これ買いました15年1月

オー!ブラザーズ/オー!ブラザーズ

↑韓国のネオGSの重鎮。名盤。

15.1.31 

三浦弘とハニーシックス

よせばいいのに 女でいたいのよ

テープ ビクターVMT1010  CDがなかったらしゃあない・・・。世界に誇る名作「ラリラリ東京」を生み出したアロハ・ブラザーズが更にメンバーを増やして行き着いたのがこのバンド。明らかにハワイアンがその出自だがサウンド的にはその要素は微塵もない。大ヒット曲こそないが、高いレベルで粒のそろった楽曲がずらり。ただしボーカルがきっちりと閉まっておらずだらりとしており、曲が手に余っている印象を受けることも間々あった。ムードコーラスはどんなに正統派のバンドでもコミックっぽいのもいけるという特製があるがこのバンドもそうで「オールナイトで朝帰り」のはまり具合は見事の一言。三浦弘の作曲能力の高さにはただ脱帽。
三田明

美しい十代 ごめんねチコちゃん

テープ ビクターVMT1023  御三家の次といった感じの人だったが楽曲、ルックスとも御三家に互する。惜しむべきはそれが維持できた期間がきわめて短かったことだけだ。吉田正の弟子ということで、エレキっぽい曲も多かった人だが、このテープで一番出来がいいのは本格的な都会派ムード歌謡「数寄屋橋ブルース」だった。
坂本スミ子

たそがれの御堂筋 ラ・マラゲーニャ

テープ テイチクKTT3040  そういえば聞いたことがなかった。リンドの加藤ヒロシ作「たそがれの御堂筋」はなんともぱっとしない曲だったのでがっくり。逆に同じく加藤作品の「雨のボサノバ」は細かいところにはあらも目立つがあと一歩で歴史に金字塔をうち立てることも出来ただろう、グッドボサノバ。カバーは可もなく不可もなしという感じ。
V.A.

懐かしの流行歌(3)

テープ ビクターVMT1030  なんでビクターは「ああモンテンルパの夜は更けて」のオリジナルテイクのCD化に消極的なのか?「異国の丘」「ハバロフスク小唄」「シベリアエレジー」と並ぶ戦後の軍歌の系譜でも最重要曲の一つにもかかわらずである。反戦歌としての軍歌/戦時歌謡としては真っ先にあげられなければならないこの曲がいつまでもほったらかしにされているというのは、いかにこの会社の人間が過去の財産に敬意を払わず、また、そういったものに対する歴史的な意味づけにたいして意欲的でないかということの証左に他ならないではないか。ビクターの社員がここ読んでいたらよく肝に銘じておくように。
 モンテンルパというのはフィリピンの戦犯収容施設のあった土地のことである。ここにどうでもいいような戦争犯罪で収容されたままほったらかしにされた軍人たちが望郷や家族への思いなど自らの気持ちを歌に託し、大ファンだった渡辺はま子のもとに詞を送りつけた。渡辺はこれを読んで感銘を受け、自らが先頭に立ってこれをレコード化し、彼らの元でこの歌を披露し、ついには彼らの放免に結びつけたのだ。今の社会派ロックシンガー風情とは違う真の行動するミュージャンの姿がここにある。それがまるでそういった事実を消し去ってしまいたさそうなビクターのこの冷たい仕打ち。この歌に限らずビクターは戦後期ぐらいまでのオリジナル音源の価値というものをかなり軽視しているように見受けられる。
 ほかは雪村いづみ、山口淑子など。

