これ買いました平成17年7月


17.7.29 土日は寝る。死んだように寝てやる。

デイヴ平尾

一人 コンプリート・ソロ・コレクション1972−1987

2CD ヤマト YRCL6001〜2  元ゴールデンカップスのボーカルその後を伝える貴重音源のリイシュー。権利を持っている会社が別であるせいか唯一のアルバムを収録している盤とそれ以外のシングル等を収録した盤の二枚組。GSのボーカル出資者にはグループ解散後全く歌唱法が変わってしまった人がいたりするが、この人に限っては全くそんなことはない。むしろ若さで突っ走っていた部分を円熟味で置き換えたため、よりブルース的な枯れが表に出てきていてより充実している。GS時代にイヤイヤやっていたであろう日本語オリジナル曲もここでは納得して歌い込んでいるさまが読み取れ、カバーではなかなか判らないところもある本来のボーカルの力量の大きさも十分に堪能できる。アルバムでは横浜を歌い込んだ曲が多いが、それを前面に出していない曲でも七十年代の横浜の光景が脳裏に鮮烈に浮かんで来るのはまさにその空気を吸っていたということとともに、それをそのまま吐き出すことが出来るという才によるところが大きい。
マイナスターズ

俺なんでもいいし カバ

マキシ 東芝 TOCT22262  先にテレビで聞いて改めてグダグダさに感動して買ってしまった。表題曲はサムシングエルスの今井千尋作曲。二番が蛇足のような気がする。一番だけでアルバムの中の小品として聞いたら完璧なのだが・・・。カップリングは持ちネタの動物カイコスポストネタ。それ以外のボケたり突っ込んだりの曲も聞きたかった。本格的フルアルバムに期待。

17.7.24 やーん、早とちり。

ザ・リード

ザ・リード・ゴーズR&B ダイアナから悲しき雨音まで

LP ビクター JRS7002  美少年日系人ボーカルを擁し日本にブルース・ギターを伝えた在日アメリカ人GSのファースト・アルバム。こういうタイトルだがオールディーズのカバー集。「日本ロック紀」では情けない出来と紹介されていて、三保敬太郎編曲の6曲は、どれも軽いグルーヴチューンに仕上がっており、自演じゃないとだめという人以外にはそれなりに楽しめる。特に「君はわが運命」は「サニー」を思わせるアレンジでタイトルに違うことなし。「テネシー・ワルツ」も今まで「ジャスト・ア・リトル」を除いてCD化されていなかったのは一面惜しい。このバンドのボーカルは実際は日系二世だがいかにもトラッシュ・ホワイトっぽくてよい。チョーキング奏法を日本に伝えたバンドという重要性を知りつつも猶、演奏にも割り切れないずろっとした所が延々と続いていくのが独特の音にしている。
紅浩二

リメンバー長崎

EP ビクター GAM3  この人本当に有馬竜之介が改名した人なの?全然声が違うような気がする。筒美作品。七十年代前半の男性アイドルにありがちな男臭くアップテンポなグルービー・ビート・ポップス。本場のR&Bのホーンセクションをコーラスで代理させているのはいかにもこの時期。B面は多分小柳ルミ子あたりが意識にあると思われる演歌のエッセンスの入ったディスカバージャパン風ビートバラード。

17.7.23 地震の影響大。明日買い物に行けばよかった・・・。

美空ひばり

ラヴ!ミソラ ヒバリ ジャズ&スタンダードコンプリートコレクション1955−1966

2CD コロムビア COCP33254−55  美空ひばり全盛期に残したジャズ、スタンダード曲全曲を集めたもの。といいつつ「トラジ」「ブンガワン・ソロ」「アロハ・オエ」といった今で言えばワールド・ミュージックの範疇に入る曲もあるが。これらの録音を残した直後ぐらいの時期から美空ひばりに対する世間の見方が一気に悪化していくのだが、こういうポップなひばりを送り出し側が否定したからなんだと思う。耳の良さから来る天賦の才能をこれでもかと言うほど楽しめる。美空ひばりは天下第一のゲテモノ歌手なのは動かしようがないが、人生後半のつまらないアダルトポップス路線の曲よりもこういった曲の方がよく風情が生きている。何回聴いても江利チエミと美空ひばりは本来歌うべきだったジャンルが逆のようにしか思えない。バックバンドのレベルの高さも言及こそないが意外な発見。解説がやや薄めなのは残念。
ザ・スペイスメン

