これ買いました平成18年11月

18.11.28 なんか咳が止まらない。

V.A.

 

愛のフィナーレ〜宮川泰傑作撰in60‘s&70’s

2CD キング KICX3149〜50

先ごろ亡くなられた宮川泰が主にキングに残した作品の数々を各その頃の音源で。必ずしもヒット曲を並べたという感じのものではなくて、マイナーで終わったものでもトータルで聞いたときに必要と思われるような作品は積極的に取り上げられている。そこで大ヒット作品とえらくカルトな作品が同居しているような結果になっている。曲順は年代順に並んでおり、アレンジがだんだん大げさになっていく様子が見て取れて面白い。ザ・ピーナッツはデビューからだんだんと楽曲が大人びていったような印象があるが、その原因は音楽的な主柱である宮川泰自身の傾向がよく反映されているということなのであろう。トニー・ダララの「明日になれば」は外タレ歌謡でかつわあと売れるような曲でもないが、自分の思う歌謡曲というものにかなり忠実な曲であるのでちょっと驚いた。

V.A.

ソフトロック・ドライヴィン 美しい星

CD ソニー MHCL935

名シリーズの最新盤。これは以前出ていた「ソフトロック・ドライヴィン 栄光の朝」を1/3ほど曲を入れ替え、更に曲数を減らした、珍しい形の再編盤。自分の好きな曲が大方残ってくれたので嬉しい。これも下と同様、玉石混交感、雑種交配感を排除し、よりソフトロックに純化させたような選曲である。流麗で宝石の結晶を見るように洗練された統一感があるが、その分意外さは影を潜めているように見受けられる。

V.A.

ソフトロック・ドライヴィン 美しい誤解

CD ソニー MHCL936

同上、新編集のソニー編。このシリーズは玉石混交感が非常にあるシリーズであるが、若いレーベルであった時代の作品であるせいか、非常に統一感があり、このシリーズの中では異色を放っている。何と言っても、何だこれというような作品や歌謡曲の要素しかない曲が一曲もないのは異例中の異例。あえて言えばハイソサエティーの作品がソフトロックの枠から外れるかもしれないが、もともとこのシリーズの意図からすれば多少の外れは想定の範囲のようだ。収録曲の中でもリバティー・ベルズの若々しいハーモニーには心躍らされ、音源を殆ど残さなかったことがまことに悔やまれる。ヴィレッジ・シンガーズの「ウィズ・ユー」は初CD化。同じ「心の泉」は清水道夫作曲とされていたが小池哲夫作曲であったことが判明し、クレジットが変っている。また、リッキー&960ポンドの曲はこれが初CD化。個人的にはシャデラックスの初CD化曲が何とも嬉しい。なかなかよろしい。

V.A.

日本のジャズソング〜戦前編・服部良一和製ジャズ・コーラス傑作集戦時下の和製ポピュラー南海音楽

CD ブリッジ BRIDGE074

コロムビア・ナカノ・リズム・ボーイズとコロムビア・ナカノ・リズム・シスターズ、そして芝幸二関連楽曲を中心にまとめたコンピで、このシリーズの中でもとりわけ洋楽濃度の濃い一枚。もっとも、楽曲はほぼ和製で、服部良一作品やトラディショナルに類する曲をジャズっぽく仕上げた曲が殆どを占める。中でも戦争が愈々激しくなってきた時に出た、甘美すぎるアッと驚く完成度を誇るカルア・カマアイナスの作品群が、日本のジャズの伝統を繋ぎとめたハワイアンバンドという意味合い以上の積極的な意義を見出すのに充分なもので、あらためて衝撃を受けた次第。また、戦前のジャズソングの思いの外のレベルの高さも、シスターズのパワー溢れるスキャットとコーラスによく表れている。このシリーズで一番衝撃度が高いかもしれない。それにしても一枚でコロムビア・ナカノ・リズム・ボーイズとコロムビア・ナカノ・リズム・シスターズがこんなに聞けるCDが出るなんて、本当に夢のような世の中だ。

V.A.