15.1.27 MD5枚を頂く。アイドルス「恋の伝説」すごすぎ。

15.1.24 金なし暇なし女なし

ロス・インディオス

別れても好きな人

CD ポリドール POCH1294  「コモエスタ赤坂」目当てで買ったがシルビア加入後の再録音版で収録されておりがっかり。ハープをフィーチャーしたサウンド・メイクにホスト系のボーカルが乗るという基本形はデビュー以来まったく変わらないが、数あるムードコーラスの中でもまったりという表現が最もよく似合うバンドであると思う。こう聞くと実はシルビア以下の女性陣加入が毒にも薬にもなっていないような気がするというか、あまりにボーカルの実力に差がありすぎて女性ボーカルが痛々しく感じる曲が多い。その中では歌詞をすっぱりと省くと青春歌謡になってしまうミスマッチ感がたまらない「GINZA伝説」と、どうしていいかわからない妙なインパクトが強烈なテクノを導入した「喧嘩のあとは」が耳を引いたが、やはりどちらも女性ボーカルはどちらかといえば完成度を低めているような気がする。どうでもいいが何だか異常に誤植の多い歌詞カードだ。まずまず。全然関係ないがハニーシックスのベストCDって今ないらしい。
オー!ブラザーズ CD ローファイキャバレー DBKCD0043  韓国のネオGS。どっちかというとツイストバンド。日本ではなかなかいない壺をついたコンセプトのバンド。ジャケから何からすべてがかっこいい。もちろん音も。60年代のサックス入りビートバンド、デーブクラークファイブとかブルーコメッツとかの音をよく研究している。なにがすごいってビートの効いたものもムードものもどっちもいけるというのがすごい。ボーカルも研究してある。底抜けな陽気さが伝わってくるのもなかなか日本のネオGS陣には見られないが、実はこれこそ60’sの真髄だと思う。グッド。
オー!ブラザーズ

レッツ・ア・ゴーゴー

CD ローファイキャバレー DBKCD01168  同セカンド。ファーストよりもさらにビートを強調し聞かせるが、全体的にはあまり前作と印象変わらず。前作以来のツイストあり、ストレートなロックンロールあり、「ルシール」風あり、「カレンダーガール」風あり、はたまたビーチボーイズ風ありと50/60年代音楽に対する愛着が強く強く感じられる。リバーブの使い方などやしみったれたボーカルはGSものなら泣けること請け合い。これという強烈な曲こそないが、全体的な完成度の高さは日本の今のGS系バンドの殆どは敵うまい。グッド。それにしてもこのジャケットワークは見事だ。日本のバンドも見習ってほしい。
V.A.

ムードコーラス全曲集

CD テイチク TECE25341  前半はオリジナル、後半はカバー。オリジナルで固めればいいのに。もっともオリジナルはあまり珍しい曲はなく、定番といったところ。唐突にロス・プリモスとコロ・ラティーノが収録されているが、うちロス・プリモス「ラブユー東京」がオリジナル・テイクなのが結構珍しい。カバーものはこれというものないものの初めて聞くものが多く、フルセイルズの三曲が特に貴重。ハニーナイツも二曲のカバーが収録されているが、これがハニーナイツとは信じたくない。なお、ジャケットにハニーナイツの写真がアップで載っているのが珍しい。

15.1.24 金なし暇なし女なし

山本リンダ

ミノルフォンイヤーズ

2CD 徳間 TKCA72491  黒沢進先生に「GSファンの食指をそそらない」と号され、いろいろ近年のイメージも強いせいか、あまりひとりGSの代表格と言われない山本リンダのミノルフォン在籍時代の全レコードと8トラなどの音源をコンプリートしたもの。実は小畑ミキよりも楽曲的にはこの時期のリンダ嬢の方が好きなのだが、あまりレコードも見受けられず、なかなか聞けなかったので大変有難い。まあ、以前もっと凝縮したベストも出ていたのだが編者が編者だったので敬遠されていたという所もでかいのだが。流石に遠藤実作品がずらりと並ぶが、演歌色はまったく皆無。一方、後年のアクショングラマーも微塵も感じさせず、正統的なひとりGS、ポップスの色が極めて濃い楽曲が揃っている。この時代の独特な甘えた声は「聞いてるとむかつく」という意見もあるが、彼女独特の芸当の域にまで達しており、唯一無二のものとなっている。初めて聞いた曲の中では「恋の急行列車」がシルヴィフォックスの「レッツ・ゴー・ミリタリー・ルック」を想起させる部分があり(スタッフはどちらも同じ)、レーベル全体を貫くの血の濃さを感じさせる。また、「夢見るわたし」ではさびで「花嫁人形」が挿入されるという自分好みのギミックがあって小躍り。最後のほうのディズニーものとかはボーカルがよく聞き取れない。それにしてもレコードの写真によって全然顔が変わる人だな。
V.A.

