これ買いました平成19年4月

19.4.26 早く帰った夜に。

V.A.

リカちゃん わたしたちのアイドル

CD キング KICS1302

昭和40年代から平成までの「リカちゃん」関連楽曲集。いろいろとあったそうだが知らず。詳しいことは他所に譲るが、60年代の音源は既に他のCDで聞けるようにGSの影響が大変強い。70年代の音源はその時代らしい音が聞けるが、とりわけ「おうちに帰ろう」はピンキーとキラーズを思わせ、この時代のキングレコードらしいカラフルで瑞々しい演奏が繰り広げられていて愉しい。「リカちゃん音頭」は怪曲と言っても差し支えなかろう。90年代の音源は販促としてもこれでいいのかと首を捻るところあり。これらには特に聞き所はなかろう。

V.A.

昭和ジャズ浪漫

CD テイチク TECH25162

ディックミネ、川畑文子、チェリーミヤノの三人を中心とした戦前ジャズ名演集。正直に言えばディック、川畑の音源よりも大量にある軽音楽ものなどを中心にまとめてくれた方が嬉しいのだが、何にせよチェリーミヤノが5曲も入っているのは大英断。今度は是非テイチクのB級ムードコーラスグループを取り纏めたコンピの続編を出していただきたい。

19.4.24 最近は何だか天気が悪し。

MIO

ダンバインとぶ

CDS キング KIDA2109

聖戦士ダンバインの主題歌。原作者による作詞であり独特な世界観が見え隠れしているのが愉しい。小さい頃にアニメを見ていて口ずさんでいたものなので自分にとって懐メロだが、力の篭った中にも緩急がついていてアニメソングを代表する曲と言い切っても過言ではない名作と存ずる。

なお、意外にキングは過去のアニメ主題歌のコンピを編んでくれない。

和田弘とマヒナスターズ

マヒナ・スターズ・ステレオ・ハイライト第7集

LP ビクター SJV216

「銀座ブルース」「ここがいいのよ」の絶頂期に出たアルバム。それだけに楽曲に勢いを感じる。作家陣の豪華さは綺羅星の如くで作詞作曲の浜口庫之助と三枝伸を始め作曲には鈴木道明、吉屋潤、山本直純、作詞に佐伯孝夫、山上路夫、岩谷時子と新旧入り混じって才気迸る面々。これに和田弘が加わる。松平・佐々木が引っ張るシックなムードが前面に出るも、題名の通り嬉しさが充満しダンサブルな「東京の夜は楽し」、唱歌的な荘厳さを響かせる「リンデンバウムの歌」、深すぎる漆黒の闇が聴き手を侵食する「夜間飛行」と特にB面によい曲が集中している。やはりこの辺りを聞くとこのバンドの音が70年代の全盛期のムードコーラスとは一線を画する独特なものがあることがよく感ぜられる。

アローナイツ

夜の哀愁 ベスト・オブ・アローナイツ2

LP ワーナー L10101A

ヒットが多いメジャーバンドなのに今ひとつ影が薄いのは何故なんだろう。このアルバムを聞いても、木下あきらのボーカルやいかにも北のバンドらしい雄大なアレンジも、一見腹に来るような濃さがあるようにも思えるけれども、よくよく聞けば意外にさわやか、とそのギャップが影の薄さに通じているのかもしれない。ヒットの多さと大きさではサザンクロスを上回るはずだし、全員が元鉱夫なんていうのは派手すぎる経歴だと思うのに不思議なところ。クールファイブに被るところが多いと言うのも実は少数派の選択なのだがこれも何も言えぬところ。

さて、このアルバムは彼らがリアルタイムに出したベストアルバムなのだが、作家陣を見渡せば、演歌畑の徳久広司らもいるが、このバンドの濃さがロックまたは昭和40年代和製ポップスに根元があることがわかる。ハードロック色の強い竜崎孝路を筆頭に小林亜星、菊地俊輔、井上忠夫、ノト・サトー(!)、三木たかしと作風の灰汁の強い職人が揃っている。作詞家としては山口洋子、阿久悠、たかたかし、三浦徳子らが名を連ねており、やはり演歌の延長で捉えると見当違いになりそうだ。ベストアルバムであることを差し引いても名曲揃いでヒットした「中の島ブルース」「ぬれて大阪」「献身」の他も捨て曲がない。とりわけハードなタッチの「波止場ろまん」(阿久・三木作品。彼らの作風が良く出ている。)、逆にホスト系ムードコーラスならではの軽さが心地いい「東京の雨を札幌で」(作曲鈴木淳)、緊迫した雰囲気で始まるヘビーで哀愁いっぱいの異色の三連ロッカバラード「黒い雪」(作曲井上忠夫)の出来がよい。

ムードコーラスもメジャーかマイナーかで軽重が云々できないジャンルであることがよくわかる。

V.A.

