽くされたアルバムであるので、詳しく書かないが、出自のブルース色が色濃く出た演奏であり、ニューロック嫌いの俺でも普通にかっこよく思えながら聞けた。素直によく出来た演奏が多く、ベタな感想だが、テクニックとともに竹田のギターの音色がことに気持ちいい。出自がGSの弟バンドだから自分に耐性があるのだろうか。これだけのハードな演奏をするバンドがコロムビアなのが不思議といえば不思議(ブルコメがこういうのやるとか言い出しても何も考えずやらせたんだろうか)。
V.A.

ワカが選ぶみんなのステージ101

CD ウルトラ・ヴァイヴ CDSOL1051  NHK「ステージ101」で活躍していたヤング101関係の音源を纏めたベスト盤第二弾。そのメンバーの一人だったもとバロン、ワカとヒロの若子内悦郎氏が選曲、監修した渾身の一枚。相変わらずスウィートなハーモニーが多く聞けるが、日本語カバー、オリジナルが入り乱れて彼らの手がけた音楽性の広さには驚かされる。やや淡白な面も目立つが、それでももとブルーファイヤ宗台春男によるクニ河内のカバー「透明人間」は驚き。何がすごいという事はないが、緩さが微妙なバランスで名演に昇華している。また、英語カバーもなかなか情緒がある。アイドルファンには西玲子「雨上がりの鎮守さま」が久しぶりにCD化というのが目玉。ぼちぼち。
V.A.

GSワイルド・カード

CD 徳間 TKCA72480  初CD化はラ・シャロレーズとレイ田端だけ。しかもシャロレーズは聞いたことがあったからレイ田端だけが自分にとっての初物。キッパーズとピート七福も入れてくれたらよかったのに。選曲は「カルトGSコレクションミノルフォン編」と「カルトGSモンスターズクラウン編」を持っていない人ならば楽しめるはず。曲順は流石です。はじめて聞いたレイ田端は・・・歌唱というのは親から遺伝しないのだなと思った。
V.A.

60’sレディーランド

CD 徳間 TKCA72481  いきなり飛び出す名歌手伊集加代子「バザズNo.1」のヒップさにノックアウト!何で今までCD化されなかったのか不思議な無茶苦茶グルーヴィーな名曲。由美かおる「レッツゴー!高校レモン娘」も一般市販では初CD化だが、以前CD化された映画サントラバージョンに比べると何ともとろくさい。中村洋子「風船」はサムライズのヒット曲(なのよ実は)のカバー。約四割が初CD化だが、北沢まり「DubiDubi東京」の凄まじさの前には霞む。ちなみに以前のCDのものより少し長い。(情報提供・まるめろさま)どうでもいいが、この二枚ともオープニングが、これに至ってはクロージングも他社音源なのが少し悲しい。
ザ・キャラクターズ

みんな嘘

EP コロムビア CD85  タイミングよく入手。フルートから始まる軽快なラテン調の急ぎ足哀愁歌謡かと思いきや、いきなりスピードダウンして重々しい曲調になるのが新機軸。よし。B面はこのバンドには珍しく典型的な三連ムードコーラス。「東京ブルース」の系統でコーラスも安心した入れ方だが、少し平穏過ぎるか。
ゴールデン・ハーフ・スペシャル

ハーレム・ノック・アウト

EP コロムビア PK136  有名レコード。ゴールデン・ハーフとは繋がりらしい繋がりはないらしい。一言でいうと馬鹿レコードです。エキゾなメロのディスコ歌謡。「アリババ バリバリ アラブでアルバイト」とか「かきむしる青春」とかそんな歌詞です。伊藤アキラ作詞。最後は演歌のようなボーカルになるのもどうかしてます。ということで、よいです。B面はバニーズやエンジェルスでも有名なロス・ブラボーズ「ブラック・イズ・ブラック」の日本語によるディスコティックなカバー。典型的な50年代セクシーグループの楽曲のイメージに忠実すぎなほど忠実な楽曲。
朝倉理恵

