これ買いました平成19年10月

 

19.10.26 台風直撃。

緑川アコ

ふうてんブルース

EP クラウン CW702

昭和40年代の女性ボーカルの中で最重要人物。このシングルは松任谷由美のお気に入りの曲だ、と昔「レコードコレクターズ」に載っていた。野放図で退廃的過ぎるハニー・ナイツのコーラスに乗ってこれ以上ないほど破れかぶれなボーカルが乗る「悲しき我がこころ」風の日本式ブルース。冒頭のサックスとピヨピヨ鳴り響くエレピが印象的。「ふうてん」という言葉が放送禁止用語でない不思議。B面はやや明るく所謂いい湯加減な曲で藤圭子「新宿の女」へ繋がっていく糸が感じられる。ちゃんとしたCD化希望。

大形久仁子

恋の秘めごと

EP 東芝 TP1663

両面とも鈴木淳作曲、森岡賢一郎編曲。悲しみをたたえたビート歌謡。厚くかけたオーケストレーションに延々と被さる女性コーラス、あおりまくるドンドコドラムに炸裂するファズギター、コブシが微妙に回ったボーカルとこの時代にしかありえない綺麗な様式が美しい見事なひとりGSぶり。B面も同じ路線だが、よりGS風でファズの使い方が強烈。この人はのちの内田あかりで、ソニーへ行って大きなヒットを当てることになる。佳也。

麻里圭子

夜はいじわる

EP ビクター SV739

緑川アコが右の極なら左の極はこの人か。21世紀に入ってますますその存在の大きさがわかってきた大歌手の有名なシングル。A面は新井靖夫(レインジャーズのマネージャーの人)作曲。シャンソン風のイントロで始まるが中身は小川知子あたりを意識したようなアダルトポップス。ただしさびでのドラムの切れが良い。B面はもう少しビートが強調されているマイナー歌謡だが、時代に埋没している。この人の作品の中では、凡庸であり、あまり歌手の魅力を引き出している曲とも思えない。卓越した技術のある人だけに、これでは役不足。もっと無茶をやらせても問題ないし、その方が映えたであろう。

19.10.22 CDR1枚を頂く。なるほど、本当にゴールデン・カップスっぽい。

19.10.20 まことに畏き令旨。

坂本九

メモリアル・ベスト

CD 東芝 TOCT25439

13日のイベントでインスピレーションを受けたので遅まきながら購入。特にないが、この人は自分にあてがわれる曲のイメージをどう思っていたのだろう。このレベルの歌手になるととても一枚で全体像を掴むというのは大変に難しい事になる。

リンリン・ランラン

エッセンシャル・ベスト

CD ビクター VICL62571

何故か冷遇され続け、CD発売以来20年を経て初めて出たベストCD。この人たちも何をどうしてどうしたかったのか今ひとつよくわからないが、ともかく待望の一枚というべきか。気になるタイトルの曲が多いけれども、その割合に無味無臭な曲が多い。

V.A.

タイ・ポップ・スペクタクラー 1960s−1980s

CD スブリメ・フレカンシス SF032

タイ国ポップ集。ジャケ買い。しかし内容は期待以上だった。タイトルどおり発表年が二十年以上に及ぶと思われるため、エレキ歌謡からディスコものまで音はバラバラ。しかし音に極彩色の人工的な着色がなされていてまさに熱帯のじっとりとした暑さを感じる。何故かディスコ物になるととりわけ元気になる曲が多く、以前買った他のコンピも考慮するとその線の曲に何かタイらしいものがあるようである。それにしても酒飲んだとか酔っ払ったとかという内容の歌が多いが、これがタイの歌謡曲のスタンダードなものなのだろうか。「ヒゲのテーマ」と同じく「Do It」を元ネタにしている曲があったが、こちらの方が洗練されていないが強引で強烈。非常に興味深く楽しく聞けた。サイケポップのような売り文句で売っていたが、カラフルな印象は受けてもサイケではないように思える。

19.10.18 ようやく買えた。

フィンガー5、ほか

コンプリートボックス

9CD ウルトラ・ヴァイヴ CDSOL1057/65

70年のベイビーブラザーズとしてのデビューから誰にも知られずAMフィンガーズとして散っていった十有余年の活動で残したノヴェリティなども含めたフィンガーファイブの音源をまとめた大型ボックス。

ディスク1はフィリップスへ移籍しいきなり大ヒットを飛ばした直後の初期二枚のアルバムをまとめたものだが、年齢を全く感じさせない、ソウルをちゃんと修めたグループとしてとてつもないパワーと勢いを感じさせる。これがいきなりテレビやラジオから流れてきたら衝撃だろう。一体曲のアレンジもベースを重視したファンキーさが効いているところに上からかぶさって一気に追い抜いていく晃のハイトーンボーカルの疾走感はこの瞬間のこのバンドにしか出来なかった一種の奇跡の賜物のようなものである。子供もののボーカルは舌足らずになることが多いが、彼らは全くないわけではないにしてもそんなことが問題にならないほどの見事な力技で乗り切っていて、思わず頬が緩まざるを得ない。落ち着いた歌では兄がボーカルをとって必要以上に大人びた世界を削りだしたり、ラブストーリーよりも情緒がある見事なコーラスを披露してオフコースのような見事なソフトロックバラードを構築したりとにかくその実力の高さに舌を巻く。職業作家の曲に混じって本人たちの自作曲も混じるが、これも謙遜なくシングルに切っても普通に通用するクウォリティーを誇っているのも凄まじい。とにかく一度掴んでしまえば勢い任せで突っ込んでいくのが芸能界の常であり、オリジナルの四枚目のアルバムまでは恐ろしいハイテンションで突っ込むところがない。この辺りについては都倉俊一よりも三枝伸の方が手柄は大きいかもしれない。