黄色い手袋X〜幻の漫画フォノシート主題歌コレクション

CD ウルトラヴァイヴ CDSOL1152

60年代にリリースされたフォノシート音源を集めた存在価値ある一枚。当時アニメ化等がなされなかったりまだされていないところで出された所謂イメージソングを集めたもの。こういう怪しげな曲というのは、解説でも触れられている通り、アニメ化などがなされた作品のパイの少なさに端を発する競争による、弱小勢力ならではの妥協・目先の変更から出た産物なのであるが、これは別にフォノシート製作会社だけの専売特許ではなく、東芝などのメジャー会社でも同様の形式によるレコードが出ていたりする。のちにアニメ化された作品の曲などでは、作者が作詞をしていたりして多少のイメージの違いがあって比べるのも楽しいが、全般的にはやはり音に金がかかっていないのが、だから悪いというわけでないにしろ、非常に悲しい。こういう中で一曲だけシャデラックスのような超メジャーグループがひょっこり入ってくるのも面黒い。ほかの怪しげなグループもメジャーなグループの変名の可能性もあるだろう。度肝を抜かされたのは黄色い手袋Xの関係の二曲でさすが川内康範と唸らされた。「黄色い手袋のおじさん」はこの時代としたって時代錯誤的なソノ児童合唱団の可愛らしいけど恐ろしく出来の良いコーラスに乗って歌われる歌詞が凄い。「ああその人の名は黄色い手袋」ってもう人名ですらない。もう一曲の方の「まことの泪は真珠だよ」はXなる歌手(おそらく劇でXを演じた声優ならめ。このCDにはドラマは収録されておらない。)の技量は劣るものの異常に味のある物悲しいのったりとした歌声が誠実さを良く表しており、このCDで髄一の名唱となっている。素晴らしい快唱である。その他まだ軍歌調の曲というものをちゃんと作れる人がいた時代ならではの本格さを備えた、「紫電改のタカ」関係の「太平洋のタカ」も興味深い。一つだけ言えば、それぞれのテーマとなった元の作品がどのようなものだったのかという解説があればなお良かった。

18.11.27 アルミ缶の上にある蜜柑。

片山ブレイカーズ&ロケンローパーティー

 

ヌマヌマヌー

CD ウルトラヴァイヴ VBCD0048

彼らのセカンド。何故アルバムタイトルと楽曲名が微妙に違うのか教えてくれなかったのでしょんぼりしている。どうにもこうにも知っている人の名前がずらりとスタッフに並んでいるのを見るのは変な気持ちだ。差し障りがあるので敢えて誉めないけれども、これは人に金を出させて買ってもらってもおかしくない出来であって、ようやくまともな音源が残せたということで非常に嬉しいことである。録音の仕方のせいかライヴでのその曲の印象とえらく隔たりがあるが取り敢えず置いておく。それにしても「魔界大宴会」の完成度の高さが突出している。

ジミー竹内

ドラム・ドラム・ドラム狂わせたいの

LP 東芝 TP7646

70年代前半の歌謡ヒット曲をドラムインスト化した定番シリーズのうちの1枚。東芝の楽曲に偏っているということはなく、寧ろソニー勢が多く、この時代の各会社の勢力範囲が反映されている。45年ごろにリリースされたものよりはややテンションが落ちているようにも感じるが、これは題材となっている曲の持つ時代の雰囲気によるものであろう。豪放なドラムソロから始まる「ゴールデン・ハーフの24,000回のキッス」と唯一のグルーヴチューンらしい「狂わせたいの」が出色。他に「京のにわか雨」あたりも素材から考えると大健闘のグルーヴチューンにしている。しかし「さよならをするために」や「旅の宿」なんかよくドラムインストの題材にするもんだと逆に感心する。

ゴールデン・ハーフ・スペシャル

ゴールデン・ハーフ・スペシャルのキューティ・パイ

EP 東宝 AT4007

佳曲の多いGHS。ゴールデン・ハーフとは微妙に関係ありだが、あくまで微妙。

これは彼女たちのデビュー曲。本家同様オールディーズのカバー路線(少なくともここでは。)で、ジミヘン張りのギターソロによる米国国歌の独奏から始まるが本編はあくまでポップ。本家よりも健康的ではつらつとし、滑舌も良い歌唱でソロの部分とコーラスを重ねる部分の対比が上手くいっておって胸のすく快唱。B面も「恋の売り込み」の多少ディスコ色があるとはいえ正統的なカバーで、この後混迷した路線に走っていくそぶりもなく、まずまず上出来な仕上がりである。

ギャル

誘惑されて

EP キング GK257

ああ落日の面影。桑名正博作曲の16ビートを効かせたセクシー路線の渋いディスコ物で非常に時代が反映された雰囲気を持つ。このグループもコーラスに躍動感があるが、この曲でも抑圧されたようなソロと点を突くような美麗なコーラスの展開が印象的。ただ花のない歌ではある。B面は既CD化済み。