8時だョ!ふた子のモンチッチ

EP ソニー 05SH538  小林亜星作詞作曲。小粋な童謡ポップス。特になし。モンチッチっていうのは結局なんだったんだろう。B面はチェンバロが瑞々しい70年代清純派アイドル歌謡の系譜。俺が一番どうでもよく思っているような曲調。
小林浩代、前野良典

チンチンポンポン

EP キング TV(H)30  有名曲。ひばり児童合唱団所属の二人によるフレンチポップスのカバー。ハニーナイツ「オーチンチン」と同じくシモを取り扱った愛らしい童謡なのだが、彼の歌ほど世間の記憶には残っていないようだ。ヒットもしているはずなのだが。B面はひばり児童合唱団による合唱コンクール用?の教育的友情ソング。
ニュー・ホリデー・ガールズ

女はそれを待っている

EP ソニー 06SH582  その昔なんと「ラブ・マシーン」という曲を歌っていた四人組コーラスグループ。なかにし礼らしい女性上位な歌詞の四打ちリズムの歌謡曲だが、ディスコというにはちょっとグルーヴがないか。意外にコーラスが上手くギャルを髣髴とさせる。何だかエフェクターかけたみたいなボーカルだが。B面はさらに歌謡曲が勝っており、哀愁のあるメロディーはなかなかだが、少々歌唱に緊張感が欠け、散漫な印象を受ける。
藤本房子

がんばれ!エリマキ君

EP コロムビア AH490  歌謡界の影の女王による彼女らしい企画もの。相変わらず可愛い声にて侍る。さびで考えることをあきらめたようなやけくそな歌詞になるのがまた企画ものの悲しい運命。Aメロまでは別に普通ヒットしてもおかしくない展開と歌詞なのになぁ。B面はアナログシンセが鳴り響くよく出来た透明感溢れるディスコチューンだが、エリマキトカゲに引っ掛ける必要なし。両方ともよし。
牧葉ユミ

盗賊アリババ

EP テイチク SN1301  またアリババネタ。遠くで哀愁のある典型的鈴木邦彦メロディー。ケロッコデメタンの主題歌っぽいけど。「悲しき60歳」の影響か、なぜアラブというと金儲けたけど年食ったら駄目になったみたいな歌が多いのさ。B面はもう少し明るくハワイアンが入ってるが、ガールズの「ラブジャック」に似ている。別に。ジャケットはいいが。
チャコとヘルス・エンジェル

恋はジャンプで

EP BMG JRT1334  上に続きこれもたかたかし作詞。ムードコーラスみたいなジャケットだな。郷ひろみをディスコに乗せたような、彼ら独特の甲高いボーカルだけが印象に残る曲。B面はピンクレディーの曲のようなリズムを使った平庸なアイドルポップスだが、オルガンとシンバルの音が印象的。
ムンチョッチョ

ムンチョッチョのズンチャッチャ

EP フィリップス FS2140  何これ。三拍子の訛も強烈な田舎演歌のコミック・ソング。大人はええなという内容。三味線が主戦。で、ムンチョッチョて誰よ。片面は何故か城卓矢。どうもA面は違う人みたいだが、何だこの組み合わせ。こちらもワルツ調のムード歌謡だが、こっちは有名だな。ますます何だこの組み合わせは。最初は韓国の人かと思ったけど違うみたい。
河野幸子

大阪・涙・おんな町

EP コロムビア SAS1612  「夢は夜開く」路線のブルース演歌。搾り出すようなボーカルに喘ぎ声の如き女性コーラスがからむが、曲としては極めて平凡。B面もサックスが咽ぶ3拍子を使った極めてティピカルな演歌。流石に面白みにかける。声自体は落ち着いていて好みなのだが。
キリキリ兄弟

海の斉太郎さん

EP テイチク RS4512  有名。普通の野太い声の演歌の人っぽいルックスだが、実際は大川加寿也みたいな甲高い民謡系ボーカルで意表をつく。風の音の勇ましいSEで始まり、まったりとした歌いまわしで和むが、さびでの見事な「斉太郎節」の引用の緊張感に痺れる。B面はいい気になって歌い上げる「南部牛追唄」をベースにした和み系演歌。オルガンの音色がとりわけ間抜け感をあおるが、微妙な歌い回しなどがこまどり姉妹の「ソーラン渡り鳥」を思いおこさせる。
伊吹二郎