おや、と思うのは、なんでフィンガーファイブがカバーする必要があったのかさっぱり判らない「マッハバロン」で、これはオリジナルの方が全然宜しい。全く曲の体をなしておらない。この曲からあとに発表された曲は一気に勢い任せの良さが削がれていく。悪いというわけではないが、順番に聴いていくと、人気のあるうちにアメリカへ半年も行っていたのはいい状況ではなかったといわざるを得ない。ともかくフィンガーファイブとしての最後のアルバムである「NOW!」には暗い影が差し込んでいる。ただ、ラストアルバムに暗い影が差し込むのは当然なので気にすることでもないが、それにしてもこれだけ輝くような楽曲を次々に送り出していたグループが僅か四年でこんなにもやっとした曲になるのかと驚くばかり。爆発的なソウルグループが後期ブルコメ風のポップスグループになり最後は特に特徴のないグループになって終止符というとても少年グループとは思えない波乱万丈のディスコグラフィーが追える。

この間に挟まる二枚のライヴ盤はどちらも企画の色が濃く、「ファーストライヴ」は渡米を前にした「さよならコンサート」の模様にメンバーの「おしゃべり」を加えたもので、ハードな選曲のライヴ部分をどう埋め合わせるかに苦心した様子が見られる。「セカンドライヴ」は、子門真人との共演ライヴのフィンガーファイブ出演部分を抜き出したものと徳之島でのライヴを取り纏めたもので、沖縄がエキゾだった時代を偲べる。なお、東京公演部分では子門真人のボーカルが三曲で聴けるが、その実力がこれだけでわかってしまうのが恐ろしい。

前身であるベイビーブラザーズ等キングに残した楽曲群も聴けるが、これは必死な歌唱がまことに愛らしい。いくつかの楽曲は自分で弾いているようだが、十分合格点。但し彼らの持ち味であるソウル風味が生かせているとは言いがたい。

ザ・フィンガーズ等になってからは普通、としか言いようがない。何をどうしたかったのかよくわからないが無難さが先に立つ。

このボックスは、数年前に出たボックスに一部改訂を加えて再リリースしたものだが、どうにもオリジナルが出て時はどういう状態だったのかが偲べず、解説も丁寧とは言いがたく、どうも贔屓の引き倒しになっている記述も散見されるのが残念。また、音楽的にはどうだったのか、歌謡曲の位置づけとしてどうだったのかがまるで掴めず、このライナーがボックスセットにつく「資料」であるという側面があまり強調されていないように思えた。それよりも何よりも色々なことが雑然としていて未成熟な印象。フィンガーファイブのイメージにあわせてこうしたのかもしれないが、自分はむしろ彼らにはもっときっちりしたグループという印象が先行していたので、どうも違和感がある。どうせ大々的に宣伝をするのだったら徹底して解説を書き換えた方がよかったのではないか。

なんのかんのと、初期フィンガーファイブの不世出のパワーが感じられたのでよし。

V.A.

一球入魂〜野球歌伝説〜

CD ブリッジ BRIDGE087

大沢啓二、掛布雅之、湯上谷宏ら野球選手が残した歌と「君こそライオンズ」「グランド小僧」など野球に関する歌を集めたコンピ。ほぼクラウンに残された音源で構成されており、最後の有名なインストを除くと男声のみで固められている。資料としては大変貴重だが特にこれというものはなし。第二弾があるなら各社横断で笠置シヅ子、玉井(叶)美香、岡田真弓といった女性による野球ソングものも一挙に聞きたい。

V.A.

オリジナル版懐かしの特撮ヒーロー大全5

CD 東芝 TOCT8795

昔の特撮番組の主題歌等を集めたもので十二年以上カタログに載り続けているロングテールな商品。昭和48年の6番組だけで一枚のコンピというのは贅沢か。6番組とは「流星人間ゾーン」「ウルトラマンタロウ」「風雲ライオン丸」「へんしん!ポンポコ玉」「スーパーロボットレッドバロン」「クレクレタコラ」で「ポンポコ玉」が珍しい。「レッドバロン」の関連が井上忠夫とボブ佐久間が絡んでおり、団しん也、朝コータローのしっかりとしたボーカル陣も奮闘しているので軟弱な印象のほかの番組の曲と一線を画しているが、時代の谷間であることもあり全体的に生気に欠ける。

V.A.

オリジナル版懐かしのCMソング大全3

CD 東芝 TOCT8099

GS時代を含む「1966〜73」のCMソングを集めた、これまたロングテールなコンピ。CM自体にパワーを持つようになって来た時代の、いわばジャンルとして上り坂であり、かつタイアップの手法がまだ確立されていない、最後の光を放っていた時代の曲群であるために瑞々しさが溢れている。中でもシングルバージョンとは一味違うファズが効いたピリカラさが光る朱里エイコの「イエイエ」が強烈。これはスナーズ辺りの音に近いので或いはそうか。他に丸善ガソリンの「オー!モーレツ」やマスプロ電工の「見えすぎちゃって困るのォ〜」などといったそれ自体が強烈な楽曲やCMの歴史のエポックメイキングとなったCMの曲などが続き迫力がある。残念ながらGSの歌は収録されていないが、ロッテの「小さな瞳」はパープルシャドウズの「瞳の世界」と異詩同曲。

19.10.13 CDR6枚を頂く。あとでメールします。

 

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