都川愛子

禁じられた好奇心

EP ワーナー L305W

 本体入手。残したレコードは数少ないがその殆どが強烈な曲というアイドルの人。

ブレインウォッシュバンド

コールドレイン

EP キング KO7S179

近田春夫が「気分は歌謡曲」でGSっぽいと特筆していた、15年以上探していた曲。昭和56年の曲なのでまだあのネオGSもまだの時期だが、多少ニックニューサのような感じもあるが、ベースラインを除けばGSがやっていても変な曲でもない。特に「涙アー」の「アー」のシャウトが散っているようで実はまとまっていて微妙な情緒がある。二番が終わったあとの間奏とそこから後の無駄な長さがGSから隔たった歌ということを改めて気付かせてくれるが、これを当時においてGSと見抜いた近田氏の眼力は改めて恐れ入るしかない。B面はザ・プレイボーイ「シェビデビでいこう」を髣髴とさせるシャウトだらけのロカビリー風ロックンロール。「昭和元禄ナウ」のショットガン・ランナーズの「シェビデビ」のカバーあたりよりも余程壮絶。何度も言うがこれがネオGS以前だというのはにわかに信じられない。ヒッピーヒッピーシェイクスに多少通じるところもあるがこちらの方が壮絶なことこの上ない。

一発逆転

キンキのおまけ

EP ビクター SV9158

和歌山を歌った有名なコミック・ソング。シンセ・ドラムとぶんぶん唸るベースが印象深いが、やたらに凝ったアレンジとメロディーで忙しいことこの上ない。歌唱演奏とも達者なのがよくわかるが、コミック・ソングとしては今ひとつか。はなわの「佐賀県」と併聴すべきか。取り敢えずこういうのはテクノ歌謡の範疇には入らないのだろうか。B面は二人いるシンセとシンセドラムをフィーチャーした臭いバンドポップスでこの時代にありがちな曲。大事マンブラザーズバンドを思わせる。ただこちらの方が古いので大事マンよりは目先が早いのかもしれない。

18.11.24 本棚の上にある本だな。

赤塚不二夫、他

赤塚不二夫のまんがNo.1シングルズスペシャルエディション

CD+本 ディスクユニオン FJ004

幻の赤塚不二夫の雑誌「まんがNo.1」のダイジェストに付録ソノシート音源を復刻したCDを加えたもの。三上寛、中山千夏、井上陽水、山下洋輔トリオほか。カミソリQ子とは青山ミチの変名と聞いたがその実を知らず。三上寛を除けば特に何も覚えず。三上寛は、歌による宇宙の構築力がずば抜けている。蓋し例えば「船頭小唄」なんどは羽根の折れたる渡り鳥のような様もよく見え、また一方で「オートバイの失恋」のような一点突破するような歌で意外な存在感も侍るけれども、さすがに、このようなギター一本心を叩きつけるような曲にてよく映えれば、まことに鄙の雅というようなものが感ぜられ、ここでの「おまわりさん!」などはその色がよく出ていて情深き。このような雑誌の方もこれだけの面子が集まりながら政治的なものを前面に出さなければ何も出来なかった時代の制約を呪うのみ。政治とは無関係に何も表現できる今の時代の発展をよく偲ぶ。

18.11.21 CDR1枚を頂く。往年のライヴ、テレビでの演奏が聞けたが、客層やコンセプトによって自在にステージ構成を変える実力と見識の高さに改めて感動した。

18.11.18 CDR3枚を頂く。噂には聞いていたがなかなか音を聞けなかった曲を聞けたが噂以上に凄い曲だった。

18.11.12 エッシャー展に行ってきた。

ザ・バーンズ

R&Bイン東京

CD クラウン DICR2025

買い替え。こう言っちゃ何だが買い替えなくてもよかったような気がする。やっぱりトラックの切り方が納得できない。

V.A.

コロムビア・アイドル・アーカイブス〜女の子編1

CD コロムビア COCP33453

今話題の谷ちえこのほか紅屋おかめ、大橋恵理子ら70年代後半から80年代前半にかけて活躍した二線級女性アイドルたちがコロムビアに残した音源から代表曲を集めたもの。こう聞くとこの時代にはまだ演歌もポップスもアイドルの土台になりうる時代と認識されていたことがよくわかる。大橋恵理子は色々なタイプの曲が並べられているが、中でも「夢で逢えたら」はまあ及ばないところがあるにしても自分に一番なじんでいるのはこのバージョンなのでもう少し色々と言われてもよいようにも思える。水谷絵津子「キラリ・涙」も聞き覚えがある曲で不意に手に入って耳驚いたところ。花井その子の「コズミックラブ」はテクノを取り入れており、時代が偲べる。ちょっとナックっぽくもあるが。しかし色物度合いでは谷、紅屋の二人には及ばない。こと紅屋おかめはもっと売れてもよかったのではないかとも思う。舟倉たまきはデンジ姫のひとという印象しかなかったがアイドルだったのか…。全然解説が付いていないのはマイナス。