服部良一東京の屋根の下 僕の音楽人生1948〜1954

2CD ビクター VICL61066〜7  実に五年越しぐらいの他社追従続編。服部良一作品集。印象的にはコロムビア編とほぼ相似といった感じで意外と思わせるものはなかった。しかし、コロムビアとビクター両方で同じような、それでいて良質な曲を量産したのだから、その才能に頭を垂れるとともに、こりゃブームが起こるというのも当然だと思われた。前半は激しいブギーに彩られているが、後半はこれとは打って変って夢見るようなドリーミーなジャズ・スタンダードっぽい曲が占めている。後者は服部良一にしかできないと思わせる優雅さがあり、こちらこそ今評価しなおす面ではないかと思う。歌手個々に見ていくと特にすばらしいのはやはり暁テル子で、笠置シヅ子の影のような存在としてしか認識されてきていないのは惜しすぎる、気風のいい歌いっぷりが眩しい。解説によればこんなに人間性の優れた人もおられないようだが、なんでこんなに今ひとつな知名度になってしまったのか。とにかく、すばらしいの一言。また市丸のしっとりとした色気も捨てがたい魅力があるが、それ以上にとてつもない音楽的才能が垣間見られる。そりゃ日舞を舞ったかと思った次の瞬間ブギウギ歌い出されたら(しかも芸者の格好で)アメリカ人ならずともぶったまげるわな。しかも昭和一桁末位が全盛だった人がちゃんとカメラ目線とか決めポーズとかを会得しているという、超人的なショーマンシップも持ち合わせている。こういう天才中の天才をただ古いと言って切って捨てた連中が憎くて仕方ない。余談だがうちの爺さんの友達の自慢が子供のころ浅間温泉時代の市丸に抱き上げてもらったことがあるということだったらしい(昭和5年くらいのことかな)。小畑実も当然よし。大フィーチャーされている妹御服部富子は上手いし「アリランルンバ」とかいい歌もあるけど、ちょっと押しが足らないような気がした。
V.A.

ノヴェルティー・ギャグリー〜あちゃらかソング傑作選

CD 徳間 TKCA72482  初CD化が結構少ないな。それもクラウンに頼りっきりな気がする。まあ、このシリーズ自体がそうか。初めて聞いた曲について。異邦人のこのボーカルの人はGS出身者らしいが、正直演奏、歌唱ともどうということもなくがっかりした。ラサール石井・松坂季実子「ソレソレどうするの?」は非常によくできているがボーカルがよく聞き取れないのが痛恨。中村有志「ファンキーキング」は文句なしに真っ黒ですばらしい。いい意味で頭が悪い。JBのゲロッパって奴を「木六本!広尾な」と持っていくのには目が点になった。他は特になし。と、まあ、いろいろあるけどもこういうのよりも幻の名盤解放歌集の続編みたいな奴出してほしい。あ、「ハレンチアモーレ」のイントロの寸劇がばっさり切られているのは何故?
殿さまキングス

ハワイ音頭

EP ビクター MV3001  やっと京都で捨て値でムードコーラス売ってるとこみつけた。ぼろぼろ。アロハオエをベースにしたさわやかでてきとうな緩い音頭もの。強調された沖縄民謡風の三味線とスチールギターが心地いい。宮地オサムの声が下世話に聞こえないのが珍しい。B面は民謡調宴会ソング。こっちは粘っこいが表情を変えて流される「怖いですね」の台詞まわしは舞台経験がよく生かされている。
バンブー・イン・アバ

ディスコ河内音頭

EP ポリドール DR6320  ・・・馬鹿だなあ・・・。ポリドール大阪制作部が河内音頭をディスコビートにでっち上げ。アップテンポすぎる気もするがちゃんと踊れるディスコビートに仕上がっている。黒人っぽいボーカルが生真面目に日本語で口上を歌い上げるが何だか軽くて笑える。「悪声で」とか歌ってるがええ声してるぞ。カワチフィーバーとか叫んでて大変だが合間にビージーズやヴィレッジピープル、ゴダイゴなども挿入されて楽しい。いかにも日本人のコーラスも間抜け感をあおる。B面は口上も英語で歌うが、スネア四つ打や唸りまくるギターが色物感をうち消す普通に良くできたディスコ曲。たまに入る「カワチオンドハ」という歌詞さえ気にしなければだが。グッド。つーかディスコものはいいよ。
朝香ふみえ、中島文雄