ズンドコ流し歌

EP BMG JRT1127  「ズンドコ節」自体が名曲だし。ちなみにこの「ズンドコ節」はドリフや氷川きよしのカバーした奴ではなく、田端義夫の「街の伊達男」とかイーグルス「高校五年生」の元歌になったほうの「ズンドコ節」。「ニャロメのうた」の大野進に似た擦れた高めのボーカルが力任せに歌う。ちなみに阿久悠作詞で「港町ブルース」路線の歌詞。なかなかよい。B面は完全に森進一な三連ロッカバラードな演歌。ただし少し野太いのでジ・アーズの方に近いが。

14.12.10 千葉茂氏死去の報に触れ、ナターシャセブンの近鉄ものを買えばよかったかなとちょっと後悔。

ゲルニカ

ゲルニカ20周年記念完全盤

3CD テイチク TECN42858〜60  大学時代、人に薦められて珍しくそのまますんなりと好きになったモンドっぽいバンドの会社を横断する限定完全盤。戸川純、上野耕路、太田螢一のユニット。太田螢一というとファミコンの「東方見聞録」が思い浮かぶが、あまり関係ないので切る。
 歌謡曲の要素として強調されるべき非音楽的要素として特に演技性というものが挙げられる訳だが、彼らはこの点何ら欠けることない完全なそれを備え、まことに光り輝くばかりである。一曲一曲が物語を編上げ、夫々小宇宙として完結している。これは戸川純の天性の女優としての素質というものが非常に大きい。だが、彼女の天分はほかのバンドではここまで開花していない。すなわち、循環してしまうが、バックの煽り=音楽そのもの及び詩世界というものがボーカルに輪をかけて素晴らしいということであって、これについて特に想いを馳せてしまうのである。
 彼らの音を聞いていると映画「メトロポリス」及び手塚治虫の同名漫画、あるいはジュールベルヌの小説の世界が眼前に表出する。昭和初期からみた未来とでも言おうか、「サクラ大戦」の太正世界と言ってしまうと少し違和感があるが、とにかく、恐ろしくレトロでありながら輪をかけてモダンな世界を描き出しているのに心奪われてしまう。ノスタルジックで大袈裟とも言える本格的なオーケストレーションが「それしかなかった時代」を偲ばせ、それが現代との連結を拒否しセピア色の世界を生み出す。ところが、それに相反して風変わりな精神異常を来す様なメロディーと、時に知識人層からの初期共産主義国家に対する現在からみれば無駄とも言えるほどの熱い期待を影映しにする全面的な科学万能主義を高らかに称え、時に煌びやかに希望を、またざっくりと退廃を歌い上げる、浮世の諸事象から遥かに放たれた場所を浮遊する詩が、歪んでいながら、それでいてピュアなまだ来たらざる世界に思いを馳せさせるのだ。加えて、ボーカルを執る戸川純の巧みな歌唱技術が李香蘭や羽衣歌子といった歌劇上がりの昭和戦前の歌姫の幻影と、一方で当時¥レーベルで見せていたニューウェーブの申し子としての戸川純が渾然一体としながら表出しており、ますます、未来と過去、悪意と無垢の交錯が頭をくらくらさせる。このニューウェーブという当時のブームがあったものの、それだけでは説明のできない特有の孤高さがここに溢れている。
 彼らの諸作は現在では「日本ロックの名盤」ということで崇め奉られている。だが、彼らは音という点ではロックでは決してない。寧ろ、これこそ、ノンカテゴリー音楽としての歌謡曲のある種の到達点の一つに他ならないのである。お勧め。ご本人によるライナーも気高い。
 上野氏はこのバンドをはじめてから顔が戦前の日本人顔になっていったらしい。
原信夫とシャープス・アンド・フラッツ