なつかしのメロディー

10吋LP ポリドール LPJ1002

東海林太郎、上原敏、小林千代子、田端義夫、喜代三とか。

田端義夫の評価が低いのは偏にポリドールがこの辺りの人たちを全然大事にしていないからなだけなので、別にそれを発見したところで偉くもなんともない。特にこの人の場合真骨頂はこの時代なのに惜しいところだ。ポリドール〜ユニバーサルは東海林太郎と上原敏、そして最近(本当につい最近)CDになった榎本健一を除けばこの辺りの戦前の歌手を普通のCDで出したことが一切ないと思うのでこういうものを聞いていくしかない。上原敏の卓越した美声はやはり聞きほれてしまい、死後60年が過ぎてなおファンクラブが残っていることにつくづくと納得してしまう。

19.4.22 中野ブロードウェイに行ったが財布の紐は緩まず。

リフラフ

セクシー100℃

EP ワーナー L1653

trfのSamがいた四人組アイドルグループの歌謡史上に残る名曲中の名曲。畳み掛けるような展開に手に汗握るダンスユニットらしい見事なアイドルチューン。ただし発売された年代を考えてもやや臭い。それがこの曲の場合はいかがわしい魅力に繋がっておって一筋縄でいかない歌謡の魅力を体現している。B面はオリジナルは誰の曲なのか知らないけれども、ヴァン・パッセル兄弟という人たちが作った曲のカバー(アメリカン・ダンス・バンドなる人たちがこれをやっている映像があったが、本当にそういう名前なのか、オリジナルが彼らなのかよくわからなかった。)で、80年代前半らしいディスコチューンに仕上がっている。ちなみに元ザ・タイガースの森本太郎の事務所のグループで、ディレクターも森本が務めている。

スピニッヂ・パワー

ヘイ・スウィート・キャロライン

EP キング GK(A)286

アメリカのスタジオミュージシャンの覆面バンドというふれこみだった、長戸大幸を中心としたのちにビーイングに繋がっていくメンバーが大量に揃った企画モノソウルバンド。これも名曲中の名曲だがA面は既に他のレコードで所持済み。B面は打って変わったピアノを中心としたメロウなバラード。曲自体は取り立ててどうと言うこともないが。安定したトラックに細かくテクニックを入れてくるアレンジが、演奏が凄腕集団によるものということに咄嗟に思いを馳せてしまう。

19.4.21 慎んでいるつもりだったが致し方なく。

ベッツイ&クリス

フォーク・アルバム

CD コロムビア COCA71131

ハワイ出身の女性フォーク・デュオがブームに乗ってリリースした古今のフォーク名曲を集めたファーストアルバム。余計なアレンジ等もなく、澄み切った歌声が心地よいが、一方で灰汁もない。全て英語詩そのままで歌われるので、虚心坦懐してアメリカ人少女によるアメリカンフォーク集として聞くのが宜しかるか。しかしボブ・ディランの紹介で現代民謡なんて書かれると全く間違っていないのに妙な違和感があるのがおかしい。これが初CD化。なお、ボーナストラックとしてシングル音源が付いているが、これも和風フォークの佳作揃いであって日米の傾向が読み取れて面白い。ぼちぼち。

V.A.