ある日渚で

EP フィリップス FS1131  トワエモアを思わせるが声が震えたりぎこちなかったりしていかにも素人っぽい女性ボーカルが地道に歌い上げ、これに男がへなへなと合いの手を入れる作品。自作の詞曲には当時ならではの純真無垢さと今聞くとこっぱずかしいギミックに思わず目頭が熱くなるが、林一の編曲とあいまってよくまとまっている。B面は「ひとりぼっちの黒人」によく似た童歌風フォーク。朝香の独唱。キャッチフレーズの「ふざけた会話」っていうのがまるで売る気がなさげでよい。まずまず。
横田早苗

哀愁ドリーム

EP ソニー 07SH1419  ディズニーランドが出来た年にこれを歌い込んだ流行もの。ブリブリ鳴りまくるベースを中心にしたド派手なサウンドのめまぐるしい展開の良く出来たマイナーアイドル歌謡。あらぬ方向に駆け出すボーカルはアイドルものでしか味わえぬ醍醐味だが、これはその中でもかなり良い部類。これが歌下手としか感じられないものはアイドルを聞くのに向いていないと思われる。ただし五十八年制作とは思えない古くささも充満しており、さびは「失恋レストラン」を思わせる。B面は典型的なこの時期特有のアイドル路線の曲。大した歌ではないものの、ここでも上擦る歌唱がアイドルものを狂喜させること請け合い。
渚まゆみ

ロマン札幌

EP 東芝 TP17768  B面「ミスターテング」ってのが気になったから。御夫君浜口庫之介作品。A面は「恋の街札幌」のセルフアンサーソングみたいな歌だがどうということもない昭和50年代にありがちなナイトクラブ系の純歌謡であまり面白くない。B面は音頭調だが妙に無機質。異常に音数が少ない。打ち込みドラムと安いエレクトーンとハマクラさんのコーラスぐらいしかない。但し、何が言いたいのかさっぱり解らない歌詞にたがが外れたようなボーカルと暴走してチャチャを入れるハマクラさんが絶妙に絡み合い、もう一歩でサイケデリックに昇華しそうな所まで行ってしまっているのがすごすぎる。両面とも渚まゆみのかつての色気が後退し、いかにもおばちゃんが歌っているかのような歌い方の垢ぬけなさが残念すぎる。

15.1.19 

藤圭子

圭子の夢は夜開く ヒット・コレクション

CD BMG BVCK37032  言うまでもなく、宇多田ヒカルの御母堂。↓とあまり印象変わらず。「圭子の夢は夜開く」を除き、欠点ばかりが目立つ。というか早すぎるほど早くどんどん衰えていっているのが手にとるようにわかる。「京都ブルース」を似たフレーズがある朝丘雪路「雨がやんだら」と聞き比べてみるとその食い足りなさがはっきりわかる。近代演歌という枠に閉じ込めてみても香西かおりのほうが力量は上だろう。最後の「赤坂の夜は更けて」「暗い港のブルース」「棄てるものがあるうちはいい」のカバー三連発にいたっては原曲がこれ以上ないほどの歌謡曲界の至宝であることを差し引き、さらにどうしようもない編曲に目を瞑ってもその痛々しさは目も当てられない。なまじ権威となってしまっただけに方向転換とかもできなかったのだろうが藤圭子が一直線で急降下していったのが非常に納得できる。はっきりいって歌唱の芯の強さはやや譲るもののかすれ声の効用という点を考えると宇多田ヒカルの歌唱のほうが歌謡曲の壷を心得ているような気がする。

15.1.18 こういう日もなければ

村岡実、ザ・ライフシアターズ

ドラム・尺八ロック/任侠

LP コロムビア HS10017J  適当なバンド名だな。「人生劇場」とか「唐獅子牡丹」あたりのヤクザ歌謡のインストカバー。村岡実の尺八はともかく、クレジットされていない(誰がどう聴いたって石川晶に間違いないのだが)ドラムのいい音なのにグルーヴが足らないプレイがもどかしくてたまらなかったが、B面に入ってからの「網走番外地」「妻恋道中」「流転」の三連発はその想いを吹っ飛ばす会心のプレイ!特にボサノバを使った「流転」は単純に好きな曲ということ差し引いてもその出来映えはピカイチ。「網走番外地」は沢村和子とピーターパンがシャープファイブと合奏しているような印象でグー。
聖女隊