ソウルを求めて モダンジャズ三人の会

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1056  俺を彼らのジャズから遠ざけた、現在の小洒落た自己陶酔に終わる小編成モダンジャズが憎くて憎くてたまらない。三流ジャズに弄ばれ真の偉大から遠ざけられたこの10年を返してもらいたいぐらいだ。確信した。非クラシックの楽団のうち日本で最高と言えるのは他でもない、唯このシャープ・アンド・フラッツだ。一糸乱れず、それでいて熱情的で色気と隙のある演奏はその隙やムラまで含めて完璧なのだ。本作は三保敬太郎、前田憲男、山屋清の「三人の会」の面々が東洋/西洋のソウルをテーマに作編曲した珠玉の楽曲をシャープスがその圧倒的な迫力の演奏で精一杯叩き返す華麗なる音の塹壕戦。特に稲垣次郎のトランペットが泣けて泣けて仕方が無い。今年後半はシャープス・アンド・フラッツがいわゆるマイ・ブームだったな。
藤井明美

新宿メルヘン

EP ビクター SV2170  麻丘めぐみの姉御。ジャケのタイトルのレタリングに昭和元禄を感じる。ただし中身はポップスのポの字もない土着的なやさぐれ演歌。妹御の面影は微塵もなし。ただし過激なほど安っぽいオルガンの音が60年代情緒を満足させる。B面もサックスの鳴り響くどうってことのない三連ロッカバラードだが、ここでもオルガンの安っぽさが圧巻。
由美かおる

わたしの願い

EP クラウン PW32  熱情的なオーケストラにのって押し捲る哀愁のビートバラード歌謡。この時期のビート系歌手の感情と表現のバランスは総じて良い。B面も同路線だがよりビートが強調され、オーケストラがさらに熱情的な演奏を繰り広げるが、詩の内容は「砂に書いたラブレター」の翻案の域を出ず。まあまあ。しかし、この時期のほうが垢抜けていないのは何故?それにしても初期クラウンPW品番のジャケットのデザインは綺麗だ。
あらんどろん

ばんぐみブギ

EP ワーナー L1538W  たしか11PMのカバーガールかなんかだった人ら。芸人なのか単なるユニットなのかよく解らない。「買物ブギ」の替え歌をディスコアレンジで。父の作品を子が編曲。昭和20年代に元歌が作られたという事実に改めてびっくり。堅いコーラスが身上だった人たちだが、ここでは散漫な印象は正直拭えない。それでもコーラスの実力に裏づけされた暴走振りに歯止めがかからず、ぶっ壊れたリードボーカルややけくそな合いの手などえらいことになっている。オシャマンベキャッツ「河原の石川五右衛門」を高速回転させたテンション。内容は当時のテレビ番組名を絡めた風俗もの。これを聞いて思ったことは原曲に出てくる所謂差別語について、削除という安易な方法をとり続ける日本コロムビアの消費者を舐めているとしか思えない態度だ。個人的には日本のレコード会社で一番格の高い会社だと思うが、李香蘭の作品にしろ、問題語の部分だけを削除してという臭い物に蓋という態度よりは(問題はあるにしても)ビクターの完全に蔵の底に沈めるという態度のほうがまだ潔い。ピー音使用は以ての外。とにかく度肝を抜かせる作品。B面は彼女たち本来のコーラス能力の高さをまざまざと見せ付けるが、ありきたりで印象に残らないこじんまりとしたブギ歌謡。
ザ・キング・トーンズ

一度だけのディスコ

EP 東芝 ETP10003  宇崎竜童作品。両面ともスローテンポのバラードでタイトルに反しビート/グルーヴ的要素は全くない。内田が切々と歌い上げ他のメンバーの暖かいコーラスが被さる哀愁の典型的キングトーンズ・サウンド。特になし。
安城絹子

恋の水たまり

EP MCA E1037  何だこのタイトル。「歌謡界のシンデレラ」とのことだがMCAって濃い歌手が多いよ。演歌発想の歌唱なのだがはっきり言って、さびでの歌い方が下品で興醒め。琴が入っていること位しか書くことのないどうということもない歌謡曲だが、村井邦彦・小谷充が絡んでこれなのがちょいと意外。B面はチェンバロの使用に僅かに編曲者の意地を感じるが、流行に乗ろうという意識以上のものは感じられず。残念。
かずみあい