カルトGSコレクション日活編2青春ア・ゴーゴー

CD ウルトラ・ヴァイヴ CDSOL1157

七三分のリアルガレージ、日活ヤング&フレッシュの音源を中心にトニーズ、ジュディオング、和泉雅子らの日活映画の音源を集めた、もうわかんない人には全然わからなかろう超貴重音源集。解説はつい一昨日お亡くなりになられた黒沢進先生の絶筆かそれに近いものであろう。読みてしみじみと偲ぶ。 (追記・やはり絶筆とのこと。改めてご冥福をお祈りしたい。)
 で、ここから敢えて明るく書くのだけれども、自分はヤング&フレッシュというバンドは大好きで、演奏の切り口がバニーズとかスウィング・ウエストとかヴァンドッグスとかあたりのエレキ上がりの67年後半ぐらいの泥臭いバンドに似ているのがよいのだと思う。ブラックストーンズもアウトキャストもそうで、ジェノバとサニーファイブを除くと結局自分が好きなGSというのは「エレキ上がりの67年後半ぐらいの泥臭いバンド」に尽きてしまうのじゃないかと思うのであります。
 ヤング&フレッシュ(大体名前が素晴らしい。こんなに純粋無垢な若者のパワーを若者自らが現したバンド名があるだろうか。「ザ・ヤング」というバンドも侍るけれども、これは素直な意味で付けてはおらぬだろう。)は、レコードではフォークロックのような曲からはつらつとした青春歌謡まであり、映画ではガレージパンクぽい曲から本当にフォークな曲まであって、この紹介フレーズでは不足もいいところだが、多くの曲がこのフレーズに恥じない荒々しい醍醐味が充満しておってなかなかよいあだ名なのではないかと思う。それにしても21世紀になってこのようなヤング&フレッシュをフィーチャーしたCDが出るとは素晴らしいことだ。
 トニーズは後身のブルーシャンデリーの時代を除けばこれが単独の曲としては初CD化のはずなので、なかなかめでたいが、まずまず人気のあったトニーズも、GSバブルの恩恵があるはずのリバティーズも、二曲とも名曲のファイブジャックスも全然CD化されてないというのは異常だと思う。
 とりあえずビクターはつくづく迫害されておるジャイアンツ(演奏だけならダイナマイツやモップスとも全くひけをとらない。ただ新時代の演奏ではなかっただけだ。)ともどもトニーズのCD化を望む。

その他、異常にグルーヴィーになった奥村チヨの「北国の青い空」と能天気にも程がある和泉雅子「踊りたいわ」が聞きもの。

そういえば以前黒沢氏が書かれておられたヤングフレッシュフェローズはやはり関係ないのだろうな。

V.A.

ナショナル・キッド〜「冒険活劇」TVヒーロー〈オリジナル・サントラ〉コレクション

CD ウルトラ・ヴァイヴ CDSOL1153

TV黎明期の「ナショナル・キッド」「月光仮面」「まぼろし探偵」「豹の眼」「アラーの使者」といった今で言う特撮ものの名作主題歌・挿入歌を集めた待望の一枚。ただし所謂テレビサイズと言う奴だ。これらを聞いていると、多くは戦時中に小国民向けに作られた諸作品との共通点が色濃く戦前戦後を貫く生々しいものが浮かび上がってくるようで不思議である。歌手は児童合唱団といわれるものによるものが多いが、いずれも達者である。個人的に「少年ジェット」と「ハリマオ」が有り難かった。なお、ボーナストラックとしてラジオが初出であった「少年探偵団」「赤胴鈴之介」の主題歌を収録する。

19.4.13 ああ憲法の壁は厚し。

平岡精二とブルーシャンデリア

ナイトクラブの片隅で

CD ユニヴァーサル UPCY6391

ソフトロックヒッピーズシリーズ。日本を代表するヴィブラフォン奏者の歌と演奏による、オリジナルとスタンダード計12曲。中性的ともいえるハイトーンのクルーン唱法が心優しい。これという強烈なチューンはないが作者自身による「謎の女B」など納得できる作品もあり、なるほどイージーリスニングの類としてはよろしい出来である。

乙女座

ふたり

CD ユニヴァーサル UPCY6387

同上。水沢有美とふるや杏による谷間の時代の埋もれた名盤と聞くが、これもソフトロックと言うには透明感や突き抜けるような高貴さに欠ける。グルーヴものとしての評価なのではあろうが、この点からも薄いと言わざるを得ない。ジャックスの人脈が多く関っているが、どうも何を意図してこの音を入れたのかと言うことが分からない編曲もあって、これも散漫に聞こえる。自分にとっては別に買わなくてもよかったかなとの思いが沸いた。