アワ・クレイジー・ダンス 阿波踊り/エレキ・ギターで民謡を

CD ブリッジ BRIDGE034  本体入手。「モンド・ミュージック」という本で紹介されスペイスメンの名前を一気に広めた「名盤」の復刻版。要はエレキで聞く日本民謡集なのだが、英題のクレイジーの名の通り狂乱のサウンドが聴ける。ようやく日本屈指の名バンドにまともに陽が当たったことを素直に喜びたい。強烈に押しまくるでも激烈な速弾きでもないたわんだようなリードギターに熱情的なホーンセクションとツボをわざとズラしたようなリズムを刻むドラムが目眩を起こさせること必至。サイケデリック発祥以前に日本人が独自にたどりついてしまったトランス音楽、ヒロポンをくらった様なドラッギーサウンドが耳にまとわりついてくる名盤。
 ただし、水をぶっかける様で申し訳ないが、このアルバムは「阿波踊り」一曲を除くと、スペイスメンのアルバムの中では中の下か下の上という程度の、余り大した出来のアルバムではない。これを聞いて凄いと思ったとしてもスペイスメンの凄さの十分の一も理解せずに凄いと騒いでいるようなもので、長年スペイスメン凄いと言い続けている自分にとっては痛し痒し、隔靴掻痒の思い。スペイスメンの凄さは、凡百のエレキバンドとは違い、付け焼き刃的なロックの解釈ではなく、従来のラテンやビックバンドジャズの精神でエレキバンドをやってみたという世界でも例を見ない所にある。出てきたものもブルージーンズでもシャープファイブでも、手鑑にしていたはずのアストロノウツやベンチャーズでも、ましてや他のエレキバンドでも何でもいいが、それらとは明らかに違う世界観をもってちゃんと組み立たっている。理念倒れのバンドではない。そう言う意味で宝永山を見ただけで富士山を調べ尽くしたような解説には心底がっかりした。このアルバムはロックと言うところからだけ見ても凄いことは凄いが、それだけで終わる凄さではない。解説に名前が出てくるアルバムは、しかし、狙ったように彼らの中では本領発揮と言うわけでないものばかりが挙げられているのでえっという感じ。別にロック→騒々しい→お祭りというステップを踏んでいるのではなく、天然のテンションがこういうバンドなのでどうも違和感ばかりが残る解説だ。
 解説には他にも、これを初めて聞いたのが去年とかという話しが書いてあるが、俺はもっと前からこのアルバムを含めたスペイスメンの凄さを発信してきたつもりであるので、悔しくて悔しくて堪らない。今日この解説を読んでいる時ほど、おれがこういうものを復刻出来るような立場に立てなかったことが悔しいことはないし、そういう立場にある人との繋がりが稀薄であることを呪ったことはない。「エレキダイナミカ」でも「エレキギター万才」でも何でもいいので復刻して貰えるか、それが駄目ならオリジナル盤を聞いて貰えれば言っていることがよく理解して貰えると思う。
沢たまき

東京プレイ・マップ

CD ビクター VSCD3467  プレイガールの姉御殿(というかオネエ)が東京の街をジャズ歌謡で歌い上げるコンセプトアルバムの復刻。詞の方は一曲を除きなかにし礼の作詞で固めているが、曲の方は小谷充、坂田晃一、川口真、平尾昌晃ら、大橋節夫と癖のある面々が1〜4曲ずつ提供。川口真は相変わらずベースを押し立てた曲で、彼の作品を中心に、アルバムバージョンの「東京プレイ・マップ」をはじめグルーヴ全盛時代を色濃く反映した曲が並ぶ。沢たまきはジャズが基礎にあるうえに演技経験もあるだけに壷の押さえ方が尋常でない。プレイガールの周辺人脈の人は歌が上手くなくても独自の世界をうち立てている人が多い。
ティニー・ヨン