今夜もごろねだよ

EP クラウン CW1726  サックスとコーラスが脇を固める演歌バラード。相変わらず不貞な声で叩きつけるように歌うが、別に平凡。B面はストリングスが前に出てきているものの典型的ブルース歌謡として物足りない出来。残念。
セッちゃんとぼく

山百合ねえちゃん

EP ビクター SV828  原盤入手!A面だけ。いかにも昭和40年代なサックスやチェンバロ、ストリングス。こういうのこそ再現したくても再現できない音というのだろう。基本的にはジャズがかったビート系田舎演歌だが、さひが「コモエスタ赤坂」と同じ。まずまず。B面は時空の歪む名曲「二人の太陽」。
ユミ・ハビオカ

命をかけて

EP コロムビア CD51  もとウミット・ヨードス。どうでもいいが知り合いの女の子に似ている。サックスがソロをとるスタンダード調のポップス。サムソナイツの「世間知らず」を髣髴とさせるが、爽やかさ以上の灰汁が足りず。B面は昭和50年代アイドルのマイナー調作品の魁といった趣のスローバラード。まとまっており、誠実さは感じるが面白みに欠ける。大映時代よりも歌が上手くなっているが、それが裏目。要するに感情と歌唱のバランスが妙な位置で取れてしまってそれ以上の広がりが感じられないのだ。
有田双美子

ひとりぼっちにさせないで

EP キング BS669  すごい美人。それも当然で日活ニューフェイス出身。日本の古い風物が好きらしいが、歌のほうも小唄的な日本情緒のある伝統的な芸者歌手の系譜に連なる歌唱でその実力の確かさが伺われる。特に声のひっくり返し方が絶妙。問題は曲自体の完成度。B面はムードコーラス確立前のマヒナのお座敷ソングの影を感じるが、これも今ひとつ。42年にしてはちょいとセンスが古い。
ニュー・キラーズ

太陽に愛されたい

EP キング BS1530  今陽子の抜けたあと。ヒット曲。びびるぐらいいい音をしている。またニューロックがかった演奏そのものも活きがよく、出来がいい。だが。曲そのものは盛り上がりに欠ける単調なメロディーの繰り返し。バニーズが曲としてはどうということもない「太陽の花」を傑作にしてしまった罪がここに。B面もいかにもいずみたくな無垢な左翼歌謡。こちらも音はいいが盛り上がりにかけ、散漫。
ニュー・キラーズ

朝日のメロディ

EP キング BS1591  こっちもヒットしてた気がする。ピンキーとキラーズ時代を踏襲しているが、こちらも淡々としすぎており、歌謡曲としてちょっと薄い感じがする。B面はブルージーンズ「明日に行く汽車」とかフォーセインツ「希望」といったあたりに通づるいずみたく以外の何者でもないロシア民謡の影響が見て取れるマイナーな旋律のフォーク歌謡。いずみたくってひとは山本正之と同じであまり曲調の引き出しがあまり多くないのだが、こういうポップに走った曲に関しては上でも書いたとおり「太陽の花」の容赦ない痛快さがかなり筆を狂わせてしまっているようで残念。まあ、いずみ、山本両氏とも引き出しが少ないところが魅力となっているのだが。少なくとも俺は二人とも好きです。
シルクロード

情熱の花

EP 東芝 ETP100612  BSシルクロードのなれの果て。ピーナッツで有名な曲を何故かカバー。ディスコティック!川口真編曲らしいブンブン唸るベースと何気に大事にされているサックスがBS時代に通底しているが、少し聞いただけだとアナログシンセが前面に出ているだけにCCOあたりのハコバン系ディスコバンドとなんら変わりはない。コーラスがまとまっていて情緒十分。B面は、もっと何故かスーパーマンの挿入歌をカバー。これもサックスが大事にされているが、基本的には単なるAORっぽいニューミュージック。彼らの「堕ちる女」が聞きたい。

14.12.7 他にCDR3枚を頂く。克美しげる「変身」が聞けて嬉。

V.A.