恋はスパーキン

12インチ テイチク 18HS3  素っ裸の3人組みアイドルで、最後はロマンポルノに出てたはず。佐久間正英による濃度の薄いテクノ歌謡と一瞬クリキンの「ユーはショック」かと思わせるド派手なロックチューン。曲を聴いてる上は、詞を考えなければ「うしろゆびさされ組」みたいな儚さがあるが、ヴィジュアルを見ちゃうとどうしてもミスマッチ。もっともリードボーカルによっては下手なうえに年増っぽく感じられたり、コーラスがバラバラな上にソロが全員ぐだぐだだったりして大変なことに。で、その詞はどんなんかといえば「いつまでも感じていたいの」やら「小さくて小さくて私に届かない早くて早くて満足できない」とかそんなん。はっきりいって発想が古い。ちょっと前に演歌の歌詞が女性差別だとか騒いでいた大学教授がいたが、こういうポップス曲の歌詞の研究をちゃんとやってからああいう集まりをやっているのかはなはだ疑問符。あと堂々たるカタカナ英語も日本語部分に引きずられて何とも頼りなく感じ、アイドルもの特有のカタルシスも今ひとつない。特製ブックレット(ヌード写真集?)が付いていたらしいが、残念ながら欠落。これは伝説になれしません。あと。
ブルーシャルム

ふたりのシーズン

EP ソニー SONA86056  A面はDJにも人気の高いゾムビーズのほぼ完コピの日本語カバー。この時点ではレーベルメイトなのね。B面だけ。バロネッツの「愛の女神」によく似た雰囲気のAメロを持つ典型的ビートムードコーラスだが、突然メジャーになるサビが妙味。このバンドはムードコーラスの落ち着きとGSの青さが上手い具合にGSを上位にして結びついていて聴きごたえがある。
ハニーシークレッツ

にくい君

EP ポリドール SDP2047  筒美京平作曲。童歌風の他愛もない素朴な歌。ただし、さびでのやや崩したベースには少しビックリ。穏やかではあるが、そのまま地味に過ぎる印象に直結。B面はもうちょっとポップでJシャングリラから青さと沈鬱さを抜いたような歌。ムードコーラスとしてはあまり情緒がなくがっかり。

15.1.17

藤圭子

女のブルース

CD BMG BVCK38057  今出川の同志社前ツタヤで初購入。
 演歌の女王といわれ、五木寛之あたりが提唱した怨歌の担い手として前人未踏空前絶後のチャートアクションを見せた藤圭子のセカンドアルバム。
 さて、これがいいかというと・・・。当時の文化人や各種音楽記事がいうほどすごくはないし、寧ろ極めて平凡といった方がいい。歌唱は特に斬新でもないし、デビュー曲を頂点として下り坂を転がってきているというのが正直なところ。大体この技術自体は森進一や矢吹健といった前年ぐらいから起こってきた潮流を女性に移しただけでシーンの流れとしては斬新ではあるものの、技術の確立自体はこの人の手柄というわけではない。手柄というなら前記二人や完成したという意味で後に夫君となる前川清の方を顕彰すべきである。また、声の深さという点では西田佐知子の足元にも及ばない。西田佐知子が偉大すぎるというなら加藤登紀子でもいいが、いずれにしても歌謡曲150年史の中では埋没せざるを得ない程度である。デリケートなところでの艶やかさがなく、却ってざくざくとささくれ立った印象を与え、それが荒んだ表現に行き着かずただ荒いというところに留まってしまっている。楽曲自体も大正時代の兵隊節をモチーフにしているらしいものが多く、これが革命であるといった奴の論理過程が窺い知れない。大体猪俣公章や中村泰二が作っているのだから、彼らの他者に対する作品についても同様のことが言われてもいいはずだが、彼らに革命的という賛辞を与えた人間がかつて何名もいたのだろうか。結局彼女の人気というものはアイドル人気でしかなかった。アイドルたること自体はまったく否定しない。むしろそれは喜ぶべきことである。だがそれを後付で下らない一見知的な陳腐な理論により過剰な意味を無理矢理もたされたということが、彼女の音楽活動にどうしようもなく暗い影を落としたのは間違いない。この人はもともとGSオリーヴのグルーピーだった人なのだが、皮肉にも彼女が好きだったGSを駆逐した人々の神輿に乗せられ、結局その芸当を滅ぼしたのは不幸というしかない。真の革命だったGSを鎮圧した結果、演歌は日本の心という阿呆なイデオロギーがしたり顔でまかり通りはじめた吐唾すべき時代のその象徴である。ということであまり面白いものではなかった。