ベスト1961−1965

CD プーサン PPCD0023  フランス・イエイエ時代を駆け抜けたカンプチア生まれのベトナム人少女歌手のベスト。アジア系の歌手ながら変な異国情緒はなく、あくまで正統派のイエイエもの。ビートルズの「エイト・ディズ・ア・ウィーク」の仏語カバーの出来が素晴らしい。
楳図かずお

闇のアルバム楳図かずお作品集

CD ソニー MHCL542  「洗礼」「おろち」といった自作の漫画をテーマにした自作自演楽曲を集めたアルバムを復刻したものにいろいろと付け加えたもの。自分で売り込んだという熱の入れようで作詞作曲編曲に歌唱と八面六臂の大活躍。結果、どれも玄人裸足のレベルに達している。本人はロックンロールに拘りがあるようだが、出てきているものは本人の書く漫画の振幅を反映しているのかシャンソンとかサイケデリックとか妙に音楽性が拡散しており、寒風吹きすさぶような孤高さやインド風のシタールを派手にフィーチャーした曲などバラエティに富んでいる。何げにポールアンカのカバー「ユー・アー・マイ・ディスティニー」が一番はまっている。
V.A.

ラテン・デ・ニッポン

CD 東芝 TOCT25696  60年代から90年代までラテンを取り入れた歌謡の名曲を集めたもの。富永ユキ、パラキン、田村英里子、クリエイションとその範囲は広し。会社の枠を飛び越えた選曲。ラテン全盛期を過ぎた七十年代以降とそれ以前の作品では熱意というか距離感が全く異なるのは興味深かった。ダーク・ダックス「ボッサノバNo.8」の歌詞で「楽しいリズム」という言葉が使われているのが、現在のメロウなリズムという意識との差を感じさせる。フォーラッズ「123ドドンパ」はブームのさなかのドドンパ・リズムの力強さを今に伝える。最近の曲では北原理恵「ガスパチョ・スープ」の出来が想像以上によくて驚いた。
V.A.

エンタの歌道

CD テイチク TECH25053  芸人の歌う楽曲集。コミックソングばかりというわけでもない。既にCD化されている曲が半端に多いということもあって選曲としてはもうちょっと頑張って欲しかったところ。「がんばれライパチくん」が有り難かった。燃える。こういうものまねメドレーものはうたがうまいことが多いということもあって好きというだけなのだが。
V.A.

野良猫ロック 日活ニューアクションの世界

CD ウルトラ・ヴァイヴ CDSOL1101  やたらにカルト人気が高い「野良猫ロック」のサントラ音源集で、映画の純粋なトラックの他、劇中で披露された青山ミチ、沢村和子とピーターパン、ズーニーヴー、モップスの楽曲も収録されている。雑誌「ホット・ワックス」の絡みの企画だが、要するにゴー・シネマニアシリーズの落ち穂拾いのようなもんであり、同シリーズでCD化されている曲も多め。もっとも楽曲自体はのりのいいニューロック系のインストなどが多く、質高し。カードの青山ミチの写真がやたらにかっこいい。
V.A.

日活ニューアクションの世界 無頼・殺せ

CD ウルトラ・ヴァイヴ CDSOL1102  同上。「無頼・殺せ」だけではなく「前科ドス嵐」とかその辺りの日活迷走期の愚連隊もの、ヤクザもの映画のサントラ音源集。これもゴーシネマニアシリーズの路線をそのまま敷衍していて、所謂クラブユースの音源が並んでいる。映像を見て感動したフラワーズの「君恋し」が収録されているだけでも買う価値充分にあり。スイングウエストの「そよ風のバラード」は「雨のバラード」を大胆にアレンジに取り入れたアバンギャルドなもので白眉だが、解説で全く触れられていないのは何故だ。ジャズとロックがグルーヴの掛け声の下に幸せに共存できた僅かな時間の残光を偲べる。

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