渡辺祐の発掘王フジヤマファンキー編

CD キング KICS2066  サラ・アンド・メロディってこの時既にCD化されていたのか!金玉、ハルヲフォン、スピニッジパワーほか後世初CD化とされたものが覆る選曲。大雑把に言えば早過ぎたディスコ歌謡キング編。香山リカ「お医者さんブギ」は、まあ、どうということもない普通のロックンロール歌謡だがこの時期のこの手のローティーン歌手としては異常な上手さがいい具合に腹立たしくてナイス。岸野雄一氏が言われていたように、この頃のこの手のコンピはまず「変なもの」ありきという姿勢であり、それは排撃されるべき点も含まれるものではあるが、にも拘らず、後年の歌謡評価の中で見落とされた楽曲をすくっていたりして油断できない。
V.A.

スーパーコンピレーション ソング・バラエティー

CD フォーライフ FLCF3765  主に昭和末から平成初頭にかけての東京系の芸人の歌を中心に集めたもの。さいたまんぞう、マセキオールスターズ(含む内海桂子好江!)、ホンジャマカほか。ただし、必ずしもコミック・ソングではない。ザ・ぼんち「恋のぼんちシート」は何回聴いても涙が出るほどかっこいい。特にドラムのグルーヴ感の重厚さは数ある歌謡曲でもトップクラスだ。某所でさいたまブームがあったことなどもあってどうしても欲しかったさいたまんぞう「なぜか埼玉」(流石!編曲・小谷充)をようやく手元に置けたのが有難い。余談だが御本人によればわざとコブシの廻せない歌手ということで割り当てられたとのことだが、それを聞いて以来そもそも歌謡曲においてオペラ的なビブラートではなくコブシというものを浮上させたことの意義と始祖について想いを馳せてしまうようになってしまっていかん。河内家菊水丸&エスノリズムオールスターズ「河内音頭で夜をぶっとばせ」のゆるいテクノっぷりは李博士の日本録音ものを思わせる。基本的にはリアルタイムで聞いていた曲のはずだがはっきりいってほとんど馴染みのある曲はなく、初めて聴いた曲が多かった。にしても、歌唱としては不合格の作品も混じるけれども、みんな声が若い。アレンジや録音が惜しい曲が結構あるな。どうでもいいが、20世紀回顧企画の一枚だった割にデータ皆無なのはどうしたわけか。
室瀬美紀

ごはんを食べよう

CDS 東芝 TODT3924  広瀬香美プロデュースだったので同じ代官山プロダクションの嘉門達夫のカバーかと思ったら違った。「ロマンスの神様」以下の一連の彼女作の歌そのものとしか言いようのない高音で押す歯切れいい前向きな詩のポップス。アレンジの指向も何もプロデューサーが自分で歌ってる時とまるっきり同じだが、特に歌い方までまったく同じなのは唖然を通り越して笑える。ちなみにコミックソングではないです。B面はマイナー調だが、これもいかにも広瀬香美な作品(後年にリリースされたマイナー調作品を彷彿とさせる)で、作者の作る音楽の灰汁の強さがにじみ出る。歌謡情緒が今ひとつ欠けるのが残念。
鳳蘭、大原ますみ

愛の阪急三番街

EP 東宝 AS1106  有名レコード。東宝=東京宝塚=阪急グループ。サックスが咽び泣く哀愁のビート系純歌謡。宝塚独特の節回しを含む美しいユニゾンコーラスが楽しい。ハイソなイメージのある阪急沿線だが、ここではもう少し大衆的な印象をうける。B面は鳳蘭の独唱で「ラヴァーズコンチェルト」を下敷きにしたと思われる、こちらも、ビート系純歌謡。ルートNo.1の「愛の世界に旅立つ二人」を髣髴とさせる。

14.12.5 出会わなかったかもしれない人間がネットで交感し合う。まことに嬉しからざるや。

ブーツ・ウォーカー

ジェラルディン

EP キング TOP1340  テンプ、オックス、ラウドネスらがカバーした通り、時代を超えて日本人に愛され続ける「ポップの名曲」。哀愁のある曲調と風のSE、全編を覆うザクザクとしたギターリフ、間奏のオルガンの安っぽさと聞くだけで泣ける要素のいっぱい詰まった佳曲中の佳曲。B面は埋め草っぽい懐かしさを感じるビートバラード。レコードジャケットに当時の音楽評論家たちからの推薦文があるが、何だか誉めていないひとも。簡単なのは当時は特に嫌われていたようだが、よくそういう文章をそのまま推薦文としてレコード本体につけたものだ。当時はおおらかだったのだな。町井さまありがとうございました。

14.12.3 人が盛り上がっているとどうも引いてしまう。まして、あまり好きな音楽じゃないと・・・。

V.A.