18.11.5 本もCDも積読がひどい。(←ひどい日本語。)

美空ひばり

ミソラヒバリ リズム歌謡を歌う 1949−1967

2CD コロムビア COCP33949−50

デビュー曲の「河童ブギウギ」を始め、ビートポップス期までの待望されていた美空ひばりのポップ・リズムものばかりを集めたもの。ただし、その解釈はむちゃくちゃ前広。それにしても、どれも生き生きとした歌唱で、美空ひばりの真価はここにあると思う。ただ、自分にとっては、やはり昭和30年代に入ってからの美空ひばりの歌唱は残滓がどうもいやらしく感じる他「あ」と「お」の発音の切り回し方が崩されているため、このあたりやはり天才少女歌手時代に比べるとやや落ちる。この辺りの制御がちゃんと出来ていた昭和20年代の美空ひばりこそが完璧な歌手ぶりであって、改めて川田義夫の存在の大きさが感じられるのである。喩えれば、昭和20年代の美空ひばりは騎手がいて一日万里を走る馬のようで、30年代の美空ひばりは騎手を振り落として無軌道に暴れ跳ねまわる放駒のように感じて、風雅に劣ると自分は思う。この話を話題になる度にするけれども誰にも理解されない。実際リアルタイムでは歌手と言うよりも女優と見做されていた時期もあるのだし、どう考えてもマネジメントにもう少しいろいろと考えるべきことがあったとしか思えない。
 曲の方は、長年探していた「エスキモーの娘」が手に入れられたので嬉しいが、思いっきりラテンなアレンジで意表を突かれた。他に「白いランチは十四ノット」は曲の発想が完全にエレキ歌謡のそれで、演奏を取り替えてしまえば望月浩かシルヴィ・フォックスかという気合の入り方でこれは素直に驚いた。欲を言えば「むらさきの夜明け」まで入れて欲しかったが、ともかく、美空ひばりと言う人がポップの人だったということが大変によくわかる好企画であると、こう思うのであります。

ダディ竹千代&東京おとぼけCats

おとぼけライヴ・アット・屋根裏

CD ピー・エス・シー MTCP1014

70年代を代表する名コミックバンドの渋谷「屋根裏」でのライヴを録音した蔵出し音源盤。のりに乗った勢いのあるステージングが聞き取れ、とにかくシリアスなのが良いような雰囲気のあった当時のロックシーンに対してインパクトのあった彼らの立ち位置が感じられる。もっともかなり勢いを重視したステージングであるので、演奏にはきめが粗いようなところもかなり目立ち、このバンドの録音ものから受ける印象とはかなり異質な印象を受ける。彼らの代表曲である「電気クラゲ」はファンク(間奏はアストロノウツではなく加山雄三に変えている。)に寄せた演奏になっていて肩透かしを食らわせながら且つ技術を誇るというよく考えたことをやっていて驚く。ギターバトルのネタはまあ、当時は破格であったのだろうと偲ぶ。

奥村チヨ

チヨとあなたの夜/あなた好みの…チヨ

CD 東芝 TOCT11134

和製シルヴィ・バルタンから転向し小悪魔路線を確立した二枚のアルバムの復刻盤。前半にあたる「チヨとあなたの夜」はオリジナル曲や布施明や森進一らのどちらかと言えば泥臭いイメージのある同じ事務所の男声歌手や、テンプ、カップスらGSのカバーをも含んでおり、多少どういう路線で行くのか迷いが見られる。何と言ってもこのアルバムが出た当時のヒット曲というのは「北国の青い空」であって、むしろここでビートものや洋楽カバーを出してこなかったことの方が却って唸るべきことなのかもしれない。橋本淳、筒美京平作品が多い。後半の「あなた好みの…チヨ」は完全に「夜」のイメージを固めた時分のリリースであって、「恋泥棒」「恋の奴隷」の二大ヒットを弾頭に、目標とするべく同じような退廃的な湿り気を持つ西田佐知子、沢たまき、ちょっと違うが園まりの楽曲のカバーで固める。鈴木道明の楽曲の持つ「夜」の魅力というものを改めて感じた。