15.1.12 眠い。

ハニー・シークレッツ

東京・大阪 夜のムード地帯

LP RCA JRS7144  盤がぼろぼろ。店の人がサイフォン用アルコールで洗えば綺麗になると言ってたのだが、薬局で通じなかった。内容は東京から神戸まで東海道沿いに連なる盛り場の諸都市について歌う。それぞれ新作なのが意欲的。典型的なムードコーラス曲が並ぶ。典型的とはいうもののジャズ濃度の高いものから軍隊節っぽいもの、はたまたロスプリモス調まで幅広い。満足できる出来ではあるが、これ一曲と言われるとそこまで濃い曲がないのが口惜しい。まずまず。
Kとブルンネン

恋人たちの舗道

EP ソニー SONA86079  初期ソニーの誇る男女フォークグループだが、これはグループサウンズの影響も濃い純歌謡。マイナーなビートものでいかにも鈴木邦彦作品。ブルンネンの好きだという伊東ゆかりの影響がよく見て取れる。B面に至ってはホーンと江藤勲、石川晶っぽいリズム隊が活躍するグルーヴ満点の曲だがこれジュピターズのカバーなのかな・・・。
たんぽぽ

初恋少女

EP 東芝 ETP17129  これが元祖たんぽぽ。「嵯峨野さやさや」のヒットを持つグループ。シモンズや中期チューインガムといったフォーク系女性デュオの系譜そのままのポップス的楽曲だが、ハーモニーのレベルはそれより格段に上。清楚な小品で、その儚さに胸が締め付けられる。B面はフォーク濃度が高く、よりそのはかなさが際だって泣ける。テンポを落とすブレイクが印象に残る。
ザ・ブルーベル・シンガーズ

昭和ブルース

EP ポリドール SDP2043  今年の目標「メジャームードコーラスも買う」。A面は言わずと知れた超大ヒットかつ大名曲。というわけでB面だけ。アルペジオとうだつの上がらないコーラスも眩しい完璧なカレッジフォークで、このバンドの曖昧な立場がよく偲ばれる。ティア・ビームスの「何故か涙が」の躍動感を鈍らせたような歌だが、コーラスがバラバラになって玉砕するラストにはカレッジフォーク特有のカタルシスがある。

15.1.9 MD3枚を頂く。真に宜しき誕生日プレゼントとなるなり。

15.1.8 眠い。

石井明美

ザ・ベスト CHA−CHA−CHA

CD ソニー CSCL1616  踏んだら割れた。ぼろぼろ。若い人には信じられないと思うが、昔は石井明美で夜に日に暮れた時代もあったのだよ。
 ラテン調のダンス曲が多く、オリジナルの発売年月日のことを差し引いても懐かしさを感じさせる憂いを含んだ手触りの曲が並ぶ。ヒットした「チャチャチャ」や「ランバダ」では曲の持つ潜在的な哀愁味を表面に出すことに成功しており、それ以外のラテンものでもチェウニあたりの所謂ポップス演歌の歌手たちとの共通項のある壷を突いた歌唱を披露しており、製作側の目の付け所が鋭さに感服。ところが、約半分を占めるラテンものでない曲は取り立ててどうということもない典型的昭和60年代歌謡ポップスばかりで、激しく腰を折っており興ざめ。特に細かく表情をつけるべき部分において特に歌い調子を変えることなくだらだらとと歌い流してしまうのが、声がよく意外に太いだけに惜しい。ようするに(歌自体は上手いのに)歌の持つ演劇性を今ひとつ掴んでおられなかったのであろう。あと。