昭和レジデンス 赤盤

CD ビクター BSCL30007  あえて言えば「幻の名盤解放歌集NOW」。いわゆるカルト歌謡を現代の歌手たちがカバーした企画盤。元ネタに忠実な小汚いデザインがイカス。有耶無耶になっていたCKB「若さでムンムン」「お聞きください皆様よ」がようやく陽の目。どうでもいいが横山剣と嘉門達夫の特に喋り声の区別がつかない。声質が似ていることもあるが、横山氏は関東弁ながら関西の喋りに非常に近く、ロック(ポップ)は関西という伝統に乗っているのかな、と思うが、賛同者もいないと思うので、まあいいや。個人的にかっていた知子のロック(ってバンドがいたんだよ)の音源もあり。「東京ドドンパ娘」は彼ららしいチープで陽気な演奏が爆裂する名演だが、ドドンパちゃいますやん。ジム・オルークも「楢山節考」で参加している。Pヴァインはビクターとえらい友好関係になったのだな。
 並み居る曲者の中で一番びびったのが幻の名歌手・海道はじめの新録音曲「新スナッキーで踊ろう」だ。まったく変わらない声、いや、むしろ30年前よりうまくなってる!いくら講師として毎日喉を鍛えているとはいえ、驚嘆の域に達する。なお、スタジオ録音版の方が出来がいい。これだけでも定価分の価値がある。
 カオリーニョ藤原と彼のボサノバムーチョ「まぼろしのブルース」について。曲それ自体の出来云々については何も言うところはないが、この歌に出てくる「何も言わずに微笑むあなた」という歌詞の解釈が自分の解釈にものすごい隔たりがあるので、批判とかそういうことではなく、ちょっとメモしておく。
 このCDではこの歌詞の部分に「冷たく」というコーラスがからむ。つまり、「あなた」は「冷たく」「微笑」んでいるわけね。ということはこの部分は自分が不幸になっていく様を別れた相手が「ホレ見ろ」とあざけ笑っているのが脳裏に浮かぶんだ、という解釈をしているととれる。自分はこの部分を、それは不幸になって行く身の上を漠然と全体的に包む、何を指すのかまったく判らない不気味な業火の象徴として、別れた相手がただただ笑っている幻が浮かぶのだ、と取っていた。人間の業から痴話話になってしまって、何か歌のスケールが随分小さくなったなぁと思った。まあ、プロのやることなのであっちが正しい解釈なのだろう。
V.A.

昭和レジデンス 青盤

CD ビクター BSCL30008  同・ライヴ集。ザ・ヤング、フラカンほかでこっちはビートよりの選曲。ザ・シロップ「愛の言葉」(ホワイトキックスのカバー)がすごい。いつものことと言えばそうなのかもしれないが、改めて、こんなにあの時代の空気そのままの演奏をするとは・・・。ウェットな歌謡部分を実はすっぱりと廃した退廃的でクールな演奏は唯一無二の境地に差し掛かっている。うちなんぞと相互リンクしてくれている有難い(というか奇特な、と言ってしまう)THEE 50’s HIGHTEENSさんも名カバーと評判の高いブルージーンズの「レッツゴージャンジャン」で参加したはりますが、掛け値なく自分にとってはこのCDでは一番出来が良かったです。これの録音エンジニアには勲章をやりたい気分。この音!最高!女版ザ・サイレンサーという称号を送りたいほど狂おしすぎる、何から何まで完璧なガレージ演奏。もうね、何と言うか、ちゃんとわかっている仲間でバンド組んでて、うらやましいなの一言。フラカンが激しく浮いている。

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