小川知子

ゆうべの秘密/初恋のひと

CD 東芝 TOCT11156

波に乗っていた時代の初期アルバム二枚の復刻。「サニー」や「あなただけを」のような洋楽カバーも一部含むが、所謂この時代の歌謡曲のイメージに非常に忠実な作品が多く、この時代の雰囲気を掴むには非常にありがたい存在なのではないだろうか。作詞・有馬三恵子、作曲・鈴木淳コンビの作品が多く、世界観の中心を形作っている。盛り上がる部分での感情の表現が豊かだが、引く部分での丁寧で折り目の正しい歌い方が非常によくメリハリを効かせる結果となっており、女優経験がこの辺りによく生かされている。あまりとんでもないビートものをやらなかったのは正解だった。どうでもいいがこの人は髪型がロングの方が似合うなぁ。

V.A.

昭和元禄ナウ!第2集

CD ボルテージ BQGS12

判ったよ、俺の負けだ、買ったよ。ということで聞いてみると玉石混交。底が抜けて帰って来ないような曲もあるが、第1集よりは素直に出来が良い作品が多い。特に宜しいのは、もう名前が大きな酒井麻友子とハプニングスフォーを除くと田淵純、ミステルズ、サロメの唇、イェイェズ、いちかたいとしまさの各曲。特にサロメの唇は以前ライヴを見たときにボロボロだったりとか他にも色々とあったので、あまり期待していなかったが、実に聞ける演奏で非常にびっくりした。田淵純のバックもこの人たちがつけているが、こちらも演奏が邪魔にならず、ボーカルも細かいところで気にならないところがないではないが、元マヒナというキャリアが聞いておってソフトなようで強引に曲をねじ伏せておってなるほどなるほど凄いところがある。男性のバンドはボーカルに、女性のバンドは演奏に穴がある事が多いが、ここで聞けるイェイェズはどちらも情が深い。いやまあ、メンバーだけではバンドの体にならないのでサポートを入れているか重ねているかどっちかしているのだろうが、それにしてもまとまっている。ここも前に見たときはそれほどでもなかったのでいい意味で裏切られた。
 サイクロンズはもの凄くでかい豪邸を買って登記するために測量したら東側が2メートルぐらい引っ込んでて車道になっていた時のような、そんな感想。彼らはビーバーズのカバーをしたらいいのになぁ。ヤングは全体的にはよいが目立つところで目立つミスをしておるのが雰囲気を壊しておって惜しい。どうでもいいが本人たちは嫌だろうが彼らこそ実はムードコーラスに向いている。ハプニングス・フォーは平均60歳を超えるとは思えない演奏歌唱で、演奏もそうだが、とにかく歌唱(トメ北川)の若々しさは驚愕を通り越してひっくり返ってしまった。
 どうも演奏を大事にしないバンドが多くて困るが、一言でいえば非常に自分が送り手のほうにいないのが悔しくなる。

18.11.3 本棚ぞ侍らず。サイトを始めて五度目(正確には六度目)の明治節か…。

塩まさる

全曲集

CD キング KICX2539

戦中期に活躍し、のちに「九段の母」の大ヒットを飛ばす塩まさるのキング時代の楽曲を集めたベスト盤。「母子船頭唄」などはあるものの、やや印象の薄い時代と言わざるを得ないが、絶滅した種類の音楽の旗手の音源は傾聴せにゃならぬ。ちなみについ最近お亡くなりになったが、聞いた限りでは、全盛期の時代よりも、90を過ぎたぐらいでのライヴが声ののりもよく、伸びやかで、不分明なところもなくなっていたという非常に珍しいタイプの歌手でありました。歌手も65を越えると歌唱がガタッとくるのが大体普通。というか全盛期の歌唱は不足が多く目に付くので、維持に止まらない相当な努力があったのだろう。こういう朴閑とした戦時歌謡歌手の系譜というのは完全に滅んでしまったものなので、聴いていてもうどうしようもない気持ちになってくる。

真山一郎

全曲集

CD キング KICX2548

歌謡浪曲ナンバーワンのベスト盤。自作曲がかなり多くて驚いた。似た系統の歌が並んでいるが、ぴか一はやはり「刃傷松の廊下」。これは名曲中の名曲なので機会があれば是非聞くべし。鈴木英明が編曲をしているものが何曲かあるが、ジャズをベースにした曲のときほどのきらめきがなくなんとも残念である。

 

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