15.1.7 藤本美貴モー娘。入り。そんなに売り出さにゃならん理由があるのか?どうでもいいがぁゃゃ「草原の人」は年寄り受けがあまりよろしくない。

ナオミ&ザ・ボーイズ/ザ・サイクロンズ/ザ・サンダーバーズ/ザ・クレッシェンドス

シンガポール60’s

4CD ユニバーサル ME0136NE、ME0135CE、ME0162TF、430815  シンガポール60’sGSのシングルをそのままの形でCD化したボックス。エミージャクソンを想起させるナオミ&ボーイズを初めとして、初期GSと精神的に共通する所も感じられたが、日本で言う所のGSよりももう少し前の時代の音だ。案外土着味がなく、バタ臭い印象で、たとえばハーパースビザールとかピーターとゴードン、ハーマンズハーミッツとかその辺の音に近い。また、文句なしにすごいのはサンダーバーズの「ヘイガール」で闇雲さがまるで日本のインディーGSを髣髴とさせ、世界のどこへ出しても立派にガレージとして通用する。続く「マイ・フラ・ガール」もリフや音使いがテキサスガレージパンクみたいで世界に回る音楽革命の火柱を垣間見れる。また、クレッシェンドズも麻生京子と聞き比べたい「のっぽのサリー」を披露したり、「ヒーズ・ザ・ボーイ」でビーチボーイズ風楽曲に挑戦するなど健闘している。チャオさまに感謝。

15.1.2 買い初め。

ディック・ミネ 2CD テイチク TECE38317〜8  やっと買った。ディスク1は全盛期の洋楽カバーで、脂の乗り切ったジャズフィーリングに溢れたある意味驚異的ともいえるボーカルが聞ける。あまりにも見事なメロディーへの乗せ方に逆にこの人に古賀メロディーがあてがわれたことの方が不思議に思えてくる。幾らなんでも当時の日本の歌手でこれに肩を並べる者などいようはずもない。歌謡曲の神様と二村定一を信奉する俺が言うんだからそのすざましさはご了解いただけると思う。こちらの全曲はぜひ聴いていただきたい。サウンド的にはスチールギターが目立ち、もしかしたらご本人が弾いておられるかもしれない。「ダイナ」が入っていないのがすこし残念。ディスク2はこれがディックミネ全盛の声とは決して誤解してほしくない単なるステレオ音源で、あまり見るべきところはない。いままでのいいかげんなベスト盤に使用されていたものと同テイクでわざわざこのシリーズに入れる意味がわからない。オリジナル音源による全曲集を強く望む。とはいっても中学生の時聞き狂った「ゆかりの唄」がCDで手に入ったのは嬉しいけど。
ピンク・レディー CD ビクター VICL41065  大晦日に「ピンクレディーの活動大写真」を見てしまい、「透明人間」のPV風場面がやたらにかっこよかったから。ほぼリリース順にシングル曲が並んでいるが、前半はどう考えても作り飛ばしたとしか思えないものばかり。パターンが同じ。ところが、これが駄目かというとそうでもない。人気絶頂からくるわけのわからない勢いというものをひしひしと感じる。パンクとしての歌謡曲の真髄がここにある。それが証拠に後半の曲はよく練りこんであるが、それがストレートに快感につながらず、なんともスケールの小さな印象しか受けず、結果として歌謡曲としては平庸なものにおわってしまっている。最後はテクノに手を出したりしていたりするので、迷走といったほうがいいかも知らない。歌謡曲というものは必ずしも頭で突き詰めればいいものでもないという見本である。ディスコビートに対する過信が本来の彼女たちの魅力を殺している。要するにモーニング娘。と同じ売り出し側の盲目からくる失敗のパターンそのものなのだ。またキャンディーズをあまりに意識した曲なども彼女たちの本来の口ではない。全体的には尻つぼみといっていいと思うが、後期の作品の中でも「キッス・イン・ザ・ダーク」あたりのアメリカ進出を睨んでいた時期の作品だけは、アメリカのスタッフ、日本のスタッフの作品にかかわらずひりひりとした本場っぽいディスコののりを最大に利用することに成功しており、何を言われようが米国進出を続けるべきだったのではないかと思わせる。何だかんだいってもよし。
キャロル