カムイ

スーパースター

CD ポニーキャニオン QWCD0001

最近の人。女性1名男性4名のダンスユニット。半年ぐらい前に表題曲を聞いて、いまだに印象に残っているので購入。

内容としては、ストリングスが余り入っていないのが残念だが、70年代後半のソウル系ディスコの風味がよく再現されており、とりわけホーンのつけ方や細かいギターワーク、リズムの打ち出し方については秀逸。ボーカルだけはややパワー不足とも思えるが、不思議に曲に溶け込んでさほど気にならず、情も深い。こういうのこそが歌謡曲の本道を正統に継承している曲だと思うのだがどうか。なお、殆どの作詞をボーカルの人が手がけているが、これが実に夜が明けておらない純な詩で趣深い。それ以外の人が手がけた詩はよくはできているのだろうが、言ってしまえばダサくて興ざめ。まずまずよい一枚。

V.A.

ソフトロック・ヒッピーズ

CD ユニヴァーサル UPCY8023

二つ上と同。こんな名前だが「二十才の頃」(かまやつ、なかにし、安井)ほかボサノヴァものが数曲収録されている等、正直ソフトロックの色は薄く、ガレージというものもなく、要するに「和モノ・レア・グルーヴ」を取り纏めたものという事になると思う。既に和モノ・レア・グルーヴとして定評のある曲が並ぶほか、未CD化GS(というにはちょっとデビューが遅いけれども)のキャノンボールなど初CD化曲も多く収録されているので価値は多く、しかも大廉価なのは快挙乎。
 ただ、敢えて言えば、あくまでもDJの視線から見た選曲であって、「歌謡曲」としては一歩も二歩も下がる。
 アレンジや歌唱の技術といった面では高等であるけれども、歌心という点が及ばない。いわば技量はあっても儀容は足りぬ。
 この手の曲をあくまで「レア・グルーヴ」とみるか「歌心を備えた歌謡曲」と見るかの違いか。
 自分は「レア・グルーヴ」としてしか歌謡曲が評価されず、それがネオ歌謡と持ち上げられている人たちに一方からの見方を押し付け、自分にとっては全く好ましからざるとしか思えない傾向に影を差していると捉える。だからちゃんとヒットするようなネオ歌謡の歌手というものが出てこないのだ。
 音楽性にもかかわらず、そのような閉塞感がとてもがんがん伝わってくる一枚にてはあらずや。
 因みに何曲かガレージと解説されている曲があるが、全然ガレージの色がない。オルガンはチープだが、ガレージ風の音ではなく、商業作家がちゃんと仕上げたアレンジで、どうにもガレージと言うには違和感がある。ガレージという言葉の捉え方が隔絶しておって心苦しい。まさる、しゅうのメジャー音源は初めて聞いたが、改悪の範疇か。
 大体どうもピオニーズのどの曲がいいとか、堀内美紀の曲で一番DJ向けだと思われるのはどう聞いても「熱い恋」だろうとか、そういうところの見解が悉く異なる。解説の人とは話しても通じるところがなさそうだ。更に解説に誤りと誤植有。

そうは言ってもエトセトラの約20年ぶりのCD化や上記の諸人の他、クラウディア、エル・ソタノ、ザ・フェニックス(GSのフェニックスとは別)と注目トラック多数。これが新品で千円ちょっとというのは英断であることは確か。

アフロマニア

永遠に

マキシ エピックソニー ESCL2899

これは新曲。なんか洗脳されてしまった。サビの譜割の強引さが印象に残り、ヒップホップのような速射砲的な部分と併せ照れくさい若さの微熱を感じる。こういうのが青春歌謡の正統な後継なのだが、スタイルにとらわれるとなかなかそれが見えなくなる。カップリングに「想い出がいっぱい」のカバーあり。敢えて論ぜず。

ユイ

ローリング・スター

マキシ ソニー SRCL6468

流行りものに弱い。どうもこの歌に関する所見について誰にも同意が得られない。これはサザンオールスターズの神格化の完了を踏まえた曲だと思うが、どうか。これは、結局のところ80年代後半のロックを基調にしたツッパリ系アイドル歌謡の系譜に属する歌だが、より内省的でかつ自作であるところに時の流れを感じる。カップリングを聞く限りでは内に篭るアコギ系の楽曲がこの人の本質だと感じられた。売れて当然と思う。歌謡として宜しい。

 

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