ゴールデン・ヒッツ

CD ポリグラム PHCL8  やけくそで買った。やっぱり俺70年代のロックはだめだ。あたりの柔らかいポップス/ロックロールリバイバルだが、はっきりいってGSのほうが全然すごい。情緒があって狂熱的で強烈でキャッチー。彼らもGS=無価値の幻想が作った神話だと思う。とはいっても青くさいボーカルやどう考えても都会的でないギターフレーズには歌謡情緒が見て取れるところもあり、自分の中での彼らに対する「汗臭い」という偏見が一部ひっくり返った。ちなみに生き方という点から見ると小畑実の方が全然すごいと思う。
ファニー・カンパニー

ファニー・カンパニー

CD ワーナー WPC68429  はっぴいえんど(というよりいわゆる70、80年代のロック、フォーク全般)が本質的に大嫌いということがここ数年で骨身にしみた。「日本語を初めてロックのリズムに乗せた」何ていうのは「進歩的な」連中がGSやそれ以前の歌手たちをイメージだけで排除し貶めるためについた嘘にすぎない。俺にとってははっぴいえんどこそ日本の歌謡曲を破壊し、またロックやフォークそのものを大衆のものとするに30年足踏みさせた元凶に他ならないと思っている。彼ら以前の歌手でもディックミネ、藤木孝、鈴木やすし、尾藤イサオ、デイヴ平尾、宮城ひろし、美空ひばりと日本語でありながらロックのグルーヴやリズム感を十分に披露し又は披露し得た歌手というのは意外なほど多い。また、はっぴいえんどのバンドとしての在り方が、マイナーがエライというしょうもない幻想を作り上げ、本来はショービジネスの表舞台で活躍すべき数多くの才能を潰し、ただただ貧乏くさい楽曲をロック/フォークをメインストリームにしてしまったそもそもの始まりとなった。ついでに言えば、彼らの系統の楽団が「歌謡曲のバックを革新させた」というのも一面では確かに頷けるけれども、結局GSをも蹴散らした戦前以来の軽音楽バンドの伝統を壊してバッキングの選択肢を狭めたことの方が重大だ。大滝詠一と細野晴臣のそれぞれの音楽キャリア自体は大好きだが、本人たちが自覚しているかは知らないが彼らも皮肉にもこのはっぴいえんどの残した負の遺産に結局苦しめられた。はっぴいえんどとその虚名を高めるべく動いたポピュラーミュージックの歌謡曲をバカにした潮流こそ、俺が叩き潰すべき権威に他ならないとまで思うこともある。そういうわけで「日本語で云々」は単に技術の追いついていない当時のロック/フォーク界歌手たちの中で思わせぶりな行動が出来えた特別の地位にいたバンドのキャッチフレーズ程度のものにすぎないと思う。それが今の今まで延々と語られるのは当時の技術の限界を示すに過ぎない張子を同時代人の自らの権威として引きずっているからに他ならない。要するに彼らが若いころ批判した大人に彼らがなっているということだ。
 その「日本語云々」という糞みたいな議論はこれの特に前半の楽曲を聞けば吹っ飛ぶはずだ。桑名正博という人は上手いにしても上にあげた人たちにはやや劣る。それでこののりだ。この歌いっぷりだ。繰り返すがはっぴいえんどが特に優れていたわけでも、特に革命的であったわけでもなく、ロックバンドとして立ち回り方が上手かったに過ぎないというのが、ほぼ同時代に(多少の影響は受けていただろうにしても)これだけのものを作り上げた連中がいたことでわかるはずだ。
 というわけで、のりのいい日本語ロックンロールを中心にしており、軽快さが先にたつ。楽曲の出来不出来のブレが大きいがロック色の強い作品の中にはこの時期の音楽嫌いの自分としても楽しめる曲があった。
 しかし、いかに「西のファニカン東のキャロル」と持ち上げられても、今の状況を見れば普通の人には音なんか二の次三の次でショーウインドウに向けられた一人の人間の生き方に比べるとどうでもいいものでしかないのだなという事実が悲しい。
 解説は田口史人氏で的確だが、京都のカレッジフォークトリオとしてのファニーカムパニーの話題はなし。やっぱり知られていない話なのか。
 どうでもいいが、買ったとき「若いのにファニカンなんて知ってるんですか」なんて言われてこっぱずかしい思いをした。いやまあ、知ってるけど、それはおいといて、レコードとか買うのが本質的に恥ずかしい行為という意識があるのって、俺だけか。

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